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特許7365728投薬支援装置、投薬支援方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】投薬支援装置、投薬支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20231013BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022139499
(22)【出願日】2022-09-01
【審査請求日】2023-02-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520459997
【氏名又は名称】cBioinformatics株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】山口 茂夫
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-037110(JP,A)
【文献】特開2020-058274(JP,A)
【文献】特開2022-062827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支援対象の患者である対象患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該対象患者の1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付部と、
対象患者ではない患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、当該患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記ゲノム情報と前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定部と、
前記類似決定部が決定した前記1以上類似患者の2以上の投薬情報を前記患者情報格納部から取得し、当該2以上の各投薬情報が有する薬識別子と対になる治療成績を含む1以上の薬属性値を取得し、当該1以上の薬属性値を用いて、前記2以上の投薬情報のうちの一部を有する推薦情報を取得する、または治療成績を含む当該1以上の薬属性値を用いて、前記2以上の投薬情報の順序を変更した推薦情報を取得する推薦取得部と、
前記推薦取得部が取得した前記推薦情報を出力する推薦出力部とを具備する投薬支援装置。
【請求項2】
1以上の患者属性値に対応する1以上の標準治療情報が格納される治療ガイドライン格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記1以上の患者属性値に対応する1以上の標準治療情報を取得する標準取得部と、
前記標準取得部が取得した前記1以上の標準治療情報を用いた治療候補を出力する治療出力部とをさらに具備する請求項1記載の投薬支援装置。
【請求項3】
支援対象の患者である対象患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該対象患者の1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付部と、
対象患者ではない患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、当該患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記ゲノム情報と前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定部と、
前記類似決定部が決定した前記1以上の各類似患者の投薬情報を前記患者情報格納部から取得し、当該1以上の投薬情報を用いた推薦情報であり、前記対象患者に勧める投薬に関する推薦情報を取得する推薦取得部と、
前記推薦取得部が取得した前記推薦情報を出力する推薦出力部とを具備し、
前記類似決定部は、
前記対象患者のゲノム情報に対して、類似ゲノム条件を満たすゲノム情報に対応する1以上の患者を決定する絞込手段と、
前記絞込手段が決定した1以上の患者の中から、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記1以上の患者属性値と、前記絞込手段が決定した1以上の患者の前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定手段とを具備する投薬支援装置。
【請求項4】
1以上の各ゲノム情報に対応付けて、薬を識別する薬識別子を有する候補情報を格納している候補情報格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記ゲノム情報を用いて、1以上の候補情報を取得する候補決定部と、
前記推薦取得部は、
前記類似決定部が決定した1以上の各類似患者の投薬情報を前記患者情報格納部から取得する投薬取得手段と、
前記投薬取得手段が取得した前記1以上の投薬情報と、前記候補決定部が取得した1以上の候補情報とを用いて、前記推薦情報を取得する推薦取得手段とを具備する請求項1から請求項いずれか一項に記載の投薬支援装置。
【請求項5】
情報受付部と、類似決定部と、推薦取得部と、推薦出力部と、標準取得部と、治療出力部とにより実現される投薬支援方法であり、
前記情報受付部が、支援対象の患者である対象患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該対象患者の1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付ステップと、
前記類似決定部が、対象患者ではない患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、当該患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記ゲノム情報と前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定ステップと、
前記推薦取得部が、前記類似決定ステップで決定された前記1以上類似患者の2以上の投薬情報を前記患者情報格納部から取得し、当該2以上の各投薬情報が有する薬識別子と対になる治療成績を含む1以上の薬属性値を取得し、当該1以上の薬属性値を用いて、前記2以上の投薬情報のうちの一部を有する推薦情報を取得する、または治療成績を含む当該1以上の薬属性値を用いて、前記2以上の投薬情報の順序を変更した推薦情報を取得する推薦取得ステップと、
前記推薦出力部が、前記推薦取得ステップで取得された前記推薦情報を出力する推薦出力ステップを具備する投薬支援方法。
【請求項6】
情報受付部と、類似決定部と、推薦取得部と、推薦出力部とにより実現される投薬支援方法であり、
前記情報受付部が、支援対象の患者である対象患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該対象患者の1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付ステップと、
前記類似決定部が、対象患者ではない患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、当該患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記ゲノム情報と前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定ステップと、
前記推薦取得部が、前記類似決定ステップで決定された前記1以上の各類似患者の投薬情報を前記患者情報格納部から取得し、当該1以上の投薬情報を用いた推薦情報であり、前記対象患者に勧める投薬に関する推薦情報を取得する推薦取得ステップと、
前記推薦出力部が、前記推薦取得ステップで取得された前記推薦情報を出力する推薦出力ステップとを具備し、
前記類似決定ステップは、
前記対象患者のゲノム情報に対して、類似ゲノム条件を満たすゲノム情報に対応する1以上の患者を決定する絞込サブステップと、
前記絞込サブステップで決定された1以上の患者の中から、前記情報受付ステップで受け付けられた前記対象情報が有する前記1以上の患者属性値と、前記絞込サブステップで決定された1以上の患者の前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定サブステップとを具備する投薬支援方法。
【請求項7】
コンピュータを、
支援対象の患者である対象患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該対象患者の1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付部と、
対象患者ではない患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、当該患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記ゲノム情報と前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定部と、
前記類似決定部が決定した前記1以上類似患者の2以上の投薬情報を前記患者情報格納部から取得し、当該2以上の各投薬情報が有する薬識別子と対になる治療成績を含む1以上の薬属性値を取得し、当該1以上の薬属性値を用いて、前記2以上の投薬情報のうちの一部を有する推薦情報を取得する、または治療成績を含む当該1以上の薬属性値を用いて、前記2以上の投薬情報の順序を変更した推薦情報を取得する推薦取得部と、
前記推薦取得部が取得した前記推薦情報を出力する推薦出力部して機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
支援対象の患者である対象患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該対象患者の1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付部と、
対象患者ではない患者の正常ゲノム情報を含むゲノム情報と当該患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、当該患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記ゲノム情報と前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定部と、
前記類似決定部が決定した前記1以上の各類似患者の投薬情報を前記患者情報格納部から取得し、当該1以上の投薬情報を用いた推薦情報であり、前記対象患者に勧める投薬に関する推薦情報を取得する推薦取得部と、
前記推薦取得部が取得した前記推薦情報を出力する推薦出力部として機能させるためのプログラムであって、
前記類似決定部は、
前記対象患者のゲノム情報に対して、類似ゲノム条件を満たすゲノム情報に対応する1以上の患者を決定する絞込手段と、
前記絞込手段が決定した1以上の患者の中から、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記1以上の患者属性値と、前記絞込手段が決定した1以上の患者の前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定手段とを具備するものとして、前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者のゲノム情報を用いて、当該患者への投薬に関する情報を提案する投薬支援装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、患者個人の副作用を考慮した治療計画の作成を支援する技術があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-62827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、患者に対して適切な薬を決定することが容易ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第一の発明の投薬支援装置は、支援対象の患者である対象患者のゲノム情報と対象患者の1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付部と、対象患者ではない患者のゲノム情報と患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部を参照し、情報受付部が受け付けた対象情報が有するゲノム情報と1以上の患者属性値とを用いて、対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定部と、類似決定部が決定した1以上の各類似患者の投薬情報を患者情報格納部から取得し、1以上の投薬情報を用いた推薦情報であり、対象患者に勧める投薬に関する推薦情報を取得する推薦取得部と、推薦取得部が取得した推薦情報を出力する推薦出力部とを具備する投薬支援装置である。
【0006】
かかる構成により、他の患者の情報を利用することにより、患者に適切な薬を勧めることができる。
【0007】
また、本第二の発明の投薬支援装置は、第一の発明に対して、1以上の各ゲノム情報に対応付けて、薬を識別する薬識別子を有する候補情報を格納している候補情報格納部を参照し、情報受付部が受け付けたゲノム情報を用いて、1以上の候補情報を取得する候補決定部と、推薦取得部は、類似決定部が決定した1以上の各類似患者の投薬情報を患者情報格納部から取得する投薬取得手段と、投薬取得手段が取得した1以上の投薬情報と、候補決定部が取得した1以上の候補情報とを用いて、推薦情報を取得する推薦取得手段とを具備する投薬支援装置である。
【0008】
かかる構成により、他の患者の情報と薬に対する標準的な知識とを利用することにより、患者に適切な薬を勧めることができる。
【0009】
また、本第三の発明の投薬支援装置は、第一または第二の発明に対して、情報受付部は、対象患者の変異ゲノム情報を含む異常ゲノム情報と対象患者の正常ゲノム情報とを含む対象情報を受け付け、類似決定部は、正常ゲノム情報と異常ゲノム情報との差異に関する変異ゲノム情報を取得する変異取得手段と、患者情報格納部を参照し、変異取得手段が取得した変異ゲノム情報と1以上の患者属性値とを用いて、対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定手段とを具備する投薬支援装置である。
【0010】
かかる構成により、変異ゲノム情報を利用することにより、患者により適切な薬を勧めることができる。
【0011】
また、本第四の発明の投薬支援装置は、第一から第三いずれか1つの発明に対して、1以上の患者属性値に対応する1以上の標準治療情報が格納される治療ガイドライン格納部を参照し、情報受付部が受け付けた1以上の患者属性値に対応する1以上の標準治療情報を取得する標準取得部と、標準取得部が取得した1以上の標準治療情報を用いた治療候補を出力する治療出力部とをさらに具備する投薬支援装置である。
【0012】
かかる構成により、標準治療情報を用いた治療候補も出力できる。
【0013】
また、本第五の発明の投薬支援装置は、第一から第四いずれか1つの発明に対して、類似決定部は、対象患者のゲノム情報に対して、類似ゲノム条件を満たすゲノム情報に対応する1以上の患者を決定する絞込手段と、絞込手段が決定した1以上の患者の中から、情報受付部が受け付けた対象情報が有する1以上の患者属性値と、絞込手段が決定した1以上の患者の1以上の患者属性値とを用いて、対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定手段とを具備する投薬支援装置である。
【0014】
かかる構成により、ゲノム情報を用いて、類似する患者の絞り込みを早期に行うことにより、高速な処理が可能となる。
【0015】
また、本第六の発明の投薬支援装置は、第一から第五いずれか1つの発明に対して、対象情報は、生殖細胞系列多型情報を有し、薬識別子と薬の副作用に関する副作用情報と生殖細胞系列多型情報との対応を示す1以上の副作用管理情報が格納される副作用管理部を参照し、推薦情報が有する薬識別子と対象情報が有する生殖細胞系列多型情報とに対応する副作用情報を取得する副作用取得部と、副作用情報を出力する副作用出力部とをさらに具備する投薬支援装置である。
【0016】
かかる構成により、推薦する薬に対する副作用の情報を出力できる。
【0017】
また、本第七の発明の投薬支援装置は、第一から第六いずれか1つの発明に対して、推薦取得部は、2以上の投薬情報を取得し、2以上の各投薬情報が有する薬識別子と対になる1以上の薬属性値を取得し、1以上の薬属性値を用いて、2以上の投薬情報のうちの一部を有する推薦情報を構成する、または1以上の薬属性値を用いて、2以上の投薬情報の順序を変更した推薦情報を構成する、投薬支援装置である。
【0018】
かかる構成により、より適切な薬を提案できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による投薬支援装置によれば、他の患者の情報を利用することにより、患者に適切な薬を勧めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1における投薬支援システムAの概念図
図2】同投薬支援システムAのブロック図
図3】同投薬支援装置1のブロック図
図4】同投薬支援装置1の動作例について説明するフローチャート
図5】同候補決定処理の例について説明するフローチャート
図6】同類似決定処理の例について説明するフローチャート
図7】同類似判断処理の例について説明するフローチャート
図8】同推薦取得処理の例について説明するフローチャート
図9】同出力情報構成処理の例について説明するフローチャート
図10】同薬管理表を示す図
図11】同候補管理表を示す図
図12】同患者管理表を示す図
図13】同標準治療管理表を示す図
図14】同副作用管理表を示す図
図15】同出力例を示す図
図16】同コンピュータシステムの概観図
図17】同コンピュータシステムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、投薬支援装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態において、対象の患者のゲノム情報と患者属性値とを受け付け、患者情報のDBから1以上の類似患者を決定し、当該類似患者に対応する投薬情報を取得し、当該投薬情報を用いて、対象の患者に推薦する投薬に関する情報を出力する投薬支援装置について説明する。なお、患者は、通常、癌患者であるが、他の疾病の患者でも良い。
【0023】
また、本実施の形態において、対象の患者のゲノム情報を用いて、1以上の候補となる薬の情報を取得し、かつ患者情報のDBから1以上の類似患者を決定し、当該1以上の類似患者に対応する投薬情報を推定し、候補の薬の情報と投薬情報とを用いて、対象の患者が摂取すべき薬の情報を構成し、出力する投薬支援装置について説明する。
【0024】
また、本実施の形態において、患者の異常ゲノム情報と正常ゲノム情報とから変異ゲノム情報を取得し、当該変異ゲノム情報を用いて、対象の患者が摂取すべき薬の情報を構成し、出力する投薬支援装置について説明する。
【0025】
また、本実施の形態において、患者属性値(例えば、癌の部位、ステージ、タイプ)を用いて、治療ガイドラインを検索し、標準治療情報を取得し、出力する投薬支援装置について説明する。
【0026】
さらに、本実施の形態において、薬剤の副作用に関する情報を出力する投薬支援装置について説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態における投薬支援システムAの概念図である。投薬支援システムAは、投薬支援装置1、および1または2以上の端末装置2を備える。
【0028】
投薬支援装置1は、対象の患者のゲノム情報と1以上の患者属性値とを受け付け、当該対象の患者に勧める投薬に関する情報を出力する装置である。ここでは、投薬支援装置1は、例えば、いわゆるサーバである。投薬支援装置1は、例えば、クラウドサーバ、ASPサーバ等であるが、その種類は問わない。なお、後述するように、投薬支援装置1は、スタンドアロンの装置でも良い。
【0029】
端末装置2は、ユーザが使用する端末である。ユーザは、例えば、医師であるが、看護師、薬剤師、患者、患者の家族等でも良い。端末装置2は、例えば、いわゆるパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末である。なお、投薬支援装置1がスタンドアロンの装置である場合、端末装置2は不要である。
【0030】
投薬支援装置1と1以上の各端末装置2とは、通常、インターネットやLAN等のネットワークにより通信可能である。
【0031】
図2は、本実施の形態における投薬支援システムAのブロック図である。図3は、投薬支援装置1のブロック図である。
【0032】
投薬支援装置1は、格納部11、受付部12、処理部13、および出力部14を備える。格納部11は、候補情報格納部111、患者情報格納部112、治療ガイドライン格納部113、および副作用管理部114を備える。なお、候補情報格納部111、患者情報格納部112、治療ガイドライン格納部113、副作用管理部114は、投薬支援装置1ではない外部の装置(図示しない)に存在していても良い。受付部12は、情報受付部121を備える。処理部13は、候補決定部131、類似決定部132、推薦取得部133、標準取得部134、および副作用取得部135を備える。類似決定部132は、絞込手段1321、変異取得手段1322、および類似決定手段1323を備える。推薦取得部133は、投薬取得手段1331、および推薦取得手段1332を備える。出力部14は、推薦出力部141、治療出力部142、および副作用出力部143を備える。
【0033】
端末装置2は、端末格納部21、端末受付部22、端末処理部23、端末送信部24、端末受信部25、および端末出力部26を備える。
【0034】
投薬支援装置1を構成する格納部11には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、後述する候補情報、後述する患者情報、後述する副作用情報、後述する各種の条件、薬データベースである。なお、後述する各種の条件は、プログラム中に埋め込まれていても良いことは言うまでもない。
【0035】
また、候補情報格納部111、患者情報格納部112、治療ガイドライン格納部113、副作用管理部114、および薬データベースは、図示しない外部の装置に存在していても良い。かかる場合、投薬支援装置1は、当該外部の装置にアクセス可能である。
【0036】
薬データベースは、1または2以上の薬情報を有する。薬情報とは、薬に関する情報である。薬情報は、薬識別子と1以上の薬属性値とを有する。薬識別子とは、薬を識別する情報である。薬識別子は、例えば、ID、薬品名である。薬属性値とは、薬の属性値である。1以上の薬属性値は、例えば、治療成績、価格、保険適用が可能であるか否かである。治療成績とは、患者に薬を投与した際の成績を示す情報である。治療成績は、例えば、投薬の効果があった割合い、投薬により寛解した割合いまたは人数である。
【0037】
候補情報格納部111には、1または2以上の候補情報が格納される。候補情報とは、ゲノム情報に対する薬の情報である。候補情報は、提案する薬の候補を含む情報である。候補情報は、1または2以上の薬識別子を有する。候補情報に含まれる薬識別子は、1または2以上のゲノム情報に対応付いている。なお、候補情報格納部111は、患者に投薬を提案する際に使用されるルールベースである、と言える。
【0038】
ゲノム情報とは、遺伝子の情報である。ゲノム情報とは、遺伝子の配列の情報である。ゲノム情報は、通常、「A」「G」「C」「T」の文字の組み合わせである。
【0039】
患者情報格納部112には、2以上の患者情報が格納される。患者情報とは、投薬を受けた患者に関する情報である。患者情報格納部112は、患者に投薬を提案する際に使用される事例ベースである、と言える。
【0040】
患者情報は、患者固有情報と投薬情報とを有する。患者固有情報とは、患者固有の情報である。患者固有情報は、患者のゲノム情報と当該患者の1以上の患者属性値とを有する。患者固有情報が有するゲノム情報は、変異ゲノム情報のみでも良い。変異ゲノム情報とは、変異した遺伝子の情報であり、正常ゲノム情報と異常ゲノム情報との差分の情報である。変異ゲノム情報は、正常ゲノム情報と異常ゲノム情報とを比較した場合に異なる情報であり、異常ゲノム情報の中の情報である。正常ゲノム情報とは、正常な細胞に対応するゲノム情報である。正常ゲノム情報は、例えば、唾液、血液を用いて取得された情報である。異常ゲノム情報とは、異常な細胞に対応するゲノム情報である。異常ゲノム情報は、変異が発生している部位の細胞(例えば、癌細胞)を用いて取得された情報である。
【0041】
患者情報が有する投薬情報は、患者が摂取して、効果のあった薬の情報である。投薬情報は、薬識別子を有する。投薬情報は、効果情報を有しても良い。効果情報とは、薬の投与に対する効果を特定する情報である。効果情報は、例えば、反応率、生存率を有する。反応率とは、主に薬剤の投薬による腫瘍縮小率である。生存率とは、所定期間(例えば、5年)における生存率である。
【0042】
なお、患者情報格納部112に格納されている2以上の各患者情報に対応する患者は、通常、対象患者ではないが、対象患者を含んでも良い。ここでの患者は、過去の投薬により効果があった患者であることは好適であるので、適宜、過去患者という。また、対象患者とは、投薬を推薦する患者である。
【0043】
治療ガイドライン格納部113には、1または2以上の標準治療情報が格納される。標準治療情報とは、標準治療に関する情報である。標準治療情報とは、標準治療を特定する情報である。治療ガイドライン格納部113の1以上の各標準治療情報には、1以上の患者属性値が対応付いている。つまり、1以上の患者属性値が決まれば、1以上の標準治療が決定され得る。
【0044】
副作用管理部114には、1または2以上の副作用管理情報が格納される。副作用管理情報とは、薬の副作用に関する情報である。副作用管理情報は、薬識別子と当該薬の副作用に関する副作用情報と生殖細胞系列多型情報との対応を示す情報である。副作用情報は、副作用を特定する副作用識別子(例えば、「吐き気」「頭痛」「発熱」)を有する。生殖細胞系列多型情報とは、疾病でない(通常、癌ではない)ゲノム情報である。生殖細胞系列多型情報は、正常ゲノム情報である。
【0045】
受付部12は、各種の指示や情報を受け付ける。各種の指示や情報とは、例えば、後述する対象情報である。
【0046】
情報受付部121は、対象情報を受け付ける。対象情報とは、投薬の支援の対象患者の情報である。対象情報は、対象患者のゲノム情報と対象患者の1以上の患者属性値とを有する。対象情報に含まれるゲノム情報は、対象患者の変異ゲノム情報を含む異常ゲノム情報と正常ゲノム情報であることは好適である。対象情報に含まれるゲノム情報は、変異ゲノム情報でも良い。また、対象情報は、生殖細胞系列多型情報を含むことは好適である。なお、変異ゲノム情報とは、変異した遺伝子の情報である。正常ゲノム情報とは、変異ゲノム情報を有さないゲノム情報である。
【0047】
患者属性値とは、患者の属性値である。患者属性値は、例えば、癌の部位、ステージ、リンパへの転移の有無、癌のタイプ、年齢、性別、病理組織方、免疫染色、TNM分類、核異形度、家族歴である。
【0048】
ここでは、受け付けとは、通常、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信であるが、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念であっても良い。
【0049】
処理部13は、各種の処理を行う。各種の処理は、例えば、候補決定部131、類似決定部132、推薦取得部133、標準取得部134、副作用取得部135が行う処理である。
【0050】
候補決定部131は、候補情報格納部111を参照し、情報受付部121が受け付けたゲノム情報を用いて、1以上の候補情報を取得する。
【0051】
候補決定部131は、例えば、情報受付部121が受け付けたゲノム情報に対して、候補条件を満たすゲノム情報と対になる1以上の候補情報を候補情報格納部111から取得する。
【0052】
候補条件とは、2つのゲノム情報の関連性が深いことを判断するための条件である。候補条件は、例えば、2つのゲノム情報が一致すること、または2つのゲノム情報が第一類似条件を満たすことである。つまり、候補決定部131は、例えば、情報受付部121が受け付けたゲノム情報に一致するゲノム情報と対になる1以上の候補情報を候補情報格納部111から取得する。候補決定部131は、例えば、情報受付部121が受け付けたゲノム情報と第一類似条件を満たすゲノム情報と対になる1以上の候補情報を候補情報格納部111から取得する。
【0053】
なお、第一類似条件は、例えば、2つのゲノム情報の類似度が閾値以上または閾値より大きいことである。第一類似条件は、例えば、情報受付部121が受け付けたゲノム情報との類似度の順位が閾値(1または2以上の自然数)以上であることである。
【0054】
2つのゲノム情報の類似度は、例えば、2つの文字列の類似度である。2つのゲノム情報の類似度は、例えば、編集距離(レーベンシュタイン距離)、2つのゲノム情報の一致する文字の割合いまたは一致する文字の数、2つのゲノム情報の一致しない文字の割合いまたは一致しない文字の数である。2つのゲノム情報の類似度は、例えば、変異の数(Total mutation burden)、変異のパターン(Mutation signature)、遺伝子発現値によるクラスタリングによる類似度等でも良い。
【0055】
類似決定部132は、患者情報格納部112を参照し、情報受付部121が受け付けた対象情報が有するゲノム情報と1以上の患者属性値とを用いて、対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する。
【0056】
類似決定部132は、例えば、情報受付部121が受け付けた対象情報が有するゲノム情報と1以上の患者属性値とを用いて、対象患者に対して第二類似条件を満たす1以上の類似患者を決定する。
【0057】
第二類似条件は、例えば、情報受付部121が受け付けた対象情報が有するゲノム情報と1以上の患者属性値とを用いて取得された対象ベクトルと、患者情報格納部112の各患者情報が有するゲノム情報と1以上の患者属性値とを用いて取得されたベクトルとの類似度が閾値以上または閾値より大きいことである。第二類似条件は、例えば、対象ベクトルと、患者情報格納部112の各患者情報に基づいて取得されたベクトルとの類似度の順位がトップであること、または閾値より高いことである。
【0058】
なお、類似決定部132は、絞込手段1321、変異取得手段1322、類似決定手段1323により、1以上の類似患者を決定することは好適である。
【0059】
絞込手段1321は、患者情報格納部112を参照し、対象患者のゲノム情報に対して、類似ゲノム条件を満たすゲノム情報に対応する1以上の患者を決定する。なお、かかる1以上の患者は、過去患者である。類似ゲノム条件は、例えば、2つのゲノム情報の類似度が閾値以上または閾値より大きいこと、対象患者のゲノム情報との類似度の順位が閾値(1または2以上の自然数)以上であることである。
【0060】
変異取得手段1322は、情報受付部121が受け付けた対象情報に含まれる正常ゲノム情報と異常ゲノム情報との差異に関する変異ゲノム情報を取得する。
【0061】
類似決定手段1323は、患者情報格納部112を参照し、変異取得手段1322が取得した変異ゲノム情報と1以上の患者属性値とを用いて、対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する。かかる場合、患者情報格納部112に格納されている患者情報が有するゲノム情報は、変異ゲノム情報のみであることは好適である。
【0062】
類似決定手段1323は、例えば、絞込手段1321が決定した1以上の患者の中から、情報受付部121が受け付けた対象情報が有する1以上の患者属性値と、絞込手段1321が決定した1以上の患者の1以上の患者属性値とを用いて、対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する。
【0063】
類似決定手段1323は、例えば、絞込手段1321が決定した1以上の患者の中から、情報受付部121が受け付けた対象情報が有する1以上の患者属性値(対象属性値集合)と、絞込手段1321が決定した1以上の患者の1以上の患者属性値(患者属性値集合)とが、類似属性値条件を満たすか否かを判断する。
【0064】
類似属性値条件は、例えば、対象属性値集合(例えば、「部位」「ステージ」)と患者属性値集合(例えば、「部位」「ステージ」)とが一致すること、対象属性値集合と患者属性値集合との類似度が閾値以上または閾値より大きいこと、または対象属性値集合と患者属性値集合との類似度の順位が閾値(1または2以上の自然数)以上であることである。類似属性値条件は、例えば、対象情報が有する1以上の患者属性値と患者情報が有する1以上の患者属性値との一致率が閾値以上または閾値より大きいこと、対象情報が有する1以上の患者属性値を用いて構成される対象ベクトルと患者情報が有する1以上の患者属性値を用いて構成されるベクトルとの類似度が閾値以上または閾値より大きいことである。
【0065】
推薦取得部133は、類似決定部132が決定した1以上の各類似患者の投薬情報を患者情報格納部112から取得し、当該1以上の投薬情報を用いた推薦情報であり、対象患者に勧める投薬に関する推薦情報を取得する。なお、推薦情報は、例えば、当該1以上の投薬情報を含む。推薦情報は、例えば、当該1以上の投薬情報のうちの一部を含む。
【0066】
推薦取得部133は、例えば、2以上の投薬情報を取得し、2以上の各投薬情報が有する薬識別子と対になる1以上の薬属性値を取得し、当該1以上の薬属性値を用いて、2以上の投薬情報のうちの一部を有する推薦情報を構成する。推薦取得部133は、例えば、薬データベースから薬識別子と対になる1以上の薬属性値を取得する。
【0067】
推薦取得部133は、例えば、2以上の投薬情報を取得し、当該2以上の各投薬情報が有する薬識別子と対になる1以上の薬属性値を取得し、当該1以上の薬属性値を用いて、2以上の投薬情報の順序を変更した推薦情報を構成する。推薦取得部133は、例えば、薬属性値である治療成績が良好な順に2以上の投薬情報をソートし、当該ソートした2以上の投薬情報を有する推薦情報を構成する。
【0068】
なお、推薦情報は、1以上の投薬情報でも良いし、1以上の投薬情報を加工した情報でも良い。
【0069】
推薦取得部133は、投薬取得手段1331、推薦取得手段1332を用いて、推薦情報を取得することは好適である。
【0070】
投薬取得手段1331は、類似決定部132が決定した1以上の各類似患者の投薬情報を患者情報格納部112から取得する。
【0071】
推薦取得手段1332は、投薬取得手段1331が取得した1以上の投薬情報を用いて、推薦情報を取得する。
【0072】
推薦取得手段1332は、例えば、投薬取得手段1331が取得した1以上の投薬情報と、候補決定部131が取得した1以上の候補情報とを用いて、推薦情報を取得する。
【0073】
推薦取得手段1332は、例えば、推薦条件を満たす1以上の薬識別子を用いて、推薦情報を取得する。推薦条件は、例えば、投薬取得手段1331が取得した1以上の投薬情報と候補決定部131が取得した1以上の候補情報との両方に含まれる薬識別子であることである。推薦条件は、例えば、投薬取得手段1331が取得した1以上の投薬情報と候補決定部131が取得した1以上の候補情報のいずれかに含まれる薬識別子であり、良好な治療成績と対になる薬識別子であることである。良好な治療成績は、例えば、治療成績(例えば、反応率、生存率、スコア)が閾値以上または閾値より大きいことである。
【0074】
推薦取得手段1332は、例えば、投薬取得手段1331が取得した1以上の投薬情報と候補決定部131が取得した1以上の候補情報との両方に含まれる薬識別子を含む推薦情報を取得する。
【0075】
推薦取得手段1332は、例えば、投薬取得手段1331が取得した1以上の投薬情報と候補決定部131が取得した1以上の候補情報との両方に含まれる薬識別子を上位に配置し、片方にしか含まれない薬識別子を下位に配置した推薦情報を取得する。
【0076】
標準取得部134は、治療ガイドライン格納部113を参照し、情報受付部121が受け付けた1以上の患者属性値に対応する1以上の標準治療情報を取得する。
【0077】
標準取得部134は、例えば、治療ガイドライン格納部113を参照し、情報受付部121が受け付けた1以上の患者属性値に対して、選択条件を満たす対応する1以上の標準治療情報を取得する。
【0078】
選択条件とは、標準治療情報を決定するための条件である。選択条件は、例えば、対象患者の1以上の患者属性値に一致する1以上の患者属性値と対になる標準治療情報であること、対象患者の1以上の患者属性値から構成されるベクトルとの類似度が閾値以上または閾値より大きいベクトルに対応する1以上の患者属性値と対になる標準治療情報であること、ベクトルの類似度の順位が閾値(1または2以上の自然数)以上であることである。
【0079】
標準取得部134は、例えば、情報受付部121が受け付けた1以上の患者属性値と一致する1以上の患者属性値と対になる1以上の標準治療情報を、治療ガイドライン格納部113から取得する。
【0080】
副作用取得部135は、副作用管理部114を参照し、推薦情報が有する薬識別子と対象情報が有する生殖細胞系列多型情報とに対応する副作用情報を取得する。
【0081】
副作用取得部135は、例えば、副作用管理部114を参照し、推薦情報が有する薬識別子と対象情報が有する生殖細胞系列多型情報とに対して、副作用条件を満たす副作用情報を取得する。
【0082】
なお、副作用条件とは、副作用情報を決定するための条件である。副作用条件は、例えば、推薦情報が有する薬識別子と一致する薬識別子であり、推薦情報が有する生殖細胞系列多型情報と類似するゲノム情報を有する副作用情報であることである。生殖細胞系列多型情報と類似するゲノム情報は、生殖細胞系列多型情報との類似度が閾値以上または閾値より大きいゲノム情報であることである。
【0083】
副作用取得部135は、例えば、推薦情報が有する薬識別子と対象情報が有する生殖細胞系列多型情報と対になる副作用情報を副作用管理部114から取得する。
【0084】
出力部14は、各種の情報を出力する。各種の情報は、例えば、推薦情報、治療候補、副作用情報である。
【0085】
ここで出力とは、通常、端末装置2への送信であるが、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念であっても良い。
【0086】
推薦出力部141は、推薦取得部133が取得した推薦情報を出力する。推薦出力部141は、例えば、対象情報を送信してきた端末装置2に、推薦取得部133が取得した推薦情報を送信する。
【0087】
治療出力部142は、標準取得部134が取得した1以上の標準治療情報を用いた治療候補を出力する。治療出力部142は、例えば、対象情報を送信してきた端末装置2に治療候補を送信する。
【0088】
なお、治療候補とは、1以上の標準治療情報でも良いし、1以上の標準治療情報を加工した情報でも良い。
【0089】
副作用出力部143は、副作用取得部135が取得した副作用情報を出力する。副作用出力部143は、薬識別子に対応付けて、副作用情報を出力する。副作用出力部143は、例えば、対象情報を送信してきた端末装置2に副作用情報を送信する。
【0090】
端末装置2を構成する端末格納部21には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、対象情報、ユーザ識別子である。ユーザ識別子とは、端末装置2のユーザを識別する情報である。
【0091】
端末受付部22は、各種の指示や情報を受け付ける。各種の指示や情報は、例えば、対象情報である。
【0092】
各種の指示や情報の入力手段は、タッチパネルやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。
【0093】
端末処理部23は、各種の処理を行う。各種の処理は、例えば、受け付けられた情報や指示等を、送信する構造の情報や指示等にする処理である。各種の処理は、例えば、受信された情報を出力する構造の情報にする処理である。
【0094】
端末送信部24は、は、各種の情報を送信する。各種の情報は、例えば、対象情報である。
【0095】
端末受信部25は、各種の情報を受信する。各種の情報は、例えば、推薦情報、治療候補、副作用情報である。
【0096】
端末出力部26は、各種の情報を出力する。各種の情報は、例えば、推薦情報、治療候補、副作用情報である。
【0097】
格納部11、候補情報格納部111、患者情報格納部112、治療ガイドライン格納部113、副作用管理部114、および端末格納部21は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0098】
格納部11等に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部11等で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が格納部11等で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部11等で記憶されるようになってもよい。
【0099】
受付部12、および情報受付部121は、無線または有線の通信手段で実現されることが好適であるが、放送を受信する手段、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現されても良い。
【0100】
処理部13、候補決定部131、類似決定部132、推薦取得部133、標準取得部134、副作用取得部135、絞込手段1321、変異取得手段1322、類似決定手段1323、投薬取得手段1331、推薦取得手段1332、および端末処理部23は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。処理部13等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0101】
出力部14、推薦出力部141、治療出力部142、副作用出力部143、および端末送信部24は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。
【0102】
出力部14、推薦出力部141、治療出力部142、および副作用出力部143は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現されても良い。
【0103】
端末受付部22は、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現されても良い。
【0104】
端末受信部25は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0105】
端末出力部26は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。端末出力部26は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0106】
次に、投薬支援システムAの動作例について説明する。まず、投薬支援装置1の動作例について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0107】
(ステップS401)情報受付部121は、対象情報を受け付けたか否かを判断する。対象情報を受け付けた場合はステップS402に行き、対象情報を受け付けなかった場合はステップS401に戻る。なお、対象情報の受け付けは、例えば、端末装置2からの対象情報の受信である。
【0108】
(ステップS402)候補決定部131は、候補決定処理を行う。候補決定処理の例について、図5のフローチャートを用いて説明する。候補決定処理とは、ゲノム情報を用いて、投薬の候補となる薬の候補を決定する処理である。
【0109】
(ステップS403)類似決定部132は、類似決定処理を行う。類似決定処理の例について、図6のフローチャートを用いて説明する。類似決定処理とは、対象患者に類似する類似患者を決定する処理である。
【0110】
(ステップS404)推薦取得部133は、推薦取得処理を行う。推薦取得処理の例について、図8のフローチャートを用いて説明する。推薦取得処理とは、推薦する薬の情報を取得する処理である。
【0111】
(ステップS405)標準取得部134は、受け付けられた対象情報から1以上の患者属性値を取得する。
【0112】
(ステップS406)標準取得部134は、1以上の患者属性値に対応する1以上の標準治療情報を、治療ガイドライン格納部113から取得する。
【0113】
(ステップS407)副作用取得部135は、カウンタiに1を代入する。
【0114】
(ステップS408)副作用取得部135は、ステップS404で取得された1以上の薬識別子の中に、i番目の薬識別子が存在するか否かを判断する。i番目の薬識別子が存在する場合はステップS409に行き、存在しない場合はステップS411に行く。
【0115】
(ステップS409)副作用取得部135は、i番目の薬識別子と対象情報が有する生殖細胞系列多型情報とに対応する副作用情報を、副作用管理部114から取得する。
【0116】
(ステップS410)副作用取得部135は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS408に戻る。
【0117】
(ステップS411)標準取得部134は、例えば、情報受付部121が受け付けた1以上の患者属性値に対応する1以上の患者属性値と対になる1以上の標準治療情報を、治療ガイドライン格納部113から取得する。
【0118】
(ステップS412)処理部13は、出力する情報を構成する。かかる出力情報構成処理の例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0119】
(ステップS413)出力部14は、ステップS412で構成された情報を出力する。ステップS401に戻る。なお、出力部14は、例えば、ステップS412で構成された情報を、端末装置2に送信する。また、出力される情報は、推薦情報を含む。出力される情報は、標準治療情報、副作用情報を含むことは好適である。
【0120】
なお、図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0121】
次に、ステップS402の候補決定処理の例について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0122】
(ステップS501)候補決定部131は、受け付けられた対象情報に含まれるゲノム情報である対象ゲノム情報を取得する。なお、対象ゲノム情報は、変異ゲノム情報であることは好適である。また、対象ゲノム情報は、通常、変異ゲノム情報を含む。
【0123】
(ステップS502)候補決定部131は、カウンタiに1を代入する。
【0124】
(ステップS503)候補決定部131は、候補情報格納部111に、i番目の候補情報が存在するか否かを判断する。i番目の候補情報が存在する場合はステップS504に行き、存在しない場合は上位処理にリターンする。
【0125】
(ステップS504)候補決定部131は、i番目の候補情報に対応するゲノム情報を、候補情報格納部111から取得する。なお、かかるゲノム情報は、通常、変異ゲノム情報を含む。かかるゲノム情報は、変異ゲノム情報であることは好適である。
【0126】
(ステップS505)候補決定部131は、対象ゲノム情報とステップS504で取得したゲノム情報とが、候補条件を満たすか否かを判断する。候補条件を満たす場合はステップS506に行き、満たさない場合はステップS507に行く。
【0127】
(ステップS506)候補決定部131は、i番目の候補情報を取得し、図示しないバッファに一時蓄積する。
【0128】
(ステップS507)候補決定部131は、カウンタを1、インクリメントする。ステップS503に戻る。
【0129】
次に、ステップS403の類似決定処理の例について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0130】
(ステップS601)変異取得手段1322は、受け付けられた対象情報が有する正常ゲノム情報を取得する。
【0131】
(ステップS602)変異取得手段1322は、受け付けられた対象情報が有する異常ゲノム情報を取得する。
【0132】
(ステップS603)変異取得手段1322は、異常ゲノム情報と正常ゲノム情報との差である変位ゲノム情報を、異常ゲノム情報から取得する。なお、受け付けられた対象情報が有するゲノム情報が変位ゲノム情報である場合、ステップS601からステップS603の処理は不要である。
【0133】
(ステップS604)類似決定部132は、受け付けられた対象情報が有する1以上の患者属性値を取得する。
【0134】
(ステップS605)類似決定部132は、カウンタiに1を代入する。
【0135】
(ステップS606)類似決定部132は、患者情報格納部112の中に、i番目の患者情報が存在するか否かを判断する。i番目の患者情報が存在する場合ステップS607に行き、存在しない場合は上位処理にリターンする。
【0136】
(ステップS607)類似決定部132は、受け付けられた対象情報とi番目の患者情報とを用いて、対象者とi番目の患者とが類似するか否かを判断する。かかる類似判断処理の例について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0137】
(ステップS608)類似決定部132は、ステップS607における判断結果が「類似」か「非類似」かを判断する。「類似」であればステップS609に行き、「非類似」であればステップS610に行く。
【0138】
(ステップS609)類似決定部132は、i番目の患者情報を識別する患者識別子を,図示しないバッファに蓄積する。
【0139】
(ステップS610)類似決定部132は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS606に戻る。
【0140】
次に、ステップS607の類似判断処理の例について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0141】
(ステップS701)絞込手段1321は、i番目の患者情報が有するゲノム情報を取得する。なお、かかるゲノム情報は、通常、異常ゲノム情報、または変異ゲノム情報である。
【0142】
(ステップS702)絞込手段1321は、対応情報が有するゲノム情報と、ステップS701で取得したゲノム情報とが、類似ゲノム条件を満たすか否かを判断する。類似ゲノム条件を満たす場合はステップS703に行き、類似ゲノム条件を満たさない場合はステップS706に行く。
【0143】
(ステップS703)類似決定手段1323は、i番目の患者情報が有する1以上の患者属性値を取得する。
【0144】
(ステップS704)類似決定手段1323は、対応情報が有する1以上の患者属性値と、ステップS703で取得した1以上の患者属性値とが、類似属性値条件を満たすか否かを判断する。類似属性値条件を満たす場合はステップS705に行き、満たさない場合はステップS706に行く。
【0145】
(ステップS705)類似決定手段1323は、変数「判断結果」に「類似(例えば「1」)」を代入する。上位処理にリターンする。
【0146】
(ステップS706)類似決定手段1323は、変数「判断結果」に「非類似(例えば「0」)」を代入する。上位処理にリターンする。
【0147】
次に、ステップS404の薦取得処理の例について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0148】
(ステップS801)推薦取得部133は、ステップS402で取得された1以上の候補情報が有する1以上の薬識別子を取得する。
【0149】
(ステップS802)投薬取得手段1331は、ステップS403で取得された1以上の各患者識別子と対になる投薬情報が有する1以上の薬識別子を取得する。
【0150】
(ステップS803)推薦取得手段1332は、カウンタiに1を代入する。
【0151】
(ステップS804)推薦取得手段1332は、ステップS802で取得された1以上の薬識別子の中で、i番目の薬識別子が存在するか否かを判断する。i番目の薬識別子が存在する場合はステップS805に行き、存在しない場合はステップS808に行く。
【0152】
(ステップS805)推薦取得手段1332は、ステップS801で取得した1以上の薬識別子を参照し、i番目の薬識別子が推薦条件を満たすか否かを判断する。推薦条件を満たす場合はステップS806に行き、推薦条件を満たさない場合はステップS807に行く。
【0153】
(ステップS806)推薦取得手段1332は、i番目の薬識別子を図示しないバッファに蓄積する。
【0154】
(ステップS807)推薦取得手段1332は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS804に戻る。
【0155】
(ステップS808)推薦取得部133は、ステップS806で蓄積された1以上の各薬識別子と対になる1以上の薬属性値を格納部11の薬データベースから取得する。なお、ここで取得する薬属性値は問わない。また、薬属性値は取得しなくても良い。
【0156】
(ステップS809)推薦取得部133は、ステップS806で蓄積された1以上の薬識別子を、1以上の薬属性値をキーとしてソートし、その結果を、図示しないバッファに蓄積する。また、推薦取得部133は、ソートした1以上の薬識別子のうちの上位N(Nは、1または2以上の自然数)の薬識別子のみを取得して、図示しないバッファに蓄積する。上位処理にリターンする。
【0157】
なお、図8のフローチャートにおいて、ステップS808、ステップS809の処理は行わなくても良い。
【0158】
次に、ステップS412の出力情報構成処理の例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0159】
(ステップS901)処理部13は、カウンタiに1を代入する。
【0160】
(ステップS902)処理部13は、最終的に図示しないバッファに蓄積された薬識別子の中で、i番目の薬識別子が存在するか否かを判断する。i番目の薬識別子が存在する場合はステップS903に行き、存在しない場合はステップS909に行く。
【0161】
(ステップS903)処理部13は、i番目の薬識別子を取得する。
【0162】
(ステップS904)処理部13は、i番目の薬識別子と対になる1以上の薬属性値を格納部11から取得する。
【0163】
(ステップS905)処理部13は、i番目の薬識別子と対になる副作用情報が取得できているか否かを判断する。副作用情報が存在していればステップS906に行き、副作用情報が存在しなければステップS907に行く。
【0164】
(ステップS906)処理部13は、i番目の薬識別子と対になる副作用情報を取得する。
【0165】
(ステップS907)処理部13は、i番目の薬識別子を有する推薦薬情報を構成し、出力情報(例えば、画面情報)に配置する。なお、推薦薬情報は、例えば、i番目の薬識別子と1以上の薬属性値、i番目の薬識別子と1以上の薬属性値と副作用情報である。
【0166】
(ステップS908)処理部13は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS902に戻る。
【0167】
(ステップS909)処理部13は、取得されている標準治療情報を出力情報(例えば、画面情報)に配置する。上位処理にリターンする。
【0168】
なお、図9のフローチャートにおいて、出力される情報が構成される。
【0169】
次に、端末装置2の動作例について説明する。端末装置2の端末受付部22は、対応情報を受け付ける。次に、端末処理部23は、当該対応情報を用いて、送信する対応情報を構成する。次に、端末送信部24は、当該対応情報を投薬支援装置1に送信する。そして、対応情報の送信に応じて、端末受信部25は、推薦情報を受信する。次に、端末処理部23は、受信された推薦情報を用いて、出力する推薦情報を構成する。次に、端末出力部26は、当該推薦情報を出力する。
【0170】
以下、本実施の形態における投薬支援システムAの具体的な動作例について説明する。今、投薬支援装置1の格納部11には、図10に示す薬管理表が格納されている、とする。薬管理表とは、ここでは、癌の治療に用いられる薬情報を管理する表である。薬管理表は、「ID」「薬識別子」「薬属性値」を有する1以上のレコードを管理する。「薬属性値」は、ここでは「治療成績」「保険適用可否」「価格」を有する。「ID」は、レコードを識別する情報である。「治療成績」の「G1」「G2」「G3」等は、例えば、反応率、生存率、スコアである。スコアは、反応率と生存率のうちの1以上の情報から取得される情報である。スコアは、例えば、反応率、または生存率が高いほど、高くなる。「保険適用可否」は、保険適用が可能である(ここでは「1」)、または保険適用ができない(ここでは「0」)である。「価格」の「M」「M」等は、金額(例えば、円)である。
【0171】
また、候補情報格納部111には、図11に示す候補管理表が格納されている、とする。候補管理表は、ゲノム情報と当該ゲノム情報に対応する候補情報とを管理する表である。候補管理表は、「ID」「ゲノム情報」「候補情報」を有する1以上のレコードを管理する。「候補情報」は、「薬識別子」「使用人数」を有する。「使用人数」は、「薬識別子」で識別される薬が使用された人数である。「薬識別子」は、ここでは薬品名である。使用人数は、薬を使用して効果のあった人数であり、「N」「N」等は自然数である。
【0172】
また、患者情報格納部112には、図11に示す患者管理表が格納されている、とする。患者管理表とは、患者情報を管理する表である。患者管理表には、「ID」「患者固有情報」「投薬情報」を有する1以上のレコードが格納される。「患者固有情報」は、「ゲノム情報」「患者属性値」を有する。「患者属性値」は、ここでは「部位」「ステージ」「転移有無」「タイプ」「年齢」「性別」を有する。「部位」は、癌の部位である。「ステージ」は癌のステージである。「転移有無」は、リンパへの癌の転移の有無を示す。転移有無「1」はリンパへの癌の転移が有ること、「0」はリンパへの癌の転移が無いことを示す。「タイプ」は、癌のタイプである。
【0173】
治療ガイドライン格納部113には、図13に示す標準治療管理表が格納されている、とする。標準治療管理表とは、患者属性値ごとの標準治療情報を管理する表である。標準治療管理表は、「ID」「患者属性値」「標準治療情報」を有する1以上のレコードを管理する。「患者属性値」は、ここでは「部位」「ステージ」を有する。「標準治療情報」は、ここでは1以上の治療識別子であるが、治療について説明する文や図や動画等でも良く、そのデータタイプは問わない。治療識別子は、治療を識別する情報である。
【0174】
副作用管理部114には、図14に示す副作用管理表が格納されている、とする。副作用管理表とは、薬識別子と生殖細胞系列多型情報とに対応する副作用情報を管理する表である。副作用管理表は、「ID」「薬識別子」「生殖細胞系列多型情報」「副作用情報」を有する1以上のレコードを管理する。「副作用情報」は、ここでは1以上の副作用識別子であるが、副作用について説明する文や図や動画等でも良く、そのデータタイプは問わない。副作用識別子とは、副作用の内容を識別する情報である。副作用情報の「副作用11」等は、例えば、「吐き気」「頭痛」である。
【0175】
かかる状況において、ユーザXは、端末装置2に、対象情報「<患者識別子>P1 <患者属性値 部位=胃 ステージ=4 転移有無=0 タイプ=T 年齢=77 性別=女> <異常ゲノム情報>ゲノム情報E <正常ゲノム情報>ゲノム情報N」を入力した、とする。なお、「ゲノム情報E」「ゲノム情報N」は、「A」「G」「C」「T」の文字の組み合わせからなる文字列である。
【0176】
すると、端末装置2は、当該対象情報を受け付け、当該対象情報を投薬支援装置1に送信する。
【0177】
次に、投薬支援装置1の情報受付部121は、当該対象情報を端末装置2から受信する。
【0178】
次に、候補決定部131は、対象情報を用いて、以下のように候補決定処理を行う。つまり、候補決定部131は、受け付けられた対象情報に含まれる異常ゲノム情報「ゲノム情報E」と正常ゲノム情報「ゲノム情報N」との差分である変異ゲノム情報「ゲノム情報M」を取得した、とする。なお、変異ゲノム情報を取得する処理は、変異取得手段1322が行っても良い。次に、候補決定部131は、候補管理表(図11)を参照し、「ゲノム情報M」に対して候補条件を満たす1以上のゲノム情報を検索する。そして、候補決定部131は、1以上の各ゲノム情報と対になる薬識別子を取得する。ここで、候補決定部131は、薬識別子「薬A」「薬C」を取得した、とする。
【0179】
次に、類似決定部132は、以下のように類似決定処理を行う。つまり、類似決定部132は、患者管理表(図12)を参照し、受信された対象情報に対応する対象者に類似する患者を決定する。
【0180】
まず、絞込手段1321は、変異ゲノム情報「ゲノム情報M」に対して類似ゲノム条件を満たす1以上のゲノム情報を、患者管理表(図12)から決定する。次に、類似決定手段1323は、対象情報に含まれる1以上の患者属性値を取得する。次に、類似決定手段1323は、絞込手段1321が決定した1以上の各ゲノム情報と対になる1以上の患者属性値の集合の中で、当該1以上の患者属性値に対して、類似属性値条件を満たす1以上の患者属性値の集合を決定する。そして、類似決定手段1323は、決定した1以上の患者属性値の各集合を識別する患者識別子を取得する。なお、ここで、類似決定手段1323は、患者識別子「1」「3」「8」を取得した、とする。
【0181】
次に、推薦取得部133は、候補決定処理で取得された2つの薬識別子「薬A」「薬C」を取得する。また、投薬取得手段1331は、類似決定処理で取得された各患者識別子「1」「3」「8」と対になる薬識別子「薬A」「薬C」「薬Z」を取得した、とする。次に、推薦取得手段1332は、「薬A」「薬C」「薬Z」のうち、推薦条件(ここでは、候補決定処理と類似決定処理の両方から取得される薬識別子であること)を満たす薬識別子「薬A」「薬C」を取得する。
【0182】
次に、副作用取得部135は、薬識別子「薬A」と対象患者の正常ゲノム情報「ゲノム情報N」とに対して、副作用条件を満たすレコードを副作用管理表(図14)から決定する。ここで、副作用取得部135は、「ID=2」のレコードを決定した、とする。次に、副作用取得部135は、薬識別子「薬A」に対応付けて、副作用情報「副作用11」を取得する。
【0183】
また、副作用取得部135は、薬識別子「薬C」と正常ゲノム情報「ゲノム情報N」とに対して、副作用条件を満たすレコードを副作用管理表(図14)から決定する。ここで、副作用取得部135は、「ID=N」のレコードを決定した、とする。次に、副作用取得部135は、薬識別子「薬C」に対応付けて、副作用情報「副作用21,副作用22」を取得する。
【0184】
次に、標準取得部134は、情報受付部121が受け付けた1以上の患者属性値「部位=胃 ステージ=4 転移有無=0 タイプ=T 年齢=77 性別=女」に対して、選択条件を満たす標準治療情報を、標準治療管理表(図13)から取得する。ここで、標準取得部134は、標準治療管理表のうち、「ID=1」の患者属性値が選択条件を満たす、と判断した、とする。そして、標準取得部134は、標準治療情報「治療11,治療12」を取得する。
【0185】
次に、処理部13は、取得された薬識別子「薬A」「薬C」、副作用情報「副作用21,副作用22」、および標準治療情報「治療11,治療12」を用いて、送信する情報を構成する。そして、出力部14は、処理部13が構成した情報を端末装置2に送信する。
【0186】
次に、端末装置2の端末受信部25は、投薬支援装置1から情報を受信し、出力する。かかる出力例は、図15である。
【0187】
以上、本実施の形態によれば、他の患者の情報を利用することにより、患者に適切な薬を勧めることができる。
【0188】
また、本実施の形態によれば、他の患者の情報と薬に対する標準的な知識とを利用することにより、患者により適切な薬を勧めることができる。
【0189】
また、本実施の形態によれば、変異ゲノム情報を利用することにより、患者により適切な薬を勧めることができる。
【0190】
また、本実施の形態によれば、標準治療情報を用いた治療候補も出力できる。
【0191】
また、本実施の形態によれば、ゲノム情報を用いて、類似する患者の絞り込みを早期に行うことにより、高速な処理が可能となる。
【0192】
さらに、本実施の形態によれば、推薦する薬に対する副作用の情報を出力できる。
【0193】
なお、本実施の形態において、投薬支援装置1はスタンドアロンの装置でも良い。かかる場合の投薬支援装置1のブロック図は、図3である。かかる場合の投薬支援装置1の受付部12、情報受付部121は、通常、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現される。また、出力部14、推薦出力部141、治療出力部142、副作用出力部143は、通常、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現される。
【0194】
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における投薬支援装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、支援対象の患者である対象患者のゲノム情報と当該対象患者の1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付部と、対象患者ではない患者のゲノム情報と当該患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、当該患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部を参照し、前記情報受付部が受け付けた前記対象情報が有する前記ゲノム情報と前記1以上の患者属性値とを用いて、前記対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定部と、前記類似決定部が決定した前記1以上の各類似患者の投薬情報を前記患者情報格納部から取得し、当該1以上の投薬情報を用いた推薦情報であり、前記対象患者に勧める投薬に関する推薦情報を取得する推薦取得部と、前記推薦取得部が取得した前記推薦情報を出力する推薦出力部として機能させるためのプログラムである。
【0195】
また、図16は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した種々の実施の形態の投薬支援装置1等を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図16は、このコンピュータシステム300の概観図であり、図17は、システム300のブロック図である。
【0196】
図16において、コンピュータシステム300は、CD-ROMドライブを含むコンピュータ301と、キーボード302と、マウス303と、モニタ304とを含む。
【0197】
図17において、コンピュータ301は、CD-ROMドライブ3012に加えて、MPU3013と、CD-ROMドライブ3012等に接続されたバス3014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM3015と、MPU3013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM3016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3017とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ301は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0198】
コンピュータシステム300に、上述した実施の形態の投薬支援装置1等の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM3101に記憶されて、CD-ROMドライブ3012に挿入され、さらにハードディスク3017に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ301に送信され、ハードディスク3017に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3016にロードされる。プログラムは、CD-ROM3101またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0199】
プログラムは、コンピュータ301に、上述した実施の形態の投薬支援装置1等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム300がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0200】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信するステップや、情報を受信するステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0201】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0202】
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
【0203】
また、上記各実施の形態において、各処理は、単一の装置によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0204】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0205】
以上のように、本発明にかかる投薬支援装置1は、他の患者の情報を利用することにより、患者に適切な薬を勧めることができるという効果を有し、投薬を支援するサーバ等として有用である。
【符号の説明】
【0206】
A 投薬支援システム
1 投薬支援装置
2 端末装置
11 格納部
12 受付部
13 処理部
14 出力部
21 端末格納部
22 端末受付部
23 端末処理部
24 端末送信部
25 端末受信部
26 端末出力部
111 候補情報格納部
112 患者情報格納部
113 治療ガイドライン格納部
114 副作用管理部
121 情報受付部
131 候補決定部
132 類似決定部
133 推薦取得部
134 標準取得部
135 副作用取得部
141 推薦出力部
142 治療出力部
143 副作用出力部
1321 絞込手段
1322 変異取得手段
1323 類似決定手段
1331 投薬取得手段
1332 推薦取得手段
【要約】
【課題】従来、患者に適切な薬を勧めることが容易ではなかった。
【解決手段】対象患者のゲノム情報と1以上の患者属性値とを有する対象情報を受け付ける情報受付部121と、患者のゲノム情報と患者の1以上の患者属性値とを有する患者固有情報と、患者が摂取した薬に関する投薬情報とを有する2以上の患者情報が格納される患者情報格納部112を参照し、受け付けた対象情報が有するゲノム情報と1以上の患者属性値とを用いて、対象患者に類似する1以上の類似患者を決定する類似決定部132と、類似決定部132が決定した1以上の各類似患者の投薬情報を患者情報格納部112から取得し、対象患者に勧める投薬に関する推薦情報を取得する推薦取得部133と、当該推薦情報を出力する推薦出力部141とを具備する投薬支援装置1により、他の患者の情報を利用することにより、患者に適切な薬を勧めることができる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17