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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】角速度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/5733 20120101AFI20231013BHJP
【FI】
G01C19/5733
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021511283
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2020009323
(87)【国際公開番号】W WO2020203011
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2019068223
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田路 翔一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】平岡 聡一郎
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/193890(WO,A1)
【文献】米国特許第8322213(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/56 - 19/5783
B81B 1/00 - 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基板の主面側に設けられている構造体と、を備え、
前記構造体は、
錘部と、
前記基板の厚さ方向に直交する規定方向において前記錘部と並んでおり、前記規定方向に変位可能な枠状部と、
前記錘部と前記枠状部とをつないでおり、前記基板の前記厚さ方向と前記規定方向とに直交する方向に弾性変形可能な弾性部と、
前記枠状部を支持しており、前記基板に固定されているアンカー部と、
前記枠状部の外側に位置して前記枠状部から離れており、前記基板に固定されている第1入力電極と、
前記枠状部の外側に位置して前記枠状部とつながっている電極部分を含み、前記第1入力電極に対向しており、前記規定方向に変位可能な第2入力電極と、
前記枠状部の内側に位置しており、前記基板に固定されている第1参照電極と、
前記枠状部の内側に位置して前記枠状部とつながっている電極部分を含み、前記第1参照電極に対向しており、前記規定方向に変位可能な第2参照電極と、を有し、
前記構造体では、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で、前記規定方向において前記枠状部と前記錘部との間に前記第1入力電極と前記第2入力電極の前記電極部分とが位置している、
角速度センサ。
【請求項2】
前記基板の前記厚さ方向からの平面視で前記錘部の外周形状が多角形状であり、
前記構造体は、
前記弾性部と前記枠状部と前記第1入力電極と前記第2入力電極と前記第1参照電極と前記第2参照電極とのセットを複数有し、
前記複数のセットは、前記錘部の外側において前記多角形状の各辺に前記第2入力電極が一対一で対向するように配置されている、
請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項3】
前記弾性部は、前記錘部の外側に位置している、
請求項1又は2に記載の角速度センサ。
【請求項4】
前記構造体は、前記枠状部から前記アンカー部に向かって突出した突出部を更に有し、
前記アンカー部は、前記突出部が入り込んでいる凹部を有し、
前記基板の前記厚さ方向からの平面視で、前記突出部と前記凹部との間に隙間がある、
請求項1~3のいずれか一項に記載の角速度センサ。
【請求項5】
前記アンカー部としての第1アンカー部は、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で、前記規定方向に直交する方向において前記枠状部と隣接しており、
前記構造体は、
前記基板に固定されており、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で前記第1アンカー部と前記錘部との間に位置して前記第1アンカー部とつながっている第2アンカー部を更に有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の角速度センサ。
【請求項6】
前記構造体は、
前記基板に固定されており、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で前記第2アンカー部と前記錘部との間に位置して前記第2アンカー部とつながっている第3アンカー部を更に有する、
請求項5に記載の角速度センサ。
【請求項7】
前記第1参照電極は、複数の第1櫛歯部を有し、
前記第2参照電極は、基部と、前記第2参照電極の前記電極部分として前記基部から延びている複数の第2櫛歯部と、を有し、
前記複数の第1櫛歯部と前記複数の第2櫛歯部とが前記規定方向において1つずつ交互に離隔して並んでおり、
前記枠状部の一部が、前記第2参照電極の前記基部を兼ねている、
請求項1~6のいずれか一項に記載の角速度センサ。
【請求項8】
前記構造体は、
前記弾性部としての第1弾性部とは別に前記枠状部と前記アンカー部とをつないでおり弾性変形可能な第2弾性部を更に有し、
前記第1弾性部は、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で少なくとも1つの第1折り返し部を有し、
前記第2弾性部は、前記規定方向に弾性変形可能であり、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で少なくとも1つの第2折り返し部を有し、
前記第1弾性部の第1折り返し部の数と前記第2弾性部の第2折り返し部の数とが同じである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の角速度センサ。
【請求項9】
前記構造体を複数備え、
前記基板の前記厚さ方向からの平面視で隣り合う2つの構造体の最近接の枠状部同士をつないでおり、前記最近接の枠状部同士の並んでいる方向に弾性変形可能な第3弾性部を更に備える、
請求項2に記載の角速度センサ。
【請求項10】
前記基板の前記厚さ方向からの平面視で前記隣り合う2つの構造体に並んでいる長尺の棒状部と、
前記棒状部の長手方向の両端と前記2つの構造体の各々において前記棒状部に最も近い枠状部とをつないでおり、前記規定方向に弾性変形可能な一対の第4弾性部と、
前記棒状部の前記長手方向の中央部と前記2つの構造体の各々において前記中央部に最も近いアンカー部とをつないでおり、前記基板の前記厚さ方向と前記規定方向とに直交する方向に弾性変形可能な一対の第5弾性部と、を更に備える、
請求項9に記載の角速度センサ。
【請求項11】
基板と、
前記基板の主面側に設けられている構造体と、を備え、
前記構造体は、
前記基板の厚さ方向からの平面視での外周形状が多角形状である錘部と、
前記基板の前記厚さ方向に直交する規定方向において前記錘部の一方側及び他方側に位置しており、前記規定方向に変位可能な一対の枠状部と、
前記錘部と前記一対の枠状部との各々をつないでおり、前記基板の厚さ方向と前記規定方向とに直交する方向に弾性変形可能な一対の第1弾性部と、
前記一対の枠状部の各々を支持しており、前記基板に固定されている一対のアンカー部と、
前記一対の枠状部に一対一に対応し対応する枠状部の外側に位置して枠状部から離れており、前記基板に固定されている一対の第1入力電極と、
前記一対の枠状部に一対一に対応し対応する枠状部の外側に位置して枠状部とつながっている電極部分を含み、前記第1入力電極に対向しており、前記規定方向に変位可能な一対の第2入力電極と、
前記一対の枠状部に一対一に対応し対応する枠状部の内側に位置しており、前記基板に固定されている一対の第1参照電極と、
前記一対の枠状部に一対一に対応し対応する枠状部の内側に位置して枠状部とつながっている電極部分を含み、前記第1参照電極に対向しており、前記規定方向に変位可能な一対の第2参照電極と、を有し、
前記構造体では、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で、前記規定方向において前記一対の枠状部の各々と前記錘部との間に前記第1入力電極と前記第2入力電極の前記電極部分とが位置している、
角速度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に角速度センサに関し、より詳細には、錘部を有する角速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、角速度センサとして、SOIウェハに対してバルクマイクロマシニングプロセスを利用して製造されたジャイロスコープが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されたジャイロスコープは、4つの構造体(tines 40)を備えている。構造体は、錘部(proof mass 24)と、アンカー部(anchor 20)と、錘部を囲んでいる4つの枠状部(drive-mode shuttles 26, sense mode shuttles 22)と、駆動部(differential lateral comb or parallel plate electrode 34)と、検出部(differential parallel plate electrode 36)と、を備えている。
【0004】
角速度センサでは、小型化を図りつつ高感度化を図ることが望まれる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8322213号明細書
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、小型化を図りつつ高感度化を図ることが可能な角速度センサを提供することにある。
【0007】
本開示の一態様に係る角速度センサは、基板と、構造体と、を備える。前記構造体は、前記基板の主面側に設けられている。前記構造体は、錘部と、枠状部と、弾性部と、アンカー部と、第1入力電極と、第2入力電極と、第1参照電極と、第2参照電極と、を有する。前記枠状部は、前記基板の厚さ方向に直交する規定方向において前記錘部と並んでおり、前記規定方向に変位可能である。前記弾性部は、前記錘部と前記枠状部とをつないでおり、前記基板の前記厚さ方向と前記規定方向とに直交する方向に弾性変形可能である。前記アンカー部は、前記枠状部を支持しており、前記基板に固定されている。前記第1入力電極は、前記枠状部の外側に位置して前記枠状部から離れており、前記基板に固定されている。前記第2入力電極は、前記枠状部の外側に位置して前記枠状部とつながっている電極部分を含み、前記第1入力電極に対向しており、前記規定方向に変位可能である。前記第1参照電極は、前記枠状部の内側に位置しており、前記基板に固定されている。前記第2参照電極は、前記枠状部の内側に位置して前記枠状部とつながっている電極部分を含み、前記第1参照電極に対向しており、前記規定方向に変位可能である。前記構造体では、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で、前記規定方向において前記枠状部と前記錘部との間に前記第1入力電極と前記第2入力電極の前記電極部分とが位置している。
【0008】
本開示の一態様に係る角速度センサは、基板と、構造体と、を備える。前記構造体は、前記基板の主面側に設けられている。前記構造体は、錘部と、一対の枠状部と、一対の第1弾性部と、一対のアンカー部と、一対の第1入力電極と、一対の第2入力電極と、一対の第1参照電極と、一対の第2参照電極と、を有する。前記錘部は、前記基板の厚さ方向からの平面視での外周形状が多角形状である。前記一対の枠状部は、前記基板の前記厚さ方向に直交する規定方向において前記錘部の一方側及び他方側に位置しており、前記規定方向に変位可能である。前記一対の第1弾性部は、前記錘部と前記一対の枠状部との各々をつないでおり、前記基板の厚さ方向と前記規定方向とに直交する方向に弾性変形可能である。前記一対のアンカー部は、前記一対の枠状部の各々を支持しており、前記基板に固定されている。前記一対の第1入力電極は、前記一対の枠状部に一対一に対応し対応する枠状部の外側に位置して枠状部から離れており、前記基板に固定されている。前記一対の第2入力電極は、前記一対の枠状部に一対一に対応し対応する枠状部の外側に位置して枠状部とつながっている電極部分を含み、前記第1入力電極に対向しており、前記規定方向に変位可能である。前記一対の第1参照電極は、前記一対の枠状部に一対一に対応し対応する枠状部の内側に位置しており、前記基板に固定されている。前記一対の第2参照電極は、前記一対の枠状部に一対一に対応し対応する枠状部の内側に位置して枠状部とつながっている電極部分を含み、前記第1参照電極に対向しており、前記規定方向に変位可能である。前記構造体では、前記基板の前記厚さ方向からの平面視で、前記規定方向において前記一対の枠状部の各々と前記錘部との間に前記第1入力電極と前記第2入力電極の前記電極部分とが位置している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る角速度センサの平面図である。
図2図2は、同上の角速度センサを示し、図1のA-A線断面図である。
図3図3は、同上の角速度センサを示し、図1のB-B線断面図である。
図4図4は、同上の角速度センサを示し、図1の平面図をさらに模式化した図である。
図5図5は、実施形態2に係る角速度センサの平面図である。
図6図6は、同上の角速度センサを示し、図5の平面図をさらに模式化した図である。
図7図7は、実施形態2の変形例に係る角速度センサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係る角速度センサ1について、図1~4に基づいて説明する。
【0012】
(1)概要
実施形態1に係る角速度センサ1は、図1~4に示すように、基板2と、構造体3と、を備える。構造体3は、基板2の主面21側に設けられている。なお、基板2の主面21は、基板2において基板2の厚さ方向D1に交差する2つの面のうち、構造体3側の面である。
【0013】
構造体3は、錘部4と、枠状部6と、弾性部5と、アンカー部7と、第1入力電極81と、第2入力電極82と、第1参照電極91と、第2参照電極92と、を有する。
【0014】
角速度センサ1では、第1入力電極81と第2入力電極82とで、錘部4を駆動(振動)させるための駆動部8を構成している。駆動部8は、第1入力電極81と第2入力電極82との間に発生させる静電力により錘部4を駆動する静電駆動式の駆動部である。
【0015】
角速度センサ1では、第1参照電極91と第2参照電極92とで、角速度を検出するための検出部9を構成している。検出部9では、角速度に応じて第1参照電極91と第2参照電極92とを含むキャパシタの容量が変化する。
【0016】
角速度センサ1は、例えば、角速度を電気信号に変換する。すなわち、角速度センサ1は、角速度を電気信号に変換するトランスデューサとして機能する。角速度センサ1は、例えば、家電機器、携帯端末、カメラ、ウェアラブル端末、ゲーム機、車両(自動車及び二輪車等を含む)、ロボット、建設機械、ドローン、航空機及び船舶等に用いることができる。
【0017】
(2)詳細
実施形態1に係る角速度センサ1の構成について、図1~4を参照して詳細に説明する。
【0018】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を有する直交座標を規定し、特に、基板2の厚さ方向D1(及び錘部4の厚さ方向)に沿った軸を「Z軸」とし、錘部4の振動(駆動)方向に沿った軸を「X軸」とする。「Y軸」は、これらZ軸及びX軸のいずれとも直交する。錘部4の振動(駆動)方向に沿った軸は、X軸に限らず、Y軸であってもよい。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は角速度センサ1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。なお、上記直交座標の原点は、例えば、基板2の厚さ方向D1からの平面視で構造体3の中心(図1の例では、錘部4の中心)に規定することができる。
【0019】
実施形態1に係る角速度センサ1は、一例として、Z軸周りの角速度を検知対象とする。Z軸は、基板2の厚さ方向D1及び錘部4の厚さ方向に沿った軸であるので、結果的に、角速度センサ1は、錘部4の中心軸周りで角速度センサ1が回転することに伴い角速度センサ1に作用する角速度を、検知対象として検知することになる。つまり、角速度センサ1は、錘部4の中心軸周りの角速度に応じた電気信号を出力する。よって、角速度センサ1の出力に基づいて、錘部4の中心軸周り(Z軸周り)の角速度の大きさを計測することが可能である。
【0020】
(2.1)角速度センサの全体構成
実施形態1に係る角速度センサ1は、上述のように、基板2と、構造体3と、を備える。構造体3は、基板2の主面21側に設けられている。
【0021】
構造体3は、上述のように、錘部4と、枠状部6と、弾性部5(以下、第1弾性部51ともいう)と、アンカー部7(以下、第1アンカー部71ともいう)と、第1入力電極81と、第2入力電極82と、第1参照電極91と、第2参照電極92と、を有する。また、構造体3は、第2弾性部52を更に有する。また、構造体3は、第2アンカー部72を更に有する。また、構造体3は、第3アンカー部73を更に有する。
【0022】
図4は、角速度センサ1の構成を模式的に表す模式図であって、図4では、各構成要素の形状等が実際の形状等と異なる場合がある。例えば、図4では、第1弾性部51及び第2弾性部52を「ばね」の記号にて模式的に表しており、実際の第1弾性部51及び第2弾性部52の形状を反映していない。ただし、「ばね」の記号において一端と他端との並んでいる方向が、弾性変形しやすい方向に対応している。例えば、図4において錘部4の上側の第1弾性部51は、X軸方向に弾性変形しやすく、図4において上の枠状部6につながっている第2弾性部52は、Y軸方向に弾性変形しやすい。
【0023】
実施形態1に係る角速度センサ1の検知対象は、Z軸(錘部4の中心軸)周りの角速度である。したがって、角速度センサ1は、Z軸周りの角速度に応じた電気信号を出力する。角速度センサ1は、振動式のジャイロセンサであって、コリオリ力(転向力)を利用して、Z軸周りの角速度を検知する。つまり、角速度センサ1は、錘部4を振動させた状態で、錘部4に外部から回転力が作用することによって生じるコリオリ力を検知することで、角速度センサ1の錘部4に作用した角速度を検知する。例えば、実施形態1に係る角速度センサ1は、駆動部8(第1入力電極81、第2入力電極82)に発生する静電力により錘部4がX軸方向に駆動振動しているときは、Z軸回りの角速度が入力された場合、Y軸方向の検出部9(第1参照電極91と第2参照電極92)で、角速度を検出することができる。
【0024】
実施形態1に係る角速度センサ1では、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、錘部4の外周形状が多角形状(例えば、略正方形状)である。構造体3は、2つの弾性部5と枠状部6と第1入力電極81と第2入力電極82と第1参照電極91と第2参照電極92とを含むセットを複数(4つ)有する。複数のセットは、錘部4の外側において多角形状の各辺に第2入力電極82が一対一で対向するように配置されている。複数のセットは、基板2の厚さ方向D1に沿った錘部4の中心軸を回転軸として回転対称性を有するように配置されているのが好ましい。実施形態1に係る角速度センサ1では、複数のセットの各々は、2つの第2弾性部52を含む。なお、基板2の厚さ方向D1からの平面視における基板2の外周形状は、正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状であってもよい。
【0025】
実施形態1に係る角速度センサ1では、構造体3が、複数(ここでは4つ)の枠状部6を有している。4つの枠状部6は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で1つの錘部4を囲むように、配置されている。具体的には、錘部4のY軸方向の両側及びX軸方向の両側それぞれに枠状部6が1つずつ位置している。錘部4と各枠状部6とは離間している。
【0026】
枠状部6は、基板2の厚さ方向D1に直交する規定方向において錘部4と並んでおり、規定方向に変位可能である。実施形態1に係る角速度センサ1では、上述のように構造体3が複数の枠状部6を有しており、複数の枠状部6それぞれについて錘部4と並ぶ規定方向が規定されるので、規定方向を、以下では、枠状部6に対応する規定方向とも称する。つまり、図1の上の枠状部6と左の枠状部6とでは、枠状部6に対応する規定方向が互いに異なる。
【0027】
4つの枠状部6の各々は、矩形枠状であり、4つの枠片61~64を含んでいる。4つの枠片61~64のうち枠状部6と錘部4との並んでいる規定方向に直交する方向を長さ方向とする2つの枠片61、62の長さは、規定方向を長さ方向とする2つの枠片63、64の長さよりも長い。つまり、4つの枠状部6の各々では、規定方向に直交する方向における長さが、規定方向における長さよりも長い。また、4つの枠状部6の各々では、枠片61の長さ方向の長さが、錘部4において枠状部6に対向する辺(正方形状の錘部4の一辺)の長さよりも長い。
【0028】
角速度センサ1では、錘部4と4つの枠状部6の各々とが、一対の第1弾性部51によりつながっている。一対の第1弾性部51の一端は、錘部4の一対の角部とつながっており、他端は、枠状部6において4つの枠片61~64のうち錘部4に最も近い枠片61とつながっている。
【0029】
第1弾性部51は、錘部4と枠状部6とをつないでおり、基板2の厚さ方向D1と枠状部6に対応する規定方向とに直交する方向に弾性変形可能である。例えば、図1における4つの枠状部6のうち上の枠状部6につながっている第1弾性部51は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図1における4つの枠状部6のうち左の枠状部6につながっている第1弾性部51は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図1における4つの枠状部6のうち下の枠状部6につながっている第1弾性部51は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図1における4つの枠状部6のうち右の枠状部6につながっている第1弾性部51は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。X軸方向に弾性変形しやすい構造の第1弾性部51では、X軸方向における剛性がY軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。Y軸方向に弾性変形しやすい構造の第1弾性部51では、Y軸方向における剛性がX軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。
【0030】
複数の第1弾性部51の各々は、ばねである。複数の第1弾性部51の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で第1折り返し部513を有する。第1折り返し部513は、基板2の厚さ方向D1からの平面視でU字状である。複数の第1弾性部51の各々は、2つの第1折り返し部513を有しており、つづら折れ状の形状となっている。
【0031】
複数の第1弾性部51の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で錘部4の外側に位置している。
【0032】
4つの第1アンカー部71の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で略四角形状である。4つの第1アンカー部71は、基板2に固定されている。
【0033】
4つの第1アンカー部71は、4つの枠状部6とともに錘部4を取り囲むように配置されている。構造体3では、錘部4の外周方向に沿った方向において4つの第1アンカー部71と4つの枠状部6とが1つずつ交互に並んでいる。ここにおいて、4つの第1アンカー部71のうち2つの第1アンカー部71は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、正方形状の錘部4の一方の対角線を含む直線上に並んでおり、残りの2つの第1アンカー部71は、他方の対角線を含む直線上に並んでいる。実施形態1に係る角速度センサ1では、4つの第1アンカー部71は、基板2の四隅に1つずつ配置されている。
【0034】
上述の4つの枠状部6の各々は、隣接している2つの第1アンカー部71それぞれに第2弾性部52を介して支持されている。角速度センサ1では、4つの枠状部6の各々が、2つの第2弾性部52の一端とつながっている。ここで、2つの第2弾性部52の他端は、互いに異なるアンカー部7とつながっている。
【0035】
4つの枠状部6の各々は、その枠状部6と錘部4との並んでいる規定方向に変位可能であり、この規定方向と基板2の厚さ方向D1とに直交する方向にも変位可能である。
【0036】
第2弾性部52は、基板2には固定されておらず、基板2の主面21から分離されている。第2弾性部52は、互いに隣り合うアンカー部7と枠状部6とをつないでいる。つまり、アンカー部7は第2弾性部52を介して枠状部6を支持している。第2弾性部52は、この第2弾性部52とつながっている枠状部6に対応する規定方向に弾性変形可能である。例えば、図1における4つの枠状部6のうち上の枠状部6につながっている2つの第2弾性部52は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図1における4つの枠状部6のうち左の枠状部6につながっている2つの第2弾性部52は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図1における4つの枠状部6のうち下の枠状部6につながっている2つの第2弾性部52は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図1における4つの枠状部6のうち右の枠状部6につながっている2つの第2弾性部52は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。Y軸方向に弾性変形しやすい構造の第2弾性部52では、Y軸方向における剛性がX軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。X軸方向に弾性変形しやすい構造の第2弾性部52では、X軸方向における剛性がY軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。
【0037】
複数の第2弾性部52の各々は、撓み(弾性変形)可能である。ここにおいて、複数の第2弾性部52の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で第2折り返し部523を有する。第2折り返し部523は、基板2の厚さ方向D1からの平面視でU字状である。複数の第2弾性部52の各々は、1つの第2折り返し部523を有している。
【0038】
第2アンカー部72は、基板2に固定されており、かつ、隣り合う第1アンカー部71とつながっている。第3アンカー部73は、基板2に固定されており、かつ、隣り合う第2アンカー部72とつながっている。
【0039】
上述の第1アンカー部71は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、錘部4と枠状部6との並んでいる規定方向に直交する方向において枠状部6と隣接している。第2アンカー部72は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で第1アンカー部71と錘部4との間に位置して第1アンカー部71とつながっている。また、第3アンカー部73は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で第2アンカー部72と錘部4との間に位置して第2アンカー部72とつながっている。
【0040】
第1入力電極81は、枠状部6の外側に位置して枠状部6から離れており、基板2に固定されている。
【0041】
第2入力電極82は、枠状部6の外側に位置して枠状部6とつながっている電極部分(第2櫛歯部822)を含み、第1入力電極81に対向している。第2入力電極82は、この第2入力電極82のつながっている枠状部6に対応する規定方向に変位可能である。例えば、図1における4つの枠状部6のうち上の枠状部6につながっている第2櫛歯部822はY軸方向に変位可能であり、左の枠状部6につながっている第2櫛歯部822はX軸方向に変位可能であり、下の枠状部6につながっている第2櫛歯部822はY軸方向に変位可能であり、右の枠状部6につながっている第2櫛歯部822はX軸方向に変位可能である。
【0042】
駆動部8は、錘部4を振動させるように錘部4を駆動する。駆動部8は、第1入力電極81と、第2入力電極82と、を有する。なお、駆動部8は、第1入力電極81と第2入力電極82との間に入力された電気信号(電気量)を第2入力電極82の変位(機械量)に変換する機能を有する。
【0043】
第1入力電極81は、櫛状電極であり、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、枠状部6に対向している第1櫛骨部811と、第1櫛骨部811から枠状部6に近づく向きに延びる複数の第1櫛歯部812と、を含む。
【0044】
第2入力電極82は、櫛状電極であり、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、枠状部6のうち第1櫛骨部811に対向している部分(枠片61の一部)により構成される第2櫛骨部821と、第2櫛骨部821から第1櫛骨部811に近づく向きに延びている複数の第2櫛歯部822(電極部分)と、を含む。
【0045】
駆動部8では、複数の第1櫛歯部812と複数の第2櫛歯部822とが、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、第1櫛骨部811と第2櫛骨部821との対向する方向に直交する方向において1つずつ交互に離隔して並んでいる。つまり、隣り合う第1櫛歯部812と第2櫛歯部822とは、ギャップを介して対向している。
【0046】
検出部9は、錘部4に外部から回転力(角速度)が作用した際の錘部4の動きに関連する電気信号を出力することで、検知対象としての角速度に応じた電気信号を出力する。検出部9は、上述のように、第1参照電極91と、第2参照電極92と、を有する。なお、検出部9は、第1参照電極91に対する第2参照電極92の変位(機械量)を第1参照電極91と第2参照電極92との間の電気信号(電気量)に変換する機能を有する。
【0047】
第1参照電極91は、枠状部6の内側に位置しており、基板2に固定されている。
【0048】
第2参照電極92は、枠状部6の内側に位置して枠状部6とつながっている電極部分(第2櫛歯部922)を含み、第1参照電極91に対向している。第2参照電極92は、この第2参照電極92のつながっている枠状部6に対応する規定方向に変位可能である。例えば、図1における4つの枠状部6のうち上の枠状部6につながっている電極部分(第2櫛歯部922)はY軸方向に変位可能である。また、図1における4つの枠状部6のうち左の枠状部6につながっている電極部分(第2櫛歯部922)はX軸方向に変位可能である。また、図1における4つの枠状部6のうち下の枠状部6につながっている第2櫛歯部922はY軸方向に変位可能である。また、図1における4つの枠状部6のうち右の枠状部6につながっている第2櫛歯部922はX軸方向に変位可能である。
【0049】
第1参照電極91は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、櫛状である。第1参照電極91は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、錘部4と枠状部6との並んでいる方向に沿って配置されている第1櫛骨部911と、第1櫛骨部911から枠状部6のうち第1櫛骨部911に対向している部分(枠片63、64)に近づく向きに延びている複数(図示例では、6つ)の第1櫛歯部912と、を有する。6つの第1櫛歯部912は、枠状部6の4つの枠片61~64のうち1つの枠片63に近づく向きに延びている3つの第1櫛歯部912と、枠片64に近づく向きに延びている3つの第1櫛歯部912と、を含む。
【0050】
第2参照電極92は、枠状部6により構成される基部921と、基部921から第1参照電極91の第1櫛骨部911に近づく向きに延びている複数(図示例では、4つ)の第2櫛歯部922と、を有する。つまり、角速度センサ1では、枠状部6が第2参照電極92の一部(基部921)を兼ねている。ここにおいて、第2参照電極92では、枠状部6の2つの枠片63、64の各々から2つの第2櫛歯部922が第1櫛骨部911に近づく向きに延びている。また、第2参照電極92では、2つの枠片61、62の各々が、2つの枠片63、64それぞれから延びる第2櫛歯部を兼ねている。
【0051】
検出部9では、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、第1櫛歯部912の延びている方向に直交する方向において、複数の第1櫛歯部912と複数の第2櫛歯部922とが、1つずつ交互に離隔して並んでいる。ここにおいて、第2櫛歯部922は、この第2櫛歯部922に隣り合う2つの第1櫛歯部912のうち錘部4から遠い第1櫛歯部912との距離が錘部4に近い第1櫛歯部912との距離よりも長くなるように配置されている。また、第2参照電極92では、2つの枠片61、62の各々が、2つの枠片63、64それぞれから延びる第2櫛歯部を兼ねている。
【0052】
また、角速度センサ1では、構造体3は、突出部65を更に有する。突出部65は、枠状部6から、その枠状部6に隣り合う第1アンカー部71に向かって突出している。第1アンカー部71は、突出部65が入り込んでいる凹部75を有する。基板2の厚さ方向D1からの平面視で、突出部65と凹部75との間に隙間がある。突出部65は、基板2に固定されていない。角速度センサ1は、錘部4の振動に伴って枠状部6が変位するときに突出部65と凹部75の内側面とが接触することにより、枠状部6の変位量が制限される。
【0053】
図1では、構造体3のうち基板2に対して固定されている構成要素と、基板2に対して固定されていない構成要素と、をドットハッチングの種類によって区別している。すなわち、図1において相対的にドットの密度の高いドットハッチングを付した構成要素(第1アンカー部71、第2アンカー部72、第3アンカー部73、第1入力電極81、第1参照電極91)は基板2に対して固定されており、相対的にドットの密度の低いドットハッチングを付した構成要素(錘部4、第1弾性部51、第2弾性部52、枠状部6、突出部65、第2入力電極82、第2参照電極92)は基板2に対して固定されていない。
【0054】
角速度センサ1では、錘部4と8つの第1弾性部51と4つの枠状部6と4つの第2入力電極82と4つの第2参照電極92と8つの第2弾性部52と4つの第1アンカー部71と4つの第2アンカー部72と4つの第3アンカー部73とが一体である。また、角速度センサ1では、4つの第1入力電極81、及び4つの第1参照電極91が独立している。また、角速度センサ1では、錘部4と8つの第1弾性部51と8つの第2弾性部52と4つの枠状部6と8つの突出部65と4つの第2入力電極82と4つの第2参照電極92とは、基板2の厚さ方向D1に沿ったZ軸方向の寸法が同一である。また、角速度センサ1では、4つの第1アンカー部71と4つの第2アンカー部72と4つの第3アンカー部73と4つの第1入力電極81と4つの第1参照電極91とは、基板2の厚さ方向D1に沿ったZ軸方向の寸法が同一である。
【0055】
実施形態1に係る角速度センサ1は、例えば、SOI(Silicon on Insulator)ウェハをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の製造技術等を利用して加工することにより形成されている。SOIウェハは、シリコン基板と、シリコン基板上に形成された絶縁層(例えば、埋込酸化膜)と、絶縁層上に形成されたシリコン層と、を有する。実施形態1に係る角速度センサ1では、SOIウェハのシリコン基板の一部により基板2が構成され、シリコン層の一部により構造体3が構成されている。したがって、構造体3の材料は、シリコンを含む。上述のシリコン層は、不純物を含んでおり、構造体3は、導電性を有する。実施形態1に係る角速度センサ1では、構造体3のうち基板2に固定されている複数の構成要素(アンカー部7、第1入力電極81、第1参照電極91等)の各々と基板2の主面21との間には、絶縁部23が介在している。また、実施形態1に係る角速度センサ1では、基板2に固定されていない複数の構成要素(錘部4、弾性部5、枠状部6、第2入力電極82、第2参照電極92等)と基板2との間には、空間24が存在している。各絶縁部23は、SOIウェハの絶縁層の一部により構成される。構造体3のうち基板2に固定されている複数の構成要素は、絶縁部23を介して、基板2と固定されている。
【0056】
角速度センサ1は、例えば、パッケージに収容して使用されるが、これに限らず、例えば、ウェハレベルパッケージ技術等を利用して形成されたチップサイズパッケージを含んでいてもよい。パッケージの内部空間は、例えば、窒素ガス雰囲気又は減圧雰囲気(真空)であり、構造体3と基板2との間の空間24も窒素ガス雰囲気又は減圧雰囲気(真空)である。
【0057】
(2.2)角速度センサの動作
実施形態1に係る角速度センサ1は、例えば、錘部4をX軸方向に振動させた状態で、錘部4に作用するコリオリ力(転向力)を利用して、Z軸周りの角速度を検知する。
【0058】
具体的には、例えば、図1における左右の駆動部8の各々における第1入力電極81と第2入力電極82との間に、駆動回路から駆動用の電圧信号が印加されると、第1入力電極81と第2入力電極82との間に静電力が生じ、錘部4がX軸方向において振動する。
【0059】
このようにして錘部4がX軸方向に振動している状態で、角速度センサ1の錘部4にZ軸周りの角速度が作用する場合を想定する。この場合、錘部4にはコリオリ力(転向力)が作用することにより、錘部4にY軸方向の振動が発し、図1における上下の枠状部6の各々がY軸方向に振動する。
【0060】
Y軸方向に並んでいる2つの枠状部6がY軸方向において振動すると、この2つの枠状部6の各々に対応する検出部9における第1参照電極91と第2参照電極92との間のギャップ長が変化する。このギャップ長の変化は、静電容量の変化として、処理回路に出力される。その結果、角速度センサ1(錘部4)に作用したZ軸周りの角速度に相当する電気信号が、検出部9(第1参照電極91及び第2参照電極92)から出力されることになる。なお、電圧を入力される駆動部8に隣り合う検出部9は、駆動時の変位をモニタするために利用できる。
【0061】
角速度センサ1は、例えば、信号処理装置と電気的に接続して使用される。信号処理装置は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。信号処理装置は、例えば、駆動回路と、処理回路と、を含む。駆動回路は、角速度センサ1に対して、駆動用の電圧信号を与える。処理回路は、角速度センサ1から出力される電気信号を信号処理する。例えば、処理回路は、角速度センサ1から出力されるアナログの電気信号(アナログ信号)を、デジタル信号に変換して、適宜の演算処理を行うことにより、Z軸周りの角加速度を求めることが可能である。
【0062】
(2.3)角速度センサにおける構造体のレイアウト
構造体3では、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、規定方向において枠状部6と錘部4との間に第1入力電極81と第2入力電極82の電極部分(第2櫛歯部822)とが位置している。これにより、実施形態1に係る角速度センサ1は、第1参照電極91及び第2参照電極92が第1入力電極81及び第2入力電極82の電極部分(第2櫛歯部822)よりも錘部4から離れている。よって、実施形態1に係る角速度センサ1では、基板2の厚さ方向D1からの平面視において第1参照電極91及び第2参照電極92の占める領域を大きくしやすくなり、第1参照電極91と第2参照電極92との対向面積をより大きくしやすくなる。したがって、実施形態1に係る角速度センサ1では、第1参照電極91と第2参照電極92とを含むキャパシタの容量を大きくしやすくなる。
【0063】
(3)利点
実施形態1に係る角速度センサ1では、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、規定方向において枠状部6と錘部4との間に第1入力電極81と第2入力電極82の電極部分(第2櫛歯部822)とが位置しているので、小型化を図りつつ高感度化を図ることが可能となる。
【0064】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る角速度センサ1Aについて、図5及び6を参照して説明する。実施形態2に係る角速度センサ1Aに関し、実施形態1に係る角速度センサ1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
実施形態2に係る角速度センサ1Aは、基板2の主面21側に、実施形態1に係る角速度センサ1の構造体3を4つ備えている点等で、実施形態1に係る角速度センサ1と相違する。
【0066】
実施形態2に係る角速度センサ1Aでは、基板2の主面21側において4つの構造体3が2×2の2次元アレイ状(マトリクス状)に配置されており、4つの構造体3が一体化されている。実施形態2に係る角速度センサ1Aは、第3弾性部53を更に備える。より詳細には、角速度センサ1Aは、4つの第3弾性部53を備える。4つの第3弾性部53の各々は、基板2の厚さ方向D1(図2及び3参照)からの平面視で隣り合う2つの構造体3の最近接の枠状部6同士をつないでおり、最近接の枠状部6同士の並んでいる方向に弾性変形可能である。第3弾性部53は、最近接の枠状部6同士の並んでいる方向に直交する方向に長いループ部を有する。
【0067】
以下では、説明の便宜上、4つの構造体3を区別する場合、図5において、右上の構造体3を構造体31、左上の構造体3を構造体32、左下の構造体3を構造体33、右下の構造体3を構造体34と称することもある。同様に、4つの錘部4を区別する場合、図5において、右上の錘部4を錘部41、左上の錘部4を錘部42、左下の錘部4を錘部43、右下の錘部4を錘部44と称することもある。
【0068】
角速度センサ1Aでは、X軸方向に並んでいる構造体31と構造体32との最近接の枠状部6同士をつないでいる第3弾性部53が、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、角速度センサ1Aでは、X軸方向に並んでいる構造体33と構造体34との最近接の枠状部6同士をつないでいる第3弾性部53が、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、角速度センサ1Aでは、Y軸方向に並んでいる構造体31と構造体34との最近接の枠状部6同士をつないでいる第3弾性部53が、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、角速度センサ1Aでは、Y軸方向に並んでいる構造体32と構造体33との最近接の枠状部6同士をつないでいる第3弾性部53が、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。
【0069】
角速度センサ1Aでは、隣り合う2つの構造体3の最近接の枠状部6同士をつないでいる第3弾性部53を備えることにより、隣り合う2つの構造体3の錘部4を互いに反対の位相で同期して振動させることが可能となる。
【0070】
また、実施形態2に係る角速度センサ1Aは、棒状部10と、一対の第4弾性部54と、一対の第5弾性部55と、を更に備える。角速度センサ1Aとは、1つの棒状部10と一対の第4弾性部54と一対の第5弾性部55とを含む同期用セットを、4つ備えている。
【0071】
棒状部10は、長尺である。棒状部10は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で隣り合う2つの構造体3に並んでいる。一対の第4弾性部54は、棒状部10の長手方向の両端と2つの構造体3の各々において棒状部10に最も近い枠状部6とをつないでおり、枠状部6に対応する規定方向に弾性変形しやすい構造になっている。一対の第5弾性部55は、棒状部10の長手方向の中央部と2つの構造体3の各々において棒状部10の中央部に最も近いアンカー部7とをつないでおり、基板2の厚さ方向D1と規定方向とに直交する方向に弾性変形しやすい構造になっている。
【0072】
一対の第4弾性部54の各々は、つながっている枠状部6に対応する規定方向に弾性変形可能である。ここにおいて、図5における上の棒状部10につながっている一対の第4弾性部54の各々は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図5における下の棒状部10につながっている一対の第4弾性部54の各々は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図5における左の棒状部10につながっている一対の第4弾性部54の各々は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図5における右の棒状部10につながっている一対の第4弾性部54の各々は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。Y軸方向に弾性変形しやすい構造の第4弾性部54では、Y軸方向における剛性がX軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。X軸方向に弾性変形しやすい構造の第4弾性部54では、X軸方向における剛性がY軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。
【0073】
複数(8つ)の第4弾性部54の各々は、ばねである。複数の第4弾性部54の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で折り返し部を有する。折り返し部は、基板2の厚さ方向D1からの平面視でU字状である。複数の第4弾性部54の各々は、1つの折り返し部を有している。
【0074】
一対の第5弾性部55の各々は、棒状部10を介してつながっている枠状部6に対応する規定方向と基板2の厚さ方向D1とに直交する方向に弾性変形可能である。ここにおいて、図5における上の棒状部10につながっている一対の第5弾性部55の各々は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図5における下の棒状部10につながっている一対の第5弾性部55の各々は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図5における左の棒状部10につながっている一対の第5弾性部55の各々は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、図5における右の棒状部10につながっている一対の第5弾性部55の各々は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。X軸方向に弾性変形しやすい構造の第5弾性部55では、X軸方向における剛性がY軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。Y軸方向に弾性変形しやすい構造の第5弾性部55では、Y軸方向における剛性がX軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。
【0075】
複数(8つ)の第5弾性部55の各々は、ばねである。複数の第5弾性部55の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で折り返し部を有する。折り返し部は、基板2の厚さ方向D1からの平面視でU字状である。複数の第5弾性部55の各々は、1つの折り返し部を有している。
【0076】
角速度センサ1Aでは、4つの第3弾性部53、4つの棒状部10、8つの第4弾性部54、及び8つの第5弾性部55は、基板2に対して固定されていない構成要素であり、基板2の厚さ方向D1(図2及び3参照)において基板2の主面21から離れている。
【0077】
実施形態2に係る角速度センサ1Aでは、4つの第3弾性部53と4つの棒状部10と8つの第4弾性部54と8つの第5弾性部55とは、基板2の厚さ方向D1に沿ったZ軸方向の寸法が同一であり、基板2に対して固定されていない他の構成要素ともZ軸方向の寸法が同一である。これにより、角速度センサ1Aでは、その製造が容易になり、剛性等の設計も容易になる。角速度センサ1Aでは、4つの構造体3と4つの第3弾性部53と4つの棒状部10と8つの第4弾性部54と8つの第5弾性部55とがSOIウェハのシリコン層の互いに異なる一部により構成されている。
【0078】
図6は、実施形態2に係る角速度センサ1Aの構成を模式的に表す模式図であって、図6では、各構成要素の形状等が実際の形状等と異なる場合がある。例えば、図6では、第1弾性部51、第2弾性部52、第3弾性部53、第4弾性部54及び第5弾性部55を「ばね」の記号にて模式的に表しており、実際の第1弾性部51、第2弾性部52、第3弾性部53、第4弾性部54及び第5弾性部55の形状を反映していない。ただし、「ばね」の記号において一端と他端との並んでいる方向が、弾性変形しやすい方向に対応している。
【0079】
実施形態2に係る角速度センサ1Aは、4つの錘部41~44を個別に振動させることができる。角速度センサ1Aでは、例えば、錘部41と錘部42とが互いに近づく向きに動いているときには、錘部43と錘部44とが互いに離れる向きに動き、錘部41と錘部42とが互いに離れる向きに動いているときには、錘部43と錘部44とが互いに近づく向きに動く。また、角速度センサ1Aでは、例えば、錘部41と錘部44とが互いに近づく向きに動いているときには、錘部42と錘部43とが互いに離れる向きに動き、錘部41と錘部44とが互いに離れる向きに動いているときには、錘部42と錘部43とが互いに近づく向きに動く。要するに、実施形態2に係る角速度センサ1Aでは、2×2の2次元アレイ状に並んでいる4つの構造体3のうち行方向(X軸方向)に並んでいる2つの構造体3の錘部4が同期して逆位相で動き、列方向(Y軸方向)に並んでいる2つの構造体3の錘部4が同期して逆位相で動き、対角方向に並んでいる2つの構造体3の錘部4が同期して同位相で動く。上述の棒状部10と一対の第4弾性部54と一対の第5弾性部55とを含む同期用セットは、隣り合う2つの構造体3の錘部4を逆位相で駆動させかつ同期させるためのレバー機構部を構成する。これにより、角速度センサ1Aでは、信号処理装置によって隣り合う2つの構造体3の錘部4を逆位相で振動させかつ同期させることが可能となる。ここにおいて、信号処理装置は、4つの構造体3の駆動部8を個別に制御可能に構成され、処理回路は、互いに位相の異なる錘部4に対応する検出部9の出力を用いた差動検出が可能となるように構成される。
【0080】
実施形態2に係る角速度センサ1Aでは、実施形態1に係る角速度センサ1と同様、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、規定方向において枠状部6と錘部4との間に第1入力電極81と第2入力電極82の電極部分(第2櫛歯部822)とが位置しているので、小型化を図りつつ高感度化を図ることが可能となる。
【0081】
図7は、実施形態2の変形例1に係る角速度センサ1Bの構成を模式的に示す模式図である。変形例1に係る角速度センサ1Bは、4つの構造体3ではなく2つの構造体3が一体化されている点で実施形態2に係る角速度センサ1Aと相違する。実施形態2の変形例1に係る角速度センサ1Bに関し、実施形態2に係る角速度センサ1Aと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、図7は、角速度センサ1Bの構成を模式的に表す模式図であって、図7では、各構成要素の形状等が実際の形状等と異なる場合がある。
【0082】
実施形態2の変形例1に係る角速度センサ1Bでは、実施形態1に係る角速度センサ1と同様、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、規定方向において枠状部6と錘部4との間に第1入力電極81と第2入力電極82の電極部分(第2櫛歯部822)とが位置しているので、小型化を図りつつ高感度化を図ることが可能となる。
【0083】
(変形例)
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0084】
基板2の厚さ方向D1からの平面視における錘部4の外周形状は、多角形状であれば、正方形状に限らず、例えば、六角形状でもよい。また、錘部4の外周形状は、多角形状に限らず、例えば、円形状でもよい。
【0085】
また、角速度センサ1、1A及び1Bは、SOIウェハを用いて製造される場合に限らず、例えば、シリコンウェハとガラスウェハとを用いてMEMSの製造技術及び陽極接合技術等を利用して製造されてもよい。ガラスウェハの材料は、例えば、硼珪酸ガラスである。
【0086】
また、構造体3では、第1弾性部51の第1折り返し部513の数と第2弾性部52の第2折り返し部523の数とが異なるが、これに限らず、同じであってもよい。
【0087】
また、第1弾性部51は、平面視において蛇行した形状であればつづら折れ状の形状に限らず、波状(例えば、正弦波状)であってもよい。また、第1弾性部51は、蛇行した形状に限らず、例えば、1又は複数のループ部を有する形状であってもよい。ループ部の開口形状は、矩形状に限らず、例えば、楕円状、菱形状、六角形状等であってもよい。
【0088】
また、第2弾性部52~第5弾性部55についても、蛇行した形状に限らず、例えば、1又は複数のループ部を有する形状であってもよい。また、第1弾性部51、第2弾性部52、第3弾性部53、第4弾性部54及び第5弾性部55は、ばねに限らず、弾性体であればよい。また、第1弾性部51、第2弾性部52、第3弾性部53、第4弾性部54及び第5弾性部55それぞれの数は、適宜変更してもよい。
【0089】
また、第1弾性部51、第2弾性部52、第3弾性部53、第4弾性部54及び第5弾性部55の材料は、シリコンに限らず、例えば、金属、合金、導電性樹脂等であってもよい。
【0090】
また、枠状部6は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で完全に閉じた枠に限らず、一部が切れた枠状であってもよく、例えば、C字状又はU字状であってもよい。また、複数の枠状部6は、互いに同じ形状である場合に限らず、異なっていてもよい。
【0091】
(態様)
第1の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)は、基板(2)と、構造体(3)と、を備える。構造体(3)は、基板(2)の主面(21)側に設けられている。構造体(3)は、錘部(4)と、枠状部(6)と、弾性部(5)と、アンカー部(7)と、第1入力電極(81)と、第2入力電極(82)と、第1参照電極(91)と、第2参照電極(92)と、を有する。枠状部(6)は、基板(2)の厚さ方向(D1)に直交する規定方向において錘部(4)と並んでおり、規定方向に変位可能である。弾性部(5)は、錘部(4)と枠状部(6)とをつないでおり、基板(2)の厚さ方向(D1)と規定方向とに直交する方向に弾性変形可能である。アンカー部(7)は、枠状部(6)を支持しており、基板(2)に固定されている。第1入力電極(81)は、枠状部(6)の外側に位置して枠状部(6)から離れており、基板(2)に固定されている。第2入力電極(82)は、枠状部(6)の外側に位置して枠状部(6)とつながっている電極部分(第2櫛歯部822)を含み、第1入力電極(81)に対向しており、規定方向に変位可能である。第1参照電極(91)は、枠状部(6)の内側に位置しており、基板(2)に固定されている。第2参照電極(92)は、枠状部(6)の内側に位置して枠状部(6)とつながっている電極部分(第2櫛歯部922)を含み、第1参照電極(91)に対向しており、規定方向に変位可能である。構造体(3)では、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で、規定方向において枠状部(6)と錘部(4)との間に第1入力電極(81)と第2入力電極(82)の電極部分(第2櫛歯部822)とが位置している。
【0092】
第1の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、小型化を図りつつ高感度化を図ることが可能となる。
【0093】
第2の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、第1の態様において、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で錘部(4)の外周形状が多角形状である。構造体(3)は、弾性部(5)と枠状部(6)と第1入力電極(81)と第2入力電極(82)と第1参照電極(91)と第2参照電極(92)とのセットを複数有する。複数のセットは、錘部(4)の外側において多角形状の各辺に第2入力電極(82)が一対一で対向するように配置されている。
【0094】
第2の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、錘部(4)に角速度が作用していない状態での錘部(4)の振動を安定化することが可能となり、特性の向上を図ることが可能となる。
【0095】
第3の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)は、第1又は2の態様において、弾性部(5)は、錘部(4)の外側に位置している。
【0096】
第3の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、例えば、錘部(4)に切欠が設けられていて切欠の内側に弾性部(5)が入り込んでいる場合と比べて、錘部(4)の歪を抑制でき、特性の向上を図ることが可能となる。
【0097】
第4の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、構造体(3)は、突出部(65)を更に有する。突出部(65)は、枠状部(6)からアンカー部(7)に向かって突出している。アンカー部(7)は、突出部(65)が入り込んでいる凹部(75)を有する。基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で、突出部(65)と凹部(75)との間に隙間がある。
【0098】
第4の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、突出部(65)が凹部(75)と接触することより枠状部(6)の変位が制限され、弾性部(5)等の破損を防止することが可能となる。また、第4の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)は、突出部(65)がアンカー部(7)から突出されるとともに枠状部(6)に凹部(75)が設けられている場合と比べて、枠状部(6)の歪を抑制でき、特性の向上を図ることが可能となる。
【0099】
第5の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、第1~4の態様のいずれか一つにおいて、アンカー部(7)としての第1アンカー部(71)は、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で、規定方向に直交する方向において枠状部(6)と隣接している。構造体(3)は、第2アンカー部(72)を更に有する。第2アンカー部(72)は、基板(2)に固定されており、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で第1アンカー部(71)と錘部(4)との間に位置して第1アンカー部(71)とつながっている。
【0100】
第5の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、基板(2)において構造体(3)をより安定して支持することが可能となり、特性の向上を図ることが可能となる。
【0101】
第6の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、第5の態様において、構造体(3)は、第3アンカー部(73)を更に有する。第3アンカー部(73)は、基板(2)に固定されており、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で第2アンカー部(72)と錘部(4)との間に位置して第2アンカー部(72)とつながっている。
【0102】
第6の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、基板(2)において構造体(3)をより安定して支持することが可能となり、特性の向上を図ることが可能となる。
【0103】
第7の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、第1~6の態様のいずれか一つにおいて、第1参照電極(91)は、複数の第1櫛歯部(912)を有する。第2参照電極(92)は、基部(921)と、第2参照電極(92)の電極部分として基部(921)から延びている複数の第2櫛歯部(922)と、を有する。複数の第1櫛歯部(912)と複数の第2櫛歯部(922)とが規定方向において1つずつ交互に離隔して並んでいる。枠状部(6)の一部が、第2参照電極(92)の基部(921)を兼ねている。
【0104】
第7の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、小型化を図りつつ高感度化を図ることが可能となる。
【0105】
第8の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、構造体(3)は、弾性部(5)としての第1弾性部(51)とは別に枠状部(6)とアンカー部(7)とをつないでおり弾性変形可能な第2弾性部(52)を更に有する。第1弾性部(51)は、基板(2)からの厚さ方向(D1)からの平面視で少なくとも1つの第1折り返し部(513)を有する。第2弾性部(52)は、規定方向に弾性変形可能であり、基板(2)からの厚さ方向(D1)からの平面視で少なくとも1つの第2折り返し部(523)を有する。第1弾性部(51)の第1折り返し部(513)の数と第2弾性部(52)の第2折り返し部(523)の数とが同じである。
【0106】
第8の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)では、錘部(4)の振動をより安定させることが可能となり、特性の向上を図ることが可能となる。
【0107】
第9の態様に係る角速度センサ(1A;1B)は、第2の態様において、構造体(3)を複数備える。第9の態様に係る角速度センサ(1A;1B)は、第3弾性部(53)を更に備える。第3弾性部(53)は、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で隣り合う2つの構造体(3)の最近接の枠状部(6)同士をつないでおり、最近接の枠状部(6)同士の並んでいる方向に弾性変形可能である。
【0108】
第9の態様に係る角速度センサ(1A;1B)では、隣り合う2つの構造体(3)の錘部(4)の振動を逆相で同期させることが可能となり、特性の向上を図ることが可能となる。
【0109】
第10の態様に係る角速度センサ(1A;1B)では、第9の態様において、棒状部と(10)、一対の第4弾性部(54)と、一対の第5弾性部(55)と、を更に備える。棒状部(10)は、長尺である。棒状部(10)は、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で隣り合う2つの構造体(3)に並んでいる。一対の第4弾性部(54)は、棒状部(10)の長手方向の両端と2つの構造体(3)の各々において棒状部(10)に最も近い枠状部(6)とをつないでおり、規定方向に弾性変形可能である。一対の第5弾性部(55)は、棒状部(10)の長手方向の中央部と2つの構造体(3)の各々において棒状部(10)の中央部に最も近いアンカー部(7)とをつないでおり、基板(2)の厚さ方向(D1)と規定方向とに直交する方向に弾性変形可能である。
【0110】
第10の態様に係る角速度センサ(1A;1B)では、隣り合う2つの構造体(3)の錘部(4)を逆位相で駆動させかつ同期させることが可能となる。
【0111】
第2~10の態様に係る構成については、角速度センサ(1;1A;1B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0112】
第11の態様に係る角速度センサ(1;1A;1B)は、基板(2)と、構造体(3)と、を備える。構造体(3)は、基板(2)の主面(21)側に設けられている。構造体(3)は、錘部(4)と、一対の枠状部(6)と、一対の第1弾性部(51)と、一対のアンカー部(7)と、一対の第1入力電極(81)と、一対の第2入力電極(82)と、一対の第1参照電極(91)と、一対の第2参照電極(92)と、を有する。錘部(4)は、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視での外周形状が多角形状である。一対の枠状部(6)は、基板(2)の厚さ方向(D1)に直交する規定方向において錘部(4)の一方側及び他方側に位置しており、規定方向に変位可能である。一対の第1弾性部(51)は、錘部(4)と一対の枠状部(6)との各々をつないでおり、基板(2)の厚さ方向(D1)と規定方向とに直交する方向に弾性変形可能である。一対のアンカー部(7)は、一対の枠状部(6)の各々を支持しており、基板(2)に固定されている。一対の第1入力電極(81)は、一対の枠状部(6)に一対一に対応し対応する枠状部(6)の外側に位置して枠状部(6)から離れており、基板(2)に固定されている。一対の第2入力電極(82)は、一対の枠状部(6)に一対一に対応し対応する枠状部(6)の外側に位置して枠状部(6)とつながっている電極部分を含み、第1入力電極(81)に対向しており、規定方向に変位可能である。一対の第1参照電極(91)は、一対の枠状部(6)に一対一に対応し対応する枠状部(6)の内側に位置しており、基板(2)に固定されている。一対の第2参照電極(92)は、一対の枠状部(6)に一対一に対応し対応する枠状部(6)の内側に位置して枠状部(6)とつながっている電極部分を含み、第1参照電極(91)に対向しており、規定方向に変位可能である。構造体(3)では、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で、規定方向において一対の枠状部(6)の各々と錘部(4)との間に第1入力電極(81)と第2入力電極(82)の電極部分とが位置している。
【符号の説明】
【0113】
1、1A、1B 角速度センサ
2 基板
21 主面
3 構造体
4 錘部
5 弾性部
51 第1弾性部
513 第1折り返し部
52 第2弾性部
523 第2折り返し部
53 第3弾性部
54 第4弾性部
55 第5弾性部
6 枠状部
65 突出部
7 アンカー部
71 第1アンカー部
72 第2アンカー部
73 第3アンカー部
75 凹部
8 駆動部
81 第1入力電極
811 第1櫛骨部
812 第1櫛歯部
82 第2入力電極
821 第2櫛骨部
822 第2櫛歯部
9 検出部
91 第1参照電極
911 第1櫛骨部
912 第1櫛歯部
92 第2参照電極
921 基部
922 第2櫛歯部
10 棒状部
D1 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7