(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】エネルギー予測システム、エネルギー予測方法、プログラム、記録媒体及び管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231013BHJP
G06Q 50/16 20120101ALI20231013BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/16 300
(21)【出願番号】P 2019080442
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 朗
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147869(JP,A)
【文献】国際公開第2018/069958(WO,A1)
【文献】特開2018-078779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象が存在する場所での第1所定期間における環境状態を推定した情報である推定情報を取得する推定情報取得部と、
第2所定期間ごとの前記管理対象でのエネルギーの消費に関するエネルギー消費情報を取得する消費情報取得部と、
前記推定情報とエネルギー消費との相関関係を基に、前記第1所定期間で消費する目標値となるエネルギー量を第1予測値として予測する第1予測部と、
所定数の前記第2所定期間のそれぞれの前記エネルギー消費情報を基に、前記第1所定期間で消費するエネルギー消費量を第2予測値として予測する第2予測部と、
前記第1予測値及び前記第2予測値に係る予測結果情報を出力する出力部と、
前記第1所定期間に含まれる前記第2所定期間ごとの前記場所の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、を備え、
前記第1予測部は、前記環境情報に基づいて前記第1予測値を補正し、前記第1予測値を更新する、
エネルギー予測システム。
【請求項2】
前記エネルギーは電力であり、
前記推定情報は、前記第1所定期間における気象に関連する気象情報であり、
前記第1予測部は、電力量と前記気象情報との相関関係に基づいて、前記気象情報に応じた電力量を前記第1予測値として予測する、
請求項1に記載のエネルギー予測システム。
【請求項3】
前記第2所定期間は、前記第1所定期間よりも短い期間であり、
前記所定数の前記第2所定期間は、連続しており、
前記エネルギー消費情報は、対応する第2所定期間の積算電力量であり、
前記第2予測部は、連続する前記所定数の前記第2所定期間における前記積算電力量を基に、前記第1所定期間における積算電力量を前記第2予測値として予測する、
請求項2に記載のエネルギー予測システム。
【請求項4】
表示部を、更に備え、
前記表示部は、
前記出力部が出力した前記第1予測値を前記第1所定期間での目標値として表示し、
前記出力部が出力した前記第2予測値を含む情報であって前記第1所定期間での前記第2所定期間ごとのエネルギーの消費の推移を表す推移情報を表示する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー予測システム。
【請求項5】
前記出力部は、外部の端末である情報端末に前記第1予測値を前記第1所定期間での目標値として表示させ、前記第2予測値に基づく情報であって前記第1所定期間での前記第2所定期間ごとのエネルギーの消費の推移を表す推移情報を表示させるために、前記第1予測値と、前記第2予測値とを前記情報端末に出力する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のエネルギー予測システム。
【請求項6】
前記第1予測部及び前記第2予測部が予測する時点である予測時点が前記第1所定期間に含まれる場合、
前記推移情報は、前記第1所定期間の開始から前記予測時点までに、前記消費情報取得部が取得した前記エネルギー消費情報を、対応する第2所定期間の実績値として含む、
請求項4又は5に記載のエネルギー予測システム。
【請求項7】
管理対象が存在する場所での第1所定期間における環境状態を推定した情報である推定情報を取得する推定情報取得ステップと、
第2所定期間ごとの前記管理対象でのエネルギーの消費に関するエネルギー消費情報を取得する消費情報取得ステップと、
前記推定情報とエネルギー消費との相関関係を基に、前記第1所定期間で消費する目標値となるエネルギー量を第1予測値として予測する第1予測ステップと、
所定数の前記第2所定期間のそれぞれの前記エネルギー消費情報を基に、前記第1所定期間で消費するエネルギー消費量を第2予測値として予測する第2予測ステップと、
前記第1予測値及び前記第2予測値に係る予測結果情報を出力する出力ステップと、
前記第1所定期間に含まれる前記第2所定期間ごとの前記場所の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得ステップと、を含み、
前記第1予測ステップでは、前記環境情報に基づいて前記第1予測値を補正し、前記第1予測値を更新する、
コンピュータシステムによるエネルギー予測方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7に記載のエネルギー予測方法を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録した非一時的な記録媒体。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載のエネルギー予測システムと、
前記推定情報を前記エネルギー予測システムに出力する推定情報出力部と、
前記エネルギー消費情報を前記エネルギー予測システムに出力する消費情報出力部と、を備える管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にエネルギー予測システム、エネルギー予測方法、プログラム、記録媒体及び管理システムに関する。より詳細には監視対象の環境及びエネルギーの消費状況に応じて監視対象期間のエネルギー消費の予測を行うエネルギー予測システム、エネルギー予測方法、プログラム、記録媒体及び管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力計測器を検針すると同時にその計量値等を需要家の家屋内における表示装置に表示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、電力計測器が、屋内表示装置へ領収書・電力使用量等の検針データを自動送信する。これにより、検針データを、屋内表示装置にて確認することができる。また、屋内表示装置は、削減目標値をも提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、実績と目標とを比較することができる。つまり、ユーザは、これまでの使用実績が目標を達成したかどうかを知ることができる。しかしながら、ユーザは、現在の電力(エネルギー)の消費状況が所定に期間の終了時において目標を達成しうる妥当な状況であるかを判別することができない。
【0006】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、現在のエネルギーの消費状況が所定に期間の終了時において目標値以下に抑えることができる状況であるかを判別することができるエネルギー予測システム、エネルギー予測方法、プログラム、記録媒体及び管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るエネルギー予測システムは、推定情報取得部と、消費情報取得部と、第1予測部と、第2予測部と、出力部と、環境情報取得部と、を備える。前記推定情報取得部は、管理対象が存在する場所での第1所定期間における環境状態を推定した情報である推定情報を取得する。前記消費情報取得部は、第2所定期間ごとの前記管理対象でのエネルギーの消費に関するエネルギー消費情報を取得する。前記第1予測部は、前記推定情報とエネルギー消費との相関関係を基に、前記第1所定期間で消費する目標値となるエネルギー量を第1予測値として予測する。前記第2予測部は、所定数の前記第2所定期間のそれぞれの前記エネルギー消費情報を基に、前記第1所定期間で消費するエネルギー消費量を第2予測値として予測する。前記出力部は、前記第1予測値及び前記第2予測値に係る予測結果情報を出力する。前記環境情報取得部は、前記第1所定期間に含まれる前記第2所定期間ごとの前記場所の環境に関する環境情報を取得する。前記第1予測部は、前記環境情報に基づいて前記第1予測値を補正し、前記第1予測値を更新する。
【0008】
本開示の一態様に係るコンピュータシステムによるエネルギー予測方法は、推定情報取得ステップと、消費情報取得ステップと、第1予測ステップと、第2予測ステップと、出力ステップと、環境情報取得ステップと、を含む。前記推定情報取得ステップは、管理対象が存在する場所での第1所定期間における環境状態を推定した情報である推定情報を取得する。前記消費情報取得ステップは、第2所定期間ごとの前記管理対象でのエネルギーの消費に関するエネルギー消費情報を取得する。前記第1予測ステップは、前記推定情報とエネルギー消費との相関関係を基に、前記第1所定期間で消費する目標値となるエネルギー量を第1予測値として予測する。前記第2予測ステップは、所定数の前記第2所定期間のそれぞれの前記エネルギー消費情報を基に、前記第1所定期間で消費するエネルギー消費量を第2予測値として予測する。前記出力ステップは、前記第1予測値及び前記第2予測値に係る予測結果情報を出力する。前記環境情報取得ステップは、前記第1所定期間に含まれる前記第2所定期間ごとの前記場所の環境に関する環境情報を取得する。前記第1予測ステップでは、前記環境情報に基づいて前記第1予測値を補正し、前記第1予測値を更新する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、前記エネルギー予測方法を実現させるためのプログラムである。
【0010】
本開示の一態様に係る記録媒体は、前記プログラムを記録した非一時的な記録媒体である。
【0011】
本開示の一態様に係る管理システムは、前記エネルギー予測システムと、前記推定情報を前記エネルギー予測システムに出力する推定情報出力部と、前記エネルギー消費情報を前記エネルギー予測システムに出力する消費情報出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によると、現在の電力(エネルギー)の消費状況が所定に期間の終了時において目標値以下に抑えることができる妥当な状況であるかを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る予測装置の構成を説明する図である。
【
図2】
図2は、同上の予測装置を含む管理システムの構成を説明する図である。
【
図3】
図3Aは、積算電力量の平均値と月ごとの平均気温との関係を表すグラフである。
図3Bは、複数の第2所定期間での積算電力量を基に一次回帰分析を行った結果を表すグラフである。
【
図4】
図4は、同上の予測装置の動作を説明する図である。
【
図5】
図5Aは、予測結果の表示内容の一例を説明する図である。
図5Bは、予測結果の表示内容の別の例を説明する図である。
【
図6】
図6は、変形例1に係る予測装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。以下の実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0015】
(実施形態)
以下、本実施形態に係るエネルギー予測システム、及び当該エネルギー予測システムを含む
管理システムについて、
図1~
図5Bを用いて説明する。
【0016】
(1)概要
本実施形態では、施設のエネルギー消費に関する情報を予測する機能を有するエネルギー予測システムシステムについて説明する。本実施形態においては、エネルギー予測システム1は、
図1及び
図2に示すように予測装置10にて構成されている。
【0017】
本実施形態において、管理システム2は、
図2に示すように、エネルギー予測システム1としての予測装置10と、計測システム20と、情報端末30と、コントローラ40と、気象サーバ50と、を含む。
【0018】
予測装置10は、
図2に示すように、計測システム20にネットワーク4を介して接続される。計測システム20は、施設5における複数の分岐回路の各々について、消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測値(エネルギー消費情報)として計測するシステムである。また、ここでいう「施設」は、電力の供給を受ける住宅等の施設を意味しており、電力会社等の電気事業者から電力の供給を受ける施設だけでなく、太陽光発電設備等の自家発電設備から電力の供給を受ける施設も含む。本実施形態では、戸建住宅を施設5の一例として説明する。
【0019】
予測装置10は、
図2に示すように、気象サーバ50にネットワーク4を介して接続される。気象サーバ50は、月ごと(第1所定期間ごと)に、管理対象が存在する場所での第1所定期間における環境状態を推定した情報である推定情報を取得する。具体的には、気象サーバ50は、管理対象である施設5が存在する場所で計測された過去のデータ(気温)を基に当該月の予想平均気温(推定情報)を推定する。気象サーバ50は、推定した推定情報を予測装置10にネットワーク4を介して送信する。気象サーバ50は、第1所定期間より短い第2所定期間ごと(例えば日ごと)に、施設を含む地域の外気温(環境情報)を取得する。気象サーバ50は、取得した環境情報を予測装置10にネットワーク4を介して送信する。なお、施設5は一例であり、管理対象を施設5に限定する趣旨ではない。ここで、外気温は、例えば、対応する第2所定期間の平均気温である。
【0020】
予測装置10は、月ごとに、推定情報及び環境情報のうち少なくとも推定情報を用いて、対応する月で消費されるエネルギー量(電力量)である第1予測値を予測する。予測装置10は、日ごとに計測システム20が計測した計測値を用いて、当該日が属する月で消費されるエネルギー(電力量)である第2予測値を予測する。予測装置10は、予測した第1予測値及び第2予測値を、情報端末30に送信する。
【0021】
また、予測装置10は、
図2に示すように、表示部33を有する情報端末30にネットワーク4を介して接続される。情報端末30は、エネルギー予測システム1(予測装置10)が出力した情報(第1予測値及び第2予測値)を表示部33に表示する。これにより、情報端末30は、エネルギー予測システム1で予測された情報を、情報端末30の所有者である顧客に対して提示することが可能となる。つまり、顧客は、情報端末30に表示される画面を見ることで、視覚的に、施設5でのエネルギー消費に関する情報を確認することができる。
【0022】
なお、情報端末30によるサービスの提供を受ける顧客(情報端末30の所有者)は、住人(施設5の使用者)と同一人である。ここで、「施設5の使用者」は、施設5を使用する人を意味しており、施設5が住宅である本実施形態においては、施設5の住人である。また、施設5の住人が複数人である場合には、「施設5の使用者」は、複数の住人のうちの一人を指すこともあり、二人以上(全員も含む)を指すこともある。以下では「施設5の使用者」を単に「住人」ともいう。
【0023】
施設5に設けられた計測システム20は、施設5における電力の使用データ(使用電力量)を取得する。具体的には、計測システム20は、施設5における複数の分岐回路について、使用電力量を使用データとして取得する。施設5における複数の分岐回路の各々には機器63が接続されている。機器63は、例えば施設5に設けられた機器であり、電力を使用する電気機器である。機器63は、例えば洗濯機、空調機器等である。
【0024】
コントローラ40は、例えばHEMS(home energy management system)のコントローラである。コントローラ40は、計測システム20と通信可能である。さらに、コントローラ40は、ルータ7を介してネットワーク4に接続されている。コントローラ40は、計測システム20で計測された計測値を定期的にサーバ装置へ送信する。
【0025】
(2)構成
(2.1)計測システム
まず、本実施形態の計測システム20の構成について説明する。
【0026】
計測システム20は、
図2に示すように、計測ユニット21と、通信アダプタ22と、電流センサ23,24とを備えている。このうち、計測ユニット21、通信アダプタ22、および電流センサ23,24は、分電盤6のキャビネット内に配置されている。分電盤6は、系統電源9に電気的に接続される主幹ブレーカ61と、主幹ブレーカ61の二次側に電気的に接続された複数の分岐ブレーカ62とをキャビネット内に備えている。
【0027】
計測ユニット21は、電流センサ23,24に電気的に接続されている。電流センサ23は、主幹ブレーカ61の一次側に設けられ、幹線を流れる電流の値を計測する。電流センサ24は、複数の分岐ブレーカ62に対応して設けられ、複数の分岐回路に流れる電流の値をそれぞれ計測する。ここでいう「分岐回路」は、複数の分岐ブレーカ62にて幹線から分岐された各回路を意味する。「分岐回路」には、分岐ブレーカ62に接続される配線、洗濯機や空調機器等の機器63、コンセント(アウトレット)、壁スイッチなどを含んでいる。このような分岐回路は、本実施形態のように住宅からなる施設5においては、例えばリビング、寝室、玄関、トイレ、子供部屋、キッチン等の部屋ごと、かつ照明器具、調理家電、空調機器等の機器の種類ごとに設けられる。1つの分岐回路には、1つの機器63が含まれてもよいし、複数の機器63が含まれてもよい。
【0028】
計測ユニット21は、電流センサ23,24の出力を用いて、幹線および複数の分岐回路の各々について、消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測する。通信アダプタ22は、計測ユニット21で計測された計測値を、計測システム20の計測値として施設5に設けられたコントローラ40へ送信する。コントローラ40は、ルータ7を介してネットワーク4に接続されている。コントローラ40は、計測システム20で計測された計測値を定期的にサーバ装置へ送信する。
【0029】
要するに、計測システム20の計測値は、施設5における複数の分岐回路の各々について、計測ユニット21で計測される消費電力と消費電力量との少なくとも一方を含んでいる。つまり、計測値は、瞬時電力を表す消費電力であってもよいし、あるいは一定時間における電力の消費量(使用量)を表す消費電力量であってもよい。また、計測値は、消費電力と消費電力量との両方であってもよい。本実施形態では一例として、計測値は、使用電力を一定時間(例えば正時から30分間隔)で積算した使用電力量(積算電力量)である。
【0030】
(2.2)エネルギー予測システム(予測装置)
エネルギー予測システム1としての予測装置10は、予測対象である月(第1所定期間)での使用される電力量の目標値(第1予測値)、及び計測システム20が計測した計測値を基に予測対象である月(第1所定期間)での積算電力量(第2予測値)を予測する。
【0031】
予測装置10は、
図1に示すように、通信部11、記憶部12及び制御部13を備える。
【0032】
予測装置10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部13として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0033】
通信部11は、ネットワーク4を介して情報端末30、コントローラ40及び気象サーバ50と通信を行うための通信インタフェースを含んでいる。
【0034】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のいずれかの記憶デバイスで構成されている。
【0035】
記憶部12は、計測システム20が計測した計測値(積算電力量)を時系列に記憶する。記憶部12は、気象サーバ50が出力した外気温(環境情報)を時系列に記憶する。記憶部12は、気象サーバ50が推定した推定情報を記憶する。
【0036】
さらに、記憶部12は、過去に計測されたデータに基づいた月ごと(第1所定期間ごと)の積算電力量の月平均値(平均電力量)と月ごとの月平均気温とを対応付けたテーブルを記憶している(表1参照)。
【0037】
【0038】
制御部13は、
図1に示すように、情報取得部101、推定情報取得部102、消費情報取得部103、環境情報取得部104、第1予測部105、第2予測部106及び出力部107を有する。
【0039】
情報取得部101は、計測システム20が計測した計測値(積算電力量)をエネルギー消費情報として、通信部11を介して受け取る。情報取得部101は、受け取ったエネルギー消費情報を記憶部12に時系列に記憶する。情報取得部101は、日ごと(第2所定期間ごと)に気象サーバ50が送信した外気温(環境情報)を、通信部11を介して受け取る。情報取得部101は、受け取った環境情報を記憶部12に時系列に記憶する。さらに、情報取得部101は、第1所定期間である予測対象月について気象サーバ50が推定した予想平均気温(推定情報)を、気象サーバ50から通信部11を介して受け取る。情報取得部101は、受け取った推定情報を記憶部12に記憶する。
【0040】
推定情報取得部102は、予測対象月における第1予測値を予測する場合に、記憶部12が記憶している予測対象月に対する推定情報を記憶部12から取得する(読み出す)。
【0041】
消費情報取得部103は、予測対象月における第2予測値を予測する場合に、第2所定期間ごとの管理対象である施設5でのエネルギーの消費に関するエネルギー消費情報を記憶部12から取得する(読み出す)。具体的には、消費情報取得部103は、記憶部12が記憶している積算電力量のうち、前日から過去に向けて連続する所定の日数分(例えば、5日分)の積算電力量をエネルギー消費情報として記憶部12から取得する。
【0042】
環境情報取得部104は、予測対象月における第1予測値を予測する場合に、前日から過去であり、かつ当該予測対象月において気象サーバ50が出力したすべての環境情報を、記憶部12から取得する。要は、環境情報取得部104は、第1所定期間に含まれる第2所定期間ごとの環境情報を取得する。
【0043】
例えば、予測対象月を3月として3月1日に第1予測値を予測する場合には、前日は2月の最終日である。そのため、この場合は、環境情報取得部104は、環境情報を取得しない。
【0044】
また、予測対象月を3月として3月3日に第1予測値を予測する場合には、前日は3月2日である。そのため、この場合では、前日(3月2日)から過去であり、かつ当該予測対象月において気象サーバ50が出力した環境情報が存在する。具体的には、3月1日及び2日に対応する環境情報が存在する。そこで、この場合では、環境情報取得部104は、3月1日及び2日にそれぞれ対応するすべての環境情報(2つの環境情報)を取得する。
【0045】
第1予測部105は、推定情報とエネルギー消費との相関関係を基に、第1所定期間で消費するエネルギー量を第1予測値として予測する。
【0046】
具体的には、第1予測部105は、表1に示す積算電力量の平均値と月ごとの平均気温との関係を基に、回帰分析を行う。例えば、第1予測部105は、
図3Aに示すように、暖房期、中間期、及び冷房期の3つの期間に分割して、各期間について一次回帰分析を行い、平均電力量と平均気温との相関関係を表す直線G1~G3を求める。第1予測部105は、推定情報取得部102が取得した予測対象月に対する推定情報と、
図3Aに示す直線G1~G3からなるグラフを基に、予測対象月で消費される積算電力量を第1予測値として予測する。例えば、第1予測部105は、
図3Aに示すグラフにおいて、予測対象月に対する推定情報(予想平均気温)に対応する電力量を求める。予想平均気温が、値“a”である場合には、そのた予想平均気温に対応する電力量“b”を第1予測値として
図3Aに示すグラフから求める。
【0047】
さらに、第1予測部105は、環境情報取得部104が取得した第1所定期間(予測対象月)に含まれる第2所定期間(日)ごとの環境情報に基づいて、予測した第1予測値を補正して、第1予測値を更新する。例えば、環境情報が取得されていない時点(例えば7月1日)において予測された第1予測値に対応する気温(予測対象月の平均気温)が25度であり、環境情報取得部104が取得した7月1日、2日のそれぞれで取得した環境情報が24度及び23度を表しているとする。このとき、第1予測部105は、日ごとの平均気温に係る値であって補正に用いる値(補正値)を、数式“補正値=(予測対象月の平均気温-環境情報)/予測対象月の日数”を用いて算出する。第1予測部105は、日ごとの補正値の合計を予測対象月の平均気温から減算して、新たな平均気温を算出する。第1予測部105は、第1予測値を新たな平均気温に対応する電力量に補正することで、第1予測値を更新する。
【0048】
第2予測部106は、所定数の第2所定期間のそれぞれのエネルギー消費情報を基に、第1所定期間で消費するエネルギー消費量を第2予測値として予測する。具体的には、第2予測部106は、消費情報取得部103が取得した所定数の第2所定期間のそれぞれのエネルギー消費情報を基に、日ごとに消費された電力量(積算電力量)を求める。第2予測部106は、日ごとに求めた積算電力量と予測対象月の日数との関係を基に、回帰分析として一次回帰分析を行い、予測対象月の最終日での積算電力量を第2予測値として予測する。
【0049】
例えば、3月4日に第2予測値の予測を行うとする。この場合、消費情報取得部103は、前日(3月3日)から過去に向けて連続する所定の日数分(例えば、5日分)の積算電力量をエネルギー消費情報として記憶部12から取得する。つまり、消費情報取得部103は、2月27日~3月3日の積算電力量を記憶部12から取得する。消費情報取得部103は、2月27日~3月3日の積算電力量を基に一次回帰分析を行い、
図3Bに示す直線G11を求める。第2予測部106は、直線G11において、3月31日に対応する積算電力量“c”を第2予測値として求める。
【0050】
第2予測部106は、一次回帰分析に前月末に消費された積算電力量が含まれている場合には、3月31日に対応する積算電力量“c”から前月末に消費された積算電力量を取り除く。具体的には、第2予測部106は、積算電力量“c”のうち2月27,28日で消費された積算電力量を差し引いた積算電力量を予測対象月(3月)で消費される第2予測値として予測する。
【0051】
第2予測部106は、一次回帰分析に前月末に消費された積算電力量が含まれていない場合には、3月31日に対応する積算電力量“c”を第2予測値として予測する。
【0052】
出力部107は、第1予測値及び第2予測値に係る予測結果情報を、通信部11及びネットワーク4を介して情報端末30に出力する。具体的には、出力部107は、第1予測値を表すグラフ、及び第2予測値を通り、第2所定期間ごとの積算電力の推移を表すグラフ(例えば、
図3Bに示すグラフ)に関連する情報を予測結果情報として、情報端末30に出力する。要は、出力部107は、予測結果情報を情報端末に出力することで、第1予測値を表すグラフ、及び第2予測値を通り、第2所定期間ごとの積算電力の推移を表すグラフを情報端末30に表示させる。より詳細には、出力部107は、情報端末30に第1予測値を予測対象期間で消費する積算電力量の目標値として表示させ、第2予測値に基づく情報であって第1所定期間での第2所定期間ごとの積算電力量の推移を表す推移情報を表示させる。ここで、推移情報は、例えば
図3Bに示すグラフ、つまり直線G11である。推移情報は、第1予測値及び第2予測値が予測される時点である予測時点が予測対象月に含まれる場合には、予測対象月の開始日から予測時点までに消費情報取得部103が取得したエネルギー消費情報を、対応する第2所定期間の実績値として含む(
図3B参照)。
【0053】
(2.3)情報端末
情報端末30は、
図2に示すように、通信部31、制御部32及び表示部33を備える。情報端末30は、一例としてスマートフォンである。
【0054】
情報端末30は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部32として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0055】
通信部31は、ネットワーク4を介して予測装置10と通信を行うための通信インタフェースを含んでいる。
【0056】
制御部32は、表示部33に表示させる画面を作成し、表示部33を制御することにより、作成した画面を表示部33に表示させる機能を持つ。つまり、スマートフォンからなる情報端末30は、専用のアプリケーションソフトをインストールし、このアプリケーションソフトを起動することにより、表示部33を制御するための制御部32としての機能を実現する。
【0057】
制御部32は、通信部31を介して、予測結果情報を受け取ると、第1予測値を予測対象月(第1所定期間)での目標値として表示部33に表示させるとともに、推移情報を表示部33に表示させる。
【0058】
例えば、制御部32は、
図5Aに示すように、第1予測値“a1”を目標値(直線G20参照)として表示部33に表示させるとともに、3月1日~5日までのエネルギー消費情報に基づいて予測された第2予測値を通る直線G21をグラフとして表示部33に表示させる。
【0059】
(3)動作
ここで、予測装置10が第1予測値及び第2予測値を予測する動作について、
図4に示す流れ図を用いて説明する。
【0060】
推定情報取得部102は、記憶部12が記憶している予測対象月に対する推定情報(予測対象月の予想平均気温)を記憶部12から取得する(ステップS1)。
【0061】
消費情報取得部103は、記憶部12が記憶している積算電力量のうち、前日から過去に向けて連続する所定の日数分(例えば、5日分)の積算電力量をエネルギー消費情報として記憶部12から取得する(ステップS2)。
【0062】
環境情報取得部104は、環境情報取得部104は、第1所定期間に含まれる第2所定期間ごとの環境情報を取得する(ステップS3)。なお、予測対象月の開始日に第1予測値を予測する場合には、環境情報取得部104は、環境情報を取得しない。
【0063】
第1予測部105は、推定情報とエネルギー消費との相関関係を基に、第1所定期間で消費するエネルギー量を第1予測値として予測する(ステップS4)。
【0064】
具体的には、第1予測部105は、表1に示す積算電力量の平均値と月ごとの平均気温との関係を基に、一次回帰分析を行い、暖房期、中間期、及び冷房期の各々の期間について平均電力量と平均気温との相関関係を表す直線G1~G3(
図3A参照)を求める。
【0065】
第1予測部105は、環境情報取得部104が環境情報を取得していない場合には、推定情報取得部102が取得した予測対象月に対する推定情報と
図3Aに示す直線G1~G3からなるグラフとを基に、予測対象月で消費される積算電力量を第1予測値として予測する。
【0066】
第1予測部105は、環境情報取得部104が環境情報を取得した場合には、取得した第2所定期間(日)ごとの環境情報に基づいて予測した第1予測値を補正して、第1予測値を更新する。例えば、第1予測部105は、日ごとの平均気温に係る補正値を、上述した数式を用いて算出する。第1予測部105は、日ごとの補正値の合計を予測対象月の平均気温から減算して、新たな平均気温を算出する。第1予測部105は、第1予測値を新たな平均気温に対応する電力量に補正することで、第1予測値を更新する。
【0067】
第2予測部106は、所定数の第2所定期間のそれぞれのエネルギー消費情報を基に、第1所定期間で消費する積算電力量(エネルギー消費量)を第2予測値として予測する(ステップS5)。具体的には、第2予測部106は、日ごとの積算電力量と予測対象月の日数との関係を基に、回帰分析として一次回帰分析を行い、予測対象月の最終日での積算電力量を第2予測値として予測する。
【0068】
第2予測部106は、一次回帰分析に前月末に消費された積算電力量が含まれている場合には、一次回帰分析を行った結果として得られた予測対象月の最終日での積算電力から前月末に消費された積算電力量を取り除く。第2予測部106は、残りの積算電力量を第2予測値として予測する。第2予測部106は、一次回帰分析に前月末に消費された積算電力量が含まれていない場合には、一次回帰分析を行った結果として得られた予測対象月の最終日での積算電力を第2予測値として予測する。
【0069】
出力部107は、第1予測値及び第2予測値に係る予測結果情報を情報端末30に出力する(ステップS6)。具体的には、第1予測値を表すグラフ、及び第2予測値を通り、積算電力量の推移を表すグラフ(例えば、
図3Bに示すグラフ)に関連する情報を予測結果情報として、情報端末30に出力する。
【0070】
(4)利点
以上説明したように、予測装置10(エネルギー予測システム1)は、第1予測値と第2予測値とを予測し、第1予測値及び第2予測値に係る予測結果情報に基づく情報を、情報端末30に表示させるために情報端末30に出力する。
【0071】
これにより、第1予測値が表示されることで予測対象月において消費される電力の目標値を知ることができるとともに、第2予測値を含む推移情報が表示されることで予測対象月での節電状況を、ユーザは知ることができる。例えば、目標値(第1予測値)を表すグラフと、推移情報を表すグラフとが予測対象月において交わる場合には、ユーザは、節電状況は悪い状態にあると知ることができる。したがって、ユーザに節電を促すことができる。一方、目標値(第1予測値)を表すグラフと、推移情報を表すグラフとが予測対象月において交わらない場合には、ユーザは、節電状況は良い状態にある、つまり現在の節電状況が目標に対して十分であると知ることができる。
【0072】
また、例年、同じ月において同じ平均気温となるとは限らない。例年の同じ月より平均気温が高い場合もあれば、低い場合もある。そこで、予測装置10は、環境情報に基づいて、第1予測値を補正して更新する。これにより、予測対象月において実際に気象サーバ50が取得した気温を用いることで、例年の同じ月と比較して平均気温が高いこと又は低いことを予測することができる。予測装置10は、この予測を用いて、第1予測値を更新することで、実際の環境に応じた目標値を設定することができる。例えば、前年の夏が冷夏で電力の消費量が少なかったにもかかわらず、前年消費した電力量を目標値として提示することで、利用者に無理な節電を強いる可能性がある。しかしながら、実際の環境に応じた目標値を設定するので、ユーザは、実際の環境に応じた節電を実行することができる。
【0073】
例えば、第1予測部105は、3月1日~5日の日ごと(第2所定期間)の環境情報を基に、月初で得られた当月(3月)の推定情報(予想平均気温)から得られた第1予測値を補正して、当該第1予測値を新たな第1予測値(例えば、
図5Aに示す値“a1”)へと更新する。さらに、第1予測部105は、3月1日~11日の日ごと(第2所定期間)の環境情報を基に、第1予測値“a1”を補正して、当該第1予測値“a1”を新たな第1予測値(例えば、
図5Bに示す値“a2”(<a1))へと更新する。したがって、ユーザは、実際の環境に応じた節電を実行することができる。
【0074】
また、実施形態では、消費情報取得部103は、記憶部12が記憶している積算電力量のうち、前日から過去に向けて連続する所定の日数分(例えば、5日分)の積算電力量をエネルギー消費情報として記憶部12から取得する。つまり、予測装置10は、直近の電力の消費状況に基づいて、予測対象月で消費される積算電力量を予測している。そのため、予測対象月の中旬(15日)に予測を行う場合、予測対象月の初旬で計測された計測値を用いることはない。予測対象月の開始当初には節電を実行しておらず、予測対象月の途中から節電を実行した場合において、予測装置10は、節電を実行している期間で消費される電力の消費状況に基づいて、予測対象月で消費される積算電力量を予測することができる。
【0075】
例えば、3月1日~5日ではユーザが節電を実行していない場合には、直線G21が示すように、予測対象月(3月)で消費される積算電力量は目標値(第1予測値)“a1”を超える。3月6日以降ユーザが節電を実行したと仮定し、3月7日~11日での電力の消費状況を基に予測対象月で消費される積算電力量を予測する場合を考える。この場合、予測で得られた直線G22の傾きは、3月1日~5日までの電力の消費状況で得られた直線G21の傾きより小さくなる(
図5B参照)。つまり、近の電力の消費状況を用いることで、予測時点での節電の実行状況に応じた第2予測値を予測することができる。したがって、現在実行している節電状況が目標値に対して有効であるか否かをユーザは知ることができる。例えば、ユーザは、
図5Bに示す第1予測値“a2”を表す直線G25と直線G22とが3月31日の時点で交わらないため、現在実行している節電状況が目標値に対して有効であると判断することができる。
【0076】
(5)変形例
以下に、変形例について記載する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0077】
(5.1)変形例1
上記実施形態では、予測結果情報に基づく情報を情報端末30に表示させる構成としたが、この構成に限定されない。
【0078】
予測装置10が、予測結果情報に基づく情報を表示してもよい。この場合、本変形例に係るエネルギー予測システム1の予測装置10Aは、
図6に示すように、実施形態1で説明した予測装置10が有する構成要素の他、表示部14を備える。
【0079】
出力部107は、表示部14に表示させる画面を作成し、画面を表示部14に出力することで当該画面を表示部14に表示させる機能を持つ。例えば、出力部107は、第1予測値を予測対象月(第1所定期間)での目標値として表示部14に表示させるとともに、推移情報を表示部14に表示させる。
【0080】
(5.2)変形例2
上記実施形態では、予測装置10が、エネルギー消費情報、推定情報及び環境情報を記憶する構成としたが、この構成に限定されない。
【0081】
予測装置10とは異なる装置が、エネルギー消費情報、推定情報及び環境情報を記憶してもよい。または、コントローラ40がエネルギー消費情報を記憶し、気象サーバ50が推定情報及び環境情報を記憶してもよい。
【0082】
これらの場合、予測装置10の推定情報取得部102は、推定情報を記憶している装置から、予測対象月の推定情報を取得する。予測装置10の消費情報取得部103は、エネルギー消費情報を記憶している装置から、前日から過去に向けて連続する所定の日数分(例えば、5日分)の積算電力量をエネルギー消費情報として取得する。さらに、環境情報取得部104は、環境情報を記憶している装置から、第1所定期間に含まれる第2所定期間ごとの環境情報を取得する。
【0083】
(5.3)変形例3
上記実施形態では、表1に示すテーブルは、月ごとの積算電力量の月平均値(平均電力量)を含む構成としたが、この構成に限定されない。
【0084】
表1に示すテーブルは、月ごとに、当該月における積載電力量の月平均値の代わりに、日平均値を含んでもよい。
【0085】
この場合、回帰分析により、気温と、日平均値である積算電力量との相関関係を表すグラフが得られる。第1予測部105は、推定情報に応じた積算電力量を取得する。第1予測部105は、取得した積算電力量に予測対象月の日数を乗算して、その結果を第1予測値として予測する。
【0086】
(5.4)変形例4
上記実施形態において、出力部107は、予測結果情報として第1予測値及び第2予測値を出力してもよい。
【0087】
情報端末30の表示部33は、第1予測値及び第2予測値を表示する。表示された第1予測値及び第2予測値の大小関係を比較することで、ユーザは、予測対象月での節電状況を知ることができる。
【0088】
(5.5)変形例5
上記実施形態では、エネルギーの一例として電力を用いて説明したが、エネルギーは電力に限定されない。例えば、エネルギーは、ガス、水道等であってもよい。
【0089】
(5.6)変形例6
上記実施形態で説明した予測装置10が有する第1予測値及び第2予測値の予測に係る機能は、コントローラ40が有してもよい。または、予測装置10とコントローラ40とが、当該機能を分散して有してもよい。
【0090】
(5.7)変形例7
上記実施形態では、第1予測部105は、一次回帰分析を行い、平均電力量と平均気温との相関関係を求める構成としたが、この構成に限定されない。第1予測部105は、二次回帰分析を行い、平均電力量と平均気温との相関関係を求めてもよい。
【0091】
また、第2予測部106は、一次回帰分析を行って第2予測値を予測する構成としたが、この構成に限定されない。第2予測部106は、二次回帰分析を行って第2予測値を予測してもよい。
【0092】
(5.8)変形例8
上記実施形態では、予測装置10は、施設5で使用される電力量と気温との関係から、予測対象月での第1予測値及び第2予測値を予測する構成としたが、この構成に限定されない。
【0093】
予測装置10は、施設5で使用される電力量と湿度との関係から、予測対象月での第1予測値及び第2予測値を予測してもよい。この場合、推定情報取得部102は、推定情報として予測対象月の予想平均湿度を気象サーバ50から取得する。環境情報取得部104は、第2所定期間ごとの平均湿度を環境情報として取得する。第1予測部105は、平均湿度と平均電力量との相関関係を求めて、予想平均湿度に対応する積算電力量を第1予測値として予測する。さらに、第1予測部105は、第2所定期間ごとの平均湿度を基に、第1予測値を補正する。
【0094】
(5.9)変形例9
上記実施形態では、予測装置10は、環境情報として外気温を取得する構成としたが、この構成に限定されない。予測装置10は、環境情報として日射量を取得してもよい。
【0095】
(5.10)変形例10
第2予測部106は、第2予測値を予測する際には、第1予測部105と同様に、気温と電力量との相関関係から回帰分析を行ってもよい。特に、暖房期及び冷房期では、使用される電力量と気温との相関があるため、回帰分析を行うことは有効である。
【0096】
この場合、第1予測部15は比較的長期間での回帰分析を行うのに対して、第2予測部16は短期間での回帰分析を行うので、第1予測値と第2予測値とは異なる。
【0097】
(5.11)変形例11
上記実施形態では、予想平均気温を推定情報の一例として説明した。しかしながら、推定情報は、予想平均気温に限定されない。
【0098】
推定情報は、第1所定期間における気象に関連する気象情報であればよい。例えば、気温情報は、予想平均気温、予想最高気温、冷房デグリーデー(CDDs:Cooling Degree Day)、暖房デグリーデー(HDDs:Heating Degree Day)、湿度、又は降雨降雪に係る情報等の情報であってもよい。
【0099】
(5.12)その他の変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、エネルギー予測システム1と同様の機能は、エネルギー予測方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るエネルギー予測システム1のエネルギー予測方法は、推定情報取得ステップと、消費情報取得ステップと、第1予測ステップと、第2予測ステップと、出力ステップと、を含む。推定情報取得ステップは、管理対象(例えば施設5)が存在する場所での第1所定期間における環境状態を推定した情報である推定情報を取得する。消費情報取得ステップは、第2所定期間ごとに管理対象のエネルギーの消費に関するエネルギー消費情報を取得する。第1予測ステップは、推定情報を基に第1所定期間で消費するエネルギー量を第1予測値として予測する。第2予測ステップは、所定数の第2所定期間のそれぞれのエネルギー消費情報を基に、第1所定期間で消費するエネルギー消費量を第2予測値として予測する。出力ステップは、第1予測値及び第2予測値に係る予測結果情報を出力する。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述したエネルギーマネジメントシステム方法として機能させるためのプログラムである。
【0100】
本開示におけるエネルギー予測システム1又はエネルギー予測方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるエネルギー予測システム1又はエネルギー予測方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0101】
コンピュータシステムであるエネルギー予測システム1は、1又は複数のコンピュータで構成されるシステムであってもよい。例えば、エネルギー予測システム1の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0102】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様のエネルギー予測システム(1)は、推定情報取得部(102)と、消費情報取得部(103)と、第1予測部(105)と、第2予測部(106)と、出力部(107)と、を備える。推定情報取得部(102)は、管理対象(例えば、施設5)が存在する場所での第1所定期間における環境状態を推定した情報である推定情報を取得する。消費情報取得部(103)は、第2所定期間ごとの管理対象でのエネルギーの消費に関するエネルギー消費情報を取得する。第1予測部(105)は、推定情報とエネルギー消費との相関関係を基に、第1所定期間で消費する目標値となるエネルギー量を第1予測値として予測する。第2予測部(106)は、所定数の第2所定期間のそれぞれのエネルギー消費情報を基に、第1所定期間で消費するエネルギー消費量を第2予測値として予測する。出力部(107)は、第1予測値及び第2予測値に係る予測結果情報を出力する。
【0103】
この構成によると、第1所定期間での目標値である第1予測値を用いることで、ユーザは第1所定期間において消費されるエネルギーの目標値を知ることができる。さらに、第2予測値を用いることで、ユーザは現在のエネルギーの消費状況に応じた第1所定期間で消費されるエネルギー消費量を知ることができる。これにより、ユーザは、現在の電力(エネルギー)の消費状況が第1所定期間の終了時において目標値以下に抑えることができる状況であるかを判別することができる。さらには、第1予測値及び第2予測値を用いることで、ユーザに節電を促すことができる。
【0104】
第2の態様のエネルギー予測システム(1)は、第1の態様において、環境情報取得部(104)を、更に備える。環境情報取得部(104)は、第1所定期間に含まれる第2所定期間ごとの場所の環境に関する環境情報を取得する。第1予測部(105)は、環境情報に基づいて第1予測値を補正し、第1予測値を更新する。
【0105】
この構成によると、直近の環境に応じて第1予測値を更新するので、環境に応じた予測を行うことができる。
【0106】
第3の態様のエネルギー予測システム(1)では、第1又は第2の態様において、エネルギーは電力である。推定情報は、第1所定期間における気象に関連する気象情報である。第1予測部(105)は、電力量と気温との相関関係に基づいて、予想平均気温に応じた電力量を第1予測値として予測する。
【0107】
この構成によると、直近の気温に応じて、電力の消費量を第1予測値として予測することができる。
【0108】
第4の態様のエネルギー予測システム(1)では、第3の態様において、第2所定期間は、第1所定期間よりも短い期間である。所定数の第2所定期間は、連続している。エネルギー消費情報は、対応する第2所定期間の積算電力量である。第2予測部(106)は、連続する所定数の第2所定期間における積算電力量を基に、第1所定期間における積算電力量を第2予測値として予測する。
【0109】
この構成によると、連続した所定数の第2所定期間の各々での積算電力量を用いて、第2予測値を予測することができる。
【0110】
第5の態様のエネルギー予測システム(1)は、第1~第4のいずれかの態様において、表示部(14)を、更に備える表示部(14)は、出力部(107)が出力した第1予測値を第1所定期間での目標値として表示する。表示部(14)は、出力部(107)が出力した第2予測値に基づく情報であって第1所定期間での第2所定期間ごとのエネルギーの消費の推移を表す推移情報を表示する。
【0111】
この構成によると、第2予測値を含む推移情報が表示されることで第1所定期間での節電状況を、ユーザは知ることができる。例えば、節電状況は悪い状態にある場合には、ユーザに節電を促すことができる。
【0112】
第6の態様のエネルギー予測システム(1)では、第1~第5のいずれかの態様において、出力部(107)は、外部の端末である情報端末(30)に第1予測値を第1所定期間での目標値として表示させ、第2予測値に基づく情報であって第1所定期間での第2所定期間ごとのエネルギーの消費の推移を表す推移情報を表示させるために、第1予測値と、第2予測値とを情報端末(30)に出力する。
【0113】
この構成によると、情報端末(30)に第2予測値を含む推移情報を表示させることで第1所定期間での節電状況を、ユーザは知ることができる。
【0114】
第7の態様のエネルギー予測システム(1)では、第5又は第6の態様において、第1予測部(105)及び第2予測部(106)が予測する時点である予測時点が第1所定期間に含まれる場合、推移情報は、第1所定期間の開始から予測時点までに、消費情報取得部(103)が取得したエネルギー消費情報を、対応する第2所定期間の実績値として含む。
【0115】
この構成によると、第1所定期間での節電状況を、ユーザは知ることができる。
【0116】
第8の態様のエネルギー予測方法は、推定情報取得ステップと、消費情報取得ステップと、第1予測ステップと、第2予測ステップと、出力ステップと、を含む。推定情報取得ステップは、管理対象(例えば、施設5)が存在する場所での第1所定期間における環境状態を推定した情報である推定情報を取得する。消費情報取得ステップは、第2所定期間ごとの管理対象でのエネルギーの消費に関するエネルギー消費情報を取得する。第1予測ステップは、推定情報とエネルギー消費との相関関係を基に、第1所定期間で消費する目標値となるエネルギー量を第1予測値として予測する。第2予測ステップは、所定数の第2所定期間のそれぞれのエネルギー消費情報を基に、第1所定期間で消費するエネルギー消費量を第2予測値として予測する。出力ステップは、第1予測値及び第2予測値に係る予測結果情報を出力する。
【0117】
このエネルギー予測方法によると、ユーザは、現在の電力(エネルギー)の消費状況が第1所定期間の終了時において目標値以下に抑えることができる状況であるかを判別することができる。
【0118】
第9の態様のプログラムは、コンピュータに、第8の態様のエネルギー予測方法を実行させるためのプログラムである。
【0119】
このプログラムによると、ユーザは、現在の電力(エネルギー)の消費状況が第1所定期間の終了時において目標を値以下に抑えることができる状況であるかを判別することができる。
【0120】
第10の態様の記録媒体は、第9の態様のプログラムを記録した非一時的な記録媒体である。
【0121】
この記録媒体によると、ユーザは、現在の電力(エネルギー)の消費状況が第1所定期間の終了時において目標値以下に抑えることができる状況であるかを判別することができる。
【0122】
第11の態様の管理システム(2)は、第1~第7のいずれかの態様のエネルギー予測システム(1)と、推定情報出力部(例えば、気象サーバ50)と、消費情報出力部(例えばコントローラ40)と、を備える。推定情報出力部は、推定情報をエネルギー予測システム(1)に出力する。消費情報出力部は、エネルギー消費情報をエネルギー予測システム(1)に出力する。
【0123】
この構成によると、ユーザは、現在の電力(エネルギー)の消費状況が第1所定期間の終了時において目標値以下に抑えることができる状況であるかを判別することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 エネルギー予測システム
2 管理システム
5 施設
10 予測装置
14 表示部
30 情報端末
102 推定情報取得部
103 消費情報取得部
104 環境情報取得部
105 第1予測部
106 第2予測部
107 出力部