IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明システム及びその制御方法 図1
  • 特許-照明システム及びその制御方法 図2
  • 特許-照明システム及びその制御方法 図3
  • 特許-照明システム及びその制御方法 図4
  • 特許-照明システム及びその制御方法 図5
  • 特許-照明システム及びその制御方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】照明システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20231013BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20231013BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20231013BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231013BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/155
H05B47/16
H05B47/165
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019234152
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103633
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】密島 康一
(72)【発明者】
【氏名】山原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】冨尾 勇太
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-192655(JP,A)
【文献】特開2015-041438(JP,A)
【文献】特表2018-538665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明器具から構成される照明グループと、前記照明グループに制御信号を送信する操作端末とを備える照明システムであって、
前記操作端末は、
前記照明グループへ前記制御信号を送信し、前記照明グループからの前記制御信号の受信完了の信号を受信する送受信部を有し、
前記送受信部は、
前記照明グループを構成する1つの前記照明器具から前記制御信号の受信完了の信号を受信した後は、前記照明グループへの前記制御信号と同一の制御信号の再送をしないように構成されている、
照明システム。
【請求項2】
複数の照明器具から構成される照明グループと、前記照明グループに制御信号を送信する操作端末とを備える照明システムであって、
前記照明グループを構成する前記複数の照明器具は、前記操作端末から前記制御信号を受信すると、前記制御信号の受信完了の信号を前記操作端末に向けて送信する機能を有し、
前記照明グループで予め設定された特定の前記照明器具は、自身が存在する前記照明グループの他の前記照明器具に向けて、前記操作端末から受信した前記制御信号、または前記制御信号に基づく信号を送信する、
照明システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明システムにおいて、
前記制御信号は、前記照明器具を予め決定した時刻に制御するための、タイマー設定時刻、現在時刻、点灯制御情報、及び曜日情報、機能制御情報の1つ以上を有するセットを少なくとも1つ含んでいる、
照明システム。
【請求項4】
複数の照明器具から構成される照明グループと、前記照明グループに制御信号を送信する操作端末とを備える照明システムの制御方法であって、
前記操作端末が、前記照明グループへ前記制御信号を送信するステップと、
前記操作端末が、前記照明グループを構成する1つの照明器具から前記制御信号の受信完了の信号を受信するステップと、を有し、
前記操作端末は、前記照明グループを構成する1つの照明器具から前記制御信号の受信完了の信号を受信した後は、前記照明グループへの前記制御信号と同一の制御信号の再送をしない、
照明システムの制御方法。
【請求項5】
複数の照明器具から構成される照明グループと、前記照明グループに制御信号を送信する操作端末とを備える照明システムの制御方法であって、
前記操作端末が、前記照明グループへ前記制御信号を送信するステップと、
前記照明グループで予め設定された特定の前記照明器具は、自身が存在する前記照明グループの他の前記照明器具に向けて、前記操作端末から受信した前記制御信号、または前記制御信号に基づく信号を送信する、
照明システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の照明器具が制御装置と伝送線で接続されており、複数の照明器具をリモコン(操作端末)により制御装置を介して制御する照明システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-243848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、室内等に複数の照明器具が設置され、操作端末により各照明器具と無線通信によって制御信号を送信することにより、各照明器具の照明を制御する場合がある。この場合に、操作端末から各照明器具に制御信号を送信し、操作端末が照明器具から受信完了の信号を受信することにより、操作端末はその照明器具を操作できる。また、各照明器具の操作性を高くするために操作端末から各照明器具に繰り返し制御信号を送信する場合もある。しかしながら、操作端末からの制御信号の送信量や送信回数が多くなると、送信端末から照明器具に信号を送信するときの通信エラーが生じやすくなる。特に、タイマー情報や登録情報等の通信データ量が多くなる情報を操作端末から各照明器具に送信する場合には、通信エラーがより生じやすくなる。これにより、複数の照明器具の操作性が低下する可能性がある。
【0005】
また、操作端末から複数の照明器具に制御信号を送信する場合に、全ての照明器具から受信確認信号が操作端末に送信されると、送信端末がその信号を処理する必要があるため、これによっても、送信端末から照明器具に信号を送信するときの通信エラーが生じやすくなる。特に、上記の通信データ量が多くなる情報を操作端末から各照明器具に送信する場合には、通信エラーがより生じやすくなる。これによっても、複数の照明器具の操作性が低下する可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、照明システム及びその制御方法において、複数の照明器具の操作性を高くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様である照明システムは、複数の照明器具から構成される照明グループと、照明グループに制御信号を送信する操作端末とを備える照明システムであって、操作端末は、照明グループへ制御信号を送信し、照明グループからの制御信号の受信完了の信号を受信する送受信部を有し、送受信部は、照明グループを構成する1つの照明器具から制御信号の受信完了の信号を受信した後は、照明グループへの制御信号と同一の制御信号の再送をしないように構成されている、照明システムである。
【0008】
また、本開示の一態様である照明システムは、複数の照明器具から構成される照明グループと、照明グループに制御信号を送信する操作端末とを備える照明システムであって、照明グループを構成する複数の照明器具は、操作端末から制御信号を受信すると、制御信号の受信完了の信号を操作端末に向けて送信する機能を有し、照明グループで操作端末から制御信号を最初に受信した照明器具、または照明グループで予め設定された特定の照明器具は、自身が存在する照明グループの他の照明器具に向けて、操作端末から受信した制御信号、または制御信号に基づく信号を送信する、照明システムである。
【0009】
また、本開示の一態様である照明システムの制御方法は、複数の照明器具から構成される照明グループと、照明グループに制御信号を送信する操作端末とを備える照明システムの制御方法であって、操作端末が、照明グループへ制御信号を送信するステップと、操作端末が、照明グループを構成する1つの照明器具から制御信号の受信完了の信号を受信するステップと、を有し、操作端末は、照明グループを構成する1つの照明器具から制御信号の受信完了の信号を受信した後は、照明グループへの制御信号と同一の制御信号の再送をしない、照明システムの制御方法である。
【0010】
また、本開示の一態様である照明システムの制御方法は、複数の照明器具から構成される照明グループと、照明グループに制御信号を送信する操作端末とを備える照明システムの制御方法であって、操作端末が、照明グループへ制御信号を送信するステップと、照明グループで操作端末から制御信号を最初に受信した照明器具、または照明グループで予め設定された特定の照明器具は、自身が存在する照明グループの他の照明器具に向けて、操作端末から受信した制御信号、または制御信号に基づく信号を送信する、照明システムの制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様である照明システム及びその制御方法によれば、複数の照明器具の操作性を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の一例の照明システムを示す図である。
図2】実施形態の一例の照明システムを構成する照明器具と操作端末との構成を示す図である。
図3】実施形態の一例の照明システムの制御方法を示すフローチャートである。
図4】実施形態の一例の照明システムにより複数の照明グループから操作端末に受信完了信号が送信される状態を示す図である。
図5】実施形態の一例の照明システムにおいて、操作端末により1つの照明グループの複数の室内照明器具を制御する状態を示す図である。
図6】比較例の照明システムにより複数の照明グループから操作端末に受信完了信号が送信される状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る照明システム及びその制御方法の実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下で説明する実施形態に限定されない。
【0014】
本開示のシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示のシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0015】
図1は、実施形態の一例の照明システム10を示す図である。照明システム10は、操作端末30と、操作端末30に制御される複数の照明器具12とを備える。複数の照明器具12は、例えば建物の室内に配置される。操作端末30は、各照明器具12と無線通信可能に構成され、各照明器具12を設定または制御する。
【0016】
照明システム10が備える照明器具12の数は、複数であれば特に限定されない。複数の照明器具12は、例えばシーリングライトである。照明器具12は、ダウンライト、スポットライト等の他の種類としてもよい。
【0017】
複数の照明器具12は、グループ1、グループ2、及びグループ3の3つのグループに分けられ、各グループが複数の照明器具12を有する。各グループは、照明グループに相当する。各グループでは、複数の照明器具12が互いに無線通信可能となっている。これにより、照明システム10は、複数の照明器具12から構成される複数のグループ1~3と、操作端末30とを備える。
【0018】
図2は、照明システム10を構成する照明器具12と、操作端末30との構成を示す図である。照明器具12は、ユーザが操作する操作端末30と無線通信可能に接続される。操作端末30は、ユーザに操作された場合に、その操作により制御信号を各グループの照明器具12に送信する。制御信号は、例えば点灯を制御する点灯制御信号、または設定情報の設定を指示する制御信号である。図2では、複数の照明器具12として、同じグループに存在する2つの照明器具12のみを示している。照明器具12は、送受信部16、制御回路18、光源部20、記憶部22及びタイマー部24を備える。
【0019】
照明器具12は、操作端末30から同じグループ内で最初に制御信号を正常に、すなわちエラーなく受信したときに、自身が存在する同じグループの他の照明器具12に向けて、操作端末30から受信した制御信号、またはこの制御信号に基づく信号として、操作端末30から受信した制御信号を加工した加工信号を送信する。複数の照明器具12の構成は同一であってもよいが、複数の照明器具12は異なる構成を持っていてもよい。
【0020】
送受信部16は、照明器具12が、操作端末30及び同じグループ内の他の照明器具12と無線通信するためのインターフェースである。
【0021】
制御回路18は、送受信部16を制御する。制御回路18は、操作端末30から受信した制御信号または加工信号に応じて光源部20の点灯状態を制御する。制御回路18は、例えば、CPUを有し、記憶部22に記憶されたプログラムによって演算処理が実行される。制御回路18は、操作端末30から同じグループ内で最初に制御信号を正常に受信したときに、同じグループの他の照明器具12に制御信号または加工信号を送信する。
【0022】
各グループを構成する複数の照明器具12は、操作端末30から制御信号を受信すると、制御信号の受信完了の信号である受信完了信号を操作端末30に向けて送信する機能を有する。一方、操作端末30は、各グループを構成する1つの照明器具12から受信完了信号を受信した後は、そのグループへの送信済みの制御信号と同一の制御信号の再送をしないように構成されている。具体的には、操作端末30は、各グループを構成する1つの照明器具12から受信完了信号を受信した後は、そのグループへの送信済みの制御信号と同一の制御信号の再送を停止する。これにより、操作端末30から送信される制御信号の送信回数を少なくできるので、操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーが生じにくくなる。このため、複数の照明器具12の操作性を高くできる。また、操作端末30が次の処理に移行しやすくなる。なお、操作端末30は、グループを構成する1つの照明器具12から受信完了信号を受信した後は、そのグループから送信されるその後の他の受信完了信号を処理しない構成としてもよい。これによっても、操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーが生じにくくなるので、複数の照明器具12の操作性をより高くできる。
【0023】
光源部20は、照明光を発する。例えば光源部20は、LED、蛍光灯、ハロゲンランプ等である。
【0024】
記憶部22は、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部22は、受信した制御信号、または制御信号に基づく制御信号であり、受信した制御信号を加工して得られた加工信号を記憶する機能を有する。
【0025】
タイマー部24は、時間を計時する。制御回路18は、操作端末30から設定情報を設定する指示を表す制御信号を受信したときに、その設定情報の内容に応じて光源部20の点灯状態を制御する。このとき、操作端末30から送信される制御信号は、照明器具12を予め決定した時刻に制御するための、設定情報を含んでいる。
【0026】
設定情報は、タイマー関係情報、及び照明器具12を設定または制御するデータを含む。タイマー関係情報は、現在時刻、タイマー設定時刻、タイマー動作時の点灯制御情報、及び曜日情報、機能制御方法の1つ以上を有するセットを少なくとも1つ含んでいる。タイマー関係情報は、このセットを複数含んでいてもよい。タイマー関係情報は、繰り返し情報を1つ、または複数含んでいてもよい。タイマー設定時刻は、点灯制御が開始または終了される時刻を表す。機能制御情報の例としては、例えばナノイー(登録商標)等の空気清浄機、シーリングファン、音楽、エアコン、テレビ、カメラの電源、カメラのシャッターのON/OFFを表す情報がある。これらの設定情報のデータは、データ量が多い。このため、実施形態と異なり、操作端末から各照明器具に設定情報の全データを送信し、各照明器具が、設定情報の内容に応じて、例えばタイマー設定時刻に達したときに点灯制御する構成では、操作端末から各照明器具へ送信するデータ量が多くなってしまう。この場合には、送信端末の送信負荷が高くなることで、送信端末による通信エラーが生じやすくなり、通信エラーが生じた照明器具を操作できなくなることにより、照明器具の操作性が低下する可能性がある。また、この場合には、多くの照明器具から操作端末に受信完了信号があるので、操作端末から各照明器具に信号を送信するときの通信エラーが生じやすくなることで、照明器具の操作性が低下する可能性もある。
【0027】
実施形態では、各グループで操作端末30から最初に正常に、すなわちエラーがなく設定情報を含む制御信号を1つの照明器具12が受信した場合に、その照明器具12の制御回路18が、点灯制御時に、同じグループに存在する他の照明器具12にその制御信号を加工した加工信号として、点灯制御信号を送信する。点灯制御信号は、設定情報を含む制御信号より送信データ量が少なくなる。これにより、複数の照明器具12の間の通信での通信エラーが生じにくくなると共に、照明システム10での混信が少なくなることで操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーも生じにくくなる。これによっても、複数の照明器具12の操作性を高くできる。また、操作端末30から送信される制御信号を、各グループで1つの照明器具12が受信し、その照明器具12が受信完了信号を操作端末に送信すればよいので、各グループから操作端末30へ送信される受信完了信号を少なくできる。このため、操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーが生じにくくなる。これによっても、複数の照明器具12の操作性を高くできる。
【0028】
操作端末30と照明器具12とは、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の無線通信により通信可能に接続される。複数の照明器具12も、BLE等の無線通信により通信可能に接続される。例えば、操作端末30から設定情報を含む制御信号を受けた照明器具12は、BLEにより同じグループの他の照明器具12に点灯制御信号を送信する。複数の照明器具12には器具IDが設定されており、送信先の器具IDを含む信号を発信することで、送信先の照明器具12が、その受信信号が自機のIDを含む場合にその信号を読み取って照明器具12の点灯状態を制御する。
【0029】
操作端末30は、操作部31、送受信部32、制御回路33、及び記憶部34を含む。操作部31は、ユーザの操作を受け付けて、受け付けた操作の内容を制御回路33に送信する。操作端末30がスマートフォンである場合、操作端末30は、操作部の機能を有するタッチパネルスクリーンを有する。
【0030】
送受信部32は、操作端末30が複数の照明器具12と無線通信するためのインターフェースである。
【0031】
制御回路33は、送受信部32を制御する機能を有する。制御回路33は、例えば、CPUを有し、後述の記憶部34に記憶されたプログラムによって演算処理が実行される。
【0032】
制御回路33は、操作部31が操作され、その操作が照明器具12の点灯状態を操作する指示である場合に、送受信部32を介して点灯制御信号を無線信号で各グループの照明器具12に送信する。各グループで操作端末30から最初に正常に点灯制御信号を1つの照明器具12が受信した場合に、その照明器具12の制御回路18が、同じグループに存在する他の照明器具12にその点灯制御信号を送信する。
【0033】
さらに、制御回路33は、操作部31が操作され、その操作が設定情報の内容に応じて照明器具12を制御する指示である場合に、制御回路33は、送受信部32を介して設定情報を含む制御信号を各グループの照明器具12に送信する。これにより、各グループの1つの照明器具12は、設定情報を含む制御信号を受信した場合に、設定情報の内容が設定される。また、各グループで、操作端末30から最初に正常に設定情報を含む制御信号を1つの照明器具12が受信した場合に、その照明器具12が、タイマー部24の設定時間の計時により点灯制御を開始するときに、同じグループの他の照明器具12に、加工信号として点灯制御信号を送信する。これにより、各グループの全ての照明器具12の点灯が制御される。
【0034】
図3は、実施形態の一例の照明システムの制御方法を示すフローチャートである。ステップS1では、操作端末30が、ユーザの操作に応じて各グループに制御信号を送信する。次いでステップS2では、各グループの1つの照明器具12、例えば操作端末30から制御信号を最初に正常に受信した照明器具12が、操作端末30に向けて受信完了信号を送信すると共に、同じグループの他の照明器具12に制御信号または加工信号を送信する。このとき、1つの照明器具12が操作端末30に受信完了信号を送信することと、同じグループの他の照明器具12に制御信号または加工信号を送信することとの順序は問わない。次に、ステップS3では、操作端末30が、各グループの1つの照明器具12からの受信完了信号の受信に応じて、各グループへの送信済みの制御信号と同一の制御信号の再送を停止する。これにより、操作端末30は、グループを構成する1つの照明器具12から制御信号の受信完了の信号を受信した後は、グループへの制御信号の再送をしない。
【0035】
なお、操作端末30及び照明器具12の間、複数の照明器具12の間を、それぞれWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の他の無線通信により通信可能に接続してもよい。
【0036】
また、上記では、各グループで操作端末30から制御信号を最初に正常に受信した照明器具12が、自身が存在するグループの他の照明器具12に向けて制御信号または加工信号を送信する場合を説明した。一方、各グループで予め設定された特定の1つの照明器具12が、操作端末30から制御信号を受信した場合に、その照明器具12が自身が存在するグループの他の照明器具12に向けて制御信号または加工信号を送信する構成としてもよい。例えば、特定の1つの照明器具12が操作端末30から設定情報を含む制御信号を受けて、他の照明器具12に加工信号として点灯制御時に点灯制御信号を送信する構成とすることができる。各グループで予め特定の1つの照明器具を設定する方法としては、例えば、ユーザが予め設定してもよく、または任意に自動で設定してもよい。あるいは、各グループで、操作端末30に信号を送信する複数の照明器具12のうち、操作端末30で最も電波の受信強度が高い照明器具12を特定の1つの照明器具と自動で設定してもよい。この構成によれば、複数の照明器具12の間の通信での通信エラーが生じにくくなると共に、照明システム10での混信が少なくなることで操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーも生じにくくなる。これによっても、複数の照明器具12の操作性を高くできる。
【0037】
図4は、実施形態の一例の照明システムにより複数のグループから操作端末30に受信完了信号が送信される状態を示す図である。図4では、グループ1及びグループ2の2つのグループから受信完了信号が送信される場合を示している。また、図4では、各グループ1,2から最初に操作端末30に送信される受信完了信号のみを示している。本例の構成では、操作端末30は、グループを構成する1つの照明器具12から受信完了信号を受信した後は、そのグループへの送信済みの制御信号と同一の制御信号の再送を停止する。このため、上記のように複数の照明器具12の操作性を高くできる。
【0038】
また、操作端末30から各グループに制御信号が送信されたときに、各グループで予め設定された特定の1つの照明器具12のみが、自身が存在するグループの他の照明器具12に向けて制御信号または加工信号を送信する構成の場合には、その特定の照明器具12が操作端末30から制御信号を受信したときに、その特定の照明器具12のみから操作端末30に受信完了信号が送信される。これにより、操作端末30に送信される受信完了信号を少なくできるので、これによっても、操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーが生じにくくなる。このため、複数の照明器具の操作性をより高くできる。
【0039】
図5は、実施形態の一例の照明システムにおいて、操作端末30により複数の照明器具12を制御する状態を示す図である。図5では、グループ1の各照明器具12に付されたID:1~4の数字がそれぞれの器具IDを示しており、操作端末30からIDが4の照明器具12に制御信号を送信する場合を示している。IDが4の照明器具12は、操作端末30からグループ1に制御信号が送信されたときに、最初に操作端末30が受信完了信号の送信を受けた照明器具である。図5では、丸の1を付した白抜き矢印により、操作端末30からIDが4の照明器具12に、制御信号が送信されることを示している。IDが4の照明器具12は、操作端末30から制御信号を受信した場合に、丸の2を付した一点鎖線矢印で示すように、操作端末30へ信号を受信したことを表す受信完了信号を送信する。受信完了信号は、その信号を送信する照明器具12の識別情報を含んでいる。そして、丸の3を付した細い実線矢印で示すように、IDが4の照明器具12は、グループ1のIDが4以外の他の照明器具12に制御信号または加工信号を送信する。これにより、制御信号または加工信号を受けた各照明器具12が点灯制御される。図5では、グループ1の場合を説明したが、他のグループの場合も同様である。このため、操作端末30からはグループの数と同じ数の照明器具12との間で制御信号が送信されることにより、全ての照明器具12の点灯を制御できる。
【0040】
なお、図5にかっこで囲んだ白抜き矢印で示すように、操作端末30からの制御信号が、IDが4の照明器具12だけでなく、他の照明器具として、IDが1の照明器具12でも同時に受信される場合がある。この場合にも、上記で説明した構成と同様に、操作端末30の送受信部32(図2)は、グループ1を構成する1つの照明器具として、IDが4の照明器具12から最初に受信完了信号を受信した後は、グループ1への送信済みの制御信号と同一の制御信号の再送を停止する。また、この場合、破線矢印で示すように、IDが1の照明器具12は、IDが1以外の他の照明器具12に制御信号または加工信号を送信する。この場合には、グループ1で操作端末30から制御信号を最初に受信した照明器具12は、2つとなる。このとき、IDが2の照明器具12及びIDが3の照明器具12は、IDが1の照明器具12とIDが4の照明器具12の2つの照明器具から2つの制御信号または2つの加工信号が送信される。一方、2つの制御信号の内容、または2つの加工信号の内容は、それぞれ同じであり、IDが2,3の照明器具12はその2つの信号によって同じ内容で制御されるので、照明器具12が2つの信号を受けることによる問題は生じない。また、IDが1の照明器具12とIDが4の照明器具12との間でも制御信号または加工信号が送受信されるが、IDが1,4の照明器具12はその信号の受信によっては制御されず、操作端末30からの制御信号によって制御されるようにしてもよい。
【0041】
また、上記のようにグループ1で操作端末30から制御信号を最初に受信した照明器具12が2つとなる場合に、いずれか1つを、他の照明器具12に制御信号または加工信号を送信するマスター器具に決定してもよい。例えば、IDが1と4の照明器具12が操作端末30から制御信号を受信したときには、IDが1と4の照明器具12の両方から受信完了信号が操作端末30に送信される。このとき、操作端末30が最初に受信完了信号を受信した照明器具12をマスター器具に決定し、操作端末30がそのマスター器具となる照明器具12に、マスター器具決定を通知する信号を送信してもよい。この場合には、そのマスター器具に決定された1つの照明器具12のみから同じグループの他の照明器具12に制御信号または加工信号が送信される。IDが1と4の照明器具12のうち、マスター器具とはならない照明器具12は、マスター器具から送信された制御信号または加工信号で制御されるようにする。この場合には、グループの複数の照明器具12間で送信される信号を少なくできるので、混信を生じにくくできることにより、操作端末30による複数の照明器具12の操作性を高くできる。
【0042】
なお、図5では、グループ1で他の照明器具12に制御信号または加工信号を送信する照明器具12が1つまたは2つである場合を説明したが、他の照明器具12に制御信号または加工信号を送信する照明器具12の数は3つ以上となってもよい。
【0043】
上記の照明システム10及びその制御方法によれば、複数の照明器具12の操作性を高くできる。例えば、操作端末30の送受信部32が、グループを構成する1つの照明器具12から制御信号の受信完了の信号を受信した後は、同じグループへの送信済みの制御信号と同一の制御信号の再送をしない。これにより、操作端末30から送信される制御信号の送信回数を少なくできるので、操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーが生じにくくなることにより、複数の照明器具12の操作性を高くできる。また、各グループで操作端末30から制御信号を最初に受信した照明器具12、または各グループで予め設定された特定の照明器具12が、自身が存在するグループの他の照明器具12に向けて、操作端末30から受信した制御信号、または加工信号を送信する。これにより、各グループから操作端末30へ送信される受信完了信号を少なくできるので、操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーが生じにくくなる。これによっても、複数の照明器具12の操作性を高くできる。
【0044】
図6は、比較例の照明システムにより複数のグループ1,2から操作端末30に受信完了信号が送信される状態を示す図である。図6に示す比較例の構成では、複数のグループを構成する全部の照明器具12に、操作端末30から制御信号が送信され、操作端末30の送受信部は、グループを構成する1つの照明器具12から制御信号の受信完了の信号を受信した場合でも、操作端末30が、そのグループを構成する全部の照明器具12から受信完了信号を受信していない場合には、そのグループへの送信済みの制御信号と同一の制御信号の再送を行う。これにより、図6に示すように、操作端末30には、各グループを構成する全部の照明器具12から受信完了信号が送信される。このため、操作端末30へ送信される受信完了信号が多くなるので、操作端末30から照明器具12へ信号を送信するときの通信エラーが生じやすい。これにより、比較例の構成では、複数の照明器具12の操作性が低くなるおそれがある。図1図5の実施形態によれば、このような不都合を防止できる。
【0045】
なお、上述の実施形態は本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、上記の実施形態では、複数の照明器具12が複数のグループにグループ化されている場合を説明したが、本開示はこの構成に限定しない。例えば、照明システムが照明グループとして、複数の照明器具12から構成される1つのグループのみを備える構成としてもよい。また、図2では、各照明器具12がタイマー部24を有する場合を説明したが、操作端末がタイマー部を持ち、各照明器具はタイマー部を持たない構成としてもよい。このとき、操作端末は、ユーザの操作に応じて設定情報が設定され、その設定情報の内容に応じて、点灯制御時に、操作端末が各グループに点灯制御信号を送信してもよい。このとき、その点灯制御信号を最初に受信した照明器具または特定の照明器具が、同じグループの他の照明器具に点灯制御信号を送信してもよい。また、照明器具及び操作端末のいずれもタイマー部を持たない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 照明システム、12 照明器具、16 送受信部、18 制御回路、20 光源部、22 記憶部、24 タイマー部、30 操作端末、31 操作部、32 送受信部、33 制御回路、34 記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6