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特許7365736免疫状態予測提供システム、免疫状態データ予測方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】免疫状態予測提供システム、免疫状態データ予測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20231013BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20231013BHJP
   G16H 10/60 20180101ALI20231013BHJP
【FI】
G16H50/20
G16H50/30
G16H10/60
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022549514
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2022020513
【審査請求日】2022-08-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522325908
【氏名又は名称】Edgewater株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】福澤 雅彦
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第7048796(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/022085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫状態に関する睡眠状態、運動状態、生活習慣状態、生活状態、仕事状態、食事状態、の状態データの内少なくとも一つと、ユーザの免疫検査結果を含む実施データを取得する取得部と、
前記状態データを有するユーザの実施データを対応付けて学習し、ユーザの所定の状態データに対する免疫状態の予測を行う学習モデルを生成する学習モデル作成部と、
新規に取得した状態データから、前記学習モデルに基づいて免疫状態を予測した免疫状態予測データを出力する予測部と、
前記免疫状態予測データと、前記実施データと、の差異を分析して分析結果データを生成する分析部と、
予測された前記免疫状態予測データを出力する第1出力部と、
生成された前記分析結果データを出力する第2出力部と、
前記状態データ、前記免疫状態予測データ、前記実施データ、前記分析結果データの内少なくとも1つのデータを、ユーザまたは第三者に提供する提供部と、を備える免疫状態予測提供システム。
【請求項2】
前記提供部は、第三者企業が予め設定した設定データに応じて、当該第三者企業に対してユーザ属性データ、前記状態データ、前記免疫状態予測データ、前記実施データ、前記分析結果データの内少なくとも1つのデータを提供する請求項1に記載の免疫状態予測提供システム。
【請求項3】
免疫状態に関する睡眠状態、運動状態、生活習慣状態、生活状態、仕事状態、食事状態、の内少なくとも一つの状態データと、ユーザの免疫検査結果を含む実施データを取得するステップと、
前記状態データを有するユーザの実施データを対応付けて学習し、ユーザの所定の状態データに対する免疫状態の予測を行う学習モデルを生成する学習モデルを作成するステップと、
新規に取得した状態データから、前記学習モデルに基づいて免疫状態を予測した免疫状態予測データを出力するステップと、
前記免疫状態予測データと、前記実施データと、の差異を分析して分析結果データを生成するステップと、
予測された前記免疫状態予測データを出力するステップと、
生成された前記分析結果データを出力するステップと、
前記状態データ、前記免疫状態予測データ、前記実施データ、前記分析結果データの内少なくとも1つのデータを、ユーザまたは第三者に提供するステップと、
を備えるコンピュータシステムで実行する免疫状態予測提供方法。
【請求項4】
コンピュータシステムに、
免疫状態に関する睡眠状態、運動状態、生活習慣状態、生活状態、仕事状態、食事状態、の内少なくとも一つの状態データと、ユーザの免疫検査結果を含む実施データを取得するステップ、
前記状態データを有するユーザの実施データを対応付けて学習し、ユーザの所定の状態データに対する免疫状態の予測を行う学習モデルを生成するステップ、
新規に取得した状態データから、前記学習モデルに基づいて免疫状態を予測した免疫状態予測データを出力するステップ、
前記免疫状態予測データと、前記実施データと、の差異を分析して分析結果データを生成するステップ、
予測された前記免疫状態予測データを出力するステップ、
生成された前記分析結果データを出力するステップ、
前記状態データ、前記免疫状態予測データ、前記実施データ、前記分析結果データの内少なくとも1つのデータを、ユーザまたは第三者に提供するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫状態予測提供システム、免疫状態データ予測方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本では平均寿命が増加し少子高齢化の影響から、社会保障費の増大と実体経済への負担が懸念されている。そこで、定年後の健康寿命の増進だけでなく、現役時の企業による健康経営も大きく注目され、事業者検診等を含む定期健康診断の結果をより活用することで健康状態の改善・疾病の予防に貢献しようとする動きが見られる。
【0003】
健康管理を行う際、健康状態を把握するため、健康診断が健康管理の結果として利用されているが、健康状態の原因に関する生活習慣などの情報と、過程に関する免疫状態の情報と、が不足している問題がある。そのため、生活習慣などの様々な情報を関連付けて、より正確な状態データを収集する技術が求められている。
【0004】
例えば、生活習慣に関する情報の聞き取りを行い、健康診断の結果と照らし合わせ、生活習慣の経緯と現状、将来の状態を予測するシステムが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020―101843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術だけでは、健康状態の原因の一部である生活習慣に関するデータをおおまかに取得することはできても、免疫状態の原因となるデータを欠き、健康管理に重要な免疫状態を把握することはできない。
【0007】
一般に、感染性の疾病や癌(悪性新生物)の罹患・回復において、免疫力が重要であることが分かっている。昨今の世界的な感染性の疾病の流行により免疫力の注目度は高まり、免疫機能性表示のある機能性表示食品等の需要も高まっている。
しかしながら、従来の健康診断には、免疫検査は加わっていない。免疫状態を良くするのは、睡眠状態/運動状態/生活習慣状態/生活状態/仕事状態/食事状態の把握であるが、これらのデータを包括的に集積し、分析する仕組みは存在していなかった。
【0008】
従って、本発明は、ユーザの状態データから将来の免疫状態を予測する免疫状態予測提供システムであって、従来の健康診断や生活習慣だけでなく、免疫状態の要因となる睡眠状態・運動状態・生活習慣状態・生活状態・仕事状態・食事状態を加えた状態データを把握することで、将来の免疫状態の予測を可能とするシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、免疫状態に関する睡眠状態、運動状態、生活習慣状態、生活状態、仕事状態、食事状態、の状態データの内少なくとも一つと、ユーザの免疫検査結果を含む実施データを取得する取得部と、
前記状態データを有するユーザの実施データを対応付けて学習し、ユーザの所定の状態データに対する免疫状態の予測を行う学習モデルを生成する学習モデル作成部と、
新規に取得した状態データから、前記学習モデルに基づいて免疫状態を予測した免疫状態予測データを出力する予測部と、
前記免疫状態予測データと、前記実施データと、の差異を分析して分析結果データを生成する分析部と、
予測された前記免疫状態予測データを出力する第1出力部と、
生成された前記分析結果データを出力する第2出力部と、
前記状態データ、前記免疫状態予測データ、前記実施データ、前記分析結果データの内少なくとも1つのデータを、ユーザまたは第三者に提供する提供部と、を備える免疫状態予測提供システムを提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明によれば、取得した状態データから将来の免疫状態を予測する学習モデルを作成し、学習モデルに基づいて、新規に取得したユーザの状態データからユーザの将来の免疫状態を予測することが可能である。また、予測した免疫状態予測データと、ユーザの健康診断や免疫検査等の実施データとを比較することによって、ユーザの状態データ取得時と実施データ取得時との差異の原因を分析することが可能である。
【0012】
加えて、状態データ、免疫状態予測データ、実施データ、分析結果データ、の内少なくとも1つのデータをユーザまたは第三者企業に提供することが可能である。
【0014】
また、第1の特徴に係る発明によれば、状態データと実施データとから学習モデルを作成することによって、ユーザの将来の免疫状態を予測することにおいて免疫状態の予測精度を向上することが可能である。
【0015】
の特徴に係る発明は、前記提供部が、前記第三者企業が予め設定した設定データに応じて、当該第三者企業に対して前記ユーザ属性データ、前記状態データ、前記免疫状態予測データ、前記実施データ、前記分析結果データの内少なくとも1つのデータを提供する第の特徴に係る発明である免疫状態予測提供システムを提供する。
【0016】
の特徴に係る発明によれば、第の特徴に係る発明である免疫状態予測提供システムは、第三者企業の要望に応じたデータを提供することが可能である。
【0021】
第1の特徴に係る発明は、システムのカテゴリであるが、方法、プログラムのカテゴリにおいても実現し、各々のカテゴリにおける構成、作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、原因を含めたユーザの免疫状態を把握でき、将来の免疫状態を予測することで、より効果的な健康管理を行うことが可能な免疫状態予測提供システム、方法、プログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、免疫状態予測提供システム1の概要図である。
図2図2は、免疫状態予測提供システム1の構成図である。
図3図3は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する作成処理の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、ユーザ端末3が表示するコンピュータ2が取得した状態データ102の睡眠状態データの表示画面の一例である。
図5図5は、ユーザ端末3が表示するコンピュータ2が作成した免疫状態予測データ104の免疫状態予測の表示画面の一例である。
図6図6は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する分析結果データ生成処理の手順を示すフローチャートである。
図7図7は、ユーザ端末3が表示するコンピュータ2が取得した実施データ103の免疫検査結果の表示画面の一例である。
図8図8は、ユーザ端末3が表示するコンピュータ2が作成した分析結果データ105の分析表示画面の一例である。
図9図9は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する学習モデル向上処理の手順を示すフローチャートである。
図10図10は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する選択的データ提供処理の手順を示すフローチャートである。
図11図11は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する共同開発促進処理の手順を示すフローチャートである。
図12図12は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する共同開発促進処理の構成図である。
図13図13は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する標準化指標作成処理の手順を示すフローチャートである。
図14図14は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する標準化指標作成処理の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これらは一例であって、本発明の技術的範囲は、これに限られるものではない。
【0025】
[免疫状態予測提供システム1の概要]
図1は、免疫状態予測提供システム1の概要を説明するための図である。免疫状態予測提供システム1の概要について、図1に基づいて説明する。
【0026】
図1に示すように、免疫状態予測提供システム1は、コンピュータ2とユーザ端末3から構成され、免疫状態の予測に利用するためのコンピュータシステムである。
【0027】
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2は、例えば、クラウドサーバ等のサーバであってよく、通常のパソコンやノートパソコンであってよい。
【0028】
ここで、免疫状態予測提供システム1のユーザ端末3は、コンピュータ2に状態データや実施データなどを送受信するための端末であって、パソコンやノートパソコン、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等であってもよい。
【0029】
また、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2は、例えば、物理的に1台または複数のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0030】
また、ユーザ端末3と、ユーザ4と、第三者企業5は複数存在してもよいものとする。
【0031】
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2は、ユーザ端末3と、公衆回線網等のネットワーク6を介して、データ通信可能に接続し、必要なデータや情報の送受信を実行してもよい。
【0032】
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2は、ユーザ端末3からユーザ属性データ101と、状態データ102と、実施データ103とを少なくとも取得する取得モジュール201と、
状態データ102から、あるいは状態データ102と実施データ103とから、将来の免疫状態を予測するデータを生成する学習モデル10を作成する学習モデル作成モジュール202と、
実施データ103から、学習モデル10に基づいて免疫状態予測データ104を予測する予測モジュール203と、
予測された免疫状態予測データ104を出力する第1出力モジュール205と、
出力された免疫状態予測データ104と実施データ103の差異を分析して分析結果データ105を生成する分析モジュール204と、
生成された分析結果データ105を出力する第2出力モジュール206と、
取得したユーザ属性データ101と、状態データ102と、実施データ103と、出力した、免疫状態予測データ104と、分析結果データ105と、から少なくとも1つの当該データを、ユーザ端末3を介してユーザ4または第三者企業5に提供する提供モジュール207と、が各々実行する処理により、将来の免疫状態の予測を可能とする。
【0033】
ここで、ユーザ属性データ101とは、当該ユーザの年齢、性別、身長、体重、趣味、学歴、職歴、家族構成などの属性データを少なくとも含むデータを示す。
【0034】
状態データ102は、当該ユーザの所定期間の睡眠時間、睡眠の深さ、睡眠中に起床する頻度などの睡眠状態データ、歩数、運動頻度、運動時間などの運動状態データ、喫煙頻度、飲酒頻度、飲酒量などの生活習慣状態データ、活動時間帯、就寝時間帯などの生活状態データ、労働時間、労働内容などの仕事状態データ、食事内容、間食頻度、摂取カロリー、栄養バランスなどの食事状態データを少なくとも含む。
【0035】
実施データ103は、ユーザの所定のタイミング(所定期間)で、実際に健康診断された健康診断データと、実際に免疫検査された免疫検査データと、実際に治療を受けたことを示す治療データとを少なくとも含む。
【0036】
状態データ102、実施データ103、免疫状態予測データ104、分析結果データ105、は、それぞれユーザ属性データと紐づけてコンピュータ2の内部に格納してもよいし、コンピュータ2の外部に格納してもよい。
【0037】
以上が、免疫状態予測提供システム1の概要である。
【0038】
[免疫状態予測提供システム1のシステム構成]
図2は、免疫状態予測提供システム1のシステム構成を説明するための図である。免疫状態予測提供システム1のシステム構成について図2に基づいて説明する。
【0039】
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2は、制御部300として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。制御部300は、記憶部310と協働して、取得モジュール201、学習モデル作成モジュール202、予測モジュール203、分析モジュール204、第1出力モジュール205、第2出力モジュール206、提供モジュール207を実現する。
【0040】
コンピュータ2は、記憶部310として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0041】
ユーザ端末3は、入力部320として、コンピュータ2を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0042】
以上が、免疫状態予測提供システム1のシステム構成である。
【0043】
[免疫状態予測データ作成処理]
図3は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する免疫状態予測データ作成処理を説明するための図である。図4は、ユーザ端末3が表示するコンピュータ2が取得した状態データ102の睡眠状態データの表示画面の一例である。図5は、ユーザ端末3が表示するコンピュータ2が作成した免疫状態予測データ104の免疫状態予測の表示画面の一例である。免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する免疫状態予測データ作成処理について図3乃至図5に基づいて説明する。
【0044】
コンピュータ2の取得モジュール201は、状態データ102を少なくとも取得する(ステップS11)。
【0045】
なお、状態データ102とは、上述したユーザ4の所定期間の、睡眠状態データと、運動状態データと、生活習慣状態データと、生活状態データと、仕事状態データと、食事状態データと、を少なくとも含むデータであり、データの形式としては、画像、表、数値、テキストなどのあらゆる形式を含むがこれに限定されない。状態データ102の取得方法についてはユーザ端末3に限定することはなく、他の端末装置から公衆回線等を介して取得しても良い。また、状態データ102の取得タイミングについては限定されない。例えば、コンピュータ2の取得モジュール201は、当該ユーザの所定期間の睡眠状態データのみをユーザ端末3から取得してもよい。
【0046】
取得した状態データ102は、コンピュータ2の内部に格納してもよいし、コンピュータ2の外部に格納してもよい。
【0047】
コンピュータ2の学習モデル作成モジュール202は、状態データ102から学習モデル10を作成する(ステップS12)。このとき作成する学習モデル10は、疾患を始めとする健康状態に関する症例や免疫状態データをアノテーションデータとして付与して作成してもよい。アノテーションデータとは、機械学習のモデルに学習させるための教師データであり、データに意味付けや紐付けをして互いに組み合わせるために、状態データ102に関連する情報として付与される。
【0048】
学習モデル10の作成は、例えば、睡眠状態の変化により、免疫検査結果にあたる免疫に関与する細胞(B細胞、NK細胞の一部、白血球)数に有意差が見られなどの科学的知見から、状態データ102の睡眠状態データに、免疫に関与する細胞数の変化を状態予測のアノテーションデータとして付与するなどして行われる。
【0049】
アノテーションデータの付与方法については、特に限定することなく、人手による方法や、アノテーションツールといったタグ付け自動化ツールを使用する方法などでデータを付与してもよい。
【0050】
コンピュータ2は、学習モデル10に基づいて、取得した当該ユーザの所定期間の状態データ102から、将来の免疫状態を予測した免疫状態予測データ104を作成する(ステップS13)。
【0051】
予測を実行する際は、取得した状態データ102の内、任意の期間あるいは任意の状態データを選択して将来の免疫状態を予測してもよい。また、予測する時期を任意で設定してもよい。例えば、図5に示すように、状態データ102の睡眠状態データを選択して睡眠状態データを実測した時点から2ヶ月後の状態予測を実行してもよい。
【0052】
コンピュータ2の第1出力モジュール205は、予測した免疫状態予測データ104をユーザ端末3に少なくとも出力する(ステップS14)。
【0053】
予測した免疫状態予測データ104は、コンピュータ2の内部に格納してもよいし、コンピュータ2の外部に格納してもよい。
【0054】
このように、取得した状態データ102から、将来の免疫状態を予測するために、学習済みデータを用いることによって、膨大なパターンの状態予測を機械的に行うことが可能となる。
【0055】
以上が、免疫状態予測提供システム1が実行する免疫状態予測データ作成処理である。
【0056】
[分析結果データ生成処理]
図6は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する分析結果データ生成処理を説明するための図である。図7は、ユーザ端末3が表示するコンピュータ2が取得した実施データ103の免疫検査結果の表示画面の一例である。図8は、ユーザ端末3が表示するコンピュータ2が作成した分析結果データ105の分析表示画面の一例である。免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する分析結果データ生成処理について図6乃至図8に基づいて説明する。
【0057】
免疫状態予測データ作成については、上述した免疫状態予測データ作成処理と同様の処理であるため、その説明を省略する。
【0058】
コンピュータ2の取得モジュール201は、ユーザ端末3から実施データ103を少なくとも取得する(ステップS15)。
【0059】
ここで、実施データ103とは、上述した免疫状態予測データ作成処理にて取得した状態データ102の当該ユーザと同一ユーザの実施データ103であり、当該ユーザの健康診断結果、免疫検査結果、治療データを少なくとも含むデータである。例えば、図7は当該ユーザの実施データ103の免疫検査結果の白血球数、B細胞数、NK細胞数の実測値を示している。当該実施データ103のデータの形式としては、画像、表、数値、テキストなどのあらゆる形式を含むがこれに限定されない。実施データ103の取得方法については特に限定することはなく、他の端末装置から公衆回線等を介して取得しても良い。また、実施データ103の取得タイミングについては限定されない。
【0060】
コンピュータ2の分析モジュール204は、取得した実施データ103と作成した免疫状態予測データ104との差異を分析して分析結果データ105を生成する(ステップS16)。
【0061】
ここで、免疫状態予測データ104とは、実施データ103と同一のユーザの状態データ102から上述した免疫状態予測データ作成処理にて作成された免疫状態予測データ104であり、実施データ103が発生したタイミング以前に取得された状態データ102から作成された免疫状態予測データ104を示す。
【0062】
実施データ103と免疫状態予測データ104との差異の分析とは、実施データ103が発生した時点と、免疫状態予測データ104を作成するために使用した状態データ102が発生した時点と、で生じる予測と実情との時間的な経過による乖離原因を分析することである。
【0063】
例えば、図8は当該ユーザの実施データ103の免疫検査結果の白血球数、B細胞数、NK細胞数の実測値と、免疫状態予測データ104の免疫に関する同項目の予測値との差異を分析した結果を示しているおり、乖離原因は免疫状態予測データ104の提示を受けて治療を開始したためと分析の結果が表示される。
【0064】
原因の分析方法は、特に限定されず、例えば、機械学習によるルールベースやモデルベースを利用して原因を分析してもよいし、人手による入力などの方法や、アノテーションツールといったタグ付け自動化ツールを使用する方法などで原因を分析してもよい。
【0065】
コンピュータ2の第2出力モジュール206は、生成した分析結果データ105をユーザ端末3に少なくとも出力する(ステップS17)。
【0066】
生成した分析結果データ105は、コンピュータ2の内部に格納してもよいし、コンピュータ2の外部に格納してもよい。
【0067】
このように、実施データ103と免疫状態予測データ104との差異を分析することで、状態予測時から実施データ計測時までの変化が原因を含めて分かり、より効果的な健康管理に寄与することが可能となる。
【0068】
以上が、分析結果データ生成処理である。
【0069】
[学習モデル向上処理]
図9は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する学習モデル向上処理を説明するための図である。免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する学習モデル向上処理について図9に基づいて説明する。
【0070】
ここで、学習モデル作成処理とは、上述した免疫状態予測データ作成処理での学習モデル10の作成方法に加えて、将来の免疫状態を予測する免疫状態予測データを生成する学習モデル10による予測精度を向上させるための処理である。
【0071】
コンピュータ2の取得モジュール201は、ユーザ端末3から状態データ102と実施データ103を少なくとも取得する(ステップS20)。
【0072】
ここで、実施データ103とは、取得した状態データ102の当該ユーザと同一ユーザの実施データ103であり、当該状態データ102が作成された時点以降に作成された実施データ103を示す。
【0073】
また、実施データ103は、当該ユーザの健康診断結果、免疫検査結果、治療データを少なくとも含むデータである。当該実施データ103のデータの形式としては、画像、表、数値、テキストなどのあらゆる形式を含むがこれに限定されない。
【0074】
実施データ103の取得方法については特に限定することはなく、他の端末装置から公衆回線等を介して取得しても良い。また、当該実施データ103の取得タイミングについては限定されない。
【0075】
コンピュータ2の学習モデル作成モジュール202は、取得した状態データ102と実施データ103とから学習モデル10を作成する(ステップS21)。
【0076】
このとき取得した状態データ102は、機械学習用データである。また、実施データ103は、機械学習のモデルに学習させるための教師データであり、アノテーションデータとして取得する。実施データ103は、アノテーションデータとして、予測モジュール203が状態データ102から免疫状態予測データ104を生成するための相関関係を学習させる。
【0077】
アノテーションデータを付与した状態データ102は、学習モデル10として機械学習される。
【0078】
このように、同一ユーザの状態データ102と、実施データ103とから学習モデル10に学習させることによって、学習モデル10に基づいて行う予測の精度を向上する事ができる。これにより、取得した状態データ102から、将来の免疫状態を予測するために、学習済みデータを用いることによって、膨大なパターンの状態予測を機械的に行うことができ、原因分析の精度も向上させることが可能である。
【0079】
以上が、学習モデル向上処理である。
【0080】
[選択的データ提供処理]
図10は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する選択的データ提供処理を説明するための図である。免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する選択的データ提供処理について図6に基づいて説明する。
【0081】
コンピュータ2の提供モジュール207は、第三者企業5が予め設定した設定データに基づいて、ユーザ属性データ101、状態データ102、実施データ103、免疫状態予測データ104、分析結果データ105から当該データを少なくとも抽出する(ステップS31)。
【0082】
なお、設定データ、ユーザ属性データ101、状態データ102、実施データ103、免疫状態予測データ104、分析結果データ105は、コンピュータ2の記憶部310に予め少なくとも取得されているものとする。また、設定データの取得方法については特に限定することなく、他の端末装置から公衆回線等を介して取得してもよい。また、設定データの取得タイミングについては限定されない。
【0083】
コンピュータ2の提供モジュール207は、抽出した当該データを、ユーザ端末3を介して第三者企業5に提供する(ステップS32)。
【0084】
このように第三者企業5が予め設定した設定データに基づいて当該データを第三者企業5に提供することにより、例えば、第三者企業5が必要とする情報の傾向を蓄積することが可能となる。
【0085】
以上が、選択的データ提供処理である。
【0086】
[共同開発促進処理]
免疫状態予測提供システム1が実行する共同開発促進処理は、第三者企業と共同開発を行うことで各種データを充実させ、免疫状態予測提供システム1の精度を向上させるための処理である。
【0087】
図11は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する共同開発促進処理の構成図である。
図12は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する共同開発促進処理の手順を示すフローチャートである。
【0088】
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する共同開発促進処理について図7乃至図8に基づいて説明する。
【0089】
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する共同開発促進処理は、コンピュータ2と、ユーザ端末3と、コンピュータ2とユーザ端末3を接続するネットワーク6とにより実現される。
【0090】
免疫状態予測提供システム1の共同開発促進処理を実行するコンピュータ2は、制御部300として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。制御部300は、記憶部310と協働して、メッセージ受信モジュール208、メッセージ作成モジュール209、メッセージ送信モジュール210を実現する。
【0091】
ユーザ端末3は、入力部320として、コンピュータ2を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0092】
コンピュータ2は、記憶部310として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0093】
コンピュータ2のメッセージ受信モジュール208は、共同開発を希望する企業の端末から共同開発のためのメッセージを受信する(ステップS41)。
【0094】
共同開発のためのメッセージの受信方法については特に限定することなく、他の端末装置から公衆回線等を介して受信してもよい。また、メッセージの受信タイミングについては限定されない。
【0095】
コンピュータ2のメッセージ作成モジュール209は、受信した共同開発のためのメッセージに対して、あるいはリクエストに応じてユーザ端末3から入力されたメッセージを作成する(ステップS42)。
【0096】
共同開発のためのメッセージの作成に係る入力方法については特に限定することなく、人手による入力であってもよいし、予め設定された定型メッセージを自動的に入力してもよい。
【0097】
コンピュータ2のメッセージ送信モジュール210は、作成したメッセージを当該第三者企業の端末に送信する(ステップS43)。
【0098】
共同開発のためのメッセージの送信方法については特に限定することなく、他の端末装置へ公衆回線等を介して送信してもよい。また、メッセージの送信タイミングについては限定されない。
【0099】
以上が、共同開発促進処理である。
【0100】
[標準化指標作成処理]
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する標準化指標作成処理は、ユーザの免疫状態を評価あるいは改善するために必要とされる指標を作成し、第三者企業に提供するための処理である。
【0101】
図13は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する標準化指標作成処理の構成図である。
図14は、免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する標準化指標作成処理の手順を示すフローチャートである。
【0102】
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する標準化指標作成処理について図13乃至図14に基づいて説明する。
【0103】
免疫状態予測提供システム1のコンピュータ2が実行する標準化指標作成処理は、コンピュータ2と、ユーザ端末3と、コンピュータ2とユーザ端末3を接続するネットワーク6とにより実現される。
【0104】
免疫状態予測提供システム1の共同開発促進処理を実行するコンピュータ2は、制御部300として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。制御部300は、記憶部310と協働して、標準化指標作成モジュール211、標準化指標提供モジュール212を実現する。
【0105】
ユーザ端末3は、入力部320として、コンピュータ2を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0106】
コンピュータ2は、記憶部310として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0107】
コンピュータ2の標準化指標作成モジュール211は、記憶部310に格納されたユーザ属性データ101、状態データ102、実施データ103、免疫状態予測データ104、分析結果データ105から標準化指標作成のためのデータを少なくとも抽出する(ステップS51)。
【0108】
コンピュータ2の標準化指標作成モジュール211は、抽出された当該データから標準化指標を作成する(ステップS52)。
【0109】
標準化指標の作成方法は、例えば、機械学習によるルールベースやモデルベースを利用して標準化指標を作成してもよい。
【0110】
コンピュータ2の標準化指標提供モジュール212は、作成された当該標準化指標を第三者企業5に提供する(ステップS53)。
【0111】
以上が、標準化指標作成処理である。
【0112】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、単数又は複数のコンピュータからネットワーク経由で提供される(クラウドサービス、SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0114】
1 免疫状態予測提供システム
2 コンピュータ
3 ユーザ端末
4 ユーザ
5 第三者企業
6 ネットワーク
【要約】
【課題】従来の健康診断や生活習慣だけでなく、免疫状態の要因を把握することで、将来の免疫状態の予測を可能とする。
【解決手段】免疫状態予測提供システム1は、免疫状態に関する睡眠状態、運動状態、生活習慣状態、生活状態、仕事状態、食事状態の状態データの内少なくとも一つを取得し、取得された状態データから、免疫状態予測データを生成する学習モデルを作成し、新規に取得した状態データから、学習モデルに基づいて免疫状態を予測する。そして、免疫状態予測データと、健康診断結果や免疫検査結果などの実施データとの差異を分析して分析結果データを生成し出力する。加えて、状態データ、免疫状態予測データ、実施データ、分析結果データの内少なくとも1つのデータを、ユーザまたは第三者に提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14