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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】防水具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20231013BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20231013BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20231013BHJP
   E06B 7/23 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
A01G9/02 103T
E04H9/14 Z
E06B7/23 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020019075
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021123970
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆男
(72)【発明者】
【氏名】川口 隆尚
(72)【発明者】
【氏名】上甲 信
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-205121(JP,A)
【文献】特開2018-3278(JP,A)
【文献】特開2019-2172(JP,A)
【文献】特開2006-214178(JP,A)
【文献】特開2017-71963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00-9/08
E02B 3/04-3/14
E04H 9/00-9/16
E06B 3/04-3/46
E06B 3/50-3/52
E06B 5/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアヒンジにより開閉可能に軸支されるドアを備えた出入口に取り外し可能に設置され、跨ぐことができるほどの背丈の低い水密構造の防水具であって、
土砂が入れられる植物栽培用のプランター或いは防水板を備え、
前記プランター或いは前記防水板は、その左端部から後方に突出する左側突出部と、右端部から後方に突出する右側突出部とを備え、かつ、ドア開閉時にドアと干渉しないように、ドア両側の柱或いはドア枠前面を結ぶ垂直面とは一定の間隔を存して組付けられ
前記左側突出部及び前記右側突出部の後端は、前記ドア両側の柱或いは前記ドア枠に着脱可能な左側止着具及び右側止着具により、前記ドア両側の柱或いは前記ドア枠前面に対してシール材を介して取り外し可能に止着され、
前記フロアヒンジ及び前記ドアは、前記左側突出部の右側かつ前記右側突出部の左側に位置しており、
前記左側止着具は、前記左側突出部の左側に位置しており、
前記右側止着具は、前記右側突出部の右側に位置していることを特徴とする防水具。
【請求項2】
前記プランターは、複数備えられ、
前記複数のプランターは、左右方向に一列に連結され、
前記左側突出部は、前記複数のプランターにおける左端に位置する左側プランターの左側壁が前記左側プランターの後側壁よりも後方に延長して設けられた左側突出壁部を備え、
前記右側突出部は、前記複数のプランターにおける右端に位置する右側プランターの右側壁が前記右側プランターの後側壁よりも後方に延長して設けられた右側突出壁部を備え、
前記左側止着具は、前記左側突出壁部の左側に位置しており、
前記右側止着具は、前記右側突出壁部の右側に位置していることを特徴とする請求項1記載の防水具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の出入口に該出入口からの浸水を防止するために設置される防水具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集中豪雨などの増水により建物の出入口から浸水する被害が増えている。浸水防止対策としては従来、建物の出入口に土嚢を積み上げることが一般的に行われているが、出入口に防水板を設置することも行われている。
【0003】
防水板には、出入口に起伏可能又は昇降可能に設置され、浸水を検知すると、自動的に立ち上がるタイプのもの、防水板を出入口に手作業で組付けるタイプのものが知られる(特許文献1~4)。
【0004】
このほか、通常は出入口両側の出入りに邪魔とならない位置に設置される花木栽培用或いは菜園用のプランターよりなり、増水により出入口からの浸水が予想されるときに、前記出入口両側のプランターを出入口に移し、防水具として使用するものも知られる(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-278458号
【文献】特開2005-2644号
【文献】特開2012-87465号
【文献】特開2017-2637号
【文献】特開2019-2172号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の浸水防止対策のうち、土嚢は、土嚢用袋に土を入れ、袋の口を閉じて紐で括ることにより作成され、作成後はリヤカー等の運搬具やトラック等により運搬されて建物の出入り口に積まれるが、土のうを作成して出入口に設置するまでに手間がかかり、集中豪雨等により雨水が急激に増大したときには間に合わず、土嚢設置までに浸水被害がもたらされることになる。
【0007】
出入口に防水板を予め設置しておき、雨水を検知すると自動的に立ち上がるようにしておけば、雨水が急激に増大する緊急時にも対応することができ、浸水も防止できるが、設備費が嵩み、定期的な点検も必要である。
【0008】
特許文献1及び2に開示されるタイプの防水具は、設備費が安価であるが、設置した状態では水嵩が少ない時でも出入口からの出入りができない。この点は前記防水板を設置した場合も同様で変わりがなく、出入りできるようにするには、防水具(防水板)を取り外す必要があり、取り外した防水具(防水板)は収納ボックス等に保管しておかねばならない。また出入口への設置は防水具(防水板)を組み付けることにより行われるが、保管場所より取出して出入口に組付けるまでに手間が掛かり、緊急時の対応が遅れるほか、保管場所が目に付き易い所であると、外観を損なうことにもなる。
【0009】
特許文献5に開示されるプランターよりなる防水具は、出入口に設置したり取り外したりするのが簡易に短時間で行え、しかも高さが低いため出入口に設置した状態でも、跨いでドアを押し開きすることにより出入りすることが可能で、水嵩が少ない場合、浸水を防止した状態で出入口からの出入りが可能である。このことからこうした丈の低い防水具では、防水具を取付けたままでドアを押し開きして防水具を跨ぐことにより出入口から出入りすること自体は容易に考えうるものであるとしても、図1に示すように、出入口両側の柱1或いはドア枠近くの床に埋め込んで設置されるフロアヒンジにより軸支されて開閉するタイプのドアにおいては、前述するいずれのタイプの防水具においても、出入口にそのまま取付けることはできない。フロアヒンジにより軸支されて開閉するタイプのドアでは、図1に示すように、ドア2を開くとき、図2の一点鎖線で示すように、ドア2のコーナ部cが左右の柱1の前面を結ぶ垂直面より手前側に突出するため、防水具(防水板)を垂直面に接するように組み付けた状態でドアを開くと、ドアのコーナ部cが防水具(防水板)に干渉し、ドアを開けることができなくなるためである。
【0010】
本発明は、図1に示すようなフロアヒンジにより軸支されるドアに組み付けることができ、水嵩が少ない状態では、浸水を防止したままでドアを支障なく開閉して出入口からの出入りを可能にした防水具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、フロアヒンジにより開閉可能に軸支されるドアを備えた出入口に取り外し可能に設置され、跨ぐことができるほどの背丈の低い水密構造の防水具であって、土砂が入れられる植物栽培用のプランター或いは防水板を備え、前記プランター或いは前記防水板は、その左端部から後方に突出する左側突出部と、右端部から後方に突出する右側突出部とを備え、かつ、ドア開閉時にドアと干渉しないように、ドア両側の柱或いはドア枠前面を結ぶ垂直面とは一定の間隔を存して組付けられ、前記左側突出部及び前記右側突出部の後端は、前記ドア両側の柱或いは前記ドア枠に着脱可能な左側止着具及び右側止着具により、前記ドア両側の柱或いは前記ドア枠前面に対してシール材を介して取り外し可能に止着され、前記フロアヒンジ及び前記ドアは、前記左側突出部の右側かつ前記右側突出部の左側に位置しており、前記左側止着具は、前記左側突出部の左側に位置しており、前記右側止着具は、前記右側突出部の右側に位置していることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記プランターは、複数備えられ、前記複数のプランターは、左右方向に一列に連結され、前記左側突出部は、前記複数のプランターにおける左端に位置する左側プランターの左側壁が前記左側プランターの後側壁よりも後方に延長して設けられた左側突出壁部を備え、前記右側突出部は、前記複数のプランターにおける右端に位置する右側プランターの右側壁が前記右側プランターの後側壁よりも後方に延長して設けられた右側突出壁部を備え、前記左側止着具は、前記左側突出壁部の左側に位置しており、前記右側止着具は、前記右側突出壁部の右側に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によると、水嵩が防水具以下で少ない場合、防水具上からドアを押し開きしたのち、水密状態を維持し、防水具により濁水の侵入を防止した状態で防水具を跨いで出入口から出入りすることができ、またフロアヒンジにより軸支されたドアであっても、防水具はドア両側の柱或いはドア枠前面を結ぶ垂直面と一定の間隔を存して組付けられるため、ドア開閉時にドアと干渉することなくドアを開閉することができる。
【0014】
防水具としてプランターを使用する場合、プランターが出入口の巾以上の長さを有していれば単独でも使用することができるが、既存のプランターは通常、出入口の巾より相当狭く、出入口の全域に沿って設置するには、複数並設してプランター間を水密具を介して連結手段で連結する必要がある。防水板を使用する場合、通常は1枚の板が使用されるが、プランターと同様、連結して使用することもできる。
【0015】
請求項に係る発明によると、防水具使用時には、出入口に設置して止着具により取付けて柱或いはドア枠に簡易に固定し、シール材による柱或いはドア枠とのシールを確実に行うことができ、不要時には止着具を外すことにより前記固定を解除して容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】観音開きのドアの断面図。
図2図1に示すa部の拡大断面図。
図3】出入口に取付けた観音開きのドアと本実施形態の防水具の正面図。
図4】同断面図。
図5図4のb部の拡大断面図。
図6】出入口に取付けた別の実施形態の防水具の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態の防水具について図面により説明する。図中、同一構造部分には同一符号を付してある。
図3及び図4は、土砂が入れられ、野菜や花木等の植物が栽培される長方形の箱状をなすプランターよりなる防水具5を複数、図3及び図4においては3個、連結具6により1列に連結し、防水具5間にシール材7、例えばゴムパッキンを介在させている。このシール材7は図示するように防水具間のみならず、防水具5の床側の下面及び出入口両側の柱1に接続される側面にも取付けられ、出入口に取付けられた状態で防水具5の周りがシールされ、出入口よりの濁水の侵入を防止できるようにしている。
【0018】
前記各防水具5は常時は持ち運びが容易となるように単独で使用され、使用時に連結されるが、常時は3個連結したままで使用されて取り外しできないか、容易に取り外しできないようになっていてもよい。3個連結したままの長寸に形成すれば重量は嵩むが、1個で済ますこともできる。
【0019】
防水具5の製作は硬質樹脂、例えばポリエチレンで一体成形して行われるか、或いはポリエチレン製の部品を組み付けることにより行われるが、樹脂以外の防錆又は防錆処理した金属製、例えば亜鉛メッキした鋼製或いはステンレス製で製作してもよい。また連結具6は手動操作によって連結或いはその解除が行われる既知のもの、例えばパチン錠で構成されていてもよく、特定の構造に限定されるものではない。
【0020】
図3において、3個一列に連結される防水具5のうち、左側の防水具5は左側壁より内側方に延長して突出する突出壁部8を有する一方、右側の防水具5は右側壁より内側方に延長して突出する突出壁部8を有し、各突出壁部8は、観音開き状に開閉するドア3両側の柱1或いはドア枠両側の柱部に前記ゴムパッキン7を介して宛がわれ、宛がわれた状態で前記垂直面vと一定の間隔を存し、宛がわれたのち、止着具としての止め金具9によって柱1に係脱可能に止着されるようにしている。中間部の防水具5は、前記突出壁部8を有しない以外は左右の防水具と同一構造をなしている。
【0021】
前記ドア3はフロアヒンジ2により柱近くの床11に軸支され、フロアヒンジ2を支点として、その周りを旋回して開閉できるようにしてある。図示するドア3は、両開きになっているが、片開きのドアであってもよい。
【0022】
図5図3のb部の拡大断面図で、開閉可能なドア3と防水具5との位置関係の詳細を示している。同図に示されるように、防水具5は前述するように両端の突出壁部8により前記ドア両側の柱1の前面を結ぶ垂直面vとは手前側に一定の間隔を存して組付けられ、図5に示すようにスペース上、ドアコーナ部は余裕をもって回動できるようになっているため、ドア3を開閉するとき、ドア3が防水具5と干渉することはない。
【0023】
図6は、防水具13を1枚の硬質樹脂製、例えばポリエチレン製のプレート或いは金属製のプレート、好ましくは鋼板より構成してなるもので、前記防水具5と同様、複数の樹脂製プレート、例えばポリエチレン製のプレート或いは金属製のプレート、例えば鋼板を一列に連結して組付けられるものであってもよい。
【0024】
プレート状の防水具13は、両端に前記突出壁部5と同様の突出壁部14を備え、前記防水具5と同様、出入口両側の柱1又はドア枠の柱部にシール材を介して取付けられる。
本実施形態の防水具13おいても、プレート条の防水具13は両端の突出壁部14により前記ドア両側の柱1の前面を結ぶ垂直面vとは手前側に一定の間隔を存して組付けられるため、前記実施形態の防水具5と同様、ドア3を開閉するときには、ドア3が防水具13と干渉することはない。
【符号の説明】
【0025】
1・・柱
2・・フロアヒンジ
3・・ドア
5、13・・防水具
6・・連結具
7・・シール材(ゴムパッキン)
8、14・・突出壁部
9・・止め金具
11・・床
図1
図2
図3
図4
図5
図6