(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】モバイル輸送環境の予測可能なスケジュールに基づいて、データをインテリジェントにキャッシュするためのシステム及び装置
(51)【国際特許分類】
H04L 67/02 20220101AFI20231013BHJP
H04W 4/06 20090101ALI20231013BHJP
H04W 4/42 20180101ALI20231013BHJP
【FI】
H04L67/02
H04W4/06 170
H04W4/42
(21)【出願番号】P 2020546923
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 US2019020487
(87)【国際公開番号】W WO2019173178
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-03
(32)【優先日】2018-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520337020
【氏名又は名称】ネットスカート システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ラフト ジークフリート
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-153360(JP,A)
【文献】特開2010-013072(JP,A)
【文献】特表2012-521129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0249182(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/02
H04W 4/06
H04W 4/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
対応する複数の輸送船舶/車両内に配置された複数のモバイルキャッシュと、
前記モバイルキャッシュのそれぞれに接続された、第1のモバイルネットワークインターフェースと、
コンテンツサービスプロバイダ(CSP)の複数のエッジキャッシュであって、前記エッジキャッシュは、前記輸送船舶/車両の指定された港、駅、又はターミナルに配置され、前記複数のエッジキャッシュのそれぞれは、キャッシュフィルポリシーに従って1つ以上のソースキャッシュからフィルされ、前記ソースキャッシュは1つ以上のコンテンツプロバイダから受信されるマルチメディアコンテンツを含む、複数のエッジキャッシュと、
各エッジキャッシュに接続された、定置されたネットワークインターフェースであって、前記定置されたネットワークインターフェースは、輸送船舶/車両が前記港、駅、又はターミナルに到着したときに、前記第1のモバイルネットワークインターフェースを用いて高速無線接続を自動的に確立する、定置されたネットワークインターフェースと、
前記高速無線接続より相対的に低い帯域幅の接続である第2のネットワーク接続を確立するための第2のモバイルネットワークインターフェースであって、前記高速無線接続の確立の前に、前記高速無線接続の確立に応じて前記高速無線接続を介してマルチメディアコンテンツを前記1つ以上のコンテンツプロバイダが提供するために、輸送船舶/車両のインターネットプロトコル(IP)アドレスが前記第2のネットワーク接続を介して前記1つ以上のコンテンツプロバイダと共有され
る、第2のモバイルネットワークインターフェースと、
前記高速無線接続の確立時に、第1のエッジキャッシュから第1のモバイルキャッシュに提供されるマルチメディアコンテンツの部分を識別するためのキャッシュ管理ロジックと、を備え、
前記キャッシュフィルポリシーは、特定の港、駅、又はターミナルへの前記輸送船舶/車両の到着を予期して、前記第1のエッジキャッシュを含む前記エッジキャッシュをフィルするためのキャッシュフィルスケジュールを含み、前記ソースキャッシュ、エッジキャッシュ及びモバイルキャッシュへの前記マルチメディアコンテンツの配信が前記1つ以上のコンテンツプロバイダへ報告される、システム。
【請求項2】
前記キャッシュフィルポリシーに従って、前記ソースキャッシュから前記エッジキャッシュに配信される複数のキャッシュデータセットを生成するように実施されるキャッシュ作成ロジックを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各キャッシュデータセットは、前記キャッシュフィルポリシーに従って前記エッジキャッシュのうちの1つ以上に配信される前記マルチメディアコンテンツのサブセットを含み、前記キャッシュフィルポリシーは、前記マルチメディアコンテンツがユーザによって要求される頻度に少なくとも部分的に基づいている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記定置されたネットワークインターフェースが利用不能であるときに、前記第2のモバイルネットワークインターフェースが確立される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のネットワーク接続は、セルラー、衛星、又は長距離WiFi接続を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ユーザデバイスから第1のコンテンツプロバイダのマルチメディアコンテンツに対する要求を検出するための
アクセスポイントであって、前記マルチメディアコンテンツのコピーが前記第1のモバイルキャッシュに記憶されていると判定し、前記要求に対して前記第1のモバイルキャッシュからサービスを提供する
ようにリダイレクトをトリガする、
アクセスポイントを更に備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
ユーザデバイスは前記第2の
モバイルネットワークインターフェースに接続され、各ユーザデバイスに、前記輸送船舶/車両に割り当てられたネットワークアドレスのブロックからネットワークアドレスが割り当てられる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記要求は、最初に前記第2のネットワーク接続を介して前記第1のコンテンツプロバイダに送信され、前記第1のコンテンツプロバイダは、前記
アクセスポイントが前記要求に対して前記第1のモバイルキャッシュからサービスを提供することを認める許可を含む応答を送信する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
方法であって、
対応する複数の輸送船舶/車両内に複数のモバイルキャッシュを配置することであって、第1のモバイルネットワークインターフェースが前記モバイルキャッシュのそれぞれに接続されている、ことと、
輸送船舶/車両の指定された港、駅、又はターミナルにおいてコンテンツサービスプロバイダ(CSP)の複数のエッジキャッシュを配置することであって、各エッジキャッシュは、キャッシュフィルポリシーに従って1つ以上のソースキャッシュからフィルされ、前記ソースキャッシュは1つ以上のコンテンツプロバイダから受信したマルチメディアコンテンツを含む、ことと、
輸送船舶/車両が港、駅、又はターミナルに到着するときに、前記第1のモバイルネットワークインターフェースを用いて高速無線接続を自動的に確立することであって、前記高速無線接続より相対的に低い帯域幅の接続である第2のネットワーク接続は
第2のモバイルネットワークインターフェースを用いて確立されるためのものであり、前記高速無線接続の確立の前に、前記高速無線接続の確立に応じて前記高速無線接続を介してマルチメディアコンテンツを前記1つ以上のコンテンツプロバイダが提供するために、輸送船舶/車両のインターネットプロトコル(IP)アドレスが前記第2のネットワーク接続を介して前記1つ以上のコンテンツプロバイダと共有される、ことと、
第1の港、駅、又はターミナルにおける前記高速無線接続の確立時に、第1のエッジキャッシュから第1のモバイルキャッシュに提供されるマルチメディアコンテンツの部分を識別することと、を含み、
前記キャッシュフィルポリシーは、特定の港、駅、又はターミナルへの前記輸送船舶/車両の到着を予期して、前記エッジキャッシュをフィルするためのキャッシュフィルスケジュールを含み、前記ソースキャッシュ、エッジキャッシュ及びモバイルキャッシュへの前記マルチメディアコンテンツの配信が前記1つ以上のコンテンツプロバイダへ報告される、方法。
【請求項10】
前記キャッシュフィルポリシーに従って、前記ソースキャッシュから前記エッジキャッシュに配信される複数のキャッシュデータセットを生成することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記キャッシュフィルポリシーに従って前記エッジキャッシュのうちの1つ以上に配信される前記マルチメディアコンテンツのサブセットを用いて前記複数のキャッシュデータセットを生成することであって、前記キャッシュフィルポリシーは、前記マルチメディアコンテンツがユーザによって要求される頻度に少なくとも部分的に基づいている、ことを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記高速無線接続が利用不能であるときに、前記第2のモバイルネットワークインターフェースが確立される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のネットワーク接続は、セルラー、衛星、又は長距離WiFi接続を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対応する輸送車両/船舶が移動中のときに、乗客のユーザデバイスをモバイルキャッシュに無線接続することと、
ユーザデバイスからの、第1のコンテンツプロバイダのマルチメディアコンテンツに対する要求を検出することと、
前記マルチメディアコンテンツのコピーが前記モバイルキャッシュに記憶されていると判定することと、
前記要求に対して前記モバイルキャッシュからサービスを提供することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ユーザデバイスを前記第2の
モバイルネットワークインターフェースに接続することと、
各ユーザデバイスに、前記対応する輸送船舶/車両に割り当てられたネットワークアドレスのブロックからネットワークアドレスを割り当てることと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記要求は、最初に前記第2のネットワーク接続を介して前記第1のコンテンツプロバイダに送信され、前記第1のコンテンツプロバイダは、前記要求が、前記モバイルキャッシュからサービスを受けることを認める許可を含む応答を送信する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
プログラムコードが記憶されている機械可読媒体であって、前記プログラムコードは、機械によって実行されると、
対応する複数の輸送船舶/車両内に複数のモバイルキャッシュを配置することであって、第1のモバイルネットワークインターフェースが前記モバイルキャッシュのそれぞれに接続されている、こと、
輸送船舶/車両の指定された港、駅、又はターミナルにおいてコンテンツサービスプロバイダ(CSP)の複数のエッジキャッシュを配置することであって、各エッジキャッシュは、キャッシュフィルポリシーに従って1つ以上のソースキャッシュからフィルされる、こと、
輸送船舶/車両が港、駅、又はターミナルに到着するときに、前記第1のモバイルネットワークインターフェースを用いて高速無線接続を自動的に確立することであって、前記高速無線接続より相対的に低い帯域幅の接続である第2のネットワーク接続は
第2のモバイルネットワークインターフェースを用いて確立されるためのものであり、前記高速無線接続の確立の前に、前記高速無線接続の確立に応じて前記高速無線接続を介してマルチメディアコンテンツを前記1つ以上のコンテンツプロバイダが提供するために、輸送船舶/車両のインターネットプロトコル(IP)アドレスが前記第2のネットワーク接続を介して前記1つ以上のコンテンツプロバイダと共有される、こと、及び
第1の港、駅、又はターミナルにおける前記高速無線接続の確立時に、第1のエッジキャッシュから第1のモバイルキャッシュに提供される、選択されたマルチメディアコンテンツの部分を識別すること、という動作を前記機械に実行させ、
前記キャッシュフィルポリシーは、特定の港、駅、又はターミナルへの前記輸送船舶/車両の到着を予期して、前記エッジキャッシュをフィルするためのキャッシュフィルスケジュールを含み、前記ソースキャッシュ、エッジキャッシュ及びモバイルキャッシュへの前記マルチメディアコンテンツの配信が前記1つ以上のコンテンツプロバイダへ報告される、非一時的な機械可読媒体。
【請求項18】
前記キャッシュフィルポリシーに従って、前記ソースキャッシュから前記エッジキャッシュに配信される複数のキャッシュデータセットを生成すること、という動作を前記機械に実行させるプログラムコードを更に含む、請求項17に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項19】
前記キャッシュフィルポリシーに従って前記エッジキャッシュのうちの1つ以上に配信される前記マルチメディアコンテンツのサブセットを用いて前記複数のキャッシュデータセットを生成することがであって、前記キャッシュフィルポリシーは、前記マルチメディアコンテンツがユーザによって要求される頻度に少なくとも部分的に基づいている、ことという動作を前記機械に実行させるプログラムコードを更に含む、請求項18に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項20】
前記高速無線接続が利用不能であるときに、前記第2のモバイルネットワークインターフェースが確立される、請求項17に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項21】
前記第2のネットワーク接続は、セルラー、衛星、又は長距離WiFi接続を含む、請求項20に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項22】
対応する輸送車両/船舶が移動中のときに、乗客のユーザデバイスをモバイルキャッシュに無線接続すること、
ユーザデバイスからの、第1のコンテンツプロバイダのマルチメディアコンテンツに対する要求を検出すること、
前記マルチメディアコンテンツのコピーが前記モバイルキャッシュに記憶されていると判定すること、及び
前記要求に対して前記モバイルキャッシュからサービスを提供すること、という動作を前記機械に実行させるプログラムコードを更に含む、請求項21に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項23】
前記ユーザデバイスを前記第2の
モバイルネットワークインターフェースに接続すること、及び
各ユーザデバイスに、前記対応する輸送船舶/車両に割り当てられたネットワークアドレスのブロックからネットワークアドレスを割り当てること、という動作を前記機械に実行させるプログラムコードを更に含む、請求項22に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項24】
前記要求は、最初に前記第2のネットワーク接続を介して前記第1のコンテンツプロバイダに送信され、前記第1のコンテンツプロバイダは、前記要求が、前記モバイルキャッシュからサービスを受けることを認める許可を含む応答を送信する、請求項23に記載の非一時的な機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、モバイル環境へのデータ配信の分野に関する。より具体的には、これらの実施形態は、モバイル輸送環境の予測可能なスケジュールに基づいて、データをインテリジェントにキャッシュするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのビジネスには、モバイル環境において顧客にWiFiを提供する必要性がある。例えば、多くの航空路線、クルーズ船、バス車両、及び列車システムは、乗客にWiFiを提供する。しかしながら、これらのモバイル環境における輸送中の可変的な接続性及び最小帯域幅を考慮すると、顧客の期待を達成することは、ますます不可能になっている。
【0003】
標準的な世帯は、複数のデバイスで500GB/月の範囲内のコンテンツをストリームする。消費者は、旅行時に同一レベルのネットワークアクセスを期待し始めているが、これらの環境における乗客数及び低帯域幅の接続性を考慮すると、現在のシステムでは実現困難である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明のより良好な理解は、以下の図面と併せた以下の詳細な説明から得ることができる。
【0005】
【
図1A】モバイルエッジデバイスを1つ以上のキャッシュシステムに接続するための本発明の一実施形態を示す。
【0006】
【
図1B】コンデンサ及びコンテンツ配信ネットワーク(content distribution network、CDN)を含む本発明の一実施形態を示す。
【0007】
【
図2】コンテンツサービスプロバイダ(content service provider、CSP)のアドレスをモバイル環境に割り当てることを含む追加の特徴を示す。
【0008】
【
図3】ネットワークの接続性を管理するための内部ゲートウェイプロトコル(Interior Gateway Protocol、IGP)及びボーダーゲートウェイプロトコルの使用を含む追加の特徴を示す。
【0009】
【
図4】コンテンツサービスプロバイダコンテンツを記憶するためのインターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider、ISP)キャッシュを含む一実施形態を示す。
【0010】
【
図5】コンデンサ及びCDNノードを含む一実施形態の更なる詳細を示す。
【0011】
【
図6】透過型キャッシュ(transparent cache、TIC)を含む一実施形態を示す。
【0012】
【
図7】コンテンツプロバイダを含む様々なソースからのコンテンツをCSPキャッシュが記憶する一実施形態を示す。
【0013】
【0014】
【
図9】一実施形態におけるコンデンサとTICとの相互作用を示す。
【0015】
【
図10】クライアント要求をローカルキャッシュにリダイレクトするための一実施形態を示す。
【0016】
【
図11】列車でTICにコンテンツを提供するために複数のアンテナを有する例示的な実施形態を示す。
【0017】
【
図12】コンテンツを伝搬するための階層的構成の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、説明を目的として、以下に記載される本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示される。しかしながら、本発明の実施形態がこれらの特定の詳細のうちのいくつかを用いずに実施され得ることは、当業者には明らかである。他の例では、本発明の実施形態の根本的な原理を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造及びデバイスをブロック図の形態で示す。
【0019】
本発明の実施形態は、いつでも、どこでも、リモートの場所でも、及び帯域幅が従来限定されている外出中でも接続していたいというエンドユーザの期待を満たす。具体的には、戦略的な場所においてコンテンツをホストする、インテリジェントなキャッシング技術について説明する。一実施形態では、キャッシュ及び関連するコンテンツ配信ネットワーク(CDN)は、輻輳点の後方でコンテンツをプレロードすることによってネットワークの輻輳制限を解決する。
【0020】
既存のキャッシュ及びCDN技術が正常に動作するためには、飛行機、列車、バス、及び客船などモバイル環境では利用できない、連続的な高速の接続性を必要とする。その結果として、これらのビジネスはますます不利な境遇にあり、非常に大規模な市場内でソリューションに対する累積需要が生じている。
【0021】
本発明の一実施形態は、モバイル環境が確定的又は非確定的な期間のいずれかにわたって一時停止することが予想され得る戦略的な場所に高速アクセスポイントを追加して既存の接続性を増加させることによって、モバイル環境で利用可能な接続性の欠如に対処する。一実施形態では、これらの二重ネットワークの管理は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)によって提供される。しかしながら、このエンティティは、本明細書において、大型データセット(例えば、ビデオ)に焦点を合わせてコンテンツサービスプロバイダ(CSP)と称する。
【0022】
一実施形態では、CSPは、各モバイル環境を、CSPのネットワーク集合体の接続されたサブネットワークとして管理する。一実施例では、これは、IPサブネットワークを定義することによって達成される。具体的には、モバイル環境は、低速通信チャネル(例えば、モバイル環境が移動中であるときに利用可能な衛星リンク又はセルラーネットワーク接続)又は高速ネットワーク(例えば、モバイル環境が戦略的に位置する高速リンクに到達したとき)のいずれかを介して到達し得る、ルーティング可能なIPサブネットワークとして構成されている。
【0023】
モバイル環境が高速ネットワークを有するいくつかの場所を通過する場合、一実施例では、内部ゲートウェイプロトコル(IGP)などルーティングプロトコルを利用して、サブネットワークへの新しいルートが存在することを通知する。常に、より優先順位の低いルートは、低速ネットワークを介して利用可能である。
【0024】
CSPは、モバイル環境が通過することが既知である戦略的な場所に、これらの高速ネットワークを配置する。また、CSPは、高速接続の確立時に、コンテンツが確実にモバイル環境に伝送され得るようにすることができる。これは、本発明の様々な態様に対して多数の方法で達成され得る。
-エッジ位置への十分な接続性+高速接続は、データ転送を適時実行できるように設計され得る。
-データは、エッジ位置に送信されることができ、高速接続の確立時のモバイル環境への更なる転送を待機する。
【0025】
本発明の一実施形態では、Netflix Open Connect Appliance(OCA)など既存のキャッシュは、中心的な場所でCSPによってホスティングされ得る。モバイル環境が、CSPネットワークの1つ以上のエッジにおいて高速接続への接続を確立する場合、別のキャッシュ(例えば、別のNetflix OCA)は、集中キャッシュからのスケジュールされたピアフィルを開始することができる。ピアフィルは、即座にスケジュールされる、又は予測可能である、のいずれかであってよい。
【0026】
本発明の別の実施形態では、以下で「コンデンサ」デバイスと称することがある中間記憶デバイスは、1つ以上のモバイル環境に対して指定されたデータを保持する。ローカルに接続されたモバイル環境は、高速接続の範囲内にあるときにコンデンサからコンテンツをダウンロードするコンテンツ配信ノード(Content Distribution Node、CDN)を含む。
【0027】
以下で論じるように、特定の状況では、モバイル環境内のCDNノードは、コンデンサにコンテンツをアップロードする。例えば、リモートの場所に構成された特定のコンデンサには、CSPネットワークへの高速リンクがない場合がある。そのような場合、多数のCDNノードを有するモバイル環境が範囲内(例えば、クルーズ船)に入ると、コンデンサは、これらのCDNノードから可能な限り大量のデータを取得し、その後、当該コンテンツをモバイル環境のCDNノードに提供することができる。これにより、モバイル環境は、CSPの機構としてそのネットワーク全体にコンテンツを容易に配信することができ、これは、送信に数日又は数週間を要する大型データセットの場合に特に有益である。
【0028】
一実施例では、CDNノードは、モバイル環境に関連付けられ得る1つ以上のキャッシュタイプを仲介する。例えば、Netflix OCA、Google Global Cache(GGC)、コンテンツプロバイダと連携する透過型キャッシュ、又は所望のコンテンツを表すことが知られているトラフィックを単純に複製する、より伝統的な透過型キャッシュが挙げられる。全ての場合において、CDNノードは、接続性がキャッシュから抽出される、予測可能な方法でローカルコピーをモバイル環境に伝播させることができる。これにより、Netflix及びGoogleなどキャッシュ、並びに他のより柔軟な機構からのスケジュールされたキャッシュフィルが可能になる。
【0029】
CSPネットワークのコンデンサは、静止時に、プールされたコンテンツをホストする。本発明の一実装例では、このコンテンツは、他のパーティ(例えば、Netflix)によって所有されてよく、複製され、配信された場所に対する可視性を必要とする。例えば、Netflixなど特定のコンテンツプロバイダは、コンテンツの全コピーが記憶されている場所を把握することを必要とする。コンデンサによってCDNノードに配信された各コピー、及びキャッシュに配信されたCDNノードは、全ての記憶場所が既知であり、コンテンツプロバイダに報告されるように記録されてよい。更に、一実施形態は、必要に応じてコンテンツをパージする技術(例えば、コンテンツの復号化に使用される暗号鍵を無効化する)技術を提供する。
【0030】
図1Aは、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)152が、列車サービス、航空会社、バスサービス、及び/又はクルーズ/フェリーサービスなど輸送機関のためのインターネットサービスプロバイダとして動作する例示的な実施形態を示す。この実施例では、任意の形態の輸送車両(例えば、船舶、列車、バス、航空機)を表す乗客輸送船舶/車両150は、高速ネットワーク161を介して1つ以上の固定エッジ104に定期的に接続するモバイルエッジ113を備えている。様々な異なるタイプの無線通信機、有線送受信機、プロトコル、サーバなど102、103は、802.11プロトコル(WiFi)及びギガビットイーサネットプロトコルを含む物理的高速接続を形成するために使用されてよい。輸送車両が定置された固定エッジ104に到達する又はそれを通過するとき、異なる技術を使用して接続性が確立されてよい。
【0031】
一例では、キュレートされたキャッシュ155が、固定エッジ104、高速ネットワーク161、及びモバイルエッジ113を介して、モバイル環境内の透過型キャッシュ(TIC)125に直接接続する。一実施形態は、スケジュールされた接続性及び十分な接続性に依存して、キャッシュフィルを完了する。これは、ピアフィルX=Yによって定義される。
【0032】
あるいは、又は加えて、サードパーティキャッシュ157は、固定エッジ104、高速ネットワーク161、及びモバイルエッジ113を介して、接続したサードパーティキャッシュ115とピアリングする。この場合もやはり、一実施形態は、スケジュールされた接続性及び十分な接続性に依存して、ピアリングされたキャッシュフィルを完了する。これは、ピアフィルX=Yによって定義される。
【0033】
図1Bは、接続性が、コンデンサ510(固定の場所にある)及びCDNノード111(モバイル環境内)の両方で増加する例示的な実施形態を示す。図示の実施例では、これらのデバイスは、各デバイス内のデータをプールすることによって、高速ネットワーク161の一時的性質を管理する。一実施形態では、高速ネットワーク161は、(例えば、固定コア159を介して)コンデンサ510をCSPネットワーク152に接続するネットワークよりも著しく高速であってよい。コンデンサにおいてキャッシュデータを記憶することにより、高速ネットワーク161で利用可能な最大速度を達成されることができ、複数のモバイル環境150は、同一コンデンサ510から同時に及び/又は連続的に更新されることができる。
【0034】
例えば、一例では、キュレートされたキャッシュ155は、そのコンテンツを複数の場所にある1つ以上のコンデンサ510に送信する。次いで、モバイル環境150が特定の固定エッジ151に接近すると、物理高速ネットワーク161は、固定エッジ104及びモバイルエッジ113の制御下で確立される。CDNノード111は、コンデンサ510との接続性を確立し、次いで、コンデンサ510に現在記憶されているコンテンツをダウンロードする。この実施形態におけるCDNノード111は、増分ダウンロードの管理を担当する。例えば、モバイル環境150は、ある期間にわたって2つ以上の固定エッジ151において中断してよい。各中断は、データの部分転送を容易にするだけであってよい。CDNノード111への完全転送が完了すると、TIC610は、CDNノード111から連続的なピアフィルを受ける。これは、ピアフィルX=ΔYという式によって定義され得る。
【0035】
一例では、サードパーティキャッシュ157は、複数の場所にある1つ以上のコンデンサ510対して、そのコンテンツのピアフィルを行う。次いで、モバイル環境150が特定の固定エッジ151に接近すると、物理高速ネットワーク161は、固定エッジ104及びモバイルエッジ113の制御下で確立される。CDNノード111は、コンデンサ510との接続性を確立し、次いで、コンデンサ510に記憶されているキャッシュされたコンテンツをダウンロードする。CDNノード111は、増分ダウンロードの管理を担当する(例えば、有していないコンテンツを識別し、コンデンサ510から当該コンテンツを要求する)。例えば、モバイル環境150は、ある期間にわたって2つ以上の固定エッジ151において中断してよい。各中断は、データの部分転送を容易にするだけであってよい。CDNノード111への完全転送が完了すると、サードパーティキャッシュ115は、CDNノード111から連続的なピアフィルを受ける。ここでも、これは、ピアフィルX=ΔYとして定義され得る。
【0036】
一実施例は、キュレートされたキャッシュ155又はその一部は、高優先度とみなされる。この高優先度キャッシュ又はキャッシュの一部は、本明細書においてトレンドキャッシュ205と称する。一実施形態では、高速リンク161が利用不可能であるとき、トレンドキャッシュ205からのキャッシュフィルが低速ネットワーク160を介して行われる。例として、トレンドキャッシュ205内のデータは、CSPによって判定された、最も人気の高い/要求回数の多いデータであってよい。この実施例では、トレンドキャッシュ205が低速ネットワーク160を介してモバイルエッジ113へ、そしてCDNノード111までルーティングされることが、固定コア159によって許可され得る。上述したように、低速ネットワークは、衛星、セルラー(例えば、LTE)、又は長距離WiFiなどモバイル無線技術を含んでよい。そこから、TIC610及び/又はサードパーティキャッシュに対するピアフィルX=Yが完了する。
【0037】
前述のように、場合によっては、コンデンサ510は、固定コア159への高速接続を有しないことがある。この場合、接続されたCDNノード111は、モバイルエッジ113、高速ネットワーク161、及び固定エッジ104を介して、特定のキャッシュコンテンツをコンデンサにアップロードするように求められ得る。一実施形態では、これは、CDNノード111に記憶されているが、コンデンサには記憶されていないキャッシュコンテンツを識別するメッセージを交換する、コンデンサ及びCDNノードによって達成される。次いで、コンデンサは、CDNノード111からのそのようなコンテンツを、潜在的にはコンテンツの各アイテムに関連する人気、つまり「最も頻繁に要求された」値に基づいて優先順位付けされた順序で要求してよい。この実施例では、モバイル環境150は、固定エッジ151用の配信ネットワークとなり、逆もまた同様である。
【0038】
一実施形態では、モバイル環境150は、CSP152のアドレス指定可能な拡張である。モバイル環境150が遭遇する、確立された高速ネットワーク161ごとに、ネットワーク接続性を確保することによって到達可能性を達成する必要がある。固定コア159は、低速ネットワーク160へ、又は固定エッジ104及び高速ネットワーク161までのいずれかのポリシールーティングを提供する。高速ネットワーク161が確立された場合、モバイルエッジ113は、接続され、アクセス可能である固定コア159に戻って通信する。一実施形態では、これは、固定コア159に直接関連付けられたルータ200に対する内部ゲートウェイプロトコル(IGP)更新を発行するネットワークルータ201によって達成される。例えば、モバイル環境のルータ201は、ルータ200がルータ201への接続の確立に使用することができるTCP/IPデータ(例えば、新しいTCP/IPアドレス)をルータ200に提供することができる。
【0039】
図2に示すように、コンテンツサービスプロバイダ152は、大規模なIPアドレスプール202を割り当てられ得、その一部は、様々なモバイル環境150(例えば、列車、船舶、バス、飛行機)に割り当てられてよい。上述したように、これは、モバイル環境150ごとに異なるサブネットワークを定義し、当該サブネットワーク内のIPアドレスの全てをモバイル環境に割り当てることによって達成され得る。
【0040】
一実施形態では、ボーダーゲートウェイプロトコル(Border Gateway Protocol、BGP)を使用して、異なるネットワーク構成要素間でルーティング及び到達可能情報を交換してよい。例えば、
図2では、BGPピアリング接続203は、モバイル環境150内のIPアドレスに関する位置情報を要求するコンテンツプロバイダ(例えば、Netflix、Google、Amazonなど)とIPアドレス及び位置を共有するために使用される。
【0041】
図3は、第1の高速ネットワーク161から第2の高速ネットワーク311へと移動しているときであっても、モバイル環境150内のIPアドレスが、CSP152へのルーティング可能な接続を確立する方法を強調する。具体的には、IGPルータ302は、高速ネットワーク311が確立されたことを認識し、そのローカルサブネットワーク情報を、CSPネットワーク152内のIGPルータ301に伝搬する。CSP152は、更新されたIGPルータ301を使用して、モバイル環境150にパケットをルーティングしてよい。なお、高速ネットワーク311の確立前(例えば、モバイル環境150の移動中)、IPアドレスは、依然として低速ネットワーク160を介してルーティングされ得ることに留意されたい。
【0042】
図4は、この環境におけるコンテンツキャッシュ管理の例を示す。この例では、特定のサードパーティキャッシュ410がモバイル環境150内に配置され、CSPサブネットワークの一部である(すなわち、CSPによって割り当てられたIPアドレス範囲を有する)。一実施形態では、CSP152は、BGPピアリングリンク203を介してサードパーティのコンテンツプロバイダ401に戻って、サードパーティキャッシュに近接したサブネットワークアドレスの範囲を識別する。CSP152はまた、CSP152内にサードパーティキャッシュ402を配置して、ISPキャッシュ402として動作する。この実施形態では、サードパーティコンテンツプロバイダ401からの全ての更新は、CSPネットワークゲートウェイを介して、ISPキャッシュ402に対して直接行われる。次いで、サードパーティのモバイルキャッシュ410は、スケジュールされた又はスケジュールされていないピアフィルなどイベントの際に、高速ネットワーク161を介してISPキャッシュ402から更新される。
【0043】
一実施形態では、モバイル環境150内のユーザデバイスからのコンテンツへのアクセス要求は、最初に、低速度ネットワーク160を介してコンテンツプロバイダ401にルーティングされてよい。上述のように、コンテンツプロバイダ401にネットワーク接続情報を提供するBGPピアリング接続203の結果として、コンテンツプロバイダ410は、ユーザデバイスをモバイルキャッシュ410に(要求されたコンテンツのコピーを含むと仮定して)リダイレクトする。コンテンツプロバイダによるリダイレクトはまた、ユーザがコンテンツプロバイダ401で認証されて、要求したコンテンツをレンダリングする許可を受けることを必要とする。一実施形態では、コンテンツプロバイダ401は、認証に続いてユーザの場所の検索を実行し(例えば、BGPピアリングデータを用いて)、ユーザのIPアドレスと(同一サブネットワーク内にある)モバイルキャッシュ410との関連付けを参照する。次いで、後続の通信は、モバイルキャッシュ410にダイレクトされてよい。
【0044】
図5は、コンデンサ510及びCDNノード520を含む一実施形態(例えば、
図1Bに関して一般に説明したように動作する)の更なる詳細を示す。図示の実施例では、コンテンツプロバイダ401のネットワークフィルは、1つ以上のISPキャッシュ402に対してプッシュされる。次いで、ISPキャッシュ402は、固定エッジ104において、スケジュールされたピアフィルを各コンデンサ510に対して実行する。高速ネットワーク161が特定の場所(例えば、列車/空港/バス/船舶ターミナル)で確立されると、コンデンサ510は、CDNノード520との接続を形成し、高速リンク161を介してCDNノード520にコンテンツを提供する。上述したように、コンデンサ510は、CDNノード520に、利用可能なコンテンツのリストを送信してよく、CDNノード520は、このリストをその既存のコンテンツと比較してよい。次いで、現在ローカルにキャッシングされていないコンテンツの全て(又はサブセット)を要求してよい。あるいは、CDNノード520は、そのコンテンツのリストをコンデンサに送信してよく、コンデンサは、フィルタリング動作を実行して、CDNノード520に必要なコンテンツを識別してよい。いずれの場合でも、CDNノード520に必要とされるコンテンツのリストは、人気、コンテンツサイズなど変数に基づいて優先順位が決定されてよい。これにより、モバイル環境150内で必要とされる可能性が最も高いコンテンツが、コンデンサ510からCDNノード520に確実に転送されるようにする(すなわち、高速ネットワーク161が限られた時間だけ利用可能である場合)。
【0045】
更に、上述したように、コンデンサ510がISPキャッシュ402及び/又はコンテンツプロバイダ401に戻る相対的に低帯域幅のリンクを有する場合(例えば、コンデンサがリモートの場所にある場合)、リバースフィル動作を実行してよい。そのような場合、例えば、クルーズ船舶上のCDNノード520がコンデンサ510と高速接続を形成する場合、接続期間中にリバースフィル動作を実行して、コンデンサにコンテンツを提供してよい。次いで、コンデンサ510は、他のモバイル環境150の他のCDNノードにこのコンテンツを提供してよい。
【0046】
図6は、透過型キャッシュ610を利用する別の実施形態を示す。透過型キャッシュ610の1つの利点は、複数の異なるコンテンツプロバイダ401、601からの複数のキャッシュの複合体として構成され得ることである。追加のコンテンツプロバイダ601は、コンテンツプロバイダ401について上述した方法と同一の方法でシステムと相互作用してよい(例えば、ISPキャッシュ602上でネットワークフィル動作を実行する)。この実施形態は、モバイル環境150が、完全なサードパーティ/コンテンツプロバイダキャッシュを保証する、しかるべきサイズではない市場に関する問題に対処する。例えば、NetflixからのOCAキャッシュは80Gbpsものストリーミングトラフィックをサポートするが、これは、バス又は飛行機環境にとって過剰である。更に、Netflixなどコンテンツプロバイダは、ユーザが100又は更には500人を下回るモバイル環境にそのようなデバイスを配置しないことがある。
【0047】
ISPキャッシュ402、602のコンテンツが信頼され、透過型キャッシュ(TIC)610にホスティングされ得る実施形態では、TIC610は、ISPキャッシュ402、602の完全な表現を有してよい。「承認されたピアフィル」とは、ISPキャッシュ402、602がそのコンテンツをTIC610と共有する能力を指す。コンデンサ510、高速ネットワーク161、及びCDNノード520は上述のように動作して、コンテンツを配信する。この実施形態のTIC610は、傍受されるべき要求をより容易に識別する。例えば、モバイル環境150内のユーザがサードパーティコンテンツプロバイダ401、601(例えば、Netflix)からのコンテンツを要求すると、インターネット200を介してコンテンツプロバイダ401、601に対する要求が行われる。コンテンツプロバイダは、モバイル環境150内に物理的に位置するコンテンツではなく、そのISPキャッシュ402、602への参照をそれぞれ返す。この実施形態では、モバイル環境150内のIPアドレスは区別されない。BGPピアリング接続203は、コンテンツプロバイダ401、601を含むCSP152の全てのアドレスをインターネットに通知する。更に、最も近いキャッシュは、ISPキャッシュ402、602である。したがって、ユーザデバイスは、ISPキャッシュ402、602への接続を試み、透過型キャッシュ610はこの宛先アドレスのみを知る必要があり、この要求を安全に傍受し、リダイレクトし、コンテンツのローカルコピーからサービスを提供することができる。
【0048】
図7に示す実施形態では、キュレートされたCSPキャッシュ710は、キャッシュフィルポリシーに従って、複数のコンテンツプロバイダ401、601からのデータを記憶する。キャッシュは、特定のルールセット/ポリシーセットが使用されて記憶するコンテンツを決定する程度までキュレートされる。例えば、キャッシングの決定を下すために、キャッシュミスデータ、人気データなどデータ702が、現場に配置された透過型キャッシュ610のそれぞれから収集されてよい。加えて、データ701は、インターネット上の戦略的なネットワークの場所に構成され、ユーザ動向を観察するように設計されたハニーポットから収集されてよい。他の変数は、顧客要求(例えば、コンテンツの特定アイテムをキャッシュするという、コンテンツプロバイダ410、610からの要求)を含むが、これらに限定されないキャッシングポリシーに因子分解されてよい。
【0049】
図8は、システムの特定の態様を強調している。これまでの図に示した一部の要素は、強調する特徴を不明瞭にしないために示されないことに留意されたい。この実施形態では、CSP152によって管理されるキャッシュ集中管理コントローラ850は、コンテンツプロバイダ401、601のそれぞれから(例えば、キャッシュミス変数、コンテンツプロバイダの優先設定、及び/又は上述の他の変数に基づいて)記憶する特定のコンテンツに関する決定を下す。加えて、キャッシュ管理コントローラ850は、指定のキャッシュ管理ポリシー870に基づいて、コンデンサ510のそれぞれに対してコンテンツをフィルする時期及び方法を決定する。例えば、キャッシュ管理ポリシー870は、ローカルキャッシュ815がフィルされる特定の速度、及び/又はローカルキャッシュフィルが行われる特定の期間(例えば、帯域幅が利用可能である真夜中)を示してよい。キャッシュフィルポリシー870は、ユーザ要求及び/又はコンテンツプロバイダ401、601(例えば、Netflix)からのフィードバックによって指定されてよい。例えば、特定のビデオがユーザによって頻繁に視聴されている場合、キャッシュフィルポリシー870は、キャッシュ管理コントローラ850がこの特定のビデオで全てのローカルキャッシュ115、175をフィルするべきであると指定してよい。
【0050】
一実施形態では、1つ以上のコンテンツプロバイダキャッシュ140、160は、指定コンテンツで1つ以上のCSPキャッシュ710を定期的に(例えば、毎晩)フィルする。これは、例えば、最も人気の高いマルチメディアコンテンツ(例えば、最も人気の高い映画及びTV番組)について行われてよい。次いで、キャッシュ管理コントローラ850は、対応するローカルキャッシュマネージャ812との通信を介して、様々なコンデンサ510においてローカルキャッシュ815をフィルする。一実施形態では、各ローカルキャッシュマネージャ812は、異なる輸送船舶/車両820のTIC管理者822との通信を確立するために、独自のローカルキャッシュポリシー870を実施して、コンテンツでそれぞれのTIC825をフィルしてよい。一実施形態では、インターフェース828、818は、輸送船舶/車両820がコンデンサ510に到着する、又はこれを通過するとすぐに最大能力(例えば、30GB/s、100GB/sなど)で動作する高速有線又は無線リンク(高速ネットワーク161に関して上述したように)を含む。例として、限定するものではないが、コンデンサ510が構成されている、定置されたコンテンツ配信場所は、鉄道の駅、バスターミナル、クルーズ船の港/ターミナル、又は空港ターミナル/ゲートである。加えて、本明細書に記載の特定の実施形態では、コンデンサ510は、様々な輸送船舶/車両820が通るであろう既知の経路に沿った場所に戦略的に位置付けられる。
【0051】
一実施形態では、乗客輸送船舶/車両820上のユーザデバイス823は、最初に、乗客輸送船舶/車両820上(例えば、飛行機上、列車上など)の接続マネージャ823とのローカル無線接続を確立する。接続されると、ユーザデバイス823は、例えば、Netflixにログインし、特定の映画のストリームを試みることによって、コンテンツプロバイダ401、601からのコンテンツを要求してよい。インターネット200を介した接続が利用可能である場合、コンテンツプロバイダ401、601は、要求を受信し、ユーザデバイス823を、コンテンツサービスプロバイダ152のコンテンツ配信ネットワーク内で動作していると識別し(例えば、ユーザデバイス823に割り当てられた動的ネットワークアドレスに基づいてこのことを識別し)、リダイレクトメッセージを送信して、CSPキャッシュ710(例えば、Netflix OCAキャッシュ)に接続するようにユーザデバイス823に指示する。CSPキャッシュ710からコンテンツへのアクセスを試みると、接続マネージャ823及び/又はTICマネージャ822は、要求されたコンテンツがTIC810内でローカルにキャッシュされていると判定し、要求をTIC810にリダイレクトしてよい。
【0052】
次いで、ユーザデバイス823は、接続マネージャ823(例えば、ローカルWiFi接続)によって提供されるローカル無線接続を介して、TIC810からコンテンツをストリームする。したがって、乗客輸送船舶/車両820がインターネット200の範囲外であっても(例えば、海上のクルーズ船、山間部を通過して移動する列車など)、ユーザデバイス823は、許可を受けたコンテンツにローカルに依然としてアクセスすることができる。あるいは、インターネット接続200が利用可能である場合、最初のユーザ要求及び/又はユーザ認証のみがこのリンクを介して送信され得るが(相対的に低帯域幅のトランザクション)、コンテンツはローカルTIC810からストリームされる。
【0053】
なお、上記のTIC610は、TICマネージャ822、物理TICキャッシュ810、潜在的には接続マネージャ823及び高速インターフェース828も含む、
図8に示す構成要素のいずれか又は全てを含み得ることに留意されたい。
【0054】
図9は、異なるタイプの輸送船舶/車両内に構成された複数のTIC610が、高速ネットワークリンク161を介して複数のコンデンサ510から定期的に更新される構成を示す。上述したように、コンテンツサービスプロバイダ152は、キャッシュフィルポリシー870に従って、コンデンサ510のそれぞれにおいてキャッシュをフィルする。例えば、キャッシュ管理コントローラ850は、コンテンツプロバイダから及び/又は個別のTIC610から受信したコンテンツ利用データに応じて、コンテンツを配信してよい。この実施形態では、TIC610は、コンテンツの利用を終日監視し、利用統計をキャッシュ管理コントローラ850に報告してよい。キャッシュ管理コントローラ850は、次いで、個々のコンデンサの場所及び/又は個々のTICのためにコンテンツを一意に調整してよい。
【0055】
上述したように、コンテンツサービスプロバイダ152は、顧客及び/又は特定産業のために、多数の戦略的な場所に高速ネットワーク及びコンデンサ510を配置してよい。コンデンサ510のそれぞれは、上述のように、キャッシュ配信ネットワークを介して、キャッシュ集中管理コントローラ850から更新される。関連するコンデンサ510の全てが一貫性のあるデータを有し、したがって、各船舶/車両820が、接続時にはいつでも一貫してデータを要求可能であることが重要である。
【0056】
一実施形態では、上記の様々なTIC構成要素は、プログラムコード及びデータを記憶するためのメモリと、プログラムコードを実行し、データを処理するためのプロセッサと、1つ以上のハードドライブセットなどTIC記憶装置を実行するための大量記憶デバイスと、を備えたネットワークアプライアンスとして輸送船舶/車両820に配置される。1つ以上の他のネットワークインターフェースも含まれ、船舶/車両820の移動中に使用されてよい(例えば、衛星サービス、セルラーサービス、長距離WiFiなど)。アプライアンスは、様々な形状、サイズ、及び能力を有してよい。全てのアプライアンスのために共通のキャッシュデータベースを有することが目的であるため、記憶性能は配置ごとに著しく異なってよい(例えば、50ストリーミングセッションでは、30TBの記憶アレイ当たり$1000は十分であり得るが、1000ストリーミングセッションでは、$10,000/30TBの記憶アレイが必要であり得る)。
【0057】
一実施形態では、アプライアンスは、単一又は複数の物理的構成要素内に配置されてよい。ある極端な例では、アプライアンスは単一のサーバであり、別の例では、アプライアンスはサーバのラックである。これは、TICのコア機能が、a)管理機能、b)キャッシュ記憶管理、c)パケット傍受/パケットフローのリダイレクト、及びd)クライアントからのビデオ要求に対する(リダイレクトを介した)サービスの提供として区別され得るためである。その結果、機能全体が単一のサーバ内に含まれ得る、又は機能ごとに1つ以上のサーバによって区別/縮小拡大することができる。本発明の基本原理は、任意の特定の構成に限定されるものではない。
【0058】
図10は、TIC610の接続マネージャ823を介した例示的なトランザクションの概要を提供する。無作為検出ターミナルアクセスポイント(terminal access point、TAP)1010は、ネットワーク上のパケット/フローを監視し、いくつかの分析後、キャッシュ内での肯定的な検索がリダイレクトをトリガする(1003)。次いで、クライアントは、ローカルTIC610からのコンテンツを提供する、ローカルのリダイレクトhttpサーバ1020からのコンテンツを再度要求する。一実施形態では、接続マネージャ823は、インターフェース828を介して帯域外の高速の接続性を監視し、次いで、いつでもどこでも可能な場合には、キャッシュの更新をダウンロードする。
【0059】
TICの1つの要件は、管理サービスの一部であることである。理想的には、顧客は単純にTICをプラグインし、オンにする。その結果、システムの一実施形態は、集中管理構成要素895を介して全ての動作要素に自立的に対処する。例えば、インストールのたびに、新たなインストールのための多数のプロビジョニング機能を提供する、集中管理構成要素895に接続してよい。一実施形態では、管理構成要素895はLinuxコマンドラインを使用し、必要に応じて更なるサービスが呼び出され、追加される。
【0060】
集中管理構成要素895のいくつかの例示的な機能としては、ソフトウェアアップデート、ネットワーク動作ユーザ及び/又は顧客への通知、CPU、メモリ、記憶装置、及びネットワーク利用に関する報告機能を含む状況監視、並びに、ストリーム中のデバイスの数及びLANの実行方法を(例えば、ボトルネックを特定するために)判定するLAN管理ツールが挙げられる。
【0061】
図10を再び参照すると、無作為検出TAP1010の一実施形態は、無作為検出モードで実行しているイーサネットポートを使用する。この実施形態では、全トラフィックが横断する、イーサネットLANセグメントへのアクセスが提供される。無作為検出TAP1010は、全トラフィックをリッスンするが、関連するウェブ要求に関連付けられていないトラフィックは透過する。
【0062】
一実施形態では、無作為検出TAP1010は、パケットを管理するためのデータプレーン開発キット(Data Plane Development Kit、DPDK)ライブラリを使用して、フロー、タイムスタンプを区別し、パケット順を維持する5-Tuple Hashなど機能を実行し、ハードウェア支援をサポートする。この実施形態では、無作為検出ポートから読み出されたパケットは、分類され、タイムスタンプされ、ドロップされるか、又は処理するためにFIFO内でスケジュールされる。マルチスレッドアーキテクチャが用いられてよい。
【0063】
一実施形態では、ハッシュ化されたストリームが特定されると、URIが抽出され、TICデータベースに対してチェックされる。一致する場合、ストリームのソース地点及び宛先地点の両方がFINパケットを用いてリセットされる。しかし、最初に、要求のソースには、アプライアンスにリダイレクトされるHTTP1003が送信される。負荷バランスも実行されてよい。リダイレクトは、例えば、ラウンドロビン負荷バランスを実施してよく、又は単一のインターフェースは、負荷分散装置によって管理されてよく、その背後では、複数のサーバが負荷分散される。
【0064】
一実施例では、効率的な「キャッシュ情報ベース」(Cache Information Base、CIB)は、実際のTICデータベースをミラーリングして維持されて、要求されたエントリがローカルに存在するかどうかを効率的に判定することができる。TICがアプライアンスにロードされると、様々な機能が、コンテンツを素早く検索する必要がある。一実施形態では、アプライアンスを宛先とするパケット(例えば、管理及びリダイレクトされたキャッシュヒット)は、管理機能又はTICに転送される。これらは、本質的に、無作為検出TAP1010によって無視される。
【0065】
無線技術が高速リンク161に使用されると仮定すると、80Ghz帯域を有する標準的なMIMO実装は655Mbpsを達成する。4XMIMOは、2.4Gbpsを達成し得る。24Ghz及び60Ghz無線装置も考慮され得る。製品は、24Ghzスペクトルにおいて2.4Gbps、60Ghz帯域において6~10Gbpsの無線装置で存在する。全ての場合において、リンクアグリゲーションを使用して、複数の無線接続を集約して(GPS同期、周波数間隔、及び信号分離を活用する)、この数を増加させてよい。考えられるところでは、これは、10~50Gbpsの範囲内のスループットを提供することができる。
【0066】
図11に示すように、一実施形態では、鉄道の駅、空港ターミナル、バス発着所、又はクルーズ船のターミナルなどの定置された各コンテンツ配信場所は、駅/ターミナルに入る船舶/車両に位置合わせされた複数のアンテナ1101~1105を有する。1つ以上のコンデンサ815は、LAGスイッチを介して複数のアンテナ1101~1105に接続される。複数のアンテナは、複数のリンクを介してローカルコンデンサ815からコンテンツを同時に送信し、潜在的には1つの無線リンクのN倍のビットレートを達成する(Nはアンテナの数である)。
【0067】
列車の実施例を
図11示すが、同様の構成は、船舶、平面、及びバスのために構成されてよい。特定の実施例は、同一の接続性アグリゲーション(例えば、1つの無線接続のみをサポートする)を達成することができない場合がある。それでもなお、単一アンテナソリューションに対して2.5Gb/sが達成されてよく、これは、船舶/車両が十分な期間にわたってこの場所に停止する場合には十分であるべきである。いずれの場合も、TICに対する部分的な更新は、車両/船舶が(例えば、各鉄道の駅において)別のコンデンサの近くに停止するか、又はそれを通過するごとに発生し得る。
【0068】
図12に示すように、一実施形態は、コンデンサ1201~1203にプッシュされるコンテンツのリポジトリである、1つ以上の配信ゲートウェイ1200~1203を含む。各配信ゲートウェイ(DG)1200は、局所的に配置されてよい(例えば、西海岸、東海岸、中西部など)。コンデンサ1201~1203が初期化されると、それに最も近いDG(例えば、カリフォルニア州に位置する場合は西DG)への登録を試みる。これらの局所的DGは、DNSスコーピングを介して識別されてよい(例えば、コンデンサ1201は、近接しているためにVancouverベースのDG対New York DGに接続してよい)。
【0069】
一実施例では、DGは単に、CloudFront又はAkamaiのAPIなどCDNネットワークに対するAPIであってよい。最終的に、各DGには、コンデンサ1201~1203が要求する/プッシュしたCSPキャッシュ710からのデータが提供される。キャッシュデータセットのサイズを考慮すると、マルチキャストなどの効率性を使用して、キャッシュ階層を介してコンテンツをストリームすることができる。
【0070】
一実施形態では、現場の全コンデンサ1201~1203は、DG1200に登録する。一部の交換したデータセットを含める際は、特定のコンデンサ1201~1203への送信を必要とするデータを調べる必要がある。新しいデータがCSPキャッシュ710においてキュレートされると、各DG1200は、その登録されたコンデンサ1201~1203への転送を開始する。これは、プッシュ又はプルトランザクション(又は両方)として実施されてよい。各コンデンサ1201~1203に対するスケジューリング要件は、特定のプッシュ/プル構成において役割を果たし得る。一実施形態では、コンデンサ1201~1203は、新しいコンテンツが利用可能であるときに通知され、次いで、データを要求する必要がある。
【0071】
一実施形態では、各コンデンサ1201~1203は、複数のキャッシュデータセット(又は単一のマスターキャッシュデータセット、これから近似導出された(near derived)データセットが作成され得る)を保持するのに十分な記憶装置を有するサーバである。コンデンサ1201~1203の主な目的は、高速ネットワークエッジにおいて可能な限り多くのデータを有することである。これは、単一又は同時CDNノード1220~1230(及び/又はTIC)からの要求を受信してよく、利用可能なパイプをフィルすることができる。
【0072】
CDNノード1220~1230(及び/又はTIC)がコンデンサ1201~1203に接続すると、CDNノードは自身を識別し、旅程の最新の更新を要求する。CDNノードは、例えば、車両/船舶、顧客IDなどに基づいて、自身を識別してよい。これに基づいて、コンデンサ1201~1203は、デバイスに固有の適切な旅程を用いて、CDNノード1220~1230にサービスを提供する。次いで、CDNノードは、旅程を評価し、この旅程を現在ダウンロードしているもの、及び依然としてダウンロードする必要があるものと比較する。次いで、コンデンサ1201~1203からの特定の要素を要求する。
【0073】
一実施形態では、コンデンサ1201~1203は、少なくとも10Gbps、ただし好ましくは50Gbpsの読み出し速度を有する、少なくとも30TBの記憶装置を含む。インターネットインターフェースは、最小で1Gbpsの接続であるが、実際のインターネット接続は、少なくとも100Mbpsであるべきである。高速ネットワークインターフェースは、少なくとも10Gbpsだが、好ましくは40Gbps(4×10Gbps又は1×40Gbps)である必要がある。これらのインターフェースは、上記の単一のリンク集約された高速リンク又はそのアレイに接続する。加えて、コンデンサ1201~1203は、管理目的で集中管理構成要素895に戻る接続を開始してよい。一実施形態では、集中管理構成要素895は、運用、管理、保守、及びプロビジョニング(operations, administration, maintenance, and provisioning、OAMP)機能をサポートする。
【0074】
一実施形態では、各コンデンサ1201~1203は、そのインベントリアセット、プロビジョニング場所などを宣言し、コンデンサ1201~1203に近接し得る、全ての期待される顧客及び/又は対応するCDNノードの識別情報を要求してよい。例えば、一実施形態では、集中管理構成要素895は、全てのCDNノード/TIC及び関連する顧客、並びにこれらのCDNノード/TIC/顧客と1つ以上のコンデンサ1201~1203との関連性を識別するアカウントデータベース1240を維持する。
【0075】
一実施形態では、予想外のCDNノード/TICがコンデンサ1201~1203への登録を試みると、CDNノード/TICを承認又は拒否する能力を有する集中管理構成要素895にエラーが報告される。承認される場合、コンデンサ1201~1203は、この動作を記録し、常に受け入れる(例えば、再プロビジョニングは不要である)。
【0076】
コンデンサ1201~1203に近接する全ての既知の顧客/CDNノード/TICに基づいて、コンデンサは、旅程及びキャッシュデータセット(個別又はマスター)の現在のリスト、並びに任意の他の顧客関連情報を要求してよい。コンデンサ1201~1203はまた、更新通知を登録してよく、そのため、集中管理構成要素895及び/又はキュレートされたキャッシュが新しい情報を含む場合、必要に応じて全てのコンデンサ1201~1203にプッシュされ得る。一実施形態では、コンデンサが通知を受信すると、指定された時間(例えば、2am)まで動作しないように、スケジューリングも採用されてよい。一実施形態では、プロキシデバイスが、CDNノード/TICの存在を模倣し、コンデンサ1201~1203が標準的な動作モードで接続されているかのようにコンデンサを調整するように構成されてよい。
【0077】
コンデンサ1201~1203は、高速ネットワークからの登録要求(例えば、到着する船舶、バス、列車、又は飛行機のため)を待機する。要求が受信され、認証されると、リモートのCDNノード/TICに対してダウンロードサービスが開始されて、新しいコンテンツをダウンロードする。本質的には、一度許可されると、ダウンロードは、FTPサービスと同様の方法で実施され得る。キャッシュデータセットの構造は、タプルセット及びタプルセットのブロックとみなされるべきである。CDNノード/TICは、他の場所で受信した内容を把握しており、ダウンロードセッション間の連続性を維持する責任を負う。この実施例におけるコンデンサ1201~1203は、単に、CDNノード/TICが利用可能なタプルセットを作製することを担当し得る。
【0078】
コンデンサ1201~1203は、一度に2つ以上のTICを処理できるべきである。明確に異なるコンデンサ構成は、同時ダウンロードセッションの観点で異なる制約を有する。主な制約は、利用可能なネットワーク容量である。多数のCDNノード/TICが同時要求を行い得るシナリオでは、単一のストレージアレイ及び高容量スイッチに全て接続されたサーバのラックが用いられてよく、各サーバは2つ又は3つのダウンロードセッションをサポートする。全体として、ラックは、数百ものセッションを処理することができる。
本発明の異なる実施形態で使用される追加実施例の詳細
【0079】
一実施形態では、ポイントツーポイント/マルチポイント高速ネットワークが使用される。車両/船舶は、ポイントツーポイント無線装置、又はマルチポイント無線装置に接続してよい。これらの重要な相違点は、2地点間で大型データセットが送信されることである。2つ以上の車両/船舶が同一アクセスポイントに接続する場合、単に総スループットが減少する。上記の例と同様に、最高転送速度は、10TBに対して約10時間である。これは、2回の同時転送で2倍になる。
【0080】
一実施形態では、無線装置は、最初に周知のSSID及びWPA2/PSKに基づいて接続する。車両/船舶ステーションが範囲内になると、無線リンクが確立される。一実施形態では、車両/船舶ステーションは、DHCPクライアントとして構成される。アクセスポイント又はアクセスポイントの背後のコンデンサは、DHCPサーバを提供する。サーバ内では、共通DNSエントリが構成される。例えば、「capacitor.netskrt.io」は、ローカルIPアドレスに解決される。
【0081】
一実施形態では、CDNノード/TIC610は、高速リンクの状態とは無関係にコンデンサ510を常時ポーリングしてよい(例えば、特定ポート上のコンデンサ510をポーリングすることができる場合、したがって接続されている必要がある)、又はTICは、局無線装置に対してAPI呼び出しを行って、リンクが存在するかどうか/いつリンクが存在するかを判定することができる。後者のソリューションの利点は、多様な理由に結び付けられ得る、より決定的な挙動対タイムアウトである。この欠点は、変化する技術に対処するために、ハードウェア抽象化レイヤーが必要とされ得ることである。コンデンサ510への接続が確立されると、TIC610は、上記のキャッシュ更新処理を続行する。当然ながら、本発明の基本原理は、コンデンサとTICとの間の接続が行われる特定の方法に限定されない。
【0082】
ポイントツーポイントアレイ高速ネットワークは、(
図5に関して上述したように)船舶/車両とコンデンサ510が存在するターミナルとの間にリンク集約される無線接続のアレイのために存在する。このアプローチの利点は、10又は20の高速接続が確立され得ることである。各接続が2.5Gbpsを達成するのであれば、これは25~50Gbps高速リンクを生成する。理論的な観点からは、アレイ内の要素の数に応じて、10TBキャッシュデータセット725は約30~60分で、又は30TBキャッシュデータセット725は2~4時間で送信される。
【0083】
このソリューションは、船及び列車などの「長い」船舶/車両で特に良好に機能するであろう。より短い船舶/車両は、無線装置同士を十分に分離させて、無線レベルで互いに干渉しない複数の接続を可能にするようにしない場合がある。
【0084】
アレイの概念は、船舶/車両の側面に配置される、一連の無線装置を必要とする。したがって、一実施形態では、無線装置は、ターミナルにおいて一定間隔で配置される。したがって、列車又は船舶がドックに入ると、対応する各無線装置と垂直方向に整列することになる。30~45度のセクタは、いくらかの遊びを可能にするために適切であり得る(例えば、数十度のずれが理想的であるが、それでも対応する無線の幅によって捕捉され得る)。
【0085】
各無線装置が同一SSIDを有するが、ポイントツーポイント接続のみをサポートする場合、一度接続すると、以降の無線装置は、別の利用可能なSSIDに接続する必要がある。車両/船舶が停められ、次いでその無線装置をオンにする場合、これは良好に機能する。しかしながら、無線装置が接続され、車両/船舶が停止する場合、接続を保持しつつ、準最適な無線装置をもたらし得る。
【0086】
例えば、船舶が無線装置s1、s2、s3、s4、及びs5を有し、船舶が港に入るとき、無線装置s1は、対応する港無線装置p5への接続を確立する。前方に移動すると、この関連性を失い、p4、p3、及びp2に接続する。最後に静止すると、s1にはシフトしない場合があり、結果として、s1-p2、s2-p3、s3-p4、及びs4-p5の準最適な接続をもたらし得る。s5又はp1は接続しない。1つのソリューションは、s1及びp1の両方が、対のSSIDとして「Netskrt-1」を有するように、各無線装置が前もって定められたSSIDメイトで有することである。
【0087】
一実施形態では、管理構成要素895は、コンデンサ510を配置するために使用される。コンデンサ510が起動されると、自身を管理構成要素895に登録し、今度は、管理構成要素895がコンデンサ510をデータベース640に追加し、状況監視を開始する。顧客がポータル741にログインする場合、コンデンサ510の存在及びその現在の状態を確認することになる。
【0088】
更新は、管理構成要素895を介してコンデンサ510にプッシュされてよく、管理構成要素895はまた、様々な能力を提供し、取り付けられた高速ネットワークを監視し、他の標準的なOAMP機能を実行してよい。管理構成要素895は、コンデンサ510に適した全ての既知のキャッシュデータセットを特定する。更に、管理構成要素は、オペレータポータル740及び/又は顧客ポータル741を介して指定され得るコンデンサ510のスケジュールを設定してよい。
【0089】
一実施形態では、管理構成要素895は、新しいCDNノード/TIC610を配置するために使用される。CDNノード/TIC610が起動されると、自身を管理構成要素895に登録し、今度は、管理構成要素895がCDNノード/TIC610をデータベース640に追加し、状況、キャッシュコンテンツ、及び接続状態の監視を開始する。CDNノード/TIC610は、監視モードになるように、又はアクティブキャッシュとしてプロビジョニングされてよい。管理構成要素895は、キャッシュプロビジョニングの更新を適切なコンデンサ510にプッシュすることができ、今度は、範囲内に入ると、ターゲットCDNノード/TIC610上での動作をトリガする。
【0090】
一実施形態では、CDNノード/TIC610は、管理構成要素895に定期的に報告されるGPS位置を有するように構成される。一実施形態では、システムオペレータ及び/又は顧客が、CDNノード/TICの場所を追跡できる。各CDNノード/TIC610はまた、キャッシュヒット、ミス、及び監視状態などデータを含むその動作状態を定期的に報告してよい。これらの更新は、コンデンサ510を介して報告されてよい。
【0091】
新しいキャッシュデータセットは、定期的に生成されてよい。スケジュールされた時点で、各顧客キャッシュの更新は、適切なコンデンサ510に対して予定され、送信される。キャッシュデータセットをパッケージ化するための機構は、現在、各顧客/CDNノード/TICに関連する旅程を有する、単一のマスターキャッシュデータセットであると考えられている。顧客は、ウェブポータルを介してログインし、その旅程に関連付けられた管理ポリシー870を強化することができる。例えば、顧客は、地理的に、言語に、又は配信ストリームに固有のコンテンツを選択してよい。
【0092】
上述したように、トレンドキャッシュは、低速ネットワークリンク上で実施され得る、特別なタイプのプッシュ動作である。このキャッシュは、顧客から、又は他のソース(例えば、コンテンツプロバイダ自体)からのいずれかの仕様に基づいて自動生成される。キャッシュデータセットサイズには、制約が加えられてよい。スケジューリングデータはまた、その配信に必要であり得、顧客ポータルを介して顧客によって設定されることができる。最新のニュースフィードは、適時に配信される必要がある。TICに、又はコンデンサを介して全体にダイレクトされる。
【0093】
一実施形態は、階層的なGUIを有するオペレータポータルを含んで、現在アクティブな全ての顧客を表示する。単一の顧客が選択されると、GUIは、顧客の詳細;顧客固有のコンデンサの総数;当該コンデンサの状況;現在アクティブなキャッシュデータセット;現在接続されている、1時間前、前日、先週などに接続されたCDNノード/TICの数;当該コンデンサのエラーログ;高速ネットワーク、CDNノード/TICなど;コンデンサへのキャッシュデータセットの総転送回数;及びCDNノード/TICへのキャッシュデータセットの転送回数を表示する。階層的に表示され得る追加情報としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
顧客CDNノード/TICの総数
各TICの場所
TICの現在の状態
TICによって生成されたトラフィックの総量
TICによるキャッシュミスの総数
TICによるキャッシュデータセット725の更新回数
キャッシュデータセット725の平均更新時間
TICが訪問したコンデンサ510の数
TICに接続したデバイスの最大数
TICに接続したデバイスの平均数
statisCDNノード/TICに関連する旅程データ
キャッシュデータセット725/旅程の総数
キャッシュデータセット725/旅程に対する使用メトリック。
キャッシュ配信の効率(例えば、1ダウンロードごとに4つのキャッシュデータセット725を送信する)。
他の顧客/CDNノード/TICに対するキャッシュデータセット725の有効性(例えば、データセット3は、この顧客に対して20%のヒット率を有し、一方、他の全ての顧客は、同一データセットに対して60%のヒット率を有する)。
顧客のポータル活動/履歴。顧客による問題が生じた場合、顧客が行った提供要求の履歴を確認できるようにする必要がある。データの場所、内容、時期、タイプ。場合によっては、変更を元に戻す機能を有する。
【0094】
したがって、本発明の実施形態は、予測可能な接続性及び予測不能な接続性など様々なレベルの接続性を有するモバイル環境へのキャッシュの配置を企図する。一実施形態では、システムオペレータは、列車、平面、バス、及び客船などモバイル環境を有する顧客の代わりにISPである。
【0095】
システムの一実施形態は、公開アドレスのサブネットワークを別のモバイル環境(すなわち、別の船舶/車両)に関連付け、BGP(又は他のプロトコル)を使用して、コンテンツプロバイダとピアリングする。システムは、コンテンツプロバイダが、クライアントデバイスをローカルキャッシュにダイレクトすることができるように、異なるサブネットワークを配置されたキャッシュと関連付ける。
【0096】
クライアントデバイスは、ネットワークリンクのいずれかでコンテンツプロバイダに接続し、予測可能な接続性は、時間及び場所によって定義される。高速接続が長期間確立され得る特定の場所において、モバイル環境が確定的な定期的スケジュールで存在する場合、その接続性は予測可能である。
【0097】
システムの一実施形態は、これらのスケジュールされた期間中のコンテンツプロバイダによるキャッシュフィルをスケジュールする。これは、接続速度が、コンテンツプロバイダの要件を満たすように保証され得るためである。図は単一のキュレートされたキャッシュ155を示しているが、一実施形態は、コンテンツプロバイダごとに少なくとも1つのキャッシュを含んでキャッシュフィルを可能にし、ここからピアリングする。一実施形態は、各高速ネットワークへの接続性を提供し、ピアリングに使用されるコンテンツキャッシュへと戻る。
【0098】
したがって、本発明の実施形態はISPの概念を拡張して、他の方法では、a)ISP、及びb)キャッシュフィルに適した接続場所、としての資格を得ないであろうモバイル環境への特別な接続性を含むようにする。これらの実施形態はまた、IPアドレス指定、配信、及びコンテンツプロバイダへの接続性を制御することによって、既存のメカニズムがモバイル環境に局在することを一意に可能にする。加えて、これらの実施形態は、途中での接続性及び静止時の接続性の両方を可能にするために、デュアルホーミング接続を一意に定義して、キャッシュライフサイクルの一意の態様を実現する。
【0099】
上述したように、いくつかの実施形態では、キャッシュはまた、予測不能な接続性を有する、すなわち、時間又は位置の観点から高速接続性が予測不能である、モバイル環境に配置される。例えば、VancouverからAlaskaへと進むクルーズ船は、数日の間に、キャッシュフィルが実施され得るいくつかの港に停泊してよい。場所によって停泊期間が異なり得るため、1回の停泊でキャッシュフィルが完了することは困難である。したがって、キャッシュは、停泊するたびに増分更新されてよく、陸地から船舶への高速リンクの速度が可能な限り高く設定されて、所要時間を最小限に抑える。
【0100】
一実施形態は、コンデンサ及びCDNノードを用いて、高速ネットワークの非確定的性質を管理する。コンデンサは、キャッシュ配信に使用される1つのネットワーク接続と、モバイル環境へのコンテンツの転送に使用される高速接続への1つのネットワーク接続と、を有する記憶設備である。CDNノードはモバイル環境内にあり、高速ネットワークへの1つの接続と、モバイル環境への1つの接続と、を有する。その役割は、1つ以上の場所にわたって、また個別の期間にわたって、1つ以上のコンデンサからキャッシュ更新を完全に受信することである。コンテンツが集約されると、CDNノードは、ローカルキャッシュデバイスを用いて、スケジュールされたキャッシュフィルを実行することができる。ローカルコンテンツキャッシュは、完了するためにモバイル環境が数回停止したにもかかわらず、一貫したスケジュールで動作していると考えている。
【0101】
多くのコンデンサは、多くの場所に配置され、費用対効果のために、より低速のネットワーク接続を介してキャッシュコンテンツを少しずつ供給することができる。したがって、多モバイル環境対多コンデンサの場所という関係が存在する。一時的な接続は、モバイル環境キャッシュの更新を実行する。キャッシュが更新されると、キャッシュのアドレスドメインは、どのキャッシュがどのクライアントのために作用するかをコンテンツプロバイダに通知する。
【0102】
したがって、本発明の実施形態は、ある期間及び空間にわたって接続性を集約することによってキャッシュ配置要件を確定的に満たすことができない環境が、更新要件をローカルモバイル環境にシフトさせることを一意に可能にする。ローカル環境にコンテンツを集約するために定期的サイクル間で十分な接続性イベントを保証することができる場合、ローカルキャッシュは、限定的な接続を有しないことを認識することなく、そのキャッシュフィル要件を満たすことができる。複数のコンテンツプロバイダからの複数のキャッシュは、これらの技術によって満たされ得る。
【0103】
一実施形態は、高度に拡張可能な実施例でコンテンツキャッシュを提供する、CDNノード/TICを配置する。上記の実施例を基にすると、多数のキャッシュを配置することが不経済になり始めることがある。これは、(1)既存のキャッシュが数十Gbpsのストリーミングトラフィックを目標としているため、及び(2)IPアドレス指定が使用されて、エンドユーザデバイスを適切なキャッシュにダイレクトするためである。
【0104】
1つ以上のコンテンツキャッシュのコンテンツを含む透過型キャッシュ(TIC)は、これらの問題に対処することができる。例えば、単一の透過型キャッシュは、上記の高速ネットワーク機構を利用して、複数のコンテンツプロバイダのために最新のキャッシュを保持することができる。更に、ISPモデルでは、単一のアドレス指定可能なキャッシュが識別されて、ユーザのアドレスドメイン全体を処理してよい。例えば、数千のエンドユーザデバイスは、全て、単一のキャッシュ及びBGPを介してコンテンツプロバイダと共有されるロジスティックと関連付けられることができる。ISPとして動作する本明細書に記載のシステムでは、公開されたケースを標的とするトラフィックを傍受する(したがって、要求をローカルに傍受する)、数百の透過型キャッシュを配置してよい。次いで、これらの透過型キャッシュは、既存の機構を超えて十分に拡張する。加えて、ISPは、複数のコンテンツチャネルのために単一の透過型キャッシュを提供するため、複数のコンテンツチャネルにわたって規模の経済が達成され得、ソリューションを実行可能にする。
【0105】
特定のコンテンツチャネルとのピアリングにより、コンテンツ及びセキュリティ証明書が導入される。NetflixがOCAに相当するコンテンツで透過型キャッシュを配置することが許可される場合、報告されたように、コンテンツ配信にTLS暗号化が使用されてよい。結果として、要求を傍受し、傍受した要求を提供するには、Netflixが署名した証明書が必要とされる。Netflixから承認された同一コンテンツが上流のOCAと同様に使用される場合、当該OCAに対する全ての要求は、有効なキャッシュヒットである。既知のOCAに対して開始される各フローは傍受され、続いてデバイスに対する303リダイレクトが行われ、要求をローカルに実現してよい。リダイレクトされた要求は、Netflix証明書によって実行される透過型キャッシュとのTLSセッションを確立し、それによって、そのコンテンツの配信に対する制御レベルをNetflixに提供する。コンテンツプロバイダ(例えば、Netflix)の許可を得て配信された、ローカルに記憶されたコンテンツは、ここでクライアントデバイスに提供されてよい。Netflix又は他のコンテンツ所有者は、コンテンツのアクセス方法が明示制御の範囲外であることを確実に確認するために、多くの構成体を導入することができる。
【0106】
キャッシュデータがある地域でキュレートされ、別の地域に配置される、純粋な透過型キャッシュ環境では、どの要求が集合的に同一であるかを理解する必要がある。例えば、グローバルに配置された6500を超えるOCAキャッシュが存在する。場合によっては、モバイル環境内に存在する各透過型キャッシュは、ある要求がローカルに記憶されたコンテンツセグメントに対するものであるかどうかを確認するために、6500のアドレス指定可能な地点の全てを検討する必要がある。一実施形態は、キャッシュアドレスを得るためにインターネットをクロールし、比較用のアドレスリストを提供する。別の実施形態は、透過型キャッシュの場所(又は透過型キャッシュが存在するモバイル環境)のコンテキスト情報を適用して、検討対象となる可能性の高いOCAキャッシュアドレスを特定する。
【0107】
上記システムの操作者が、明示的に、又はオーバーレイネットワークを介してレコードのISPである場合、ターゲットキャッシュアドレスは、オペレータによって提供されるキャッシュアドレスに絞ることができる。
【0108】
上記の一時高速/常時低速リンクの性質を考慮すると、本発明の一実施形態は、特定コンテンツの緊急性又は重要性を評価し、場合によっては、低速リンクを使用してTICをフィルする。この緊急/重要コンテンツを含むTICの部分は、本明細書において「トレンドキャッシュ」と称する。
【0109】
一実施形態は、ある割合の低速帯域幅をトレンドキャッシュに割り当てて、常に高需要データをトレンドキャッシュにフィルできるようにする。いくつかの例では、低速度帯域幅の全て又はかなりの割合が一時的に割り当てられて、頻繁に要求されている特定のマルチメディアファイルでキャッシュをフィルしてよい。
【0110】
一実施形態は、モバイル環境を使用して、ネットワーク全体にコンテンツを伝搬する。上記の特定の実施形態では、コンデンサは、必ずしも十分な高速接続性を有しない遠隔地に配置されてよい。例えば、100Mbpsリンクがコンデンサに対してリモートポートがサポートできる最大値である場合、30TBのフィルには約28日を要する。対照的に、15Gbpsリンクでは、5時間未満で転送することができる。その結果、一実施形態は、高速リンクを介して一時キャッシュからコンテンツをダウンロードすることが可能なときにはいつでも、通過する船舶/車両と高速接続を確立する。例えば、コンデンサは、別の港へと1日をかけて移動する船舶上の一時キャッシュからコンテンツを取得してよい。次いで、逆方向に移動する別の船舶上の一時的なキャッシュは、リモートコンデンサからより早く更新することができる。
【0111】
したがって、コンデンサは、2つの動作モードを含む。コンデンサは常に広帯域接続を有するが、<1Gはメンテナンス接続であり、>=1Gはキャッシュフィル接続であろう。メンテナンス接続のみが存在する場合、コンデンサはWANを介してフィルされる。キャッシュフィル接続が存在する場合、コンデンサは、WANを介して完全にフィルされることはない。
【0112】
コンデンサの一実施形態は、現在記憶されているデータよりも最新であるデータのみを通過する船舶/車両から取得する。例えば、コンデンサが画像Aのみを必要とする場合、通過する船舶/車両から画像Aのみを取得する。対照的に、船舶/車両上の一時キャッシュは、画像B及び画像Cの古いコピーを有することがあり、その場合には、コンデンサからこれらの画像を取得する。
【0113】
例えば、メンテナンス接続は、現在のキャッシュデータセットに関するメタデータを配信するために使用されてよい。画像A、B、Cは最新とみなされ、コンデンサはこれらの画像を有する必要がある。CDNノードがローカル高速ネットワークと接続するとき、以下のプロトコルが呼び出され得る。
CDNノード-A、B、又はCを有するか?
ダウンロードを開始するか、又はCDNノードが以前フィルを停止した場所からのダウンロードを続行する。
コンデンサがA、B、又はCを有しない場合には、何も行わない
コンデンサ-A、B、又はCを有するか?
「はい」の場合、コンデンサは、ダウンロードを開始するか、又は接続されたCDNノードからのダウンロードを続行する。
コンデンサが既にA、B、若しくはCを有する場合、又はCDNノードがいずれも有しない場合は、何も行わない
【0114】
一実施形態では、キャッシュフィル接続は、メタデータ及び実際のデータセットの両方の配信に使用される。リンクの速度及び/又はコンテンツの利用可能性に応じて、船舶/車両上の一時キャッシュからの逆フィルが理にかなうことがある。
【0115】
1Gbps接続では、30TBのフィルに3日間を要する。船舶がフルリンクを有し、50%がWAN上でダウンロードされた場合、15Gbpsリンクを利用可能なときに、このリンクでダウンロードできる割合を計算することは理にかなっている。コンデンサの一実施形態は、規則/ポリシーのセットに従って動作する。例えば、ある要件は、コンデンサがWAN上で1~50%をダウンロードし、同時に高速接続で51%~100%を逆順でダウンロードすることである。次いで、キャッシュ全体が完全にダウンロードされた時点を判定する。
【0116】
他の実施例は、高速リンクが利用可能である場合、ある程度の割合(例えば、半分)をダウンロードしてよい。完了したら、残っているうちの半分をダウンロードする。完了したら、半分を再度ダウンロードする(2分探索アルゴリズムと同様)。一実施形態のキャッシュは、セグメント単位でダウンロードされ、任意のランダムな時点は、リンクの喪失をもたらし得る。したがって、一実施形態は、ダウンロードをチェックする(すなわち、許可されているように再起動する又は継続する)ためのチェックポイント回路/ロジックを含む。
【0117】
一実施形態は、コンデンサの全て、及びこれらのコンデンサと交差し得る全ての船舶/車両をグローバルに追跡する。分析を行うことにより、全てのコンデンサが最新になるまでに要する期間を特定することができる。十分な数の高速ネットワーク接続により、全てのコンデンサ又は全てのサイズを1~2日以内に再度フィルすることができる。
【0118】
したがって、上記の技術を使用して、船舶/車両はネットワークのモバイル部分となり、リモートネットワーク構成要素(すなわち、リモートコンデンサ)に更新を伝搬するために使用される。
【0119】
既存のISPパートナープログラムでは、Netflix及びGoogleなどのキャッシュプロバイダは、独自のプロパティがISPによってホストされることを可能にする。ISPは、様々な機構を使用して配置のロジスティックな側面の一部を操作することができるが、最終的には、ISPがコンテンツを確認できる場所は回線上のみである。コンテンツは、静止したオーバーザトップ(over-the-top、OTT)プロバイダーデバイス内にのみ記憶される。
【0120】
本明細書に記載の特定の実施形態を機能させるためには、OTTプロバイダが、ネットワーク内(例えば、ISPインフラストラクチャ内で静止して)、例えば、コンデンサ、CDNノード、及びCDNノード/TIC内でコンテンツのプールをサポートする用意があることが必要である。この構成がOTTプロバイダにとって受け入れ可能であるようにするために、本発明の一実施形態は、特定の保護機構を導入する。
【0121】
ISPは、静止形態でネイティブのコンテンツを抽出することができない。加えて、OTTプロバイダには、コンテンツがプールされている場所を追跡する能力が提供される。更に、OTTプロバイダには、プールされたデータを削除する能力が提供され、サードパーティがプールされたデータをコピー及び/又は抽出することは許可さない。
【0122】
これらの前提条件を踏まえて、本発明の一実施形態は、コンテンツ上で追加の暗号化層を実行し、その真正性を検証するマーカ(例えば、ブロックチェーンなど)をデータ内に提供する。例えば、データの各コピーは、一意のブロックチェーンエントリ及びキーを受信してよく、ブロックチェーンでのみ復号化を行うことができる。データが削除されるか又は除去される場合、データは無用になる。
【0123】
別の実施形態は、ブロックチェーンの代わりに、時間依存である暗号鍵を使用する。例えば、作製されるコピーは、指定期間(例えば、1週間、数日など)のみ有効であり得る。
【0124】
本発明の実施形態は、上で説明した様々な工程を含み得る。本工程は、汎用又は特殊目的のプロセッサに本工程を実行させるために使用され得る、機械実行可能な命令において具現化することができる。代替的に、これらの工程は、工程を実行するためのハードワイヤードロジックを含む特定のハードウェア構成要素によって、又はプログラミングされたコンピュータ構成要素及びカスタムハードウェア構成要素の任意の組み合わせによって、実行することができる。
【0125】
本明細書に記載される場合に、命令は、ある特定の動作を行うように構成されるか、又は所定の機能若しくはソフトウェア命令が非一時的コンピュータ可読媒体中に具現化されたメモリ内に記憶されている、特定用途向け集積回路(ASIC)などの、ハードウェアの特定の構成を指し得る。したがって、図面に示される技術は、1つ以上の電子デバイス(例えば、エンドステーション、ネットワーク要素など)上に記憶及び実行されるコード及びデータを使用して実装され得る。そのような電子装置は、非一時的コンピュータ機械可読記憶媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ装置、相変化メモリ)、並びに一時的なコンピュータ機械可読通信媒体(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号などの電気的、光学的、音響的又は他の形態の伝搬信号)などのコンピュータ機械可読記憶媒体を使用して、コード及びデータを記憶及び(内部で及び/又はネットワークを介して他の電子装置と)通信する。
【0126】
加えて、そのような電子デバイスは、典型的に、1つ以上の記憶デバイス(非一時的機械可読記憶媒体)、ユーザ入力/出力デバイス(例えば、キーボード、タッチスクリーン、及び/又はディスプレイ)、並びにネットワーク接続などの、1つ以上の他の構成要素に連結された1つ以上のプロセッサのセットを含む。プロセッサの組と他の構成要素との連結は、典型的には、1つ以上のバス及びブリッジ(バスコントローラとも呼ばれる)を通じて行われる。記憶デバイスとネットワークトラフィックを運ぶ信号のそれぞれは、1つ以上の機械可読記憶媒体及び機械可読通信媒体を表す。したがって、所与の電子デバイスの記憶デバイスは、その電子デバイスの1つ以上のプロセッサのセット上で実行するためのコード及び/又はデータを、典型的に記憶する。当然のことながら、本発明の実施形態の1つ以上の部分は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアの異なる組み合わせを使用して実装されてもよい。
【0127】
この詳細な説明全体を通じて、説明を目的として、本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細を記載した。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細の一部がなくても実施され得ることは、当業者にとって明らかであろう。ある特定の例では、周知の構造及び機能は、本発明の主題を不明瞭にすることを回避するために、詳述しなかった。したがって、本発明の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲の観点から判断されるべきである。