(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20231013BHJP
【FI】
H04W76/10
(21)【出願番号】P 2018161924
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-03-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 達也
(72)【発明者】
【氏名】神田 博紀
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 正史
(72)【発明者】
【氏名】金山 将也
【合議体】
【審判長】廣川 浩
【審判官】角張 亜希子
【審判官】齋藤 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0067094(US,A1)
【文献】国際公開第2017/129124(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24- 7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
所定の家電機器に無線接続するための家電接続情報を用いて前記家電機器に無線接続可能であるとともに、無線アクセスポイントに対して前記無線アクセスポイントに接続するためのAP接続情報を用いて無線接続可能である無線接続部と、
前記家電接続情報を予め保持する保持部であって、前記家電機器を遠隔操作対象の家電機器として登録するための操作が行われると、前記家電接続情報と、前記無線接続部と接続中の前記AP接続情報が表示されて、前記操作に応じて前記無線接続部と接続中の前記無線アクセスポイントに関する前記AP接続情報を保持する保持部と、
前記AP接続情報が保持され
ている状況で、前記無線接続部が無線接続先を前記無線アクセスポイントから前記家電機器に切り替えて、前記保持部に保持されている前記AP接続情報を前記家電機器に送信する送信部と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項2】
前記無線接続部は、SSIDを含む家電接続情報を用いて前記家電機器に無線接続可能であり、
前記家電接続情報は、複数の前記家電機器の個体に対して同じである、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記保持部により保持されている前記AP接続情報を表示させる請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記保持部は、前記無線接続部が前記家電機器に接続するための家電接続情報の少なくとも一部を保持する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記保持部により保持されている前記家電接続情報を表示させる請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記無線接続部による前記家電機器または前記無線アクセスポイントとの接続状態を表示させる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記無線接続部の無線接続先が前記無線アクセスポイントから前記家電機器へ正常に切り替わらなかった場合に、切り替えが正常に行われなかったこと、及び切り替えを正常に行うための対処方法を表示させる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
家電機器及び情報処理装置を含むシステムであって、
前記情報処理装置は、
所定の家電機器に無線接続するための家電接続情報を用いて前記家電機器に無線接続可能であるとともに、無線アクセスポイントに対して前記無線アクセスポイントに接続するためのAP接続情報を用いて無線接続可能である第1無線接続部と、
前記家電接続情報を予め保持する保持部であって、前記家電機器を遠隔操作対象の家電機器として登録するための操作が行われると、前記家電接続情報と、前記無線接続部と接続中の前記AP接続情報が表示されて、前記操作に応じて前記第1無線接続部と接続中の前記無線アクセスポイントに関する前記AP接続情報を保持する保持部と、
前記AP接続情報が保持され
ている状況で、前記第1無線接続部が無線接続先を前記無線アクセスポイントから前記家電機器に切り替えて、前記保持部に保持されている前記AP接続情報を前記家電機器に送信する送信部と、
を備え、
前記家電機器は、
前記AP接続情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記AP接続情報を用いて前記無線アクセスポイントに接続する第2無線接続部と、
を備えたシステム。
【請求項9】
所定の家電機器に無線接続するための家電接続情報を用いて前記家電機器に無線接続可能であるとともに、無線アクセスポイントに対して前記無線アクセスポイントに接続するためのAP接続情報を用いて無線接続可能である無線接続部と、
前記家電接続情報を予め保持する保持部であって、前記家電機器を遠隔操作対象の家電機器として登録するための操作が行われると、前記家電接続情報と、前記無線接続部と接続中の前記AP接続情報が表示されて、前記操作に応じて前記無線接続部と接続中の前記無線アクセスポイントに関する前記AP接続情報を保持する保持部と、
前記AP接続情報が保持され
ている状況で、前記無線接続部が無線接続先を前記無線アクセスポイントから前記家電機器に切り替えて、前記保持部に保持されている前記AP接続情報を前記家電機器に送信する送信部と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続可能な家電機器には、家庭内に設けられたアクセスポイントを経由してネットワークに接続ものが多い。従来の家電機器は、アクセスポイントに接続するために、ユーザがSSID等を入力する必要があるため、ユーザの手間がかかる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、家電機器をアクセスポイントに接続させるためのユーザの手間を削減した情報処理装置、システム、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報処理装置は、無線接続部と、保持部と、送信部とを持つ。無線接続部は、所定の家電機器に無線接続するための家電接続情報を用いて前記家電機器に無線接続可能であるとともに、無線アクセスポイントに対して前記無線アクセスポイントに接続するためのAP接続情報を用いて無線接続可能である。保持部は、前記家電接続情報を予め保持する保持部であって、前記家電機器を遠隔操作対象の家電機器として登録するための操作が行われると、前記家電接続情報と、前記無線接続部と接続中の前記AP接続情報が表示されて、前記操作に応じて前記無線接続部と接続中の前記無線アクセスポイントに関する前記AP接続情報を保持する。送信部は、前記AP接続情報が保持されている状況で、前記無線接続部が無線接続先を前記無線アクセスポイントから前記家電機器に切り替えて、前記保持部に保持されている前記AP接続情報を前記家電機器に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態のスマートフォン30を含む全体構成例を示す図。
【
図4】表示部302に表示される画面の遷移例を示す図。
【
図6】スマートフォン30の処理の流れを示すフローチャート。
【
図7】スマートフォン30の処理の流れを示すフローチャート。
【
図8】冷蔵庫10の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の情報処理装置、システム、及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、実施形態のスマートフォン30を含む全体構成例を示す図である。
図1には、サーバ40、ネットワーク50、及び家庭内通信システム100が示されている。家庭内通信システム100は、冷蔵庫10、アクセスポイント20、及びスマートフォン30を含む。スマートフォン30は、情報処理装置の一例である。冷蔵庫10は、家電機器の一例である。
【0009】
アクセスポイント20は、ネットワーク50に接続するためのホームゲートウェイとしての機能と、無線LAN(Local Area Network)のルータとしての機能を備える。アクセスポイント20にクライアントとして無線接続するためには、SSID(Service Set Identifier)及び暗号化キーが必要である。ネットワーク50は、インターネット、一般電話回線、及び携帯電話回線等で構成される。サーバ40は、冷蔵庫10を遠隔操作可能なユーザに関する情報等を記憶する。
【0010】
実施形態の冷蔵庫10は、ステーションモード及びアクセスポイントモードとして動作可能である。冷蔵庫10は、ステーションモードとして動作する場合、アクセスポイント20のSSID及び暗号化キーを用いて、アクセスポイント20のクライアントとして動作可能である。また、冷蔵庫10は、アクセスポイントモードとして動作する場合、スマートフォン30をクライアントとすることができる。以下の説明では、アクセスポイント20のSSID及び暗号化キーをAP接続情報と表現することがある。
【0011】
スマートフォン30には、冷蔵庫10のクライアントとして動作したり、アクセスポイント20のクライアントとして動作するためのアプリケーションがインストールされている。アプリケーションは、冷蔵庫10にクライアントとして無線接続するための家電接続情報を保持する。アプリケーションは、冷蔵庫10の製造メーカが指定した冷蔵庫10のSSID及び暗号化キーをアプリケーションデータとして保持している。従って、スマートフォン30のユーザは、冷蔵庫10のSSID及び暗号化キーを入力する必要がない。以下の説明では、冷蔵庫10のSSID及び暗号化キーを家電接続情報と表現することがある。
【0012】
次に、冷蔵庫10の構成例について説明する。
図2は、冷蔵庫10の構成例を示す図である。冷蔵庫10は、制御部101を備える。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)111、RAM(Random Access Memory)112、及びタイマ113を備える。CPU110は、冷蔵庫10全体を制御する。ROM111は、CPU110が実行するプログラムや制御に必要な各種データ等を記憶する。RAM112は、プログラムやデータを一時的に記憶する。
【0013】
冷蔵庫10は、操作パネル102を備える。操作パネル102は、ユーザによる設定を受け付けたり、制御部101の指示により、ユーザに対して冷蔵庫10に関する各種情報を表示する。操作パネル102は、受け付けた設定を示す情報を制御部101に出力する。冷蔵庫10は、温度センサ103を備える。温度センサ103は、庫内の温度を検出し、検出した温度を制御部101に出力する。冷蔵庫10は、開扉センサ104を備える。開扉センサ104は、扉の開閉状態を検出し、検出した開閉状態を制御部101に出力する。
【0014】
冷蔵庫10は、通信モジュール105を備える。通信モジュール105は、無線LANの規格に従って、アクセスポイント20やスマートフォン30との無線接続に関する制御を行う。通信モジュール105は、制御部101の指示により、上述したステーションモードまたはアクセスポイントモードとして動作する。通信モジュール105は、第2無線接続部、受信部の一例である。
【0015】
冷蔵庫10は、冷蔵用冷却機構106及び冷凍用冷却機構107を備える。冷蔵用冷却機構106は、制御部101の指示により、冷蔵室を冷却する。冷凍用冷却機構107は、制御部101の指示により、冷凍室を冷却する。冷蔵庫10は、除湿装置108を備える。除湿装置108は、制御部101の指示により、冷凍サイクルの冷却器に生じる霜を除去する装置であり、通電によって発熱するヒータ等を備えている。冷蔵庫10は、製氷装置109を備える。製氷装置109は、制御部101の指示により、製氷皿に給水された水を凍らせることで製氷する。
【0016】
次に、スマートフォン30の構成例について説明する。
図3は、スマートフォン30の構成例を示す図である。スマートフォン30は、制御部301を備える。制御部301は、CPU305、ROM306、及びRAM307を備える。これらの構成の他に、スマートフォン30はカメラ等を備えているが、
図3では省略している。CPU305は、スマートフォン30全体を制御する。ROM306は、CPU305が実行するプログラムや制御に必要な各種データ(例えばAP接続情報、家電接続情報等)を記憶する。RAM307は、プログラムや各種データを一時的に記憶する。
【0017】
表示部302は、制御部301の指示により、ユーザに各種情報を表示する。表示部302は、例えば液晶や有機EL等で構成される。操作部303は、ユーザによる操作を受け付ける。操作部303は、受け付けた操作を示す情報を制御部301に出力する。操作部303は、表示部302に重畳されたタッチパネルや、ハードキー等で構成される。
【0018】
通信部304は、無線LANの各規格に従って、アクセスポイント20や冷蔵庫10との無線接続に関する制御を行う。通信部304は、4G(例えば、LTE(Long Term Evolution)等)の各規格に従って、携帯電話回線の無線接続に関する制御を行う。通信部304は、無線接続部、第1無線接続部の一例である。
【0019】
上述した構成により、この実施形態では、ユーザがAP接続情報を入力することなく、冷蔵庫10をアクセスポイント20に無線接続させることが可能である。まず、スマートフォン30の表示部302に表示される画面について説明する。以下の説明は、スマートフォン30がアクセスポイント20のクライアントとして動作しており、冷蔵庫10がアクセスポイント20のクライアントとして動作したことがないことを前提としている。
【0020】
図4は、スマートフォン30の表示部302に表示される画面の遷移例を示す図である。ユーザは、スマートフォン30にインストールされたアプリケーションにおいて、冷蔵庫10を遠隔操作対象の家電として登録することができる。アプリケーションにおいて、冷蔵庫10を登録する場合には、ユーザは、冷蔵庫10の操作パネル102において、アクセスポイントモードで動作させる設定を行う。
【0021】
画面401は、冷蔵庫を登録するための画面である。画面401には、「冷蔵庫を追加する」ボタン430が表示される。ユーザは、冷蔵庫10をアクセスポイントモードで動作させたのち、ボタン430をタッチすると、画面は画面402に遷移する。画面402は、アクセスポイント20のSSID及び暗号化キーを表示する画面である。この画面402では、現在無線接続中のアクセスポイント20のSSID(図ではXXXXXX)及び暗号化キー(図ではYYYYYY)が自動で表示される。従って、ユーザはAP接続情報を入力する必要がない。
【0022】
画面402において、ユーザが「次へ」ボタン431をタッチすると、画面403が表示される。画面403は、冷蔵庫10のSSID及び暗号化キーを表示する画面である。この画面403では、冷蔵庫10のSSID(図ではZZZZZZ)及び暗号化キー(図ではWWWWWW)が自動で表示される。従って、ユーザは家電接続情報を入力する必要がない。なお、画面402、403において、SSID及び暗号化キーは自動で表示されるが、ユーザによる編集は可能である。
【0023】
画面403において、ユーザが「次へ」ボタン431をタッチすると、画面404が表示される。画面404は、冷蔵庫10と無線接続中であることを示す画面である。スマートフォン30が冷蔵庫10と無線接続し、アクセスポイント20のSSID及び暗号化キーを冷蔵庫10に送信すると、画面405が表示される。画面405は、冷蔵庫10との無線接続が完了したことを示す接続完了画面である。画面405は、表示されてから一定時間(例えば500ms)経過すると消去され、画面406が表示される。
【0024】
画面406は、アクセスポイント20と無線接続中であることを示す画面である。アクセスポイント20と無線接続が完了すると(例えばアソシエーションが終了すると)、画面407が表示される。画面407は、アクセスポイント20との無線接続が完了したことを示す接続完了画面である。画面407は、表示されてから一定時間(例えば500ms)経過すると消去され、画面401が表示される。
【0025】
これにより、冷蔵庫10は、スマートフォン30から送信されたAP接続情報を用いてアクセスポイント20に無線接続可能となる。また、ユーザは、ボタン431を2回タッチするだけでよいので、従来技術と比較して、ユーザの手間を大幅に削減することができる。
【0026】
画面410は、冷蔵庫10との無線接続が失敗した場合に表示される接続失敗画面である。画面410には、冷蔵庫10と無線接続できなかったこと、及び冷蔵庫10がアクセスポイントモードで動作しているかどうかの確認を促すメッセージが表示される。再接続ボタン432がタッチされると、画面404が表示される。なお、画面410に、例えば冷蔵庫10と無線通信可能な範囲への移動をユーザに促すメッセージを表示してもよい。
【0027】
画面420は、アクセスポイント20との無線接続が失敗した場合に表示される接続失敗画面である。画面420には、アクセスポイント20と無線接続できなかったこと、及び設定を促すメッセージが表示される。設定ボタン433がタッチされると、画面402が表示される。画面402において、ユーザがAP接続情報を再設定する。アプリケーションは、画面402に代えて、OS(Operating System)が提供するアクセスポイント20に無線接続するための設定画面を表示してもよい。
【0028】
上述した画面402には、保持されているアクセスポイント20のAP接続情報が表示される。また、画面403には、保持されている冷蔵庫10の家電接続情報が表示される。これにより、ユーザは無線接続先を確認することができる。さらに、画面404には、冷蔵庫10との無線接続状態が表示される。画面406には、アクセスポイント20との無線接続状態が表示される。これにより、ユーザは無線接続処理の状態を確認することができる。
【0029】
上述した画面410には、無線接続先がアクセスポイント20から冷蔵庫10へ切り替えが正常に行われなかったこと(冷蔵庫と接続できませんでした)、及び切り替えを正常に行うための対処方法(冷蔵庫が「アクセスポイントモード」で動作しているか確認してください)が表示される。
【0030】
また、画面420には、無線接続先が冷蔵庫10からアクセスポイント20へ切り替えが正常に行われなかったこと(アクセスポイントと接続できませんでした)、及び切り替えを正常に行うための対処方法(設定画面で設定してください)が表示される。
【0031】
このように、スマートフォン30は、無線接続先の切り替えが正常に行われなかったことを報知できる。また、スマートフォン30は、切り替えを正常に行うための対処方法を表示することで、ユーザが対処することが可能となる。
【0032】
図5は、冷蔵庫10、アクセスポイント20、及びスマートフォン30の処理の流れを示すシーケンス図である。まず、スマートフォン30は、アクセスポイント20と無線接続済みであるので、AP接続情報は保持されている。また、家電接続情報はアプリケーションが既に保持している。
【0033】
ユーザは、冷蔵庫10の操作パネル102において、アクセスポイントモードで動作させる設定を行う。これにより、冷蔵庫10は、アクセスポイントモードで動作する(ステップS101)。ユーザにより、画面401のボタン430がタッチされることで冷蔵庫の追加が選択されると(ステップS102)、スマートフォン30は、画面402でAP接続情報を表示する(ステップS103)。ユーザにより画面402のボタン431がタッチされると、スマートフォン30は、画面403で家電接続情報を表示する(ステップS104)。
【0034】
スマートフォン30は、冷蔵庫10と無線接続する(ステップS105)。このとき、スマートフォン30は、画面404で冷蔵庫10との無線接続状態を表示する。スマートフォン30は、冷蔵庫10と無線接続すると、冷蔵庫10にAP接続情報を送信する(ステップS106)。冷蔵庫10は、AP接続情報を受信すると、ステーションモードで動作する(ステップS107)。冷蔵庫10は、AP接続情報を用いて、アクセスポイント20と無線接続する(ステップS108)。
【0035】
一方、スマートフォン30は、AP接続情報を冷蔵庫10に送信すると、画面405の接続完了画面を表示する(ステップS109)。スマートフォン30は、冷蔵庫10との切断を検出すると(ステップS110)、アクセスポイント20と無線接続する(ステップS111)。このとき、スマートフォン30は、画面406でアクセスポイント20との無線接続状態を表示する。スマートフォン30は、アクセスポイント20との無線接続が完了すると、画面407の接続完了画面を表示する(ステップS112)。
【0036】
これにより、スマートフォン30と冷蔵庫10は、同じサブネット内のネットワークに存在することとなる。そこで、スマートフォン30は、冷蔵庫10と通信するために、冷蔵庫10からの応答を要求する検索要求をブロードキャストで送信する(ステップS113)。検索要求は、アクセスポイント20を介して、冷蔵庫10に送信される(ステップS114)。冷蔵庫10は、検索要求を受信すると、送信元のIPアドレスを送信先とし、検索応答を送信する(ステップS115)。検索応答は、アクセスポイント20を介して、スマートフォン30に送信される(ステップS116)。これにより、スマートフォン30及び冷蔵庫10は、相手のIPアドレスを取得できるので、互いに通信が可能となる。なお、検索要求は家電機器を提供するメーカが独自のメッセージであるため、他の機器がブロードキャストで送信される検索要求に対して応答することはない。
【0037】
次に、スマートフォン30と冷蔵庫10の処理の流れについて説明する。以下のフローチャートにおいて、アクセスポイント20はAPと略記されている。
図6は、スマートフォン30の処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示されるフローチャートは、
図4で示した画面401において、ボタン430がタッチされた時点から開始される処理の流れを示している。
【0038】
スマートフォン30の制御部301は、現在無線接続中のアクセスポイント20のAP接続情報を取得し(ステップS201)、取得したAP接続情報を保持する(ステップS202)。AP接続情報は、例えばシステムコールを用いて取得される。また、AP接続情報には暗号化キーが含まれるため、制御部301は暗号化キーを保持している。制御部301は、画面402で示したように、保持されたAP接続情報を表示する(ステップS203)。制御部301は、画面402において「次へ」ボタン431がタッチされると(ステップS204:YES)、家電接続情報を取得し(ステップS205)、画面403で示したように、家電接続情報を表示する(ステップS206)。家電接続情報は、上述したようにアプリケーションにより予め保持されている。
【0039】
制御部301は、画面403において「次へ」ボタン431がタッチされると(ステップS207:YES)、冷蔵庫10への無線接続を開始する(ステップS208)。すなわち、無線接続先がアクセスポイント20から冷蔵庫10に切り替わる。制御部301は、画面404に示したように、冷蔵庫10との無線接続状態を表示する(ステップS209)。制御部301は、冷蔵庫10との無線接続が成功したか否かを判定する(ステップS210)。無線接続が失敗した場合には(ステップS210:NO)、制御部301は、画面410の接続失敗画面を表示する(ステップS211)。その後、ユーザが冷蔵庫10に対し、アクセスポイントモードで動作させる設定を行うなどして、画面410の再接続ボタン432がタッチする。制御部301は、再接続ボタン432がタッチされると(ステップS212:YES)、上記ステップS208で再び冷蔵庫10への無線接続を開始する(ステップS208)。
【0040】
ステップS210において、無線接続に成功した場合には(ステップS210:YES)、制御部301は、
図7のステップS301に進む。ステップS301において、制御部301は、冷蔵庫10にAP接続情報を送信する(ステップS301)。すなわち、保持されているAP接続情報が冷蔵庫10に送信される。制御部301は、画面405の接続完了画面を表示する(ステップS302)。制御部301は、冷蔵庫10との切断を検出すると(ステップS303:YES)、アクセスポイント20への無線接続を開始する(ステップS304)。制御部301は、画面408に示したように、アクセスポイント20との無線接続状態を表示する(ステップS305)。
【0041】
制御部301は、冷蔵庫10との無線接続が成功したか否かを判定する(ステップS306)。無線接続が成功した場合には(ステップS306:YES)、制御部301は、画面407の接続完了画面を表示して(ステップS307)、処理を終了する。無線接続が失敗した場合には(ステップS306:NO)、制御部301は、画面420の接続失敗画面を表示する(ステップS308)。制御部301は、ユーザにアクセスポイント20の正しいAP接続情報を入力させるためのAP接続情報入力画面を表示する(ステップS310)。このAP接続情報入力画面は、画面402である。上述したように、画面402は、ユーザによる編集が可能なため、ユーザはAP接続情報を入力できる。
【0042】
制御部301は、AP接続情報入力画面において「次へ」ボタン431がタッチされると(ステップS310:YES)、上記ステップS304に進み、再びアクセスポイント20への無線接続を開始する(ステップS304)。
【0043】
図8は、冷蔵庫10の処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示されるフローチャートは、冷蔵庫10がアクセスポイントモードに移行した時点から開始される処理の流れを示している。冷蔵庫10の制御部101は、スマートフォン30と無線接続し(ステップS401)、AP接続情報を受信する(ステップS402)。制御部101は、受信したAP接続情報を用いて、アクセスポイント20と無線接続する(ステップS403)。その後、制御部101は、スマートフォン30が送信した検索要求を受信し(ステップS404)、検索応答を送信して(ステップS405)、処理を終了する。
【0044】
以上説明した実施形態では、スマートフォン30において、冷蔵庫10のSSID及び暗号化キーが保持されるが、SSID及び暗号化キーの少なくとも一方を保持してもよい。また、この実施形態におけるスマートフォン30は家電接続情報を予め保持しているが、他装置(例えば製造メーカのサーバ)から家電接続情報を取得してもよい。
【0045】
情報処理装置の一例としてスマートフォン30を用いたが、情報処理装置は、タブレット端末やパソコンなど、家電機器と無線通信可能な装置であればよい。また、アクセスポイントの一例としてホームゲートウェイとしての機能とルータとしての機能を備えた装置を例にしたが、ホームゲートウェイとしての機能のない無線LANルータであってもよい。
【0046】
この実施形態では、ユーザがスマートフォン30をアクセスポイント20に無線接続して使用していることを前提としている。そのため、家庭内にアクセスポイントがあるにもかかわらず、ユーザが携帯電話回線を使用している場合には、アプリケーションはユーザにアクセスポイントへの無線接続を促すようにしてもよい。
【0047】
この実施形態では、冷蔵庫10をアクセスポイント20に無線接続させるために、冷蔵庫10をアクセスポイントモードで動作させる。このアクセスポイントモードでの動作時間は、AP接続情報を受信するまでの時間であるため、セキュリティ的にはほとんど問題ない。そのため、冷蔵庫10の家電接続情報を、個体ごとに異なるものとせずに、同じ家電接続情報を用いてもよい。この場合、家電機器の製造ラインにおいて、家電接続情報の記録を同じ手順で行うことができるので、工数の削減やそれに伴うコストの削減が可能となる。また、家電機器の暗号化キーを設定せずに、家電機器との通信では暗号化をしない設定としてもよい。
【0048】
この実施形態において、スマートフォン30は、
図5で説明したように、冷蔵庫10にAP接続情報を送信する直前まで通信していたアクセスポイント20のAP接続情報を送信するので、正確なAP接続情報を送信することができる。具体的に、例えば従来技術のように、スマートフォンに単に記憶されているAP接続情報を送信する場合、記憶されているAP接続情報が複数存在するときには(家庭のアクセスポイント以外に、例えば、よく使用する外出先のアクセスポイント20のAP接続情報など)、適切ではないAP接続情報を送信する可能性がある。
【0049】
一方、この実施形態におけるスマートフォン30は、アクセスポイントに無線接続し、AP接続情報を保持する。すなわち、現在接続中のアクセスポイント20のAP接続情報を保持する。このとき、ユーザは冷蔵庫10をアクセスポイントモードで動作させるために、ユーザは家庭内にいることから、家庭で使用しているアクセスポイント20のAP接続情報が保持される。そして、スマートフォン30は、無線接続先をアクセスポイントから家電機器に切り替えた場合に、保持されているAP接続情報を家電機器に送信するので、正確なAP接続情報を送信することができる。なお、一般的に、無線LANでは、同時に2つ以上のアクセスポイントには接続できないため、接続先のアクセスポイントのAP接続情報は一意であるため、複数のAP接続情報が保持されることはない。
【0050】
以上述べた実施形態の情報処理装置によれば、家電機器をアクセスポイントに無線接続させるためのユーザの手間を削減することが可能となる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
10…冷蔵庫、20…アクセスポイント、30…スマートフォン、101、301…制御部、110、305…CPU、111、306…ROM、112、307…RAM