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特許7365705魚群探知機用送受信器ユニット及びその振動子駆動回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】魚群探知機用送受信器ユニット及びその振動子駆動回路
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/524 20060101AFI20231013BHJP
   G01S 7/526 20060101ALI20231013BHJP
   G01S 15/96 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G01S7/524 Z
G01S7/526 Z
G01S15/96
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020537246
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009856
(87)【国際公開番号】W WO2021176727
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 重雄
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114954(JP,A)
【文献】特開2019-029739(JP,A)
【文献】特開平07-260925(JP,A)
【文献】特開平07-167947(JP,A)
【文献】特開昭59-049098(JP,A)
【文献】米国特許第06050945(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0079173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52- 7/64,
G01S 15/00-15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、
一次巻線及び二次巻線を有し、前記二次巻線の両端と前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する複巻変圧器としての変圧器と、
前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、
前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路と
を備え、
前記変圧器の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、
前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する第1及び第2の直列共振回路部を含んで構成され、
前記第1の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線の一端に対して接続され、
前記第1の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続され、
前記第2の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線の他端に対して接続され、
前記第2の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続されている
ことを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路。
【請求項2】
超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、
一次巻線及び二次巻線を有し、前記一次巻線の両端と前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する複巻変圧器としての変圧器と、
前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、
前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路と
を備え、
前記変圧器の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、
前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する第1及び第2の直列共振回路部を含んで構成され、
前記第1の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線の一端に対して接続され、
前記第1の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続され、
前記第2の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線の他端に対して接続され、
前記第2の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続されている
ことを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路。
【請求項3】
超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、
前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する変圧器と、
一次巻線及び二次巻線を有し、前記二次巻線が第1領域と前記第1領域に連続して巻き足された第2領域とを含んでおり、前記二次巻線の前記第1領域の両端と前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する複巻変圧器としての変圧器と、
前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、
前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路と
を備え、
前記変圧器の前記二次巻線における前記第1領域の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、
前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する第1及び第2の直列共振回路部を含んで構成され、
前記第1の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線を構成する一方の前記第2領域の自由端に対して接続され、
前記第1の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続され、
前記第2の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線を構成する他方の前記第2領域の自由端に対して接続され、
前記第2の直列共振回路部の他端側が前記入出力用芯線に対して接続されている
ことを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路。
【請求項4】
超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、
前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する変圧器と、
第1巻線部及び前記第1巻線部に連続して巻き足された第2巻線部を有し、前記第1巻線部が一次巻線として機能し、前記第1巻線部に前記第2巻線部を足した部分が二次巻線として機能し、前記超音波振動子と前記一次巻線の両端または前記二次巻線の両端との並列接続により並列共振回路を構成する単巻変圧器としての変圧器と、
前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、
前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路と
を備え、
前記変圧器の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、
前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する直列共振回路部を含んで構成され、
前記直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線を構成する前記第2巻線部の自由端に対して接続され、
前記直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続されている
ことを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路。
【請求項5】
超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、
前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する変圧器と、
第1巻線部、前記第1巻線部に連続して巻き足された第2巻線部及び前記第2巻線部に連続して巻き足された第3巻線部を有し、前記第1巻線部が一次巻線として機能し、前記第1巻線部に前記第2巻線部及び前記第3巻線部を足した部分が二次巻線として機能し、前記超音波振動子と前記第1巻線部及び前記第2巻線部からなる二次巻線第1領域の両端との並列接続により並列共振回路を構成する単巻変圧器としての変圧器と、
前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、
前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路と
を備え、
前記変圧器の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、
前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する直列共振回路部を含んで構成され、
前記直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線を構成する前記第3巻線部の自由端に対して接続され、
前記直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続されている
ことを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路。
【請求項6】
超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、
前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する変圧器と、
一次巻線及び二次巻線を有し、前記二次巻線が独立した2系統からなり、前記2系統の前記二次巻線のうちの一方の前記二次巻線の両端と前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する複巻変圧器としての変圧器と、
前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、
前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路と
を備え、
前記2系統の前記二次巻線のうちの他方の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、
前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する第1及び第2の直列共振回路部を含んで構成され、
前記第1の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記2系統の前記二次巻線のうちの他方の前記二次巻線の一端に対して接続され、
前記第1の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続され、
前記第2の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記2系統の前記二次巻線のうちの他方の前記二次巻線の他端に対して接続され、
前記第2の直列共振回路部の他端側が前記入出力用芯線に対して接続されている
ことを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動子駆動回路と、超音波振動子とを備えた魚群探知機用送受信器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚群探知機用送受信器ユニット及びその振動子駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波振動子からの超音波の送受信によって魚群などの被探知物を検知する魚群探知機がよく知られている。そして、一般的な魚群探知機において、超音波振動子は、発振回路が生成した高周波の電流に基づいて駆動されるようになっている(例えば引用文献1を参照)。
【0003】
図12に、従来の魚群探知機111における送受信部の電気的構成を概略的に示す。この魚群探知機111は、基本的に魚群探知機本体112と送受信器ユニット121とによって構成されている。魚群探知機本体112は送受信回路114を備えている。送受信回路114は送信回路部115と受信回路部116とを含んで構成されており、送信回路部115及び受信回路部116は共通の経路を介して本体側コンセント113に電気的に接続されている。本体側コンセント113は2芯線用のコンセントであって、2つの信号線用端子t1、t2と1つの接地用端子t3とを有している。
【0004】
一方、送受信器ユニット121は、超音波振動子125、信号送受用のケーブル、送受信器ユニット側コンセント124を備えている。信号送受用のケーブルの内部には、2本の入出力用芯線126、127が収容されている。これら入出力用芯線126、127の一端側には送受信器ユニット側コンセント124が電気的に接続されている。このコンセント124も2芯線用のコンセントであって、2つの信号線用端子t1、t2と1つの接地用端子t3とを有している。信号線用端子t1、t2には入出力用芯線126、127がそれぞれ接続されており、接地用端子t3にはケーブル内において入出力用芯線126、127を包囲するシールド128が接続されている。入出力用芯線126、127の他端側には超音波振動子125が電気的に接続されている。
【0005】
そして、魚群探知機111を使用する場合には、送受信器ユニット側コンセント124を本体側コンセント113に装着し、魚群探知機本体112側と送受信器ユニット121側とをケーブルを介して電気的に接続する。この状態で送受信器ユニット121を駆動すると、送受信回路114の送信回路部115が送受信器ユニット121側に送信信号を出力する。すると、その送信信号が入出力用芯線126、127を介して超音波振動子125に入力され、所定周波数の超音波振動に変換された後、超音波振動子125から超音波が送波される。これに対し、超音波の反射波を超音波振動子125が受波すると、受信信号が入出力用芯線126、127を介して魚群探知機本体112側に出力された後、送受信回路114の受信回路部116に取り込まれるようになっている。
【0006】
また近年においては、例えば図12の下段左側に示す送受信器ユニット121Aのように、変圧器132を用いて送信信号を昇圧して超音波振動子125を駆動することが提案されている。なお、この送受信器ユニット121Aでは、例えば変圧器132の一次巻線133に入出力用芯線126、127が接続され、一次巻線133の2倍の巻数を有する二次巻線134に超音波振動子125が接続されている。ゆえに、送波時に送信信号の電圧が2倍に昇圧された状態で超音波振動子125を駆動することができ、これによって送信利得が改善されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実公昭58-385号公報(図1等を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図12の下段左側に示すものの場合、変圧器132によって送信信号の電圧が2倍に昇圧される一方で、受信信号も同じ変圧器132を通過して魚群探知機本体112側に戻されることになる。よって、受波時には逆に電圧が1/2に降圧してしまい、受信利得を改善することができないという問題があった。
【0009】
このような問題を回避するためには、例えばトランジスタやリレー等のようなスイッチングデバイスを用いて回路を切り換えることで、受波時において変圧器132に受信信号を通過させないようにすればよいとも考えられる。ところが、送信信号のエネルギーは比較的大きいため、その大きなエネルギーに耐えうるスイッチングデバイスを用いるとなると、装置が複雑化・大型化し、コスト高につながるおそれがある。また、一般的な魚群探知機111の場合、入出力用芯線126、127の数に制約(例えば2本)がある。このため、入出力用芯線126、127の数をさらに増やさないと、スイッチングデバイスの切換制御を行うことができない。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、入出力用芯線の数に制約がある場合であっても、比較的簡単な構造で送受利得を改善することができる魚群探知機用送受信器ユニット及びその振動子駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、一次巻線及び二次巻線を有し、前記二次巻線の両端と前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する複巻変圧器としての変圧器と、前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路とを備え、前記変圧器の前記二次巻線巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する第1及び第2の直列共振回路部を含んで構成され、前記第1の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線の一端に対して接続され、前記第1の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続され、前記第2の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線の他端に対して接続され、前記第2の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続されていることを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路をその要旨とする
請求項2に記載の発明は、超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、一次巻線及び二次巻線を有し、前記一次巻線の両端と前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する複巻変圧器としての変圧器と、前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路とを備え、前記変圧器の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する第1及び第2の直列共振回路部を含んで構成され、前記第1の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線の一端に対して接続され、前記第1の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続され、前記第2の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線の他端に対して接続され、前記第2の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続されていることを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路をその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する変圧器と、一次巻線及び二次巻線を有し、前記二次巻線が第1領域と前記第1領域に連続して巻き足された第2領域とを含んでおり、前記二次巻線の前記第1領域の両端と前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する複巻変圧器としての変圧器と、前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路とを備え、前記変圧器の前記二次巻線における前記第1領域の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する第1及び第2の直列共振回路部を含んで構成され、前記第1の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線を構成する一方の前記第2領域の自由端に対して接続され、前記第1の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続され、前記第2の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線を構成する他方の前記第2領域の自由端に対して接続され、前記第2の直列共振回路部の他端側が前記入出力用芯線に対して接続されていることを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路をその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する変圧器と、第1巻線部及び前記第1巻線部に連続して巻き足された第2巻線部を有し、前記第1巻線部が一次巻線として機能し、前記第1巻線部に前記第2巻線部を足した部分が二次巻線として機能し、前記超音波振動子と前記一次巻線の両端または前記二次巻線の両端との並列接続により並列共振回路を構成する単巻変圧器としての変圧器と、前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路とを備え、前記変圧器の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する直列共振回路部を含んで構成され、前記直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線を構成する前記第2巻線部の自由端に対して接続され、前記直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続されていることを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路をその要旨とする。
請求項5に記載の発明は、超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する変圧器と、第1巻線部、前記第1巻線部に連続して巻き足された第2巻線部及び前記第2巻線部に連続して巻き足された第3巻線部を有し、前記第1巻線部が一次巻線として機能し、前記第1巻線部に前記第2巻線部及び前記第3巻線部を足した部分が二次巻線として機能し、前記超音波振動子と前記第1巻線部及び前記第2巻線部からなる二次巻線第1領域の両端との並列接続により並列共振回路を構成する単巻変圧器としての変圧器と、前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路とを備え、前記変圧器の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する直列共振回路部を含んで構成され、前記直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記二次巻線を構成する前記第3巻線部の自由端に対して接続され、前記直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続されていることを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路をその要旨とする。
請求項6に記載の発明は、超音波振動子及び入出力用芯線を含む送受信器ユニット側に設けられ、魚群探知機本体側の送受信回路からの送信信号に基づき前記超音波振動子を駆動する回路であって、前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する変圧器と、一次巻線及び二次巻線を有し、前記二次巻線が独立した2系統からなり、前記2系統の前記二次巻線のうちの一方の前記二次巻線の両端と前記超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成する複巻変圧器としての変圧器と、前記変圧器の一次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記変圧器に対して前記送信信号を入力する送波回路と、前記変圧器の一次側から前記送波回路に到る経路を介することなく前記変圧器の二次側と前記入出力用芯線との間を接続するように設けられ、前記送受信回路に対して前記超音波振動子の受信信号を出力する受波回路とを備え、前記2系統の前記二次巻線のうちの他方の前記二次巻線の巻数は、前記変圧器の前記一次巻線の巻数よりも多く、前記受波回路は、前記超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する第1及び第2の直列共振回路部を含んで構成され、前記第1の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記2系統の前記二次巻線のうちの他方の前記二次巻線の一端に対して接続され、前記第1の直列共振回路部の他端側は、前記入出力用芯線に対して接続され、前記第2の直列共振回路部の一端側は、前記変圧器の前記2系統の前記二次巻線のうちの他方の前記二次巻線の他端に対して接続され、前記第2の直列共振回路部の他端側が前記入出力用芯線に対して接続されていることを特徴とする魚群探知機用送受信器ユニットの振動子駆動回路をその要旨とする。
【0012】
従って、上記各発明によれば、送波時には送波回路を経て変圧器の一次側に送信信号が入力される。変圧器と超音波振動子とは並列接続により並列共振回路を構成しているため、超音波振動子を駆動するのに適した送信信号が超音波振動子に入力される結果、送信利得が改善される。ここで、受波回路は超音波振動子の使用周波数付近で直列共振してインピーダンスを低減する直列共振回路部を含んで構成されている。そのため、受波時には受波回路側に受信信号が流れやすくなり、変圧器により降圧されずに受信信号が入出力用芯線側に出力される。しかも、変圧器の二次巻線における受波回路の接続部分の巻数は、変圧器の一次巻線の巻数よりも多いため、受信信号が昇圧される。これらのことから受信利得も改善される。従って、入出力用芯線の数に制約がある場合であっても、比較的簡単な構造で送受利得を改善することができる。
【0014】
前記超音波振動子が前記変圧器の前記二次巻線との並列接続により前記並列共振回路を構成している上記発明によれば、例えば昇圧した送信信号で超音波振動子を駆動することができ、送信利得をよりいっそう改善することができる。
【0016】
前記変圧器が単巻変圧器である上記発明によると、一次巻線と二次巻線の一部とを共有した構造であることから、巻線の量が少なくなり、複巻変圧器よりも小型化、軽量化、低コスト化を図りやすくなる。
【0018】
前記変圧器が複巻変圧器である上記発明によると、一次巻線と二次巻線とが別々に巻かれた構造であることから、一次側と二次側とを絶縁して使用することができる。
【0020】
前記変圧器が複巻変圧器であり、前記複巻変圧器における前記二次巻線が、第1領域と前記第1領域に連続して巻き足された第2領域とを含み、前記第1領域に対して前記超音波振動子が接続され、前記第1領域に前記第2領域を足した部分に対して前記受波回路が接続されている上記発明によると、超音波振動子が複巻変圧器の二次巻線の第1領域に対して接続される一方、受波回路は第1領域に第2領域を足した部分に接続されている。即ち、受波回路の接続部分の巻数が超音波振動子の接続部分の巻数よりも多くなることから、超音波振動子からの受信信号は、昇圧された後に受波回路を通過する。よって、受信利得をよりいっそう改善することができる。またこの構成であると、超音波振動子に接続する第1領域の巻数を調整する際の自由度が比較的大きくなる。よって、変圧器と超音波振動子との並列接続により並列共振回路を構成するにあたり好都合となり、送信信号と超音波振動子とを整合しやすくなる。
【0021】
列共振回路部は、互いに直列に接続されたキャパシタ及びインダクタと、所定電圧値を超えたときに急激に電気抵抗が低くなって電流を流す素子とにより構成され、前記素子が前記キャパシタ及び前記インダクタのいずれかと並列に接続されていてもよい。
【0022】
従って、この構成によると、送波時には、受波回路を構成する直列共振回路部は直列共振する状態とはならず、インピーダンスは蓋然として高い。ゆえに、入出力用芯線側を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路側に流れ込むことは殆どなく、優先的に送波回路側に流れ込んで超音波振動子を駆動させる。受波時には、直列共振回路部は、インダクタとキャパシタとの作用により超音波振動子の使用周波数付近で直列共振する状態となり、インピーダンスが低減される。ゆえに、超音波振動子からの受信信号は送波回路側に流れ込むことは殆どなく、あまり減衰せずに優先的に受波回路側に流れ込むとともに、変圧器により降圧されずに入出力用芯線側に出力される。また、直列共振回路部は基本的にキャパシタとインダクタと上記素子とにより構成された簡易な回路であるため、スイッチングデバイスを用いて切換制御を行う場合とは異なり、装置の複雑化・大型化等を回避することができる。
【0023】
この場合、前記素子が前記インダクタと並列に接続されており、前記インダクタ側が前記変圧器に接続され、前記キャパシタ側が前記入出力用芯線に接続されていてもよい。その理由は、高電圧の送信信号が流れる入出力用芯線の最も近くに配置される部品は耐電圧性を備えていることが要求されるが、耐電圧のキャパシタのほうが耐電圧のインダクタよりも小型かつ安価であるため、接続位置を逆にしたときと比べて装置の小型化や低コスト化が図りやすくなるからである。また、前記素子としては、例えば、バリスタ、ツェナーダイオード及び双方向ダイオードのうちから選択される1種であってもよい。
【0024】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動子駆動回路と、超音波振動子とを備えた魚群探知機用送受信器ユニットであることをその要旨とする。
【発明の効果】
【0025】
以上詳述したように、請求項1~に記載の発明によると、入出力用芯線の数に制約がある場合であっても、比較的簡単な構造で送受利得を改善することができる魚群探知機用送受信器ユニット及びその振動子駆動回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明を具体化した第1実施形態の魚群探知機用送受信器ユニットを備える魚群探知機の概略図。
図2】第1実施形態の魚群探知機用送受信器ユニットにおける振動子駆動回路を示す回路図。
図3】第2実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図4】第3実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図5】第4実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図6】第5実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図7】第6実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図8】第7実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図9】第8実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図10】別の実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図11】別の実施形態の振動子駆動回路を示す回路図。
図12】従来の魚群探知機における送受信部の電気的構成を概略的に示す回路図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1図2に基づき詳細に説明する。図1は本実施形態の送受信器ユニット21を備える魚群探知機11の概略図であり、図2は上記送受信器ユニット21における振動子駆動回路31を示す回路図である。
【0028】
図1に示されるように、本実施形態の魚群探知機11は、基本的に魚群探知機本体12と送受信器ユニット21とによって構成されている。この送受信器ユニット21は交換可能であって、使用時には複数種類の中から用途に合ったものが選択される。魚群探知機本体12は、基本的に図11に示した従来技術と同様の送受信回路14を備えている。送受信回路14は送信回路部15と受信回路部16とを含んで構成されており、送信回路部15及び受信回路部16は共通の入出力経路17を介して本体側コンセント13に電気的に接続されている。本体側コンセント13は2芯線用のコンセントであって、2つの信号線用端子と1つの接地用端子とを有している。そのうち、2つの信号線用端子には前記共通の入出力経路17が各々電気的に接続される一方、1つの接地用端子は接地されている。ここで送信回路部15は、発振回路からの送信ドライブ信号に基づき、前記共通の入出力経路17を介して送信信号を出力するようになっている。受信回路部16は、前記共通の入出力経路17を介して受信信号を受け取るとともにこの受信信号を増幅した後、処理回路に出力するようになっている。
【0029】
図1に示されるように、この送受信器ユニット21は、ユニット本体22と、送受信器ユニット側コンセント24と、それらの間をつなぐ信号送受用のケーブル23とを備えている。ケーブル23の内部には、2本の入出力用芯線26、27が収容されている。これら入出力用芯線26、27の一端側には送受信器ユニット側コンセント24が電気的に接続されている。このコンセント124は2芯線用のコンセントであって、2つの信号線用端子t1、t2と1つの接地用端子t3とを有している(図2参照)。信号線用端子t1には入出力用芯線26が接続され、信号線用端子t2には入出力用芯線27が接続されている。接地用端子t3には、ノイズ防止対策のためにケーブル23内において入出力用芯線26、27を包囲するシールド28が接続されている。
【0030】
本実施形態のユニット本体22は、振動子駆動回路31を超音波振動子25とともに内部に収容して樹脂モールドした構造を有している。超音波振動子25はユニット本体22の底部に配置されており、ユニット底面から下方に向けて超音波を発するようになっている。なお、超音波振動子25の数は本実施形態では1つであるが、2つ以上であってもよい。
【0031】
図2に示されるように、本実施形態の振動子駆動回路31は、ユニット本体22内に収容された図示しない回路基板上に実装された複数の電子部品によって構成されている。この振動子駆動回路31は、変圧器32と送波回路41と受波回路51とを備えている。
【0032】
振動子駆動回路31を構成する変圧器32として、本実施形態では一次巻線35と二次巻線36とが別々に巻かれた構造の複巻変圧器32が使用されている。ここでは一次巻線35の巻数よりも二次巻線36の巻数のほうが多く、具体的には一次巻線35の巻数と二次巻線36の巻数との比率は1:2となっている。一次巻線35の一端側には、双方向ダイオード42Aを介して入出力用芯線26が電気的に接続されている。一次巻線35の他端側には、別の双方向ダイオード42Bを介して入出力用芯線27が電気的に接続されている。なお、これら2つの双方向ダイオード42A、42Bによって、複巻変圧器32の一次側と入出力用芯線26、27との間を接続するように送波回路41が構成されている。この送波回路41における双方向ダイオード42A、42Bは、所定電圧値以下のときには電流を流さず経路を遮断する(OFF状態となる)が、所定電圧値を超えたときに急激に電気抵抗が低くなって電流を流す(ON状態となる)という性質を有している。なお、本実施形態の双方向ダイオード42A、42Bは、いずれも2個のダイオードを用いて逆並列構造としたものであり、所定電圧値を超えたときにはどちらの方向にも電流を流すことができる。
【0033】
複巻変圧器32の二次巻線と超音波振動子25とは並列に接続されており、このような接続関係により、複巻変圧器32と超音波振動子25とにより並列共振回路33が構成されている。
【0034】
本実施形態において受波回路51は、キャパシタ54、インダクタ53及び双方向ダイオード55からなる2つの直列共振回路部52A、52Bを備えている。キャパシタ54及びインダクタ53は互いに直列に接続に接続されている。
【0035】
一方の直列共振回路部52Aに属するインダクタ53の自由端側は、複巻変圧器32の二次巻線36と超音波振動子25との接続点C1に対して接続されている。また、直列共振回路部52Aに属するキャパシタ54の自由端側は、入出力用芯線26と双方向ダイオード42Aとの接続点C3に対して接続されている。そして、双方向ダイオード55はインダクタ53に対して並列に接続されている。
【0036】
他方の直列共振回路部52Bに属するインダクタ53の自由端側は、複巻変圧器32の二次巻線36と超音波振動子25との接続点C2に対して接続されている。また、直列共振回路部52Bに属するキャパシタ54の自由端側は、入出力用芯線26と双方向ダイオード42Aとの接続点C4に対して接続されている。そして、双方向ダイオード55はインダクタ53に対して並列に接続されている。
【0037】
つまり、これら直列共振回路部52A、52Bは、複巻変圧器32の一次側及び送波回路42A,42Bを介することなく、複巻変圧器32の二次側と入出力用芯線26、27との間を接続するように設けられている。
【0038】
また、これら直列共振回路部52A、52Bでは、超音波振動子25の使用周波数付近(例えば、超音波振動子25自身が発した数百kHz程度の超音波付近)で直列共振するように、キャパシタ54及びインダクタ53が適宜選択されている。本実施形態では、直列共振回路部52A、52Bに超音波振動子25の使用周波数付近の信号が入力した場合、当該回路のインピーダンスが低減される。その結果、双方向ダイオード42Aの存在に関係なく、キャパシタ54及びインダクタ53を経由して電流を流すことが可能となる。これに対して、直列共振回路部52A、52Bに超音波振動子25の使用周波数付近の信号が入力していない場合、当該回路のインピーダンスが低減されずに高いままとなる。このため、キャパシタ54及びインダクタ53を経由して電流を流すことができず、また双方向ダイオード42Aを介しても電流を流すことができなくなる。つまり、直列共振回路部52A、52Bを含んで構成されたこの受波回路51は、送波時にはある種のキャパシタとして機能する一方、受波時には超音波振動子25の使用周波数付近の信号の通過を許容するバンドパスフィルタとして機能する回路であると把握することが可能である。
【0039】
次に、本実施形態の振動子駆動回路31の動作について説明する。魚群探知機11を使用する場合には、まず送受信器ユニット21の種類を選択する。そして、選択された送受信器ユニット21の送受信器ユニット側コンセント24を本体側コンセント13に装着し、魚群探知機本体112側と送受信器ユニット121側とをケーブル23を介して電気的に接続する。このとき、2本の入出力用芯線26、27が前記共通の入出力経路17と電気的に接続される。また、シールド28が魚群探知機本体112側において接地される。
【0040】
送波時において送受信器ユニット21を駆動すると、送受信回路14の送信回路部115が送受信器ユニット21側に高電圧の送信信号を出力する。通常、送信信号は2つある入出力用芯線26、27を介して交互に入力される。例えば一方の入出力用芯線26を介して送信信号が入力されるとき、受波回路51を構成する直列共振回路部52Aでは、双方向ダイオード55がOFF状態となる。ゆえに、直列共振回路部52Aの直列共振が打ち消された状態となり、当該回路のインピーダンスは蓋然として高いままとなる。ゆえに、入出力用芯線26を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路51側に殆ど流れ込むことができず、複巻変圧器32の一次側と二次側との短絡が回避される。よって、送波時の電力ロスが低減される。その一方で、高電圧の送信信号は、送波回路41の双方向ダイオード42Aを介して複巻変圧器32の一次巻線35に到ることができる。同様に、他方の入出力用芯線27を介して送信信号が入力されるとき、受波回路51を構成する直列共振回路部52Bでは、双方向ダイオード55がOFF状態となる。ゆえに、直列共振回路部52Bの直列共振が打ち消された状態となり、当該回路のインピーダンスは蓋然として高いままとなる。ゆえに、入出力用芯線27を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路51側に殆ど流れ込むことができず、複巻変圧器32の一次側と二次側との短絡が回避される。よって、送波時の電力ロスが低減される。従ってこれらの場合には、一次巻線35側から二次巻線36側に到ることで2倍に昇圧された送信振動が超音波振動子25に印加され、超音波振動子25を駆動させる。その結果、超音波振動子25が所定周波数で振動し、ユニット本体22の外部に超音波を発振する。
【0041】
受波時においては、先に超音波振動子25が発振した超音波の反射波が超音波振動子25によって受信される。すると、超音波振動子25が受信信号を受波回路51に対して出力しようとする。このとき、受波回路51を構成する直列共振回路部52A、52Bには、超音波振動子25の使用周波数付近の信号が入力されることになる。よって、直列共振回路部52A、52Bは、インダクタ53とキャパシタ54との作用により直列共振し、相対的にインピーダンスが低減され、電流が流れやすい状態となる。従って、例えば受信信号が超音波振動子25から接続点C1を介して出力される場合、受信信号は相対的にインピーダンスが高い一次巻線35側に流れ込むことは殆どない。その代わりに、受信信号は相対的にインピーダンスが低くなった受波回路51の直列共振回路部52A側に流れ込む。そして、受信信号は複巻変圧器32及び送波回路41を通過せずに直接的に入出力用芯線26側に到り、送受信回路14に対して出力される。同様に、受信信号が超音波振動子25から接続点C2を介して出力される場合についても、受信信号は相対的にインピーダンスが高い一次巻線35側に流れ込むことは殆どない。その代わりに、受信信号は相対的にインピーダンスが低くなった受波回路51の直列共振回路部52B側に流れ込む。そして、受信信号は複巻変圧器32及び送波回路41を通過せずに直接的に入出力用芯線27側に到り、送受信回路14に対して出力される。
【0042】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0043】
(1)上記のように構成された本実施形態の振動子駆動回路31によると、複巻変圧器32と超音波振動子25とは並列接続により並列共振回路33を構成している。そのため、送波時には超音波振動子25を駆動するのに適した送信信号が、送波回路41及び複巻変圧器32を介して超音波振動子25に入力される。そして送信信号は複巻変圧器32を通過する際に2倍に昇圧され、送信電圧が増加する。以上の結果、送信利得を改善することができる。また、受波時には受波回路51側に受信信号が流れやすくなる結果、複巻変圧器32により降圧されずに受信信号を出力することができる。以上の結果、受信利得についても改善することができる。その一方で、この振動子駆動回路31では、スイッチングデバイスを用いた切換制御を行っていないので、スイッチングデバイスの使用に伴う装置の複雑化、大型化、高コスト化といった心配がない。しかも、スイッチングデバイスの切換制御のために入出力用芯線26、27の数を増やす必要も特にない。以上のことから、本実施形態によれば、入出力用芯線26、27の数に制約がある場合であっても、比較的簡単な構造で送受利得を改善することができる。
【0044】
(2)本実施形態の振動子駆動回路31において、受波回路51を構成する直列共振回路部52A、52Bは、基本的にキャパシタ54とインダクタ53と双方向ダイオード55という3種類の電子部品により構成された簡易な回路である。そのため、比較的安価に構成することができるとともに、スイッチングデバイスを用いて切換制御を行う場合とは異なり、装置の複雑化・大型化等を回避することができる。
【0045】
(3)また本実施形態では、受波回路51を構成する直列共振回路部52A、52Bにおいて、双方向ダイオード55がインダクタ53と並列に接続されている。そして、インダクタ53側が複巻変圧器32の二次側に接続され、キャパシタ54側が入出力用芯線26、27に接続されている。ここで、高電圧の送信信号が流れる入出力用芯線26、27の最も近くに配置される部品は、送信電力ロスを抑えるために耐電圧性を備えていることが要求される。耐電圧のキャパシタ54と耐電圧のインダクタ53とを比較した場合、耐電圧のキャパシタのほうが小型かつ安価である。よって、接続位置を逆にしたときと比べて装置の小型化や低コスト化が図りやすくなる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明を具体化した第2実施形態の振動子駆動回路31Aを図3に基づき詳細に説明する。ここでは第1実施形態と相違する部分について主に言及し、共通している部分については同じ番号を付すのみとする。
【0047】
図3に示される本実施形態の振動子駆動回路31Aでは、複巻変圧器32Aの二次巻線36の構造が第1実施形態のものと異なっている。即ち、この複巻変圧器32Aの二次巻線36は第1領域36aを備えるとともに、その第1領域36aの両端に連続してそれぞれ巻き足された第2領域36bを備えている。そして、二次巻線36の第1領域36aに対して超音波振動子25が並列に接続されることで、並列共振回路33が構成されている。また、第1領域36aに2つの第2領域36bを足した部分に対して受波回路51が接続されている。なお本実施形態では、一次巻線35と、二次巻線36の第1領域36aとの巻線比率が、例えば1:2に設定されている。また、一次巻線35と、二次巻線36の第1領域36aに2つの第2領域36bを足した分との巻線比率が、例えば1:3に設定されている。ゆえに、二次巻線36における受波回路51の接続部分の巻数は一次巻線35の巻数よりも多く、3倍となっている。
【0048】
従って、本実施形態の振動子駆動回路31Aの場合、送波時において、入出力用芯線26、27を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路51側に殆ど流れ込むことができず、送波回路41側に流れ込む。そして、一次巻線35側から二次巻線36の第1領域36a側に到ることで2倍に昇圧された送信信号が超音波振動子25に印加され、超音波振動子25を駆動させる。受波時には、受信信号が二次巻線36の第1領域36a及び第2領域36bを通過する際に昇圧され、受波回路51に流れ込む。このとき、受信信号は相対的に高インピーダンスの一次側(送波回路41側)に流れ込むことは殆どなく、直列共振によって相対的に低インピーダンスとなった直列共振回路部52A、52B側に流れ込む。その結果、受信信号は複巻変圧器32A及び送波回路41を通過せずに直接的に入出力用芯線26側に到ることとなり、複巻変圧器32Aにより降圧されずに送受信回路14に対して出力される。従って、送信利得ばかりでなく受信利得についても改善することができる。
【0049】
またこの構成であると、2次巻線36において、受波回路51の接続部分と超音波振動子25の接続部分とが別々になっているため、超音波振動子25に接続する第1領域36aの巻数を調整する際の自由度が比較的大きくなる。よって、複巻変圧器32Aと超音波振動子25との並列接続により並列共振回路33を構成するにあたり好都合となり、送信信号と超音波振動子25とを整合しやすくなる。
【0050】
[第3実施形態]
次に、本発明を具体化した第3実施形態の振動子駆動回路31Bを図4に基づき詳細に説明する。ここでは第1実施形態と相違する部分について主に言及し、共通している部分については同じ番号を付すのみとする。
【0051】
図4に示される本実施形態の振動子駆動回路31Bでは、複巻変圧器32に対する超音波振動子25の接続の仕方が異なっている。即ち、第1実施形態では超音波振動子25を二次巻線36と並列に接続したのに対し、本実施形態では超音波振動子25を一次巻線35と並列に接続している。
【0052】
従って、本実施形態の振動子駆動回路31Bの場合、送波時において、入出力用芯線27を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路51側に殆ど流れ込むことができず、送波回路41を介して複巻変圧器32の一次巻線35側に流れ込む。そして、送信信号は一次巻線35と並列共振回路33を構成する超音波振動子25に印加され、超音波振動子25を駆動させる。受波時には、受信信号が一次巻線35側から二次巻線36側に流れる際に昇圧され、受波回路51に流れ込む。このとき、受信信号は相対的に高インピーダンスの送波回路41側に流れ込むことは殆どなく、直列共振によって相対的に低インピーダンスとなった直列共振回路部52A、52B側に流れ込む。その結果、受信信号は複巻変圧器32及び送波回路41を通過せずに直接的に入出力用芯線26、27側に到ることとなり、複巻変圧器32により降圧されずに送受信回路14に対して出力される。従って、受信利得を改善することができる。
【0053】
[第4実施形態]
次に、本発明を具体化した第4実施形態の振動子駆動回路31Cを図5に基づき詳細に説明する。ここでは第1実施形態と相違する部分について主に言及し、共通している部分については同じ番号を付すのみとする。
【0054】
図5に示される本実施形態の振動子駆動回路31Cでは、使用している変圧器の形式が異なっている。即ち、第1実施形態では複巻変圧器32を使用して回路を構成したのに対し、本実施形態では一次巻線35と二次巻線36の一部とを共有した構造の単巻変圧器34(いわゆるオートトランス)を使用して回路を構成している。この単巻変圧器34は、第1巻線部37及び第2巻線部38を備えており、第1巻線部37が一次巻線37として機能し、第1巻線部37及び第2巻線部38を足した部分が二次巻線39として機能するようになっている。また、第1実施形態では、送波回路41が2つの双方向ダイオード42A、42Bで構成されていたのに対し、本実施形態では1つの双方向ダイオード42Aのみで構成されており、回路部品の共通化が図られている。同様に、第1実施形態では、受波回路51が2つの直列共振回路部52A、52Bで構成されていたのに対し、本実施形態では1つの直列共振回路部52のみで構成されており、回路部品の共通化が図られている。なお、本実施形態では一次巻線37の巻数よりも二次巻線39の巻数のほうが多く、具体的には一次巻線37の巻数と二次巻線39の巻数との比率は1:2となっている。
【0055】
従って、このように構成された本実施形態の振動子駆動回路31Cであっても、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。つまり、送波時において、入出力用芯線26を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路51側に殆ど流れ込むことができず、送波回路41を介して単巻変圧器34の一次巻線35側に流れ込む。そして、二次巻線39から出力される際に2倍に昇圧された送信信号が超音波振動子25に印加され、超音波振動子25を駆動させる。受波時には、受信信号は相対的に高インピーダンスの一次側(送波回路41側)に流れ込むことは殆どなく、直列共振によって相対的に低インピーダンスとなった直列共振回路部52側に流れ込む。その結果、受信信号は単巻変圧器34及び送波回路41を通過せずに直接的に入出力用芯線26側に到ることとなり、単巻変圧器34により降圧されずに送受信回路14に対して出力される。従って、送信利得ばかりでなく受信利得についても改善することができる。
【0056】
また、本実施形態によると、単巻変圧器34を使用した結果、巻線の量が少なくなり、複巻変圧器32を使用した場合よりも小型化、軽量化、低コスト化を図りやすくなる。また、送波回路41及び受波回路51が1つずつでよくなるため、装置全体が簡略化される。
【0057】
[第5実施形態]
次に、本発明を具体化した第5実施形態の振動子駆動回路31Dを図6に基づき詳細に説明する。ここでは第4実施形態と相違する部分について主に言及し、共通している部分については同じ番号を付すのみとする。
【0058】
図6に示される本実施形態の振動子駆動回路31Dでは、使用している単巻変圧器34Aにおける巻線構造が第4実施形態のものと若干異なっている。即ち、この単巻変圧器34は、直列接続された第1巻線部37及び第2巻線部38aを備えるとともに、第2巻線部38aの一端にて連続して巻き足された第3巻線部38bを備えている。なお、この単巻変圧器34では、第1巻線部37が一次巻線37として機能し、第1巻線部37、第2巻線部38a及び第3巻線部38bを合わせた部分が二次巻線39として機能するようになっている。なお本実施形態では、第1巻線部37及び第2巻線部38aを「二次巻線39の第1領域」と定義し、第1巻線部37、第2巻線部38a及び第3巻線部38bを「二次巻線39の第2領域」と定義する。そして、超音波振動子25は第1巻線部37及び第2巻線部38a(即ち二次巻線39の第1領域)に対して並列に接続され、これらとともに並列共振回路33を構成している。また、受波回路51は、第1巻線部37、第2巻線部38a及び第3巻線部38b(即ち二次巻線39の第2領域)に対して接続されている。本実施形態では、第1巻線部37、第2巻線部38a及び第3巻線部38bの巻線比率が、例えば1:1:1に設定されている。ゆえに、二次巻線39における受波回路51の接続部分の巻数は一次巻線37の巻数よりも多く、3倍となっている。
【0059】
従って、このように構成された本実施形態の振動子駆動回路31Dでは、送波時において、入出力用芯線26を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路51側に殆ど流れ込むことができず、送波回路41を介して単巻変圧器34の一次巻線37側(第1巻線部37側)に流れ込む。そして、一次巻線37側から二次巻線39の第1領域側に到ることで2倍に昇圧された送信信号が超音波振動子25に印加され、超音波振動子25を駆動させる。受波時には、受信信号が二次巻線39の第1領域及び第2領域を通過する際に昇圧され、受波回路51に流れ込む。このとき、受信信号は相対的に高インピーダンスの一次側(送波回路41側)に流れ込むことは殆どなく、直列共振によって相対的に低インピーダンスとなった直列共振回路部52側に流れ込む。その結果、受信信号は単巻変圧器34A及び送波回路41を通過せずに直接的に入出力用芯線26側に到ることとなり、単巻変圧器34Aにより降圧されずに送受信回路14に対して出力される。従って、小型化、軽量化、低コスト化等を図りつつ、送信利得ばかりでなく受信利得についても改善することができる。
【0060】
[第6実施形態]
次に、本発明を具体化した第6実施形態の振動子駆動回路31Eを図7に基づき詳細に説明する。ここでは第4実施形態と相違する部分について主に言及し、共通している部分については同じ番号を付すのみとする。
【0061】
図7に示される本実施形態の振動子駆動回路31Eでは、単巻変圧器34Bに対する超音波振動子25の接続の仕方が異なっている。即ち、第4実施形態では超音波振動子25を二次巻線39(即ち第1巻線部37及び第2巻線部38)と並列に接続したのに対し、本実施形態では超音波振動子25を一次巻線37(第1巻線部37)と並列に接続している。
【0062】
従って、本実施形態の振動子駆動回路31Bの場合、送波時において、入出力用芯線26を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路51側に殆ど流れ込むことができず、送波回路41を介して単巻変圧器34Bの一次巻線37側に流れ込む。そして、送信信号は一次巻線37と並列共振回路33を構成する超音波振動子25に印加され、超音波振動子25を駆動させる。受波時には、受信信号が一次巻線37側から二次巻線38側に流れる際に昇圧され、受波回路51に流れ込む。このとき、受信信号は相対的に高インピーダンスの送波回路41側に流れ込むことは殆どなく、直列共振によって相対的に低インピーダンスとなった直列共振回路部52側に流れ込む。その結果、受信信号は送波回路41を通過せずに直接的に入出力用芯線26側に到ることとなり、単巻変圧器34Bにより降圧されずに送受信回路14に対して出力される。従って、小型化、軽量化、低コスト化等を図りつつ、受信利得を改善することができる。
【0063】
[第7実施形態]
次に、本発明を具体化した第7実施形態の振動子駆動回路31Fを図8に基づき詳細に説明する。ここでは第1実施形態と相違する部分について主に言及し、共通している部分については同じ番号を付すのみとする。
【0064】
図8に示される本実施形態の振動子駆動回路31Fでは、直列共振回路部52C、52Dの構造が上記第1実施形態のものと異なっている。即ち、第1実施形態の直列共振回路部52A,52Bは、互いに直列に接続されたキャパシタ54及びインダクタ53を備え、そのインダクタ53に対して並列に接続された双方向ダイオード55を備えていた。そして、インダクタ53の自由端側が二次巻線36と超音波振動子25との接続点C1に対して接続され、キャパシタ54の自由端側が入出力用芯線26と双方向ダイオード42A、42Bとの接続点C3、C4に対して接続されていた。これに対し本実施形態では、そして、キャパシタ54の自由端側が二次巻線36と超音波振動子25との接続点C1に対して接続され、インダクタ53の自由端側が入出力用芯線26と双方向ダイオード42A、42Bとの接続点C3、C4に対してそれぞれ接続されている。つまり、第1実施形態のものでは高電圧が印加する入力側に耐電圧のキャパシタ54が配置されているのに対し、本実施形態では高電圧が印加する入力側に耐電圧のインダクタ53が配置されており、これら部品の位置関係が逆になっている。
【0065】
従って、このように構成された本実施形態の振動子駆動回路31Fであっても、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。ただし、耐電圧のキャパシタ54のほうが耐電圧のインダクタ53よりも小型かつ安価である。そのため、本実施形態の構成よりもむしろ上記第1実施形態の構成のほうが、装置の小型化や低コスト化が図りやすいという点で有利である。
【0066】
[第8実施形態]
次に、本発明を具体化した第8実施形態の振動子駆動回路31Gを図9に基づき詳細に説明する。ここでは第1実施形態と相違する部分について主に言及し、共通している部分については同じ番号を付すのみとする。
【0067】
図9に示される本実施形態の振動子駆動回路31Gでは、複巻変圧器32Bの二次巻線36の構造が第1実施形態のものと異なっている。即ち、第1実施形態では二次巻線36が1系統(1巻)のみであったのに対し、本実施形態では二次巻線36、61が独立した2系統(2巻)になっている。2巻あるうちの一方の二次巻線36に対しては超音波振動子25が並列に接続され、この接続によって並列共振回路33が構成されている。また、他方の二次巻線36に対しては受波回路51が接続されている。なお本実施形態では、一次巻線35と二次巻線36との巻線比率が例えば1:1に設定され、一次巻線35と二次巻線61との巻線比率が例えば1:2に設定されている。
【0068】
従って、本実施形態の振動子駆動回路31Gの場合、送波時において、入出力用芯線26、27を流れてきた高電圧の送信信号は、受波回路51側に殆ど流れ込むことができず、送波回路41側に流れ込む。そして、一次巻線35側から一方の二次巻線36側に到った送信信号が超音波振動子25に印加され、超音波振動子25を駆動させる。受波時には、受信信号が他方の二次巻線61を通過する際に2倍に昇圧され、受波回路51に流れ込む。このとき、受信信号は相対的に高インピーダンスの一次側(送波回路41側)に流れ込むことは殆どなく、直列共振によって相対的に低インピーダンスとなった直列共振回路部52A、52B側に流れ込む。その結果、受信信号は複巻変圧器32B及び送波回路41を通過せずに直接的に入出力用芯線26、27側に到ることとなり、複巻変圧器32Bにより降圧されずに送受信回路14に対して出力される。従って、送信利得ばかりでなく受信利得についても改善することができる。
【0069】
またこの構成であると、受波回路51が接続されている一方の2次巻線36と、超音波振動子25が接続されている他方の2次巻線61とが電気的に互いに独立している。ゆえに、各々の2次巻線36、61の巻数を任意に設定することができる。例えば、2次巻線61の巻数を調整する際に、その自由度が比較的大きくなるため、複巻変圧器32Bと超音波振動子25との並列接続により並列共振回路33を構成するにあたり好都合となる。このため、送信信号と超音波振動子25とを整合しやすくなる。
【0070】
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
【0071】
・上記各実施形態では、振動子駆動回路31~31Gを超音波振動子25とともにユニット本体22内に収容して樹脂モールドしたが、これに限定されない。例えば、振動子駆動回路31~31Gをユニット本体22の外部に設けることで送受信器ユニットを構成しても勿論構わない。
【0072】
・上記各実施形態では、双方向ダイオード42を用いて受波回路51の直列共振回路部52、52A、52Bを構成したが、これに限定されず、例えばバリスタ56Aを用いて構成してもよく(図10参照)、あるいは2個逆方向に接続したツェナーダイオード56Bを用いて構成してもよい(図11参照)。また、上記各実施形態では、双方向ダイオード42、42A、42Bを用いて送波回路41を構成したが、これに限定されず、例えばバリスタ56Aのような非直線性抵抗素子や、ツェナーダイオード56B等の素子を用いて構成しても勿論よい。
【0073】
・上記第1、第3実施形態では、複巻変圧器32の一次巻線35の巻数と、複巻変圧器32の二次巻線36における受波回路51の接続部分の巻数との比率を1:2に設定したが、これに限定されることはない。即ち、複巻変圧器32の二次巻線36における受波回路51の接続部分の巻数は、複巻変圧器32の一次巻線35の巻数よりも多ければよいことから、この巻数比率を例えば1:1.1~5.0の範囲内で任意に設定してもよい。なおこの場合において、複巻変圧器32の二次巻線36における超音波振動子25の接続部分の巻数は、上記実施形態のように複巻変圧器32の一次巻線35の巻数よりも多くてもよいが、例えば同数でもよくまたは少ない数であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
12…魚群探知機本体
14…送受信回路
21…送受信器ユニット
25…超音波振動子
26、27…入出力用芯線
31、31A、31B,31C,31D、31E、31F、31G…振動子駆動回路
32、32A、32B…変圧器としての複巻変圧器
33…並列共振回路
34、34A,34B…変圧器としての単巻変圧器
35、37…一次巻線
36、39、61…二次巻線
36a…第1領域
36b…第2領域
41…送波回路
51…受波回路
52、52A、52B…直列共振回路部
53…インダクタ
54…キャパシタ
55…素子としての双方向ダイオード
56A…素子としてのバリスタ
56B…素子としてのツェナーダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12