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特許7365653ゴムセンサ及びそれを構成するセンシングゴム組成物、並びに、タイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】ゴムセンサ及びそれを構成するセンシングゴム組成物、並びに、タイヤ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/20 20060101AFI20231013BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20231013BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20231013BHJP
【FI】
G01L1/20 A
H10N30/30
H10N30/857
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023008246
(22)【出願日】2023-01-23
【審査請求日】2023-06-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518266602
【氏名又は名称】株式会社アトムワーク
(73)【特許権者】
【識別番号】501016733
【氏名又は名称】中谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】下村 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼村 修七
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0034534(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第115342947(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0268108(US,A1)
【文献】国際公開第2010/095581(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00 - 1/26
G01L 5/00 -23/32
G01L27/00 -27/02
H10N30/30
H10N30/857
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
力学的な負荷を検出するゴムセンサであって、
潮解性物質を担持可能で該潮解性物質を保持した担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、前記流路内に前記潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持するセンシングゴム組成物と、
前記センシングゴム組成物に接触し、相互に非接触な複数の電極とを備え、
一の前記電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の前記電極との電位差は、前記センシングゴム組成物に力学的な負荷を与えられて変化することを特徴とするゴムセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のゴムセンサにおいて、前記ゴム材に導電性のフィラーが混合されていることを特徴とするゴムセンサ。
【請求項3】
請求項2記載のゴムセンサにおいて、前記ゴム材100質量%に対する前記フィラーの割合は、0.5質量%以上であることを特徴とするゴムセンサ。
【請求項4】
請求項1記載のゴムセンサにおいて、前記一の電極と前記他の電極との電位差は、前記センシングゴム組成物への熱の付与によっても変化することを特徴とするゴムセンサ。
【請求項5】
接触状態で取り付けられた複数の電極と共に、力学的な負荷を検出するゴムセンサを構成するセンシングゴム組成物であって、
潮解性物質を担持可能で該潮解性物質を保持した担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、前記流路内に前記潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持し、力学的な負荷が与えられて、一の前記電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の前記電極との電位差を変化させることを特徴とするセンシングゴム組成物。
【請求項6】
請求項5記載のセンシングゴム組成物において、前記ゴム材に導電性のフィラーが混合されていることを特徴とするセンシングゴム組成物。
【請求項7】
請求項6記載のセンシングゴム組成物において、前記ゴム材100質量%に対する前記フィラーの割合は、0.5質量%以上であることを特徴とするセンシングゴム組成物。
【請求項8】
請求項5記載のセンシングゴム組成物において、熱が付与されても、前記一の電極と前記他の電極との電位差を変化させることを特徴とするセンシングゴム組成物。
【請求項9】
力学的な負荷を検出するゴムセンサを有するタイヤであって、
前記ゴムセンサは、潮解性物質を担持可能で該潮解性物質を保持した担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、前記流路内に前記潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持するセンシングゴム組成物と、前記センシングゴム組成物に接触し、相互に非接触な複数の電極とを備え、一の前記電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の前記電極との電位差は、前記センシングゴム組成物に力学的な負荷を与えられて変化することを特徴とするタイヤ。
【請求項10】
接触状態で取り付けられた複数の電極と共に、力学的な負荷を検出するゴムセンサを構成するセンシングゴム組成物を有するタイヤであって、
前記センシングゴム組成物は、潮解性物質を担持可能で該潮解性物質を保持した担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、前記流路内に前記潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持し、力学的な負荷が与えられて、一の前記電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の前記電極との電位差を変化させることを特徴とするタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力学的な負荷を検出可能なゴムセンサ及びそれを構成するセンシングゴム組成物、並びに、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
力学的な負荷の検出には、歪ゲージを用いたセンサや圧電素子を用いたセンサが使用される(特許文献1、2参照)。歪ゲージは検出対象物で生じる歪みを電気抵抗の変化として検出するもので、一般的に歪みの検出には歪みゲージを通電状態で保つ必要がある。
これに対し、圧電効果によって力学的な負荷を検出する圧電素子は圧電素子に対して外部から電圧を印加する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-21796号公報
【文献】特開2021-186238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧電素子は効率的に発電して力学的な負荷を安定的に検出できるようにするために形状が制限されるという課題がある。また、圧電素子及び歪みゲージは共に製造された形状で使用することが前提であり、使用現場の状況に応じて、例えば、圧電素子や歪みゲージを半分に切って使用することはできない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、通電が不要で形状の制限が低減されたゴムセンサ及びそれを構成するセンシングゴム組成物、並びに、タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係るゴムセンサは、力学的な負荷を検出するゴムセンサであって、潮解性物質を担持可能で該潮解性物質を保持した担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、前記流路内に前記潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持するセンシングゴム組成物と、前記センシングゴム組成物に接触し、相互に非接触な複数の電極とを備え、一の前記電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の前記電極との電位差は、前記センシングゴム組成物に力学的な負荷を与えられて変化する。
【0006】
前記目的に沿う第2の発明に係るセンシングゴム組成物は、接触状態で取り付けられた複数の電極と共に、力学的な負荷を検出するゴムセンサを構成するセンシングゴム組成物であって、潮解性物質を担持可能で該潮解性物質を保持した担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、前記流路内に前記潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持し、力学的な負荷が与えられて、一の前記電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の前記電極との電位差を変化させる。
【0007】
前記目的に沿う第3の発明に係るタイヤは、力学的な負荷を検出するゴムセンサを有するタイヤであって、前記ゴムセンサは、潮解性物質を担持可能で該潮解性物質を保持した担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、前記流路内に前記潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持するセンシングゴム組成物と、前記センシングゴム組成物に接触し、相互に非接触な複数の電極とを備え、一の前記電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の前記電極との電位差は、前記センシングゴム組成物に力学的な負荷を与えられて変化する。
【0008】
前記目的に沿う第4の発明に係るタイヤは、接触状態で取り付けられた複数の電極と共に、力学的な負荷を検出するゴムセンサを構成するセンシングゴム組成物を有するタイヤであって、前記センシングゴム組成物は、潮解性物質を担持可能で該潮解性物質を保持した担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、前記流路内に前記潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持し、力学的な負荷が与えられて、一の前記電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の前記電極との電位差を変化させる。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係るゴムセンサは、潮解性物質を担持可能な担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、流路内に潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持するセンシングゴム組成物と、センシングゴム組成物に接触し、相互に非接触な複数の電極とを備え、一の電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の電極との電位差が、センシングゴム組成物に力学的な負荷を与えられて変化するので、通電が不要で形状の制限が低減可能である。
【0010】
第2の発明に係るセンシングゴム組成物は、接触状態で取り付けられた複数の電極と共に、力学的な負荷を検出するゴムセンサを構成する組成物であって、潮解性物質を担持可能な担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、流路内に潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持し、力学的な負荷が与えられて、一の電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の電極との電位差を変化させるので、ゴムセンサを通電が不要で形状の制限が低減したものにできる。
【0011】
第3の発明に係るタイヤは、第1の発明に係るゴムセンサを有するので、通電が不要で形状の制限が低減可能なゴムセンサを具備することとなる。
第4の発明に係るタイヤは、第2の発明に係るセンシングゴム組成物を有するので、センシングゴム組成物が形状の制限が低減可能で通電が不要なゴムセンサを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係るゴムセンサの説明図である。
図2】力学的負荷実験で用いたゴムセンサの第1のサンプルの説明図である。
図3】力学的負荷実験の計測結果を示す説明図である。
図4】力学的負荷実験の計測結果を示す説明図である。
図5】力学的負荷実験の計測結果を示す説明図である。
図6】力学的負荷実験の計測結果を示す説明図である。
図7】力学的負荷実験の計測結果を示す説明図である。
図8】力学的負荷実験の計測結果を示す説明図である。
図9】熱付与実験で用いたゴムセンサの第2のサンプルの説明図である。
図10】第2のサンプルについての熱付与実験の計測結果を示す説明図である。
図11】第3のサンプルについての熱付与実験の計測結果を示す説明図である。
図12】第4のサンプルについての熱付与実験の計測結果を示す説明図である。
図13】電圧印加実験で用いたゴムセンサの第5のサンプルの説明図である。
図14】電圧印加実験の計測結果を示す説明図である。
図15】電圧印加実験での第5のサンプルに対する電圧の印加位置を示す説明図である。
図16】電圧印加実験の計測結果を示す説明図である。
図17】(A)、(B)は変形例に係るゴムセンサの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るゴムセンサ10は、潮解性物質を担持可能な担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、流路内に潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持するセンシングゴム組成物11と、センシングゴム組成物11に接触し、相互に非接触な複数の電極12、13とを備えて、力学的な負荷を検出するセンサである。以下、詳細に説明する。
【0014】
センシングゴム組成物11が具備するゴム材には特に限定がなく、ゴム材として、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロブレンゴム、アクリロニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム又はエピクロルヒドリンゴムを選択できる。
【0015】
また、担体として、多孔質物質や中空物質を用いることができ、例えば、ゼオライト、珪藻土、シラスバルーン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、シリカゲル、モンモリロナイト、カオリナイト、軽石、頁岩、メソポーラスシリカ、多孔質ポリマービーズ、黒鉛、セルロースナノファイバー、コルク及びγアルミナの群から選択される1種類の物質又は複数種類の物質を採用可能である。
【0016】
ゴム材に分布している担体は、硬化してゴム材となる未硬化(未加硫)のエラストマー(以下、単に「エラストマー」と言う)に、潮解性物質を担持した状態で混合されたものである。担体は混合処理によって未硬化のエラストマー中に万遍なく分布できるものであればよく、担体の大きさや形状は限定されない。例えば、平均粒径(レーザー回析・散乱法による計測)が10nm以上100μm以下の粒子状の担体を用いることができる。
【0017】
本実施の形態では、潮解性物質として、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ピロリン酸カリウム、過塩素酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、リン酸、酸化クロム、硝酸鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化スズ、セレン酸、酢酸アンモニウム、ヨウ化リチウム、フッ化アンモニウム、ベンゼンスルホン酸、尿素及びチオシアン酸カリウムの群から選択される1種類の物質又は複数種類の物質を採用している。
【0018】
ゴム材には、表面及び内側に万遍なく流路が形成されている。本実施の形態では、ゴム材全体に流路が立体的に広がって形成されている。
流路は未硬化のエラストマーを硬化させてゴム材を得る過程でゴム材全体に網目状に形成される。また、潮解性物質に比べて蒸発温度が低い液体(ベンゼンやアセトン等の無極性溶媒が好ましい)を担体と共にエラストマーに混合し、エラストマーを硬化させる際に当該液体を蒸発させることによってゴム材への流路の形成を促進することができる。
【0019】
エラストマー及び担体を混合する際の混合条件の調整によってもゴム材への流路の形成を促進可能である。ここで、流路の形成を促進とは、エラストマーの硬化過程で形成される流路に対し、一の流路と他の流路を連通したり、流路を広げたり(直径を太くしたり、長さを長くしたり)することを意味する。
本実施の形態では、センシングゴム組成物11を一辺の長さ2mm(好ましくは1mm、更に好ましくは500μm)の立方体に分割した際、9割以上の立方体に流路が存在するように、流路がセンシングゴム組成物11に均一に分布している。
【0020】
ゴム材の流路内に保持される電解質溶液は、潮解性物質が水分を含有する溶解液(水やエタノール水等)に溶解した溶液である。電解質溶液に含まれている水分は、潮解性物質を溶解液に溶解させた状態で担持した担体をエラストマーに混合することによってもたらさせるのに加え、ゴム材に分布している潮解性物質が空気中の水分(水蒸気)をゴム材に形成された流路を介して取り込んで溶解することによってももたらされる。
【0021】
なお、潮解性物質を溶解していない状態で担体に担持させてエラストマーに混合してもよく、その場合、電解質溶液に含まれている水分は、ゴム材に分布している潮解性物質が空気中の水分をゴム材に形成された流路を介して取り込むことによりもたらされる。本実施の形態において、センシングゴム組成物11は、1cmのセンシングゴム組成物11に対し溶解していない潮解性物質及び電解質溶液の合計が嵩容積で平均して0.15ml以上0.50ml以下(好ましくは、0.25ml以上0.35ml以下)含まれている。また、本実施の形態では、電解質溶液の導電率が1×10-3S/cm以上である。
【0022】
センシングゴム組成物11は流路内に電解質溶液を保持している。従って、電極12、13をセンシングゴム組成物11に接触させることによって、電極12、13は流路内の電解質溶液に接触する。よって、ゴムセンサ10は、イオン化傾向が異なる電極12、13が相互に直接接触していない状態で電解質溶液に接触していることとなる。
【0023】
本実施の形態では、電極12が電極13と比較してイオン化傾向が低く(イオンにならない場合も含む)、電極12は正極として機能し、電極13は負極として機能する。電極12、13の組み合わせとして、例えば、正極としての銅製の棒材と負極としてのアルミ製の棒材の組み合わせや、正極としての炭素製の棒材と負極としての鉄線に亜鉛メッキをほどこした棒材の組み合わせが挙げられる。電極12、13は棒状である必要はなく、例えば、フイルム状の電極を採用してもよい。
【0024】
正極としての電極及び負極としての電極の双方をフイルム状にする場合、3つのフイルム状のセンシングゴム組成物(以下、第1、第2、第3のセンシングゴム組成物とする)を用意し、正極としての電極を第1、第2のセンシングゴム組成物で挟み、負極としての電極を第2、第3のセンシングゴム組成物で挟んで、電極とセンシングゴム組成物の接触面積を大きくするようにしてもよい。
【0025】
本実施の形態では、図1に示すように、電極12、13を棒状に形成し、センシングゴム組成物11に電極12、13を差し込むことによって、電極12の電解質溶液に対する接触面積及び電極13の電解質溶液に対する接触面積を大きくしている。なお、電極12、13を差し込む位置や差し込む向きに制限はない。
ここで、電圧計を用いた実験的検証によって、ゴムセンサ10の電極12、13間に電位差(電圧)が生じていることを確認している。これは、負極である電極13から正極である電極12に向けて電子が移動し、ゴムセンサ10が電池として機能する(発電している)ことを意味する。
【0026】
センシングゴム組成物11において、ゴム材の表面及び内側に分布している潮解性物質が空気中の水分を吸収可能な性質は、原則、永続することから、センシングゴム組成物11を通常の環境下(通常ではない環境、例えば、絶対湿度が1%以下の環境を除く)に晒している場合、流路内に電解質溶液を保持した状態は半永久的に継続される。そのため、ゴムセンサ10の発電機能は長期に渡って継続される。これに関し、実験的検証によって、製造から半年以上経過したゴムセンサ10において電極12、13に電位差が生じていることを確認した。
【0027】
また、ゴムセンサ10は、センシングゴム組成物11への力学的な負荷の付与、センシングゴム組成物11への熱の付与、又は、センシングゴム組成物11への電圧の印加によって、イオン化傾向が異なる電極12、13の電位差が変化することを実験的検証によって確認した。従って、ゴムセンサ10は、センシングゴム組成物11に対しての力学的な負荷、熱の付与及び電圧の印加を電極12、13の電位差によって検出可能である。
【0028】
更に、力学的な負荷が与えられるセンシングゴム組成物11の位置、熱が付与されるセンシングゴム組成物11の位置、又は、電圧が印加されるセンシングゴム組成物11の位置を変えることによって、電極12、13の電位差が変化することも実験的検証によって確認した。そのため、ゴムセンサ10を用いれば、センシングゴム組成物11に対し各種の物理的負荷が与えられた位置を検知できる。
【0029】
ここまで説明したゴムセンサ10のセンシング機能及び発電機能は、センシングゴム組成物11がどのような形状でも出現する。これは、センシングゴム組成物11に潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持する流路が万遍なく形成されているためであり、センシングゴム組成物11を複数個の片に切り離しても個々の片がセンシングゴム組成物として機能し、個々の片にイオン化傾向が異なる複数の電極を接触させることで、複数のゴムセンサを作製可能である。
【0030】
また、ゴムセンサ10が各種の物理的負荷(力学的負荷、熱の付与及び電圧の印加等)を安定して検出できるようにするという観点では、センシングゴム組成物11への物理的負荷の付与が電極12、13の電位差の変化に顕著に出現することが重要であり、それにはゴム材への導電性のフィラーの混合が好適である。これは、電極12(電極13についても同じ)とセンシングゴム組成物11の電気的な接触面積がフィラーを介することによって拡大するためであると考えられる。
【0031】
フィラーとして、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラファイト、ケッチェンブラック及び鉄粉等を採用可能である。ここで、ゴム材100質量%に対するフィラーの割合が0.5質量%未満であると電極間(正極と負極間)の電位差の変化の顕著化を安定して図ることができない。そのため、ゴム材100質量%に対するフィラーの割合は0.5質量%以上が好ましい。一方、ゴム材100質量%に対するフィラーの割合が大き過ぎる(カーボンナノチューブやケッチェンブラック等、導電性が高いフィラーの場合は、例えば10質量%を超える)と電解質溶液含有ゴム組成物が電気的に導電体の特性を有して、ゴムセンサのセンシング機能及び発電機能が損なわれるおそれがある。
【0032】
また、本発明の一実施の形態に係るセンシングゴム組成物11は、センシングゴム組成物11に接触状態で取り付けられた複数の電極12、13と共に、力学的な負荷を検出するゴムセンサ10を構成する組成物であって、潮解性物質を担持可能な担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、流路内に潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持し、力学的な負荷が与えられて、一の電極と該電極とイオン化傾向が異なる他の電極との電位差を変化させるものである。
【0033】
センシングゴム組成物11は以下の工程を経て製造できる。
第1工程:潮解性物質と水を混合した混合物を担体と共に容器内に投入して担体に混合物を担持させる。
第2工程:硬化剤及び無極性溶媒を添加した未硬化のエラストマーに混合物を担持した担体を投入して混合する。
第3工程:無極性溶媒及び担体が均一に分布したエラストマーを乾燥させて硬化させる。
【0034】
無極性溶媒は第1工程で担体に担持された潮解性物質が第2工程での混合によって担体から離れてエラストマー中に流出するのを抑制する。更に、無極性溶媒は第3工程でのエラストマーの硬化の際に蒸発してエラストマーに流路を形成する。
また、第1工程及び第2工程までが完了したもの(第3工程を行っていないもの)を塗料として他の物体に塗布し、塗料を紫外線や熱によって硬化させて同物体にセンシングゴム組成物の層を形成することもできる。
【0035】
また、ここまで説明したゴムセンサを有するタイヤを設計することができる。当該タイヤはゴムセンサを有することによって、例えば、タイヤに過度な負荷が生じている箇所や負荷の大きさを検出可能となる。センシングゴム組成物のみを有するタイヤを設計し、電極をタイヤ外に設けるようにすることもできる。なお、ゴムセンサやセンシングゴム組成物は、タイヤ以外のゴム製品、例えば、免震ゴム、ホース、ベルト、ゴムクローラ、ゴム支承の構成品とすることもできる。
【実施例
【0036】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験について説明する。
【0037】
<力学的負荷実験>
電解質溶液としての塩化マグネシウム水溶液と担体としてのカーボンブラック(三菱ケミカル株式会社のMA100)を混合した添加剤を、シリコーン(信越化学工業株式会社のKE-26)に無極性溶媒(三協化学株式会社の塗料用シンナーA(s))を加えたものに添加して混合した後、導電性フィラーとしてのカーボンナノチューブ(三菱商事株式会社のDurobeads、シリコーンの5質量%に相当する量)を加え混合し乾燥させて、第1のセンシングゴム組成物21(図2参照)を形成した。
【0038】
そして、第1のセンシングゴム組成物21に、図2に示すように、炭素製の棒材からなる2本の正極22、22a及び鉄線に亜鉛メッキをほどこした3本の負極23、23a、23bを差し込んで、ゴムセンサの第1のサンプル20を作製した。第1のセンシングゴム組成物21は縦が90mm、横が75mm、厚みが5mmの大きさであった。第1のサンプル20は、正極22、22aが第1のセンシングゴム組成物21の左側上部及び左側中央にそれぞれ5mm差し込まれ、負極23、23a、23bが第1のセンシングゴム組成物21の右側上部、右側中央及び右側下部にそれぞれ5mm差し込まれていた。
【0039】
図2に示すように、第1のサンプル20の数字を丸で囲んだ15箇所に対し、順次、直径5mmの円柱状の木製の棒材の長手方向一側を10N/mの力で押し付けて、正極22、22aから選択した一つの正極と負極23、23a、23bから選択した一つの負極の電位差を計測した。第1のサンプル20に対し棒材を押し付けた箇所(以下、「力付与箇所」とも言う)の縦のピッチ及び横のピッチはそれぞれ20mmであった。15個の力付与箇所を、電位差を計測した正極及び負極を結ぶ直線からの距離に応じて、A、B、C、Dの4つのグループに分けた。当該直線に最も近いグループをAグループとし、当該直線に2番目に近いグループをBグループとし、当該直線に3番目に近いグループをCグループとし、当該直線まで最も遠いグループをDグループとした。
【0040】
正極22及び負極23の電位差の計測結果を図3に示し、正極22a及び負極23の電位差の計測結果を図4に示し、正極22及び負極23aの電位差の計測結果を図5に示し、正極22a及び負極23aの電位差の計測結果を図6に示し、正極22及び負極23bの電位差の計測結果を図7に示し、正極22a及び負極23bの電位差の計測結果を図8に示す。図3図8において丸で囲まれた1から15の数字は15個の力付与箇所を意味する。図3図8には、棒材を押し付けなかった際の電位差を基準値(0V)とし、押し付けた際の電位差の基準値に対する変化量が記されている。
【0041】
図3図8に示す計測結果より、基準位置に対する変化量は、Aグループが最も大きく、Bグループが2番目に大きく、Cグループが3番目に大きく、Dグループが最も小さくなる傾向があった。Aグループでは、正極又は負極に近い力付与箇所が正極及び負極の中間に位置する力付与箇所より基準位置に対する変化量が大きくなる傾向が確認された。
【0042】
<熱付与実験>
第1のセンシングゴム組成物21の作製に使用した材料に対してカーボンナノチューブを削除した材料を用いて、図9に示すように、縦が90mm、横が90mm、厚みが5mmの大きさの第2のセンシングゴム組成物31を作製し、第2のセンシングゴム組成物31に正極22及び負極23(それぞれ力学的負荷の実験で用いたもの、以下同様)を差し込んで、ゴムセンサの第2のサンプル30を作製した。
【0043】
第1のセンシングゴム組成物21の作製に使用した材料に対してカーボンナノチューブの割合のみをシリコーンの0.2質量%に変えて、縦が90mm、横が90mm、厚みが5mmの大きさの第3のセンシングゴム組成物を作製し、第3のセンシングゴム組成物に正極22及び負極23を差し込んで、ゴムセンサの第3のサンプルを作製した。
更に、第1のセンシングゴム組成物21の作製に使用した材料と同じ材料を用いて、縦が90mm、横が90mm、厚みが5mmの大きさの第4のセンシングゴム組成物を作製し、第4のセンシングゴム組成物に正極22及び負極23を差し込んで、ゴムセンサの第4のサンプルを作製した。
【0044】
第2のサンプル30は、図9に示すように、正極22が第2のセンシングゴム組成物31の右側上部に5mm差し込まれ、負極23が第2のセンシングゴム組成物31の右側下部に5mm差し込まれていた。これは、第3のサンプル及び第4のサンプルでも同じであった。
【0045】
まず、第2のサンプル30について、図9に示された第2のサンプル30上の1から3の数字を丸で囲んだ3箇所に、順次、約220℃(220℃±10℃)のコテを実質的に第2のサンプル30に圧力をかけないように接触させ、正極22及び負極23の電位差を計測した。計測結果を図10に示す。
図10の計測結果から、第2のサンプル30に対する熱の付与の位置が変わることによって正極22及び負極23の電位差が変化すること、及び、カーボンナノチューブを含まないゴムセンサであっても正極22及び負極23に電位差が生じることが確認された。
【0046】
次に、第3のサンプル及び第4のサンプルそれぞれに対して、第2のサンプル30の3の数字を丸で囲んだ位置に相当する位置に、約220℃(220℃±10℃)のコテを実質的に圧力をかけないように接触させ、正極22及び負極23の電位差を計測した。第3のサンプルの計測結果及び第4のサンプルの計測結果を図11図12にそれぞれ示す。
【0047】
図11図12の計測結果から、シリコーンゴムの0.2質量%のカーボンナノチューブを含む第3のサンプルでは電位差の増大開始からピークまでの時間が約315秒であったのに対し、シリコーンゴムの0.5質量%のカーボンナノチューブを含む第4のサンプルでは電位差の増大開始からピークまでの時間が約260秒であった。更に、第3のサンプルでは電位差の増大開始時の電位差と電位差がピーク時の電位差との差異が0.15Vであったのに対し、第4のサンプルでは当該2つの電位差の差異が0.26Vであった。
【0048】
<電圧印加実験>
第1のセンシングゴム組成物21の作製に使用した材料と同じ材料を用いて、図13に示すように、縦が75mm、横が150mm、厚みが7mmの大きさの第5のセンシングゴム組成物41を作製し、第5のセンシングゴム組成物41の右側上部に正極22を5mm差込み、第5のセンシングゴム組成物41の右側下部に負極23を5mm差し込んで、ゴムセンサの第5のサンプル40を作製した。
【0049】
第5のサンプル40の表面に対し、図13に示された+を丸で囲んだ位置に直流電圧5Vを印加する印加装置の正極を接触させ、当該印加装置の負極の接触位置を順次変えて正極22及び負極23の電位差を計測した。印加装置の負極の接触位置は図13で1~59の数字を丸で囲んだ位置であった。計測結果を図14に示す。なお、図14において棒グラフに付した数字は、印加装置の負極の接触位置を意味する。
図14に示す計測結果より、第5のサンプル40に電圧を印加する箇所が変わることによって、正極22及び負極23の電位差が変化することが確認された。
【0050】
次に、第5のサンプル40の表面に対し、図15に示された+を丸で囲んだ位置に同印加装置の正極を接触させ、その印加装置の負極の接触位置を1~8の数字を丸で囲んだ8つの位置に順次変えて正極22及び負極23の電位差を計測した。計測結果を図16に示す。図16において棒グラフに付した数字は、印加装置の負極の接触位置を意味する。
図16に示す計測結果からも、第5のサンプル40に電圧を印加する箇所が変わることによって、正極22及び負極23の電位差が変化することが確認された。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、センシングゴム組成物に導電性のフィラーを混合しなくてもよい。センシングゴム組成物に導電性のフィラーを混合する場合、ゴム材に対するフィラーの割合が0.5質量%未満であってもよいし、フィラーの種類によっては同割合が10質量%を超えてもよい。ゴムセンサはセンシングゴム組成物に熱が付与されてもイオン化傾向が異なる2つの電極の電位差が変化しなくてもよい。
【0052】
また、ゴムセンサは、電極とセンシングゴム組成物の接触面積を大きくすることによって、出力電流を増大することができる。図17(A)、(B)を参照して、電極51とセンシングゴム組成物52の接触面積を大きくしたゴムセンサ50について説明する。
ゴムセンサ50は、図17(A)、(B)に示すように、負極としての電極51及びセンシングゴム組成物52がそれぞれ帯状であり、正極としての電極53が棒状である。
【0053】
センシングゴム組成物52は電極51より長い。ゴムセンサ50は、電極51全体の一側の面とセンシングゴム組成物52の一部の一側の面とが面接触した状態で巻かれた円柱状物によって発電機能強化部54が形成され、発電機能強化部54を構成するセンシングゴム組成物52の領域を除く領域によって板状のセンサ機能部55が形成されている。電極53は発電機能強化部54の軸心を貫通して、センシングゴム組成物52に接触している。電極51と電極53とは非接触である。
【0054】
発電機能強化部54は電極51とセンシングゴム組成物52の接触面積が大きいことから、出力電流の増大に寄与できる。センサ機能部55は発電機能強化部54に比べて、発電機能への寄与が小さく、物理的負荷が与えられる部分としての利用に好適である。
発電機能強化部54は図示しない絶縁性のケースに収容することによって、円柱状が維持される。ケースに、電極53が貫通する貫通孔とセンシングゴム組成物52のセンサ機能部55をケース外に突出させるための貫通孔とを形成すれば、ゴムセンサ50は外部に電圧及び電流を印加可能となる。電極51として、例えば、アルミ箔を採用でき、電極53として、例えば、炭素製の棒材を採用できる。
【0055】
ゴムセンサの出力電流の増加に対しては、負極としての電極とセンシングゴム組成物の接触面積の増大だけではなく、正極としての電極とセンシングゴム組成物の接触面積の増大も寄与できることは言うまでもない。例えば、それぞれ帯状の2つの電極及びそれぞれ帯状の2つのセンシングゴム組成物を用意し、一方の電極、一方のセンシングゴム組成物、他方の電極及び他方のセンシングゴム組成物を順に重ねて巻くことによって、双方の電極のセンシングゴム組成物に対する接触面積の増大を図ることが可能となる。また、正極としての帯状の電極、帯状のセンシングゴム組成物、負極としての帯状の電極及び帯状のセンシングゴム組成物を順に面接触させたものを複数組、重ね合わせるようにしてもよく、その場合、正極としての電極及び負極としての電極はそれぞれ複数個存在することになる。
【符号の説明】
【0056】
10:ゴムセンサ、11:センシングゴム組成物、12、13:電極、20:第1のサンプル、21:第1のセンシングゴム組成物、22、22a:正極、23、23a、23b:負極、30:第2のサンプル、31:第2のセンシングゴム組成物、40:第5のサンプル、41:第5のセンシングゴム組成物、50:ゴムセンサ、51:電極、52:センシングゴム組成物、53:電極、54:発電機能強化部、55:センサ機能部
【要約】
【課題】通電が不要で形状の制限を低減可能なゴムセンサ及びそれを有するセンシングゴム組成物、並びに、タイヤを提供する。
【解決手段】力学的な負荷を検出するゴムセンサ10であって、潮解性物質を担持可能な担体が分布し、流路が形成されたゴム材を有し、流路内に潮解性物質が溶解した電解質溶液を保持するセンシングゴム組成物11と、センシングゴム組成物11に接触し、相互に非接触な複数の電極12、13とを備え、一の電極12と電極12とイオン化傾向が異なる他の電極13との電位差は、センシングゴム組成物11に力学的な負荷を与えられて変化する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17