(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】鉗子装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A61B17/29
(21)【出願番号】P 2023532751
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2022043868
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2021193713
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
(73)【特許権者】
【識別番号】513182547
【氏名又は名称】奈良精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 明仁
(72)【発明者】
【氏名】折舘 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 博央
(72)【発明者】
【氏名】西浦 淳
(72)【発明者】
【氏名】北村 瞳
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-525145(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0093790(US,A1)
【文献】米国特許第5480409(US,A)
【文献】米国特許第5611813(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に延びた固定ハンドルを有する本体と、
基端部が前記本体により支持され、該本体から前方に延出し、先端部に、開閉操作される開閉部を有する開閉機能部と、
前記開閉機能部の後端部に直列的に連結し、前記本体により前側の開位置と後ろ側の閉位置との間で移動し得るように支持され、前記開閉部を、該開位置に位置するときに開状態とし、該閉位置に位置するときに閉状態とする開閉駆動部と、
前記固定ハンドルから前方に離れた前方位置と該固定ハンドルに近接した後方位置との間で移動し得るように前記本体により支持され、該前方位置に位置するときに前記開閉駆動部が前記開位置に位置し、該後方位置に位置するときに該開閉駆動部が前記閉位置に位置するように前記開閉駆動部と連動する可動ハンドルと、
前記開閉駆動部の前記開位置方向への移動を規制し前記閉位置方向への移動を許容する規制状態と、該開位置方向及び該閉位置方向への移動が規制されない規制解除状態との間で遷移するラチェット機構とを備え、
前記ラチェット機構は、
前記開閉駆動部の後端部において前後方向に配列された複数の歯を有するラチェット歯と、
該ラチェット機構を前記規制状態とする第1回動位置と前記規制解除状態とする第2回動位置との間で、左右方向に延在する回動軸線の周りで回動し得るように前記本体により支持されたストッパとを備え、
前記ストッパは、
該ストッパの前記回動軸線よりも先端側に設けられ、該ストッパが前記第1回動位置に位置するときに、前記開閉駆動部が後方へ移動するのを前記ラチェット歯に噛み合うことなく許容し、該開閉駆動部が前方へ移動するのを前記ラチェット歯に噛み合うことにより規制するラチェット爪と、
前記本体から後方に突出するように該ストッパの前記回動軸線よりも後端側に設けられ、該ストッパを前記第1回動位置と前記第2回動位置との間で回動させるために操作される操作部とを備え、
前記本体と前記ストッパとの間には、
前記ストッパを前記第2回動位置から前記第1回動位置に向けて付勢する第1付勢手段と、
前記開閉駆動部を前記閉位置から前記開位置に向かう方向に付勢する開閉駆動部付勢手段とが設けられることを特徴とする鉗子装置。
【請求項2】
前記ストッパが前記第1回動位置又は前記第2回動位置に回動されたとき、前記ストッパを該第1回動位置又は該第2回動位置に、前記操作部により解除可能に固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の鉗子装置。
【請求項3】
前記固定手段は、
前記本体又は前記ストッパのうちの一方に設けられたボールプランジャと、
前記本体又は前記ストッパのうちの他方に設けられ、前記ストッパが前記第1回動位置及び前記第2回動位置に位置するときにそれぞれ前記ボールプランジャの受け側として機能する第1凹部及び第2凹部とを備え、
前記第1凹部は、前記ストッパが前記第1回動位置に位置するときに、前記ラチェット爪が前記ラチェット歯と噛み合う回動位置と、該噛合いが解除される回動位置との間で該ストッパが微小回動するのを許容するに足る回動方向の長さを有することを特徴とする請求項2に記載の鉗子装置。
【請求項4】
前記開閉機能部は、
つまみで回転し得るように前記本体により支持され、先端部において前記開閉部を開閉し得るように支持する外筒部と、
前記外筒部内に配置され、前記開閉部を開閉するために前後方向に駆動される駆動シャフトと、
前記駆動シャフトと前記開閉駆動部とを解除可能に直列的に連結する連結手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の鉗子装置。
【請求項5】
前記開閉機能部は、前記駆動シャフトを前後方向にスライドし得るように支持するシャフト支持部を備え、
前記本体の前端部には、前記シャフト支持部の後端側が挿入されて固定される挿入固定部が設けられ、
前記シャフト支持部は、左右の押圧ボタンを備え、
前記左右の押圧ボタンは、それぞれ前記シャフト支持部において、前記駆動シャフトと反対側の方向にボタン付勢手段によって付勢されつつ左右方向に移動し得るように支持されており、
前記駆動シャフトには、後方に向かって径が拡大するテーパ面を有する括れ部が設けられ、
各押圧ボタンの前記駆動シャフト側には、それぞれ、前記テーパ面を押圧して該駆動シャフトを後方にスライドさせるための押圧部が設けられ、
前記連結手段は、前記駆動シャフトの後方へのスライドに基づいて該駆動シャフトと前記開閉駆動部とを連結するものであることを特徴とする請求項4に記載の鉗子装置。
【請求項6】
前記駆動シャフトの後端部には、該駆動シャフトの径より径が大きくなるまで前方に向かって拡径したテーパ面を有する拡径部が設けられ、
前記連結手段は、押圧部を有するシャフトホルダを備え、
前記シャフトホルダは、前記押圧部が前記本体から突出した突出位置と、該押圧部が該本体内に押し込まれた押込位置との間で左右方向に移動し得るように前記開閉駆動部により保持されるとともに、ホルダ付勢手段により該押込位置から該突出位置の方向に付勢されており、
前記シャフトホルダには、前記駆動シャフトの前記拡径部を解放可能に補足する係合孔が設けられ、
前記係合孔は、
前記拡径部が通過し得る径を有する大径部と、
前記大径部に対して前記シャフトホルダの前記押込位置側に位置し、前記拡径部の最大径よりも小さく、前記駆動シャフトの径よりも大きい幅を有して該大径部に接続するU状部とで構成され、
前記シャフトホルダにおける前記U状部の前方側には、前記駆動シャフトの後方へのスライド時に、前記拡径部のテーパ面に接触して前記シャフトホルダを前記ホルダ付勢手段の付勢力に抗して前記押込位置に移動させ、該拡径部が前記大径部を通過するのを許容するテーパ状部分が設けられることを特徴とする請求項5に記載の鉗子装置。
【請求項7】
前記シャフト支持部には、後端側の外面に係合凹部が設けられ、
前記本体の前端部には、その外面から前記挿入固定部の内面に至る貫通孔及び該貫通孔内に配置された係合ピンが設けられ、
前記本体の外面には、前記係合ピンを前記貫通孔の外側から内側に向けて付勢する板ばねが設けられ、
前記シャフト支持部は、前記挿入固定部への挿入に際し、前記板ばねの付勢力により前記係合ピンが前記係合凹部に嵌ることによって、該挿入固定部に固定されるように構成されることを特徴とする請求項5に記載の鉗子装置。
【請求項8】
前記開閉駆動部付勢手段は、
前記本体と前記開閉駆動部との間に設けられ、該開閉駆動部を前記閉位置から前記開位置に向かう方向に付勢する第2付勢手段と、
前記本体と前記可動ハンドルとの間に設けられ、該可動ハンドルを前記固定ハンドルから前方に離れる方向に付勢する第3付勢手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の鉗子装置。
【請求項9】
前記可動ハンドルは、前記開閉駆動部の上方に位置する左右方向に延びた支軸の周りで回動し得るように前記本体により支持され、
前記開閉駆動部と前記可動ハンドルとの連動は、前記可動ハンドルにおいて前記支軸の下方に設けられて上下方向に延びた長孔と、前記開閉駆動部に設けられて該長孔を左右方向に通過するピン状部材とを介して行われることを特徴とする請求項1に記載の鉗子装置。
【請求項10】
前記外筒部は、先端において前記開閉部を保持する開閉部保持部を備え、
前記開閉部保持部は、先端側が開いたスリット状で、両側壁を有する駆動部収容部を備え、
前記開閉部は、
2枚の刃部と、
前記2枚の刃部の後端側を回動可能に連結し、その両端部が、前記駆動部収容部の前記両側壁により支持された鋏回動軸と、
先端部がそれぞれ各刃部の後端部に回動可能に連結され、後端部が相互にかつ前記駆動シャフトの先端部に回動可能に連結された2つのリンク部材とを備え、
前記2枚の刃部は、閉じた状態において、前記鋏回動軸に垂直な回動面に対して同じ方向に湾曲しており、前記駆動シャフトの前後方向への駆動により開閉する剪刀として機能するものであり、
前記鋏回動軸は、前記駆動部収容部にナットを用いて締結されるボルトで構成されることを特徴とする請求項4に記載の鉗子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉗子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体に固定された固定ハンドルと、装置本体に回動し得るように設けられた可動ハンドルと、可動ハンドルを回動させることにより、可動ハンドルに連結された装置先端の開閉部を開閉させるようにした鉗子装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の鉗子装置は、所定の状態において可動ハンドルが固定ハンドルの方に回動されるのを許容するとともに逆方向へ回動されるのを阻止するラチェット機構を備える。
【0003】
このラチェット機構は、本体により回動自在に支持されて爪を有するラチェットと、可動ハンドルに設けられたラチェット歯とを備える。ラチェットは、その爪がラチェット歯と係合する向きに付勢されており、ラチェット解放スイッチにより操作される。
【0004】
ラチェット解放スイッチは、ラチェットの回動を妨げない第1の位置と、カム部がラチェットを押圧してその爪をラチェット歯から強制的に離間させる第2の位置との間で変位自在に本体により保持される。
【0005】
ラチェット解放スイッチを第1の位置から第2の位置に変位させる操作は、ラチェット解放スイッチの操作部の後方に指を入れて該操作部を前方に押すことにより行われる。ラチェット解放スイッチを第2の位置から第1の位置に変位させる操作は、該操作部の前方に指を配置して該操作部を後方に引くことにより行われる。
【0006】
そして、ラチェット解放スイッチが第1の位置に位置する状態では、可動ハンドルを固定ハンドルに近接させることにより、鉗子装置機能部の開閉部を閉状態とし、その状態をラチェットの爪とラチェット歯との噛み合いにより維持することができる。一方、ラチェット解放スイッチが第2の位置に位置する状態では、可動ハンドルを固定ハンドルから離間させることにより、鉗子装置機能部の開閉部を開状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の鉗子装置によれば、ラチェット機構の状態を、ラチェット解放スイッチが第1の位置に位置する状態と第2の位置に位置する状態との間で相互に切り換えるためには、ラチェット解放スイッチの操作部の後方に指を入れて該操作部を前方に押す操作と、該操作部の前方に指を配置して該操作部を後方に引く操作とを交互に行う必要がある。このため、ラチェット機構の状態を切り換えるための操作が煩雑である。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、ラチェット機構の状態を容易に切り換えることができる鉗子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の鉗子装置は、
下方に延びた固定ハンドルを有する本体と、
基端部が前記本体により支持され、該本体から前方に延出し、先端部に、開閉操作される開閉部を有する開閉機能部と、
前記開閉機能部の後端部に直列的に連結し、前記本体により前側の開位置と後ろ側の閉位置との間で移動し得るように支持され、前記開閉部を、該開位置に位置するときに開状態とし、該閉位置に位置するときに閉状態とする開閉駆動部と、
前記固定ハンドルから前方に離れた前方位置と該固定ハンドルに近接した後方位置との間で移動し得るように前記本体により支持され、該前方位置に位置するときに前記開閉駆動部が前記開位置に位置し、該後方位置に位置するときに該開閉駆動部が前記閉位置に位置するように前記開閉駆動部と連動する可動ハンドルと、
前記開閉駆動部の前記開位置方向への移動を規制し前記閉位置方向への移動を許容する規制状態と、該開位置方向及び該閉位置方向への移動が規制されない規制解除状態との間で遷移するラチェット機構とを備え、
前記ラチェット機構は、
前記開閉駆動部の後端部において前後方向に配列された複数の歯を有するラチェット歯と、
該ラチェット機構を前記規制状態とする第1回動位置と前記規制解除状態とする第2回動位置との間で、左右方向に延在する回動軸線の周りで回動し得るように前記本体により支持されたストッパとを備え、
前記ストッパは、
該ストッパの前記回動軸線よりも先端側に設けられ、該ストッパが前記第1回動位置に位置するときに、前記開閉駆動部が後方へ移動するのを前記ラチェット歯に噛み合うことなく許容し、該開閉駆動部が前方へ移動するのを前記ラチェット歯に噛み合うことにより規制するラチェット爪と、
前記本体から後方に突出するように該ストッパの前記回動軸線よりも後端側に設けられ、該ストッパを前記第1回動位置と前記第2回動位置との間で回動させるために操作される操作部とを備え、
前記本体と前記ストッパとの間には、
前記ストッパを前記第2回動位置から前記第1回動位置に向けて付勢する第1付勢手段と、
前記開閉駆動部を前記閉位置から前記開位置に向かう方向に付勢する開閉駆動部付勢手段とが設けられることを特徴とする。
【0011】
本発明において、ストッパの操作部を第1付勢手段の付勢力に抗して操作することによりストッパを第2回動位置に位置させているとき、ラチェット機構は、開閉駆動部の開位置方向及び閉位置方向への移動規制が解除された規制解除状態にある。この状態で、可動ハンドルが緩められている状態では、開閉駆動部は、開閉駆動部付勢手段により開位置に位置するので、開閉部は開いた状態となり、可動ハンドルは開閉駆動部に連動して前方位置に位置する。
【0012】
この状態で、可動ハンドルを、開閉駆動部付勢手段の付勢力に抗して後方位置まで回動させると、これに連動して開閉駆動部は閉位置に移動し、開閉部は閉じた状態となる。したがって、固定ハンドル及び可動ハンドルを片手で握り、握力を調整することにより、開閉部を自在に開閉させることができる。
【0013】
一方、ストッパの操作部の操作を緩め、ストッパを第1付勢手段の付勢力に任せて第1回動位置に位置させると、ラチェット機構は、開閉駆動部の開位置方向への移動を規制する規制状態に遷移する。この状態では、開閉駆動部の後方の閉位置への移動は許容されるが、前方の開位置への移動が、ラチェット歯にラチェット爪が噛み合うことにより規制される。
【0014】
このため、固定ハンドルと可動ハンドルを片手で握って可動ハンドルを後方位置に回動させることにより、開閉駆動部を開位置から閉位置に移動させ、開閉部を閉塞させることができる。この状態で、可動ハンドルを緩めても、開閉駆動部の開位置への移動が規制されるので、開閉部の閉状態が維持される。
【0015】
したがって、本発明によれば、上記のラチェット機構の規制解除状態と規制状態との切換えを、ストッパの操作部により適宜のタイミングで行いながら、開閉部の開閉操作を行うことができる。そして、操作部は、鉗子装置の本体から後方に突出するようにしてストッパの回動軸線よりも後端側に設けられている。このため、ラチェット機構の切換えは、固定ハンドルと可動ハンドルを片手で握って開閉操作を行いながら、その親指で操作部を操作することにより、容易に行うことができる。
【0016】
本発明において、前記ストッパが前記第1回動位置又は前記第2回動位置に回動されたとき、前記ストッパを該第1回動位置又は該第2回動位置に、前記操作部により解除可能に固定する固定手段を備えるのが好ましい。
【0017】
これによれば、ストッパを、第1回動位置と第2回動位置において、操作部の操作により解除自在に固定できるので、ストッパを第2回動位置に位置させた状態での可動ハンドルの操作を、操作部から親指を離した状態で、容易に行うことができる。
【0018】
この場合、前記固定手段は、
前記本体又は前記ストッパのうちの一方に設けられたボールプランジャと、
前記本体又は前記ストッパのうちの他方に設けられ、前記ストッパが前記第1回動位置及び前記第2回動位置に位置するときにそれぞれ前記ボールプランジャの受け側として機能する第1凹部及び第2凹部とを備え、
前記第1凹部は、前記ストッパが前記第1回動位置に位置するときに、前記ラチェット爪が前記ラチェット歯と噛み合う回動位置と、該噛合いが解除される回動位置との間で該ストッパが微小回動するのを許容するに足る回動方向の長さを有してもよい。
【0019】
これによれば、ボールプランジャを第1凹部に位置付けた規制状態において、ラチェット爪とラチェット歯が噛み合う回動位置と、該噛合いが解除される回動位置との間でラチェットが微小量回動することが許容されるので、規制状態における開閉駆動部の開位置方向への移動を規制し閉位置方向への移動を許容するラチェット機構の機能を担保することができる。
【0020】
また、ストッパを第1回動位置に位置させてラチェット機構を規制状態とした場合でも、ストッパの操作部を親指で軽く微小量操作することにより、ラチェット爪のラチェット歯に対する噛合い状態とその噛合いの解除状態との間を自在に遷移させながら、可動ハンドルを操作することもできる。
【0021】
本発明において、前記開閉機能部は、
つまみで回転し得るように前記本体により支持され、先端部において前記開閉部を開閉し得るように支持する外筒部と、
前記外筒部内に配置され、前記開閉部を開閉するために前後方向に駆動される駆動シャフトと、
前記駆動シャフトと前記開閉駆動部とを解除可能に直列的に連結する連結手段と備えてもよい。
【0022】
これによれば、開閉駆動部の開位置と閉位置との間の移動により、上記の連結手段を介して駆動シャフトを前後方向に駆動し、開閉部を開閉することができる。また、連結手段による駆動シャフトと開閉駆動部との連結を解除して開閉機能部を本体から取り外し、別の開閉機能部を本体に取り付けてその駆動シャフトを開閉駆動部に連結させることにより、容易に開閉機能部を交換することができる。
【0023】
本発明において、前記開閉機能部は、前記駆動シャフトを前後方向にスライドし得るように支持するシャフト支持部を備え、
前記本体の前端部には、前記シャフト支持部の後端側が挿入されて固定される挿入固定部が設けられ、
前記シャフト支持部は、前端側に左右の押圧ボタンを備え、
前記左右の押圧ボタンは、それぞれ前記シャフト支持部において前記駆動シャフトと反対側の方向にボタン付勢手段によって付勢されつつ左右方向に移動し得るように支持されており、
前記駆動シャフトには、後方に向かって径が拡大するテーパ面を有する括れ部が設けられ、
各押圧ボタンの前記駆動シャフト側には、それぞれ、前記テーパ面を押圧して該駆動シャフトを後方にスライドさせるための押圧部が設けられ、
前記連結手段は、前記駆動シャフトの後方へのスライドに基づいて該駆動シャフトと前記開閉駆動部とを連結するものであってもよい。
【0024】
これによれば、本体の前端部に、開閉機能部のシャフト支持部を固定した後、シャフト支持部の左右の押圧ボタンを押すことにより、駆動シャフトと開閉駆動部とを連結することができる。
【0025】
この場合、前記駆動シャフトの後端部には、該駆動シャフトの径より径が大きくなるまで前方に向かって拡径したテーパ面を有する拡径部が設けられ、
前記連結手段は、押圧部を有するシャフトホルダを備え、
前記シャフトホルダは、前記押圧部が前記本体から突出した突出位置と、該押圧部が該本体内に押し込まれた押込位置との間で左右方向に移動し得るように前記開閉駆動部により保持されるとともに、ホルダ付勢手段により該押込位置から該突出位置の方向に付勢されており、
前記シャフトホルダには、前記駆動シャフトの前記拡径部を解放可能に補足する係合孔が設けられ、
前記係合孔は、
前記押圧部前記拡径部が通過し得る径を有する大径部と、
前記大径部に対して前記シャフトホルダの前記押込位置側に位置し、前記拡径部の最大径よりも小さく、前記駆動シャフトの径よりも大きい幅を有して該大径部に接続するU状部とで構成され、
前記シャフトホルダにおける前記U状部の前方側には、前記駆動シャフトの後方へのスライド時に、前記拡径部のテーパ面に接触して前記シャフトホルダを前記ホルダ付勢手段の付勢力に抗して前記押込位置に移動させ、該拡径部が前記大径部を通過するのを許容するテーパ状部分が設けられてもよい。
【0026】
これによれば、本体の前端部に、開閉機能部のシャフト支持部を固定した後、シャフト支持部の左右の押圧ボタンを押すと、駆動シャフトが後方へスライドするので、駆動シャフトの拡径部のテーパ面がシャフトホルダのテーパ状部分に接触してシャフトホルダを押込位置に移動させ、該拡径部がシャフトホルダの大径部を通過する。これに応じて、ホルダ付勢手段がシャフトホルダを突出位置に戻すので、シャフトホルダの係合孔のU状部が駆動シャフトの拡径部を捕捉する。これにより、駆動シャフトと開閉駆動部との直列的な連結が完了する。したがって、駆動シャフトと開閉駆動部との連結を、簡単な構成で確実に実現することができる。
【0027】
また、前記シャフト支持部には、後端側の外面に係合凹部が設けられ、
前記本体の前端部には、その外面から前記挿入固定部の内面に至る貫通孔及び該貫通孔内に配置された係合ピンが設けられ、
前記本体の外面には、前記係合ピンを前記貫通孔の外側から内側に向けて付勢する板ばねが設けられ、
前記シャフト支持部は、前記挿入固定部への挿入に際し、前記板ばねの付勢力により前記係合ピンが前記係合凹部に嵌ることによって、該挿入固定部に固定されるように構成されてもよい。
【0028】
これによれば、シャフト支持部を本体の挿入固定部に挿入することにより、貫通孔の係合ピンがシャフト支持部の係合凹部に嵌り、シャフト支持部が挿入固定部に固定されるので、シャフト支持部の本体への固定を確実に行うことができる。
【0029】
本発明において、前記開閉駆動部付勢手段は、
前記本体と前記開閉駆動部との間に設けられ、該開閉駆動部を前記閉位置から前記開位置に向かう方向に付勢する第2付勢手段と、
前記本体と前記可動ハンドルとの間に設けられ、該可動ハンドルを前記可動ハンドルから前方に離れる方向に付勢する第3付勢手段とを備えてもよい。
【0030】
これによれば、開閉駆動部を閉位置から開位置に向かう方向に付勢する第2付勢手段を第3付勢手段で補助することができるので、第2付勢手段をコンパクトに構成することができる。
【0031】
本発明において、前記可動ハンドルは、前記開閉駆動部の上方に位置する左右方向に延びた支軸の周りで回動し得るように前記本体により支持され、
前記開閉駆動部と前記可動ハンドルとの連動は、前記可動ハンドルにおいて前記支軸の下方に設けられて上下方向に延びた長孔と、前記開閉駆動部に設けられて該長孔を左右方向に通過するピン状部材とを介して行われるようにしてもよい。
【0032】
これによれば、可動ハンドルの大きな動きを開閉駆動部の小さな動きに変換しながら開閉駆動部と可動ハンドルとを連動させることができる。これにより、快適な可動ハンドルの操作を実現しつつ、鉗子装置各部の適切な配置を可能にすることができる。
【0033】
本発明において、
前記外筒部は、先端において前記開閉部を保持する開閉部保持部を備え、
前記開閉部保持部は、先端側が開いたスリット状で、両側壁を有する駆動部収容部を備え、
前記開閉部は、
2枚の刃部と、
前記2枚の刃部の後端側を回動可能に連結し、その両端部が、前記駆動収容部の前記両側壁により支持された鋏回動軸と、
先端部がそれぞれ各刃部の後端部に回動可能に連結され、後端部が相互にかつ前記駆動シャフトの先端部に回動可能に連結連された2つのリンク部材とを備え、
前記2枚の刃部は、閉じた状態において、前記鋏回動軸に垂直な回動面に対して同じ方向に湾曲しており、前記駆動シャフトの前後方向への駆動により開閉する剪刀として機能するものであり、
前記鋏回動軸は、前記駆動部収容部にナットで締結されるボルトで構成されてもよい。
【0034】
これによれば、本発明の鉗子装置を剪刀鉗子(はさみ鉗子、シザース鉗子)として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る鉗子装置について、ケースの一部を取り外したときの様子を示す斜視図である。
【
図3】
図2の要部のラチェット機構を示す図である。
【
図4】
図4A~
図4Cは、
図1の鉗子装置におけるボールプランジャがとり得る各状態を示す断面図である。
【
図6】
図6Aは
図1の鉗子装置におけるシャフトホルダを前方から見た図であり、
図6Bは該シャフトホルダを後方から見た図である。
【
図8】
図8A及び
図8Bは
図1の鉗子装置における開閉機能部の取付け時におけるシャフト支持部の動作を示す断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る鉗子装置において左側ケースを取り外した様子を左側から見た様子を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、
図9の鉗子装置における開閉機能部を本体に確実に取り付けるときの様子を示す断面図である。
【
図10B】
図10Bは、
図9の鉗子装置における開閉機能部を本体に確実に取り付けるときの様子を示す別の断面図である。
【
図11】
図9の鉗子装置の開閉機能部の先端部を示す斜視図である。
【
図12】
図11の開閉機能部の閉じられた状態における鋏回動軸の中心軸線及び各刃部の先端を通る面についての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る鉗子装置を示す。同図に示すように、鉗子装置1は、下方に延びた固定ハンドル2を有する本体3と、基端部が本体3により支持され、本体3の前端から前方に延出し、先端部に開閉操作される開閉部4を有する開閉機能部5とを備える。開閉機能部5は、本体3の先端部において、シャフト支持部34を介して支持される。
【0037】
本体3は、左右の上側ケース1a及び左右の下側ケース1bを用いて構成される。左側の上側ケース1a及び左側の下側ケース1bは、左側の上側ケース1aの下端縁に設けられた前後方向に延びた溝に、左側の下側ケース1bの上端縁に設けられて前後方向に延びた嵌合部36を嵌合させ、双方に設けられた孔37にピン38を通して相互間を固定することにより相互に結合され、左側ケースを構成する。
【0038】
図1では、左側の上側ケース1a及び左側の下側ケース1bを取り外したときの様子が示されている。右側の上側ケース1a及び右側の下側ケース1bについても、同様にして結合され、右側ケースが構成される。
【0039】
左右の上側ケース1aは、左右の上側ケース1aの内側にそれぞれ立設された立設片1cを相互にねじ止めするとともに、左右の上側ケース1aの半円筒状の先端部を、シャフト支持部34の後ろ側に外嵌された筒状の挿入固定部1dの環状溝部1eに嵌合させることによって相互に固定される。ねじ止めは、左右の上側ケース1aの後ろ側の端縁によって構成されるアクセス孔H1を経て行われる。
【0040】
左右の下側ケース1bは、左右の下側ケース1bの内側にそれぞれ立設された立設片1fをねじ止めすることにより相互に固定され、固定ハンドル2の筐体を構成する。ねじ止めは、左右の下側ケース1bの下側の端縁によって構成されるアクセス孔H2を経て行われる。左右の下側ケース1bの後ろ側端縁の内側から下側端縁の内側にかけて、補強部材39が設けられる。補強部材39の下端部は、左右の下側ケース1bの立設片1fとともに、これらに対してねじ止めされてもよい。
【0041】
図2は、鉗子装置1の要部を示す。同図に示すように、鉗子装置1は、開閉機能部5の後端部に直列的に連結した開閉駆動部6を備える。開閉駆動部6は、本体3により、スリーブSを介して、前側の開位置Oと後ろ側の閉位置Cとの間で移動し得るように支持される。
【0042】
開閉駆動部6は、開閉部4を、開位置Oに位置するときに開状態とし、閉位置Cに位置するときに閉状態とする。開閉駆動部6の閉位置Cは、本体3(スリーブS)に螺合された六角穴付き止めねじ7により調整可能となっている。
【0043】
開閉機能部5は、つまみ8で回転し得るように本体3に取り付けられ、先端部において開閉部4を開閉し得るように支持する外筒部9と、外筒部9内に配置され、開閉部4を開閉するために前後方向に駆動される駆動シャフト10と、駆動シャフト10と開閉駆動部6とを解除可能に直列的に連結する連結手段Jとを備える。
【0044】
また、開閉機能部5は、駆動シャフト10を前後方向にスライドし得るように支持するシャフト支持部34を備える。本体3の前端部には、シャフト支持部34の後端側が挿入されて固定される挿入固定部1dが設けられる。
【0045】
つまみ8は、コイルバネに代えて板ばねを利用した板バネ式プランジャPjにより、所定角度の回転毎に仮固定されつつ、回転し得るように構成される。シャフト支持部34と本体3の挿入固定部1dとの間には、OリングORが設けられ、本体3と開閉機能部5との間が密閉される。
【0046】
連結手段Jは、駆動シャフト10の後端部に設けられた拡径部11と、シャフトホルダ12とで構成される。拡径部11は、駆動シャフト10の径よりも径が大きくなるまで前方に向かって拡径したテーパ面を有する。
【0047】
シャフトホルダ12は、
図7Aに示されるようにその押圧部13が本体3から突出した突出位置と、
図7Bに示されるように押圧部13が本体3内に押し込まれた押込位置との間で左右方向に移動し得るように開閉駆動部6により保持されるとともに、丸線コイルスプリング15(ホルダ付勢手段)により該押込位置から該突出位置の方向に付勢される。
【0048】
図6Aはシャフトホルダ12を前方側から見た様子を示し、
図6Bは後方側から見た様子を示す。これらの図に示すように、シャフトホルダ12は、駆動シャフト10の拡径部11を解放可能に補足する係合孔14を備える。係合孔14は、拡径部11が通過し得る径を有する大径部16と、大径部16の径より小さい幅を有するU状部17とを備える。シャフトホルダ12の押圧部13は、本体3から左方向に突出する。
【0049】
U状部17は、大径部16に対してシャフトホルダ12の押込位置側に位置し、拡径部11の最大径よりも小さく、駆動シャフト10の径よりも大きい幅を有して大径部16に接続する。
【0050】
図6Aに示すように、シャフトホルダ12におけるU状部17の前方側には、拡径部11のテーパ形状に対応するテーパ状部分Tが設けられる。テーパ状部分Tは、駆動シャフト10の後方へのスライド時に、拡径部11のテーパ面に接触してシャフトホルダ12を丸線コイルスプリング15(ホルダ付勢手段)の付勢力に抗して前記押込位置に移動させ、拡径部11が大径部16を通過するのを許容する。
【0051】
図7A~
図7Cは、鉗子装置1における連結手段Jの機能を示す。駆動シャフト10が後方へスライドされ、
図7Aから
図7Cの状態に至ることにより、駆動シャフト10の拡径部11が係合孔14により補足され、駆動シャフト10が連結手段Jを介して開閉駆動部6に連結されることになる。補足された拡径部11は、開閉駆動部6に設けられた当接部35に当接し、開閉駆動部6の開位置Oと閉位置Cとの間の移動に伴って移動する。
【0052】
鉗子装置1は、固定ハンドル2から前方に離れた前方位置Fと固定ハンドル2に近接した後方位置R(
図2参照)との間で移動し得るように本体3により支持される可動ハンドル18と、開閉駆動部6の移動を制御するラチェット機構19とを備える。
【0053】
可動ハンドル18は、開閉駆動部6の上方に位置する左右方向に延びた支軸20の周りで回動し得るように本体3により支持された回動レバー40を備える。可動ハンドル18は、回動レバー40を介し、支軸20を中心として前方位置Fと後方位置Rとの間で回動し得るように、本体3により支持される。
図2では、前方位置Fに位置するときの可動ハンドル18の状態が示されている。
【0054】
また、可動ハンドル18は、前方位置Fに位置するときに開閉駆動部6が開位置Oに位置し、後方位置Rに位置するときに開閉駆動部6が閉位置Cに位置するように開閉駆動部6と連動する。この連動は、可動ハンドル18において支軸20の下方に設けられて上下方向に延びた長孔22と、開閉駆動部6に設けられて長孔22を左右方向に通過するピン状部材23とを介して行われる。
【0055】
すなわち、可動ハンドル18及び開閉駆動部6は、可動ハンドル18が前方位置Fと後方位置Rとの間で回動されると、長孔22及びピン状部材23を介して、開閉駆動部6が開位置Oと閉位置Cとの間で、前後方向に駆動されるように構成される。
【0056】
図3は、ラチェット機構19を示す。ラチェット機構19は、開閉駆動部6の開位置O方向への移動を規制し、閉位置C(
図2参照)方向への移動を許容する規制状態と、開位置O方向及び閉位置C方向への移動が規制されない規制解除状態との間で遷移する。
【0057】
すなわち、ラチェット機構19は、開閉駆動部6の後端部において上方に向けてかつ前後方向に配列された複数の歯を有するラチェット歯24(
図2、
図5A参照)と、ラチェット歯24と協働するストッパ25とを備える。ストッパ25は、ラチェット機構19を上述の規制状態とする第1回動位置P1(2点鎖線で図示)と、規制解除状態とする第2回動位置P2(実線で図示)との間で回動し得るように、本体3によって回動軸A1を介して支持される。回動軸A1は、ストッパ25の左右方向に延在する回動軸線を構成する。
【0058】
ストッパ25は、ラチェット歯24と協働するラチェット爪26と、ストッパ25を回動させるための操作部27とを備える。ラチェット爪26は、ストッパ25の回動軸A1よりも先端側に設けられる。ラチェット爪26は、ストッパ25が第1回動位置P1に位置してラチェット機構19が規制状態にあるときに、開閉駆動部6が後方へ移動するのをラチェット歯24に噛み合うことなく許容し、開閉駆動部6が前方へ移動するのをラチェット歯24に噛み合うことにより規制する。
【0059】
操作部27は、本体3から後方に突出するようにストッパ25の回動軸A1よりも後端側に設けられ、ストッパ25を第1回動位置P1と第2回動位置P2との間で回動させるために操作される。
【0060】
本体3とストッパ25との間には、ストッパ25を第2回動位置P2から第1回動位置P1に向けて付勢する第1付勢手段28(
図2参照)が設けられる。第1付勢手段28としては、例えば、圧縮スプリングが用いられる。
【0061】
本体3と開閉駆動部6との間には、開閉駆動部6を閉位置Cから開位置Oに向かう方向に付勢する第2付勢手段29が設けられる。第2付勢手段29としては、例えば、丸線コイルスプリングを用いることができる。
【0062】
本体3と可動ハンドル18との間には、可動ハンドル18を固定ハンドル2から前方に離れる方向(後方位置Rから前方位置Fの方向)に付勢する第3付勢手段21(
図1、
図2参照)が設けられる。第3付勢手段21としては、本実施形態では板バネが用いられる。第2付勢手段29及び第3付勢手段21により、開閉駆動部6を閉位置Cから開位置Oに向かう方向に付勢する開閉駆動部付勢手段が構成される。
【0063】
本体3とストッパ25との間には、第1回動位置P1と第2回動位置P2において、操作部27の操作で解除し得るように本体3にストッパ25を固定する固定手段が設けられる。
【0064】
図4A~
図4Cは、この固定手段の機能を示す。これらの図に示すように、この固定手段は、ストッパ25に設けられたボールプランジャ30と、本体3の右側の上側ケース1aに設けられ、ストッパ25が第1回動位置P1及び第2回動位置P2に位置するときにそれぞれボールプランジャ30の受け側として機能する第1凹部31及び第2凹部32とを備える。なお、ボールプランジャ30が本体3に設けられ、第1凹部31及び第2凹部32がストッパ25に設けられてもよい。
図4A~
図4Cでは、ボールプランジャ30がとり得る各状態が示されている。
【0065】
図5A~
図5Dは、ボールプランジャ30の各状態に応じてラチェット機構19がとり得る各状態を示す。
図4Aに示すように、第1凹部31は、ストッパ25が第1回動位置P1に位置するときに、ラチェット爪26がラチェット歯24と噛み合う回動位置(
図5B参照)と、該噛合いが解除される回動位置(
図5C参照)との間でストッパ25が僅かに回動するのを許容するに足る回動方向の長さLを有する。
【0066】
図8A及び
図8Bは鉗子装置1において開閉機能部5を本体3に取り付けるときのシャフト支持部34の動作を示す。これらの図に示すように、シャフト支持部34は、左右の押圧ボタン41a及び41bを備える。押圧ボタン41a及び41bは、それぞれシャフト支持部34において駆動シャフト10と反対側の方向にボタン付勢手段42によって付勢されつつ左右方向に移動し得るように支持される。ボタン付勢手段42としては、例えばコイルスプリングが用いられる。
【0067】
駆動シャフト10には、後方に向かって径が拡大するテーパ面44を有する括れ部が設けられる。各押圧ボタン41a及び41bの駆動シャフト10側には、それぞれ、テーパ面44を押圧して駆動シャフト10を後方にスライドさせるための押圧部43が設けられる。
【0068】
押圧部43によるテーパ面44の押圧により、駆動シャフト10は、
図8Aの位置から
図8Bの位置まで、軸方向に移動し得るようになっている。連結手段Jは、駆動シャフト10の後方へのスライドに基づいて駆動シャフト10と開閉駆動部6とを連結するものである。
【0069】
この構成において、ラチェット機構19のストッパ25が第2回動位置P2に位置しているとすれば、ラチェット機構19は規制解除状態にある。
図4C、
図5Dは、このときのボールプランジャ30の状態及びストッパ25の状態を示す。このとき、可動ハンドル18に力が加えられていないとすれば、第2付勢手段29及び第3付勢手段21により、開閉駆動部6は開位置Oに位置し、したがって可動ハンドル18は前方位置Fに位置している。
【0070】
この状態で、術者は、片手で可動ハンドル18及び固定ハンドル2を握り、その握力を調整することにより、第2付勢手段29及び第3付勢手段21の付勢力に抗して(あるいはこの付勢力を利用して)、可動ハンドル18を前方位置Fと後方位置Rとの間の任意の位置に移動させることができる。これに応じて、開閉駆動部6は、開位置Oと閉位置Cとの間の対応する位置に移動する。
【0071】
これに伴って、駆動シャフト10が前後に移動し、開閉部4を開閉させる。したがって、術者は、片手でその握力を調整することにより、開閉部4を自在に開閉させることができる。
【0072】
この状態で、術者が可動ハンドル18を緩め、親指でストッパ25の操作部27を操作し、ストッパ25を第1回動位置P1に移動させると、ラチェット機構19は規制状態に遷移する。
図4A、
図5Aは、このときのボールプランジャ30の状態及びストッパ25の状態を示す。
【0073】
この状態において、操作部27に力を加えていない場合には、ストッパ25は、第1付勢手段28により、ラチェット爪26がラチェット歯24に押し付けられた状態となる。このとき、
図4Aで示されるように、ボールプランジャ30のボール33の位置は、第1凹部31において、上側に位置する。
【0074】
この状態では、開閉駆動部6は、開位置Oから閉位置Cに向かう方向については、ラチェット爪26がラチェット歯24の各歯を容易に乗り越えることにより、移動可能である。一方、閉位置Cから開位置Oに向かう方向については、ラチェット爪26がラチェット歯24と噛み合うので、開閉駆動部6の移動が阻止される。
【0075】
なお、ラチェット爪26がラチェット歯24の各歯を乗り越える際には、ボールプランジャ30のボール33の位置は、第1凹部31において、上側から下側に移動して
図4Bの状態となり、再度上側に戻って
図4Aの状態となることにより、1つの歯の乗り越えが容易に行われる。
【0076】
したがって、術者は、ラチェット機構19を規制解除状態にして開閉駆動部6が開位置Oに位置してからラチェット機構19を規制状態に遷移させ(
図5A参照)、可動ハンドル18及び固定ハンドル2を握って開閉部4を閉塞させ(
図5B参照)、そして握力を緩めることにより、その開閉部4の閉塞状態を維持させることができる。
【0077】
なお、この規制状態において、操作部27を親指で操作し、ストッパ25を、第1回動位置P1において、第1凹部31の長さLに対応する回動量だけ、第2回動位置P2の方向に微小回動させることにより、ラチェット爪26をラチェット歯24との噛合いから解除させることもできる。
図4B、
図5Cは、このときのボールプランジャ30の状態及びストッパ25の状態を示す。
【0078】
このとき、握力を緩めることにより、第2付勢手段29及び第3付勢手段21の付勢力によって開閉駆動部6が開位置Oに移動し、開閉部4が開くので、術者は、その後、親指を操作部27から離し、握力を増大させることにより、再度開閉部4を閉じることができる。その後、握力を緩めることにより、閉塞状態を維持することができる。
【0079】
このようにして、ラチェット機構19が規制状態にあるときでも、術者は、開閉部4を容易に開閉させ、状況に応じて閉状態を維持しながら、鉗子装置1を容易かつ巧みに操作することができる。
【0080】
開閉機能部5を交換する場合には、ラチェット機構19が規制解除状態にあり、したがって可動ハンドル18が前方位置Fに位置している状態において、術者は、本体3に対し、シャフトホルダ12の押圧部13を、丸線コイルスプリング15の付勢力に抗して、右方向に押圧する。
【0081】
これにより、シャフトホルダ12は、
図7Cの状態から、右方に移動するので、駆動シャフト10の拡径部11が、シャフトホルダ12のU状部17から開放され、大径部16に整列した状態となる。この状態で、術者は、開閉機能部5のシャフト支持部34を掴んで開閉機能部5を本体3から引き抜くことにより、拡径部11が大径部16を容易に通過するので、開閉機能部5を本体3から取り外すことができる。
【0082】
一方、開閉機能部5を本体3に取り付ける際には、駆動シャフト10を本体3に挿入しながらシャフト支持部34を本体3の挿入固定部1dに嵌合させ、
図7Aに示すように拡径部11をシャフトホルダ12のU状部17の前側に位置させる。このとき、シャフト支持部34における駆動シャフト10の状態は、
図8Aに示す状態となっている。
【0083】
この状態において、術者は、左右の押圧ボタン41a及び41bをボタン付勢手段42の付勢力に抗して駆動シャフト10に向けて押圧する。これにより、駆動シャフト10は、押圧部43によりテーパ面44を介して後方に押され、
図8Aの位置から
図8Bの位置まで移動する。
【0084】
これにより、
図7Bに示すように、駆動シャフト10の拡径部11は、そのテーパ面がシャフトホルダ12のU状部17のテーパ状部分Tに接触してテーパ状部分Tを押圧し、シャフトホルダ12を丸線コイルスプリング15の付勢力に抗して右方に移動させるので、拡径部11は係合孔14の大径部16をすり抜けて
図7Cに示す位置まで移動する。
【0085】
これと同時に、丸線コイルスプリング15がシャフトホルダ12を元の位置に復帰させるので、拡径部11がU状部17に嵌まり込んで係合し、駆動シャフト10が開閉駆動部6に連結した
図7Cの状態となる。これにより、開閉機能部5の本体3に対する取付けが完了する。
【0086】
以上のように、第1実施形態によれば、術者は、ラチェット機構19を規制解除状態とすることにより、片手で可動ハンドル18及び固定ハンドル2を握りながら、容易に開閉機能部5の開閉部4を開閉させつつ、手技を行うことができる。また、術者は、ラチェット機構19を規制状態とすることにより、開閉部4を開態から閉状態に移行させてその閉状態を維持することができる。
【0087】
この間、ストッパ25の操作部27を親指で操作し、ストッパ25の位置を第1回動位置P1及び第2回動位置P2間で移動させることにより、ラチェット機構19における規制解除状態と規制状態との切り換えを容易に行うことができる。
【0088】
また、本体3とストッパ25との間に、第1回動位置P1と第2回動位置P2において本体3にストッパ25を固定する固定手段を設けたので、ラチェット機構19の規制状態及び規制解除状態のそれぞれにおける鉗子装置1の操作を、規制状態(第1回動位置P1)で操作部27を微小回動させて開閉部4を開状態とする場合以外においては、操作部27から親指を離した状態で、容易に行うことができる。
【0089】
また、上述の固定手段を、ボールプランジャ30で構成し、ストッパ25が第1回動位置P1に位置するときのボールプランジャ30の受け側として機能する第1凹部31を、上述の回動方向の長さLを有するものとしたので、ラチェット機構19における上述の規制状態での操作を、容易に実現することができる。
【0090】
また、開閉機能部5を、外筒部9、駆動シャフト10、開閉部4、及びシャフト支持部34とで構成するとともに、駆動シャフト10と開閉駆動部6とを解除可能に直列的に連結する連結手段Jを備えるので、開閉機能部5の交換を容易に行うことができる。
【0091】
また、連結手段Jは、押圧ボタン41a、41bの押圧部43による駆動シャフト10のテーパ面44の押圧により駆動シャフト10と開閉駆動部6とを連結するものであるため、駆動シャフト10と開閉駆動部6との連結を、開閉機能部5を本体3に挿入した後、左右の押圧ボタン41a、41bを押すことにより、容易に行うことができる。
【0092】
また、連結手段JにおけるU状部17のテーパ状部分Tは、駆動シャフト10の後方へのスライドにより、駆動シャフト10の拡径部11のテーパ面に接触してシャフトホルダ12を丸線コイルスプリング15の付勢力に抗して本体3内に押し込まれる方向に移動させることによって、拡径部11をU状部17に係合させるものであるため、シャフト支持部34の押圧ボタン41a、41bを押すことによる駆動シャフト10と開閉駆動部6との連結を簡単な構成で実現することができる。
【0093】
図9は、本発明の第2実施形態に係る鉗子装置について、本体3bの左側ケースを取り外した様子を示す。なお、第2実施形態において、第1実施形態の場合と同様の要素については、同じ符号を用いて示している。
【0094】
図9の鉗子装置101において、
図1の鉗子装置1と異なる点としては、まず、可動ハンドルとして、縁の無い可動ハンドル18bを採用した点、及び可動ハンドル18bを固定ハンドル2bから前方に離れる方向に付勢する第3付勢手段として、板バネに代えて圧縮コイルバネ45を採用した点が挙げられる。
【0095】
また、左右の上側ケース101aを相互にねじ止めするために、さらに立設片46を右の上側ケース101aの内側に設けるとともに、左右の上側ケース101aの内側により支持される支持片47を設けている。立設片46及び支持片47は、ストッパ25bの回動軸A1の上方に設けられる。左右の上側ケース101aは、立設片46及び支持片47を相互にねじ止めすることによって、より強固に結合さわれる。
【0096】
立設片46及び支持片47のねじ止めは、ストッパ25bが位置する部分の上方における左右の上側ケース101aの間の空隙48を介して行われる。なお、左右の下側ケース101bを相互に固定するための左右の下側ケース101bの内側にそれぞれ立設された立設片1fをねじ止めするためのアクセス孔H2は、第1実施形態の場合よりも狭められている。
【0097】
また、ストッパ25bの操作部として、ストッパ25bの回動方向に沿って延在する操作部27bを採用している。これにより、ストッパ25bは、親指での操作がやり易いものとなっている。また、本第2実施形態では、開閉機能部5bを本体3bに確実に取り付けるための機構が加えられている。
【0098】
図10A及び
図10Bは、この機構により開閉機能部5bを本体3bに取り付けるときの様子を示す断面図である。これらの図に示すように、シャフト支持部34bには、後端側の外面に係合凹部49が設けられる。本体3bの前端部には、その外面から、挿入固定部50の内面に至る貫通孔51及び該貫通孔51内に配置された係合ピン52が設けられる。
【0099】
本体3bの外面には、係合ピン52を貫通孔51の外側から内側に向けて付勢する板ばね53が、ねじ54で固定される。シャフト支持部34bは、挿入固定部50への挿入に際し、板ばね53の付勢力により係合ピン52が係合凹部49に嵌ることによって、挿入固定部50に固定されるように構成される。OリングORは係合凹部49よりも後方側に設けられる。
【0100】
開閉機能部5bを本体3bに取り付ける際には、
図10Aに示すように、本体3bの挿入固定部50の内側に、開閉機能部5bのシャフト支持部34bが、係合ピン52を押し上げつつ挿入される。さらに、
図10Bに示すように、シャフト支持部34bが挿入固定部50の後端面に当接するまで挿入される。
【0101】
これにより、係合ピン52が係合凹部49に嵌り、シャフト支持部34bが挿入固定部50に対して確実に固定される。これと同時に、OリングORの外側が挿入固定部50の段差部に当接し、シャフト支持部34bと挿入固定部50との間が密閉される。これにより、挿入固定部50へのシャフト支持部34bの取付けが完了する。
【0102】
この後、第1実施形態の場合と同様に、左右の押圧ボタン41a、41bを押すことによって、駆動シャフト10を開閉駆動部6に対して容易に連結させ、本体3bに対する開閉機能部5bの取付けを完了することができる。
【0103】
図11は、開閉機能部5bにおける開閉部4bの近傍を示す。
図11に示すように、外筒部9bは、先端において開閉部4bを保持する開閉部保持部55を備える。開閉部保持部55は、先端側が開いたスリット状で、両側壁を有する駆動部収容部56を備える。
【0104】
開閉部4bは、2枚の刃部57と、2枚の刃部57の後端側を回動可能に連結し、その両端部が、駆動部収容部56の両側壁により支持された鋏回動軸58と、先端部がそれぞれ各刃部57の後端部に回動可能に連結され、後端部が相互にかつ駆動シャフト10の先端部に回動可能に連結された2つのリンク部材59とを備える。駆動シャフト10に対するリンク部材59の連結は、駆動シャフト10の先端に固定されたキャップ部材60を介して行われる。
【0105】
図12は、2枚の刃部57が閉じられた状態における2枚の刃部57の鋏回動軸58の中心軸線及び各刃部57の先端を通る面で切断した断面を示す。
図12に示すように、2枚の刃部57は、これらの先端にかけて、同一の厚み方向にやや湾曲する反りが設けられている。
【0106】
すなわち、2枚の刃部57は、これらが閉じた状態において、鋏回動軸58に垂直な回動面に対して同じ方向に湾曲している。そして、開閉部4bは、駆動シャフト10の前後方向への駆動により2枚の刃部57が開閉する剪刀として機能する。
【0107】
鋏回動軸58は、
図12に示すように、駆動部収容部56にナット61を用いて締結される半ねじ型のボルト62で構成される。この締結力を調整することにより、2枚の刃部57を閉じることによる組織の切開性能を最適に維持することができる。第2実施形態におけるその他の点については、第1実施形態の場合と同様の構成を有する。
【0108】
第2実施形態によれば、シャフト支持部34bに係合凹部49を設け、本体3bの前端部に貫通孔51及び係合ピン52を設け、本体3bの外面に、係合ピン52を付勢する板ばね53を設けたので、シャフト支持部34bを、挿入固定部50に挿入するだけで、挿入固定部50に確実に固定することができる。
【0109】
また、開閉部4bを、2枚の刃部57と、駆動部収容部56の両側壁により支持された鋏回動軸58と、2つのリンク部材59とで構成したので、剪刀として機能させることができる。
【0110】
また、鋏回動軸58をナット61で締結される半ねじ型のボルト62で構成したので、この締結力を調整することにより、2枚の刃部57による組織の切開性能を最適に維持することができる。なお、第2実施形態におけるその他の効果は、第1実施形態の場合と同様である。
【0111】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ラチェット機構19は、各実施形態においては開閉駆動部6の上側に設けられているが、開閉駆動部6の下側に設けてもよい。また、開閉部としては、剪刀機能を有するものに限らず各種の鉗子機能を有するものを採用してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1、101…鉗子装置、1a、101a…上側ケース、1b、101b…下側ケース、1c…立設片、1d…挿入固定部、1e…環状溝部、1f…立設片、2、2b…固定ハンドル、3、3b…本体、4、4b…開閉部、5、5b…開閉機能部、6…開閉駆動部、7…六角穴付き止めねじ、8…つまみ、9、9b…外筒部、10、10b…駆動シャフト、11…拡径部、12…シャフトホルダ、13…押圧部、14…係合孔、15…丸線コイルスプリング、16…大径部、17…U状部、18、18b…可動ハンドル、19…ラチェット機構、20…支軸、21…第3付勢手段、22…長孔、23…ピン状部材、24…ラチェット歯、25、25b…ストッパ、26…ラチェット爪、27、27b…操作部、28…第1付勢手段、29…第2付勢手段、30…ボールプランジャ、31…第1凹部、32…第2凹部、33…ボール、34、34b…シャフト支持部、35…当接部、36…嵌合部、37…孔、38…ピン、39…補強部材、40…回動レバー、41a、41b…押圧ボタン、42…ボタン付勢手段、43…押圧部、44…テーパ面、45…圧縮コイルバネ、46…立設片、47…支持片、48…空隙、49…係合凹部、50…挿入固定部、51…貫通孔、52…係合ピン、53…板ばね、54…ねじ、55…開閉部保持部、56…駆動部収容部、57…刃部、58…鋏回動軸、59…リンク部材、60…キャップ部材、61…ナット、62…ボルト、A1…回動軸、C…閉位置、F…前方位置、H1、H2…アクセス孔、J…連結手段、O…開位置、OR…Oリング、P1…第1回動位置、P2…第2回動位置、Pj…板バネ式プランジャ、R…後方位置、S…スリーブ、T…テーパ状部分。
【要約】
ラチェット機構(19)の状態を容易に切り換えることができる鉗子装置(1)を提供する。鉗子装置(1)は、開位置(O)に位置するときに開閉部(4)を開状態とし、閉位置(C)に位置するときに閉状態とする開閉駆動部(6)と、開閉駆動部(6)の開位置(O)方向への移動を規制する規制状態と、移動を規制しない規制解除状態との間で状態が遷移するラチェット機構(19)とを備える。ラチェット機構(19)は、鉗子装置(1)の本体(3)から後方に突出し、ラチェット機構(19)の状態を遷移させるために操作される操作部(27)を備える。