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<図1>
  • 特許-水中探査装置 図1
  • 特許-水中探査装置 図2
  • 特許-水中探査装置 図3
  • 特許-水中探査装置 図4
  • 特許-水中探査装置 図5
  • 特許-水中探査装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】水中探査装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/96 20060101AFI20231013BHJP
   G01S 7/521 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G01S15/96
G01S7/521 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019136846
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021021591
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】500497652
【氏名又は名称】株式会社渋谷潜水工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小野 寿久
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 正信
【審査官】石原 徹弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-317355(JP,A)
【文献】特開2019-006196(JP,A)
【文献】特開2016-087647(JP,A)
【文献】特表2003-514474(JP,A)
【文献】特開平07-151843(JP,A)
【文献】特開平05-153697(JP,A)
【文献】特開昭63-006762(JP,A)
【文献】特開昭57-198876(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109471115(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0042919(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52- 7/64
G01S 15/00-15/96
H04R 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送信し、その反射波を受信する送受波部と、
前記送受波部へ出力する超音波信号を生成する送信部と、前記送受波部が受信した超音波信号を受信して増幅し受信信号を生成する受信部と、前記受信信号を収録するデータ収録部と、を含む制御部と、
二次電池及び電源回路を有し、前記制御部に電力を供給する電源部と、
前記制御部及び前記電源部を収納し密封する密封容器と、
前記密封容器に設けられ、前記送受波部と前記制御部とを接続するコネクタ部と、
前記密封容器を収納する収納容器と、
を有
前記送受波部及び前記収納容器が水中に定置され、前記密封容器が前記収納容器に着脱可能に固定される、水中探査装置。
【請求項2】
前記送受波部は、前記コネクタ部において、前記制御部と着脱可能に設けられている、
請求項1に記載の水中探査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記受信信号を画像信号に変換する信号処理部と、前記画像信号によって生成される画像を表示する表示部と、を有する請求項1に記載の水中探査装置。
【請求項4】
前記制御部が動作する時間を制御する計時部を有する、請求項1に記載の水中探査装置。
【請求項5】
GPSセンサ、温度センサ、水深センサ、照度センサ、のいずれか一つ以上を有する、請求項1に記載の水中探査装置。
【請求項6】
前記密封容器が耐圧性を有する、請求項1に記載の水中探査装置。
【請求項7】
前記送受波部と並置されるカメラをさらに有し、前記データ収録部は前記カメラで撮影された画像を収録する、請求項1に記載の水中探査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として水中に定置され魚影等の探知を行う水中探査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソナー(SONAR:Sound Navigation and Ranging)と呼ばれ、水中に超音波信号を伝搬させ、その反射波を受信することで水中や水底の物体に関する情報を収集する装置が知られている。ソナーは、例えば、魚群を探知するために用いられ、船舶に搭載されて使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-176757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
船舶に搭載されたソナーは、魚群を求めて移動しながら使用する用途に適している。一方、定点観測により魚類等の水中生物の動きを調査するにはその地点に長時間(長期間)停泊しなければならないため、人的、経済的負担が増大することが問題となる。水上に浮遊するブイ等にソナーを取り付けることも考えられるが、海流に流されないようにするために海底に係留する必要があり、設置するためのコスト、メンテナンスのためのコストが増大することが問題となる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために、魚群等の定点観測を容易に行うことのできる水中探査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水中探査装置は、超音波を送信しその反射波を受信する送受波部と、送受波部へ出力する超音波信号を生成する送信部、送受波部が受信した超音波信号を受信して増幅し受信信号を生成する受信部、受信信号を収録するデータ収録部を含む制御部と、二次電池及び電源回路を有し制御部に電力を供給する電源部とを有し、制御部及び電源部は密封容器に収納され、密封容器は送受波部と制御部とを接続するコネクタ部を備えている。
【0007】
送受波部はコネクタ部において制御部と着脱可能に設けられ、制御部は、受信信号を画像信号に変換する信号処理部と、画像信号によって生成される画像を表示する表示部とを有していてもよい。さらに、制御部が動作する時間を制御する計時部(タイマー)を有していてもよい。
【0008】
水中探査装置は、GPSセンサ、温度センサ、水深センサ、照度センサ、のいずれか一つ以上を有していてもよい。送受信部と並置されるカメラをさらに有し、データ収録部はカメラで撮影された画像を収録する機能を有していてもよい。
【0009】
密封容器が耐圧性を有し、密封容器を収納する収納容器を有していてもよい。送受波部及び収納容器が水中に定置され、密封容器が収納容器に着脱可能に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水中(又は海中)において、水中生物の生態を、長時間(又は長期間)に亘って定点観測することが容易となる。また、定点観測に当たり、人的負担、経済的負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る水中探査装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明に係る水中探査装置の構成を示す図である。
図3】本発明に係る水中探査装置の構成を示す図である。
図4】本発明に係る水中探査装置を水中に設置する態様を示す図である。
図5】本発明に係る水中探査装置の設置例を説明する図である。
図6】本発明に係る水中探査装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、b等を付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0013】
図1は、本発明に係る水中探査装置100の機能的な構成を示すブロック図である。水中探査装置100は、送受波部102、制御部104、電源部106を含む。水中探査装置100は、水中を伝搬する超音波を用いて、水中及び水底にある物体を探知する機能を有し、超音波ソナー装置とも呼ばれる。
【0014】
送受波部102は超音波を送信し、その反射波を受信する機能を有する。送受波部102から送信される超音波の周波数は、概略20kHzから400kHzの範囲にある。送受波部102が出力する超音波の周波数は、用途に応じて適宜選択される。物体の探知に用いられる超音波のうち、50kHzのような低い周波数帯の超音波は、貫通力が強く遠くまで伝搬される性質を有するので、広い範囲の探知に適している。一方、200kHzのような高い周波数帯の超音波は、狭い範囲の探知に適しており、精度の高い探知を行うことができる。本実施形態において、送受波部102は、例えば、単一の周波数として、50kHz又は200kHzの超音波を送信するように構成される。また、送受波部102は、50kHzと200kHzのような複数の周波数の超音波を送信するように構成されてもよい。
【0015】
制御部104は、送信部108、受信部110、データ収録部112を含む。送信部108は、超音波信号を生成し送受波部102に出力する。受信部110は送受波部102が受信した超音波信号が入力され、この超音波信号を増幅し受信信号を生成する。このような構成を有する制御部104は、送受波部102の動作を制御し、送受波部102が受信した受信信号を記録する機能を有する。
【0016】
制御部104は、信号処理部114、表示部116を有していてもよい。信号処理部114は、データ収録部112から受信信号を読み出し、又は受信部110から受信信号が直接入力され、その受信信号を画像信号に変換する。表示部116は、信号処理部114で生成された画像信号を画像として表示する。水中探査装置100は、これらの機能部によって、超音波で探知した情報をリアルタイムで、又は探査を行った後で画像として表示することができる。例えば、水中探査装置100は、超音波で探知した魚群に関する情報を収集することができ、収集された情報を表示部116に表示することができる。
【0017】
電源部106は、電源回路118、二次電池120を含む。電源回路118は二次電池120の充放電を制御する機能を有する。また、電源回路118は、制御部104に電力を供給する機能を有する。二次電池120は電力を蓄電する機能を有し、水中探査装置100の電源として用いられる。
【0018】
制御部104及び電源部106は密封容器128に収納され、送受波部102は密封容器128の外に配置される。密封容器128に収納された制御部104と、密封容器128の外に配置される送受波部102とはケーブル126によって接続される。密封容器128にはコネクタ122が設けられる。送受波部102から延びるケーブル126はコネクタ122によって着脱自在に設けられる。コネクタ122は水密性を有するものが用いられ、密封容器128を水中又は海中に水没させても内部に水が浸入しないように構成されている。
【0019】
密封容器128は、耐圧性及び耐水性を有し、水中に沈めても内部に水が浸水しない構造を有する。制御部104及び電源部106は密封容器128に収納されることにより、水中でも動作が可能となる。すなわち、水中探査装置100は、水中に設置して動作をさせることができる。
【0020】
図2は、本実施形態に係る水中探査装置100の物理的な構成の一例を示す。電源部106は、電源回路118と二次電池120とがケーブル126aによって接続された構成を有する。電源回路118はCPU等が実装されたプリント基板で形成され、防水・防塵型のケース124に収納される。防水・防塵型のケース124は、開閉式の蓋を有していてもよく、ポリカーボネート樹脂等のプラスチック材料で形成されていてもよい。二次電池120としては、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池等が用いられる。
【0021】
制御部104は、前述のように送信部108、受信部110、データ収録部112としての機能を有し(さらに、信号処理部114、表示部116の機能を有していてもよい)、ケーブル126bによって電源回路118と接続される。なお、データ収録部112は制御部104に含まれるものとして示されるが、これに限定されず別体として設けられてもよい。例えば、データ収録部112は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブのような外部ストレージドライブが用いられ、制御部104と接続される構成を有していてもよい。電源部106、制御部104は密封容器128の中に設置される。
【0022】
送受波部102はソナーヘッドとも呼ばれ、ケーブル126cにより密封容器128に水密に設けられたコネクタ122において接続される。送受波部102は、例えば、圧電セラミックを用いた振動子によって構成される。コネクタ122は密封容器から露出する部分を有し、制御部104から延びるケーブルと接続されている。ケーブル126a、126b、126cのコネクタ部分はいずれも耐水性のコネクタが用いられる。
【0023】
図3は、制御部104、電源部106を収納する密封容器128の一例を示す。図3において、(A)は密封容器128の上面図を示し、(B)は正面図を示す。密封容器128は、制御部104及び電源部106を収納できる容積を有する本体部130と、本体部130を塞ぐ蓋部132とを含む。本体部130及び蓋部132は、ステンレス、アルミニウム等の金属、又はポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の硬質プラスチックで形成されていることが好ましい。本体部130及び蓋部132はこのような材料で形成されることで、耐腐食性を高めることができ、耐水性、耐圧性(耐水圧性)を有するものとすることができる。本体部130と蓋部132にはフランジが設けられ、Oリング等のシール部材134を挟み、ボルト及びナット等の締結具136で固定される。このような構成により、密封容器128は耐圧性、耐水性を備え、水没させても内部に水が浸入しない構成とすることができる。本体部130には、送受波部102と接続するための、コネクタ122が設けられる。コネクタ122は水密性を有し、密封容器128の密封性が損なわれないものが取り付けられる。
【0024】
図3に示すように、電源部106及び制御部104は、密封容器128の中に収納される。このような構成を有することで、水中探査装置100は長時間(長期間)水中に設置して動作させることができる。また、密封容器128にコネクタ122が設けられ、電源部106及び制御部104と、送受波部102との接続及び切り離しを可能とされていることで、送受波部102を水中に設置したまま、電源部106及び制御部104を水中から回収し、陸上又は水上でメンテナンスやデータの収集を行うことができる。なお、図3に示す構成は一例であり、水中探査装置100は図示される構造に限定されるものではない。密封容器128は、水中に設置することができ、耐圧性、耐水性を有し、送受波部102と接続可能なコネクタ122を備えたものであれば、図示されない他の形態を有していてもよい。例えば、本体部130に対し、蓋部132がスクリュー式に閉まる容器を用いてもよい。
【0025】
図4は、水中探査装置100を水中に設置するときの一例を示す。水中探査装置100は、水中(又は海中)に設けられた構造物に固定されるように設置される。例えば、水中探査装置100は、水底又は海底に打ち込まれた杭138に固定された収納容器140の中に設置される。杭138には、送受波部102が設置されており、ケーブル126cによって密封容器128に設けられたコネクタ122と接続される。
【0026】
水中探査装置100は、水上又は陸上において二次電池120の充電、制御部104の設定や調整等が行われる。密封容器128は、ダイバーによって水中に運ばれ、所定の場所(例えば、収納容器140が設置された場所)に設置される。密封容器128は、コネクタ122を有することで送受波部102に接続されているケーブル126cと容易に接続することができる。このような構成により、ダイバーは水中で煩雑な作業する必要がなく、密封容器128の設置及び回収を容易に行うことが可能となる。密封容器128は、水中(又は海中)において収納容器140の中に収納されるため、水流(海流)に流されないように安定して設置することができ、また、水中植物(例えば、海藻)や水中生物(例えば、貝等)の付着を防止することができる。
【0027】
水中(又は海中)に運ばれた密封容器128は、コネクタ122によって送受波部102と接続され、水中(又は海中)モニタリングの動作が行われる。その後、所定時間(所定期間)が経過した後、密封容器128は水中(又は海中)から回収され、水上又は陸上に搬送される。水上又は陸上の搬送された密封容器128は開封され、データ収録部112に記録されたデータが回収される。また、二次電池120の充電等のメンテナンスの作業が行われる。
【0028】
このように、本実施形態に係る水中探査装置100は、送受波部102だけでなく、制御部104及び電源部106を含む本体が水中に設置されることにより、定点観測を行うことができる。本実施形態によれば、水中探査装置100は、密封容器128が水中に設置された送受波部102と分離され、水中と水上又は陸上とを往復することで、二次電池120の充電、超音波で探査した情報の収集を水上又は陸上で行うことができる。また、密封容器128が耐圧性、耐水性を有するので、電源部106から電力の供給が続く限り制御部104を動作させ、長時間に渡って水中(又は海中)の状態をモニタリングすることができる。
【0029】
なお、送受波部102及び密封容器128を設置する場所は杭に限定されず、定置網、養殖場の柵等の水中(又は海中)の構造物に取り付けることができる。さらに、橋脚の水中部分、水上風力発電設備の基礎杭等に設置することもできる。
【0030】
送受波部102から送信される超音波は指向性を有する。そのため、図4に示すように送受波部102が定点に固定されている場合には一定の方角しか観測することができない。そこで、図5に示すように、水中(又は海中)に複数の送受波部102a、102b、102c、102d及び密封容器128a、128b、128c、128dを設け、複数の送受波部102a、102b、102c、102dのそれぞれの向きを異ならせることで、広い範囲を観測することができる。この場合、比較的狭い範囲を観測する送受波部102cは、高い周波数の超音波(例えば、200~400kHz)を送信し、それ以外の広い範囲を観測する送受波部102a、102b、102dは、低い周波数の超音波(例えば、50kHz~200kHz未満)を送信するようにしてもよい。
【0031】
水中探査装置100は、図1に示す構成に加え、図6に示すように各種のセンサ、カメラ等が付加されていてもよい。例えば、水中探査装置100は、GPSセンサ142、温度センサ144、圧力センサ146等の各種センサ、カメラ148等が備えられる。水中探査装置100は、GPSセンサ142が設けられることで、設置された位置情報を得ることができる。GPSセンサ142で検出された位置情報は、データ収録部112に記憶されることで、超音波で探査した魚群等の情報が取得された位置を特定することができる。水中探査装置100は、温度センサ144を有することで、測定地点の水温を検出することができる。温度センサ144で計測された水温に関する情報は、データ収録部112に記憶されることで、超音波で探査した魚群等の大きさや動きと水温との関係を調べることができる。また、水中探査装置100は、圧力センサ146を有することで、測定地点の水深を間接的に知ることができる。圧力センサ146で計測された水圧に関する情報は、データ収録部112に記憶されることで、超音波で探査した魚群等の大きさや動きと水深との関係を調べることができる。
【0032】
水中探査装置100は、カメラ148を有することで、超音波で探知した魚群等に関する情報を、視覚により観察することができる。すなわち、超音波による探知に加え、カメラ148による撮像を併用することで、魚群を形成する魚種を知ることができ、また、水中探査装置100が設置された場所の生態を、視覚を通じて知ることができる。そのためカメラ148は、送受波部102に隣接して、超音波が送信される方向に向けて設置されていることが好ましい。
【0033】
また、図示されないが、水面上に太陽電池パネルが設置され、電源部106の補助電源として用いる構成が適用されてもよい。このような補助電源を用いることで、水中探査装置の水中または海中における駆動時間を延ばすことができる。また、水上に無線通信用のアンテナを設け、制御部104に無線通信用の通信回路を設け、制御部104とアンテナとを接続する構成を採用してもよい。このような構成により、水中又は海中の状態をリアルタイムで観察することができる。
【0034】
さらに、図6に示すように、水中探査装置100は、計時部150(タイマー)が付加されていてもよい。水中探査装置100は、計時部150を有することにより、制御部104が動作する時間を設定することができる。水中探査装置100は、計時部150により、水中又は海中の情報を超音波で探査する時間、期間を制御することができる。例えば、水中探査装置100は、計時部150により、間欠的に超音波による探査を行うことができる。このような設定により、水中探査装置100は、一日のうち数時間だけ探査を行うことができ、二次電池120の消耗を抑えることで長期間に亘って観測を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上において説明したように、本実施形態に係る水中探査装置100は水中に設置した状態で動作し、水上又は陸上において探査により得られたデータの評価が行われる。このような水中探査装置100は、水中又は海中における生物等の分布や動きを観察することを通じて環境評価に役立たせることができる。例えば、定置網に設置した場合には、回遊する魚群の調査に資することができ、海洋資源の解析に利用することができる。さらに、風力発電等を海上に設置するには、海中に基礎杭を打ち込む必要がある。このような場合、基礎杭の海中部分に水中探査装置100を設置することで、魚群の探査を行うことができ、杭打ちによる生態環境への影響を調査することができる。このような場合において、水中探査装置100はダイバーが運べる程度の大きさにすぎないので、設置したことによる環境への影響を無視することができる。さらに、水中探査装置100は無人で動作するため、人的負担、経済的負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0036】
100・・・水中探査装置、102・・・送受波部、104・・・制御部、106・・・電源部、108・・・送信部、110・・・受信部、112・・・データ収録部、114・・・信号処理部、116・・・表示部、118・・・電源回路、120・・・二次電池、122・・・コネクタ、124・・・ケース、126・・・ケーブル、128・・・密封容器、130・・・本体部、132・・・蓋部、134・・・シール部材、136・・・締結具、138・・・杭、140・・・収納容器、142・・・GPSセンサ、144・・・温度センサ、146・・・圧力センサ、148・・・カメラ、150・・・計時部
図1
図2
図3
図4
図5
図6