IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社歯科専門集患アウトソーシングの特許一覧

特許7365737歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム
<>
  • 特許-歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム 図1
  • 特許-歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム 図2
  • 特許-歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム 図3
  • 特許-歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム 図4
  • 特許-歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム 図5
  • 特許-歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム 図6
  • 特許-歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング支援プログラム、並びに、呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/00 20060101AFI20231013BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20231013BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20231013BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
A61C7/00
A61B5/107 100
A61B5/107 300
A61B5/08
A61B5/145
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023064073
(22)【出願日】2023-04-11
【審査請求日】2023-04-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520149515
【氏名又は名称】株式会社歯科専門集患アウトソーシング
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渥美 貴浩
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092784(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113257372(CN,A)
【文献】特開2003-116819(JP,A)
【文献】米国特許第05399087(US,A)
【文献】特表2007-531111(JP,A)
【文献】特開2021-124748(JP,A)
【文献】特表2020-533130(JP,A)
【文献】特表2018-511407(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0265391(US,A1)
【文献】特開2008-107883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/00
A61B 5/107
A61B 5/08
A61B 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の歯列に関係する身体状態に関する診察結果、問診結果及び担当者が測定することによって数値として得られた測定結果を取得する身体状態取得部と、
前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に基づいて、歯列改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部と、
備え、
記憶部には、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果と、前記トレーニングの内容としての対象及び種類と、が関連付けて記憶されており、
前記トレーニング設定部は、取得された前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果を用いて前記記憶部を参照することによって、前記記憶部に記憶された前記トレーニングの中から前記対象者のための前記トレーニングの対象及び種類を設定し、
前記トレーニング設定部は、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に含まれる前記身体状態のグレードに基づいて、前記トレーニングの内容を設定し、
前記測定結果は、オーバーバイト、オーバージェット、インディケーターライン、最大開口量、スポット開口量、スポット開口率、呼気二酸化炭素濃度、血中酸素飽和度、呼吸数、口唇閉鎖不全、鼻から上唇の長さ、及び、下唇厚みの少なくとも一つを含み、
前記スポット開口率は、最大開口量に対するスポット開口量の割合であり、
前記最大開口量は、最大開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離であり、
前記スポット開口量は、上顎の前歯の裏に舌をつけた状態での開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離である
ことを特徴とする歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項2】
前記トレーニング設定部は、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果の少なくとも一つに基づいて、舌小帯リリースの必要性を判定し、前記舌小帯リリースの必要性に基づいて、前記トレーニングを設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項3】
前記トレーニング設定部は、前記測定結果としての前記スポット開口率に基づいて、前記舌小帯リリースの必要性を判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項4】
前記トレーニング設定部は、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果の少なくとも一つに基づいて、拡大床の必要性を判定し、前記拡大床の必要性に基づいて、前記トレーニングを設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項5】
前記トレーニング設定部は、前記測定結果としての幅に基づいて、前記拡大床の必要性を判定し、
前記幅は、上顎における左右の同一番号の臼歯間の距離である
ことを特徴とする請求項4に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項6】
前記トレーニング設定部は、設定された前記トレーニングの内容を、前記対象者に対応する端末装置へ送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項7】
前記トレーニング設定部は、前記トレーニングの内容に関する動画を前記端末装置へ送信する
ことを特徴とする請求項6に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項8】
前記トレーニング設定部は、設定された前記トレーニングに関するガントチャートを生成し、生成された前記ガントチャートを前記対象者に対応する端末装置へ送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項9】
前記対象者による前記トレーニングの実行状況を取得するトレーニング実行状況取得部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項10】
前記トレーニング実行状況取得部は、前記トレーニングの実行状況として、当該実行状況が撮影された動画を取得する
ことを特徴とする請求項9に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項11】
前記トレーニング設定部は、前回の前記トレーニングの実行状況に基づいて、今回の前記トレーニングの内容を設定する
ことを特徴とする請求項9に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項12】
前記トレーニングの内容としての対象は、舌、呼吸・睡眠、口唇、頬、嚥下・咀嚼、発音、及び、姿勢の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項13】
前記診察結果は、上顎歯列、下顎歯列、正中のズレ、不正咬合の分類、先天欠如、過剰歯、顔面、安静時舌位、舌小帯、姿勢、安静時口唇、頬、嚥下、発音、側頭舌顎部障害、及び、上顎における左右の同一番号の臼歯間の距離の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項14】
前記問診結果は、呼吸、いびき、歯ぎしり、習癖、及び、アレルギーの少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項15】
対象者の歯列に関係する身体状態に関する測定結果、診察結果及び問診結果を取得する身体状態取得部と、
前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に基づいて、歯列改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部と、
備え、
前記トレーニング設定部は、前記測定結果としてのスポット開口率に基づいて、舌小帯リリースの必要性を判定し、前記舌小帯リリースの必要性に基づいて、前記トレーニングを設定し、
前記スポット開口率は、最大開口量に対するスポット開口量の割合であり、
前記最大開口量は、最大開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離であり、
前記スポット開口量は、上顎の前歯の裏に舌をつけた状態での開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離である
ることを特徴とする歯列改善トレーニング支援装置。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の歯列改善トレーニング支援装置として機能させる、歯列改善トレーニング支援プログラム。
【請求項17】
対象者の呼吸に関係する身体状態に関する診察結果、問診結果及び担当者が測定することによって数値として得られた測定結果を取得する身体状態取得部と、
前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に基づいて、呼吸改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部と、
備え、
記憶部には、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果と、前記トレーニングの内容としての対象及び種類と、が関連付けて記憶されており、
前記トレーニング設定部は、取得された前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果を用いて前記記憶部を参照することによって、前記記憶部に記憶された前記トレーニングの中から前記対象者のための前記トレーニングの対象及び種類を設定し、
前記トレーニング設定部は、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に含まれる前記身体状態のグレードに基づいて、前記トレーニングの内容を設定し、
前記測定結果は、オーバーバイト、オーバージェット、インディケーターライン、最大開口量、スポット開口量、スポット開口率、呼気二酸化炭素濃度、血中酸素飽和度、呼吸数、口唇閉鎖不全、鼻から上唇の長さ、及び、下唇厚みの少なくとも一つを含み、
前記スポット開口率は、最大開口量に対するスポット開口量の割合であり、
前記最大開口量は、最大開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離であり、
前記スポット開口量は、上顎の前歯の裏に舌をつけた状態での開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離である
ことを特徴とする呼吸改善トレーニング支援装置。
【請求項18】
対象者の呼吸に関係する身体状態に関する測定結果、診察結果及び問診結果を取得する身体状態取得部と、
前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に基づいて、呼吸改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部と、
備え、
前記トレーニング設定部は、前記測定結果としてのスポット開口率に基づいて、舌小帯リリースの必要性を判定し、前記舌小帯リリースの必要性に基づいて、前記トレーニングを設定し、
前記スポット開口率は、最大開口量に対するスポット開口量の割合であり、
前記最大開口量は、最大開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離であり、
前記スポット開口量は、上顎の前歯の裏に舌をつけた状態での開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離である
ことを特徴とする呼吸改善トレーニング支援装置。
【請求項19】
コンピュータを、請求項17又は請求項18に記載の呼吸改善トレーニング支援装置として機能させる、呼吸改善トレーニング支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯列改善トレーニング又は呼吸改善トレーニングを支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
歯列矯正治療では、歯科医師や歯科技工士といった担当者が患者の歯型を見てマウスピース等の歯科矯正器具を作成することが行われている。歯列矯正器具及び歯列矯正治療計画の作成については、例えば、特許文献1の発明が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2020-503919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、歯科矯正の前段階において、トレーニングによって歯列を改善する、いわゆる歯列改善トレーニングを行う取り組みが始まっている。例えば、小学生の時期に歯列改善トレーニングを行うことで、その後に歯列矯正を行わなければならなくなるリスクを低減することができる。
【0005】
ここで、歯列改善トレーニングは、それを提供する歯科医師等の技量、経験等に依存したものとなっており、必ずしも十分な成果を得られるものではない。
【0006】
また、発明者は、歯列改善に取り組む中で、歯列の改善と呼吸の改善との間に関連性があり、歯列改善トレーニングを呼吸改善トレーニングに適用可能であるという知見を得た。
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、対象者に対して好適な歯列改善トレーニングを提案することが可能な歯列改善トレーニング支援装置及び歯列改善トレーニング提供プログラム、並びに、対象者に対して好適な呼吸改善トレーニングを提案することが可能な呼吸改善トレーニング支援装置及び呼吸改善トレーニング支援プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するために、本発明の歯列改善トレーニング支援装置は、対象者の歯列に関係する身体状態に関する診察結果、問診結果及び担当者が測定することによって数値として得られた測定結果を取得する身体状態取得部と、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に基づいて、歯列改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部と、を備え、記憶部には、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果と、前記トレーニングの内容としての対象及び種類と、が関連付けて記憶されており、前記トレーニング設定部は、取得された前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果を用いて前記記憶部を参照することによって、前記記憶部に記憶された前記トレーニングの中から前記対象者のための前記トレーニングの対象及び種類を設定し、前記トレーニング設定部は、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に含まれる前記身体状態のグレードに基づいて、前記トレーニングの内容を設定し、前記測定結果は、オーバーバイト、オーバージェット、インディケーターライン、最大開口量、スポット開口量、スポット開口率、呼気二酸化炭素濃度、血中酸素飽和度、呼吸数、口唇閉鎖不全、鼻から上唇の長さ、及び、下唇厚みの少なくとも一つを含み、前記スポット開口率は、最大開口量に対するスポット開口量の割合であり、前記最大開口量は、最大開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離であり、前記スポット開口量は、上顎の前歯の裏に舌をつけた状態での開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離であることを特徴とする。
また、本発明の呼吸改善トレーニング支援装置は、対象者の呼吸に関係する身体状態に関する診察結果、問診結果及び担当者が測定することによって数値として得られた測定結果を取得する身体状態取得部と、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に基づいて、呼吸改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部と、を備え、記憶部には、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果と、前記トレーニングの内容としての対象及び種類と、が関連付けて記憶されており、前記トレーニング設定部は、取得された前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果を用いて前記記憶部を参照することによって、前記記憶部に記憶された前記トレーニングの中から前記対象者のための前記トレーニングの対象及び種類を設定し、前記トレーニング設定部は、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に含まれる前記身体状態のグレードに基づいて、前記トレーニングの内容を設定し、前記測定結果は、オーバーバイト、オーバージェット、インディケーターライン、最大開口量、スポット開口量、スポット開口率、呼気二酸化炭素濃度、血中酸素飽和度、呼吸数、口唇閉鎖不全、鼻から上唇の長さ、及び、下唇厚みの少なくとも一つを含み、前記スポット開口率は、最大開口量に対するスポット開口量の割合であり、前記最大開口量は、最大開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離であり、前記スポット開口量は、上顎の前歯の裏に舌をつけた状態での開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、歯列に関係する身体状態の測定結果、診察結果及び問診結果に基づいてトレーニングを設定するので、対象者に対して好適な歯列改善トレーニングを提案することができる。
また、本発明によると、呼吸に関係する身体状態の測定結果、診察結果及び問診結果に基づいてトレーニングを設定するので、対象者に対して好適な呼吸改善トレーニングを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援装置を有する歯科改善トレーニング支援システムを模式的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援装置における、口腔状態入力用画面の例を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援装置における、口腔状態入力用画面の例を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援システムにおける、端末装置の表示画面の例を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援システムによるトレーニングの実行例を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援装置によるガントチャートの例を示す模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援装置によるガントチャートの例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援システム1は、歯列改善トレーニングの対象者に対して歯列が整いやすい身体状態(呼吸、顔面(頭部骨格、口腔状態)等の状態)を実現するための歯列改善トレーニングを提案することによって、小学生、歯列がやや悪い大人等の歯列改善を支援し、将来的な歯列矯正を不要化又は軽減するシステムである。
【0013】
かかる歯列改善トレーニング支援システム1によって提案される歯列改善トレーニングは、対象者の呼吸を改善する呼吸改善トレーニングでもある。したがって、歯列改善トレーニング支援システム1及び後記する歯列改善トレーニング支援装置30は、それぞれ、呼吸を改善する呼吸改善トレーニングを提案するための呼吸改善トレーニング支援システム及び呼吸改善トレーニング支援装置としても利用可能である。
【0014】
歯列改善トレーニング支援システム1は、歯列改善トレーニングの対象者(患者)又はその保護者が所有する端末装置10と、歯列改善トレーニングの担当者(歯科医師、歯科医師が所属する歯科医院等)が所有する測定装置20及び歯列改善トレーニング支援装置30と、を備える。複数の端末装置10及び歯列改善トレーニング支援装置30は、第一のネットワーク(インターネット等)NW1を介して、互いに通信可能に接続されている。複数の測定装置20及び歯列改善トレーニング支援装置30は、第二のネットワーク(イントラネット等)NW2を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0015】
<端末装置>
端末装置10は、操作部11と、撮影部12と、通知部13と、制御部14と、を備える。操作部11は、キーボード、マウス、タッチパネル等によって構成されており、ユーザ(トレーニングの対象者又はその保護者)による操作結果を制御部14へ出力する。撮影部12は、カメラ、マイク等によって構成されており、撮影結果(音声付き動画等)を制御部14へ出力する。通知部13は、スピーカ、モニタ等によって構成されており、制御部14による制御に基づいて音声を出力したり画像を表示したりする。
【0016】
制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されている。制御部14は、汎用的なソフトウェア(ブラウザ)上のコンテンツとしての専用のプログラムによって動作し、撮影部12による撮影結果(トレーニング実行動画)を歯列改善トレーニング支援装置30へ送信したり、歯列改善トレーニング支援装置30によって送信されたトレーニング動画を受信して通知部13に再生させたりする。
【0017】
<測定装置>
測定装置20は、担当者(歯科医師等)の操作に基づいて対象者の歯列に関係する身体状態(口腔状態等)を測定し、測定結果を歯列改善トレーニング支援装置30へ送信する。
【0018】
<歯列改善トレーニング支援装置>
歯列改善トレーニング支援装置30は、操作部31と、通知部32と、制御部33と、を備える。操作部31は、キーボード、マウス、タッチパネル等によって構成されており、ユーザ(担当者)による操作結果を制御部33へ出力する。通知部32は、スピーカ、モニタ等によって構成されており、制御部33による制御に基づいて音声を出力したり画像を表示したりする。
【0019】
制御部33は、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力回路等によって構成されている。制御部33は、機能部として、記憶部33aと、身体状態取得部33bと、トレーニング実行状況取得部33cと、トレーニング設定部33dと、を備える。
【0020】
≪記憶部≫
記憶部33aは、トレーニング内容データベース33a1と、トレーニング動画データベース33a2と、トレーニング実行状況データベース33a3と、を備える。
【0021】
≪トレーニング内容データベース≫
トレーニング内容データベース33a1には、歯列改善のためのトレーニングの内容として、対象と、種類と、が関連付けて記憶されている。トレーニングの対象としては、例えば、舌、呼吸・睡眠、口唇、頬、嚥下・咀嚼、発音、姿勢等が挙げられる。トレーニングの種類は、トレーニングの対象ごとに複数(例えば10種類前後)設けられている。
【0022】
≪トレーニング動画データベース≫
トレーニング動画データベース33a2には、トレーニングの内容としての対象及び種類と、モデルが実行した当該トレーニングを撮影したトレーニング動画と、が関連付けて記憶されている。
【0023】
≪トレーニング実行状況データベース≫
トレーニング実行状況データベース33a3には、対象者のID(氏名、端末装置10のID(メールアドレス、SNSのアカウント等)等)と、当該対象者が実行したトレーニングを撮影したトレーニング実行動画と、が関連付けて記憶されている。また、トレーニング実行状況データベース33a3には、対象者のIDと、当該対象者に対して設定されたトレーニングの内容と、が関連付けて記憶されている。
【0024】
≪身体状態取得部≫
身体状態取得部33bは、担当者による操作部31の操作結果として、対象者のID並びに、当該対象者の歯列に関係する身体状態(口腔状態等)の測定結果、診察結果及び問診結果を取得する。身体状態取得部33bは、取得された対象者のID及び各種結果をトレーニング設定部33dへ出力したり、トレーニング実行状況データベース33a3に記憶させたりする。また、身体状態取得部33bは、測定装置20の測定結果として、対象者のID及び当該対象者の歯列に関係する身体状態(口腔状態等)の測定結果を取得する。身体状態取得部33bは、取得された対象者のID及び測定結果をトレーニング設定部33dへ出力したり、トレーニング実行状況データベース33a3に記憶させたりする。
【0025】
≪身体状態≫
図2及び図3は、身体状態入力用画面の一例を示す模式図である。担当者は、身体状態入力用画面が通知部32に表示された状態で操作部31を操作することによって、身体状態を入力する。図2及び図3に示すように、身体状態は、身体状態の種類41と、当該種類41の状態(良い/悪い)を段階的に示すグレード42と、を含む。
【0026】
≪測定結果≫
身体状態としての測定結果は、測定装置20を用いた測定、検査等によって身体状態を数値化したものである。測定結果としては、オーバーバイトA1、オーバージェットA2、インディケーターラインA3、最大開口量A4、スポット開口量A5、スポット開口率(パーセント)A6、呼気二酸化炭素濃度A7、血中酸素飽和度A8、呼吸数A9、口唇閉鎖不全A10、口唇圧A11、鼻から上唇の長さA12、下唇厚みA13が挙げられる。
【0027】
オーバーバイトA1は、上下の歯の噛み合わせの深さ百分率で示すものであり、噛んだ状態で上下の歯が重なると「+」の値をとり、上下の歯に隙間があると「-」の値をとる。オーバーバイトA1のグレードは、「+20%」が最も良く、この値から離れるほど悪くなる。
【0028】
オーバージェットA2は、上下の前歯の噛み合わせの前後の位置関係を示すものであり、上の前歯が下の前歯よりも前に出ている場合に「+」の値をとり、上の前歯が下の前歯よりも後に引っ込んでいる場合に「-」の値をとる。オーバージェットA2のグレードは、+2~3mmが最も良く、この値から離れるほど悪くなる。
【0029】
インディケーターラインA3は、上の前歯の切端から鼻の頂きまでの距離を示すものである。インディケーターラインA3のグレードは、男性の場合には年齢+23が最も良く、この値から離れるほど悪くなる。また、インディケーターラインA3のグレードは、女性の場合には、年齢+21が最も良く、この値から離れるほど悪くなる。
【0030】
最大開口量A4は、最大開口時の上の前歯の切端と下の前歯の切端との間の距離を示すものである。
【0031】
スポット開口量A5は、上顎の前歯の裏に舌をつけた状態での開口量(上下幅)である。
【0032】
スポット開口率A6は、最大開口量A4に対するスポット開口量A5の割合、すなわち、スポット開口量A5を最大開口量A4で割った値を百分率で表したものである。スポット開口率A6のグレードは、当該スポット開口率A6が小さくなるほど悪くなり、例えば、70%以上が良く、50%以上70%未満がやや悪く、10%以上50%未満が悪い。
【0033】
呼気二酸化炭素濃度A7は、対象者の呼気に含まれる二酸化炭素の濃度を測定したものである。呼気二酸化炭素濃度A7のグレードは、35~40が最も良く、この値から離れるほど悪くなる。
【0034】
血中酸素飽和度A8のグレードは、100%が最も良く、この値から離れる(下がる)ほど悪くなる。
【0035】
呼吸数A9は、単位時間(ここでは、1分)あたりの呼吸の回数である。呼吸数A9のグレードは、8~12回が最も良く、この値から離れるほど悪くなる。
【0036】
口唇閉鎖不全A10は、日常的に口が開いている、いわゆる「口ぽかん」の状態であり、上唇と下唇との間の距離(開口量)を示すものである。口唇閉鎖不全A10のグレードは、0mmが最も良く、数値が大きくなるほど悪くなる。
【0037】
口唇圧A11は、上唇と下唇とを閉じたときの圧力を示すものであり、口唇圧測定器を用いて測定可能である。口唇圧A11のグレードは、8N以上が最も良く、数値が小さくなるほど悪くなる。
【0038】
鼻から上唇の長さA12は、鼻の頂きから上唇の上端までの距離を示すものである。鼻から上唇の長さA12のグレードは、18~20mmが最も良く、この値から離れるほど悪くなる。
【0039】
下唇厚みA13は、下唇の厚み(高さ(前後)方向の幅)を示すものである。下唇厚みA13のグレードは、9~10mmが最も良く、この値から離れるほど悪くなる。
【0040】
なお、本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援システム1を、対象者の呼吸を改善するための呼吸改善トレーニング支援システムとして用いる場合には、測定結果として、対象者の気道の幅(前後方向の寸法、及び/又は、左右方向の寸法)を採用する構成であってもよい。かかる気道の幅は、X線写真、CTスキャン結果等を用いて測定可能である。
【0041】
≪診察結果≫
身体状態としての診察結果は、担当者(歯科医師等)による対象者の診察によって身体状態をグレード分類したものである。診察結果としては、上顎歯列B1、下顎歯列B2、正中のズレB3、不正咬合の分類B4、先天欠如B5、過剰歯B6、顔面B7、安静時舌位B8、舌小帯B9、姿勢B10、安静時口唇B11、頬B12、嚥下B13、発音B14、TMD(Temporo Mandibular Disorders、側頭舌顎部障害)B15、幅B16が挙げられる。
【0042】
上顎歯列B1は、上顎の歯並びの状態を示すものである。上顎歯列B1のグレードは、「正常」が良く、悪い状態として、「狭窄」、「平坦」、「瓢箪」、「V字」、「叢生」に分類される。
【0043】
下顎歯列は、下顎の歯並びの状態を示すものである。下顎歯列B2のグレードは、「正常」が良く、悪い状態として、「狭窄」、「平坦」、「瓢箪」、「V字」、「叢生」に分類される。
【0044】
正中のズレB3は、上顎に対する下顎の左右へのズレを示すものである。正中のズレB3のグレードは、「なし」が良く、悪い状態として、「下顎が右にズレている」、「下顎が左にズレている」に分類される。
【0045】
不正咬合の分類B4は、顔面、顎及び歯に何らかの障害があるために咬合が正常でない状態を示すものである。不正咬合の分類B4は、「なし」が良く、悪い状態として、「I級叢生」、「II級1類」、「II級2類」、「反対咬合」、「開咬」、「交叉咬合・顎変形症」に分類される。
【0046】
先天欠如B5は、乳歯が抜けた後に永久歯が生えてこないことを示すものである。先天欠如B5のグレードは、「なし」が最も良く、「あり」が悪い。
【0047】
過剰歯B6は、歯種によって決まっている数以上に歯が生えていることを示すものである。過剰歯B6のグレードは、「なし」が良く、「あり」が悪い。
【0048】
顔面B7は、顔面の発達状態を示すものである。顔面B7のグレードは、「正常発達」が良く、悪い状態として、「中顔面発育不全」、「下顔面発育不全」、「垂直的過成長」、「顔面の非対称」、「ナジオンが低い」、「チークラインが平行ではない」に分類される。
【0049】
安静時舌位B8は、安静状態における舌の位置を示すものである。安静時舌位B8のグレードは、「正常」が良く、悪い状態として、「低位舌」、「二重アゴ」、「歯と歯の間(前方)」、「歯と歯の間(後方)」に分類される。
【0050】
舌小帯B9は、舌小帯の動きの状態を示すものである。舌小帯B9のグレードは、「正常」が良く、悪い状態として、「動きの制限あり前方」、「動きの制限あり後方」に分類される。
【0051】
姿勢B10は、起立した状態での姿勢の状態を示すものである。姿勢B10のグレードは、「正常」が良く、悪い状態として、「頭部前傾」、「肩前傾」、「反り腰」、「右耳高い」、「左耳高い」、「右肩高い」、「左肩高い」に分類される。
【0052】
安静時口唇B11は、安静状態における口唇の状態を示すものである。安静時口唇B11のグレードは、「正常」が良く、悪い状態として、「常にあいている」、「閉鎖時に顔面筋が緊張して閉じる」、「口唇カサつき」、「口唇ヒビ割れ」、「への字口」、「上唇のそり」、「鼻から上唇までが短い」、「上下口唇が同じ厚みでない」、「下唇下ふくらみ」→「下唇下溝」に分類される。
【0053】
頬B12は、頬の状態を示すものである。頬B12のグレードは、「正常」が良く、悪い状態として、「頬筋ふくらみ」、「えくぼ」に分類される。
【0054】
嚥下B13は、食物を認識してから口に運び、取り込んで咀嚼して飲み込むまでの状態を示すものである。嚥下B13のグレードは、「正常」が良く、悪い状態として、「舌突出」、「オトガイ筋過活動」、「頬筋過活動」、「下唇下過活動」、「下唇巻き込み(前歯内側)」、「下唇巻き込み(前歯外側)」に分類される。
【0055】
発音B14は、ある単語や言語が発声される際の明瞭度合いを示すものである。発音B14のグレードは、「明瞭」が良く、各行の発音が悪い(不明瞭な)状態として、「サ行」、「タ行」、「マ行」、「ラ行」に分類される。
【0056】
TMD(側頭舌顎部障害)B15は、側頭舌顎部障害状態を示すものである。TMDB15のグレードは、「なし」が良く、悪い状態として、「痛み(右)」、「痛み(左)」、「動きの制限(右)」、「動きの制限(左)」、「音(右)」、「音(左)」に分類される。
【0057】
幅B16は、上顎における左右の同一番号の臼歯間の距離を示すものである。幅B16において、「D-D」は、上顎における左右の乳歯の4番(第一乳臼歯)間の距離であり、「6-6」は、上顎における左右の永久歯の6番(第一大臼歯)間の距離である。幅B16のグレードは、それぞれ、距離が小さいほど悪くなる。
【0058】
≪問診結果≫
身体状態としての問診結果は、担当者(歯科医師等)による対象者又はその保護者への問診によって身体状態(測定結果や診察結果に含まれない日常生活における身体状態)をグレード分類したものである。問診結果としては、呼吸C1、いびきC2、歯ぎしりC3、習癖C4、アレルギーC5が挙げられる。
【0059】
呼吸C1のグレードは、「鼻呼吸」が良く、悪い状態として、「軽い鼻呼吸」、「荒い鼻呼吸」、「口呼吸」、「習慣性口呼吸」、「鼻呼吸と口呼吸の混在」、「日中口呼吸」、「就寝中口呼吸」、「胸の呼吸」、「肩や胸、頭が動く」、「フラフラしている」、「目の下にクマ」、「定期的なため息」、「あくび」、「前歯にプラーク」、「前歯に着色」、「鼻づまり(日中)」、「鼻づまり(夜間)」、「鼻づまり(1日中)」、「日中の眠気あり」、「口呼吸による歯肉炎」に分類される。
【0060】
いびきC2は、いびきの有無を示すものである。いびきC2のグレードは、「なし」が良く、「あり」が悪い。
【0061】
歯ぎしりC3は、歯ぎしりの有無を示すものである。歯ぎしりC3のグレードは、「なし」が良く、「あり」が悪い。
【0062】
習癖C4は、口元周りの癖及び寝相の癖を示すものである。習癖C4のグレードは、「なし」が最も良く、悪い状態として、「指吸い」、「爪かみ」、「上唇巻き込み」、「下唇巻き込み」、「頬杖右」、「頬杖左」、「寝方右」、「寝方左」、「寝方うつ伏せ」、「上唇を舐める」、「下唇を舐める」に分類される。
【0063】
アレルギーC5は、アレルギーの有無を示すものである。アレルギーC5のグレードは、「なし」が良く、悪い状態(「あり」)として、「ペット」、「鼻炎」、「花粉症」、「ほこり」、「蓄膿」、「食品」、「アトピー」、「喘息」に分類される。
【0064】
≪トレーニング実行状況取得部≫
トレーニング実行状況取得部33cは、端末装置10によって送信された、対象者のID及び当該対象者のトレーニング実行状況を取得する。トレーニング実行状況としては、操作部11の操作結果としてのトレーニングの対象及び種類と実際の実行結果(負荷、1セットあたりの回数又は秒数、1日又は1週間あたりの頻度)、撮影部12の撮影結果としてのトレーニング実行動画が挙げられる。トレーニング実行状況取得部33cは、取得された対象者のID及びトレーニング実行状況(ドレーニング実行動画等)を、トレーニング実行状況データベース33a3に記憶させる。
【0065】
≪トレーニング設定部≫
トレーニング設定部33dは、身体状態取得部33bから出力された身体状態の測定結果、診察結果及び問診結果を取得する。トレーニング設定部33dは、取得された測定結果、診察結果及び問診結果を用いてトレーニング内容データベース33a1を参照することによって、対象者に必要なトレーニングの内容(対象及び種類)を設定する。トレーニング設定部33dは、取得された測定結果、診察結果及び問診結果のグレードに応じて、対象者に必要なトレーニングの内容(負荷、1セットあたりの回数又は秒数、セット数、1日又は1週間あたりの頻度)を設定する。トレーニング設定部33dは、設定されたトレーニングの内容に対応するトレーニング動画をトレーニング動画データベース33a2から読み出し、設定されたトレーニングの内容及びドレーニング動画を、対応する対象者の端末装置10へ送信する。
【0066】
また、トレーニング設定部33dは、トレーニング実行状況取得部33cから出力されたトレーニング実行状況を取得する。トレーニング設定部33dは、取得された前回のトレーニング実行状況に基づいて、今回のトレーニングの内容を設定する。例えば、トレーニング設定部33dは、前回のトレーニングの内容とトレーニング実行状況を比較し、進捗率が低い場合には、トレーニングの種類を変更することができる。
【0067】
また、トレーニング設定部33dは、対象者のトレーニング実行動画を通知部32に表示させることによって担当者に提示し、担当者による対象者へのトレーニングの指導を支援することができる。
【0068】
例えば、対象者に対応する端末装置10の制御部14は、図4に示す画像を通知部13に表示させる。対象者が「トレーニング動画」51をタップすると、制御部14は、トレーニング設定部33dから送信されたトレーニング動画を再生し、対象者に視聴させることができる。また、対象者が「状況報告問い合わせ」52をタップすると、トレーニング設定部33dから送信された問い合わせ内容52aを通知部13に表示させる。また、対象者が操作部11を操作してコメントを入力すると、制御部14は、コメントを通知部13に表示させたり、当該コメントを歯列改善トレーニング支援装置30へ送信したりする。また、対象者が「スタンプ」53をタップすると、制御部14は、歯列改善トレーニング支援装置30から送信されたスタンプ(画像)を通知部13に表示させる。
【0069】
<動作例>
続いて、本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援システム1による歯列改善トレーニングの動作例について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
本動作例では、歯列改善のための手術及び/又は矯正装置の使用の有無を判定し、判定結果に基づいて歯列改善トレーニングを設定し、手術及び/又は矯正と並行して歯列改善トレーニングを実行する。
【0071】
本動作例では、第一のトレーニングT1の終了後に舌小帯リリースの必要性を判定し、必要かつ同意が得られた場合に舌小帯リリースが実行される。舌小帯リリースは、舌小帯を切除する手術である。第一のトレーニングT1の終了後に実行される第二のトレーニングT2は、舌小帯リリースの必要性の有無、及び、舌小帯リリースの実行の有無に基づいて設定される。
【0072】
また、本動作例では、第二のトレーニングT2の終了後に拡大床の必要性を判定し、必要な場合に拡大床を用いた歯列矯正が歯列改善トレーニングと並行して実行される。拡大床は、プレート、ワイヤ等によって構成されており、歯(本実施形態では、特に上歯)を外側(頬側)に移動させることで抜歯せずにスペースを作り、歯を並べる装置である。第二のトレーニングT2の終了後に実行される第三のトレーニングT3は、拡大床の利用の有無に基づいて設定される。
【0073】
<第一のトレーニングの設定>
初診時において、担当者は、対象者に対して測定、診察及び問診を実行する(ステップS1)。歯列改善トレーニング支援装置30の身体状態取得部33bは、対象者の身体状態として、測定結果、診察結果及び問診結果を取得する。トレーニング設定部33dは、取得された測定結果、診察結果及び問診結果を用いてトレーニング内容データベース33a1を参照し、参照結果に基づいて対象者のための第一のトレーニングT1の内容を設定する(ステップS2)。第一のトレーニングT1は、4週間分のトレーニングの内容を含み、1週間ごとの第一のトレーニングT1-1~T1-4によって構成されている。本実施形態において、各週の第一のトレーニングT1-1~T1-4は、同一の内容に設定されているが、異なる内容に設定されていてもよい。ステップS2とステップS3との間には、歯列改善トレーニングを実行するかしないかの返事を対象者から貰うための期間(例えば、約1か月)を設定することが可能である。
【0074】
<第一のトレーニングの実行>
対象者は、設定された第一のトレーニングT1(T1-1~T1-4)を実行する(ステップS3)。1週間分の第一のトレーニングT1を実行した翌週の初日に、担当者は、対象者に対して測定、診察及び問診を実行する。歯列改善トレーニング支援装置30の身体状態取得部33bは、対象者の身体状態として、測定結果、診察結果及び問診結果を取得する。担当者は、測定結果、診察結果及び問診結果、並びに、トレーニングの実行状況の少なくとも一つに基づいて、対象者へトレーニングに関するアドバイスを行う。また、トレーニング設定部33dは、測定結果、診察結果及び問診結果、並びに、トレーニングの実行状況の少なくとも一つに基づいて、未実行の第一のトレーニングT1の内容を修正する構成であってもよい。
【0075】
<第二のトレーニングの設定及び実行>
第一のトレーニングT1の終了後の通院時において、担当者は、対象者に対して測定、診察及び問診を実行する(ステップS4)。歯列改善トレーニング支援装置30の身体状態取得部33bは、対象者の身体状態として、測定結果、診察結果及び問診結果を取得する。トレーニング設定部33dは、測定結果、診察結果及び問診結果の少なくとも一つに基づいて、舌小帯リリースの必要性を判定する(ステップS5A)。本実施形態において、トレーニング設定部33dは、スポット開口率が80%以上である場合に、舌小帯リリースは不要であると判定し、スポット開口率が80%未満である場合に、舌小帯リリースは必要であると判定する。
【0076】
担当者は、舌小帯リリースが必要と判定された場合(ステップS5AでYes)に、舌小帯リリースを実行するか否かを対象者に問い合わせ(ステップS5B)、操作部31を操作することによって、問い合わせに対する回答結果を入力する。
【0077】
トレーニング設定部33dは、舌小帯リリースの必要性及び実行の有無に基づいてトレーニング内容データベース33a1を参照し、参照結果に基づいて対象者のための第二のトレーニングT2の内容を設定する(ステップS6A~S6C)。第二のトレーニングT2は、8週間分のトレーニングの内容を含み、1週間ごとの第二のトレーニングT2-1~T2-8によって構成されている。本実施形態において、各週の第二のトレーニングT2-1~T2-8は、同一の内容に設定されているが、異なる内容に設定されていてもよい。
【0078】
トレーニングの内容は、舌小帯リリースの必要があり、かつ、舌小帯リリースを実行しない場合に、最もハードに設定され(ステップS6A)、対象者は、設定された第二のトレーニングT2(ハ-ド)を実行する(ステップS7A)。また、トレーニングの内容は、舌小帯リリースの必要があり、かつ、舌小帯リリースを実行する場合に、次にハード(ミドル)に設定され(ステップS6B)、対象者は、設定された第二のトレーニングT2(ミドル)を実行する(ステップS7B)。なお、舌小帯リリースが必要と判定されて同意した対象者は、ステップS7Bの前に舌小帯リリースを受ける。また、トレーニングの内容は、舌小帯リリースの必要がない場合に、最もソフトに設定され(ステップS6C)、対象者は、設定された第二のトレーニングT2(ソフト)を実行する(ステップS7C)。各ステップS7A~7Cにおいて、1週間分の第二のトレーニングT2を実行した翌週の初日に、担当者は、対象者に対して測定、診察及び問診を実行する。歯列改善トレーニング支援装置30の身体状態取得部33bは、対象者の身体状態として、測定結果、診察結果及び問診結果を取得する。担当者は、測定結果、診察結果及び問診結果、並びに、トレーニングの実行状況の少なくとも一つに基づいて、対象者へトレーニングに関するアドバイスを行う。また、トレーニング設定部33dは、測定結果、診察結果及び問診結果、並びに、トレーニングの実行状況の少なくとも一つに基づいて、未実行の第二のトレーニングT2の内容を修正する構成であってもよい。
【0079】
歯列改善トレーニングにおいて、ハードは、内容、回数、頻度等が最も高負荷に設定されており、ソフトは、内容、回数、頻度等が最も低負荷に設定されており、ミドルは、内容、回数、頻度等がハード及びソフトの中間の負荷に設定されている。
【0080】
第一のトレーニングT1及び第二のトレーニングT2は、主に舌の状態、呼吸及び姿勢を改善することによって、歯列を改善するためのトレーニングである。
【0081】
<第三のトレーニングの設定及び実行>
第二のトレーニングT2の終了後の通院時において、担当者は、対象者に対して測定、診察及び問診を実行する(ステップS8)。歯列改善トレーニング支援装置30の身体状態取得部33bは、対象者の身体状態として、測定結果、診察結果及び問診結果を取得する。トレーニング設定部33dは、測定結果、診察結果及び問診結果の少なくとも一つに基づいて、拡大床の必要性を判定する(ステップS9)。本実施形態において、トレーニング設定部33dは、幅B16における「D-D」又は「6-6」の値がそれに対応する閾値以上である場合に、拡大床は不要であると判定し、幅B16における「D-D」又は「6-6」の値がそれに対応する閾値未満である場合に、拡大床は必要であると判定する。
【0082】
なお、幅B16として「D-D」及び「6-6」のどちらを採用するかは、対象者の歯の生え変わり状態によって決定可能である。また、対象者の歯の生え変わり状態によっては、左右の一方における乳歯の4番(第一乳臼歯)と左右の他方における永久歯の6番(第一大臼歯)との間の幅と、当該幅に対応する閾値と、を用いた判定を行うことも可能である。
【0083】
トレーニング設定部33dは、拡大床の必要性に基づいてトレーニング内容データベース33a1を参照し、参照結果に基づいて対象者のための第三のトレーニングT3の内容を設定する(ステップS10A,S10B)。第三のトレーニングT3は、12か月分のトレーニングの内容を含み、1月ごとの第三のトレーニングT3-1~T3-12によって構成されている。本実施形態において、各月の第三のトレーニングT3-1~T3-12は、同一の内容に設定されているが、異なる内容に設定されていてもよい。
【0084】
トレーニングの内容は、拡大床の必要がある場合に、ハードに設定され(ステップS10A)、対象者は、設定された第三のトレーニングT3(ハード)を実行する(ステップS11A)。なお、拡大床が必要と判定された対象者は、ステップS33Aと同時に拡大床を用いた治療を受ける。また、トレーニングの内容は、拡大床の必要がない場合に、ソフトに設定され(ステップS10B)、対象者は、設定された第三のトレーニングT3(ソフト)を実行する(ステップS11B)。各ステップS11A,11Bにおいて、1か月ごとの初日に、対象者は通院し、例えば4か月ごとの初日に、担当者は、対象者に対して測定、診察及び問診を実行する。歯列改善トレーニング支援装置30の身体状態取得部33bは、対象者の身体状態として、測定結果、診察結果及び問診結果を取得する。担当者は、測定結果、診察結果及び問診結果、並びに、トレーニングの実行状況の少なくとも一つに基づいて、対象者へトレーニングに関するアドバイスを行う。また、トレーニング設定部33dは、測定結果、診察結果及び問診結果、並びに、トレーニングの実行状況の少なくとも一つに基づいて、未実行の第三のトレーニングT3の内容を修正する構成であってもよい。
【0085】
なお、第三のトレーニングT3(T3-12)の実行後に、歯列の改善が十分ではない場合には、トレーニング設定部33dは、身体状態取得部33bによって取得された当該時点における測定結果、診察結果及び問診結果に基づいて、補足トレーニングを設定する構成であってもよい。また、第三のトレーニングT3(T3-12)の実行後に、歯列の改善が十分である場合には、担当者が対象者の歯列の状態を定期的に(例えば、数か月ごとに数回)確認する、いわゆる終了プログラムを行う構成であってもよい。
【0086】
<ガントチャート>
トレーニング設定部33dは、複数の対象者のガントチャートを生成し、生成されたガントチャートを通知部32に表示させる。図6に示すように、ガントチャート60は、対象者(受講生)のID(氏名)61と、トレーニングの状態(トレーニング中、トレーニング中断、トレーニング終了)62と、当該トレーニングの終了日63と、トレーニングの進行状況を示すチャート64と、が関連付けられたものである。
【0087】
また、トレーニング設定部33dは、対象者ごとのガントチャートを生成し、生成されたガントチャートを通知部32に表示させたり、制御部14を介して通知部13に表示させたりする。図7に示すように、ガントチャート70は、対象者(受講生)のID(氏名)71と、トレーニングの状態(トレーニング中、トレーニング中断、トレーニング終了)72と、トレーニングの進行状況を示すチャート74と、トレーニングの詳細(トレーニングごとの開始日、終了日等)75と、が関連付けられたものである。
【0088】
本実施形態において、トレーニング設定部33dは、トレーニング設定部33dによって設定されたトレーニングと、トレーニング実行状況取得部33cによって取得されたトレーニングの実行状況と、に基づいて、チャート74によって示されるトレーニングの進行状況を算出する。なお、トレーニング設定部33dは、トレーニング設定部33dによって設定されたトレーニングの日程と、当日の日付と、に基づいて、チャート74によって示されるトレーニングの進行状況を算出する構成であってもよい。
【0089】
歯列改善トレーニング支援装置30は、ガントチャート70を生成することによって、担当者及び対象者の双方によるトレーニングの進行状況の確認を可能にし、トレーニングの管理を効率化することができる。また、歯列改善トレーニング支援装置30は、動画によるトレーニングの内容及び実行状況の確認を可能にし、トレーニングの管理を効率化することができる。
【0090】
<トレーニングの内容の好適化>
各トレーニングT1~T3の期間のそれぞれにおいて、身体状態取得部33bは、取得された対象者の身体状態(測定結果、診察結果及び問診結果)を、当該対象者のトレーニング実行状況と関連付けてトレーニング実行状況データベース33a3に記憶させる。トレーニング設定部33dは、トレーニング実行状況取得部33cによって取得されてトレーニング実行状況データベース33a3を参照することによって、トレーニング実行状況取得部33cによって取得されたトレーニングの実行状況と、身体状態取得部33bによって取得された身体状態すなわちトレーニングによる身体状態の改善結果と、を用いて、対象者ごとに好適なトレーニング内容を設定して提案する。
【0091】
例えば、トレーニング設定部33dは、ある対象者に関して、第一のトレーニングT1、第二のトレーニングT2及び第三のトレーニングT3のそれぞれにおいて、前回(前週又は前月(前期))のトレーニングによる身体状態の改善結果(前回のトレーニングの開始前の身体状態と終了後の身体状態との差)が対象者全体の平均よりも低い場合に、今回(今週又は今月(今期))のトレーニングの負荷を高く設定することができる。また、トレーニング設定部33dは、現時点における対象者の身体状態と同様の(又は類似した)他の対象者であって、トレーニングの結果が良かった他の対象者のトレーニングの内容を参考に、当該対象者のトレーニングの内容を設定することができる。すなわち、歯列改善トレーニング支援装置30は、各症例について、対象者達のトレーニングの内容及びその結果(身体状態の改善結果)をデータ化して蓄積及び集計し、かかるデータを用いて各対象者に対して好適なトレーニングの内容を設定して提案することができる。
【0092】
本発明の実施形態に係る歯列改善トレーニング支援装置30は、対象者の歯列に関係する身体状態に関する測定結果、診察結果及び問診結果を取得する身体状態取得部33bと、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に基づいて、歯列改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部33dと、を備える。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、身体状態の測定結果、診察結果及び問診結果に基づいてトレーニングの内容を設定するので、対象者に対して好適な歯列改善トレーニングを提案することができる。
【0093】
歯列改善トレーニング支援装置30において、記憶部33aには、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果と、前記トレーニングの内容としての対象及び種類と、が関連付けて記憶されており、前記トレーニング設定部33dは、取得された前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果を用いて前記記憶部を参照することによって、前記記憶部に記憶された前記トレーニングの中から前記対象者のための前記トレーニングの対象及び種類を設定する。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、身体状態と関連付けられたトレーニングの対象及び種類の中からトレーニングの対象及び種類を選択して設定するので、対象者に対して好適な対象及び内容を含む歯列改善トレーニングを提案することができる。
【0094】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部33dは、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に含まれる前記身体状態のグレードに基づいて、前記トレーニングの内容を設定する。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、身体状態のグレードに基づいてトレーニングの内容を設定するので、例えば、グレードが悪い対象者に対してトレーニングの負荷、1セットあたりの回数又は秒数、セット数、頻度を大きく設定することができる。
【0095】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部33dは、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果の少なくとも一つに基づいて、舌小帯リリースの必要性を判定し、前記舌小帯リリースの必要性に基づいて、前記トレーニングを設定する。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、歯列改善のための舌小帯リリースの必要性に応じて好適な歯列改善トレーニングを提案することができる。
【0096】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部33dは、前記測定結果としてのスポット開口率に基づいて、前記舌小帯リリースの必要性を判定し、前記スポット開口率は、最大開口量に対するスポット開口量の割合である。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、歯列改善のための舌小帯リリースの必要性を好適に判定することができる。
【0097】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部33dは、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果の少なくとも一つに基づいて、拡大床の必要性を判定し、前記拡大床の必要性に基づいて、前記トレーニングを設定する
したがって、歯列改善トレーニング支援装置は、歯列改善のための拡大床を用いた矯正の必要性に応じて好適な歯列改善トレーニングを提案することができる。
【0098】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部33dは、前記測定結果としての幅に基づいて、前記拡大床の必要性を判定し、前記幅は、上顎における左右の同一番号の臼歯間の距離である。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置は、歯列改善のための拡大床を用いた矯正の必要性を好適に判定することができる。
【0099】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部は33d、設定された前記トレーニングの内容を、前記対象者に対応する端末装置10へ送信する。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、対象者に対応する端末装置10へトレーニングの内容を送信するので、自宅等での歯列改善トレーニングの実行を好適に支援することができる。
【0100】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部33dは、前記トレーニングの内容に関する動画を前記端末装置10へ送信する。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、対象者に対応する端末装置10へトレーニング動画を送信するので、自宅等での歯列改善トレーニングの実行を好適に支援することができる。
【0101】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部33dは、設定された前記トレーニングに関するガントチャートを生成し、生成された前記ガントチャートを前記対象者に対応する端末装置へ送信する
したがって、歯列改善トレーニング支援装置は、対象者に対して歯列改善トレーニングの進行状況を示し、モチベーションの維持及び向上を図ることができる。
【0102】
歯列改善トレーニング支援装置30において、歯列改善トレーニング支援装置30は、前記対象者による前記トレーニングの実行状況を取得するトレーニング実行状況取得部33cを備える。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置は、実際に実行されたトレーニングに基づいた、担当者によるアドバイスを可能にする。
【0103】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング実行状況取得部33cは、前記トレーニングの実行状況として、当該実行状況が撮影された動画を取得する。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置は、実際に実行されたトレーニングの動画に基づいた、担当者によるアドバイスを可能にする。
【0104】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニング設定部33dは、前回の前記トレーニングの実行状況に基づいて、今回の前記トレーニングの内容を設定する。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、前回のトレーニング実行状況を今回のトレーニング内容に反映させるので、例えば対象者が苦手であったり効果が出ていなかったりするトレーニングを辞め、異なるトレーニングを提案することができる。
【0105】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記トレーニングの内容としての対象は、舌、呼吸・睡眠、口唇、頬、嚥下・咀嚼、発音、及び、姿勢の少なくとも一つを含む。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、身体状態、ひいては歯列を好適に改善することができる。
【0106】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記測定結果は、オーバーバイト、オーバージェット、インディケーターライン、最大開口量、スポット開口量、スポット開口率、呼気二酸化炭素濃度、血中酸素飽和度、呼吸数、口唇閉鎖不全、鼻から上唇の長さ、及び、下唇厚みの少なくとも一つを含む。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、数値化可能な身体状態を測定によって取得し、かかる身体状態に基づいて、トレーニングを好適に設定することができる。
【0107】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記診察結果は、上顎歯列、下顎歯列、正中のズレ、不正咬合の分類、先天欠如、過剰歯、顔面、安静時舌位、舌小帯、姿勢、安静時口唇、頬、嚥下、発音、側頭舌顎部障害、及び、上顎における左右の同一番号の臼歯間の距離の少なくとも一つを含む。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、数値化困難な身体状態を診察によって取得し、かかる身体状態に基づいて、トレーニングを好適に設定することができる。
【0108】
歯列改善トレーニング支援装置30において、前記問診結果は、呼吸、いびき、歯ぎしり、習癖、及び、アレルギーの少なくとも一つを含む。
したがって、歯列改善トレーニング支援装置30は、診察では分からない日常の身体状態を問診によって取得し、かかる身体状態に基づいて、トレーニングを好適に設定することができる。
【0109】
また、本発明の実施形態に係る呼吸改善トレーニング支援装置は、対象者の呼吸に関係する身体状態に関する測定結果、診察結果及び問診結果を取得する身体状態取得部33bと、前記測定結果、前記診察結果及び前記問診結果に基づいて、呼吸改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部33dと、を備える。
したがって、呼吸改善トレーニング支援装置は、身体状態の測定結果、診察結果及び問診結果に基づいてトレーニングの内容を設定するので、対象者に対して好適な呼吸改善トレーニングを提案することができ、特に対象者が子供である場合には、呼吸の改善によって健全な成長を促進することができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本発明は、コンピュータを歯列改善トレーニング支援装置30として機能させる歯列改善トレーニング支援プログラムとしても具現化可能である。また、本発明は、コンピュータを呼吸改善トレーニング支援装置として機能させる呼吸改善トレーニング支援プログラムとしても具現化可能である。
【0111】
また、前記した実施形態では舌小帯リリース及び拡大床の必要性を判定し、これらの判定結果に基づいてトレーニングを設定したが、他の項目(例えば、トレーニングと並行して実行される手術、歯列矯正等)に基づいてトレーニングを設定する構成であってもよい。また、歯列改善トレーニング支援装置30は、舌小帯リリース、拡大床の必要性等といった中間的な判定項目をおかずに、測定結果、診察結果及び問診結果に基づいてトレーニングを直接設定する構成であってもよい。
【0112】
また、本発明の歯列(又は呼吸)改善トレーニング支援装置30及び歯列(又は呼吸)改善トレーニング支援プログラムによって取得されたデータは、歯列改善及び呼吸改善以外の他の用途にも利用可能である。かかるデータとしては、測定結果、診察結果、問診結果、設定されたトレーニング、トレーニングの進行状況(チャート74)、舌小帯リリースの有無、拡大床の有無、及び、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【符号の説明】
【0113】
1 歯列改善トレーニング支援システム(呼吸改善トレーニング支援システム)
10 端末装置
20 測定装置
30 歯列改善トレーニング支援装置(呼吸改善トレーニング支援装置)
33a 記憶部
33b 身体状態取得部
33c トレーニング実行状況取得部
33d トレーニング設定部
【要約】
【課題】対象者に対して好適な歯列改善トレーニングを提案することが可能な歯列改善トレーニング支援装置を提供する。
【解決手段】歯列改善トレーニング支援装置30は、対象者の歯列に関係する身体状態に関する測定結果、診察結果及び問診結果を取得する身体状態取得部33bと、測定結果、診察結果及び問診結果に基づいて、歯列改善のためのトレーニングの内容を設定するトレーニング設定部33dと、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7