(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】遮水装置及びシェルタ
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20231013BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20231013BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20231013BHJP
F24F 7/04 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04H1/12 A
E04H9/02 301
F24F7/04 B
(21)【出願番号】P 2021066330
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】519394285
【氏名又は名称】株式会社三山テクノス
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】赤石 祐司
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-104778(JP,A)
【文献】登録実用新案第3182461(JP,U)
【文献】特開2015-051732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02,9/14
E04H 1/12
F24F 7/04 - 7/06
F16K 31/18 -31/34
F16K 21/00 -24/06
B63C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に外部通気口を備え下面に内部通気口を備えた外筒部と、
前記外筒部内に立設したシャフトと、
前記外筒部内を前記シャフトに沿って上下動し上面に内筒通気口を備えるとともに下面に連通口を備えた内筒部と、
前記内筒部の上方に位置し前記外筒部の上面から所定の間隙を取って設けられた整流板と、
前記整流板から下方に伸び前記内筒部の側面上部を所定の間隙を取って囲う側壁と、
防水性を有するとともに前記内筒部の上下動に伴って伸縮し前記連通口と前記内部通気口とを繋ぐ伸縮管と、
前記内筒部の上面に前記内筒通気口を囲うように設けられた防水部と、を有し、
前記外筒部内に水が貯留すると前記内筒部が上方に浮上し、前記防水部が前記整流板に当接して前記内筒通気口を閉塞し、前記内部通気口への水の流入を防止することを特徴とする遮水装置。
【請求項2】
防水部が、内筒通気口の縁に設けられた第1の防水部と、前記第1の防水部を囲うように設けられた第2の防水部とで構成されたことを特徴とする請求項1記載の遮水装置。
【請求項3】
伸縮管を2重で構成することを特徴とした請求項1または請求項2に記載の遮水装置。
【請求項4】
内部が目視可能で外筒部の上部と下部とに接続し、前記外筒部内に貯留した水の水位を視認可能な水位確認管を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の遮水装置。
【請求項5】
防水性を有するシェルタ本体と、
閉じた状態で防水性を有し人が出入り可能な扉部と、
前記シェルタ本体の屋根に設けられ外部と前記シェルタ本体内部とで空気を流通させる通気管と、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の遮水装置と、を有し、
前記遮水装置の外部通気口が前記通気管と接続したことを特徴とするシェルタ。
【請求項6】
遮水装置が、シェルタ本体の天井部分に設置されていることを特徴とする請求項5記載のシェルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内に水が流入すると閉塞する遮水装置と、この遮水装置を備えたシェルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地震や洪水等の災害が多発している。このような災害から身を守るため個人住宅の地下や庭に設置可能な防災シェルタが市販されている。そして、このようなシェルタに関する発明として、例えば下記[特許文献1]、[特許文献2]に記載の発明が開示されている。尚、このようなシェルタにおいては屋根等の上部に通気口を設けることが一般的で、また[特許文献2]に記載されているように、通気口の開口を下に向けて水の流入を防ぐものが多い。
【0003】
しかしながら、近年の川の氾濫等では市街地に濁流が流れ込むことも多く、その流速やうねり具合によっては下に向いた通気口のU字部を越えて水が流入する可能性がある。またこのような洪水の場合、流木や家財、車両等が押し流されてくることが考えられ、これらが通気口に衝突して破損し、そこから水が流入する可能性がある。この問題点に対し、例えば
図4に示すような定水位弁10を用いた遮水装置1が考えられる。この従来の遮水装置1は一定の容量を有する水槽3に通気管15(吸気管もしくは排気管)が接続し、この通気管15の先端にフロート12を備えた定水位弁10が接続している。また、水槽3の上面には水槽3を介して通気管15とシェルタ内部とを繋ぐ室内通気管16が設けられている。そして、通常時では水槽3の内部が空の状態でフロート12は低位置にある。このとき、定水位弁10は開状態をとり、空気は通気管15、定水位弁10、水槽3、室内通気管16を通して流通する。しかしながら、通気管15に水が流入すると、この水は定水位弁10を通って水槽3内に溜まり、これによりフロート12が浮上する。そして、フロート12が所定の高位置にまで浮上すると定水位弁10は閉状態となって通気管15は閉塞し、これ以上の水槽3への水の流入は遮断される。これにより、シェルタ内部への水の浸入を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-100016号公報
【文献】特開2020-090876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、定水位弁10を用いた従来の遮水装置1は、少なくともフロート12がアーム12aによって回動可能なサイズの水槽3が必要となり、装置寸法が大きくなるという問題点がある。また、水槽3のサイズが大きくなると、水槽3に無視できない重量の水が溜まるため水槽3を床に置く必要が生じる。このことは、シェルタ内の床面積を圧迫することとなり好ましいものではない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、コンパクトで天井等に設置が可能な遮水装置及びこれを備えたシェルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)上面に外部通気口32を備え下面に内部通気口34を備えた外筒部30と、前記外筒部30内に立設したシャフト40と、前記外筒部30内を前記シャフト40に沿って上下動し上面に内筒通気口52を備えるとともに下面に連通口54を備えた内筒部50と、前記内筒部50の上方に位置し前記外筒部30の上面から所定の間隙を取って設けられた整流板60と、前記整流板60から下方に伸び前記内筒部50の側面上部を所定の間隙を取って囲う側壁60aと、防水性を有するとともに前記内筒部50の上下動に伴って伸縮し前記連通口54と前記内部通気口34とを繋ぐ伸縮管42と、前記内筒部50の上面に前記内筒通気口52を囲うように設けられた防水部62と、を有し、
前記外筒部30内に水が貯留すると前記内筒部50が上方に浮上し、前記防水部62が前記整流板60に当接して前記内筒通気口52を閉塞し、前記内部通気口34への水の流入を防止することを特徴とする遮水装置80を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)防水部62が、内筒通気口52の縁に設けられた第1の防水部62aと、前記第1の防水部62aを囲うように設けられた第2の防水部62bとで構成されたことを特徴とする上記(1)記載の遮水装置80を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)伸縮管42を2重で構成することを特徴とした上記(1)または上記(2)に記載の遮水装置80を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)内部が目視可能で外筒部30の上部と下部とに接続し、前記外筒部30内に貯留した水の水位を視認可能な水位確認管70を備えたことを特徴とする上記(1)乃至上記(3)のいずれかに記載の遮水装置80を提供することにより、上記課題を解決する。
(5)防水性を有するシェルタ本体102と、閉じた状態で防水性を有し人が出入り可能な扉部104と、前記シェルタ本体102の屋根に設けられ外部と前記シェルタ本体102内部とで空気を流通させる通気管15と、上記(1)乃至上記(4)のいずれかに記載の遮水装置80と、を有し、
前記遮水装置80の外部通気口32が前記通気管15と接続したことを特徴とするシェルタ100を提供することにより、上記課題を解決する。
(6)遮水装置80が、シェルタ本体102の天井部分に設置されていることを特徴とする上記(5)記載のシェルタ100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る遮水装置は、内筒部が空気の流路と、フロートとしての機能と、流路を開閉する開閉弁との機能を兼ね備えている。また、内筒部の移動は単純な上下動のため、移動に必要な空間が小さい。このため装置規模をコンパクトにまとめ小型化することができる。また、内筒部をフロートとして機能させるため、比較的少量の水でも遮水装置を機能させることができる。これにより、外筒部の貯水量を低減でき、閉状態時の重量を軽減することができる。これにより、遮水装置を上部に設置することが可能となり、室内空間を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る遮水装置の開状態を示す模式的な断面図である。
【
図2】本発明に係る遮水装置の閉状態を示す模式的な断面図である。
【
図4】フロートを用いた従来の遮水装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る遮水装置及びシェルタの実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、
図1は本発明に係る遮水装置80の開状態を示す模式的な断面図であり、
図2は遮水装置80の閉状態を示す模式的な断面図である。尚、本発明に係る遮水装置80はシェルタの通気管に好適なものであるが、使用方法はこれに限定されるものではなく、例えば水密措置、防水措置もしくは排水設備を有する地下室や地下駐車場、地下駐輪場、通路、トンネル、倉庫、電気設備等の地下施設、半地下施設、地上施設、埋設管その他の通気口等にも適用が可能である。
【0011】
先ず、
図1に示す本発明に係る遮水装置80は、ケーシングとしての外筒部30と、この外筒部30内に立設したシャフト40と、外筒部30内をシャフト40に沿って上下動可能な内筒部50と、この内筒部50の上方に位置し外筒部30内の上部に固定した整流板60と、この整流板60から下方に伸び内筒部50の側面上部を囲う側壁60aと、防水性を有するとともに内筒部50の上下動に伴って伸縮する伸縮管42と、内筒部50の上面に設けられた防水部62と、を有している。
【0012】
そして、外筒部30の上面中央には外部通気口32が設けられ、この外部通気口32は例えば外部と繋がった通気管15と接続する。また、シャフト40は基本的に外筒部30の下面の略中心から上方に向けて立設される。そして、外筒部30の下面にはシャフト40を囲うように内部通気口34が設けられ、この内部通気口34は例えばシェルタや地下施設等の室内と繋がった室内通気管16と接続する。また、外筒部30の下面には、外筒部30内に溜まった水を排出するドレン管36が設けられ、このドレン管36は例えば開閉弁36aによって開閉する。さらに、外筒部30の下部には内筒部50の上下動の下限を規定するスペーサ38を設けても良い。尚、外筒部30の外形形状は四角柱、六角柱等、特に限定は無いが、円柱状とすることが好ましい。
【0013】
また、外筒部30には水位確認管70を設けても良い。この水位確認管70は外筒部30の外側に設けられるとともに内部が目視可能な透明もしくは半透明のパイプで構成され、一端が外筒部30の上部に接続し、もう一端が外筒部30の下部に接続している。そして、外筒部30内に水が貯留すると、その水の一部は外筒部30にも流入し、このときの水位確認管70内の水の水位は外筒部30内に貯留した水の水位と等しくなる。よって、使用者が水位確認管70内の水の有無及び水位を確認することで、通気管15からの水の流入、及び外筒部30内に貯留した水の水量を把握することができる。また、水位確認管70に遮水装置80が閉動作する水位を予めマーキングしておくことで、使用者は遮水装置80の閉動作を知ることができる。尚、この水位確認管70を備えた構成では外筒部30内の水位の把握に水位センサ等の電力を必要とする部材を用いないため、停電時でも通気管15からの水の流入や遮水装置80の閉動作を認識することができる。
【0014】
また、内筒部50は下面の略中心にシャフト40が貫通するシャフト孔と、シャフト40を保持するシャフト受56とを有しており、このシャフト受56にシャフト40がスライド可能に挿入することで、内筒部50は外筒部30内をシャフト40に沿って上下動可能となる。尚、内筒部50は円柱形とすることが特に好ましい。そして、内筒部50の上面中央には内筒通気口52が設けられ、また、内筒部50下面にはシャフト受56を囲うように連通口54が設けられる。
【0015】
また、内筒部50の連通口54と外筒部30の内部通気口34とは伸縮管42によって繋がれる。これにより、内筒通気口52、連通口54、内部通気口34、及び室内通気管16は連通する。また、前述のように伸縮管42は防水性を有しているから、外筒部30内に水が貯留した場合でも内筒部50側に水が浸入することはない。尚、伸縮管42はアルミフレキシブルダクト等の蛇腹状のダクトやホース、その他の伸縮が可能な周知の管状部材が用いられ、これにより防水性を維持しながら内筒部50の上下動に伴って伸縮する。尚、伸縮管42は第2の伸縮管42a内に設けて2重構造とし、防水性の更なる向上を図ることが好ましい。
【0016】
また、内筒部50の上方に設けられた整流板60は、外筒部30の上面(天井面)から空気の流通を妨げない所定の間隙を取って設けられるとともに、内筒部50が上昇した際には内筒部50の上面が当接し、内筒部50が下限位置にあるときは内筒部50との間に空気の流通を妨げない十分な間隙が形成されるよう設計される。また、この整流板60には内筒部50の側面上部を囲うように下方に伸びた側壁60aが設けられる。よって、この整流板60と側壁60aとは内筒部50の側面上部を覆う下に凹のキャップ形状を呈する。また、内筒部50の側面と側壁60aの内面との間には空気の流通を妨げない所定の間隙が設けられる。尚、側壁60aの長さは
図1に示すように内筒部50が下限位置にある状態でも内筒部50の上面が側面視で側壁60aの内側に位置していれば良い。
【0017】
また、内筒部50の上面には、内筒通気口52を囲うように防水部62が設けられる。尚、防水部62は整流板60の下面に押圧されることで内筒通気口52を閉塞するものであり、パッキン等の周知の防水部材を用いることができる。また、防水部62は内筒通気口52の縁部に設けられたゴムパッキン等の第1の防水部62aと、この第1の防水部62aを囲うように設けられた第2の防水部62bとの2重構造とすることが好ましい。さらに、第2の防水部62bは第1の防水部62aよりも柔らかなウレタンやスポンジ等で構成するとともに、第1の防水部62aよりも先に整流板60に当接することが好ましい。この構成では、外筒部30内に水が急激に流入し内筒部50が急上昇した場合でも、第2の防水部62bが緩衝材となって衝撃を和らげ、第1の防水部62aによる内筒通気口52の閉塞を確実に行うことができる。
【0018】
次に、本発明に係る遮水装置80を備えたシェルタ100を
図3に示す。本発明に係る遮水装置80を備えたシェルタ100は、防水性を有するシェルタ本体102と、閉じた状態で防水性を有し人が出入り可能な扉部104と、シェルタ本体102の屋根に設けられ外部とシェルタ本体102内部とで空気を流通させる通気管15と、本発明に係る遮水装置80と、を有し、この遮水装置80の外部通気口32と通気管15のシェルタ側の管端とが接続する。尚、
図3に示すシェルタ100では、シェルタ本体102の側面と上面に扉部104を設けた例を示しているが、地中埋設型では上面の扉部104のみで良く、また地上設置型では側面の扉部104のみで良い。また、地上設置型ではシェルタ100の屋根に上るための階段を設け、側面と上面の両方に扉部104を設けても良い。この構成では、シェルタ100の周囲が浸水した状態でも上面の扉部104から人の出入りが可能となる。
【0019】
また、シェルタ100には通気管15を2本設け、一方は外気をシェルタ本体102内に取り込む吸気管15aとし、もう一方はシェルタ本体102内の空気を外部に排出する排気管15bとすることが好ましい。この場合、本発明に係る遮水装置80は吸気管15aと排気管15bのそれぞれに個別に設置する。そして、吸気管15aに接続した遮水装置80の内部通気口34には室内通気管16としての外気供給管16aが接続し、この外気供給管16aには例えば送気ファンや空気清浄機等の外気供給機17aが接続する。また、排気管15bに接続した遮水装置80の内部通気口34には室内通気管16としての室内排気管16bが接続し、この室内排気管16bには例えば吸気ファン等の吸気設備17bが接続する。尚、遮水装置80は吸気管15a、排気管15bの設置個所であるシェルタ本体102の天井部分に設けることが特に好ましい。この構成では、遮水装置80がシェルタ本体102内の床面積を圧迫せず、シェルタ100の室内空間を有効利用することができる。
【0020】
次に、本発明に係る遮水装置80の動作をシェルタ100の例を用いて説明する。先ず、使用者が扉部104を通じてシェルタ本体102内に入室し、扉部104を所定の操作で水密状態とする。このとき、遮水装置80は外筒部30内に水が貯留していない空の状態であり、内筒部50は自重によってスペーサ38によって規定された
図1に示す下限位置にある。そして、この状態では内筒部50と整流板60とは離間しており、通気管15と室内通気管16とは、遮水装置80の外部通気口32、外筒部30、内筒通気口52、内筒部50、連通口54、伸縮管42、内部通気口34を介して連通し、シェルタ100内外での空気の流通が可能となる。
【0021】
そして、例えば外気供給機17aが稼働すると、外気が吸気管15aから外部通気口32を通って外筒部30内に取り込まれる。そして、側壁60aと内筒部50の側面との間隙を通って内筒部50と整流板60との間の空間に入り、内筒通気口52を通して内筒部50内に取り込まれる。また、内筒部50内に取り込まれた空気は連通口54、伸縮管42、内部通気口34を通して外気供給管16aに送出され、外気供給機17aを介してシェルタ本体102内に供給される。
【0022】
また、例えば吸気設備17bが稼働すると、シェルタ本体102内の空気は吸気設備17bを介して室内排気管16bから取り込まれ、内部通気口34、伸縮管42、連通口54、内筒部50を通して内筒通気口52から排出される。そして、内筒部50の側面と側壁60aとの間隙を通して外筒部30内に送出され、整流板60の上方から外部通気口32に排出される。そして、排気管15bを通して屋外に排出される。
【0023】
次に、シェルタ100が浸水して通気管15(吸気管15a、排気管15b)から水が浸入したと仮定する。このとき、水は外部通気口32から外筒部30内に流入し、外筒部30内に貯留する。またこのとき、貯留した水の一部は水位確認管70内に流入し、使用者は水位確認管70を介して外筒部30内に貯留した水の水位を確認することができる。尚、水が外筒部30内に流入した場合、外気供給機17a、吸気設備17bは自動もしくは手動で停止させることが好ましい。そして、外筒部30内の水位が上昇すると、外筒部30内に貯留した水の浮力によって内筒部50が浮上する。そして、
図2に示すように、内筒部50の上面の防水部62と整流板60の下面とが当接し、整流板60の下面に押圧される。これにより、内筒通気口52は閉塞する。尚、このとき整流板60と側壁60aとで形成された空間Aは空気溜りとなり、防水部62側への水の流入を阻止する役割を果たす。これにより、遮水装置80は水も空気も通さない閉状態となり、内部通気口34及び室内通気管16側への水の流入は防止され、シェルタ100内への水の流入は阻止される。尚、遮水装置80が閉状態となるとシェルタ本体102内は密閉状態となるため、シェルタ100に予め酸素ボンベ106等を準備しておき、適宜使用して酸欠を防止する事が好ましい。
【0024】
また、シェルタ100の屋根もしくはシェルタ100の近傍の高所にはカメラ108を設け、周囲の状況をシェルタ100内から確認可能とすることが好ましい。そして、シェルタ100の周囲の水が引いたことが確認できたら、使用者は開閉弁36aを開け外筒部30内の水をドレン管36から排出する。また、何らかの原因でカメラが動作しない場合、ドレン管36を短時間、手動で開状態とし、水位確認管70の水位の変化を確認する。そして、水位確認管70の水位が低下すれば、通気管15から新たな水が流入しないとして使用者はドレン管36から外筒部30内の水を排出する。これにより、外筒部30内の水の水位は低下して内筒部50が下降し、防水部62が整流板60から離れ内筒通気口52が開放する。これにより、遮水装置80は開状態となり、通気管15(吸気管15a、排気管15b)と室内通気管16(外気供給管16a、室内排気管16b)とが連通して空気の流通が可能となる。
【0025】
以上のように、本発明に係る遮水装置80は、内筒部50が空気の流路と、フロートとしての機能と、流路(内筒通気口52)を開閉する開閉弁との機能を兼ね備えている。このため装置規模をコンパクトにまとめ小型化することができる。また、内筒部50の移動はシャフト40に沿った単純な上下動のため、移動に必要な空間が小さく、これも装置規模の小型化に寄与する。さらに、外筒部30内に内筒部50を収容し、この内筒部50をフロートとして機能させるため、比較的少量の水でも内筒部50を浮上させ遮水装置80を閉状態とすることができる。これにより、外筒部30の貯水量を低減でき、閉状態時(外筒部30内の水の貯留時)の重量を軽減することができる。これにより、遮水装置80を天井等の室内の上部に設置することが可能となり、遮水装置80が床面積を圧迫せず、室内空間を有効利用することができる。
【0026】
尚、本例で示した遮水装置80、シェルタ100は一例であり、外筒部30、内筒部50、伸縮管42、整流板60、防水部62、シェルタ100及びその他の各部の形状、構成、機構、動作等は上記の例に限定されるわけではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
15 通気管
30 外筒部
32 外部通気口
34 内部通気口
40 シャフト
42 伸縮管
50 内筒部
52 内筒通気口
54 連通口
60 整流板
60a 側壁
62 防水部
62a 第1の防水部
62b 第2の防水部
70 水位確認管
80 遮水装置
100 シェルタ
102 シェルタ本体
104 扉部