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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/20 20060101AFI20231013BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H01H13/20 D
H01H13/52 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020521274
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2019020229
(87)【国際公開番号】W WO2019225635
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2018099353
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 由輝
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-071225(JP,A)
【文献】特開2006-107821(JP,A)
【文献】特開2011-258379(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0203912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00-13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成されている上面及び前記凹部の底面を有するボディを含み、前記ボディの前記凹部の前記底面に固定接点部を有するケースと、
可動接点部を有し、前記固定接点部に対向する位置に配置され、前記可動接点部が前記固定接点部に接触するオン位置と、前記可動接点部が前記固定接点部から離れるオフ位置との間を移動可能な可動部材と、
前記可動部材に対向する位置に配置され、外部からの力を受けて前記可動部材を押す押し子と、
前記押し子に繋がっており、前記ケースに対して前記押し子を支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、前記押し子の移動量が第1閾値に達するまでは前記支持部から前記押し子に作用する荷重が増大し、前記押し子の移動量が前記第1閾値に達すると前記支持部から前記押し子に作用する荷重が減少する特性を有し、
前記可動部材は、前記押し子の移動量が第2閾値に達するまでは前記可動部材から前記押し子に作用する荷重が増大し、前記押し子の移動量が前記第2閾値に達すると前記可動部材から前記押し子に作用する荷重が減少する特性を有し、
前記第1閾値は、前記第2閾値よりも小さく、
前記支持部は、前記ボディの前記上面に載せ置かれており、
前記支持部は、
中空の円錐台状の主部と、
前記ボディの前記上面に載せ置かれる台部と、
前記主部に一体に形成されており、前記ボディの前記凹部に挿入されており、前記凹部の内側の側壁に対向する延長部と、を含み、
前記押し子と前記可動部材とが並ぶ方向において、前記主部の前記押し子側の一端は、前記押し子に接続されており、前記主部の前記可動部材側の一端は、前記台部に接続されており
前記押し子と前記可動部材との間には、前記外部からの力を受けていない状態において、隙間が設けられており、
前記延長部は、前記押し子が前記外部からの力を受けている状態では、前記凹部の前記内側の側壁に接触する、
プッシュスイッチ。
【請求項2】
前記支持部は、ゴム製である、
請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記押し子及び前記支持部は、一体であって、ゴム製である、
請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記可動部材は、金属製である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
前記可動部材は、金属板製のドームである、
請求項4記載のプッシュスイッチ。
【請求項6】
前記押し子の弾性率は、前記可動部材の弾性率よりも小さい、
請求項1~5のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にプッシュスイッチに関し、より詳細には、可動部材の変形によりオン又はオフするプッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プッシュオンスイッチを開示している。このプッシュオンスイッチは、ケースと、可動接点と、押圧部と、弾性体と、を備える。ケースは、絶縁樹脂製であって、複数の固定接点を備える。可動接点は、ドーム状に形成された金属板製であって、節度を伴って反転動作して固定接点同士を接触させたり、開離させたりする。押圧部は、ケースの凹部内に収納され、可動接点と一定の距離を空けて位置する。弾性体は、押圧操作により、節度なく撓んで押圧部を上下動させる。
【0003】
特許文献1に記載のプッシュオンスイッチ(プッシュスイッチ)では、操作者が弾性体(押し子)を押操作した場合、弾性体により、可動接点(可動部材)の変形に伴い操作者に与えられる節度感(クリック感)が損なわれる可能性がある、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-120397号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示は、操作者が押し子を押操作した場合において、操作者に与えられる節度感が損なわれにくいプッシュスイッチを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係るプッシュスイッチは、凹部が形成されている上面及び前記凹部の底面を有するボディを含み、前記ボディの前記凹部の前記底面に固定接点部を有するケースと、可動部材と、押し子と、支持部と、を備える。前記可動部材は、可動接点部を有する。前記可動部材は、前記固定接点部に対向する位置に配置され、前記可動接点部が前記固定接点部に接触するオン位置と、前記可動接点部が前記固定接点部から離れるオフ位置との間を移動可能である。前記押し子は、前記可動部材に対向する位置に配置され、外部からの力を受けて前記可動部材を押す。前記支持部は、前記押し子に繋がっており、前記ケースに対して前記押し子を支持する。前記支持部は、前記押し子の移動量が第1閾値に達するまでは前記支持部から前記押し子に作用する荷重が増大し、前記押し子の移動量が前記第1閾値に達すると前記支持部から前記押し子に作用する荷重が減少する特性を有する。前記可動部材は、前記押し子の移動量が第2閾値に達するまでは前記可動部材から前記押し子に作用する荷重が増大し、前記押し子の移動量が前記第2閾値に達すると前記可動部材から前記押し子に作用する荷重が減少する特性を有する。前記第1閾値は、前記第2閾値よりも小さい。前記支持部は、前記ボディの前記上面に載せ置かれている。前記支持部は、中空の円錐台状の主部と、前記ボディの前記上面に載せ置かれる台部と、前記主部に一体に形成されており、前記ボディの前記凹部に挿入されており、前記凹部の内側の側壁に対向する延長部と、を含む。前記押し子と前記可動部材とが並ぶ方向において、前記主部の前記押し子側の一端は、前記押し子に接続されており、前記主部の前記可動部材側の一端は、前記台部に接続されている。前記押し子と前記可動部材との間には、前記外部からの力を受けていない状態において、隙間が設けられており、前記延長部は、前記押し子が前記外部からの力を受けている状態では、前記凹部の前記内側の側壁に接触する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1Aは、本開示の一実施形態に係るプッシュスイッチの非操作時の断面の概略図である。図1Bは、同上のプッシュスイッチの操作時の断面の概略図である。
図2図2は、同上のプッシュスイッチの全体斜視図である。
図3図3は、同上のプッシュスイッチの分解斜視図である。
図4図4は、同上のプッシュスイッチの押し子、可動部材、及びカバーを外した状態の平面図である。
図5図5Aは、同上のプッシュスイッチにおいて、押し子及び支持部を上方から見た斜視図である。図5Bは、同上のプッシュスイッチにおいて、押し子及び支持部を下方から見た斜視図である。
図6図6A図6Fは、それぞれ同上のプッシュスイッチにおける支持部の挙動を示す要部の断面図である。
図7図7Aは、同上のプッシュスイッチにおける、押し子の移動量と、押し子から操作者に作用する荷重との相関図である。図7Bは、押し子の移動量と、支持部から押し子に作用する荷重との相関図である。図7Cは、押し子の移動量と、押し子及び可動部材から操作者に作用する荷重との相関図である。図7Dは、押し子の移動量と、押し子から操作者に作用する荷重との相関図である。
図8図8Aは、比較例のプッシュスイッチの非操作時の断面の概略図である。図8Bは、同上のプッシュスイッチにおける、押し子の移動量と、支持部から押し子に作用する荷重との相関図である。
図9図9は、同上のプッシュスイッチにおける、比較例の可動部材を用いた場合の押し子の移動量と、押し子から操作者に作用する荷重との相関図である。
図10図10Aは、同上のプッシュスイッチにおける、押し子の移動量と、押し子及び比較例の可動部材から操作者に作用する荷重との相関図である。図10Bは、同上のプッシュスイッチにおける、押し子の移動量と、押し子から操作者に作用する荷重との相関図である。
図11図11は、本開示の一実施形態の変形例に係るプッシュスイッチの分解斜視図である。
図12図12は、同上のプッシュスイッチの非操作時の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)概要
本実施形態のプッシュスイッチ1は、図1A及び図1Bに示すように、(第1)固定接点部7を有するケース2と、可動部材3と、押し子5と、支持部6と、を備えている。
【0009】
可動部材3は、可動接点部8を有している。また、可動部材3は、固定接点部7に対向する位置に配置され、可動接点部8が固定接点部7に接触するオン位置と、可動接点部8が固定接点部7から離れるオフ位置との間を移動可能である。固定接点部7及び可動接点部8は、接点部4を構成している。接点部4は、可動接点部8がオン位置にある状態でオンになり、可動接点部8がオフ位置にある状態でオフになる。
【0010】
押し子5は、可動部材3に対向する位置に配置されている。また、押し子5は、プッシュスイッチ1の外部からの力を受けて可動部材3を押すように構成されている。本開示でいう「外部からの力」は、プッシュスイッチ1の操作時にプッシュスイッチ1の外部からプッシュスイッチ1に加わる力である。言い換えれば、「外部からの力」は、プッシュスイッチ1の操作者が押し子5に対して加える力(以下、「操作力」という)である。操作力は、操作者が直接、押し子5を押すことで押し子5に加えられる力の他、操作者が中間部材(例えば、操作釦10)を介して押し子5を押すことで押し子5に加えられる力を含む。
【0011】
支持部6は、押し子5と一体に形成されている。支持部6は、一部がケース2の外部に露出する形で、ケース2に収容される。支持部6は、押し子5と繋がっており、ケース2に対して押し子5を支持する。本実施形態では、支持部6は、押し子5に操作力が加えられた際に、平面視において押し子5の可動部材3に対する相対的な位置が変化しないように、押し子5の移動方向(後述する上下方向)と直交する平面内での押し子5の移動を制限する。本開示でいう「平面視」は、押し子5を上方から見ることをいう。
【0012】
プッシュスイッチ1は、操作時にのみ接点部4がオンになる、常開型のスイッチである。プッシュスイッチ1の操作時には、押し子5の上端部が押操作されることによって、押し子5に下向きの操作力が作用する。本開示でいう「押操作」は、押し子5の上端部を凹部210の底面211に近づく向き(下方)に押す操作である。
【0013】
ここで、支持部6は、押し子5に加わる操作力(押し子5の移動量)に応じて、いわゆる反転動作を行うように構成されている。具体的には、支持部6は、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達するまでは支持部6から押し子5に作用する荷重が増大し、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達すると支持部6から押し子5に作用する荷重が減少する特性を有している(図7B参照)。本開示でいう「押し子の移動量」とは、非操作時における押し子5の位置から、操作力が加えられた押し子5の移動後の位置までの距離をいう。本実施形態では、プッシュスイッチ1をオフからオンに切り替えるために要する押し子5の移動量は、例えば1~数〔mm〕程度である。
【0014】
また、可動部材3は、押し子5に加わる操作力(押し子5の移動量)に応じて、反転動作を行うように構成されている。具体的には、可動部材3は、押し子5の移動量が第2閾値Th2に達するまでは可動部材3から押し子5に作用する荷重が増大し、押し子5の移動量が第2閾値Th2に達すると可動部材3から押し子5に作用する荷重が減少する特性を有している(図7Cの実線参照)。
【0015】
ここで、操作者には、可動部材3の変形に伴って節度感(クリック感)が与えられるが、可動部材3の反転動作時における支持部6から押し子5に作用する荷重によっては、操作者に与えられる節度感が損なわれるという問題がある。一方、本実施形態では、上述のように、可動部材3が反転動作を行うだけでなく、支持部6も反転動作を行う。このため、本実施形態では、支持部6が反転動作を行わない場合と比較して、可動部材3の反転動作時における支持部6から押し子5に作用する荷重を小さくすることが可能である。その結果、本実施形態では、操作者が押し子5を押操作した場合において、操作者に与えられる節度感が損なわれにくい、という利点がある。
【0016】
(2)詳細
以下、本実施形態のプッシュスイッチ1について詳細に説明する。プッシュスイッチ1は、例えば携帯情報端末、車載機器、又は家電機器などの各種の機器の操作部に用いられる。プッシュスイッチ1は、例えばプリント基板に実装された状態で機器の筐体に内蔵される。この場合、筐体においてプッシュスイッチ1に対応する位置には、例えば中間部材として操作釦10が配置される。これにより、操作者が操作釦10を押すことによって、プッシュスイッチ1が操作釦10を介して間接的に操作される。
【0017】
以下では、特に断りのない限り、ケース2のうち凹部210が形成された面をケース2の上面とし、凹部210の深さ方向を「上下方向」として説明する。また、以下では、後述する第1端子11及び第2端子12がケース2から突出する方向を「左右方向」とし、上下方向及び左右方向の両方に直交する方向(図1Aの紙面に直交する方向)を前後方向として説明する。つまり、図1A等において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の矢印で示す通りに上、下、左、右、前、後の各方向を規定する。ただし、これらの方向はプッシュスイッチ1の使用方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0018】
プッシュスイッチ1は、図1A図3に示すように、ケース2と、可動部材3と、接点部4と、押し子5と、支持部6と、金属体9と、を備えている。以下では、特に断りのない限り、プッシュスイッチ1の非操作時、つまりプッシュスイッチ1が押されていない状態について説明する。
【0019】
ケース2は、ボディ21と、カバー22と、を有している。ボディ21は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。ボディ21は、直方体状である。ボディ21の上面には、平面視で円形状の凹部210が形成されている。凹部210の中心は、ボディ21の上面の中心と一致している。ボディ21は、平面視において四隅が面取りされた形状である。ただし、面取りはプッシュスイッチ1に必須ではなく、適宜省略可能である。
【0020】
凹部210の底面211の外周部には、可動部材3の接触部位212が設けられている(図4参照)。接触部位212は、凹部210の底面211のうち可動部材3が接触する領域である。本実施形態では、可動部材3は、凹部210の底面211に対して複数箇所(ここでは、4箇所)で接触する。このため、ボディ21は、接触部位212を複数(ここでは、4つ)有している。4つの接触部位212は、凹部210の底面211の四隅に配置されている。
【0021】
カバー22は、金属製であって、平面視で矩形状である。カバー22の四辺には、それぞれ下方に突出する矩形状の突片23が設けられている。4つの突片23のうち2つの第1突片231(ここでは、カバー22の左右方向の両側の突片23)は、押し子5がケース2に収容された状態において、支持部6の左右方向の移動を規制する。また、4つの突片23のうち残り2つの第2突片232(ここでは、カバー22の前後方向の両側の突片23)は、それぞれ左右方向の両側から突出する一対の引掛け爪233を有している。2つの第2突片232の各々について、ボディ21の前面及び後面にそれぞれ設けられた一対の突部213に、一対の引掛け爪233を引っ掛けることで、ボディ21とカバー22とが互いに結合される。カバー22の中央部には、押し子5の上端部が通る平面視で円形状の通孔24が設けられている。したがって、押し子5は、上端部が通孔24を通して外部に臨む形で、ケース2に収容される。
【0022】
金属体9は、第1金属部材91及び第2金属部材92を有する。第1金属部材91及び第2金属部材92は、いずれも導電性を有する金属板からなり、ボディ21に保持されている。本実施形態では、第1金属部材91及び第2金属部材92は、インサート成形により、ボディ21と一体化されている。すなわち、ボディ21は、金属体9(第1金属部材91及び第2金属部材92)をインサート品としてインサート成形されている。
【0023】
第1金属部材91は、(第1)固定接点部7と、第1端子11と、を有している。固定接点部7は、第1金属部材91の上面から上方に突出した、平面視において円形状の領域からなる。第2金属部材92は、(第2)固定接点部921と、第2端子12と、を有している。固定接点部7及び固定接点部921は、凹部210の底面211から露出している。固定接点部7は、凹部210の中央部に露出している。固定接点部921は、凹部210の外周部に露出している。固定接点部7は、凹部210の底面211から上方に突出している。第1金属部材91における固定接点部7の周囲の領域及び固定接点部921は、底面211と略面一に形成されている。
【0024】
第1端子11及び第2端子12は、ボディ21の左右方向の両面から突出している。具体的には、ボディ21の左側面からは、第1端子11が左方に向かって突出している。また、ボディ21の右側面からは、第2端子12が右方に向かって突出している。これら第1端子11及び第2端子12は、例えばプリント基板上の導電部材に対して、はんだ付けにより機械的に結合され、かつ、電気的に接続される。
【0025】
固定接点部7と第1端子11とは、第1金属部材91のうちボディ21に埋め込まれた部分を介して、互いに電気的に接続されている。同様に、固定接点部921と第2端子12とは、第2金属部材92のうちボディ21に埋め込まれた部分を介して、互いに電気的に接続されている。第1金属部材91と第2金属部材92とは、互いに電気的に絶縁されている。
【0026】
可動部材3は、金属製であり、ボディ21の凹部210内に配置されている。本実施形態では、可動部材3は、弾性を有する板材、例えばステンレス(SUS)等の金属板にて構成されている。本実施形態では、可動部材3は、1枚の板ばねで構成されている。可動部材3は、凹部210内に収まるように、凹部210に対応する形状(円形状)であって、凹部210より一回り小さく形成されている。可動部材3の上面における中央部は、受圧部32(図3参照)を構成する。つまり、可動部材3の上面の中央部は、操作力を受ける受圧部32として機能する。
【0027】
可動部材3は、中央部が上方に凸となるように湾曲したドーム状に形成されている。つまり、本実施形態では、可動部材3は、導電性を有する金属板から形成されたドームである。可動部材3の外周縁には、4つの接触片31が周方向にわたって間隔を空けて設けられている。可動部材3が凹部210内に収納された状態では、これらの接触片31が凹部210の底面211に接触する。つまり、可動部材3は4箇所で、凹部210の底面211における接触部位212に接触する。ただし、可動部材3は、これら4箇所以外で底面211に接触してもよい。
【0028】
可動部材3の中央部(受圧部32)に対応する部分は、可動接点部8を構成する。可動部材3は、少なくとも底面211における接触部位212と接触する4箇所(4つの接触片31)にて、底面211に露出する固定接点部921と電気的に接続される。望ましくは、可動部材3の下面には、例えば金(Au)メッキ又は銀(Ag)メッキ等により、導電性を有する導電膜を全面にわたって形成されるのがよい。
【0029】
また、詳しくは「(3)動作」の欄で説明するが、受圧部32に操作力が作用すると、可動部材3が変形して可動部材3が下向きに撓む。一例として、可動部材3は、図1Bに示すように、可動部材3の中央部が下向きに凸となるドーム状等に変形する。つまり、可動部材3は、押し子5に加わる操作力(押し子5の移動量)に応じて、反転動作を行うように構成されている。本実施形態では、可動部材3から押し子5に作用する荷重の増減は、第2閾値Th2(ここでは、0.8〔mm〕)を境に反転する(図7Cの実線参照)。このとき、受圧部32の下面に形成されている可動接点部8が固定接点部7に接触し、可動接点部8と固定接点部7とが電気的に接続される。
【0030】
すなわち、可動接点部8と固定接点部7とは、接点部4を構成する。接点部4は、受圧部32が凹部210の底面211に近づく向き(下方)に押されて可動部材3が変形することにより、オンとオフとが切り替わる。具体的には、受圧部32に操作力が作用していない状態では、可動接点部8が固定接点部7から離間しているため、接点部4はオフである。このとき、第1金属部材91と第2金属部材92とは電気的に絶縁されているため、第1端子11と第2端子12との間は非導通となる。一方、受圧部32に操作力が作用して可動接点部8が固定接点部7に接触すると、接点部4はオンになる。このとき、第1金属部材91と第2金属部材92とは可動部材3を介して電気的に接続されるため、第1端子11と第2端子12との間が導通する。
【0031】
押し子5は、ゴム製であって、電気絶縁性を有している。押し子5は、上下方向を軸とする円柱状である。押し子5は、可動部材3の上方にて可動部材3の受圧部32と対向するように配置されている。本実施形態では、非操作時において、押し子5と可動部材3とは接触しておらず、押し子5の下面と、可動部材3の受圧部32との間には、隙間G1が設けられている(図1A参照)。言い換えれば、押し子5と可動部材3との間には、操作力(外部からの力)を受けていない状態において、隙間G1が設けられている。
【0032】
押し子5は、上端部に加わる操作力を可動部材3の受圧部32に伝達する。つまり、押し子5の上端部に上方から操作力が作用すると、この操作力は押し子5を介して受圧部32に伝達され、受圧部32に上方から作用する。これにより、押し子5が押されることによって、受圧部32が押し子5を介して間接的に操作される。
【0033】
支持部6は、例えばゴム製であり、図5A及び図5Bに示すように、主部61と、台部62と、延長部63と、を有している。主部61は、中空の円錐台状である。主部61の上端縁は、押し子5の側面の上下方向の中間部に一体に形成されている。つまり、本実施形態では、押し子5及び支持部6は、一体であって、ゴム製である。主部61は、断面視で外側面が上下方向に沿って滑らかな曲線で形成されている。すなわち、主部61は、一定の比率で径寸法が大きくなっていく通常の円錐台での外側面よりも内側に窄まった外側面を有した円錐台状である。主部61は、長手方向(上下方向)の全体にわたって同一厚みである。押し子5は、主部61の上端縁を押し子5の側面で接続して一体化させている。押し子5は上下方向にわたって同じ大きさ(径)の中実の柱状、望ましくは中実の円柱状である。台部62は、主部61の下端縁に一体に形成されており、矩形枠状である。台部62は、ボディ21の上面に載せ置かれる。台部62がボディ21の上面に載せ置かれた状態で、台部62の上面は、全体にわたってほぼ同一高さに位置する。台部62の上面の外周端は、面取り部を有する。面取り部はR状が望ましいが限定されない。延長部63は、主部61の下端縁に一体に形成されており、下方に向かって延びた円筒状である。延長部63は、ボディ21の凹部210に挿入され、凹部210の内側の側壁に対向する。延長部63の径寸法は、台部62の幅寸法(左右方向又は前後方向の寸法)よりも小さい。上述したように、支持部6は、円錐台状の主部61の上端縁を押し子5の側面に接続し、主部61の下端縁を台部62に接続した構成である。この構成では、反転動作する支持部6を、上面視での少ない投影面積内で(言い換えれば、上面視における支持部6の面積が比較的小さくて済むように)配置することができ、プッシュスイッチ1の外形の大型化を抑制できる。
【0034】
支持部6の台部62は、ボディ21の上面とカバー22の内面との間で挟まれることにより、ケース2内での位置が規定される。ここで、台部62は、ケース2内で完全に固定されるのではなく、ボディ21の上面とカバー22の内面との間の空間内での移動が若干、許容されている。このようにして、台部62がケース2内に保持されることにより、支持部6、及び支持部6が一体に形成された押し子5がケース2に保持される。言い換えれば、支持部6は、ケース2に対して押し子5を支持する。
【0035】
ここで、支持部6は、押し子5に加わる操作力(押し子5の移動量)に応じて、反転動作を行うように構成されている。以下、支持部6の反転動作について、図6A図6Fを用いて説明する。
【0036】
図6A図6Fは、それぞれ可動部材3を除いたプッシュスイッチ1における、押し子5の移動量に応じた支持部6の挙動を表している。図6Aは、非操作時、つまり押し子5の移動量が零の場合の支持部6の状態を表している。図6B図6Fは、それぞれ押し子5の移動量が0.2〔mm〕の場合、0.4〔mm〕の場合、0.6〔mm〕の場合、0.8〔mm〕の場合、及び1.0〔mm〕の場合の支持部6の状態を表している。また、図6A図6Fの各々において、荷重を受けている部位は、ドットで表されている。ドットの密度が大きければ大きい程、荷重が大きく、ドットの密度が小さければ小さい程、荷重が小さい。
【0037】
支持部6では、押し子5の移動量が第1閾値Th1(ここでは、0.6〔mm〕)に達するまでは、操作力を受けて主部61が徐々に変形するが(図6A図6C参照)、主部61の操作力を延長部63へと伝える機能は失われていない。このため、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達するまでは、延長部63がケース2から受ける抗力が、主部61を介して押し子5に伝えられる。したがって、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達するまでは、押し子5の移動量の増大に伴って支持部6から押し子5に作用する荷重が増大する。
【0038】
ここで、主部61の表面と直交する方向の力(合成ベクトルV3)は、押し子5からケース2に伝わる力(第1ベクトルV1)と、ケース2から押し子5に伝わる抗力(第2ベクトルV2)との和に相当する。押し子5の移動量が増大するにつれて、主部61が徐々に変形することで、合成ベクトルV3が大きくなる。そして、合成ベクトルV3の大きさが所定値を上回ると、第1ベクトルV1と第2ベクトルV2との均衡が失われ、主部61が非操作時と比較して過大に変形する(図6D図6F参照)。以降、支持部6では、主部61の操作力を延長部63へと伝える機能が失われる。このように、支持部6が延長部63を有する形状であれば、延長部63の移動が凹部210の内壁で規制される。そして、主部61の長手方向の中間部は、凹部210内に入り込み、台部62の下面位置よりも低い位置となる。
【0039】
つまり、支持部6では、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達すると、ケース2からの抗力が主部61を介して押し子5に殆ど伝わらない。したがって、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達すると、押し子5の移動量の増大に伴って支持部6から押し子5に作用する荷重が減少する。つまり、本実施形態では、支持部6から押し子5に作用する荷重の増減は、第1閾値Th1を境に反転する。また、本実施形態では、第1閾値Th1は、第2閾値Th2よりも小さくなっている。このため、本実施形態では、支持部6は、可動部材3よりも先に反転動作を行うように構成されている。
【0040】
上述したように、支持部6は、押し子5の下方への移動に応じて主部61の反転動作を行う。主部61は、上方から下方にかけて断面視で径の拡がる形状が望ましい。そして、主部61の長さ・厚み・傾斜角度を適宜設定することで、主部61での所望の反転動作の特性が得られる。また、主部61は、上述のように通常の円錐台での外側面よりも内側に窄まった外側面を有した円錐台状であるが、外側面の曲率、又は外側面の反対の内側面の曲率なども、所望の反転動作の特性に応じて適宜設定されるのが望ましい。
【0041】
(3)動作
以下、本実施形態のプッシュスイッチ1の動作について説明する。
【0042】
(3.1)基本動作
まず、プッシュスイッチ1の基本動作について図1A及び図1Bを用いて説明する。操作者がプッシュスイッチ1の押し子5を一定以上の力で押操作すると、押し子5を介して上方から可動部材3の受圧部32に操作力が作用する。すると、受圧部32が下方に押されて、可動部材3が徐々に変形する。そして、可動部材3に作用する操作力の大きさが所定の大きさを超える(言い換えれば、押し子5の移動量が第2閾値Th2を超える)と、図1Bに示すように、可動部材3は勢いよく座屈して大きく変形する。このとき、受圧部32に作用する可動部材3の弾性力が急激に変化する。このような可動部材3の反転動作によって、可動部材3は、例えば図1Bに示すように、中央部(受圧部32)が下向きに凸となるように湾曲したドーム状等に変形する。したがって、プッシュスイッチ1を押操作する操作者には、可動部材3の変形に伴って節度感(クリック感)が与えられる。そして、可動部材3が上記のように変形すると、図1Bに示すように、可動部材3の下面に形成されている可動接点部8が固定接点部7に接触し、接点部4がオンになる。この状態では、第1端子11と第2端子12との間が導通する。
【0043】
一方、可動部材3が上記のように変形した状態で、受圧部32に作用する操作力が無くなると、可動部材3は、可動部材3の復元力によって中央部(受圧部32)が上方に凸となるように湾曲したドーム状等に復元(変形)する。このとき、受圧部32に作用する可動部材3の弾性力が急激に変化するため、可動部材3は、元の形状に勢いよく復元(変形)する。そして、可動部材3が元の形状になると、図1Aに示すように、可動部材3の下面に形成されている可動接点部8が固定接点部7から離れて、接点部4がオフになる。この状態では、第1端子11と第2端子12との間が非導通となる。
【0044】
(3.2)操作者に作用する荷重について
次に、操作者がプッシュスイッチ1の押し子5を押操作する際に、操作者に作用する荷重について図7A図7Dを用いて説明する。本実施形態のプッシュスイッチ1では、押し子5から操作者に作用する荷重と、押し子5の移動量との相関は、図7Aに示すように、第1領域A1と、第2領域A2と、第3領域A3とで、それぞれ異なる特性を示す。図7A図7Dの各々において、縦軸は荷重(単位は〔N〕)、横軸は押し子5の移動量(単位は〔mm〕)を表している。
【0045】
図7Aは、押し子5から操作者に作用する荷重と、押し子5の移動量との相関図である。図7Bは、支持部6から押し子5を介して操作者に作用する荷重と、押し子5の移動量との相関図である。図7Cは、第2領域A2において、可動部材3から押し子5を介して操作者に作用する荷重(実線を参照)と、押し子5の移動量との相関図である。なお、図7Cの破線は、可動部材3から押し子5を介して操作者に作用する荷重のうち、押し子5が寄与する荷重と、押し子5との移動量との相関を表している。また、図7Cの一点鎖線は、可動部材3から押し子5を介して操作者に作用する荷重のうち、可動部材3が寄与する荷重と、押し子5との移動量との相関を表している。図7Dは、第3領域A3において、押し子5から操作者に作用する荷重と、押し子5の移動量との相関図である。
【0046】
第1領域A1は、押し子5の上端部に操作力が作用してから、押し子5の下端部が可動部材3の受圧部32に接触するまでの領域である。第1領域A1では、押し子5の上端部に操作力が作用することで、押し子5が下方に押され、支持部6が徐々に変形する。既に述べたように、非操作時において押し子5と可動部材3との間には隙間G1が設けられている。このため、押し子5が可動部材3の受圧部32に接触するまで、つまり、押し子5が隙間G1の高さに相当する分だけ移動するまでは、操作者に作用する荷重は、支持部6から押し子5を介して操作者に作用する荷重に相当する。第1領域A1では、図7A及び図7Bに示すように、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達していないため、支持部6から押し子5を介して操作者に作用する荷重は、押し子5の移動量の増大に伴って大きくなる。
【0047】
第2領域A2は、押し子5の下端部が可動部材3の受圧部32に接触してから、可動部材3が変形して接点部4がオンするまでの領域である。第2領域A2では、押し子5を介して可動部材3に操作力が作用することで、可動部材3が下方に押され、可動部材3が徐々に変形する。したがって、第2領域A2では、操作者に作用する荷重は、支持部6から押し子5を介して操作者に作用する荷重と、可動部材3から押し子5を介して操作者に作用する荷重との和に相当する。
【0048】
ここで、図7Bに示すように、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達するまでは、支持部6の反転動作が行われないため、支持部6から押し子5を介して操作者に作用する荷重は、押し子5の移動量の増大に伴って大きくなる。一方、押し子5の移動量が第1閾値Th1に達すると、支持部6の反転動作が行われることで、以降、支持部6から押し子5を介して操作者に作用する荷重は、押し子5の移動量の増大に伴って小さくなる。
【0049】
また、図7Cに示すように、押し子5の移動量が第2閾値Th2に達するまでは、可動部材3の反転動作が行われないため、可動部材3から押し子5を介して操作者に作用する荷重は、押し子5の移動量の増大に伴って大きくなる。一方、押し子5の移動量が第2閾値Th2に達すると、可動部材3の反転動作が行われることで、可動部材3から押し子5を介して操作者に作用する荷重は、急激に減少する。
【0050】
したがって、図7Aに示すように、第2領域A2では、操作者に作用する荷重は、押し子5の移動量が第2閾値Th2に達するまでは、押し子5の移動量の増大に伴って大きくなる。そして、押し子5の移動量が第2閾値Th2に達すると、操作者に作用する荷重が急激に減少する。
【0051】
ここで、第2領域A2において、押操作中での操作者に作用する荷重の最大値(以下、「ピーク荷重」ともいう)と、極小値(以下、「ボトム荷重」ともいう)との差分B1の大きさは、操作者に与える節度感(クリック感)に影響を与える。具体的には、第2領域A2におけるピーク荷重とボトム荷重との差分B1が大きければ大きい程、節度感が向上する。また、第2領域A2におけるピーク荷重からボトム荷重への勾配が急峻であればある程、節度感が向上する。本実施形態では、押し子5はゴム製であり、金属製の可動部材3よりも柔らかい。つまり、本実施形態では、押し子5の弾性率は、可動部材3の弾性率よりも小さい。このため、本実施形態では、可動部材3を押し子5よりも硬い材質の物体で押す場合と比較して、第2領域A2におけるピーク荷重からボトム荷重への勾配が急峻になり、結果として操作者に与える節度感(クリック感)が向上している。
【0052】
第3領域A3は、接点部4がオンしてから、さらに押し子5を押操作する場合の領域である。第3領域A3では、可動部材3の可動接点部8が固定接点部7に接触しており、可動部材3の下方への移動が制限されている。このため、第3領域A3では、押し子5の上端部に操作力が作用することで、押し子5が操作釦10と可動部材3との間で潰れるようにして徐々に変形する。そして、第3領域A3では、操作者に作用する荷重は、支持部6から押し子5を介して操作者に作用する荷重と、可動部材3から押し子5を介して操作者に作用する荷重と、押し子5から操作者に作用する荷重との和に相当する。したがって、図7Dに示すように、第3領域A3では、操作者に作用する荷重は、押し子5の移動量の増大に伴って大きくなる。
【0053】
上述のように、本実施形態では、可動部材3が反転動作を行うだけでなく、支持部6も反転動作を行う。このため、本実施形態では、支持部6が反転動作を行わない場合と比較して、可動部材3の反転動作時における支持部6から押し子5に作用する荷重を小さくすることが可能である。その結果、本実施形態では、操作者が押し子5を押操作した場合において、操作者に与えられる節度感が損なわれにくい、という利点がある。
【0054】
以下、この利点について、比較例のプッシュスイッチ100との比較を交えて説明する。比較例のプッシュスイッチ100は、図8Aに示すように、押し子5及び支持部6の代わりに、押し子50及び支持部60を備える点で、本実施形態のプッシュスイッチ1と相違する。押し子50は、押し子50の下端部が押し子5の下端部よりも先細っている点を除いて、押し子5と殆ど同じである。支持部60は、支持部6と形状が異なっており、反転動作を行わない。つまり、比較例のプッシュスイッチ100では、支持部60から押し子50を介して操作者に作用する荷重は、図8Bに示すように、押し子50の移動量の増大に伴って大きくなり、途中で減少に転じることはない。なお、図8Bにおいて、縦軸は荷重(単位は〔N〕)、横軸は押し子50の移動量(単位は〔mm〕)を表している。後述する図9図10A、及び図10Bにおいても同様である。
【0055】
比較例のプッシュスイッチ100では、図9に示すように、押し子50から操作者に作用する荷重と、押し子50の移動量との相関は、本実施形態のプッシュスイッチ1と同様に、第1領域A1と、第2領域A2と、第3領域A3とに分かれる。しかしながら、比較例のプッシュスイッチ100では、上述のように支持部60が反転動作を行わないため、可動部材3の反転動作が行われた時点において、操作者に作用する荷重は、本実施形態のプッシュスイッチ1と比較して大きくなる。
【0056】
具体的には、本実施形態のプッシュスイッチ1では、第2領域A2におけるボトム荷重は、支持部6から操作者に作用する荷重(約1〔N〕)と、可動部材3及び押し子5から操作者に作用する荷重(約1〔N〕)との和であり、約2〔N〕である(図7A参照)。一方、比較例のプッシュスイッチ100では、第2領域A2におけるボトム荷重は、支持部6から操作者に作用する荷重(約2〔N〕)と、可動部材3及び押し子5から操作者に作用する荷重(約1〔N〕)との和であり、約3〔N〕である。
ここで、本実施形態のプッシュスイッチ1では、第2領域A2におけるピーク荷重とボトム荷重との差分B1の大きさが約2〔N〕である。一方、比較例のプッシュスイッチ100では、第2領域A2におけるピーク荷重とボトム荷重との差分B2の大きさが1〔N〕未満である。このため、比較例のプッシュスイッチ100では、本実施形態のプッシュスイッチ1と比較して、操作者に与える節度感(クリック感)が損なわれている。
【0057】
比較例のプッシュスイッチ100において、操作者に与える節度感(クリック感)を向上するためには、例えば、可動部材3の代わりに、可動部材3よりもクリック率の高い可動部材(以下、「比較例の可動部材」という)を用いることが考えられる。ここでいう「クリック率」は、可動部材のピーク荷重とボトム荷重との差分の大きさが、可動部材のピーク荷重に対して占める割合をいう。図10Aの一点鎖線に示すように、比較例の可動部材は、ピーク荷重とボトム荷重との差分C2が、本実施形態の可動部材3のピーク荷重とボトム荷重との差分C1(図7C参照)よりも大きい。
【0058】
比較例の可動部材を用いた比較例のプッシュスイッチ100では、図10Bに示すように、第2領域A2におけるボトム荷重は、殆ど支持部60から操作者に作用する荷重に相当し、約2〔N〕となる。したがって、この態様では、第2領域A2におけるピーク荷重とボトム荷重との差分B3の大きさが約2〔N〕となり、本実施形態のプッシュスイッチ1と同様の節度感(クリック感)を操作者に与えることが可能になる。
【0059】
しかしながら、比較例の可動部材のように、可動部材のクリック率を向上させることには製造上の限界がある。仮に、比較例の可動部材のような可動部材が製造可能であったとしても、製造の困難さ、及び開発費用を含めた製造コストを考慮すれば、このような可動部材をプッシュスイッチに採用することは現実的ではない。
【0060】
一方、本実施形態のプッシュスイッチ1では、支持部6が反転動作を行うため、比較例のプッシュスイッチ100と比較して、可動部材3の反転動作が行われた時点での支持部6から操作者に作用する荷重を小さくすることができる。このため、本実施形態のプッシュスイッチ1では、比較例の可動部材のようにクリック率の高い可動部材を用いずとも、操作者に対して十分な節度感(クリック感)を与えることが可能である。
【0061】
また、本実施形態のプッシュスイッチ1では、比較例のプッシュスイッチ100と比較して、押操作を開始してから接点部4がオンするまでに必要な押し子5の移動量(以下、「オン移動量」という)を大きくすることができる、という利点がある。つまり、比較例のプッシュスイッチ100では、オン移動量を大きくすればするほど、可動部材3の反転動作が行われた時点での操作者に作用する荷重が大きくなってしまい、節度感(クリック感)が損なわれやすい、という問題があった。一方、本実施形態のプッシュスイッチ1では、押操作の途中において支持部6から操作者に作用する荷重が減少に転じるため、オン移動量を大きくしても、可動部材3の反転動作が行われた時点での操作者に作用する荷重が大きくなりにくい。したがって、本実施形態のプッシュスイッチ1では、比較例のプッシュスイッチ100と比較して、節度感(クリック感)を損なわずにオン移動量を大きくすることができる、という利点がある。
【0062】
その結果、本実施形態のプッシュスイッチ1では、比較例のプッシュスイッチ100と比較して、隙間G1を大きくすることにより、第1領域A1における押し子5の移動量を大きくすることが可能である、という利点がある。このように第1領域A1における押し子5の移動量を大きくすることで、例えばプッシュスイッチ1に取り付けられた操作釦10(図1A参照)が振動することによるラトル音を低減することができる、という利点がある。つまり、押し子5に所定の荷重(プリロード)を加えた状態で、押し子5に操作釦10を組み付けることで、操作釦10のがたつきを抑制しやすく、その結果、操作釦10のがたつきにより生じ得るラトル音を低減することができる。
【0063】
また、中間部材(操作釦10)による所定の荷重(プリロード)は、比較的荷重の小さい第1領域A1に設定することができる。言い換えれば、比較的荷重の小さい第1領域A1にて所定の荷重(プリロード)を設定すると、第2領域A2での荷重変化によって操作者が得る感触に対する影響も少ない。例えば、第1領域A1のように比較的荷重の小さい領域が存在しないスイッチに所定の荷重(プリロード)を加えた構成では、操作者は、比較的荷重の大きい位置から中間部材の押し込みを開始することになる。この場合、押し込みを開始してからすぐにピーク荷重に達して接点部がオンになるため、操作者が得る感触に対する影響は大きい。一方、本実施形態のように所定の荷重(プリロード)を設定すれば、このような感触への影響も抑えられ、操作者が良好な感触を得やすい。
【0064】
さらに、本実施形態では、押し子5は、中実のゴム製であり、その弾性率は可動部材3の弾性率よりも小さい。このため、本実施形態では、可動部材3の反転動作後においては、押操作による操作力に応じて押し子5が上下方向に均一に圧縮される。したがって、本実施形態では、可動部材3の反転動作後における押し子5の所定の移動量(ストローク)も確保しやすい。
【0065】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0066】
上述の実施形態において、プッシュスイッチは、絶縁シートを更に備えていてもよい。以下、絶縁シートを備えたプッシュスイッチを、「変形例のプッシュスイッチ1A」として図11及び図12を用いて説明する。変形例のプッシュスイッチ1Aは、ケース2のボディ21が段部25を更に有している点、及び絶縁シート26を更に有している点で、上述の実施形態のプッシュスイッチ1と相違する。
【0067】
段部25は、ボディ21の凹部210を構成する内壁に周方向にわたって設けられており、その上面は、ボディ21の最上面よりも所定の高さ分だけ下がった位置にある。また、段部25の高さ寸法(上下方向の寸法)は、全周にわたって同じである。段部25の上面には、絶縁シート26の外周縁が載せ置かれる。段部25の上面の幅寸法は(左右方向の寸法)は、絶縁シート26の外周縁を載せ置くことが可能な寸法であればよい。
【0068】
絶縁シート26は、凹部210の開口を覆う程度の面積を有した矩形状であって、電気絶縁性を有する材料により形成されている。特に、本変形例では、絶縁シート26は、例えば二酸化硫黄(SO2)等のガスに対する耐性を有する材料、具体的にはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)等の樹脂材料で形成されるのが望ましい。その他、絶縁シート26は、例えばナイロン9T、又はポリイミド樹脂等の耐ガス性を有する材料により形成されてもよい。
【0069】
絶縁シート26の下面には、その全面にわたって粘着剤が塗布されている。したがって、絶縁シート26は、その外周縁が段部25の上面に載せ置かれることで、粘着剤により段部25の上面に貼り付けられて、ケース2に保持されている。ここで、段部25に貼り付けられた絶縁シート26は、押し子5と一体に形成された延長部63により上方から押さえ付けられている。延長部63は、延長部63の下端が絶縁シート26の対応する箇所に所定圧力を加えられるように、高さ寸法(上下方向の寸法)が設定されている。この構成であれば、延長部63が絶縁シート26の外周縁を押さえ付けるので、プッシュスイッチ1Aの動作時において、接点部分(固定接点部7及び可動接点部8)が配置される空間に絶縁シート26が引き込まれることを抑制しやすい。
【0070】
上述のように、本変形例では、凹部210のうち接点部分が配置される空間が、絶縁シート26により密閉されている。このため、本変形例では、二酸化硫黄等のガスが外部から接点部分へ流入するのを防ぐことができ、接点部分にガスの影響が及びにくい、という利点がある。
【0071】
ところで、絶縁シート26の粘着剤には、例えばアクリル系粘着剤又はシリコーン系粘着剤等、樹脂製の粘着剤が採用され得る。そして、このような樹脂製の粘着剤は、通常、比較的高温の環境下で軟化する傾向がある。例えば、電子機器の配線基板に、プッシュスイッチ1Aをリフローはんだ付けにより実装した場合、絶縁シート26の粘着剤が軟化する可能性がある。しかしながら、プッシュスイッチ1Aでは、絶縁シート26の外周縁は、延長部63により段部25に押え付けられている。このため、仮に絶縁シート26の粘着剤が軟化したとしても、絶縁シート26が段部25から浮きにくく、結果として接点部分が配置される空間の密閉状態も維持されやすい。したがって、プッシュスイッチ1Aは、接点部分へのガスの影響が及びにくい状態で、電子機器に搭載することが可能である。
【0072】
なお、接点部分が配置される空間の密閉性を確保するという観点からすると、粘着剤は、絶縁シート26の下面の全面にわたって塗布されているのが望ましいが、絶縁シート26の下面において段部25と重なる箇所に少なくとも塗布されていればよい。
【0073】
絶縁シート26の下面の全面にわたって粘着剤を塗布する態様である場合、絶縁シート26の下面の中央部には、他の絶縁シートを貼り付けていてもよい。この場合、プッシュスイッチ1Aの操作時に、絶縁シート26に塗布された粘着剤が他の部材(例えば、可動接点部8)に粘着するのを防ぐことができる。
【0074】
その他、絶縁シート26は、粘着剤を用いる代わりに、段部25に溶着することでケース2に保持させる態様であってもよい。溶着方法は、例えばレーザ照射による溶着、又は超音波による溶着等が挙げられる。
【0075】
上述の実施形態において、第1閾値Th1は、第2閾値Th2よりも小さいが、これに限定する趣旨ではない。例えば、第1閾値Th1は、第2閾値Th2と同じであってもよい。この態様では、支持部6は、可動部材3の反転動作が行われるのとほぼ同時に反転動作を行うことになる。この場合でも、可動部材3から操作者に作用する荷重がボトム荷重に達する時点にて、支持部6から操作者に作用する荷重が僅かでも小さくなるので、節度感(クリック感)が損なわれにくい、という利点がある。
【0076】
上述の実施形態において、支持部6は、ゴム製であるが、これに限定する趣旨ではない。例えば、支持部6は、金属製であってもよい。また、上述の実施形態において、押し子5及び支持部6は一体であるが、別体であってもよい。この場合、支持部6は、例えば接着などの適宜の固定手段により、押し子5に固定されればよい。また、支持部6の形状は、本実施形態で示す形状に限定されず、反転動作を行うことが可能な形状であればよい。
【0077】
上述の実施形態において、可動部材3は金属板製のドームであるが、これに限定する趣旨ではない。例えば、可動部材3は、樹脂製のドームであってもよい。また、可動部材3の形状は、ドーム状に限定されず、反転動作を行うことが可能な形状であればよい。
【0078】
上述の実施形態において、押し子5の弾性率は、可動部材3の弾性率よりも小さいが、これに限定する趣旨ではない。例えば、押し子5は、可動部材3と同等の硬さ(弾性率)であってもよいし、可動部材3よりも硬くてもよい(弾性率が大きくてもよい)。
【0079】
上述の実施形態では、非操作時において押し子5と可動部材3との間に隙間G1を設けているが、隙間G1はなくてもよい。つまり、非操作時において、プッシュスイッチ1では、押し子5の下端部が可動部材3の受圧部32に接触していてもよい。また、上述の変形例のプッシュスイッチ1Aでは、押し子5の下端部が絶縁シート26に接触していてもよい。
【0080】
上述の実施形態において、プッシュスイッチ1,1Aのストローク長、つまり非操作時から押操作によってプッシュスイッチ1,1Aがオンするまでの押し子5の移動量は、適宜設定可能である。例えば、プッシュスイッチ1,1Aは、ストローク長が比較的短い短ストロークタイプ、ストローク長が比較的長い長ストロークタイプ、又は短ストロークタイプと長ストロークタイプとの中間に該当する中ストロークタイプであってもよい。また、プッシュスイッチ1,1Aは、常開型に限らず、操作時にのみオフになる、常閉型であってもよい。つまり、プッシュスイッチ1,1Aの押し子5は、外部からの力を受けてオフ位置からオン位置へ可動部材3を押す構成であってもよいし、その逆であってもよい。
【0081】
上述の実施形態において、プッシュスイッチ1,1Aは、機器の操作部に用いられて人に操作される構成に限らず、例えば機器の検知部等に用いられてもよい。プッシュスイッチ1,1Aが機器の検知部に用いられる場合、プッシュスイッチ1,1Aは、例えばリミットスイッチとしてアクチュエータ等の機械部品の位置検出に用いられる。
【0082】
上述の実施形態において、可動部材3は、1枚の板ばねにて構成されているが、複数枚の板ばねを重ね合わせた構成であってもよい。この場合、重ね合わせる板ばねの枚数によって、可動部材3が座屈するために必要な操作力の大きさが変化し、プッシュスイッチ1,1Aの操作感触が変化する。
【0083】
上述の実施形態において、可動部材3の下面に導電膜を有する形態とする場合は、例えば、導電膜を可動部材3の下面の全面にわたって形成する。または、導電膜は、固定接点部7との接触箇所に部分的に形成されていてもよい。
【0084】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)は、固定接点部(7)を有するケース(2)と、可動部材(3)と、押し子(5)と、支持部(6)と、を備える。可動部材(3)は、可動接点部(8)を有する。可動部材(3)は、固定接点部(7)に対向する位置に配置され、可動接点部(8)が固定接点部(7)に接触するオン位置と、可動接点部(8)が固定接点部(7)から離れるオフ位置との間を移動可能である。押し子(5)は、可動部材(3)に対向する位置に配置され、外部からの力を受けて可動部材(3)を押す。支持部(6)は、押し子(5)に繋がっており、ケース(2)に対して押し子(5)を支持する。支持部(6)は、押し子(5)の移動量が第1閾値(Th1)に達するまでは支持部(6)から押し子(5)に作用する荷重が増大し、押し子(5)の移動量が第1閾値(Th1)に達すると支持部(6)から押し子(5)に作用する荷重が減少する特性を有する。可動部材(3)は、押し子(5)の移動量が第2閾値(Th2)に達するまでは可動部材(3)から押し子(5)に作用する荷重が増大し、押し子(5)の移動量が第2閾値(Th2)に達すると可動部材(3)から押し子(5)に作用する荷重が減少する特性を有する。
【0085】
この態様によれば、操作者が押し子(5)を押操作した場合において、操作者に与えられる節度感(クリック感)が損なわれにくい、という利点がある。
【0086】
第2の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)では、第1の態様において、第1閾値(Th1)は、第2閾値(Th2)よりも小さい。
【0087】
この態様によれば、可動部材(3)よりも先に支持部(6)の反転動作が行われることで、可動部材(3)が反転動作を行う時点において、支持部(6)から押し子(5)を介して操作者に作用する荷重を十分に小さくしやすい、という利点がある。
【0088】
第3の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)では、第1又は第2の態様において、支持部(6)は、ゴム製である。
【0089】
この態様によれば、支持部(6)が金属製である場合と比較して、支持部(6)が反転動作を行ったときに支持部(6)が他の部位に接触して生じる音を低減することができる、という利点がある。
【0090】
第4の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)では、第1又は第2の態様において、押し子(5)及び支持部(6)は、一体であって、ゴム製である。
【0091】
この態様によれば、押し子(5)及び支持部(6)が金属製である場合と比較して、支持部(6)が反転動作を行ったときに押し子(5)及び支持部(6)が他の部位に接触して生じる音を低減することができる、という利点がある。
【0092】
第5の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)では、第1~第4のいずれかの態様において、可動部材(3)は、金属製である。
【0093】
この態様によれば、可動部材(3)が樹脂製である場合と比較して、小型化を図りやすい、という利点がある。
【0094】
第6の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)では、第5の態様において、可動部材(3)は、金属板製のドームである。
【0095】
この態様によれば、可動部材(3)が樹脂製のドームである場合と比較して、小型化を図りやすい、という利点がある。
【0096】
第7の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)では、第1~第6のいずれかの態様において、押し子(5)の弾性率は、可動部材(3)の弾性率よりも小さい。
【0097】
この態様によれば、可動部材(3)を押し子(5)よりも硬い材質の物体で押す場合と比較して、操作者に与える節度感(クリック感)を向上することができる、という利点がある。また、この態様によれば、可動部材(3)の反転動作後においては、押操作による操作力に応じて押し子(5)が一方向(上下方向)に均一に圧縮される。したがって、可動部材(3)の反転動作後における所定の押し子(5)の移動量も確保しやすい、という利点がある。
【0098】
第8の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)では、第1~第7のいずれかの態様において、押し子(5)と可動部材(3)との間には、外部からの力を受けていない状態において、隙間(G1)が設けられている。
【0099】
この態様によれば、押し子(5)に所定の荷重(プリロード)を加えた状態で、押し子(5)に中間部材(操作釦(10))を組み付けることができる、という利点がある。したがって、この態様によれば、中間部材のがたつきを抑制しやすく、その結果、中間部材のがたつきにより生じ得るラトル音を低減することができる、という利点がある。また、比較的荷重の小さい領域(第1領域(A1))にて所定の荷重(プリロード)を設定することで、比較的荷重の大きい領域(第2領域(A2))での荷重変化によって操作者が得る感触に対する影響も少なく抑えられ、操作者が良好な感触を得やすい、という利点がある。
【0100】
第9の態様に係るプッシュスイッチ(1,1A)では、第1~第8のいずれかの態様において、支持部(6)は、円錐台状の主部(61)と、ケース(2)の一部(ボディ(21))に載せ置かれる台部(62)と、を含む。押し子(5)と可動部材(3)とが並ぶ方向(上下方向)において、主部(61)の押し子(5)側の一端は、押し子(5)に接続され、主部(61)の可動部材(3)側の一端は、台部(62)に接続されている。
【0101】
この態様によれば、反転動作する支持部(6)を、上面視での少ない投影面積内で配置することができ、プッシュスイッチ(1,1A)の外形の大型化を抑制できる。
【0102】
第2~第9の態様に係る構成については、プッシュスイッチ(1,1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0103】
1,1A プッシュスイッチ
2 ケース
3 可動部材
5 押し子
6 支持部
7 固定接点部
8 可動接点部
G1 隙間
Th1 第1閾値
Th2 第2閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12