(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】二重側壁組立函
(51)【国際特許分類】
B65D 5/24 20060101AFI20231013BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B65D5/24 C
B65D5/44 E
B65D5/44 B
(21)【出願番号】P 2019132338
(22)【出願日】2019-07-17
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】511016316
【氏名又は名称】株式会社メタルクリエイション
(74)【代理人】
【識別番号】100126310
【氏名又は名称】山口 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】金井 哲雄
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-037125(JP,U)
【文献】実開昭53-124246(JP,U)
【文献】特開平05-112354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0294831(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/24
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視四角形の底壁と、前記底壁の四周辺に連設される外側壁と、前記外側壁に細帯状の額縁片を介して連設される内側壁と、前記内側壁の外側に連設される係止片とが設けられた原紙を組み立てて前記底壁の周囲に二重側壁を形成してなる二重側壁組立函において、
前記底壁を覆う底板と、前記外側壁及び内側壁にて形成される二重側壁の空間部に配置される側板とが設けられる補強部材を具備してなり、
前記側板は、
前記底板の対向する両辺に折目線を介して連設され、前記底板に対して立設されて対向する二重側壁の空間部に配置される第一側板と、
前記第一側板の対向する両辺に折目線を介して連設され、前記第一側板が立設された状態で
前記外側壁及び内側壁の隣接箇所であるコーナー部を跨いで折り曲げられて、
前記第一側板が配置される二重側壁の空間部と隣接する別の二重側壁の空間部に配置される第二側板と、
を有してなり、
前記第二側板が、前記原紙の隣接する外側壁の短辺に連設され、組み立て時に折り畳まれて同じ二重側壁の空間部に配置される折辺よりも内側であって、前記原紙の内側壁の短辺に連設され、組み立て時に折り曲げられて同じ二重側壁の空間部に配置される耳片との間に配置される、
ことを特徴とする二重側壁組立函。
【請求項2】
前記側板は、前記底板の残りの対向する両辺に折目線を介して連設され、前記底板に対して立設されて前記第二側板とともに二重側壁の空間部に配置される第三側板を有してなる請求項1に記載の二重側壁組立函。
【請求項3】
前記第二側板は、対向する突合せ縁部が二重側壁の空間部に配置された状態で他と当接しない形状に形成される請求項1又は請求項2に記載の二重側壁組立函。
【請求項4】
前記側板は、前記折目線の裏面側の対応する位置に一つ又は複数の繋部を有する折曲溝が形成される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の二重側壁組立函。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重側壁組立函の技術に関し、より詳細には、平面視四角形の底壁と、底壁の四周辺に連設される外側壁と、外側壁に細帯状の額縁片を介して連設される内側壁と、内側壁の外側に連設される係止片とが設けられた原紙を組み立てて底壁の周囲に二重側壁を形成してなる二重側壁組立函に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面視四角形の底壁と、底壁の四周辺に連設される外側壁と、外側壁に細帯状の額縁片を介して連設される内側壁と、内側壁の外側に連設される係止片とが設けられた原紙を組み立てて底壁の周囲に小幅帯部(額縁)のある二重側壁を形成してなる二重側壁組立函とした構成が公知となっている。かかる二重側壁組立函は、前後左右の係止片を係合させて組み立てられるので糊付けが不要であり、また底壁の四周が部分的に二重壁となるため強度を維持できるという利点がある。
【0003】
他方、二重側壁組立函では、外側壁及び内側壁にて形成される二重側壁の内部に空間部を有しているため、収容物に押圧される等して内側壁が外方に広げられる結果、コーナー部で開き(隙間)が生じたり内側壁が折れ曲がったりする等して、二重側壁が変形してしまう場合があった。そのため、従来の二重側壁組立函成としては、例えば、特許文献1に開示されるように、二重側壁のそれぞれの空間部に配置される段ボールシートを主体とする複数の装填材を有してなる構成や、特許文献2に開示されるように、底壁を覆う底板とともに、底板に対して立設されて二重側壁の空間部に配置される側板を有してなるパット部材を有してなる構成が提案されているところである。
【0004】
しかしながら、上述した従来の二重側壁組立函の構成では、確かに、二重側壁の空間部に充填材やパット部材の側板が配置されることで、二重側壁の剛性が高められ、上述したような内側壁の変形を防ぐことが期待できるものの、コーナー部の開き(隙間)を防ぐ効果が充分ではなかったため、例えば、収容物の重量が重くまた密に収容された場合等には、収容物の影響を受けてコーナー部が開いて変形し、見栄えが悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-72026号公報
【文献】特開平4-311446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明では、二重側壁組立函に関し、前記従来の課題を解決するもので、収容物の状態にかかわらず二重側壁の変形を確実に防止して外観品質に優れた二重側壁組立函を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
すなわち、請求項1においては、平面視四角形の底壁と、前記底壁の四周辺に連設される外側壁と、前記外側壁に細帯状の額縁片を介して連設される内側壁と、前記内側壁の外側に連設される係止片とが設けられた原紙を組み立てて前記底壁の周囲に二重側壁を形成してなる二重側壁組立函において、前記底壁を覆う底板と、前記外側壁及び内側壁にて形成される二重側壁の空間部に配置される側板とが設けられる補強部材を具備してなり、前記側板は、前記底板の対向する両辺に折目線を介して連設され、前記底板に対して立設されて対向する二重側壁の空間部に配置される第一側板と、前記第一側板の対向する両辺に折目線を介して連設され、前記第一側板が立設された状態で前記外側壁及び内側壁の隣接箇所であるコーナー部を跨いで折り曲げられて、前記第一側板が配置される二重側壁の空間部と隣接する別の二重側壁の空間部に配置される第二側板と、を有してなり、前記第二側板が、前記原紙の隣接する外側壁の短辺に連設され、組み立て時に折り畳まれて同じ二重側壁の空間部に配置される折辺よりも内側であって、前記原紙の内側壁の短辺に連設され、組み立て時に折り曲げられて同じ二重側壁の空間部に配置される耳片との間に配置されるものである。
【0009】
請求項2においては、前記側板は、前記底板の残りの対向する両辺に折目線を介して連設され、前記底板に対して立設されて前記第二側板とともに二重側壁の空間部に配置される第三側板を有してなるものである。
【0011】
請求項3においては、前記第二側板は、対向する突合せ縁部が二重側壁の空間部に配置された状態で他と当接しない形状に形成されるものである。
【0012】
請求項4においては、前記側板は、前記折目線の裏面側の対応する位置に一つ又は複数の繋部を有する折曲溝が形成されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、収容物の状態にかかわらず二重側壁の変形を確実に防止して外観品質に優れた二重側壁組立函とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例に係る二重側壁組立函の全体的な構成を示した斜視図である。
【
図6】
図3の原紙に
図4の原紙を重ね合わせた状態の斜視図である。
【
図7】
図6において本体部材を構成する原紙の左右の内側壁等を折り曲げた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図7において本体部材を構成する原紙の前後左右の外側壁を起立させた状態を示す斜視図である。
【
図10】別実施例の補強部材を構成する原紙の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の実施例においては、図において矢印X方向を前後方向及び矢印Y方向を上下方向とする。
【0016】
図1及び
図2に示すように、本実施例の二重側壁組立函1は、原紙Aを所定の折目線に沿って折り曲げて、底壁20の周囲に小幅帯部(額縁)のある二重側壁を有し、上方に開口した直方体の本体部材2と、原紙Bを所定の折目線に沿って折り曲げて、本体部材2の底壁20を覆うとともに二重側壁の空間部3・4に配置される補強部材5とが設けられている。
【0017】
原紙A及び原紙Bの素材としては、厚紙やボール紙等の実用可能な程度の強度と厚さを有するものが適宜用いられ、特に、本実施例の原紙Bは、表裏紙(ライナ)及び中芯原紙からなる公知の段ボール紙が用いられている。
【0018】
図3に示すように、本体部材2を構成する原紙Aは、平面視四角形の底壁20と、底壁20の四周辺に折目線32・32・36・36を介して連設される外側壁21・21・25・25と、外側壁21・21・25・25の外側に折目線33・33・37・37を介して連設される細帯状の額縁片22・22・26・26と、額縁片22・22・26・26の外側に折目線34・34・38・38を介して連設される内側壁23・23・27・27と、内側壁23・23・27・27の外側に折目線35・35・39・39を介して連設される係止片24・24・28・28等とが設けられている。
【0019】
底壁20の左右の長辺には、折目線32を介して左右の外側壁21が連設され、外側壁21の外側に折目線33を介して左右の額縁片22が連設され、額縁片22の外側に折目線34を介して左右の内側壁23が連設され、内側壁23の外側に折目線35を介して係止片24が連設されている。また、底壁20の前後の短辺には、折目線36を介して前後の外側壁25が連設され、外側壁25の外側に折目線37を介して前後の額縁片26が連設され、額縁片26の外側に折目線38を介して前後の内側壁27が連設され、内側壁27の外側に折目線39を介して前後の係止片28が連設されている。
【0020】
また、内側壁23の前後には、折目線40を介して耳片29が連設され、外側壁21の前後には、折目線41を介して折片30が連設されるとともに、外側壁25の左右には、折目線42を介して折片31が連設されており、折片30及び折片31が斜めの折目線43を介して連設されている。
【0021】
図4及び
図5に示すように、補強部材5を構成する原紙Bは、平面視四角形の底板50と、底板50の左右の対向する両辺である長辺に折目線54・54を介して連設される第一側板51・51と、第一側板51の前後の対向する両辺である短辺に折目線55を介して連設される第二側板52・52と、底板50の前後の残りの対抗する両辺である短辺に折目線55・55を介して連設される第三側板53・53とが設けられている。
【0022】
底板50は、上述した原紙Aの底壁20と同形状で、底壁20より小さくなるように形成されており、第一側板51は、底板50の長辺に沿って連設され、上述した原紙Aの左右の外側壁21及び内側壁23と同形状で、左右方向(矢印Y方向)の長さが左右の外側壁21及び内側壁23と同じか若しくは小さくなるように形成されている。本実施例では、原紙Bは、原紙Aに重ね合わせた状態で、底板50及び第一側板51が原紙Aの底壁20及び外側壁21と一回り小さくなるように形成されている(
図6参照)。
【0023】
第二側板52は、第一側板51の前後の短辺に連設され、左右方向(矢印Y方向)の長さが前後の外側壁25及び内側壁27の前後方向(矢印X方向)の長さと同じか若しくは小さくなるように平面視矩形状に形成されている。第三側板53は、底板50の前後の短辺の左右方向(矢印Y方向)の中央位置に連設され、前後方向(矢印X方向)の長さが前後の外側壁25及び内側壁27の前後方向(矢印X方向)の長さと同じか若しくは小さくなるように平面視矩形状に形成されている。
【0024】
折目線54・55・56は、原紙Bの表面側(
図4において紙面側)に形成され、この折目線54・55・56の裏面側(
図5において紙面側)の対応する位置に一つ又は複数の繋部57a・58a・59aを有する折曲溝57・58・59が形成されている。折曲溝57・58・59は、段ボール紙たる原紙Bの裏紙(裏ライナ)に溝切りされて表紙(表ライナ)には到達しない溝であり、所定個所にて繋部57a・58a・59aにより繋げられている。後述するように、原紙Bでは、第一側板51・第二側板52・第三側板53がそれぞれ折目線54・55・56に沿って折り曲げられる際に、かかる折曲溝57・58・59の各繋部57a・58a・59aも表紙(表ライナ)とともに折り曲げられるか、又は破断されて表紙(表ライナ)のみが折り曲げられる。
【0025】
図1、
図6乃至
図8に示すように、本実施例の二重側壁組立函1は、上述した原紙Aに原紙Bを重ね合わせた状態で一体に組み立てられ、まず、原紙Aの底壁20に原紙Bの底板50を重ね合わせて接着させた状態(
図6参照)で、原紙Aの左右の内側壁23・23が原紙Bの第一側板51・51をくるみ込むようにして折り曲げられ、具体的には、原紙Aの左右の額縁片22・22及び内側壁23・23がそれぞれ折目線33・34に沿って谷折りされ(以下、原紙A及び原紙Bを開いた状態で上方から見て、折目が高くなるように折り曲げることを「山折り」、折目が低くなるように折り曲げることを「谷折り」という。)、左右の係止片24・24が折目線35に沿って山折りされる(
図7参照)。
【0026】
次いで、原紙Aの左右の額縁片22・22、内側壁23・23及び係止片24・24が折り曲げられた状態で、左右の外側壁21・21が折目線32に沿って谷折りされて垂直に起立され、外側壁21・21が折り曲げられる際に、原紙Bの第一側板51・51が折目線57に沿って同時に谷折りされて垂直に起立される(
図8参照)。このとき、同時に原紙Aの前後の外側壁25・25が折目線36に沿って谷折りされて垂直に起立され、外側壁25・25が折り曲げられる際に、原紙Bの第三側板53・53が折目線59に沿って同時に谷折りされて垂直に起立される。
【0027】
さらに、上述した際には、原紙Aの左右の外側壁21・21と連設される折片30・30が折目線41に沿って谷折りされ、前後の外側壁22・22に連設される折片31・31が折目線42に沿って谷折りされて、各折片30及び折片31が折目線43に沿って折り畳まれて山折りされるとともに、原紙Bの第二側板52・52が折目線58に沿って同時に谷折りされる。また、折片30・31及び原紙Bの第二側板52が折り曲げられることで、原紙Aの左右の内側壁23・23に連設される耳片29・29も折目線40に沿って同時に谷折りされる(
図8参照)。
【0028】
そして、原紙Aの外側壁21・21・25・25並びに原紙Bの第一側板51及び第三側板53が起立された状態で、原紙Aの前後の額縁片26・26が折目線37に沿って谷折りされ、さらに前後の内側壁27・27が折目線38に沿って耳片29及び折辺30・31とともに原紙Bの第二側板51及び第三側板52をくるみ込むようにして谷折りされる。原紙Aの前後の係止片28・28が原紙Bの底板50の上面に当接して折目線39に沿って山折りされ、かかる係止片28・28が左右の係止片24・24の間に入り込んで端部が上方より押えられることで、本体部材2に補強部材5が組み込まれた二重側壁組立函1が得られる(
図1参照)。
【0029】
図1、
図2及び
図9に示すように、本実施例の二重側壁組立函1は、本体部材2の外側壁21・21・25・25及び内側壁23・23・27・27にて空間部3・4を有する二重側壁が形成され、前後の空間部4・4に耳片29及び折辺30・31が収容されている。二重側壁組立函1は、本体部材2において左右の係止片24・24の端部にて前後の係止片28・28の端部が上方より押えられることで、前後の内側壁27・27が上方向に回動して元の状態に開くことがなく、さらに前後の内側壁27・27にて耳片29が押えられることで、前後左右の隣接する外側壁21・25又は内側壁23・27の隣接箇所であるコーナー部が開いて隙間が生じることがないように構成されている。
【0030】
本体部材2に組み込まれた補強部材5は、本体部材2に形成された二重側壁の左右の空間部3に第一側板51が収容され、前後の空間部4に第二側板52及び第三側板53が収容されている。第一側板50は、左右の空間部3の前後方向(矢印X方向)に沿って二重側壁を構成する外側壁21及び内側壁23の離間に配置されている。また、第二側板51及び第三側板53は、前後の空間部4の左右方向(矢印Y方向)に沿って二重側壁を構成する外側壁25及び内側壁27の離間に配置されている。
【0031】
特に、第二側板52は、左右の空間部3に配置された第一側板51の短辺より折り曲げられて、二重側壁組立函1のコーナー部、すなわち前後左右の隣接する外側壁21・25及び内側壁23・27の隣接箇所を跨ぐようにして前後の空間部4に配置されており、前後の空間部4内にて、折り畳まれた折片30・31よりも内側であって折片30・31と耳片29との間に配置されている。また、第二側板52は、対向する突合せ縁部が二重側壁の左右の空間部3に配置された状態で、第三側板53と当接しないように形状に形成され、所定の離間を有して配置されている。
【0032】
以上のように、本実施例の二重側壁組立函1は、平面視四角形の底壁20と、底壁20の四周辺に連設される外側壁21・25と、外側壁21・25に細帯状の額縁片22・26を介して連設される内側壁23・27と、内側壁23・27の外側に連設される係止片24・28とが設けられた原紙Aを組み立てて底壁20の周囲に二重側壁を形成してなる二重側壁組立函1において、底壁20を覆う底板50と、外側壁21・25及び内側壁23・27にて形成される二重側壁の空間部3・4に配置される側板51・52が設けられる補強部材5を具備してなり、底板50の対向する両辺に折目線54を介して連設され、底板50に対して立設されて対向する二重側壁の左右の空間部3に配置される第一側板51と、第一側板51の対向する両辺に折目線45を介して連設され、第一側板51が立設された状態で折り曲げられて隣接する二重側壁の前後の空間部4に配置される第二側板52と、を有してなるため、収容物の状態にかかわらず二重側壁の変形を確実に防止して外観品質に優れた組立函を得ることができる。
【0033】
すなわち、本実施例の二重側壁組立函1は、本体部材2に補強部材5が組み込まれ、左右の空間部3に第一側板51が配置され、前後の空間部4に第二側板52が配置されることで、二重側壁の剛性が高められ、収容物に押圧される等して内側壁23・27を外方に広げる応力が作用しても、内側壁23・27が折れ曲がったりして変形するのを防止することができるとともに、第一側板51及び第二側板52が隣接する外側壁21・25及び内側壁23・27の隣接箇所であるコーナー部を跨ぐようにして配置されることで、収容物の重量が重くまた密に収容された場合等であっても、収容物の影響を受けてコーナー部が開いて変形するのを防止して、外観品質を損なうことがない。
【0034】
特に、本実施例の二重側壁組立函1は、底板50の残りの対向する両辺に折目線56を介して連設され、底板50に対して立設されて第二側板51とともに二重側壁の前後の空間部4に配置される第三側板52を有してなるため、第二側板52及び第三側板53にて前後の内側壁27の剛性をより高め、内側壁27が折れ曲がったりして変形するのを確実に防止することができる。
【0035】
また、第二側板52は、原紙Aの隣接する外側壁21・25の短辺に連設され、組み立て時に折り畳まれて二重側壁の前後の空間部4に配置される折辺30・31よりも内側であって、原紙Aの内側壁23の短辺に連設され、組み立て時に折り曲げられて二重側壁の前後の空間部4に配置される耳片29との間に配置されるため、収容物の影響を受けて内側壁23・27を外方に広げる応力が作用しても、第二側板52にて折り畳まれた折辺30・31が開放されるのを確実に防いで、コーナー部が開いて変形するのを確実に防止することができる。
【0036】
また、第二側板52は、対向する突合せ縁部が二重側壁の前後の空間部4に配置された状態で他と当接しない形状に形成されるため、二重側壁組立函1に外力が作用して二重側壁に撓みやよれが生じた場合であっても、前後の空間部4で第二側板52・52が相互に干渉することなく、二重側壁の剛性を維持することができる。
【0037】
また、側板51・52・53は、折目線54・55・56の裏面側に折り曲げ時に破断する繋部57a・58a・59aを有する折曲溝57・58・59が形成されるため、折曲溝57・58・59にて各側板51・52・53が折曲線54・55・56に沿って容易に折り曲げることができるとともに、繋部57a・58a・59aにて側板51・52・53が上下にバラツクことなく展開時(原紙B)の平面状態を維持することができるので、二重側壁組立函1の組み立てを容易かつ確実に行うことができる。
【0038】
なお、二重側壁組立函1の構成としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0039】
すなわち、上述した実施例の二重側壁組立函1では、補強部材5として第三側壁53を有する構成について説明したが、第一側壁51及び第二側壁52とは異なり、第三側壁53は必ずしも必須の構成ではなく、例えば、
図10に示す別実施例の原紙Bように、第三側壁を有さない構成としてもよい。かかる場合には、第二側壁52が折り曲げられることで、第二側壁52のみが前後の空間部4の左右方向に沿って二重側壁を構成する外側壁25及び内側壁27の離間に配置され、かつ対向する突合せ縁部が前後の空間部4に配置された状態で他と当接しない形状に構成される。
【符号の説明】
【0040】
1 二重側壁組立函
2 本体部材
3 空間部
4 空間部
5 補強部材
20 底壁
21、25 外側壁
22、26 額縁片
23、27 内側壁
24、28 係止片
29 耳片
30、31 折片
32~43 折目線
50 底板
51 第一側板
52 第二側板
53 第三側板
54~56 折目線
57~59 折曲溝
A 原紙
B 原紙