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特許7365695ブロックの形態の複数の単位磁石を含む磁石構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】ブロックの形態の複数の単位磁石を含む磁石構造体
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2796 20220101AFI20231013BHJP
   H02K 1/278 20220101ALI20231013BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20231013BHJP
   H02K 41/02 20060101ALI20231013BHJP
   H01F 7/02 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H02K1/2796
H02K1/278
H02K15/03 A
H02K41/02 Z
H01F7/02 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019551653
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 FR2018000066
(87)【国際公開番号】W WO2018172636
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】1700295
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1700906
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514325376
【氏名又は名称】ホワイロット
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】ミハイラ、ヴァジル
(72)【発明者】
【氏名】マイユール、ロイック
(72)【発明者】
【氏名】ティグナ、ヒューゲット
(72)【発明者】
【氏名】ラヴォー、ロマン
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-243886(JP,A)
【文献】特開2015-202514(JP,A)
【文献】特開2010-279184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 15/03
H02K 41/02
H01F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位磁石(4)からなる3次元磁石構造体(6)であって、前記磁石構造体(6)は最小寸法を構成する厚さを有し、各前記単位磁石(4)は、前記磁石構造体(6)の厚さに沿って伸長する長さ(4a)を有する細長いブロックの形状であり、細長いブロックの形状である各前記単位磁石(4)は、円柱形または、前記磁石構造体(6)の作用面に配向される少なくとも1つの平らな長手面(4b)を有する多面体、の形状であり、長いブロックの形状である各前記単位磁石(4)は、その長さに沿って延びる磁化線を有、前記単位磁石(4)は互いに電気的に絶縁されるように互いに距離を置いて前記磁石構造体(6)内に配置され、細長いブロックの形状である各前記単位磁石(4)の前記長さ(4a)は、円柱形の細長いブロックの場合は、前記平らな長手面(4b)の直径より長く、多面体の形状の細長いブロッの場合は、前記長手面(4b)の2つの頂点を接続する対角線の内の長い方の対角線(4c)より長い、3次元磁石構造体(6)において、
記単位磁石は、それぞれのハウジング(5)の中で繊維強化樹によって接着され、
前記磁石構造体(6)が前記単位磁石(4)を被覆する非導電性複合材料を有し、前記非導電性複合材料が、前記磁石構造体(6)の外側輪郭全体を画定し、そして化繊維を含み、前記強化繊維は、ガラス繊維およびプラスチック繊維からなるグループから選択される、ことを特徴とする磁石構造体(6)。
【請求項2】
複数の位磁石(4)からなる3次元磁石構造体(6)であって、前記磁石構造体(6)は最小寸法を構成する厚さを有し、各前記単位磁石(4)は、前記磁石構造体(6)の厚さに沿って伸長する長さ(4a)を有する細長いブロッの形状であり、細長いブロックの形状である各単位磁石(4)は、円柱形でまたは、前記磁石構造体(6)の作用面に配向される少なくとも1つの平らな長手面(4b)を有する多面体、の形状であり、細長いブロックの形状である各単位磁石(4)は、その長さに沿って延びる磁化線を有し、記単位磁石(4)は互いに電気的に絶縁されるように互いに距離を置いて前記磁石構造体(6)内に配置され、細長いブロックの形状である各単位磁石(4)の前記長さ(4a)は、円柱形の細長いブロッの場合は、前記平らな長手面(4b)の直径より長く、多面体の形状の細長いブロッ形状である各単位磁石(4)の場合は、前記長手面(4b)の2つの頂点を接続する長い方の対角線(4c)より長い、3次元磁石構造体(6)において、
前記磁石構造体(6)は、それぞれの前記単位磁石(4)のための複数のハウジング(5)から構成される少なくとも1つのメッシュ構造体(5a)を有し、前記少なくとも1つのメッシュ構造体(5a)は、六角形の断面の前記ハウジング(5)を有するハニカムの形状であり、そして前記単位磁石(4)は繊維強化樹脂によってそれぞれの前記ハウジング(5)に接着されており、そして
前記磁石構造体(6)が前記単位磁石(4)を被覆する非導電性複合材料を有し、前記非導電性複合材料が、前記磁石構造体(6)の外側輪郭全体を画定し、そして化繊維を含み、前記強化繊維は、ガラス繊維およびプラスチック繊維からなるグループから選択される、ことを特徴とする磁石構造体(6)。
【請求項3】
前記磁石構造体(6)の前記作用面に対する、細長いブロックの形状である単位磁石(4)の前記長手面(4b)の表面積の比率が2%未満である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石構造体(6)。
【請求項4】
細長いブロックの形状である各単位磁石(4)は、六角形の形状の平らな長手面(4b)を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石構造体(6)。
【請求項5】
2組の一連の記単位磁石(4)の積み重ねを有し、一方の組の記単位磁石(4)のそれぞれが、前記一方の組と端と端を接して配置される他方の組の記単位磁石(4)のそれぞれと、その長さ方向において整列している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石構造体(6)。
【請求項6】
少なくとも2つの記単位磁石(4)からなる組の一連の単位磁石(4)の、1つの積み重ねを有し、前記2組は互いに積み重ねられ、前記非導電性複合材料が前記積み重ねられた2組の間に挿入される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石構造体(6)。
【請求項7】
請求項1または2に記載の単一の磁石構造体(6)または複数の磁石構造体(6)を有する線形または回転型の電磁アクチュエータであって、前記磁石構造体(6)が長方形の組立体を構成し、またはその中心の周りで回転するロータ(1、1a)の一部であって、前記磁石構造体(6)は前記ロータ(1、1a)と同心に配置される、ことを特徴とする線形または回転型の電磁アクチュエータ。
【請求項8】
前記磁石構造体(6)は、当該磁石構造体(6)が単一存在する場合、前記アクチュエータ上に延在する単一の磁石を形成し、前記磁石構造体(6)は、当該磁石構造体(6)が複数存在する場合、連続する交互の磁極を形成する連続するブロックである、ことを特徴とする請求項に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項9】
前記アクチュエータが軸方向磁束アクチュエータである場合、連続する交互の磁極を形成する連続するブロックである複数の磁石構造体(6)が存在し、前記磁石構造体(6)は、分離枝部(3、3a)を有する少なくとも1つの支持体(2、2a)の中に収容され、前記分離枝部(3、3a)は当該分離枝部(3、3a)の間に空間を画定し、前記空間はそれぞれの前記磁石構造体(6)をそれぞれ保持し、前記少なくとも1つの支持体(2、2a)は、前記ロータ(1)の一部であり、実質的に径方向に延び、または前記ロータ(1)の径方向に傾斜する前記分離枝部(3)を有する部分的に中空の円盤形状であり、前記少なくとも1つの円盤形状の支持体(2)は、少なくとも1つの面が、前記ロータ(1)を固定する軸方向保持手段としてのカバーディスク(8)により覆われる、ことを特徴とする請求項7に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項10】
前記ロータは、その縁部を形成する外側周囲リング(17)を有し、フレット(9)が前記外側周囲リング(17)の上に導入され、それにより前記磁石構造体(6)を保持することが可能になる、ことを特徴とする請求項に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項11】
請求項1に記載の磁石構造体(6)を製造する方法であって:
次元を構成する、長さ、幅および厚さを有する磁化された1つのタイルから、前記1つのタイルの3次元に沿って複数の前記単位磁石(4)を切断するステップと;
記単位磁石(4)それぞれの前記ハウジング(5)内に互いに距離を置いて配置し、そして繊維強化樹で接着することにより保持するステップと;
および
記単位磁石(4)の周囲に被覆用の複合材料層を注入し、前記複合材料層が前記磁石構造体(6)の外側輪郭全体を画定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の磁石構造体(6)を製造する方法。
【請求項12】
請求項2に記載の磁石構造体(6)を製造する方法であって:
次元を構成する、長さ、幅および厚さを有する磁化された1つのタイルから、前記1つのタイルの3次元に沿って複数の、前記単位磁石(4)を切断するステップと;
前記単位磁石(4)を互いに距離を置いて配置し、そして保持するステップであって、記単位磁石(4)を配置するステップは、記単位磁石(4)を前記メッシュ構造体(5a)に導入するステップにより実行され、前記単位磁石(4)は、前記メッシュ構造体(5a)のそれぞれのハウジング(5)に繊維強化樹によって接着される、ステップと;
および
記単位磁石(4)の周囲に被覆用の複合材料層を注入し、前記複合材料層が前記磁石構造体(6)の外側輪郭全体を画定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の磁石構造体(6)を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックの形態の複数の単位磁石を含む磁石構造体に関する。本発明はまた、1つ以上のそのような磁石構造体を含む電磁アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、本発明による1つ以上の磁石構造体の特定の特性によって得られる、ロータの高速回転で高出力を供給する電磁アクチュエータに有利には使用されるが、それに限定されない。そのような電磁アクチュエータは、例えば、完全な電気自動車またはハイブリッド自動車の電磁モータとして使用できる。
【0003】
有利には、しかしこれに限定されないが、アクチュエータは、2つのステータに挟まれた少なくとも1つのロータを備えた回転アクチュエータであり、これらの要素は、同じシャフト上の少なくとも1つのエアギャップによって分離されることにより互いに対して重ね合わせ可能である。
【0004】
高回転の用途では、最適な性能を得るために電磁アクチュエータの質量とサイズを小さくすることで可能になるコンパクトなシステムだけでなく、システムの信頼性を向上させるために、回転部品の非常に優れた機械的強度も必要である。
【0005】
高回転の用途では、最適な性能を得るために損失を減らす必要がある。自動車用途では、小型化に対する要求が増大している。このためには、アクチュエータの質量とサイズの削減により可能となるコンパクトなシステムだけでなく、システムの信頼性を向上させるために、回転部分の非常に優れた機械的強度を実現することが重要である。
【0006】
本発明の非限定的な例としての軸方向磁束電磁アクチュエータの場合、ロータは、厚さ部分で接続された2つの円形面を備える円盤形状の本体を有し、円盤は外側リングと、回転シャフト用の空洞を画定する内周と、の間で画定される。
【0007】
少なくとも2つの永久磁石が、支持面と呼ばれる、本体の2つの円形面の少なくとも1つの面に取り付けられる。ステータに関連付けられるように設計された単一のエアギャップを有するロータの場合、本体の単一の円形面のみが磁石を保持するが、それぞれのステータと2つのエアギャップがあるロータの場合、2つの面が磁石を保持する。
【0008】
磁石はそれぞれ、保持手段によって面またはそれぞれの面に保持され、同じ面上の少なくとも2つの磁石の間に間隔が残されている。
【0009】
径方向磁束電磁機械の場合、ロータは円筒形の本体を有し、その周囲全体に磁石が取り付けられている。
【0010】
ステータまたは各ステータは、巻線を担持する歯からなる巻線要素を担持し、歯はその両側がノッチで囲まれ、それにより良好な導電体である金属線が歯に巻かれて各巻線を形成する。
【0011】
単一のまたは複数の一連の巻線に電力が供給されると、モータの出力軸に固定されたロータは、磁場から生じるトルクを受ける。発生した磁束は、軸方向磁束電磁機械用の軸方向磁束と、径方向磁束機械用の径方向磁束である。
【0012】
高出力モータの場合、ロータは高速で回転する。高速回転モータの主な欠点は、ロータの1つまたは複数の磁石が脱落する可能性が高く、ロータが少なくとも部分的に破損することである。このようなモータのロータは、高速回転に対する耐久性が必要とされる。
【0013】
US-A-2011/0285237(特許文献1)は、軸方向エアギャップモータを開示している。この文書の目的は、ロータの製造工程を簡素化すると同時に、このロータに搭載された永久磁石がロータの組立、インストール、および作動中に移動または緩むのを防ぐことである。磁石は、磁石を囲む成形部品からなる一体化構造に収容される。
【0014】
成形部品には、磁石を分離する溝があり、その中に、ロータ本体のリブが導入され、それにより成形部品の軸方向の動きを防止する。成形部品の径方向の保持は、成形部品の内側および外側の同心要素によって行われる。
【0015】
この従来技術の文書は、成形部品に収容された磁石を主題としており、互いに分離されている磁石に関する教示はない。さらに、リブは、成形部品に作用することによってのみ磁石を保持するため、ロータ内の磁石を直接保持しない。
【0016】
FR-A-1475501(特許文献2)は、円形または多角形の断面の真っ直ぐな磁石の束からなる永久磁石システム用の永久磁石極を開示し、磁石はキャスト樹脂またはその他の合成材料の手段により磁極のブロックに組立てられる。
【0017】
しかし、単位磁石構造体に似た永久磁石の極は、高速回転では安定せず、永久磁石は、キャスト樹脂によってのみ個別に保持される。磁石構造体全体に対する保護はない。
【0018】
特開平10-121236号(特許文献3)は、複数の単位磁石からなる三次元磁石構造体を開示している。各単位磁石は、磁石構造体の厚さに沿って延びる長さを有する細長いブロックの形態であり、細長いブロックは円筒形であり、その長さに沿って延びる磁化線を有する。単位磁石は、互いに電気的に絶縁されるように磁石構造体内で互いに距離を置いて配置され、各ブロックの長さは、円筒形ブロックの平らな長手面の直径よりも大きい。
【0019】
この文献には、高速回転から単位磁石を保護し、単位磁石の脱落を防ぐための磁石構造体の補強手段が記載されていない。
【0020】
本発明の根底にある課題は、強力な磁場を提供しながら高い作動速度に耐えることができる電磁アクチュエータ用の磁石構造体を設計することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】US-A-2011/0285237
【文献】FR-A-1475501
【文献】特開平10-121236号
【発明の概要】
【0022】
この目的のため、本発明は,複数の単位磁石からなる3次元磁石構造体であって、その磁石構造体は最小寸法を構成する厚さを有し、各単位磁石は、磁石構造体の厚さに沿って伸長する長さを有する細長いブロックの形状であり、その細長いブロックは円柱形であるか、または磁石構造体の作業面に向けられた少なくとも1つの平らな長手面を有する多面体の形状であり、細長いブロックはその長さに沿って延びる磁化線を有し、単位磁石は互いに電気的に絶縁されるように互いに距離を置いて磁石構造体内に配置され、各ブロックの長さは、円柱形のブロックの場合は、平らな長手面の直径より長く、多面体の形状のブロックの場合は、長手面の2つの頂点を接続する長い方の対角線より長い、3次元磁石構造体(6)において、磁石構造体が単位磁石を被覆する非導電性の複合材料層を有し、複合材料層が磁石構造体の外側輪郭全体を画定する、ことを特徴とする磁石構造体、に関する。
【0023】
磁石構造体の作業面は、回転または線形電磁アクチュエータのステータのコイルの反対側にあり、磁場がそこから発散される表面である。
【0024】
最も古典的な定義によれば、多面体は、エッジと呼ばれる直線セグメントで交わる多角形の平面を持つ3次元の幾何学的形状であり、たとえば、直角または斜めのプリズム、立方体、角錐などである。本発明の文脈において、六角形の多面体などの、直線および平行なエッジによって接続された、2つの対向する平坦かつ同等の長手方向多角形面を備える、多面体を有することが好ましいが、本発明はこのデザインに限定されず、多面体のもう一方の端に頂点を有する、単一の長手面が存在しうる。
【0025】
この構成により、単位磁石を形成する多数のブロックを備えたロータを持つことが可能になる。このような複数の単位磁石を備えたロータは、高い強度を有しながら高い磁化力を有し、単位磁石を被覆するため好ましくは複合材料層を有することが分かった。そのような磁石構造体は、磁極を形成するか、1つの完全な磁石であり得る。
【0026】
本発明の目的は、従来技術の磁石全体または磁極であり得る磁石構造体を、複数の小さな磁石または微小磁石に分解することである。大きな磁石は、小さな磁石や微小磁石の同等の磁石よりも大きな渦電流損失を受ける。したがって、小さな磁石または微小磁石を使用すると、電磁アクチュエータの動作に有害なこれらの損失が減少する。
【0027】
最適な強度の磁場を得るためには、磁石の理想的な体積が、長さが直径に等しい立方体または円柱の体積に近づく必要があることが知られている。それを超えて磁石の長さを増加させても磁場が増加しないことは一般的常識である。しかしながら、本発明のアプローチは、この先入観とは反対の方向に進む。
【0028】
単位磁石の長さは、広く行われている実施形態からは提案されていないが、ロータの機械的強度の必要性に本質的に対応するため、その平らな長手面の直径または対角線に対して大幅に長い。
【0029】
本発明によれば、磁石構造体内の複数の単位磁石が、n個の単位磁石が存在する場合、n個の単位磁石の基本面積のn倍に等しい面積を持つ単一の磁石の磁気特性と実質的に同様の磁気特性を保持しながら、はるかに大きな機械的強度を有する磁石構造体を提供することが発見された。
【0030】
単位磁石および磁石構造体全体を被覆する非導電性複合材料層は、組立体を固化する。複合材料は、戻りトルクまたは追加の損失を誘導しないように、鉄よりも好ましい。
【0031】
さらに、複合材料層の機械的強度は高く、特にコーティングは、何らかの手段で互いに対して所定の位置に保持された単位磁石の配列に複合材料を注入することにより、簡単に行うことができる。したがって、高速回転で磁石が脱落するリスクはない。
【0032】
有利には、磁石構造体の作用面に対するブロックの長手面の表面積の比率は2%未満である。
【0033】
これにより、ブロックの長手面に非常に多くのブロックを配置することができ、ブロックが磁石構造体の作業面に対して占める場所は非常に小さくなる。
【0034】
有利なことに、ブロックは、六角形の形状の平らな長手面を有する。
【0035】
有利には、複合材料層が、ガラス繊維またはプラスチック繊維などの強化繊維を含む。
【0036】
強化繊維は、磁石構造体の強度、特に曲げ剛性と座屈剛性の向上に貢献する。
【0037】
有利には磁石構造体は、それぞれの単位磁石のための複数のハウジングから構成される少なくとも1つのメッシュ構造体を有する。
【0038】
メッシュ構造体は、複合材料層に被覆されて所定の位置にとどまる。そのようなメッシュ構造体は、磁石構造体の製造中に単位磁石を保持することを可能にし、磁石構造体の追加の固化要素を表すという利点を有し、メッシュ構造体は強化繊維を含んでもよい。
【0039】
有利には、少なくとも1つのメッシュ構造体は、六角形断面のハウジングを有するハニカムの形態である。
【0040】
ハニカムメッシュは、要素(この場合は磁石構造体)の強度を高めることが知られている。単位磁石は六角形のハウジングに挿入され、保持が確実に行われる。ハウジングの壁は電気絶縁体として機能し、そして磁石構造体内のハウジングの密度は大幅に高められうる。ハニカムメッシュは、繊維強化された絶縁複合材料でできていてもよい。
【0041】
有利には、各単位磁石は、繊維強化樹脂によってそれぞれのハウジングに接着されている。
【0042】
したがって、本発明の好ましい実施形態の文脈において、複合材料被覆層、単位磁石を囲むメッシュ構造体、およびメッシュ構造体内の磁石結合手段はすべて、繊維によって強化されていてもよい。このようにして得られた磁石構造体は、非常に高い破壊強度の機械的特性を有する。
【0043】
有利には、磁石構造体は、2組の一連の単位磁石の1つの積み重ねを有し、一方の一連の単位磁石の内のそれぞれの単位磁石が、端と端を接して配置される他方の一連の単位磁石の内のそれぞれの単位磁石とその長さ方向に整列している。
【0044】
磁気親和力によって端と端が接合された、異なる一連の単位磁石からの2つの単位磁石の各ペアは、より長い単位磁石のように動作する。
【0045】
有利には、2組の、少なくとも2つの一連の単位磁石の、1つの積み重ねを有し、その2組は互いに積み重ねられ、複合材料の層がその積み重ねられた2組の間に挿入される。
【0046】
これにより、磁石構造体の両側に作業面を持つ磁石構造体を持つことができ、それによりこの磁石構造体は、電磁アクチュエータにおいて、2つのステータが側面にある1つのロータに使用できる。
【0047】
有利には、単層または多層の材料が、ハウジングと単位磁石との間の空間に導入される。
【0048】
この材料は、ニッケル、銅などの単位磁石を被覆するためのプラスチック、複合材料、または金属材料である。材料は、例えば被覆材料であることにより、メッシュへの導入の前に単位磁石上に堆積されていてもよく、または単位磁石とそれを受容するメッシュ要素間で固定を形成する工程を有してもよい。
【0049】
本発明はまた、磁石構造体が長方形の組立体を構成し、またはその中心の周りで回転するロータの一部であって、磁石構造体はロータと同心に配置される、1つの磁石構造体または複数の磁石構造体を有する線形または回転電磁アクチュエータに関する。
【0050】
前述のように、磁石構造体は磁極または磁石全体を形成することができる。磁極の場合、これらは分離枝部によって互いに間隔を空けて保持される。回転電磁アクチュエータのロータまたは線形アクチュエータの並進支持体は、繊維強化複合材料から作成されてもよい。磁極の場合、分離枝部は2つの隣接する極を分離できる。
【0051】
有利には、単一の場合、磁石構造体は、アクチュエータ上に延在する単一の磁石を形成し、または複数の場合、磁石構造体は、連続する交互の磁極を形成する連続するブロックである。
【0052】
有利には、アクチュエータが軸方向磁束アクチュエータである場合、連続する交互の磁極を形成する連続するブロックである複数の磁石構造体が存在し、その磁石構造体は、それぞれの磁石構造体をそれぞれ収容するハウジングを画定する分離枝部を有する、少なくとも1つの支持体の中に収容され、その少なくとも1つの支持体は、ロータの一部であり、実質的に径方向に延び、またはロータの径方向に傾斜する分離枝部を有する部分的に中空の円盤形状であり、少なくとも1つの円盤形状の支持体は、少なくとも1つの面が、ロータを固定する軸方向保持手段としてのカバーディスクにより覆われる。
【0053】
有利にはロータは、その縁部を形成する外側周囲リングを有し、フレットが外側周囲リングの上に導入され、それにより磁石構造体を保持することが可能になる。
【0054】
本発明はまた磁石構造体を製造する方法であって:
-3次元を構成する、長さ、幅および厚さを有する磁化された1つのタイルから、1つのタイルの3次元に沿って複数の単位磁石を切断するステップと;
-単位磁石を互いに距離を置いて配置し、そして保持するステップと;
および
-単位磁石の周囲に被覆用の複合材料層を注入し複合材料層が磁石構造体の外側輪郭全体を画定するステップと;
を有する方法に関する。
【0055】
三次元、特にタイルの幅と長さを切断することにより、単位磁石は、磁気タイルの同等の部分の特性と比較して磁気特性が改善されることがわかった。
【0056】
単位磁石の配置は、磁石をメッシュ構造体に入れることで実施することができる。この場合、メッシュ構造体は複合材料層に被覆されることで磁石構造体の一部になる。あるいは、配置は、最終の被覆された磁石構造体に属さない、磁石構造体の輪郭の外側で実施されてもよい。
【0057】
有利には、単位磁石を配置するステップは、単位磁石をメッシュ構造体に導入するステップと、メッシュ構造体の周りに複合材料層を注入するステップとにより実行される。
【0058】
これは、本発明による方法の好ましい実施形態であり、メッシュ構造体は複合材料層による被覆後に磁石構造体内に残り、メッシュ構造体は有利にはハニカムである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明を読み、非限定的な例として与えられた添付の図面を参照することにより明らかになるであろう:
図1a-1c】図1aは、本発明の第1の実施形態による軸方向磁束電磁アクチュエータ用のロータの1つの面の概略図である。図1bは、図1aのAで参照される円で囲まれた部分の拡大概略図である。図1cは、メッシュおよび単位磁石から構成される磁石構造体の拡大概略図である。
図2a】本発明の第1の実施形態による軸方向磁束電磁アクチュエータ用のロータの分解概略図である。
図2b】本発明の第2の実施形態による軸方向磁束電磁アクチュエータ用のロータの分解概略図である。
図3】本発明の一実施形態による径方向磁束電磁アクチュエータの分解概略図である。
図4】本発明による磁石構造体において単位磁石として作用するブロックの斜視概略図である。
図5a-5b】単位磁石を形成する磁石構造体のそれぞれ上面図および一部拡大図である。
図6a】本発明による磁石構造体において単位磁石を形成するブロックを囲むメッシュ構造体として機能できるハニカムの斜視概略図である。
図6b】本発明による磁石構造体において単位磁石を形成するブロックを囲むメッシュ構造体として機能できるハニカムの側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図面は例として与えられており、本発明を限定するものではない。それらは、本発明の理解を容易にすることを意図した原理の概略図を構成し、必ずしも実際の応用の規模ではない。特に、異なる部分の寸法は、現実を代表するものではない。
【0061】
すべての図、特に図4、5a、5b、6a、および6bを参照し、さらにこれらの図面で欠落している参照番号のために他の図も参照して、本発明は3次元磁石構造体6に関する。磁石構造体6は、幅、長さおよび厚さを有するブロックの形態であり得、厚さは、磁石構造体6の最小寸法を形成する。
【0062】
本発明によれば、各単位磁石4は、特に図4で見ることができる細長いパッド4の形態であってもよく、図6aおよび6bに見ることができるように、その磁石構造体6の厚さに沿って延在する長さ4aを有する。細長いパッド4は、円筒形または多面体の形態であり、少なくとも1つの平らな長手方向面4bが、回転または線形電磁アクチュエータの巻線に面する表面である、磁石構造体6の作業面に向けられる。
【0063】
細長いブロック4は、ほぼその長さに沿って延びる磁化線を有し、単位磁石4は磁石構造体6内に互いに離間して配置され、互いに電気的に絶縁される。
【0064】
ブロック4の長さ4aは、図示されていないが、円筒形ブロックに対しては平らな長手面4bの直径より長く、多角形のブロックに対しては長手面4bの2つの頂点を接続する長い対角線4cより長い。六角形などの規則的な長手面4bの場合、すべての対角線4cは同等である。
【0065】
さらに、ブロック4の長手面4bの表面積の、磁石構造体6の全作動表面積に対する比率は、2%未満であり得、これは、単位磁石4が磁石構造体6の全作動表面の内ほんの僅かしか占有しないことを示す。これにより、ブロック4の長手面4b上に非常に多数のブロック4を設けることが可能になる。
【0066】
図4に示すように、単位磁石4を形成する各ブロック4は、六角形形状の平らな長手面4bを有する。これにより、例えば、ハニカムメッシュ構造体5aの空洞の中に各ブロック4を挿入することが可能になる。
【0067】
磁石構造体6は、単位磁石4を包む非導電性複合材料の層を含む。磁石構造体6のすべての輪郭は、この複合材料層によって画定されうる。
【0068】
複合材料は、戻りトルクまたは追加の損失を誘導しないように、好適には鉄を含まない。
【0069】
複合材料層は、ガラス繊維またはプラスチック繊維などの強化繊維、例えばケブラーまたはポリアミドなどの強化繊維、または組立体の機械的強度を高める任意のプラスチック材料を含んでもよい。
【0070】
非常に有利な好適な実施形態では、磁石構造体6は、それぞれの単位磁石4用の複数のハウジング5またはセルを有する少なくとも1つのメッシュ構造体5aを備える。
【0071】
メッシュ構造体5aは、存在する場合、複合材料層に被覆されることにより、所定の位置にとどまることができる。メッシュ構造体5aは、強化繊維を含んでもよい。
【0072】
有利には、上記少なくとも1つのメッシュ構造体5aは、六角形断面のハウジング5を有するハニカムの形態であり、磁石構造体6の機械的強度を強化する。これは、図6aおよび6bに見ることができる。
【0073】
磁石構造体6から単離されたメッシュ構造体5aが図6aおよび6bに示される。ハウジング5またはセルは、関連するブロック4をその長さ全体に亘って取り囲んでいない。
【0074】
各単位磁石4は、繊維強化樹脂によってそれぞれのハウジング5に接着されている。例えば、限定するものではないが、単位磁石4は、ネオジム鉄ホウ素磁石またはサマリウムコバルト磁石または他の任意のタイプの磁石であってよい。ネオジム磁石は衝撃やねじれに敏感であり、簡単に発火する。分割して寸法を小さくすることにより、本発明は、これらのすべてのリスク、特に磁石の破損のリスクを回避することを可能にする。
【0075】
したがって、本発明の好ましい実施形態の文脈では、複合材料被覆層、単位磁石4を囲むメッシュ構造体5a、およびメッシュ構造体5a内の磁石接着結合手段、の3つはすべて繊維強化されていてもよい。このようにして得られた磁石構造体6は、非常に高い破壊強度の機械的特性を有する。
【0076】
図示されていない第1の好ましい実施形態では、磁石構造体6は、2つの一連の単位磁石4の1つの積み重ねを有することができ、一方の一連の単位磁石のそれぞれの単位磁石4は、他方の一連の単位磁石のそれぞれの単位磁石4と、その長さ方向に整列され、端と端を接して配置される。磁気親和力によって端と端が接合された、異なる一連の単位磁石からの2つの単位磁石4のペアのそれぞれは、より長い単位磁石として動作する。
【0077】
図示されない第2の好ましい実施形態では、磁石構造体6は、少なくとも2個の単位磁石4からなる2つの一連の単位磁石の1つの積み重ねを有することができ、2つの一連の単位磁石は互いに積み重ねられ、複合材料層が2つの積み重ねられた一連の単位磁石の間に挿入される。したがって、2つの積み重ねられた一連の単位磁石は、互いに電気的に絶縁されている。
【0078】
これにより、磁石構造体6の2つの反対側の面の上に作用面を有する磁石構造体6を有することが可能になり、それによりこの磁石構造体6は、例えば、回転電磁アクチュエータにおいて、2つのステータに囲まれる1つのロータ1,1a用に使用することが出来る。例えば、図2bでは、それぞれの磁石構造体6の2組の一連の単位磁石4は、この図ではそのうちの1つだけが参照番号6で示されているが、2組の一連の単位磁石が同じ複合材料層で被覆され、一方の一連の単位磁石は他方の一連の単位磁石と電気的に絶縁されている、磁石構造体6を形成することが出来る。
【0079】
図1aおよび図2aには回転電磁アクチュエータのみが示されているが、本発明はまた、線形または回転電磁アクチュエータに関する。このアクチュエータは、径方向磁束、軸方向磁束、または両方の組み合わせを有することができる。
【0080】
線形または回転電磁アクチュエータは、このような単一の磁石構造体6または複数の磁石構造体6を備え、この場合、分離枝部3によって互いに分離することができる。
【0081】
磁石構造体6は、線形アクチュエータ用の長方形の組立体を形成することができ、磁石構造体6は次々に整列して配置される。磁石構造体6は、回転アクチュエータ用にその中心の周りを回転するロータ1,1aの一部であり得、磁石構造体6は、ロータ1、1aと同心に配置される。
【0082】
回転電磁アクチュエータ用のロータ1、1aまたは線形アクチュエータ用の並進支持体も、繊維強化複合材料で作ることができる。
【0083】
有利には、単一の磁石構造体が存在する場合、その磁石構造体6は、アクチュエータ上に延在する単位磁石を形成することが出来る。これを図5aに示す。複数の磁石構造体が存在する場合、それら磁石構造体6は連続した交互の磁極を形成する連続したブロックである。これは、特に図2aに示される。
【0084】
本発明は、上述の磁石構造体6を製造する方法にも関する。この方法は、磁化されたタイルの3次元を構成する、長さ、幅および厚さを有する磁化タイルを切断し、複数の単位磁石4を磁化タイルの3次元に沿って得る、第1のステップを含む。次のステップは、単位磁石4を互いに距離を置いて配置して保持し、それらを電気的に絶縁するステップである。
【0085】
最後のステップは、単位磁石4の周りに複合材料層を注入して被覆するステップである。位置決めは、単位磁石をメッシュ構造体5aに収容することにより行うことができ、この場合、メッシュ構造体5aは、複合材料層に被覆されている磁石構造体6の一部である。あるいは、位置決めは、最終の被覆された磁石構造体6に属さない、磁石構造体6の輪郭の外側で実施することができる。
【0086】
有利には、位置決めは、単位磁石4をメッシュ構造体5aに導入し、そしてメッシュ構造体5aの周りに複合材料層を注入することにより達成される。
【0087】
図1a-1c、2a、2bおよび3を参照すると、複数の単位磁石4を収容する少なくとも1つの支持体2、2aを有する、電磁モータまたは発電機のロータ1、1aが示されている。例えば、ロータが軸方向磁束であるか径方向磁束であるかに応じて、ロータの各側またはロータ内部の支持体2、2aとすることができる。
【0088】
この少なくとも1つの支持体2、2aは、分離枝部3、3aを有し、分離枝部はそれらの間に空洞を画定し、それぞれの空洞はメッシュ構造体5aから構成され得るそれぞれの磁石構造体6を保持し、メッシュ構造体5aはハウジングまたはセル5および単位磁石4を有し、それぞれの単位磁石4はそれぞれのハウジングまたはセル5に挿入され、磁石構造体6は磁極または磁石全体を形成する。図1cは、このタイプの磁石構造体6の図1aの拡大図である。
【0089】
本発明の目的は、大きなサイズの1つ以上の磁石を複数の小さな単位磁石4で置き換えることである。そのため、磁束は多数の小さな単位磁石4により生成され、その数は磁石構造体6ごとに少なくとも20、100以上、さらにずっと大きな数とすることができる。従来技術のロータは、1~5個の磁石を含むことができ、一方本発明は、多くの小さな単位磁石4を提供する。本発明による小さな単位磁石4は、ロボットによってそれぞれのハウジングまたはセル5に挿入することができる。中型のロータの場合、本発明の文脈における小さな単位磁石4は、4mmの寸法を有し得る。
【0090】
本発明の第1の好ましい実施形態では、ロータは径方向磁束であり、したがって、径方向磁束モータまたは発電機用である。この実施形態では、上記の少なくとも1つの支持体2aは、分離枝部3aを有する円筒形状である。
【0091】
2つのステータと1つのロータ1aを備える径方向磁束電磁アクチュエータの図3に示す実施形態では、径方向磁束円筒形状ロータ1は、分離枝部3aを有する円筒状支持体2aを有し、分離枝部3aは、円筒状支持体2aに亘って軸方向に延在することができる。分離枝部3aは、メッシュ構造体5aおよび単位磁石4からなる磁石構造体6を軸方向に画定する。円筒状支持体2aは、分離枝部3aの間で中空にされ、メッシュ構造体5aおよび単位磁石4からなる磁石構造体6を保持する。
【0092】
フレット9aは、円筒形支持体2aの近くのロータ1aの端部を覆う。円筒形支持体2aの内側には内側カバー円筒10が挿入され、円筒形支持体2aの外周の円筒形支持体2aの外側には外側カバー円筒15が延在する。
【0093】
第1のステータは、ロータ1aの内側に配置され、コイル11を担持する内側磁気回路12を有する。内側カバー円筒10は、内側磁気回路12を覆う。
【0094】
第2のステータは、ロータ1aの外側にそれを囲んで配置され、その内側にコイル13を組み込む外側磁気回路14を有する。外側カバー円筒15は、コイル13と外側磁気回路14の間に配置される。ケーシング16は、ロータ1a全体と2つのステータを覆っている。
【0095】
図3に示されていない別の実施形態では、分離枝部は、円筒形支持体の軸方向に間隔を空けたリングの形態であり得る。連続する分離枝部は、上記少なくとも1つの支持体の周辺で径方向に突出してもよい。上記少なくとも1つの円筒形支持体が中空であって、メッシュ構造体と単位磁石からなる磁石構造体を収容するためのハウジングを2つの連続する分離枝部の間に設けることができる。
【0096】
円筒形支持体に使用される、メッシュ構造体5aと単位磁石4から構成される磁石構造体6は、それぞれ、互いに離れて配置された閉じたリングまたはタイルの形態であってもよい。そうでなければ、この、他の実施形態による径方向磁束アクチュエータにおける、ステータと選択肢としてのカバー円筒またはフレットの配置は、図3に示すものと同様であり得る。この、他の実施形態は好ましくはない。
【0097】
本発明の第2の好ましい実施形態では、ロータは軸方向磁束であり、したがって軸方向磁束モータまたは発電機用である。この実施形態では、少なくとも1つの支持体2、2aは円盤状であり、部分的に中空であり、分離枝部3、3aは、ロータ1の回転シャフト用の通路を内部に画定する内周18と、支持体2の外側リングを形成する支持体2の外側リング17と、の間で実質的に径方向に延在するかまたは径方向に傾斜する。これは、図1a、1b、2aおよび2bに示されている。
【0098】
分離枝部3、3aは、プロペラブレードのようにロータの回転軸に対して傾斜していてもよく、支持中心から遠ざかるにつれて広がる幅を有してもよい。
【0099】
外周は支持体2の内側に向かって径方向に湾曲した縁を有し、セル状のメッシュ構造体5aと単位磁石4とからなる磁石構造体6の端部に対し、外周17に導入された軸方向ストップを形成する。
【0100】
この第2の実施形態では、少なくとも1つの円盤状支持体2aは、ロータを軸方向に保持し、一体化する手段としてのカバーディスク8によって少なくとも1つの面が覆われうる。これは、それぞれのカバーディスク8によって2つの反対側の面において遂行されうる。
【0101】
この第2の実施形態では、ロータ1、1aは、その縁部を形成する周辺外側リングを有し、フレット9は、遠心力に抗して単位磁石4を保持するために周辺外側リング17上に導入される。
【0102】
この第2の実施形態では、メッシュ構造体5aおよび単位磁石4から構成される各磁石構造体6は、円盤状支持体2aの各面を貫通するかまたは貫通しないハウジングまたはセル5を備えてもよい。したがって、それぞれのハウジングまたはセル5に収容された各単位磁石4は、円盤状支持体2aの両面から突出することができる。
【0103】
図2aには、2つの隣接する磁石構造体6の分離枝部3が示されている。
【0104】
図2bに見られるように、メッシュ構造体5aおよび実質的にリングを形成する単位磁石4から構成される少なくとも2つの磁石構造体6は、円盤状支持体2の中央の壁19によって分離され得る。磁石構造体6は、一体化円盤であっても、分離枝部3aによって分離されていてもよい。
【0105】
以下は、本発明の2つの好ましい実施形態に有効であり得る。
【0106】
メッシュ構造体5aおよび単位磁石4からそれぞれ構成される磁石構造体6は、鉄材料、合成材料または複合材料に基づく締結手段によって上記少なくとも1つの支持体2、2aに固定されてもよい。
【0107】
固定手段は、ロータの一体部品であっても、および/またはロータの一体インサートであってもよい。インサートは、ロータ1、1aに溶接、ネジ止め、リベット留め、またはスナップ留めすることができる。各単位磁石4とそれを収容するハウジングまたはセル5との間に固定手段を設けることが可能であり、これは、隣接するハウジングまたはセル5に対して境界を定める隔壁19のハウジングまたはセル5の内面にある。
【0108】
セルのメッシュ構造体5aと単位磁石4から構成される各磁石構造体6では、ハウジングまたはセル5は隔壁19によって画定され、各単位磁石4は、それぞれのハウジングまたはセル5に樹脂、接着剤または溶接により永久に収容される。
【0109】
単位磁石4およびそれらのそれぞれのハウジングまたはセル5は、それらの極が平行または発散方向に向けられた可変形状であり得る。例えば、ハウジングまたはセル5の寸法は、ハウジングまたはセル5ごとに異なっていてもよい。ハウジングまたはセル5は必ずしも六角形である必要はないが、六角形が好ましい。
【0110】
電磁モータまたは発電機は、少なくとも1つの巻線を備える1つのステータを備え、少なくとも1つのロータと、1つまたは複数のステータの内、巻線を備える少なくとも1つのステータとの間に1つまたは複数の空隙を含む。
【0111】
各ステータは、巻線に関連する磁気回路を備えてもよい。ステータには、開いた又は閉じた歯またはノッチがある。ケーシングは、電磁モータまたは発電機を保護する。ステータは直列または並列に接続できる。1つのステータと他のステータとの間のある角度のオフセットは、ノッチの形状および単位磁石4の形状と組み合わされて、トルク変動および戻りトルクを低減する。
【0112】
アクチュエータは電磁モータでも、発電機でも、速度マルチプライヤの有無にかかわらず、非常に高速で動作できる。モータまたは発電機は、直列または並列に接続された少なくとも2つのステータ、または少なくとも2つのロータを備えてもよい。
【0113】
ロータは、2つのステータを通ってロータ1、1aの円形面に垂直に延びる回転軸を備えてもよい。ロータ1、1aは、少なくとも2つの軸受によって担持されてもよく、軸受は、ステータに対する回転を可能にするためにそれぞれのステータに関連付けられている。
図1a-1c】
図2a
図2b
図3
図4
図5a-5b】
図6a
図6b