(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】配線器具の特定方法、プログラム、及び配線器具システム
(51)【国際特許分類】
H02B 3/00 20060101AFI20231013BHJP
G01R 31/50 20200101ALI20231013BHJP
G01R 31/55 20200101ALI20231013BHJP
G01R 31/56 20200101ALI20231013BHJP
G01R 31/58 20200101ALI20231013BHJP
G01R 31/67 20200101ALI20231013BHJP
H02B 1/40 20060101ALN20231013BHJP
【FI】
H02B3/00 P
G01R31/50
G01R31/55
G01R31/56
G01R31/58
G01R31/67
H02B1/40 A
(21)【出願番号】P 2019153092
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末富 貴博
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 淳平
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-035227(JP,A)
【文献】米国特許第09219361(US,B1)
【文献】特開平01-176957(JP,A)
【文献】特開2003-107121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
G01R 31/50
G01R 31/55
G01R 31/56
G01R 31/58
G01R 31/67
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象施設に設置される配線器具の特定方法であって、
前記配線器具の設置位置から送信される電波の電波強度、又は音波の音波強度を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得した前記電波強度又は前記音波強度
と、前記対象施設における前記配線器具のレイアウト情報とに基づいて、前記対象施設における前記配線器具の位置を特定する特定ステップと、を有する、
配線器具の特定方法。
【請求項2】
前記配線器具を特定するための識別情報が前記電波又は前記音波に含まれている、
請求項1に記載の配線器具の特定方法。
【請求項3】
前記特定ステップにおいて、前記対象施設における前記配線器具のレイアウト情報と前記識別情報とが紐付けられる、
請求項2に記載の配線器具の特定方法。
【請求項4】
前記特定ステップによる紐付け結果を特定装置に送信する送信ステップを更に有する、
請求項3に記載の配線器具の特定方法。
【請求項5】
前記特定ステップは、前記対象施設の外部に設けられた外部システムで実行される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の配線器具の特定方法。
【請求項6】
前記電波又は前記音波は指向性を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の配線器具の特定方法。
【請求項7】
前記対象施設には複数の前記配線器具が設置されており、
前記取得ステップにおいて、前記対象施設における特定位置に設置された親機が、前記複数の配線器具と一対一に対応し、かつ前記複数の配線器具と同じ位置に設置された複数の子機との間で送受信される前記電波の前記電波強度又は前記音波の前記音波強度を取得する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の配線器具の特定方法。
【請求項8】
前記対象施設には複数の前記配線器具が設置されており、
前記取得ステップにおいて、前記対象施設における特定位置に設置された親機、及び前記複数の配線器具と一対一に対応し、かつ前記複数の配線器具と同じ位置に設置された複数の子機の各々は、相互に送受信される前記電波の前記電波強度又は前記音波の前記音波強度を取得する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の配線器具の特定方法。
【請求項9】
前記複数の配線器具と前記複数の子機とを対応付けた対応表を作成する作成ステップを更に有する、
請求項7又は8に記載の配線器具の特定方法。
【請求項10】
前記複数の子機の各々は、前記複数の配線器具のうち対応する配線器具に取り付けられる治具である、
請求項7~9のいずれか1項に記載の配線器具の特定方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の配線器具の特定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
対象施設に設置される配線器具の特定方法に用いられる配線器具システムであって、
前記配線器具の設置位置から送信される電波の電波強度、又は音波の音波強度を取得する取得部と、
前記取得部にて取得した前記電波強度又は前記音波強度と、前記対象施設における前記配線器具のレイアウト情報とに基づいて、前記対象施設における前記配線器具の位置を特定する特定部と、を備える、
配線器具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線器具の特定方法、プログラム、及び配線器具システムに関する。より詳細には、本開示は、対象施設における配線器具の位置を特定するための配線器具の特定方法、プログラム、及び配線器具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤の分岐回路接続チェック装置が記載されている。特許文献1に記載のチェック装置は、親機と、子機と、負荷装置と、を備える。親機は、分岐ブレーカごとに通電電流を測定する手段、及び分岐ブレーカごとの通電電流を子機に対して送信する手段を備える。子機は、親機からの送信信号を受信する手段、及び分岐ブレーカごとの通電電流を表示する手段を備える。負荷装置は、コンセントに接続される。
【0003】
特許文献1に記載のチェック装置では、作業者が負荷装置をコンセントに接続することで、負荷装置に電流が流れる。親機は、この電流の変化を測定し、子機に対して測定した電流値を送信する。作業者は、子機に表示される電流値の変化から、コンセントがどの分岐ブレーカに接続されているかを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のチェック装置(配線器具システム)では、負荷装置をコンセント(配線器具)に接続した後、子機にて表示される各分岐ブレーカの電流値を確認する作業を配線器具ごとに行わなければならず、作業工数がかかるという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、作業工数を削減することができる配線器具の特定方法、プログラム、及び配線器具システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る配線器具の特定方法は、対象施設に設置される配線器具の特定方法である。前記配線器具の特定方法は、取得ステップと、特定ステップと、を有する。前記取得ステップは、前記配線器具の設置位置から送信される電波の電波強度、又は音波の音波強度を取得するステップである。前記特定ステップは、前記取得ステップにて取得した前記電波強度又は前記音波強度と、前記対象施設における前記配線器具のレイアウト情報とに基づいて、前記対象施設における前記配線器具の位置を特定するステップである。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記配線器具の特定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0009】
本開示の一態様に係る配線器具システムは、対象施設に設置される配線器具の特定方法に用いられる配線器具システムである。前記配線器具システムは、取得部と、特定部と、を備える。前記取得部は、前記配線器具の設置位置から送信される電波の電波強度、又は音波の音波強度を取得する。前記特定部は、前記取得部にて取得した前記電波強度又は前記音波強度と、前記対象施設における前記配線器具のレイアウト情報とに基づいて、前記対象施設における前記配線器具の位置を特定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、作業工数を削減することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る配線器具システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、同上の配線器具システムにおける分電盤の概略構成を示す説明図である。
【
図3】
図3Aは、同上の配線器具システムに用いられる子機の概略構成を示す斜視図である。
図3Bは、同上の子機の概略構成を示す説明図である。
【
図4】
図4は、同上の配線器具システムに用いられる配線器具のレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、同上の配線器具システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、一実施形態の変形例1に係る配線器具システムに用いられる子機の概略構成を示す説明図である。
【
図7】
図7は、同上の配線器具システムに用いられる配線器具のレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の変形例2に係る配線器具システムの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
(1)概要
まず、本実施形態に係る配線器具B1の特定方法、及び配線器具システム100の概要について説明する。
【0013】
本実施形態に係る配線器具B1の特定方法は、
図4に示すように、例えば、対象施設200の各空間202~206に設置された配線器具B1の位置を特定するための方法であり、配線器具システム100(
図1参照)にて実現される。本実施形態では一例として、対象施設200は戸建て住宅であるが、対象施設200は戸建て住宅に限らず、例えば、集合住宅の各住戸であってもよいし、オフィスビル、工場、病院、学校等の非住宅であってもよい。対象施設200が戸建て住宅の場合、各空間202~206は、後述する洋室、和室、リビング、キッチン等である(
図4参照)。
【0014】
配線器具B1は、
図1に示すように、配線A1を介して分電盤1に接続されており、分電盤1から電力が供給される。配線A1は、分電盤1内に設置された分岐ブレーカ3の二次側端子と配線器具B1との間を接続する配線である。本実施形態では一例として、配線器具B1はコンセント(アウトレット)であるが、配線器具B1はコンセントに限らず、例えば、建物の天井等に設置される引掛シーリングローゼットであってもよい。また、本実施形態では、
図4に示すように、配線器具B1は、対象施設200の内部に設置されているが、対象施設200の外部に設置されていてもよい。
【0015】
本実施形態に係る配線器具システム100は、
図1に示すように、取得部としての測定部731と、特定部としての処理部73と、を備える。測定部731は、配線器具B1の設置位置から送信される電波の電波強度又は音波の音波強度を取得する。本実施形態では、測定部731は、配線器具B1に接続された子機6(後述する)から送信される電波の電波強度を取得する。本開示でいう「電波強度」とは、子機6から送信される電波の親機7(後述する)での受信の感度をいい、例えば、親機7が受信した電波の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)で定義される。処理部73は、測定部731にて取得した電波強度に基づいて、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する。
【0016】
また、本実施形態に係る配線器具B1の特定方法は、取得ステップS1(
図5参照)と、特定ステップS4(
図5参照)と、を有する。取得ステップS1は、配線器具B1の設置位置から送信される電波の電波強度又は音波強度を取得するステップである。特定ステップS4は、取得ステップS1にて取得した電波強度又は音波強度に基づいて、対象施設200における配線器具B1の位置を特定するステップである。
【0017】
上述のように、本実施形態では、処理部73は、測定部731にて取得した電波強度に基づいて配線器具B1の位置を特定している。そのため、子機にて表示される各分岐ブレーカの電流値を確認する作業を配線器具ごとに行う場合に比べて、作業工数を削減することができる。
【0018】
(2)構成
次に、本実施形態に係る配線器具システム100の構成について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る配線器具システム100は、
図1に示すように、複数の子機6と、親機7と、を備える。さらに、配線器具システム100は、特定装置8を備える。ここで、本実施形態では、配線器具システム100が特定装置8を備えているが、配線器具システム100は少なくとも複数の子機6と親機7とを備えていればよく、特定装置8を備えていなくてもよい。つまり、特定装置8は配線器具システム100に必須の構成ではない。
【0020】
(2.1)分電盤
まず、分電盤1の構成について、
図2を参照して説明する。以下の説明では、特に断りがない限り、
図2の上下左右を分電盤1の上下左右と規定し、
図2の紙面に垂直な方向を分電盤1の前後方向(手前が前)と規定する。詳しくは、主幹ブレーカ2と分岐ブレーカ3とが並ぶ方向を左右方向、キャビネット本体11の底部と計測アダプタ4とが並ぶ方向を前後方向と規定する。また、左右方向及び前後方向と直交する方向を上下方向と規定する。
【0021】
分電盤1は、
図2に示すように、キャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、計測アダプタ4と、検知部5と、を備える。
【0022】
キャビネット10は、前面が開口した箱状のキャビネット本体11と、キャビネット本体11の開口を塞ぐ蓋と、を有する。なお、
図2では、蓋の図示を省略している。キャビネット10の内部には、主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3、計測アダプタ4、及び検知部5が収容されている。キャビネット10の内部において、計測アダプタ4、主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3は、左右方向において左からこの順に配置されている。
【0023】
主幹ブレーカ2は、キャビネット10の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。なお、キャビネット10の内部での主幹ブレーカ2の位置は、例えば、左右方向の中央よりも右側の位置であってよい。主幹ブレーカ2は、一次側端子21と、二次側端子と、を有する。本実施形態に係る分電盤1では、配電方式として単相三線式を想定しているので、主幹ブレーカ2の一次側端子21には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引き込み線が電気的に接続される。また、主幹ブレーカ2の二次側端子には、第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーが接続される。各導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、キャビネット10の内部において、上下方向の中央であって主幹ブレーカ2の右側の位置に配置されている。
【0024】
複数の分岐ブレーカ3は、中性極の導電バーの上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、
図2に示すように、中性極の導電バーの上側に、12個の分岐ブレーカ3が左右方向に並ぶように配置され、かつ、中性極の導電バーの下側に、12個の分岐ブレーカ3が左右方向に並ぶように配置されている。
【0025】
各分岐ブレーカ3は、一対の一次側端子と、一対の二次側端子と、を有する。分岐ブレーカ3には100V用と200V用とがある。100V用の分岐ブレーカ3が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バー及び第2電圧極の導電バーのうちの一方と、中性極の導電バーと、にそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐ブレーカ3が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バーと、第2電圧極の導電バーと、にそれぞれ電気的に接続される。また、分岐ブレーカ3の二次側端子には、対応する配線A1が電気的に接続される。各分岐ブレーカ3の二次側端子に接続された配線A1には、照明器具、空調機器、テレビ受像器及び給湯設備等の機器、配線器具B1、又は壁スイッチ等が負荷として1つ以上接続される。
【0026】
検知部5は、複数の分岐ブレーカ3の各々に接続された負荷(配線A1)に流れる電流を検知するように構成されている。検知部5は、例えば、基板と、複数のコイル51(
図1参照)と、を有する。基板は、左右方向に長い板状である。基板には、複数の孔が形成されている。複数の孔には、導電バーから延びて分岐ブレーカ3の一次側端子に接続される端子がそれぞれ挿入される。コイル51は、例えば、ロゴスキコイルであり、基板の孔の周りに形成されている。本実施形態では、検知部5は、複数のコイル51の各々に誘起される電流を計測することにより、複数の分岐ブレーカ3の各々に接続された配線A1を流れる電流を検知する。
【0027】
計測アダプタ4は、キャビネット10の内部において、主幹ブレーカ2の左側に配置されている。計測アダプタ4は、分電盤1内の主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3の少なくとも一方を通過する電力を計測する計測機能、及びキャビネット10の外部に設置された特定装置8(
図1参照)と通信する通信機能を有する。
【0028】
より詳しくは、本実施形態に係る計測アダプタ4は、検知部5、及び主幹ブレーカ2に流れる電流を計測する主幹検知部と電気的に接続されている。ここに、主幹検知部は、例えば、カレントトランス(CT)からなる電流センサを有する。そして、計測アダプタ4は、検知部5及び主幹検知部が計測した電流の値のそれぞれを電力値に変換する機能(計測機能)を有している。
【0029】
また、計測アダプタ4は、特定装置8との間で通信する機能(通信機能)を有している。特定装置8は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御を行うように構成されたコントローラである。特定装置8は、キャビネット10の外部に設置されている。ここに、HEMS対応機器は、スマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、又はテレビ受像機等を含む。なお、HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
【0030】
計測アダプタ4と特定装置8(コントローラ)との間の通信方式は、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信であってもよい。また、計測アダプタ4と特定装置8との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。
【0031】
また、計測アダプタ4と特定装置8との間の通信における通信プロトコルは、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等を用いてもよい。
【0032】
本実施形態に係る分電盤1では、計測アダプタ4は、検知部5が計測した複数の配線A1の各々の電流値を検知部5から受け取る。さらに、計測アダプタ4は、主幹検知部が計測した電流値を主幹検知部から受け取る。計測アダプタ4は、検知部5及び主幹検知部が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。計測アダプタ4は、収集した瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量のデータを演算する機能を有している。したがって、計測アダプタ4と通信する特定装置8(コントローラ)は、複数の配線A1に接続された複数の負荷の各々での瞬時電力や電力量に基づいてHEMS対応機器を制御することができる。
【0033】
また、計測アダプタ4は、太陽光発電装置、蓄電装置、及び電気自動車に電気的に接続される電力変換装置のうちの少なくとも1つとの間で通信する機能(通信機能)を有している。なお、電力変換装置は、分電盤1から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。
【0034】
また、計測アダプタ4は、ガスメータと水道メータとの少なくとも一方との通信機能を有している。計測アダプタ4と太陽光発電装置、蓄電装置、及び電力変換装置との間の通信方式は、RS-485等の通信規格に準拠した有線通信である。なお、計測アダプタ4は、貯湯型の給湯装置(エコキュート(登録商標))等と通信可能であってもよい。ただし、計測アダプタ4とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。
【0035】
(2.2)子機
次に、子機6の構成について、
図3A及び
図3Bを参照して説明する。
【0036】
子機6は、
図3Aに示すように、直方体状の筐体60と、筐体60から突出する3つの栓刃61と、を有する。筐体60の内部には、
図3Bに示すように、電源部62と、制御部63と、通信部64と、設定部65とが収容されている。3つの栓刃61は、電圧線(L線)に接続される栓刃611と、中性線(N線)に接続される栓刃612と、接地線(E線)に接続される栓刃613と、で構成されている。つまり、本実施形態では、子機6は、2極接地極付コンセントである配線器具B1に接続可能である。言い換えると、子機6は、配線器具B1に取り付けられる治具である。また、子機6は、100V用の配線器具B1と、200V用の配線器具B1とのいずれにも接続可能である。
【0037】
電源部62は、3つの栓刃61のうちの栓刃611,612に電気的に接続されており、子機6の動作電源を生成する。具体的には、電源部62は、配線A1を介して分電盤1から栓刃611と栓刃612との間に印加される電圧を、所定の電圧に変換し、変換した電圧を制御部63へ供給する。つまり、子機6は、配線器具B1に繋がっている配線A1の状態が正常であれば、配線器具B1に接続されることで、電源部62が子機6の動作電源を生成するため、起動する。
【0038】
制御部63は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部63としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部63は、通信部64を制御するように構成されている。
【0039】
通信部64は、親機7の通信部71(後述する)との間で、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信を行う。通信部64から送信される無線信号(電波信号)には、例えば、設定部65にて設定された子機6のアドレス(後述する)が含まれている。
【0040】
設定部65は、作業者がアドレスを入力するための入力インタフェースを有しており、入力されたアドレスを制御部63へ出力する。制御部63は、設定部65で入力されたアドレス、つまり作業者により設定されたアドレスをメモリに記憶する。本実施形態では、設定部65は、入力インタフェースとしてディップスイッチ651を有する。ディップスイッチ651は、子機6の筐体60から露出している(
図3A参照)。したがって、作業者は、ディップスイッチ651を用いてアドレスを入力することにより、子機6にアドレスを割り当てることが可能である。本実施形態では、設定部65により子機6に割り当てられるアドレスが配線器具B1を特定するための識別情報である。つまり、通信部64から送信される電波には、配線器具B1を特定するための識別情報(子機6のアドレス)が含まれている。
【0041】
(2.3)親機
次に、親機7の構成について、
図1を参照して説明する。
【0042】
親機7は、例えば、特定のソフトウェアを実行することにより、親機7として機能する汎用のラップトップ型のパーソナルコンピュータである。なお、親機7は、ラップトップ型のパーソナルコンピュータに限らず、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末であってもよい。また、親機7は、配線器具システム100に用いられる専用のデバイスであってもよい。
【0043】
親機7は、
図1に示すように、通信部71と、入力部72と、処理部73と、記憶部74と、を備える。
【0044】
通信部71は、子機6の通信部64との間、及び特定装置8との間で、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信を行う。親機7は、通信部71と子機6の通信部64との間で通信することにより、配線器具B1を特定するための識別情報としての子機6のアドレスを取得する。また、親機7は、通信部71と特定装置8との間で通信することにより、後述する特定ステップS4による紐付け結果を特定装置8に出力する。
【0045】
入力部72は、作業者がデータを入力するための入力インタフェースである。本実施形態では、入力部72は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータが備えるキーボード、及びマウス等のポインティングデバイスである。なお、入力部72は、タッチパネルディスプレイで実現されてもよい。
【0046】
処理部73は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、処理部73(後述する測定部731を含む)としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0047】
処理部73は、
図1に示すように、測定部731を有する。測定部731は、通信部71を介して子機6から受信した電波の電波強度を測定する。つまり、本実施形態では、測定部731は、配線器具B1の設置位置から送信される電波の電波強度を取得する取得部として機能する。具体的には、測定部731は、通信部71を介して子機6から受信した電波(無線信号)の受信信号強度(RSSI)を測定する。
【0048】
処理部73は、測定部731にて測定した受信信号強度に基づいて、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する。つまり、本実施形態では、処理部73は、取得部(測定部731)にて取得した電波強度(受信信号強度)に基づいて、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する特定部として機能する。具体的には、処理部73は、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報と、測定部731が測定した受信信号強度とに基づいて、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する。ここで、配線器具B1のレイアウト情報は、例えば、親機7が設置される特定位置としての第1空間201(
図4参照)から配線器具B1までの距離と、配線器具B1の設置場所(設置位置)とを含む。処理部73は、第1空間201から配線器具B1までの距離と、子機6からの電波の受信信号強度の大きさとの関係から、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する。なお、処理部73が配線器具B1の位置を特定する動作については、「(3.1)処理部の動作」にて詳しく説明する。
【0049】
また、処理部73は、配線器具B1と、配線器具B1に取り付けられた子機6とを対応付けた対応表(一覧表)を作成する。具体的には、処理部73は、表1に示すように、対象施設200における配線器具B1の設置位置(空間)と、配線器具B1に取り付けられた子機6のアドレスとを対応付けた対応表を作成する。言い換えると、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報と、配線器具B1に取り付けられた子機6のアドレス(識別情報)とが紐付けられる。
【0050】
【0051】
表1では、例えば、「洋室1」に設置された配線器具B1には、「No.1」のアドレスに設定された子機6が取り付けられ、「リビング」に設置された配線器具B1には、「No.4」のアドレスに設定された子機6が取り付けられている。
【0052】
記憶部74は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の書き換え可能な不揮発性メモリ、又はRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリである。また、記憶部74は、不揮発性メモリ及び揮発性メモリの組み合わせで実現されてもよい。記憶部74は、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報を記憶する。本実施形態では、記憶部74は、配線器具B1のレイアウト情報として、第1空間201(
図4参照)から配線器具B1までの距離を記憶する。また、記憶部74は、処理部73が作成した対応表を記憶する。
【0053】
(3)動作
次に、親機7の処理部73の動作、及び配線器具システム100の一連の動作について説明する。
【0054】
(3.1)処理部の動作
まず、親機7の処理部73が配線器具B1の位置を特定する動作について、
図4を参照して説明する。以下では、対象施設200に対して5つの配線器具B1が設置されている場合を例示するが、配線器具B1の個数は1つ以上であればよく、5つに限定されない。
【0055】
対象施設200は、
図4に示すように、複数の空間(第1空間201~第6空間206)を有する。第1空間201は、例えば、「玄関」である。第2空間202は、例えば、「洋室1」である。第3空間203は、例えば、「和室」である。第4空間204は、例えば、「洋室2」である。第5空間205は、例えば、「リビング」である。第6空間206は、例えば、「キッチン」である。
【0056】
図4では、親機7は、第1空間201としての「玄関」に設置されている。つまり、本実施形態では、第1空間201が特定位置である。また、
図4では、第2空間202~第6空間206の各々に配線器具B1が設置されている。第2空間202の配線器具B1には、「No.1」のアドレスが設定された子機601が取り付けられている。第3空間203の配線器具B1には、「No.2」のアドレスが設定された子機602が取り付けられている。第4空間204の配線器具B1には、「No.3」のアドレスが設定された子機603が取り付けられている。第5空間205の配線器具B1には、「No.4」のアドレスが設定された子機604が取り付けられている。第6空間206の配線器具B1には、「No.5」のアドレスが設定された子機605が取り付けられている。
【0057】
処理部73の測定部731は、親機7の通信部71と各子機6の通信部64との通信にて受信した各子機6からの電波の受信信号強度(RSSI)を測定する。受信信号強度の測定結果を表2に示す。
【0058】
【0059】
表2では、子機605からの電波の受信信号強度が最も強く、子機602、子機603、子機601、子機604の順に受信信号強度が弱くなっている。
【0060】
また、記憶部74に記載させたレイアウト情報では、第5空間205の配線器具B1までの距離が最も長く、第2空間202、第4空間204、第3空間203、第6空間206の順に配線器具B1までの距離が短くなっている。
【0061】
処理部73は、例えば、子機605からの電波の受信信号強度が最も強く、かつ第6空間206の配線器具B1までの距離が最も短いことから、第6空間206の配線器具B1に取り付けられた子機が子機605であると判定(推定)する。つまり、処理部73は、子機605が取り付けられた配線器具B1が第6空間206に設置された(位置する)配線器具B1であると特定する。
【0062】
同様に、処理部73は、子機604からの電波の受信信号強度が最も弱く、かつ第5空間205の配線器具B1までの距離が最も長いことから、第5空間205の配線器具B1に取り付けられた子機が子機604であると判定する。つまり、処理部73は、子機604が取り付けられた配線器具B1が第5空間205に設置された(位置する)配線器具B1であると特定する。
【0063】
以下同様にして、処理部73は、第2空間202~第4空間204の各々に設置された配線器具B1を特定する。
【0064】
ここで、電波は、壁等の障害物にて減衰する場合もあるため、電波の受信信号強度を測定する際にこの減衰量を考慮することが好ましい。
【0065】
上述のように、本実施形態に係る配線器具システム100では、処理部73は、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報と、各子機6からの電波の受信信号強度(電波強度)との関係から、対象施設200における配線器具B1の位置を特定している。言い換えると、処理部73は、対象施設200において実際に設置されている配線器具B1と、図面上の配線器具B1との対応を特定している。また、処理部73は、対象施設200における配線器具B1の設置位置と、配線器具B1に取り付けられた子機6のアドレスとを対応付けた対応表を作成している。そのため、作業者は、配線器具B1と子機6との対応関係を考慮しないで配線器具B1に子機6を取り付けることができ、配線器具B1と子機6との対応関係を考慮しながら配線器具B1に子機6を取り付ける場合に比べて作業工数を削減することができる。
【0066】
また、配線器具B1と子機6との対応関係を考慮しながら配線器具B1に子機6を取り付ける場合には、接続間違い等の人為的ミスが生じる可能性がある。これに対して、本実施形態に係る配線器具システム100では、処理部73が、配線器具B1と子機6との対応関係を特定した後に上記対応表を作成するので、人為的ミスを抑制することができる。
【0067】
(3.2)配線器具システムの動作
次に、配線器具システム100の一連の動作について、
図5を参照して説明する。
【0068】
親機7において、処理部73の測定部731は、親機7の通信部71と各子機6の通信部64との通信にて受信した各子機6からの電波の受信信号強度(RSSI)を測定(取得)する(ステップS1)。処理部73は、測定部731が測定した各子機6の受信信号強度の大きさを比較する(ステップS2)。さらに、処理部73は、記憶部74から読み出した配線器具B1のレイアウト情報と、各子機6の受信信号強度とを対比させる(ステップS3)。そして、処理部73は、配線器具B1のレイアウト情報と、各子機6の受信信号強度との関係から、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する(ステップS4)。このとき、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報と、識別情報としての子機6のアドレスとが紐付けられる。
【0069】
また、処理部73は、対象施設200における配線器具B1の設置位置と、配線器具B1に取り付けられた子機6のアドレスとを対応付けた対応表を作成し、記憶部74に記憶させる(ステップS5)。そして、処理部73は、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報(設置位置)と識別情報とを紐付けた紐付け結果である上記対応表を、通信部71から特定装置8に送信させる(ステップS6)。
【0070】
本実施形態に係る配線器具システム100では、ステップS1において各子機6から送信される電波の受信信号強度(電波強度)を取得しており、ステップS1が配線器具B1の特定方法における取得ステップである。また、配線器具システム100では、ステップS4において対象施設200における配線器具B1の位置を特定しており、ステップS4が配線器具B1の特定方法における特定ステップである。また、配線器具システム100では、特定ステップとしてのステップS4において対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報(設置位置)と識別情報(子機6のアドレス)とを紐付けている。
【0071】
さらに、配線器具システム100では、ステップS5において配線器具B1と子機6とを対応付けた対応表を作成しており、ステップS5が配線器具B1の特定方法における作成ステップである。言い換えると、配線器具B1の特定方法は、複数の配線器具B1と複数の子機6とを対応付けた対応表を作成する作成ステップを更に有する。また、配線器具システム100では、ステップS6において紐付け結果である上記対応表を特定装置8に送信しており、ステップS6が配線器具B1の特定方法における送信ステップである。言い換えると、配線器具B1の特定方法は、特定ステップによる紐付け結果を特定装置8に送信する送信ステップを更に有する。
【0072】
また、配線器具システム100では、親機7は、ステップS1において、各子機6からの電波の受信信号強度を取得している。言い換えると、配線器具B1の特定方法では、取得ステップ(ステップS1)において、親機7が、複数の子機6との間で送受信される電波の電波強度(受信信号強度)を取得する。親機7は、対象施設200における特定位置(本実施形態では第1空間201)に設置されている。複数の子機6は、複数の配線器具B1と一対一に対応し、かつ複数の配線器具B1と同じ位置に設置されている。
【0073】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述の実施形態に係る配線器具B1の特定方法、及び配線器具システム100と同様の機能は、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るプログラムは、上述の配線器具B1の特定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0074】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0075】
(4.1)変形例1
上述の実施形態では、親機7のみが測定部731を有しているが、例えば、
図6に示すように、各子機6Aが測定部631を有していてもよい。以下、変形例1に係る配線器具システム100について、
図6及び
図7を参照して説明する。なお、変形例1に係る配線器具システム100では、各子機6Aが測定部631を有している以外の構成が上述の実施形態に係る配線器具システム100と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
(4.1.1)構成
変形例1に係る配線器具システム100は、
図7に示すように、複数(
図7では5つ)の子機6Aと、親機7と、を備える。さらに、配線器具システム100は、特定装置8を備える。なお、親機7及び特定装置8については上述の実施形態に係る配線器具システム100と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0077】
子機6Aは、
図6に示すように、3つの栓刃61と、電源部62と、制御部63と、通信部64と、設定部65と、を備える。なお、栓刃61、電源部62、通信部64及び設定部65については上述の実施形態に係る子機6と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0078】
制御部63は、
図6に示すように、測定部631を有する。測定部631は、通信部64を介して他の子機6Aから受信した電波(電波信号)の電波強度を測定する。つまり、本実施形態では、測定部631は、配線器具B1の設置位置から送信される電波の電波強度を取得する取得部として機能する。ここで、変形例1に係る配線器具システム100では、通信部64は、他の子機6Aの通信部64とも通信可能である。したがって、測定部631は、他の子機6Aから受信した電波の受信信号強度(RSSI)を測定可能である。
【0079】
制御部63は、測定部631の測定結果を含む信号を作成し、作成した信号を電波にて通信部64から親機7に送信させる。親機7では、処理部73は、各子機6Aからの電波に含まれている測定部631の測定結果、つまり他の子機6Aの受信信号強度を取得する。したがって、変形例1に係る配線器具システム100では、親機7は、各子機6Aから親機7に送信される電波の受信信号強度だけでなく、子機6A間で送信される電波の受信信号強度についても取得することができる。
【0080】
(4.1.2)動作
次に、親機7の処理部73が配線器具B1の位置を特定する動作について、
図7を参照して説明する。以下では、対象施設200に対して5つの配線器具B1が設置されている場合を例示するが、配線器具B1の個数は1つ以上であればよく、5つに限定されない。
【0081】
対象施設200は、
図7に示すように、複数の空間(第1空間201~第6空間206)を有する。第1空間201は、例えば、「玄関」である。第2空間202は、例えば、「洋室1」である。第3空間203は、例えば、「和室」である。第4空間204は、例えば、「洋室2」である。第5空間205は、例えば、「リビング」である。第6空間206は、例えば、「キッチン」である。
【0082】
図7では、親機7は、第1空間201としての「玄関」に設置されている。つまり、変形例1では、第1空間201が特定位置である。また、
図7では、第2空間202~第6空間206の各々に配線器具B1が設置されている。第2空間202の配線器具B1には、「No.1」のアドレスが設定された子機621が取り付けられている。第3空間203の配線器具B1には、「No.2」のアドレスが設定された子機622が取り付けられている。第4空間204の配線器具B1には、「No.3」のアドレスが設定された子機623が取り付けられている。第5空間205の配線器具B1には、「No.4」のアドレスが設定された子機624が取り付けられている。第6空間206の配線器具B1には、「No.5」のアドレスが設定された子機625が取り付けられている。
【0083】
各子機6Aでは、制御部63の測定部631は、他の子機6Aとの通信により受信した電波の受信信号強度(RSSI)を測定する。また、各子機6Aでは、制御部63は、測定部631の測定結果、及び子機6Aに設定されたアドレスを含む信号を作成し、作成した信号を電波にて通信部64から親機7に送信させる。一方、親機7では、処理部73は、各子機6Aからの電波に含まれている測定部631の測定結果、及び各子機6Aのアドレスを取得する。また、親機7では、処理部73の測定部731は、各子機6Aからの電波の受信信号強度を測定する。つまり、変形例1に係る配線器具B1の特定方法では、取得ステップにおいて、親機7及び複数の子機6Aの各々は、相互に送受信される電波の電波強度(受信信号強度)を取得する。親機7は、対象施設200における特定位置(変形例1では第1空間201)に設置されている。複数の子機6Aは、複数の配線器具B1と一対一に対応し、かつ複数の配線器具B1と同じ位置に設置されている。受信信号強度の測定結果を表3に示す。
【0084】
【0085】
表3では、各子機6Aから親機7への電波の受信信号強度については、子機625の受信信号強度が最も強く、子機622、子機623、子機621、子機624の順に受信信号強度が弱くなっている。
【0086】
また、記憶部74に記載させたレイアウト情報では、第5空間205の配線器具B1までの距離が最も長く、第2空間202、第4空間204、第3空間203、第6空間206の順に配線器具B1までの距離が短くなっている。
【0087】
処理部73は、例えば、子機625の受信信号強度が最も強く、かつ第6空間206の配線器具B1までの距離が最も短いことから、第6空間206の配線器具B1に取り付けられた子機が子機625であると判定(推定)する。つまり、処理部73は、子機625が取り付けられた配線器具B1が第6空間206に設置された(位置する)配線器具B1であると特定する。
【0088】
同様に、処理部73は、子機624の受信信号強度が最も弱く、かつ第5空間205の配線器具B1までの距離が最も長いことから、第5空間205の配線器具B1に取り付けられた子機が子機624であると判定する。つまり、処理部73は、子機624が取り付けられた配線器具B1が第5空間205に設置された(位置する)配線器具B1であると特定する。
【0089】
以下同様にして、処理部73は、第2空間202~第4空間204の各々に設置された配線器具B1を特定する。
【0090】
この場合においても、電波の受信信号強度を測定する際に、壁等の障害物による電波の減衰量を考慮することが好ましい。
【0091】
ここで、変形例1に係る配線器具システム100では、親機7の処理部73は、上述のように、各子機6Aに対する他の子機6Aからの電波の受信信号強度についても取得している。そのため、処理部73は、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する際に、これらの受信信号強度を利用することができる。
【0092】
例えば、各子機6Aから子機621への電波の受信信号強度については、表3に示すように、子機622~625のうち、子機622の受信信号強度が最も強く、子機623、子機625、子機624の順に受信信号強度が弱くなっている。処理部73は、上記結果から、子機622~625のうち、子機622が子機621に最も近く、子機623、子機625、子機624の順に子機621から離れていると判断する。
【0093】
また、各子機6Aから子機622への電波の受信信号強度については、表3に示すように、子機623~625のうち、子機623の受信信号強度が最も強く、子機624,625の受信信号強度が同程度で、かつ子機623の受信信号強度よりも弱くなっている。処理部73は、上記結果から、子機623~625のうち、子機623が子機622に最も近く、子機624,625が子機623よりも離れていると判断する。
【0094】
また、各子機6Aから子機623への電波の受信信号強度については、表3に示すように、子機624,625のうち、子機624の受信信号強度が最も強く、子機625の受信信号強度は子機624の受信信号強度よりも弱くなっている。処理部73は、上記結果から、子機624,625のうち、子機624が子機623に最も近く、子機625が子機624よりも離れていると判断する。なお、表3によれば、子機625から子機624への電波の受信信号強度は「中」である。
【0095】
変形例1に係る配線器具システム100では、上述のように、親機7の処理部73は、各子機6Aからの電波の受信信号強度だけでなく、子機6A間の電波の受信信号強度についても取得することができる。そのため、上述の実施形態に係る配線器具システム100のように、各子機6からの電波の受信信号強度のみで配線器具B1の位置を特定する場合に比べて、子機6A間の相対位置を考慮することで配線器具B1の位置特定の精度を向上させることができる。
【0096】
また、変形例1に係る配線器具システム100によれば、上述の実施形態に係る配線器具システム100と同様に、作業工数を削減することができると共に、接続間違い等の人為的ミスを抑制することができる。
【0097】
なお、変形例1では、例えば、子機621と子機622との間において、子機622からの電波の電波強度を子機621にて取得している。これに対して、子機621からの電波の電波強度を子機622にて取得してもよいし、子機621及び子機622の両方において他方からの電波の電波強度を取得してもよい。この場合においても、電波の受信信号強度を測定する際に、壁等の障害物による電波の減衰量を考慮することが好ましい。
【0098】
(4.2)変形例2
上述の実施形態では、親機7の処理部73が対象施設200における配線器具B1の位置を特定する特定ステップを実行しているが、
図8に示すように、対象施設200の外部に設けられた外部システム9が特定ステップを実行してもよい。以下、変形例2に係る配線器具システム100について、
図8を参照して説明する。なお、変形例2に係る配線器具システム100では、外部システム9が特定ステップを実行する以外の構成が上述の実施形態に係る配線器具システム100と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
変形例2に係る配線器具システム100は、
図8に示すように、複数の子機6と、親機7と、を備える。さらに、配線器具システム100は、特定装置8を備える。
【0100】
親機7は、
図8に示すように、ネットワークN1を介して外部システム9に接続されており、外部システム9と通信可能である。ネットワークN1は、例えば、インターネットである。外部システム9は、例えば、対象施設200の外部に設けられたサーバである。
【0101】
変形例2に係る配線器具システム100では、外部システム9が上述の特定ステップ(
図5のステップS4)を実行する。言い換えると、特定ステップは、対象施設200の外部に設けられた外部システム9で実行される。外部システム9は、親機7の通信部71との通信により、親機7の測定部731の測定結果を取得する。そして、外部システム9は、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報と、親機7から取得した測定部731の測定結果とに基づいて、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する。この場合において、外部システム9は、配線器具B1のレイアウト情報を予めメモリに記憶させていてもよいし、親機7から取得してもよい。また、外部システム9は、特定ステップによる紐付け結果を親機7に送信し、親機7は、上記紐付け結果を特定装置8に送信する。この場合において、外部システム9は、特定ステップによる紐付け結果を特定装置8に直接送信してもよい。
【0102】
変形例2に係る配線器具システム100では、対象施設200の外部に設けられた外部システム9が特定ステップを実行するので、親機7は特定ステップを実行しなくてもよく、親機7の処理負担を軽減することができる。また、変形例2に係る配線器具システム100によれば、上述の実施形態に係る配線器具システム100と同様に、作業工数を削減することができると共に、接続間違い等の人為的ミスを抑制することができる。
【0103】
なお、変形例2に係る配線器具システム100では、外部システム9がサーバであるが、外部システム9はサーバに限らず、例えば、クラウドコンピューティングによって実現されてもよい。
【0104】
(4.3)その他の変形例
以下、上述の実施形態のその他の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、上述の実施形態に限らず、変形例1及び変形例2においても、適宜組み合わせて適用可能である。
【0105】
本開示における配線器具システム100は、例えば、子機6、親機7及び特定装置8等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における配線器具システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。更に、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0106】
また、例えば親機7における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは、親機7に必須の構成ではない。つまり、親機7の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、親機7の少なくとも一部の機能、例えば、処理部73の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0107】
上述の実施形態では、処理部73は、親機7が設置された特定位置から配線器具B1までの距離と、各子機6から送信される電波の電波強度(受信信号強度)との関係から、対象施設200における配線器具B1の位置を特定している。つまり、上述の実施形態では、処理部73は、各子機6から送信される電波の電波強度のみで配線器具B1の位置を特定している。これに対して、処理部73は、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する際に、各子機6から送信される電波の電波強度だけでなく、各子機6から送信される電波の指向性を考慮してもよい。以下、
図4を参照して具体的に説明する。
【0108】
処理部73は、例えば、第5空間205に設置された配線器具B1までの距離が最も長く、かつ子機604からの電波の受信信号強度が最も弱いことから、子機604が取り付けられた配線器具B1が第5空間205に設置された配線器具B1であると特定する。また、処理部73は、子機604からの電波の到来方向が、上記特定位置としての第1空間201に設置された親機7から見た配線器具B1の方向と一致していれば、子機604が取り付けられた配線器具B1が第5空間205に設置された配線器具B1であると特定する。本開示でいう「一致する」とは、両者が完全に一致している場合だけでなく、両者がわずかにずれている場合も含む。このように、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する際に、各子機6から送信される電波の電波強度(受信信号強度)だけでなく、各子機6から送信される電波の指向性を考慮することで、配線器具B1の位置特定の精度を向上させることができる。
【0109】
上述の実施形態では、各子機6から親機7に送信される電波の受信信号強度を電波強度としているが、親機7から各子機6に送信される電波の受信信号強度を電波強度としてもよい。この場合、各子機6は、親機7から送信される電波の受信信号強度を取得し、取得した受信信号強度を含む信号を電波にて親機7に送信する。親機7は、各子機6から送信される電波に含まれている受信信号強度を取得する。そして、親機7は、各子機6から取得した受信信号強度に基づいて、対象施設200における配線器具B1の位置を特定する。また、この場合において、親機7から送信される電波の指向性を考慮してもよい。
【0110】
上述の実施形態では、親機7は、各子機6から送信される電波の電波強度に基づいて配線器具B1の位置を特定しているが、例えば、各子機6から送信される音波の音波強度に基づいて配線器具B1の位置を特定してもよい。つまり、親機7と各子機6とが音波通信を行うように構成されていてもよい。本開示でいう「音波強度」とは、例えば、音圧レベルをいい、音源からの距離が長くなるほど音圧レベルは小さくなる。
図4において、例えば、親機7から第5空間205に設置された配線器具B1までの距離は最も長く、この配線器具B1に取り付けられた子機604から送信される音波の音波強度は最も弱くなる。したがって、処理部73は、親機7から配線器具B1までの距離と、子機6から送信される音波の音波強度との関係から、対象施設200における配線器具B1の位置を特定することができる。
【0111】
上述の実施形態では、配線器具B1に取り付けられる治具としての子機6が通信部64を有しているが、配線器具B1が通信部を有していてもよい。つまり、配線器具B1の設置位置から電波又は音波を送信するように構成されていればよく、通信部は、配線器具B1に内蔵されていてもよいし、配線器具B1に取り付けられる子機6に設けられていてもよい。
【0112】
上述の実施形態では、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報は、対象施設200の特定位置(親機7が設置された位置)から配線器具B1までの距離を含んでいる。つまり、上述の実施形態では、上記レイアウト情報は1次元の位置情報を含んでいる。これに対して、上記レイアウト情報は、2次元の位置情報を含んでいてもよいし、3次元の位置情報を含んでいてもよい。例えば、上記レイアウト情報が2次元の位置情報を含んでいれば、同一平面上に設置された複数の配線器具B1の位置を特定することができる。また、上記レイアウト情報が3次元の位置情報を含んでいれば、例えば、対象施設200において複数階に跨って複数の配線器具B1が設置されている場合でも、複数の配線器具B1の位置を特定することができる。
【0113】
上述の実施形態では、処理部73は、対象施設200における配線器具B1のレイアウト情報と、各子機6から送信される電波の受信信号強度との関係から、対象施設200における配線器具B1の位置を特定している。これに対して、処理部73は、例えば、機械学習を用いて、対象施設200における配線器具B1の位置を特定してもよい。以下、具体的に説明する。処理部73は、学習済みモデルを用いて、少なくとも各子機6から送信される電波の受信信号強度を入力とし、対象施設200における配線器具B1の位置を特定(推定)する。学習済みモデルは、各子機6から送信される電波の受信信号強度、及び対象施設200における配線器具B1の位置を含むデータを訓練データとして、機械学習により生成される。
【0114】
上述の実施形態では、子機6に設けられたディップスイッチ651を用いて子機6のアドレスを設定しているが、子機6は予め固有識別番号を有していてもよい。これにより、作業者が子機6のアドレスを設定する作業を省略することができる。
【0115】
上述の実施形態では、配線器具B1と子機6とが別体であり、配線器具B1に対して子機6が取り付けられるようになっているが、配線器具B1に子機6が内蔵されていてもよい。
【0116】
ところで、処理部73にて用いられる学習済みモデルは、学習装置での機械学習により生成される。学習装置及び処理部73は、いかなるタイプの人工知能又はシステムとして実装されてもよい。ここで、学習装置が適用する機械学習のアルゴリズムは、一例として、XGB(eXtreme Gradient Boosting)回帰である。ただし、機械学習のアルゴリズムは、XGB回帰に限らず、ニューラルネットワーク(Neural Network)、ランダムフォレスト(Randam Forest)、決定木(decision tree)、ロジスティック回帰(Logistic Regression)、サポートベクターマシン(SVM:Support vector machine)、単純ベイズ(Naive Bayes)分類器、又はk近傍法(k-nearest neighbors)等であってもよい。さらに、機械学習のアルゴリズムは、混合ガウスモデル(GMM:Gaussian Mixture Model)、又はk平均法(k-means clustering)等であってもよい。
【0117】
また、学習装置が採用する学習方法は、ここでは、教師あり学習である。そのため、訓練データとしては、上述したように、正解付き(ラベル付き)のデータ(Labeled Data)が用いられる。ラベル付けは、人が行ってもよい。ただし、学習装置が採用する学習方法は、教師あり学習に限らず、教師なし学習又は強化学習であってもよい。
【0118】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る配線器具(B1)の特定方法は、対象施設(200)に設置される配線器具(B1)の特定方法である。配線器具(B1)の特定方法は、取得ステップ(S1)と、特定ステップ(S4)と、を有する。取得ステップ(S1)は、配線器具(B1)の設置位置から送信される電波の電波強度、又は音波の音波強度を取得するステップである。特定ステップ(S4)は、取得ステップ(S1)にて取得した電波強度又は音波強度に基づいて、対象施設(200)における配線器具(B1)の位置を特定するステップである。
【0119】
この態様によれば、作業工数を削減することができる。
【0120】
第2の態様に係る配線器具(B1)の特定方法では、第1の態様において、特定ステップ(S4)において、取得ステップ(S1)にて取得した電波強度又は音波強度と、対象施設(200)における配線器具(B1)のレイアウト情報とに基づいて、対象施設(200)における配線器具(B1)の位置を特定する。
【0121】
この態様によれば、作業工数を削減することができる。
【0122】
第3の態様に係る配線器具(B1)の特定方法では、第1又は2の態様において、配線器具(B1)を特定するための識別情報(例えば、子機6のアドレス)が電波又は音波に含まれている。
【0123】
この態様によれば、電波又は音波を受信することで識別情報を取得することができる。
【0124】
第4の態様に係る配線器具(B1)の特定方法では、第3の態様において、特定ステップ(S4)において、対象施設(200)における配線器具(B1)のレイアウト情報と識別情報とが紐付けられる。
【0125】
この態様によれば、配線器具(B1)のレイアウト情報と識別情報とを紐付けることができる。
【0126】
第5の態様に係る配線器具(B1)の特定方法は、第4の態様において、送信ステップ(S6)を更に有する。送信ステップ(S6)は、特定ステップ(S4)による紐付け結果を特定装置(8)に送信するステップである。
【0127】
この態様によれば、配線器具(B1)のレイアウト情報と識別情報とを紐付けた紐付け結果を特定装置(8)に送信することができる。
【0128】
第6の態様に係る配線器具(B1)の特定方法では、第1~5のいずれかの態様において、特定ステップ(S4)は、対象施設(200)の外部に設けられた外部システム(9)で実行される。
【0129】
この態様によれば、対象施設(200)における配線器具(B1)の位置を外部システム(9)にて特定することができる。
【0130】
第7の態様に係る配線器具(B1)の特定方法では、第1~6のいずれかの態様において、電波又は音波は指向性を有する。
【0131】
この態様によれば、配線器具(B1)の位置特定の精度を向上させることができる。
【0132】
第8の態様に係る配線器具(B1)の特定方法では、第1~7のいずれかの態様において、対象施設(200)には複数の配線器具(B1)が設置されている。配線器具(B1)の特定方法では、取得ステップ(S1)において、親機(7)が、複数の子機(6)との間で送受信される電波の電波強度又は音波の音波強度を取得する。親機(7)は、対象施設(200)における特定位置(201)に設置される。複数の子機(6)は、複数の配線器具(B1)と一対一に対応し、かつ複数の配線器具(B1)と同じ位置に設置される。
【0133】
この態様によれば、配線器具(B1)の位置を特定することができる。
【0134】
第9の態様に係る配線器具(B1)の特定方法では、第1~7のいずれかの態様において、対象施設(200)には複数の配線器具(B1)が設置されている。配線器具(B1)の特定方法では、取得ステップ(S1)において、親機(7)及び複数の子機(6)の各々は、相互に送受信される電波の電波強度又は音波の音波強度を取得する。親機(7)は、対象施設(200)における特定位置(201)に設置される。複数の子機(6)は、複数の配線器具(B1)と一対一に対応し、かつ複数の配線器具(B1)と同じ位置に設置される。
【0135】
この態様によれば、配線器具(B1)の位置特定の精度を向上させることができる。
【0136】
第10の態様に係る配線器具(B1)の特定方法は、第8又は9の態様において、作成ステップ(S5)を更に備える。作成ステップ(S5)は、複数の配線器具(B1)と複数の子機(6)とを対応付けた対応表を作成するステップである。
【0137】
この態様によれば、事前に作成した対応表に基づいて配線器具(B1)に子機(6)を取り付ける場合のような人為的ミスを抑制することができる。
【0138】
第11の態様に係る配線器具(B1)の特定方法では、第8~10のいずれかの態様において、複数の子機(6)の各々は、複数の配線器具(B1)のうち対応する配線器具(B1)に取り付けられる治具である。
【0139】
この態様によれば、電波又は音波を送受信する機能を配線器具(B1)に設けなくてもよいという利点がある。
【0140】
第12の態様に係るプログラムは、第1~11のいずれかの態様に係る配線器具(B1)の特定方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0141】
この態様によれば、作業工数を削減することができる。
【0142】
第13の態様に係る配線器具システム(100)は、対象施設(200)に設置される配線器具(B1)の特定方法に用いられる配線器具システム(100)である。配線器具システム(100)は、取得部(例えば、測定部731)と、特定部(例えば、処理部73)と、を備える。取得部は、配線器具(B1)の設置位置から送信される電波の電波強度、又は音波の音波強度を取得する。特定部は、取得部にて取得した電波強度又は音波強度に基づいて、対象施設(200)における配線器具(B1)の位置を特定する。
【0143】
この態様によれば、作業工数を削減することができる。
【0144】
第2~11の態様に係る構成については、配線器具(B1)の特定方法に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0145】
6 子機
7 親機
8 特定装置
9 外部システム
73 処理部(特定部)
100 配線器具システム
200 対象施設
201 第1空間(特定位置)
731 測定部(取得部)
B1 配線器具
S1 ステップ(取得ステップ)
S4 ステップ(特定ステップ)
S5 ステップ(作成ステップ)
S6 ステップ(送信ステップ)