(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 13/28 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B66B13/28 D
(21)【出願番号】P 2019145878
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ フォントノー
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02138443(EP,A1)
【文献】特開2002-179368(JP,A)
【文献】特開2002-302370(JP,A)
【文献】特開2005-104649(JP,A)
【文献】中国実用新案第201512341(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステムであって、
エレベータシャフトに沿って移動可能なエレベータかごであって、前記シャフトは、ピット床を有し、前記エレベータかごは、エレベータかごドア枠を有する、エレベータかごと、
かごエプロンアセンブリと、を有し、前記かごエプロンアセンブリは、
前記エレベータかごに可動に取り付けられたエプロンフレームであって、フレームベースと、支持アームと、前記フレームベースの反対側の前記支持アームの端部のエプロン止めとを有する前記エプロンフレームと、
前記エレベータかごドア枠に取り付けられ、前記フレームベースまで延びる半剛性のカーテンと、
前記エレベータシャフト内に前記ピット床から停止高さに配置されたシャフト止めであって、前記エレベータシャフト内に前記エプロン止めと相互作用するように位置する前記シャフト止めとを含み、
前記半剛性のカーテンは、前記エレベータかごが前記ピット床に向かって移動して、前記エプロン止めが前記シャフト止めに接触すると、配備状態から圧縮状態に移行し、
前記配備状態においては、前記半剛性のカーテンは、前記エレベータかごが、隣接する乗り場より上にオフセットされて位置する時、前記エレベータかごの下に延びて、前記エレベータかごより低い開いた乗り場ドアを塞
ぎ、
前記停止高さは、前記圧縮状態において、前記エプロンフレームが前記ピット床に接触しないように設定される、
前記エレベータシステム。
【請求項2】
前記半剛性のカーテンは、ゴム、プラスチック、布、金属鎖リンク、プラスチック鎖リンク、金属メッシュ、及び、プラスチックメッシュのうちの少なくとも1つから形成される、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記半剛性のカーテンは、前記配備状態で配備長さLDを有し、前記圧縮状態で圧縮長さLCを有し、前記圧縮長さLCは、前記配備長さLDより短い、請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記半剛性のカーテンは、前記配備状態で750mm~5メートルの長さを有し、前記圧縮状態で0~750mmの長さを
有する、請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記シャフト止めは、シャフト壁、乗り場ドアフレーム、及び、ガイドレールのうちの少なくとも1つに固定的に接続される、請求項1~4のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記エプロン止めを有する前記支持アームが通る付勢アセンブリをさらに含み、前記付勢アセンブリは、前記エプロンフレームを前記配備状態にする付勢力を加える、請求項1~5のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記付勢アセンブリは、ハウジングと前記ハウジング内の付勢要素とを含む、請求項6に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記付勢アセンブリの前記ハウジングは、第1の端部に第1の開口部を有する第1の端部と、第2の端部に第2の開口部を有する第2の端部とを含み、前記支持アームは、前記ハウジングを前記第1の端部から前記第2の端部まで貫通する、請求項7に記載のエレベータシステム。
【請求項9】
前記付勢要素は、ばねである、請求項6~8のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項10】
前記支持アームは、フランジを含み、前記フランジは、前記エプロン止めが前記シャフト止めに接触すると、前記付勢要素に力を加えるように配置される、請求項6~9のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項11】
前記付勢アセンブリは、前記エレベータかごに取り付けられる、請求項6~10のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項12】
前記付勢アセンブリは、前記エレベータかごのフレームと前記エレベータかごのパネルとのうちの少なくとも1つに取り付けられる、請求項11に記載のエレベータシステム。
【請求項13】
前記半剛性のカーテンは、5~50mmのたわみを伴う200~700Nの水平抵
抗を提供する、請求項1~12のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項14】
前記エプロンフレームは、関連付けられた第2のエプロン止めを有する第2の支持アームを含み、第2のシャフト止めが、前記エレベータシャフト内に前記第2のエプロン止めと相互作用するように配置される、請求項1~13のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項15】
前記エプロンフレームは、前記エレベータかごの両側に配置される、請求項14に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の主題は、一般的にエレベータシステムに関し、より詳細には、エレベータシステムのエレベータかごエプロンと安全機構とに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシャフトの従来の安全要件は、エレベータシャフトの最上部と最下部の両方の空間を大きくすることであった。しかしながら、このような空間の拡大は、建築上の理由から不都合な場合がある。従って、エレベータ製造業者は、安全機能を維持しながら、昇降路またはエレベータシャフトの頭上の寸法とピット深さを低減する試みを行ってきた。現在、整備士は、エレベータかごシステムの様々な構成部品の検査または保守活動のために、かごの最上部、かごの最上部の上、または、ピット内に入る。従って、緊急時に整備士を保護する安全な空間または容積が、エレベータシャフト内に設けられているため、頭上及びピットの寸法の拡大が必要となる。
【0003】
整備士が昇降路に入る必要を完全になくして、安全性を向上させる更なる向上と設計が試みられてきた。昇降路に入る必要をなくす利点は、このようなエレベータシステムにおいては、従来の大きいピット深さを低減して、非常に小さいピット深さを採用し得ることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベータかごは、典型的に、エレベータかごドアの下に位置するトーガードまたはかごエプロンを含む。かごエプロンは、エレベータかごが乗り場に位置せず、乗り場ドアが開いている場合に、人がエレベータシャフト内に落下するのを防ぐために配置される。かごエプロンは、典型的に剛性で、約750mmの公称高さを有する。エレベータかごが、最下階の乗り場に位置する時、かごエプロンとエレベータシャフトの底部との接触を避けるために、エレベータかごの下にかなりの量のクリアランスを必要とする。このような接触は、かごエプロンの剛性と固定された性質により、かごエプロンにかなりの損傷を引き起こし得る。従って、小さいピット深さを採用するシステムの上記問題に対処するために格納式かごエプロンが提案されてきた。しかしながら、より改良されたシステムが好都合な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態によると、エレベータシステムが提供される。エレベータシステムは、エレベータシャフトに沿って移動可能なエレベータかごを含み、、エレベータシャフトは、ピット床を有し、エレベータかごは、エレベータかごドア枠とかごエプロンアセンブリとを有する。かごエプロンアセンブリは、エレベータかごに可動に取り付けられたエプロンフレームであって、フレームベース、支持アーム、及び、フレームベースの反対側の支持アームの端部にあるエプロン止めを有するエプロンフレームと、エレベータかごドア枠に取り付けられ、フレームベースまで延びる半剛性のカーテンと、エレベータシャフト内にピット床からの停止高さに配置されたシャフト止めであって、エプロン止めと相互作用するようにエレベータシャフト内に置かれたシャフト止めとを含む。半剛性のカーテンは、エレベータかごがピット床に向かって移動し、エプロン止めがシャフト止めに接触すると、配備状態から圧縮状態に移行し、配備状態においては、半剛性のカーテンは、エレベータかごが隣接する乗り場より上方にオフセットされて位置する時、エレベータかごの下に延びて、エレベータかごより低い開いた乗り場ドアを塞ぐ。
【0006】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、半剛性のカーテンが、ゴム、プラスチック、布、金属鎖リンク、プラスチック鎖リンク、金属メッシュ、及び、プラスチックメッシュのうちの少なくとも1つから形成されることを含んでよい。
【0007】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、半剛性のカーテンが、配備状態で配備長さLDを有し、圧縮状態で圧縮長さLCを有し、圧縮長さLCは、配備長さLDより短いことを含んでよい。
【0008】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、半剛性のカーテンが、配備状態で750mmと5メートルの間、圧縮状態で0と750mmの間の長さを有し、特に、配備状態で約750mm、圧縮状態で約180mmの長さを有することを含んでよい。
【0009】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、シャフト止めが、シャフト壁、乗り場ドアフレーム、及び、ガイドレールのうちの少なくとも1つに固定的に結合されることを含んでよい。
【0010】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、エプロン止めを有する支持アームが通る付勢アセンブリを含んでよく、付勢アセンブリは、エプロンフレームを配備状態にする付勢力を加える。
【0011】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、付勢アセンブリが、ハウジングとハウジング内の付勢要素とを含むことを含んでよい。
【0012】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、付勢アセンブリのハウジングが、第1の端部に第1の開口部を有する第1の端部と第2の端部に第2の開口部を有する第2の端部とを含み、支持アームが、第1の端部から第2の端部にハウジングを通り抜けることを含んでよい。
【0013】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、付勢要素がばねであることを含んでよい。
【0014】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、支持アームが、フランジを含み、フランジは、エプロン止めがシャフト止めに接触すると、付勢要素に力を加えるように配置されることを含んでよい。
【0015】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、付勢アセンブリがエレベータかごに取り付けられることを含んでよい。
【0016】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、付勢アセンブリが、エレベータかごのフレームとエレベータかごのパネルとのうちの少なくとも1つに取り付けられることを含んでよい。
【0017】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、半剛性のカーテンが、5~50mmのたわみを有する200~700Nの間の水平抵抗、特に、約35mmのたわみを有する約300Nの水平抵抗を与えることを含んでよい。
【0018】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、エプロンフレームが、関連付けられた第2のエプロン止めを有する第2の支持アームを含み、第2のシャフト止めは、エレベータシャフト内で第2のエプロン止めと相互作用するように配置されることを含んでよい。
【0019】
上記特徴の1つまたは複数に加えて、または、その代わりとして、さらなる実施形態は、エプロンフレームがエレベータかごの両側に置かれることを含んでよい。
【0020】
上記特徴及び要素は、別段の記載の無い限り、排他性なく、様々な組み合わせで組み合わされてよい。これらの特徴及び要素と、それらの動作は、以下の記載と添付の図面を考慮すると、より明らかになろう。しかしながら、以下の記載と図面は、説明的及び例示的な性質のものであって、制限的なものではないことを意図することは理解されたい。
【0021】
例を挙げて本開示を説明する。本開示は添付図面によって制限されない。図面中、類似の参照番号は、類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の様々な実施形態を採用し得るエレベータシステムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態を採用し得るエレベータシステムの概略図である。
【
図3A】本開示の実施形態によるかごエプロンアセンブリを有するエレベータシステムの、かごエプロンアセンブリが第1の状態にある概略図である。
【
図3B】かごエプロンアセンブリが第2の状態にある、
図3Aのエレベータシステムの概略図である。
【
図4A】本開示の非制限的な実施形態による、かごエプロンアセンブリの動作の説明のための概略図である。
【
図4B】本開示の非制限的な実施形態による、かごエプロンアセンブリの動作の説明のための概略図である。
【
図4C】本開示の非制限的な実施形態による、かごエプロンアセンブリの動作の説明のための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、エレベータかご103、釣合い重り105、引張部材107、ガイドレール109、機械111、位置参照システム113、及び、コントローラ115を含むエレベータシステム101の斜視図である。エレベータかご103及び釣合い重り105は、互いに引張部材107によって結合されている。引張部材107は、例えば、ロープ、鋼線、及び/または、被覆鋼ベルトとして構成されてよい、または、それらを含んでよい。釣合い重り105は、エレベータかご103の荷重を釣り合わせるように構成され、エレベータシャフト117内でガイドレール109に沿って、釣合い重り105に対して反対方向に同時にエレベータかご103が移動するのを容易にするように構成される。
【0024】
引張部材107は、機械111に係合し、機械111は、エレベータシステム101の頭上構造の一部である。機械111は、エレベータかご103と釣合い重り105の間の動きを制御するように構成される。位置参照システム113は、サポートまたはガイドレール上等、エレベータシャフト117の最上部の固定部分に取り付けられてよく、また、エレベータシャフト117内でのエレベータかご103の位置に関する位置信号を提供するように構成されてよい。他の実施形態においては、位置参照システム113は、機械111の可動部品に直接取り付けられてよい、または、当技術分野で既知の他の位置及び/または構成で配置されてよい。位置参照システム113は、当技術分野で既知のように、エレベータかご及び/または釣合い重りの位置を監視する任意のデバイスまたは機構であってよい。当業者が理解するように、例えば、位置参照システム113は、エンコーダ、センサ、または、他のシステムであってよいが、これらに制限されず、速度センシング、絶対位置センシング等を含み得る。
【0025】
コントローラ115は、図示のように、エレベータシャフト117のコントローラ室121に配置され、エレベータシステム101、特に、エレベータかご103の運転を制御するように構成される。例えば、コントローラ115は、エレベータかご103の加速、減速、レベリング、停止等を制御するように機械111に駆動信号を提供してよい。コントローラ115は、位置参照システム113、または、任意の他の所望の位置参照デバイスから位置信号を受信するようにも構成されてよい。エレベータシャフト117内をガイドレール109に沿って昇降する時、エレベータかご103は、コントローラ115によって制御されて、1つまたは複数の乗り場125で停止してよい。コントローラ室121内に示されているが、コントローラ115は、エレベータシステム101内の他の場所または位置に配置及び/または構成できることを当業者は理解されよう。一実施形態においては、コントローラは、遠隔に、または、クラウドに位置してよい。
【0026】
機械111は、モータ、または、類似の駆動機構を含んでよい。開示の実施形態によると、機械111は、電動モータを含むように構成される。モータの電源は、他の構成部品と組み合わせてモータに供給される送電網を含む任意の電源であってよい。機械111は、トラクションシーブを含んでよく、トラクションシーブは、引張部材107に力を加えて、エレベータシャフト117内でエレベータかご103を移動させる。
【0027】
引張部材107を含むロープシステムを用いて図示及び記載しているが、エレベータシャフト内でエレベータかごを移動させる他の方法及び機構を採用するエレベータシステムは、本開示の実施形態を採用してよい。例えば、実施形態は、リニアモータを用いてエレベータかごに動きを与えるロープの無いエレベータシステムで採用されてよい。実施形態は、油圧リフトを用いてエレベータかごに動きを与えるロープの無いエレベータシステムでも採用されてよい。
図1は、説明目的及び例示目的のために提示された非制限的な例に過ぎない。
【0028】
図2は、本開示の実施形態を組み込むことができるエレベータシステム201の概略図である。エレベータシステム201は、エレベータシャフト217内を移動可能なエレベータかご203を含む。ピット床227が、エレベータシャフト217の底部に示されている。エレベータかご203は、エレベータかごドア231を含み、エレベータかごドア231は、エレベータシステム201の1つまたは複数の乗り場で、開閉して、エレベータかご203への進入/エレベータかご203からの退出を可能にする。
【0029】
かごエプロンアセンブリ233が、エレベータかご203に備えられて、エレベータかご203が乗り場の近くにある時、エレベータかご203の底部235と隣接する乗り場との間の空間を覆う。何らかの理由で、エレベータかご203が乗り場と適切に整列する前に、乗り場ドア(図示せず)が開いた場合、開いた乗り場ドアを少なくとも部分的に塞ぐためにかごエプロンアセンブリ233が備えられる。かごエプロンアセンブリ233の1つの機能は、エレベータかごドア231が乗り場ドアに整列していない時の救出作業中に、人がエレベータシャフト217内に落下するのを防ぐことである。
【0030】
しかしながら、かごエプロンアセンブリ233の存在は、エレベータかご203がエレベータシャフト217のピット床227にどれくらい近くまで到達できるかに影響を与える。本実施形態のかごエプロンアセンブリ233の例は、伸長状態(
図2に示す)と後退状態(図示せず)との間で折り畳み可能または可動で、かごエプロンアセンブリ233が伸長状態のままにある場合に可能であるよりピット床227の近くまで、エレベータかご203が降りることを可能にする。すなわち、後退状態でのかごエプロンアセンブリ233の寸法は、伸長状態でのかごエプロンアセンブリ233の寸法よりかなり小さい。
【0031】
本開示のある実施形態によると、エレベータシステムにおいて、乗り場出入口に覆いを提供し、小さいまたは低いクリアランスのピット深さの使用を可能にするかごエプロンアセンブリが記載される。ある実施形態においては、本明細書に記載のかごエプロンアセンブリによって提供される覆いは、エレベータ乗り場出入口の開口の全体、または、全体より小さい覆い(例えば、3/4、1/2等)を提供し得る。本開示の実施形態によると、かごエプロンアセンブリは、乗り場ドア開口部の高さと同じ値まで延び得る長さを有する半剛性の柔軟なカーテンを用いて、エレベータかごドア枠と乗り場ドア枠との間の隙間を閉じるように配置される。半剛性のカーテンは、カーテン上部でエレベータかごドア枠の下に固定され、エレベータかごの運転中、エレベータかごに取り付けられた支持フレームによって垂直に維持される。半剛性のカーテンは、危険時(例えば、人が半剛性のカーテンに接触)には、水平抵抗(例えば、300N、35mmのたわみ、及び、1mmの永久たわみ)を与えるように配置される。半剛性のカーテンは、一定の常に配備された伸長部を備えて、エレベータかごの下のエレベータシャフトへのアクセスを防ぐ。しかしながら、エレベータかごが最下階の乗り場に到達すると、半剛性のカーテンは、圧縮されて(例えば、折り目をつけて、または、折り重ねられて)ピット床との接触を防いでよい。
【0032】
図3A、
図3Bを参照すると、本開示の実施形態による、かごエプロンアセンブリ300を有するエレベータシステム301の概略図が示されている。エレベータシステム301は、エレベータシャフト317内をエレベータシャフト317に沿って複数の異なる乗り場間を移動可能なエレベータかご303を含む。エレベータシャフト317は、ピット床327とエレベータシャフト最上部との間に延びる。図には示していないが、エレベータかご303は、1つまたは複数のガイドレールに沿って移動可能であり、上記のように、また、当業者は理解されるように、ロープシステムから吊るされてよい。各乗り場において、エレベータかご303が各乗り場に位置する時、乗り場ドアは、エレベータかご303への開閉式のアクセスを提供してよい。
【0033】
かごエプロンアセンブリ300は、半剛性のカーテン302を含み、半剛性のカーテン302は、エレベータかご303に取り付けられ、エレベータかご303から吊るされる。当業者は理解されるように、半剛性のカーテン302は、エレベータかごドア枠304に取り付けられてよい。半剛性のカーテン302は、
図3Aに示すように、エレベータかご303の下からエレベータかご303の下方に延びる。
図3Aに示す実施形態においては、半剛性のカーテン302は、エレベータかごドア枠304から、配備長さLD延び、エプロンフレーム306によって支持される。エプロンフレーム306は、剛性、支持、及び、重りを半剛性のカーテン302に提供する。ある実施形態においては、エプロンフレーム306は、金属棒フレームであってよく、金属棒フレームは、半剛性のカーテン302の幅に延びて、半剛性のカーテン302の底部に重りを提供し、半剛性のカーテン302がぴんと張ったままで、エレベータかごドア枠304の向きに整列することを確実にする(例えば、半剛性のカーテン302がねじれるのを防ぎ得る)。従って、ある実施形態においては、エプロンフレーム306は、半剛性のカーテン302に対して(例えば、重力による)下向きの力を加える重り要素であってよい。図に示すように、半剛性のカーテン302の下端は、エプロンフレーム306のフレームベース308に結合されてよい。エプロンフレーム306は、フレームベース308から各付勢アセンブリ312a、312bに延びる支持アーム310a、310bも含む。支持アーム310a、310bは、各付勢アセンブリ312a、312bを通り抜け、各支持アーム310a、310bは、フレームベース308の反対側の端部に、各エプロン止め314a、314bを含む。フレームベース308、支持アーム310a、310b、及び、エプロン止め314a、314bは、剛性構造を形成するため、これらの全ての要素は、1つの単位または単体として移動可能である。エレベータかご303の各側に支持アーム、付勢アセンブリ、エプロン止めを示したが、このような配置は、制限ではない。例えば、ある実施形態においては、1つの支持アームが、エレベータかごの一方の側に設置された1つの付勢アセンブリを通ってよく、1つのエプロン止めが、支持アームの端部に配置されてよい。このような実施形態においては、当業者は理解されるように、エプロンフレーム306は、1つのエプロン止めと支持アームとを用いて、本明細書に記載のように機能する十分な剛性を有するように作られてよい。
【0034】
付勢アセンブリ312a、312bは、フレームベース308がピット床327に接触すると、部分的に圧縮できるピストン型要素であってよい。付勢アセンブリ312a、312bは、エレベータかご303の外部に固定的に取り付けられ、支持アーム310a、310bがその中を通る。特定の付勢アセンブリ配置を示したが、このような実施形態は、説明目的及び例示目的で提供したに過ぎない。本開示の範囲を逸脱せずに他の付勢配置が採用されてよい。例えば、ピストン型アセンブリが採用されてよく、引張ばね、圧縮ばね、ガスばね等の様々な付勢要素が実施されてよいが、これらに限らない。さらに、重力ベースの付勢要素またはアセンブリが、本開示の範囲を逸脱せずに、採用されてよい。
【0035】
半剛性のカーテン302は、エレベータかご303の通常運転中、
図3Aに示すように、配備長さLD延びている。配備長さLDは、乗り場ドアが開いて、エレベータかごが開口部の上に位置する場合に、落下保護を提供する任意の所望の長さを有してよい。ある非制限的な実施形態においては、配備長さLDは、750mm以上であってよく、ある実施形態においては、750から5000mmの間であってよく、ある実施形態においては、配備長さLDは約750mmであってよい。
【0036】
エレベータかご303が、エレベータシャフト317のピットに移動する場合、エレベータかごドア枠304は、配備長さLDより短い距離まで、ピット床327に近付く場合がある。例えば、
図3Bに示すように、エレベータかご303が下方に移動すると、かごエプロンアセンブリ300は、圧縮長さLCに圧縮される。圧縮長さLCに適合するように、半剛性のカーテン302は、図に示すように、折り重なる、または、圧縮される。
【0037】
半剛性のカーテン302は、エプロンフレーム306から力が加わることによって圧縮される。ピット床327の近くに、エレベータシステム301は、エプロン止め314a、314bと相互に作用するシャフト止め316a、316bを含む。シャフト止め316a、316bは、ピット床327から停止高さHSに位置する。シャフト止め316a、316bは、エレベータシャフト317のシャフト壁に取り付けられてよく、エレベータシステム301のガイドレールに取り付けられてよく、乗り場ドアアセンブリ/フレーム(例えば、最下階の乗り場ドア)に取り付けられてよく、または、エレベータシャフト317内の他の場所に取り付けられてよい。シャフト止め316a、316bは、エレベータかご303がエレベータシャフト317の底部のピット床327の方に移動する場合、エプロン止め314a、314bが各シャフト止め316a、316bに接触するように、位置する。シャフト止め316a、316bは、エプロン止め314a、316bに力を加えて、エプロンフレーム306を上方に、または、ピット床327から離れるように(すなわち、エレベータかご303の方に)押す。停止高さHSは、エプロンフレーム306がピット床327に接触しないように設定され、それによって、エプロンフレーム306及び/または半剛性のカーテン302への損傷を防ぐ。エレベータかご303がピット床327から離れるように移動する時、付勢アセンブリ312a、312bは、エプロンフレーム306及び半剛性のカーテン302を配備状態に戻す。
【0038】
ある非制限的な実施形態においては、かごエプロンアセンブリ300は、ある既定の基準を満たすように配置されてよい。例えば、半剛性のカーテン302の配備長さLDは、救助作業中に乗り場ドアの開口部を確実に覆うように、少なくとも2メートルであってよい。さらに、エプロンフレーム306、及び、半剛性のカーテン302の材料は、特定のたわみ及び/または衝撃を防ぐように選択されてよく、それによって、人または物体が、エレベータシャフト317に落下するのを防ぐ。例えば、かごエプロンアセンブリ300は、5~50mmのたわみを有する200~700Nの(例えば、乗り場からエレベータシャフト317への)水平抵抗を提供するように配置されてよい。さらに、ある実施形態においては、抵抗は、15~35mmのたわみを有する300~500Nであってよい。ある実施形態においては、エプロンアセンブリは、約1mmの最大永久たわみを有するように構成されてよい。
【0039】
乗り場に安全カバーまたは保護を提供することに加えて、かごエプロンアセンブリ300は、エレベータシャフト317の最も低い高さでの操作、及び/または、ピット床327での操作が簡単になるように配置されることに注意されたい。例えば、半剛性のカーテン302は、かごエプロンアセンブリ300のエプロン止め314a、314bがシャフト止め316a、316bに接触すると、半剛性のカーテン302が圧縮されて(例えば、折り目をつける、折り畳み、折り重なる等)圧縮状態になるように、折り畳み式であってよい。
【0040】
図4A~
図4Cを参照すると、本開示の実施形態による、かごエプロンアセンブリ400の一部分の概略図が示されている。
図4Aは、分解組立図であり、
図4Bは、エレベータかごの通常運転中のかごエプロンアセンブリ400を示し、
図4Cは、上記のように、エプロン止め414がシャフト止めに接触する時等、圧縮状態中のかごエプロンアセンブリ400を示す。
図4A~
図4Cは、支持アーム410が付勢アセンブリ412の中を通り、支持アーム410が、その端部にエプロン止め414を有するのを示している。支持アーム410は、上記に示し、記載したのと同様、フレームベース(図示せず)に向かって下方に延びる。
【0041】
図4Aに示すように、支持アーム410は、その端部にエプロン止め414を含む。支持アーム410は、フランジ418をさらに含む。フランジ418は、本明細書に記載のように、付勢アセンブリ412の一部と相互作用するように配置される。
【0042】
付勢アセンブリ412は、付勢要素420とハウジング422とを含む。付勢要素420は、ハウジング422内に収容され、支持アーム410、特に、支持アーム410のフランジ418と相互作用するように配置される。ハウジング422は、フレームまたはパネル等、エレベータかごの一部に固定的に取り付けるまたは結合するように配置される。ハウジング422は、第1の開口部426を画定する第1の端部424と、第2の開口部430を画定する第2の端部428とを有する。第1の端部424及び第2の端部428は、支持アーム410のフランジ418と付勢要素420との移動及び/または圧縮に対する止めまたは境界として働くように配置される。支持アーム410は、ハウジング422の第1の開口部426及び第2の開口部430と、ハウジング422の内部とを通るように配置される。ある実施形態においては、付勢要素420は、ばねである。
【0043】
図4Bを参照すると、アセンブルされた支持アーム410、付勢要素420、及び、ハウジング422の図が示されている。アセンブルされると、要素410、420、422は、上記に示し、記載したように、かごエプロンアセンブリ400の一部を形成する。
図4Bにおいて、かごエプロンアセンブリ400及び付勢要素420は、エレベータかごが通常運転モードで運転している時等、通常の運転状態で示されており、エプロン止め414は、シャフト止めに接触していない。図に示すように、支持アーム410のフランジ418は、ハウジング422の第2の端部428に位置し、付勢要素420は、ハウジング422の第1の端部424から第2の端部428に実質的に延びている。
【0044】
図4Cを参照すると、かごエプロンアセンブリ400の作動が示されている。エプロン止め414がシャフト止め416に接触すると、作動される。 支持アーム410がシャフト止め416によって止められ、エレベータかごがシャフト止め416に対して下方に動き続けると、支持アーム410のフランジ418が、ハウジング422の第1の端部424に対して付勢要素420を圧縮する。従って、シャフト止め416は、付勢アセンブリ412のハウジング422内を上方にエレベータかごに対して支持アーム410を押すように働く。従って、支持アーム410を含むエプロンフレームに取り付けられた半剛性のカーテンは、エプロンフレームがエレベータかごに対して移動すると、折り重ねられる、または、圧縮される。すなわち、エレベータかごが移動すると、シャフト止めが、ピット床の方に引き続き移動し得るエレベータかごに対する動きを支持アームに止めさせるので、半剛性のカーテンが圧縮される。
【0045】
エレベータかごが、エレベータシャフト内をシャフト止めに対して上方に移動すると、付勢要素420が、支持アーム410のフランジ418に力を加えることによって、支持アーム410を元の位置または動作位置に押し戻す。従って、エレベータかごがエレベータシャフトのピットの近くになく、よって、シャフト止め416とエプロン止め414が接触していない時、半剛性のカーテンは、
図3A等に示すように、保護及び配備状態に戻ってよい。
【0046】
運転中に付勢要素420がフランジ418によって圧縮されているのを
図4A~
図4Cに示すが、他の配置が可能である。例えば、ここでも、ばねのような配置を採用し、シャフト止めがエプロン止めに接触すると、ばねが第2の端部から延びるように配置されてよい(すなわち、付勢要素が、フランジ418と第2の端部428との間に位置し、フランジ418と第2の端部428とに結合される)。他の実施形態においては、ばねアセンブリを採用せずに、付勢アセンブリ412は、運転中に圧縮及び膨張させ得る流体または気体を用いてピストンとして配置することができる。当業者は理解されるように、他の可能な配置が、本開示の範囲を逸脱せずに採用されてよい。
【0047】
力/衝撃に対する適切または望ましい抵抗を維持しながら、半剛性のカーテンの圧縮を可能にするために、半剛性のカーテンは、折り畳み及び再配備を可能にする特定の材料から形成されてよく、折り畳み及び再配備に対する強度を有してよい。例えば、ある実施形態においては、本開示の半剛性のカーテンは、ゴム、プラスチック(例えば、防水シートのような材料等)、布(例えば、キャンバス、ナイロン等)、金属及び/またはプラスチック鎖リンク、金属もしくはプラスチックメッシュ等から形成されてよいが、これらに限らない。ある実施形態においては、半剛性のカーテンの材料は、システムのピット床またはアンカーに接触する時に、比較的静かな折り重なりを確実にするように選択されてよい。さらに、材料は、かごエプロンアセンブリの全重量を最小にするように選択されてよい。さらに、圧縮状態において、半剛性のカーテンが既定の空間に折り畳まれながらも、通常運転時には確実に全長に延びるように、材料が選択されてよい。例えば、1つの非制限的な例においては、半剛性のカーテンは、1メートルを超える配備長さを有してよく、750mmより小さい折り畳みまたは折り重なり寸法を有してよい。さらに、ある非制限的な実施形態においては、配備長さは、750mmと5メートルの間であってよく、折り畳み時の寸法は、0と750mmの間であってよい。さらにまた、ある実施形態においては、配備長さは、約750mmであってよく、折り畳み寸法は、約180mmであってよい。
【0048】
好都合なことに、本明細書に記載の実施形態は、エレベータかごが乗り場からオフセットされて位置する時、エレベータシャフトへの偶発的な落下を防ぐ保護かごエプロンアセンブリを提供する。さらに、好都合なことに、本開示のかごエプロンアセンブリは、落下危険保護を提供でき、(折り畳み性によって)低いピットを可能にし、異なるエレベータシステムに合うようにスケーラブルであってよく、また、当業者が理解されるように、様々な他の利点を提供し得る。
【0049】
「約」という用語は、出願時に利用可能な機器に基づいて、特定の量の測定に関連する誤差の程度、及び/または、製造公差を含むことを意図している。
【0050】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態の記載のみを目的としており、本開示を制限する意図はない。本明細書で使用される場合、単数形「a」「an」「the」は、文脈から明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むものとする。「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/または、構成部品の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成部品、及び/または、それらのグループの存在または追加を排除しないことをさらに理解されよう。
【0051】
それぞれ、個々の実施形態に一定の特徴を有する、様々な実施形態例を本明細書に示し、記載したが、本開示は、これによって制限されないことを当業者は理解されよう。むしろ、本開示は、ここまでに記載していないが、本開示の範囲にふさわしい任意の数の変形、変更、置き換え、組み合わせ、サブコンビネーション、または、同等の配置を組み込むように修正することができる。さらに、本開示の様々な実施形態を記載したが、本開示の態様は、記載した実施形態の一部のみを含んでよいことは理解されたい。従って、本開示は、上記記載によって制限されると見なされるべきではなく、添付の請求項の範囲によってのみ制限される。