(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】リング式綴じ具および綴じ具付きバインダー
(51)【国際特許分類】
B42F 13/26 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B42F13/26
(21)【出願番号】P 2019159631
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000129437
【氏名又は名称】株式会社キングジム
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗山 朋之
(72)【発明者】
【氏名】清水 翔平
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特許第3407672(JP,B2)
【文献】特表2008-506985(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0024047(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00
B42F 13/20-13/28
B42D 1/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーに取り付けられるリング式綴じ具であって、
一方向に向けて延伸すると共に互いに平行な向きで隣り合わせに配置された一対の基部と、前記一対の基部のそれぞれに一体に形成された半割環部と、一方の基部に
一体に形成された軸部と、他方の基部に
一体に形成されると共に前記軸部を回動自在に軸支する軸受け部と、を備え、
前記軸受け部と前記軸部との回動動作を介して前記一対の基部同士が相対回動変位することにより、前記一対の基部に設けられた前記半割環部のそれぞれの先端部が互いに近接して円環形状の綴環部を形成する閉鎖位置と、前記半割環部のそれぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能とされており、
前記一対の基部における互いに隣接する隣接箇所の一方に係止部を、他方に前記係止部と係合可能な被係止部とを設け、前記一対の基部同士が半割環部を閉鎖位置から開放位置に切り替える方向に相対回動変位する過程で前記被係止部が前記係止部に係止され、前記被係止部が前記係止部に係止されている状態で前記半割環部が開放位置に維持される、
リング式綴じ具であって、
前記被係止部は一方の基部の本体表面から突出する被係止側凸部であり、前記係止部は他方の基部の本体表面に形成されると共に前記被係止側凸部を受け入れ可能な係止側凹部を含み、
前記係止側凹部および前記被係止側凸部は相補的な形状および大きさを有している、
リング式綴じ具。
【請求項2】
前記係止部は
前記係止側凹部に連設される係止側凸部を含み、
前記一対の基部同士が半割環部を閉鎖位置から開放位置に切り替える方向に相対回動変位する過程で前記係止側凸部を前記被係止側凸部が乗り越えて前記係止側凹部に受け入れられることで前記半割環部が開放位置に維持され、前記係止側凹部に受け入れられた状態の前記被係止側凸部が当該係止側凹部の反対側に前記係止側凸部を乗り越えることで前記係止部による前記被係止部の係止が解除される、
請求項1に記載のリング式綴じ具。
【請求項3】
前記一対の基部のうち、前記軸受け部を有する方の基部に前記係止部が形成されていると共に前記軸部を有する方の基部に前記被係止部が形成されている、
請求項1
又は2に記載のリング式綴じ具。
【請求項4】
請求項1から
3の何れか一項に記載のリング式綴じ具と、前記リング式綴じ具が固定された綴じ具固定端縁が上下方向に延在する表紙体と、を備えた綴じ具付きバインダー。
【請求項5】
前記表紙体は、前記綴じ具固定端縁と直交方向に当該表紙体の全幅範囲に亘って延在する表紙ヒンジ部と、前記表紙ヒンジ部を境に上下に区分けされると共に当該表紙ヒンジ部を介して回動自在に連結された上側表紙部および下側表紙部と、を含み、
前記リング式綴じ具は、一方の基部が前記上側表紙部および前記下側表紙部の少なくとも何れか一方の綴じ具固定端縁に沿って固定されると共に、他方の基部が当該一方の基部に装着されており、
前記表紙ヒンジ部を境に前記上側表紙部および前記下側表紙部を開閉することで展開状態と二つ折り状態とに切り替え可能である、
請求項
4に記載の綴じ具付きバインダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング式綴じ具および綴じ具付きバインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
バインダー(ファイル)の表紙体に取り付けられ、一辺に沿って綴じ孔が穿設されたルーズリーフ用紙等の被綴じ物を綴じ込み可能なリング式綴じ具が広く知られている。
【0003】
この種のリング式綴じ具は、互いに平行な二枚の基板が相対的に回動変位することにより、各基板に形成した複数対の半割環部(半リング部分)を、それらそれぞれの先端部が互いに係合することでリング形状をなす閉鎖位置と、それぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5657822号公報
【文献】特許第5698320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリング式綴じ具においては、使用者が綴環部を開いた後、その綴環部にルーズリーフ用紙等を綴じ込んでいる最中に綴環部が不用意に閉鎖されてしまう場合があり、使い勝手の観点から改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、綴環部を開放状態に維持することができ、使い勝手が優れたリング式綴じ具およびそれを備えた綴じ具付きバインダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、本発明は、バインダーに取り付けられるリング式綴じ具であって、一方向に向けて延伸すると共に互いに平行な向きで隣り合わせに配置された一対の基部と、前記一対の基部のそれぞれに一体に形成された半割環部と、一方の基部に設けられた軸部と、他方の基部に設けられると共に前記軸部を回動自在に軸支する軸受け部と、を備え、前記軸受け部と前記軸部との回動動作を介して前記一対の基部同士が相対回動変位することにより、前記一対の基部に設けられた前記半割環部のそれぞれの先端部が互いに近接して円環形状の綴環部を形成する閉鎖位置と、前記半割環部のそれぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能とされており、前記一対の基部における互いに隣接する隣接箇所の一方に係止部を、他方に前記係止部と係合可能な被係止部とを設け、前記一対の基部同士が半割環部を閉鎖位置から開放位置に切り替える方向に相対回動変位する過程で前記被係止部が前記係止部に係止され、前記被係止部が前記係止部に係止されている状態で前記半割環部が開放位置に維持されることを特徴とする。
【0008】
リング式綴じ具において、前記被係止部は一方の基部の本体表面から突出する被係止側凸部であり、前記係止部は他方の基部の本体表面に形成されると共に前記被係止側凸部を受け入れ可能な係止側凹部および当該係止側凹部に連設される係止側凸部を含み、前記一対の基部同士が半割環部を閉鎖位置から開放位置に切り替える方向に相対回動変位する過程で前記係止側凸部を前記被係止側凸部が乗り越えて前記係止側凹部に受け入れられるこ
とで前記半割環部が開放位置に維持され、前記係止側凹部に受け入れられた状態の前記被係止側凸部が当該係止側凹部の反対側に前記係止側凸部を乗り越えることで前記係止部による前記被係止部の係止が解除されてもよい。
【0009】
また、リング式綴じ具において、前記係止側凹部および前記被係止側凸部は相補的な形状および大きさを有していてもよい。
【0010】
また、リング式綴じ具において、前記一対の基部のうち、前記軸受け部を有する方の基部に前記係止部が形成されていると共に前記軸部を有する方の基部に前記被係止部が形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明は、リング式綴じ具を備えた綴じ具付きバインダーとして特定することができる。例えば、本発明は、上述までの何れかのリング式綴じ具と、前記リング式綴じ具が固定された綴じ具固定端縁が上下方向に延在する表紙体と、を備えた綴じ具付きバインダーであってもよい。この場合、前記表紙体は、前記綴じ具固定端縁と直交方向に当該表紙体の全幅範囲に亘って延在する表紙ヒンジ部と、前記表紙ヒンジ部を境に上下に区分けされると共に当該表紙ヒンジ部を介して回動自在に連結された上側表紙部および下側表紙部と、を含み、前記リング式綴じ具は、一方の基部が前記上側表紙部および前記下側表紙部の少なくとも何れか一方の綴じ具固定端縁に沿って固定されると共に、他方の基部が当該一方の基部に装着されており、前記表紙ヒンジ部を境に前記上側表紙部および前記下側表紙部を開閉することで展開状態と二つ折り状態とに切り替え可能であってもよい。
【0012】
綴じ具付きバインダーにおいて、前記表紙ヒンジ部は、前記表紙体の上下方向における中央位置に設けられていてもよい。
【0013】
また、綴じ具付きバインダーは、前記表紙体における綴じ具固定端縁側に取り付けられるカバー取付部と、上下方向が前記綴じ具固定端縁に沿って延在するように前記カバー取付部に連結され、前記表紙体に対向配置可能なカバー本体部と、を有する内側カバー体を、更に備え、前記カバー本体部は、前記カバー本体部の横幅方向に沿って全幅範囲に亘り延在すると共に前記表紙ヒンジ部と対応する位置に配置される第1カバーヒンジ部と、前記第1カバーヒンジ部を境に上下に区分けされると共に当該第1カバーヒンジ部を介して回動自在に連結された上側カバー領域部および下側カバー領域部と、を含み、前記第1カバーヒンジ部を境に前記上側カバー領域部および前記下側カバー領域部を開閉することで展開状態と二つ折り状態とに切り替え可能であってもよい。
【0014】
また、綴じ具付きバインダーにおいて、前記第1カバーヒンジ部は、前記カバー本体部の上下方向における中央位置に設けられていてもよい。
【0015】
また、綴じ具付きバインダーにおいて、前記カバー取付部は、前記綴じ具固定端縁に沿って所定範囲でスライド自在に前記上側表紙部に取り付けられる第1カバー取付部と、前記第1カバー取付部と独立して設けられ、前記綴じ具固定端縁に沿って所定範囲でスライド自在に前記下側表紙部に取り付けられる、第2カバー取付部と、を含んでいてもよい。
【0016】
また、綴じ具付きバインダーにおいて、前記第1カバー取付部は、前記綴じ具固定端縁に沿って延在する第1スライド長孔を有し、前記第1スライド長孔に受け入れられると共に前記上側表紙部に固定された第1係合片を当該第1スライド長孔に沿って相対変位させることにより前記上側表紙部に対してスライド可能であり、前記第2カバー取付部は、前記綴じ具固定端縁に沿って延在する第2スライド長孔を有し、前記第2スライド長孔に受け入れられると共に前記下側表紙部に固定された第2係合片を当該第2スライド長孔に沿って変位させることで前記下側表紙部に対してスライド可能であってもよい。
【0017】
また、綴じ具付きバインダーにおいて、前記内側カバー体は、前記表紙体における綴じ具固定端縁に沿って延在すると共に前記第1カバー取付部に対して前記上側カバー領域部を回転自在に連結する第2上側カバーヒンジ部と、前記表紙体における綴じ具固定端縁に沿って延在すると共に前記第2上側カバーヒンジ部と独立して設けられ、かつ、前記第2カバー取付部に対して前記下側カバー領域部を回転自在に連結する第2下側カバーヒンジ部と、を更に有していてもよい。
【0018】
また、綴じ具付きバインダーにおいて、前記内側カバー体は、前記綴環部を挿入する綴環挿入開口を有し、前記綴環挿入開口は、前記第1カバー取付部および前記第2カバー取付部が前記綴じ具固定端縁に沿ってスライドした際に前記綴環部との干渉を抑制可能な、前記綴じ具固定端縁に沿った上下寸法を有していてもよい。
【0019】
また、綴じ具付きバインダーにおいて、前記リング式綴じ具は、前記上側表紙部に設けられた第1綴じ具と、前記下側表紙部に設けられた第2綴じ具と、を含み、前記表紙体を展開状態から二つ折り状態に切り替えた際に、前記第1綴じ具の綴環部と前記第2綴じ具の綴環部とを相互に係合させることで前記表紙体を二つ折り状態に維持する係合手段を、更に備えていてもよい。
【0020】
また、綴じ具付きバインダーにおいて、前記係合手段は、前記第1綴じ具および前記第2綴じ具における一方の綴環部に設けられ、当該綴環部から前記綴じ具固定端縁の延在方向に向けて突設された係合部を含み、前記表紙体を展開状態から二つ折り状態に切り替える際に、前記第1綴じ具および前記第2綴じ具における他方の綴環部における裏面部に前記係合部が係合してもよい。
【0021】
また、綴じ具付きバインダーは、上下方向に延伸する綴じ孔側辺に沿って複数の綴じ長孔が形成されると共に前記綴環部に綴じ込まれた被綴じ物を更に備え、前記被綴じ物は、上下方向における中央位置から横幅方向へと全幅範囲に亘って折込み線が延在し、かつ、前記綴じ長孔が前記綴じ孔側辺に沿って延伸していてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、綴環部を開放状態に維持することができ、使い勝手が優れたリング式綴じ具およびこれを備えたバインダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るバインダーの展開状態における斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るバインダーの二つ折り状態における斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るバインダーの折り畳み動作状況を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るバインダーの展開状態における正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係るバインダーの展開状態における背面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係るバインダーの展開状態における左側面図である
【
図7】
図7は、実施形態1に係るバインダーの展開状態における右側面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係るバインダーの展開状態における平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係るバインダーの展開状態における底面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る内側カバー体を見開き姿勢にしたときのバインダーの正面図である。
【
図14】
図14は、第1綴じ具における第1ベース部の分解図である。
【
図18】
図18は、第2綴じ具における第2ベース部の分解図である。
【
図19】
図19は、バインダーの表紙体における高さ中央線から各綴環部までの離間寸法について説明する説明図である。
【
図20】
図20は、実施形態1の内側カバー体における第2カバーヒンジ部およびカバー取付部の詳細構造を説明する図である。
【
図21】
図21は、実施形態1に係るバインダーの内側カバー体を見開き状態とした図である。
【
図22】
図22は、実施形態1に係る綴じ具に綴じられたルーズリーフ用紙を見開き状態とした図である。
【
図23】
図23は、実施形態1に係るルーズリーフ用紙の正面図である。
【
図24】
図24は、展開状態におけるバインダーの表紙体に積層された各シート材の積層状態を模式的に示す図である。
【
図25】
図25は、実施形態1に係る第2綴じ具における第2基部の斜視図である。
【
図26】
図26は、実施形態1に係る第2基部の横断面図である。
【
図27】
図27は、実施形態1に係る第2綴じ具における第1基部の斜視図である。
【
図29】
図29は、実施形態1に係る第1基部の横断面図である。
【
図30】
図30は、第1綴じ具における各綴環部が開放状態となっているときの被係止
側凸部と係止部との関係を示す図である。
【
図31】
図31は、第1綴じ具における各綴環部が閉鎖状態となっているときの被係止
側凸部と係止部との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明に係るリング式綴じ具および綴じ具付きバインダー(ファイル)の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は例示である。また、文具業界では、ファイルは記録済みの書類を綴じるもの、バインダーは未記録のルーズリーフ等を綴じてそれに記録するものという区別もあるが、本明細書ではこれらを総称して「バインダー」と表記する。加えて、本明細書において、特に言及がない限り、
図4において視認される上下をファイルの「上下(高さ)」とし、同様に視認される左右をファイルの「左右(幅)」とする。
【0025】
<実施形態1>
図1および
図2は、実施形態1に係る綴じ具付きバインダー(以下、単に「バインダー」という)1の斜視図である。
図1は、展開状態にあるバインダー1の斜視図である。
図2は、二つ折り状態にあるバインダー1の斜視図である。詳しくは後述するが、本実施形態におけるバインダー1は、
図1に示す展開状態と、
図2に示す二つ折り状態とに切り替えることができる。また、
図3は、実施形態1に係るバインダー1を展開状態と二つ折り状態とを切り替える途中の折り畳み動作状況を示す図である。
【0026】
図4は、実施形態1に係るバインダー1の展開状態における正面図である。
図5は、実施形態1に係るバインダー1の展開状態における背面図である。
図6は、実施形態1に係るバインダー1の展開状態における左側面図である。
図7は、実施形態1に係るバインダー1の展開状態における右側面図である。
図8は、実施形態1に係るバインダー1の展開状態における平面図である。
図9は、実施形態1に係るバインダー1の展開状態における
底面図である。
【0027】
バインダー1は、主として表紙体10、表紙体10に固定されたリング式綴じ具(以下、単に「綴じ具」という)20、表紙体10に取り付けられた内側カバー体30等を備えている。表紙体10は、バインダー1の背面に設けられた外カバー体として機能する。
【0028】
バインダー1は、一辺に沿って綴じ孔が穿設されたルーズリーフ用紙やルーズリーフ用ポケット等の被綴じ物(リフィル)を綴じ具20によって綴じ込み可能な所謂ルーズリーフバインダーとして構成されている。
図1、
図3等に示す例では、被綴じ物の一例としてルーズリーフ用紙S1、中敷きシートS2が表紙体10と内側カバー体30の間に挟み込まれた状態で、綴じ具20に綴じ込まれている。
【0029】
また、詳細については後述するが、内側カバー体30は、表紙体10に対して開閉自在に取り付けられており、表紙体10上に重ね合わされた閉じ状態(閉じ姿勢)と、表紙体10上に重ね合わされていない見開き状態(見開き姿勢)とに切り替え自在となっている。
図1~
図9において、内側カバー体30が閉じ姿勢にある状態を示している。また、
図4~
図9においては、ルーズリーフ用紙S1、中敷きシートS2の図示を省略している。なお、バインダー1の使用状態としては、例えば綴じ具20に綴じられたルーズリーフ用紙S1への筆記や、ルーズリーフ用紙S1の着脱を行う際にはバインダー1を展開状態として使用する。また、バインダー1の不使用時には
図2に示す二つ折り状態にすることでバインダー1における平面視の大きさを半分にすることができる。このように、バインダー1を使用しないときにはコンパクトにすることで、バインダー1を持ち運ぶ際における利便性が向上する。また、バインダー1を鞄等に収容する際においても、鞄の内部が嵩張ることを抑制できるため、使い勝手に優れている。
【0030】
[表紙体]
図10は、実施形態1に係る内側カバー体30を見開き姿勢にしたときのバインダー1の正面図である。
図10において、ルーズリーフ用紙S1および中敷きシートS2の図示は省略されている。
図10に示すように、表紙体10は、全体で略方形状を有しており、表紙体10の横幅方向に伸びる上縁11および下縁12、上下方向(高さ方向)に伸びる綴じ具固定端縁13および自由端縁14によって外形が画定されている。表紙体10の綴じ具固定端縁13は、綴じ具20が固定されている方の端縁(辺)であり、綴じ具固定端縁13の近傍には内側カバー体30が取り付けられている。また、表紙体10の自由端縁14は、綴じ具固定端縁13と反対側に位置する自由端として形成されている。なお、表紙体10に用いる材料は特に限定されないが、例えばポリプロピレン等の比較的硬質な樹脂を用いてもよい。
【0031】
表紙体10の上縁11および下縁12は平行に伸びており、互いに等しい寸法を有している。また、表紙体10の綴じ具固定端縁13および自由端縁14は平行に伸びており、互いに等しい寸法を有している。また、表紙体10の綴じ具固定端縁13および自由端縁14は表紙体10の上下寸法(高さ寸法)を規定し、上縁11および下縁12は表紙体10の横幅寸法を規定している。また、符号10aは表紙体10の内面(正面)であり、符号10bは、表紙体10の外面(背面)である。
【0032】
表紙体10は、上側表紙部15、下側表紙部16、および、上側表紙部15と下側表紙部16とに連設された表紙ヒンジ部17を含んで構成されている。表紙ヒンジ部17は、表紙体10の上下方向における中央位置に配置された細帯状の方形領域であり、表紙体10の領域を上下に区分けしている。表紙ヒンジ部17は、表紙体10の全幅範囲に亘って横幅方向に延在しており、表紙ヒンジ部17は、上側表紙部15および下側表紙部16の間に介在している。
図10に示す符号L1は、表紙体10の上下方向(高さ方向)におけ
る中央位置を示す高さ中央線である。高さ中央線L1は、綴じ具固定端縁13および自由端縁14と直交する方向に伸びており、かつ、上縁11および下縁12と平行に延在する。
図10に示すように、表紙ヒンジ部17における上側表紙部15との境界部には第1ヒンジ線171が表紙ヒンジ部17の全幅区間に亘って形成されており、第1ヒンジ線171を介して上側表紙部15が表紙ヒンジ部17に対して回動自在に接続されている。また、表紙ヒンジ部17における下側表紙部16との境界部には第2ヒンジ線172が表紙ヒンジ部17の全幅区間に亘って形成されており、第2ヒンジ線172を介して下側表紙部16が表紙ヒンジ部17に対して回動自在に接続されている。表紙ヒンジ部17における第1ヒンジ線171および第2ヒンジ線172は、高さ中央線L1と平行に延在している。なお、表紙体10の上下方向において、表紙体10の高さ中央線L1から第1ヒンジ線171までの離間寸法と、高さ中央線L1から第2ヒンジ線172までの離間寸法は互いに等しい。
【0033】
以上のように構成される表紙体10は、表紙ヒンジ部17の第1ヒンジ線171および第2ヒンジ線172を境に上側表紙部15および下側表紙部16を回動させることで、表紙ヒンジ部17を境に上側表紙部15および下側表紙部16を離接し、これらの開閉動作を可能としている。つまり、表紙ヒンジ部17の第1ヒンジ線171および第2ヒンジ線172を介して上側表紙部15および下側表紙部16を開閉することで、上側表紙部15、表紙ヒンジ部17、および下側表紙部16が略同一平面となるように展開した展開状態と、上側表紙部15および下側表紙部16の内面同士が対向して互いに折り重なった二つ折り状態とに、その姿勢を自在に切り替えることができる。
【0034】
その他、表紙体10には、筆記具ホルダ18、第1留め具4、第2留め具5等が設けられている。筆記具ホルダ18は、万年筆やボールペン等といった筆記具を差し込むことで保持可能な保持部材である。
図1、
図3、
図9等に示されるように、第1留め具4は表紙体10の下側表紙部16における下縁12の近傍に配置され、第2留め具5は表紙体10の上側表紙部15における上縁11の近傍に配置されている。
【0035】
第1留め具4は差込片41を有し、第2留め具5は第1留め具4の差込片41を係止するための係止口51を有している。表紙体10における第1留め具4および第2留め具5は、表紙体10の横幅方向において対応する位置に設けられており、
図2に示すようにバインダー1を二つ折りにした状態で、第1留め具4の差込片41を第2留め具5の係止口51に差し込むことで差込片41が係止される。これにより、バインダー1を二つ折り状態とした状態に維持することができる。また、第1留め具4の差込片41を第2留め具5の係止口51から引き抜くことでこれらの係合状態が解除され、バインダー1を二つ折り状態から展開状態へと切り替えることができる。
【0036】
[綴じ具]
次に、バインダー1における表紙体10の綴じ具固定端縁13側に固定された綴じ具20の詳細構造について説明する。
図1~
図3等に示すように、バインダー1における綴じ具20は、表紙体10における下側表紙部16および上側表紙部15にそれぞれ一つずつ設けられた第1綴じ具20Aおよび第2綴じ具20Bを含んで構成されている。第1綴じ具20Aは、表紙体10の下側表紙部16における綴じ具固定端縁13に沿って一方向に伸びる第1ベース部21と、当該第1ベース部21の延伸方向に沿って等間隔で配設された円環状の開閉リング体である複数の綴環部23を有する。また、第2綴じ具20Bは、表紙体10の上側表紙部15における綴じ具固定端縁13に沿って一方向に伸びる第2ベース部22と、当該第2ベース部22の延伸方向に沿って等間隔で配設された円環状の開閉リング体である複数の綴環部24を有する。第1綴じ具20Aの第1ベース部21および第2綴じ具20Bの第2ベース部22は比較的硬質な樹脂等によって形成されている。上記のように本実施形態におけるバインダー1は、表紙ヒンジ部17を境に上側表紙部1
5および下側表紙部16を開閉することで折り畳み可能に構成されているため、綴じ具20における第1ベース部21および第2ベース部22は、表紙体10の綴じ具固定端縁13に沿って表紙ヒンジ部17を跨がないように配置されている。ここでいう「表紙ヒンジ部17を跨がない」とは、第1ベース部21および第2ベース部22の何れも、上側表紙部15および下側表紙部16の双方の領域に跨って形成されないことを意味する。
【0037】
第1綴じ具20Aの第1ベース部21、第2綴じ具20Bの第2ベース部22は、リベットやハトメ等の固定手段を介して、表紙体10の下側表紙部16における外面10b、上側表紙部15における外面10bにそれぞれ固定されている。
図1~
図3等に示す例では、第1ベース部21および第2ベース部22には、それぞれ4個ずつの綴環部23,24が配列されている。以下では、第1綴じ具20Aの第1ベース部21に配設された4個の綴環部23をそれぞれ区別する場合には、配列方向外側から順に(表紙ヒンジ部17に対して離れている方から順に)第1綴環部23A、第2綴環部23B、第3綴環部23C、第4綴環部23Dと呼ぶ。また、第2綴じ具20Bの第2ベース部22に配設された4個の綴環部24をそれぞれ区別する場合には、配列方向外側から順に(表紙ヒンジ部17に対して離れている方から順に)、第1綴環部24A、第2綴環部24B、第3綴環部24C、第4綴環部24Dと呼ぶ。但し、第1綴じ具20Aの第1ベース部21に設けられる綴環部23の数は特に限定されない。同様に、第2綴じ具20Bの第2ベース部22に設けられる綴環部24の数は特に限定されない。
【0038】
ここで、
図11~
図13は、第1綴じ具20Aの斜視図である。第1綴じ具20Aの第1ベース部21の第1端部Pe1側から第2端部Pe2側に向けて、第1綴環部23A~第4綴環部23Dが等間隔で設けられている。第1ベース部21は、一方向に延伸する第1基部25と、第2基部26を含んで構成されている。第2基部26は、一方向に延伸すると共に第1基部25と平行かつ隣合わせに配置されており、第1基部25に対して一体に装着されている。第1綴じ具20Aにおける第1基部25および第2基部26は、例えば樹脂成形によって形成されている。
【0039】
図14は、第1綴じ具20Aにおける第1ベース部21の分解図である。
図14には、第1基部25および第2基部26の斜視図を示している。第1ベース部21における第1基部25は、複数の半割環部231を保持するための保持部材であり、一方向に延伸した基板形状を有している。
図14に示す符号25aは第1基部25の上面である。第1基部25における上面25aの適所には、リベット25cが突設されている。第1綴じ具20Aの第1ベース部21は、第1基部25の上面25aに設けられたリベット25cを、表紙体10における下側表紙部16に貫設された貫通孔に貫挿することで、第1基部25の上面25aを表紙体の外面10bに当接させた状態で固定される。
【0040】
図14に示すように、第1ベース部21における第1基部25には、半リング形状を有する4個の半割環部231が第1基部25の長手方向(軸方向)に沿って等間隔で設けられている。各半割環部231は、その基端側が第1基部25の外側面25b(
図11を参照)に接続され、第1基部25の上面25a側に向けて実質的に半円環状に延在している。なお、各半割環部231をそれぞれ区別する場合には、第1基部25における第1端部Pe1側から順に、第1半割環部231A、第2半割環部231B、第3半割環部231C、第4半割環部231Dと呼ぶ。また、第1基部25の長手方向(軸方向)における外端側に配置されている第1半割環部231Aおよび第4半割環部231Dのそれぞれの先端部には係合爪2310が形成されている。また、第1基部25の長手方向(軸方向)における内側に配置されている第2半割環部231Bおよび第3半割環部231Cのそれぞれの先端部には嵌合孔2311が形成されている。
【0041】
また、
図14に示すように、第1基部25における第1端部Pe1の近傍、第2端部P
e2の近傍、および長手方向における中央部近傍には軸受け部250が設けられている。各軸受け部250は、略円筒形状を有する摺動面251を有している。以下、第1基部25の第1端部Pe1の近傍に配置された軸受け部250を「第1端部軸受け部250A」と呼び、第2端部Pe2の近傍に配置された軸受け部250を「第2端部軸受け部250B」と呼び、中央部近傍に配置された軸受け部250を「中央軸受け部250C」と呼ぶ。
【0042】
第1ベース部21における第2基部26は、複数の半割環部232を保持するための保持部材であり、一方向に延伸した基板形状を有している。
図14に示す符号26aは第2基部26の上面であり、符号26bは第2基部26の外側面である。また、
図14に示す符号Pe3は、第2基部26における長手方向における第1端部であり、符号Pe4は当該第1端部Pe3と反対側に位置する第2端部である。第2基部26には、半リング形状を有する4個の半割環部232が第2基部26の長手方向(軸方向)に沿って等間隔で設けられている。各半割環部232は、その基端側が第2基部26の外側面26bに接続され、第2基部26の上面26a側に向けて実質的に半円環状に延在している。なお、各半割環部232をそれぞれ区別する場合には、第2基部26における第1端部Pe3側から順に、第1半割環部232A、第2半割環部232B、第3半割環部232C、第4半割環部232Dと呼ぶ。また、第2基部26の長手方向(軸方向)における外端側に配置されている第1半割環部232Aおよび第4半割環部232Dのそれぞれの先端部には係合爪2320が形成されており、第1基部25の第1半割環部231Aおよび第4半割環部231Dの先端部に形成された係合爪2310と係合が可能となっている。また、第2基部26の長手方向(軸方向)における内側に配置されている第2半割環部232Bおよび第3半割環部232Cのそれぞれの先端部には、第1基部25の第2半割環部231Bおよび第3半割環部231Cの先端部に形成された嵌合孔2311に嵌合可能な突起(図示せず)が形成されている。
【0043】
更に、第2基部26は、当該第2基部26の長手方向に沿って延在する軸部260を有している。第2基部26の軸部260は円形横断面を有する軸部材であり、第1基部25における各軸受け部250において軸受け支持される。
図14に示す符号260aは、軸部260の一端に位置する第1端部領域であり、符号260bは軸部260の他端に位置する第2端部領域であり、符号260cは軸部260の中央に位置する中央領域である。軸部260の第1端部領域260a、第2端部領域260b、中央領域260cは、それぞれ第1基部25における第1端部軸受け部250A、第2端部軸受け部250B、中央軸受け部250Cにそれぞれ軸受けされる。
【0044】
上記のように構成される第1基部25および第2基部26は、第1基部25における第1端部軸受け部250A、第2端部軸受け部250B、中央軸受け部250Cに対して、第2基部26の軸部260における第1端部領域260a、第2端部領域260b、中央領域260cをそれぞれ軸受けした状態で第1基部25に第2基部26が装着される。その結果、
図11~
図13に示すように、第1基部25および第2基部26が一体に組み合わさった第1ベース部21が形成される。
【0045】
なお、
図11~
図13に示すように、第1基部25に第2基部26が装着された状態において、第1基部25における各半割環部231A~231Dと、第2基部26における各半割環部232A~232Dは、第1ベース部21の長手方向においてそれぞれ対応する位置に配置されている。そして、第1基部25における各半割環部231と第2基部26における各半割環部232が対となって、第1綴じ具20Aの各綴環部23を形成している。
図11~
図13においては、それぞれ対をなす第1基部25における各半割環部231と第2基部26における各半割環部232の先端部同士が互いに係合することで各綴環部23が閉鎖姿勢(閉じ状態)になっている。この状態において、第1基部25の第1
半割環部231Aおよび第4半割環部231Dの先端部に形成された係合爪2310と第2基部26の第1半割環部232Aおよび第4半割環部232Dの先端部に形成された係合爪2320が互いに係合している。また、第1基部25の第2半割環部231Bおよび第3半割環部231Cの先端部に形成された嵌合孔2311に第2基部26の第2半割環部232Bおよび第3半割環部232Cの先端部に形成された突起が嵌合されている。
【0046】
一方、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が閉鎖姿勢(閉じ状態)にある状態から、例えば、使用者が第2基部26の第1半割環部232Aおよび第4半割環部232Dを指などによって両側から把持し、内側側方に撓ませることによって係合爪2310,2320同士の係合を解除しつつ第1基部25の軸受け部250に回動自在に軸受けされている第2基部26の軸部260を
図12に示す第1方向D1に回動させる。その結果、第1基部25と第2基部26とが相対回動変位をなすと共に、対をなす第1基部25における各半割環部231と第2基部26における各半割環部232が、その先端部同士が離隔した開放位置に移動する。これによって、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が閉鎖姿勢(閉じ状態)から開放姿勢(開放状態)に切り替えられる。一方、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が開放姿勢(開放状態)にある状態から、第1基部25の軸受け部250に回動自在に軸受けされている第2基部26の軸部260を
図12に示す第1方向D1と反対側に回動させることで、第1基部25と第2基部26とが相対回動変位をなす。その結果、第1基部25における各半割環部231と第2基部26における各半割環部232が、これらの先端部同士が互いに近接して円環形状を形成する閉鎖位置に移動する。これによって、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が開放姿勢(開放状態)から閉鎖姿勢(閉じ状態)に切り替えられる。
【0047】
更に、
図14に示すように、第1基部25における第3半割環部231Cの先端部には、隣接する第4半割環部231D側に向けて突設する係合突起部233Aが設けられている。また、第2基部26における第3半割環部232Cの先端部には、隣接する第4半割環部232D側に向けて突設する係合突起部233Bが設けられている。第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が閉鎖姿勢(閉じ状態)にあるときには、第1基部25における第3半割環部231Cの先端側に位置する係合突起部233Aと、第2基部26における第3半割環部232Cの先端側に位置する係合突起部233Bが組み合わさることで、係合部233を形成している。
【0048】
次に、第2綴じ具20Bについて説明する。
図15~
図17は、第2綴じ具20Bの斜視図である。第2綴じ具20Bの第2ベース部22の第1端部Pe1側から第2端部Pe2側に向けて、第1綴環部24A~第4綴環部24Dが等間隔で設けられている。第2ベース部22は、一方向に延伸する第1基部25と、第2基部26を含んで構成されている。第2基部26は、一方向に延伸すると共に第1基部25と平行かつ隣合わせに配置されており、第1基部25に対して一体に装着されている。第2綴じ具20Bにおける第1基部25および第2基部26は、例えば樹脂成形によって形成されている。第2ベース部22における第1基部25および第2基部26は、基本的に第1ベース部21における第1基部25および第2基部26と同一の構造を有しており、第1ベース部21と共通する構成については同一の参照符号を付すことで詳しい説明を省略する。
【0049】
図18は、第2綴じ具20Bにおける第2ベース部22の分解図である。
図18には、第2ベース部22における第1基部25および第2基部26の斜視図が示されている。
図18に示す第2ベース部22におけるの第1基部25は、複数の半割環部241を保持するための保持部材であり、一方向に延伸した基板形状を有している。第2綴じ具20Bの第2ベース部22は、第1基部25の上面25aに設けられたリベット25cを、表紙体10における上側表紙部15に貫設された貫通孔に貫挿することで、第1基部25の上面25aを表紙体の外面10bに当接させた状態で固定される。
【0050】
図18に示すように、第2ベース部22における第1基部25には、半リング形状を有する4個の半割環部241が第1基部25の長手方向(軸方向)に沿って等間隔で設けられている。各半割環部241は、その基端側が第1基部25の外側面25bに接続され、第1基部25の上面25a側に向けて実質的に半円環状に延在している。なお、各半割環部241をそれぞれ区別する場合には、第1基部25における第1端部Pe1側から順に、第1半割環部241A、第2半割環部241B、第3半割環部241C、第4半割環部241Dと呼ぶ。第2ベース部22においても、第1基部25の長手方向(軸方向)における外端側に配置されている第1半割環部241Aおよび第4半割環部241Dのそれぞれの先端部には係合爪2410が形成されている。また、第1基部25の長手方向(軸方向)における内側に配置されている第2半割環部241Bおよび第3半割環部241Cのそれぞれの先端部には嵌合孔2411が形成されている。また、第2ベース部22における第1基部25においても、第1端部軸受け部250A、第2端部軸受け部250B、中央軸受け部250Cが設けられている。
【0051】
第2ベース部22における第2基部26は、複数の半割環部242を保持するための保持部材であり、一方向に延伸した基板形状を有している。
図18に示すように、第2ベース部22における第2基部26には、半リング形状を有する4個の半割環部242が第2基部26の長手方向(軸方向)に沿って等間隔で設けられている。各半割環部242は、その基端側が第2基部26の外側面26bに接続され、第2基部26の上面26a側に向けて実質的に半円環状に延在している。なお、各半割環部242をそれぞれ区別する場合には、第2ベース部22の第2基部26における第1端部Pe3側から順に、第1半割環部242A、第2半割環部242B、第3半割環部242C、第4半割環部242Dと呼ぶ。第2ベース部22においても、第2基部26の長手方向(軸方向)における外端側に配置されている第1半割環部242Aおよび第4半割環部242Dのそれぞれの先端部には係合爪2420が形成されており、第1基部25の第1半割環部241Aおよび第4半割環部241Dの先端部に形成された係合爪2410と係合が可能となっている。また、第2基部26の長手方向(軸方向)における内側に配置されている第2半割環部242Bおよび第3半割環部242Cのそれぞれの先端部には、第1基部25の第2半割環部241Bおよび第3半割環部241Cの先端部に形成された嵌合孔2411に嵌合可能な突起(図示せず)が形成されている。なお、第2綴じ具20Bにおける各半割環部241,242においては、係合突起部233A,233Bは設けられていない。
【0052】
第1ベース部21と同様、第2ベース部22における第2基部26においても、軸部260を有し、第2ベース部22の第1基部25における各軸受け部250において軸受け支持される。そして、第1基部25における第1端部軸受け部250A、第2端部軸受け部250B、中央軸受け部250Cに対して、第2基部26の軸部260における第1端部領域260a、第2端部領域260b、中央領域260cをそれぞれ軸受けした状態で第1基部25に第2基部26が装着される結果、
図15~
図17に示すように第2ベース部22が形成される。
【0053】
第2綴じ具20Bにおいても、第1基部25に第2基部26が装着された状態において、第1基部25における各半割環部241A~241Dと、第2基部26における各半割環部242A~242Dは、第2ベース部22の長手方向においてそれぞれ対応する位置に配置されている。そして、第1基部25における各半割環部241と第2基部26における各半割環部242が対となって、第2綴じ具20Bの各綴環部24が形成される。
図15~
図17に示す状態では、第2綴じ具20Bにおける各綴環部24が閉鎖姿勢(閉じ状態)となっている。この状態において、第2綴じ具20Bにおける第1基部25の第1半割環部241Aおよび第4半割環部241Dの先端部に形成された係合爪2410と第2基部26の第1半割環部242Aおよび第4半割環部242Dの先端部に形成された係
合爪2420が互いに係合している。また、第1基部25の第2半割環部241Bおよび第3半割環部241Cの先端部に形成された嵌合孔2411に第2基部26の第2半割環部242Bおよび第3半割環部242Cの先端部に形成された突起が嵌合されている。一方、第2綴じ具20Bにおける各綴環部24が閉鎖姿勢(閉じ状態)にある状態から、例えば、使用者が第2基部26の第1半割環部242Aおよび第4半割環部242Dを指などによって両側から把持し、内側側方に撓ませることによって係合爪2410,2420同士の係合を解除しつつ第2ベース部22における第1基部25の軸受け部250に軸受けされている第2基部26の軸部260を
図15に示す第1方向D1に回動させる。その結果、第1基部25と第2基部26とが相対回動変位をなすと共に、第1基部25における各半割環部241と第2基部26における各半割環部242が、その先端部同士が離隔した開放位置に移動する。これによって、第2綴じ具20Bにおける各綴環部24が閉鎖姿勢(閉じ状態)から開放姿勢(開放状態)に切り替えられる。一方、第2綴じ具20Bにおける各綴環部23が開放姿勢(開放状態)にある状態から、第1基部25の軸受け部250に回動自在に軸受けされている第2基部26の軸部260を
図15に示す第1方向D1と反対側に回動させることで、第1基部25と第2基部26とが相対回動変位をなす。その結果、対をなす第1基部25における各半割環部241と第2基部26における各半割環部242が、これらの先端部同士が互いに近接して円環形状を形成する閉鎖位置に移動する。これによって、第2綴じ具20Bにおける各綴環部24が開放姿勢(開放状態)から閉鎖姿勢(閉じ状態)に切り替えられる。
【0054】
上記のように構成される綴じ具20は、
図5等に示すように、第1綴じ具20Aにおける第1ベース部21の第1端部Pe1が表紙体10における下縁12側を向き、第2端部Pe2が表紙ヒンジ部17側を向いた状態で、下側表紙部16における綴じ具固定端縁13に沿って外面10b側に固着されている。また、第2綴じ具20Bにおける第2ベース部22の第1端部Pe1が表紙体10における上縁11側を向き、第2端部Pe2が表紙ヒンジ部17側を向いた状態で、上側表紙部15における綴じ具固定端縁13に沿って外面10b側に固着されている。なお、表紙体10における下側表紙部16には、第1綴じ具20Aの各綴環部23における各半割環部231を挿通させるための挿通孔19Aが穿設されており、各半割環部231は挿通孔19Aを通じて表紙体10の内面10a側に延在している。同様に、表紙体10における上側表紙部15には、第2綴じ具20Bの各綴環部24における各半割環部241を挿通させるための挿通孔19Bが穿設されており、各半割環部241は挿通孔19Bを通じて表紙体10の内面10a側に延在している。
【0055】
ここで、
図19は、バインダー1の表紙体10における高さ中央線L1から、綴じ具20における各綴環部23,24までの離間寸法について説明する説明図である。
図19には、バインダー1を正面から眺めた場合の一部が概略的に示されている。上記の通り、バインダー1は
図1に示す展開状態と
図2に示す二つ折り状態に切り替え可能である。そこで、バインダー1は、二つ折り状態とした際に、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23と第2綴じ具20Bの各綴環部24とが互いに干渉せず、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23と第2綴じ具20Bにおける各綴環部24が互い違いに配置されるように、各綴環部23,24の位置関係が調整されている。なお、ここでいう互い違いとは、第1綴じ具20Aにおける隣接する綴環部24同士の間に形成される隙間に、第2綴じ具20Bにおける各綴環部24が位置付けられることを意味する。
【0056】
ここで、図中の符号Wrは、綴じ具20における各綴環部23,24の幅寸法(以下、「綴環幅」という)である。綴環幅Wrは、表紙体10の綴じ具固定端縁13に沿う方向における各綴環部23,24の長さということもできる。各綴環部23,24における綴環幅Wrは、係合部233が突設されている第1綴じ具20Aの第3綴環部23Cを除いて全て等しい寸法に設定されており、当該第3綴環部23Cは係合部233が突出している分だけ他の綴環部23,24よりも綴環幅Wrが大きくなっている。
【0057】
図19に示す符号Db1~Db4は、表紙体10における高さ中央線L1から各綴環部23における外側面234までの上下方向(綴じ具固定端縁13に沿った方向)における離間寸法であり、以下では「綴環離間寸法」という。Db1は、第1綴環部23Aにおける綴環離間寸法、Db2は第2綴環部23Bにおける綴環離間寸法、Db3は第3綴環部23Cにおける綴環離間寸法、Db4は第4綴環部23Dにおける綴環離間寸法である。また、符号Du1~Du4は、表紙体10における高さ中央線L1から各綴環部24における外側面244までの上下方向(綴じ具固定端縁13に沿った方向)における綴環離間寸法である。Du1は、第1綴環部24Aにおける綴環離間寸法、Du2は第2綴環部24Bにおける綴環離間寸法、Du3は第3綴環部24Cにおける綴環離間寸法、Du4は第4綴環部24Dにおける綴環離間寸法である。
【0058】
ここで、第1綴環部23Aにおける綴環離間寸法Db1は、第1綴環部24Aにおける綴環離間寸法Du1よりも綴環幅Wrだけ大きな寸法に設定されている。第2綴環部23Bにおける綴環離間寸法Db2は、第2綴環部24Bにおける綴環離間寸法Du2よりも綴環幅Wrだけ大きな寸法に設定されている。第3綴環部23Cにおける綴環離間寸法Db3は、第3綴環部24Cにおける綴環離間寸法Du3よりも綴環幅Wrだけ大きな寸法に設定されている。また、第4綴環部23Dにおける綴環離間寸法Db4は、第4綴環部24Dにおける綴環離間寸法Du4よりも綴環幅Wrだけ大きな寸法に設定されている。
【0059】
上記のように各綴環部23,24の綴環離間寸法を定めることで、バインダー1を二つ折りにした際に、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23A~Dの内側面235が、第2綴じ具20Bにおける各綴環部24A~Dの外側面244に当接した状態となる。すなわち、バインダー1を二つ折りにする際に、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23A~Dの上面236と、第2綴じ具20Bにおける各綴環部24A~Dの上面246が互いに衝突することが抑制される。その結果、
図2に示すように、バインダー1における上側表紙部15および下側表紙部16が十分に接近した姿勢までしっかりと折り畳むことが可能となる。
【0060】
[内側カバー体]
次に、バインダー1の内側カバー体30について説明する。
図3、
図4、
図10等に示すように、内側カバー体30は、上側カバー領域部31、下側カバー領域部32、第1カバーヒンジ部33からなるカバー本体部34と、カバー取付部35と、第2カバーヒンジ部36を有している。内側カバー体30を形成する材料は特に限定されないが、適宜の樹脂材料を好適に用いることができる。
【0061】
内側カバー体30におけるカバー本体部34は略方形の平面形状を有し、表紙体10よりも一回り小さい横幅寸法および高さ寸法(上下寸法)を有している。カバー本体部34は、横幅方向に伸びる上縁341、下縁342、および、上下方向(高さ方向)に伸びる接続端縁343、自由端縁344によって外形が画定されている。カバー本体部34の上縁341および下縁342は平行に伸びており、互いに等しい寸法を有している。また、カバー本体部34の接続端縁343および自由端縁344は平行に伸びており、互いに等しい寸法を有している。カバー本体部34の接続端縁343および自由端縁344はカバー本体部34の上下寸法(高さ寸法)を規定し、上縁341および下縁342はカバー本体部34の横幅寸法を規定している。
【0062】
内側カバー体30におけるカバー取付部35は、表紙体10の内面10aに取り付けられる部材である。内側カバー体30は、カバー取付部35を介して表紙体10に一体となっている。カバー取付部35は、表紙体10における綴じ具固定端縁13の近傍位置に取り付けられている。なお、表紙体10に対するカバー取付部35の取付態様については後
述する。また、内側カバー体30における第2カバーヒンジ部36は、カバー本体部34とカバー取付部35とを回動自在に接続している。カバー本体部34における接続端縁343は、表紙体10における綴じ具固定端縁13側に沿って配置される端縁であって、第2カバーヒンジ部36に接続されている。カバー本体部34における自由端縁344は、接続端縁343と反対側に位置する端縁である。
【0063】
図4等に示す符号31aは上側カバー領域部31のおもて面、符号32aは下側カバー領域部32のおもて面である。また、
図10に示す符号31bは上側カバー領域部31の裏面、符号32bは下側カバー領域部32の裏面である。上側カバー領域部31および下側カバー領域部32の各裏面31b,32bは、内側カバー体30のカバー本体部34が表紙体10上に重ね合わされた閉じ状態(閉じ姿勢)のときに、表紙体10の内面10aに対向する(ルーズリーフ用紙S1が綴じられている場合には、ルーズリーフ用紙S1に対向する)。
【0064】
カバー本体部34における第1カバーヒンジ部33は、カバー本体部34を上下、すなわち上側カバー領域部31および下側カバー領域部32に区分けするヒンジ領域であり、本実施形態においては折り込み線(ヒンジ線)によって形成されている。カバー本体部34における第1カバーヒンジ部33は、カバー本体部34の上下方向(高さ方向)における中央位置に配置されており、カバー本体部34の横幅方向に沿って全幅範囲に亘り延在している。すなわち、カバー本体部34における第1カバーヒンジ部33は、カバー本体部34の接続端縁343および自由端縁344に直交し、かつ上縁341および下縁342と平行な方向に伸びている。このように構成されるカバー本体部34は、内側カバー体30が閉じ状態(閉じ姿勢)のときに、第1カバーヒンジ部33が表紙体10の表紙ヒンジ部17と概ね上下に重なるようになる。
【0065】
上記のように構成されるカバー本体部34は、カバー本体部34の高さ方向中央位置に横幅方向に沿って形成される第1カバーヒンジ部33によってその上下に位置する上側カバー領域部31および下側カバー領域部32が区分けされている。そのため、カバー本体部34は、第1カバーヒンジ部33を境に上側カバー領域部31および下側カバー領域部32を開閉することで展開状態と二つ折り状態とに切り替えることが可能である。
【0066】
次に、内側カバー体30における第2カバーヒンジ部36およびカバー取付部35の詳細について説明する。
図20は、実施形態1の内側カバー体30における第2カバーヒンジ部36およびカバー取付部35の詳細構造を説明する図である。
【0067】
内側カバー体30における第2カバーヒンジ部36は、カバー本体部34の上側カバー領域部31に連結される第2上側カバーヒンジ部36Aと、下側カバー領域部32に連結される第2下側カバーヒンジ部36Bとを有している。第2上側カバーヒンジ部36Aおよび第2下側カバーヒンジ部36Bは互いに独立しており、相互に連結されていない。なお、
図20においては、便宜上、第2上側カバーヒンジ部36Aおよび第2下側カバーヒンジ部36Bにドットハッチングを付している。
【0068】
なお、第2上側カバーヒンジ部36Aおよび第2下側カバーヒンジ部36Bは実質的に同一部材であり、カバー本体部34と接続される第1ヒンジ線361と、カバー取付部35と接続される第2ヒンジ線362を有している。第1ヒンジ線361および第2ヒンジ線362は互いに平行であり、かつ第1カバーヒンジ部33と直交方向に伸びている。また、第2上側カバーヒンジ部36Aの第1ヒンジ線361は、上側カバー領域部31における接続端縁343と接続されている。第2下側カバーヒンジ部36Bの第1ヒンジ線361は、下側カバー領域部32における接続端縁343と接続されている。
【0069】
内側カバー体30におけるカバー取付部35は、互いに独立した一対の第1カバー取付部35Aおよび第2カバー取付部35Bを有している。内側カバー体30における第1カバー取付部35Aは、表紙体10における上側表紙部15の内面10aに固着された第1保持部100Aに対してスライド自在に取り付けられると共に、第2上側カバーヒンジ部36Aに連結されている。また、第2カバー取付部35Bは、表紙体10における下側表紙部16の内面10aに固着された第2保持部100Bに対してスライド自在に取り付けられると共に、第2下側カバーヒンジ部36Bに連結されている。
【0070】
第1カバー取付部35Aおよび第2カバー取付部35Bは、横幅寸法に比べて高さ寸法(上下寸法)が大きい略矩形状を有している。第1カバー取付部35Aおよび第2カバー取付部35Bは実質的に同一構造であり、カバー本体部34における第1カバーヒンジ部33(ヒンジ線)に対して線対称に配置されている。符号351は、第1カバー取付部35Aおよび第2カバー取付部35Bの第1端縁であり、符号352は第1カバー取付部35Aおよび第2カバー取付部35Bの第2端縁である。第1端縁351および第2端縁352は平行であり、かつ、カバー本体部34における第1カバーヒンジ部33(ヒンジ線)に対して直交方向に伸びている。第1カバー取付部35Aおよび第2カバー取付部35Bの第1端縁351は、第2カバーヒンジ部36(第2上側カバーヒンジ部36Aおよび第2下側カバーヒンジ部36B)の第2ヒンジ線362に接続されている。
【0071】
また、第1カバー取付部35Aには、上下方向に一直線状に配列する一対の第1スライド長孔353A,353Aが第1カバー取付部35Aを貫通するように穿設されている。一対の第1スライド長孔353A,353Aは、第1カバー取付部35Aの上下方向に延伸する矩形状の長孔である。一対の第1スライド長孔353A,353Aは、第1カバー取付部35Aの横幅方向において同位置に配置されている。同様に、第2カバー取付部35Bにも、上下方向に一直線状に配列する一対の第2スライド長孔353B,353Bが第2カバー取付部35Bを貫通するように穿設されている。一対の第2スライド長孔353B,353Bは、第2カバー取付部35Bの上下方向に延伸する矩形状の長孔である。一対の第2スライド長孔353B,353Bは、第2カバー取付部35Bの横幅方向において同位置に配置されている。
【0072】
次に、表紙体10に設けられた第1保持部100Aおよび第2保持部100Bについて説明する。第1保持部100Aおよび第2保持部100Bは実質的に同一構造であり、表紙体10の中心線L1に対して線対称に構成されている。第1保持部100Aは、表紙体10における上側表紙部15の上下方向に離間して配列される一対の第1係合片101A,101Aと、一対の第1係合片101A,101Aの内側に配置されるガイド部102Aと、一対の第1係合片101A,101Aおよびガイド部102Aの上面に架け渡されたスライド抑え板103Aを有する。
【0073】
第1保持部100Aにおける一対の第1係合片101A,101Aおよびガイド部102Aは、上側表紙部15の上下方向(綴じ具固定端縁13の延伸方向)に沿って延伸する薄い帯状片であり、上側表紙部15の内面10aに対して固着されている。一対の第1係合片101A,101Aは実質的に同一の部材であり、上側表紙部15の横幅方向において同位置に配置されている。また、各第1係合片101A,101Aの上下方向に伸びる長手寸法は、第1カバー取付部35Aにおける各第1スライド長孔353A,353Aの長軸寸法よりも小さな寸法に設定されている。また、
図20に示すように、各第1係合片101A,101Aは第1カバー取付部35Aにおける各第1スライド長孔353A,353A内に収容された状態で配置されている。また、一対の第1係合片101A,101Aおよびガイド部102Aの板厚は互いに等しく、第1カバー取付部35Aの板厚よりも若干大きい。第1保持部100Aにおけるスライド抑え板103Aは、略台形の平面形状を有する平板部材であり、その下面が一対の第1係合片101A,101Aおよびガイド
部102Aの上面に固着されている。以上のように構成される第1保持部100Aは、スライド抑え板103Aの下面、上側表紙部15の内面10a、一対の第1係合片101A,101Aの側面およびガイド部102Aの側面によって、上側表紙部15の上下方向に沿って延伸するスライド空間104Aを形成している。
【0074】
第2保持部100Bにおいても、表紙体10における下側表紙部16の上下方向に離間して配列される一対の第2係合片101B,101Bと、一対の第1係合片101B,101Bの内側に配置されるガイド部102Bと、一対の第1係合片101B,101Bおよびガイド部102Bの上面に架け渡されたスライド抑え板103Bを有する。
【0075】
第2保持部100Bにおける一対の第2係合片101B,101Bおよびガイド部102Bは、下側表紙部16の上下方向(綴じ具固定端縁13の延伸方向)に沿って延伸する薄い帯状片であり、下側表紙部16の内面10aに対して固着されている。一対の第1係合片101B,101Bは実質的に同一の部材であり、下側表紙部16の横幅方向において同位置に配置されている。また、各第2係合片101B,101Bの上下方向に伸びる長手寸法は、第2カバー取付部35Bにおける各第2スライド長孔353B,353Bの長軸寸法よりも小さな寸法に設定されている。また、
図20に示すように、各第2係合片101B,101Bは第2カバー取付部35Bにおける各第2スライド長孔353B,353B内に収容された状態で配置されている。また、一対の第1係合片101B,101Bおよびガイド部102Bの板厚は互いに等しく、第2カバー取付部35Bの板厚よりも若干大きい。また、第2保持部100Bにおけるスライド抑え板103Bは、略台形の平面形状を有する平板部材であり、その下面が一対の第1係合片101B,101Bおよびガイド部102Bの上面に固着されている。以上のように構成される第2保持部100Bは、スライド抑え板103Bの下面、下側表紙部16の内面10a、一対の第1係合片101B,101Bの側面およびガイド部102Bの側面によって、下側表紙部16の上下方向に沿って延伸するスライド空間104Bを形成している。
【0076】
内側カバー体30の第1カバー取付部35Aは、各第1スライド長孔353A,353Aに第1保持部100Aの各第1係合片101A,101Aを受け入れ、かつ、各第1スライド長孔353A,353Aよりも第2端縁352側に位置する帯状領域354Aを第1保持部100Aのスライド空間104Aに配置した状態で、第1保持部100Aに保持されている。これにより、内側カバー体30の第1カバー取付部35Aは、上側表紙部15に固定された第1係合片101A,101Aを第1スライド長孔353A,353Aの長手方向に沿って相対変位させることにより、上側表紙部15に対して所定範囲内において上下スライドが可能となる。
【0077】
同様に、内側カバー体30の第2カバー取付部35Bは、各第2スライド長孔353B,353Bに第2保持部100Bの各第2係合片101B,101Bを受け入れ、かつ、各第2スライド長孔353B,353Bよりも第2端縁352側に位置する帯状領域354Bを第2保持部100Bのスライド空間104Bに配置した状態で、第2保持部100Bに保持されている。これにより、内側カバー体30の第2カバー取付部35Bは、表紙体10における下側表紙部16に固定された第2係合片101B,101Bを第2スライド長孔353B,353Bの長手方向に沿って相対変位させることにより、下側表紙部16に対して所定範囲内において上下スライドが可能となる。
【0078】
図20に示すように、内側カバー体30には、綴じ具20における各綴環部24を挿入するための綴環挿入開口37Aと、各綴環部23を挿入するための綴環挿入開口37Bが内側カバー体30を貫通して設けられている。内側カバー体30の綴環挿入開口37Aは、上側カバー領域部31における接続端縁343の近傍領域、第2上側カバーヒンジ部36Aおよび第1カバー取付部35Aにおける第1端縁351の近傍領域に跨って形成され
ている。内側カバー体30の綴環挿入開口37Bは、下側カバー領域部32における接続端縁343の近傍領域、第2下側カバーヒンジ部36Bおよび第2カバー取付部35Bにおける第1端縁351の近傍領域に跨って形成されている。
【0079】
[ルーズリーフ用紙]
次に、バインダー1に綴じられるルーズリーフ用紙S1について説明する。
図21は、実施形態1に係るバインダー1の内側カバー体30を見開き状態とした図である。
図22は、実施形態1に係る綴じ具20に綴じられたルーズリーフ用紙S1を見開き状態として内側カバー体30に重ねた状態を示す図である。
図23は、実施形態1に係るルーズリーフ用紙S1の正面図である。ルーズリーフ用紙S1は、平面視略矩形状を有する紙製シート材であり、バインダー1に適合するサイズを有している。本実施形態においてはルーズリーフ用紙S1のサイズをA4サイズとしているが、サイズはこれには限定されない。ルーズリーフ用紙S1は、横幅方向に伸びる上辺101および下辺102、上下方向(高さ方向)に伸びる綴じ孔側辺103および自由端辺104によって外形が画定されている。ルーズリーフ用紙S1の上辺101および下辺102は平行に伸びており、互いに等しい寸法を有している。また、綴じ孔側辺103および自由端辺104は平行に伸びており、互いに等しい寸法を有している。図中の符号105はルーズリーフ用紙S1の正面、符号106はルーズリーフ用紙S1の裏面である。ルーズリーフ用紙S1を正面105側から眺めて左側に綴じ孔側辺103が配置され、右側に自由端辺104が配置されている。ルーズリーフ用紙S1は、綴じ孔側辺103に沿って複数の綴じ孔が配列している。また、ルーズリーフ用紙S1の正面105および裏面106には、罫線などが印刷されていてもよい。
【0080】
ルーズリーフ用紙S1は、当該ルーズリーフ用紙S1の上下方向における中央位置に配置された折り込み線107を有している。折り込み線107は、ルーズリーフ用紙S1の横幅方向に沿って全幅範囲に亘って延在しており、ルーズリーフ用紙S1の平面を上側領域108および下側領域109に区分けしている。折り込み線107は、綴じ孔側辺103および自由端辺104と直交する方向に伸び、かつ、上辺101および下辺102と平行に延在している。このように形成されるルーズリーフ用紙S1は、折り込み線107を境に上側領域108および下側領域109が互いに対向するように相対回動が可能である。すなわち、ルーズリーフ用紙S1は、折り込み線107を境に二つ折りにすることができる。
【0081】
次に、ルーズリーフ用紙S1の綴じ孔側辺103に沿って配列された複数の綴じ孔について説明する。ルーズリーフ用紙S1の下側領域109には、綴じ孔側辺103に沿って4個の綴じ長孔111が配列している。各綴じ長孔111は、バインダー1における第1綴じ具20Aの各綴環部23を挿通するために形成されている。ルーズリーフ用紙S1の上側領域108には、綴じ孔側辺103に沿って4個の綴じ長孔112が配列している。各綴じ長孔112は、バインダー1における第2綴じ具20Bの各綴環部24を挿通するために形成されている。なお、ルーズリーフ用紙S1の綴じ孔側辺103には、綴じ長孔111群と綴じ長孔112群の間に、円形状を有する円形綴じ孔113,114が7個ずつ配置されている。円形綴じ孔113はルーズリーフ用紙S1の下側領域109に配置され、円形綴じ孔114はルーズリーフ用紙S1の上側領域108に配置されている。但し、本実施形態のルーズリーフ用紙S1において、円形綴じ孔113,114は設けられていなくてもよい。
【0082】
ルーズリーフ用紙S1は、下側領域109における各綴じ長孔111と上側領域108における各綴じ長孔112が折り込み線107に対して線対称に配置されている。また、下側領域109における各円形綴じ孔113と上側領域108における各円形綴じ孔114も折り込み線107に対して線対称に配置されている。符号E1は、各綴じ長孔111
,112における上下方向における内端であり、符号E2は、各綴じ長孔111,112における上下方向における外端である。各綴じ長孔111,112における内端E1は、折り込み線107に近い方の端部である。各綴じ長孔111,112における外端E2は、折り込み線107に遠い方の端部である。本実施形態において、各綴じ長孔111,112の長軸L2は、綴じ孔側辺103に対して傾斜している。より具体的には、各綴じ長孔111,112は、外端E2が内端E1よりも綴じ孔側辺103に対して近い位置に配置されるように綴じ孔側辺103に対して長軸L2が傾斜している。なお、本実施形態においては、被綴じ物の一例としてルーズリーフ用紙S1を開示しているが、ルーズリーフ用紙S1と同様な綴じ長孔111,112および折り込み線107を有する樹脂フィルム製のクリアポケットをバインダー1に綴じ込むようにしてもよい。
【0083】
[中敷きシート]
次に、
図22を参照して、バインダー1に綴じられる中敷きシートS2について説明する。中敷きシートS2は、平面視略矩形状を有する紙製シート材であり、バインダー1に適合するサイズを有している。中敷きシートS2は、横幅方向に伸びる上辺121および下辺122、上下方向(高さ方向)に伸びる綴じ孔側辺123および自由端辺124によって外形が画定されている。中敷きシートS2の上辺121および下辺122は平行に伸びており、互いに等しい寸法を有している。また、綴じ孔側辺123および自由端辺124は平行に伸びており、互いに等しい寸法を有している。図中の符号125は中敷きシートS2の正面である。中敷きシートS2を正面125側から眺めて左側に綴じ孔側辺123が配置され、右側に自由端辺124が配置されている。
【0084】
中敷きシートS2は、当該中敷きシートS2の上下方向における中央位置に配置された折り込み線127を有している。折り込み線127は、中敷きシートS2の横幅方向に沿って全幅範囲に亘って延在しており、中敷きシートS2の平面を上側領域128および下側領域129に区分けしている。折り込み線127は、綴じ孔側辺123および自由端辺124と直交する方向に伸び、かつ、上辺121および下辺122と平行に延在している。このように形成される中敷きシートS2は、折り込み線127を境に上側領域128および下側領域129が互いに対向するように相対回動が可能である。すなわち、中敷きシートS2は、折り込み線127を境に二つ折りにすることができる。
【0085】
中敷きシートS2は、綴じ孔側辺123に沿って複数の綴じ孔が配列されている。中敷きシートS2の下側領域129には、綴じ孔側辺123に沿って4個の綴じ長孔131が配列している。各綴じ長孔131は、バインダー1における第1綴じ具20Aの各綴環部23を挿通するために形成されている。中敷きシートS2の上側領域128には、綴じ孔側辺123に沿って4個の綴じ長孔132が配列している。各綴じ長孔132は、バインダー1における第2綴じ具20Bの各綴環部24を挿通するために形成されている。
【0086】
中敷きシートS2は、下側領域129における各綴じ長孔131と上側領域128における各綴じ長孔132が折り込み線127に対して線対称に配置されている。また、中敷きシートS2における各綴じ長孔131,132の軸線は、綴じ孔側辺123と平行に延伸している。なお、符号E1は、各綴じ長孔131,132における上下方向における内端であり、符号E2は、各綴じ長孔131,132における上下方向における外端である。各綴じ長孔131,132における内端E1は、折り込み線127に近い方の端部である。各綴じ長孔131,132における外端E2は、折り込み線127に遠い方の端部である。また、符号L3は、各綴じ長孔131,132の軸線である。各綴じ長孔131,132の長軸L3は、綴じ孔側辺123と平行に延伸している。
【0087】
以上のように構成されるバインダー1 表紙体10、内側カバー体30、およびバインダー1に綴じられる被綴じ物としてのルーズリーフ用紙S1および中敷きシートS2の全
てが二つ折りに畳み込むことができる。これにより、
図1に示す展開状態と
図2に示す二つ折り状態との間でバインダー1の姿勢を自在に変更することができる。従って、バインダー1に綴じたルーズリーフ用紙S1への筆記や、ルーズリーフ用紙S1の着脱を行う際には、バインダー1を展開し、平面視における大きさが大きい状態で使用することができ、使い勝手がよい。一方、バインダー1を使用しないときには二つ折りにすることでバインダー1の平面視における大きさをコンパクトにすることで、バインダー1を持ち運ぶ際における利便性が向上する。また、バインダー1を鞄等に収容する際においても、鞄の内部が嵩張ることを抑制できる。すなわち、本実施形態におけるバインダー1によれば、使用する際の利便性と使用しないときの利便性の双方に優れている。
【0088】
また、バインダー1を構成する各部の特徴について言及すると、バインダー1における綴じ具20(第1綴じ具20A、第2綴じ具20B)における第1ベース部21および第2ベース部22は、表紙体10の綴じ具固定端縁13に沿って表紙ヒンジ部17を跨がないように配置されている。これによれば、バインダー1(表紙体10)を二つ折りにする際、第1ベース部21および第2ベース部22が添え棒のように機能することを回避し、表紙ヒンジ部17を中心としてバインダー1を円滑に折り畳むことが可能となる。
【0089】
また、表紙体10の表紙ヒンジ部17、内側カバー体30の第1カバーヒンジ部33、ルーズリーフ用紙S1の折り込み線107、および中敷きシートS2の折り込み線127を、これらの上下方向(高さ方向)における中央位置に配置するようにしたので、二つ折り状態にしたときにバインダー1の平面視における大きさを最もコンパクトにすることができる。
【0090】
また、バインダー1の綴じ具20は、表紙体10の高さ中央線L1から各綴環部23,24までの綴環離間寸法を上述したように定めることで、バインダー1を二つ折りにする際に、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23の上面236と第2綴じ具20Bにおける各綴環部24の上面246とが互いに衝突することを抑制することができる。その結果、バインダー1における上側表紙部15および下側表紙部16が十分に対向して接近した姿勢までしっかりと折り畳むことが可能となる。すなわち、バインダー1を二つ折り状態にした際に、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23と第2綴じ具20Bの各綴環部24とが互いに干渉することなく、これらを互い違いに配置することができる。その結果、バインダー1における上側表紙部15および下側表紙部16が重なり合うようにバインダー1を確りと折り畳むことが可能となる。
【0091】
更に、バインダー1の綴じ具20によれば、バインダー1(表紙体10)を展開状態から二つ折り状態に切り替えた際に、第1綴じ具20Aの第3綴環部23Cと第2綴じ具20Bの第3綴環部24Cとを相互に係合させることでバインダー1(表紙体10)を二つ折り状態に維持する係合手段としての係合部233を備えている。これによれば、バインダー1を二つ折りにする際、第1綴じ具20Aの第3綴環部23Cに突設されている係合部233を、第2綴じ具20Bにおける第3綴環部24Cの裏面側に係合部233を潜り込ませ、第3綴環部23Cの裏面部Pb(
図16を参照)に係合部233を係合させることができる。その結果、バインダー1の表紙体10が二つ折り状態に維持されるように簡易的にロックすることができる。これにより、バインダー1の姿勢を二つ折り状態に保持することが可能となり、バインダー1の使用者の意思に反してバインダー1が勝手に展開されてしまうことを好適に抑制できる。すなわち、バインダー1を二つ折り状態として持ち運んでいる最中や鞄などの内部で勝手にバインダー1が展開されてしまうことを抑制できる。
【0092】
特に、本実施形態においては、バインダー1(表紙体10)を二つ折り状態に維持するための係合手段を、第1綴じ具20A側における綴環部23と、第2綴じ具2B側におけ
る綴環部24との噛み合いによって実現するようにしたので製造コストの観点からも有利であり、費用対効果に優れている。また、上記係合部233によれば、バインダー1を二つ折りにする所作だけで、自動的に第3綴環部23Cに設けられた係合部233が第3綴環部24Cにおける裏面部Pbに係合させることができるため、バインダー1を二つ折り状態にロックするためだけの特別な所作を使用者に強いることがなく、使用者にとって使い勝手の優れたバインダー1を提供することができる。但し、本実施形態における係合手段は係合部233の具体的態様に限定されず、種々の態様を採用することができる。
【0093】
なお、上記実施形態では、第1綴じ具20Aの綴環部23に係合部233を形成したがこれには限定されない。例えば、第2綴じ具20Bにおける綴環部24側に係合部233を設けてもよい。その場合には、第2綴じ具20Bにおける綴環部24の外側面244側に係合部233を設けるとよい。例えば、第2綴じ具20Bにおける第3綴環部24Cの外側面244側に係合部233を形成することで、バインダー1を二つ折りにする際、第1綴じ具20Aにおける第3綴環部23Cの裏側に係合部233を潜り込ませ、容易に係合させることができる。勿論、係合部233を形成する対象は、第3綴環部23Cや第3綴環部24Cに限られるものではなく、他の綴環部23,24に形成してもよい。また、
複数の綴環部23,24に係合部233を形成してもよい。複数の綴環部23,24に係合部233を形成することで、バインダー1を二つ折り状態に保持するロック機能をより一層高めることができる。さらに、バインダー1を二つ折りにする際に対向する位置関係にある綴環部23と綴環部24とにそれぞれ係合部233を形成し、一方の係合部233の裏側に他方係合部233を潜り込ませて係合させるようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施形態においては、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23の綴環離間寸法Db1~Db4を、第2綴じ具20Bにおける各綴環部24の綴環離間寸法Du1~Du4よりも綴環幅Wrだけ大きな寸法に設定する例を説明したが、綴環離間寸法Db1~Db4を綴環離間寸法Du1~Du4に比べて綴環幅Wr以上大きくすればよい。これにより、バインダー1を二つ折りにする際、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23の上面236と第2綴じ具20Bにおける各綴環部24の上面246同士が衝突することを好適に抑制し、綴環部23と綴環部24を互い違いに配置することができる。
【0095】
ところで、展開状態のバインダー1を二つ折りにする際、例えば使用者が表紙体10の上側表紙部15および下側表紙部16を閉じることで、これらの内側に配置されている中敷きシートS2、ルーズリーフ用紙S1およびカバー本体部34等が連動して順次折り込まれることになる。ここで、バインダー1が展開状態にあるときには、
図24に模式的に示すように、表紙体10の内面10a上には、中敷きシートS2、ルーズリーフ用紙S1およびカバー本体部34等の各シート材が積層されている。
図24は、展開状態におけるバインダー1の表紙体10に積層された各シート材の積層状態を模式的に示す図である。図示のように、表紙体10に積層された中敷きシートS2、ルーズリーフ用紙S1およびカバー本体部34等の各シート材は、これらが二つに折り込まれる際の回動中心となる折り込み線127、折り込み線107、および第1カバーヒンジ部33は、シート積層方向における位置が、各シート材の厚みの分だけシート積層方向上方に向けて順次離れた位置に配置されることになる。このように、回動中心が表紙体10の内面10aから積層方向に離れた状態で表紙体10の内面10a上に積層された中敷きシートS2、ルーズリーフ用紙S1およびカバー本体部34が二つに折り込まれると、これら各シート材の表紙体10に対する相対位置関係に変化が生じることになる。
【0096】
例えば、中敷きシートS2が折り込み線127を中心として上側領域128と下側領域129が相対回動しながら折り込まれる際には、その折込み過程において表紙体10の上側表紙部15に対して中敷きシートS2の上側領域128が綴じ具固定端縁13に沿って且つ高さ中央線L1から遠ざかる方向(以下、「高さ中心線離反方向」という)に向かっ
て相対的にスライドしようとし、表紙体10の下側表紙部16に対して中敷きシートS2の下側領域129が高さ中心線離反方向に向かって相対的にスライドしようとする。
【0097】
これに対して、本実施形態におけるバインダー1に綴じられる中敷きシートS2における各綴じ長孔131,132は、綴じ孔側辺123に沿って延伸している。そのため、綴じ具20の各綴環部23,24を各綴じ長孔131,132に挿通させた状態においても、中敷きシートS2における上側領域128が上側表紙部15に対して高さ中心線離反方向に相対移動すること、および下側領域129が下側表紙部16に対して高さ中心線離反方向に相対移動することがそれぞれ許容され、中敷きシートS2を円滑に二つ折りにすることができる。言い換えると、本実施形態における中敷きシートS2は綴じ孔側辺123に沿って延伸する綴じ長孔131,132を有していることで、各綴環部23,24が各綴じ長孔131,132の縁に干渉することを抑制しつつ、折り込み線127を境にして中敷きシートS2を円滑に二つ折りにすることができる。
【0098】
なお、バインダー1の各綴環部23,24と中敷きシートS2における各綴じ長孔131,132との関係は、バインダー1が展開状態にあるときに、各綴じ長孔131,132の外端E2側に各綴環部23,24が近接して配置されていることが好ましい。このようにすることで、バインダー1が展開状態にあるときに、バインダー1(表紙体10)の上下方向への中敷きシートS2の遊びが小さく、中敷きシートS2が綴じ具固定端縁13に沿ってがたつき難くなる。また、バインダー1の表紙体10に伴って中敷きシートS2が二つに折り畳まれる際に、各綴環部23,24が各綴じ長孔131,132の内端E1側に向かって相対移動しても、予め上記位置関係としておくことで各綴じ長孔131,132に挿通した各綴環部23,24が内端E1に衝突しないように十分なスライドストロークを確保し易い。
【0099】
また、ルーズリーフ用紙S1においても、折り込み線107を中心として上側領域108および下側領域109が相対回動することで折り込まれる際、その折込み過程において表紙体10の上側表紙部15に対してルーズリーフ用紙S1の上側領域108が高さ中心線離反方向に向かって相対的にスライドしようとし、表紙体10の下側表紙部16に対してルーズリーフ用紙S1の下側領域109が高さ中心線離反方向に向かって相対的にスライドしようとする。これに対して、本実施形態におけるバインダー1に綴じられるルーズリーフ用紙S1における各綴じ長孔111,112が綴じ孔側辺123に沿って延伸している。そのため、綴じ具20の各綴環部23,24を各綴じ長孔111,112に挿通させた状態においても、ルーズリーフ用紙S1における上側領域108が上側表紙部15に対して高さ中心線離反方向に相対移動すること、および下側領域109が下側表紙部16に対して高さ中心線離反方向に相対移動することがそれぞれ許容され、ルーズリーフ用紙S1を円滑に二つ折りにすることができる。言い換えると、本実施形態におけるルーズリーフ用紙S1は綴じ孔側辺103に沿って延伸する綴じ長孔111,112を有していることで、各綴環部23,24が各綴じ長孔111,112の縁に干渉することを抑制しつつ、折り込み線107を境にしてルーズリーフ用紙S1を円滑に二つ折りにすることができる。なお、本実施形態におけるルーズリーフ用紙S1は、各綴じ長孔111,112の外端E2が内端E1よりも綴じ孔側辺103に対して近接するように綴じ孔側辺103に対して長軸L2を傾斜させている。これによれば、ルーズリーフ用紙S1を円滑に二つ折りにする際に、綴じ具20における各綴環部23,24が各綴じ長孔111,112の縁に干渉することを、より一層好適に抑制することができる。
【0100】
なお、バインダー1の各綴環部23,24とルーズリーフ用紙S1における各綴じ長孔111,112との関係は、バインダー1が展開状態にあるときに、各綴じ長孔111,112の外端E2側に各綴環部23,24が近接して配置されていることが好ましい。このようにすることで、バインダー1が展開状態にあるときに、バインダー1(表紙体10
)の上下方向へのルーズリーフ用紙S1の遊びが小さく、ルーズリーフ用紙S1が綴じ具固定端縁13に沿ってがたつき難くなる。また、バインダー1の表紙体10に伴ってルーズリーフ用紙S1が二つに折り畳まれる際に、各綴環部23,24が各綴じ長孔111,112の内端E1側に向かって相対移動しても、予め上記位置関係としておくことで各綴じ長孔111,112に挿通した各綴環部23,24が内端E1に衝突しないように十分なスライドストロークを確保し易い。
【0101】
また、カバー本体部34においても、第1カバーヒンジ部33を中心として上側カバー領域部31および下側カバー領域部32が相対回動することで折り込まれる際、その折込み過程において表紙体10の上側表紙部15に対して上側カバー領域部31が高さ中心線離反方向に向かって相対的にスライドしようとし、表紙体10の下側表紙部16に対して下側カバー領域部32が高さ中心線離反方向に向かって相対的にスライドしようとする。これに対して、本実施形態における内側カバー体30は、互いに独立した一対の第1カバー取付部35Aおよび第2カバー取付部35Bを有し、第1カバー取付部35Aを表紙体10における綴じ具固定端縁13に沿って所定範囲でスライド自在に上側表紙部15に取り付け、第2カバー取付部35Bを綴じ具固定端縁13に沿って所定範囲でスライド自在に下側表紙部16に取り付けるようにした。より具体的には、第1カバー取付部35Aは、綴じ具固定端縁13に沿って延在する第1スライド長孔353Aを有し、第1スライド長孔353Aに受け入れられると共に上側表紙部15に固定された第1係合片101Aを当該第1スライド長孔353Aに沿って相対変位させることにより上側表紙部15に対してスライド可能とし、第2カバー取付部35Bは、綴じ具固定端縁13に沿って延在する第2スライド長孔353Bを有し、第2スライド長孔353Bに受け入れられると共に下側表紙部16に固定された第2係合片101Bを当該第2スライド長孔353Bに沿って変位させることで下側表紙部16に対してスライド可能とした。
【0102】
これによれば、表紙体10の上側表紙部15に固定された第1係合片101Aに対する第1スライド長孔353Aの相対位置を変化させつつ高さ中心線離反方向、すなわち上側カバー領域部31の上縁341が上側表紙部15における上縁11に接近する方向に第1カバー取付部35Aを上側表紙部15に対して相対変位させることが許容される。これにより、カバー本体部34における上側カバー領域部31を上側表紙部15に対して中心線離反方向に相対変位させることができる。同様に、第2カバー取付部35Bにおいても、表紙体10の下側表紙部16に固定された第2係合片101Bに対する第2スライド長孔353Bの相対位置を変化させつつ高さ中心線離反方向、すなわちカバー本体部34における下側カバー領域部32の下縁342が下側表紙部16における下縁12に接近する方向に第2カバー取付部35Bを下側表紙部16に対して相対変位させることが許容される。これにより、カバー本体部34における下側カバー領域部32を下側表紙部16に対して中心線離反方向に相対変位させることができる。その結果、使用者が表紙体10の上側表紙部15および下側表紙部16の二つ折り動作に連動して、第1カバーヒンジ部33を境にカバー本体部34を円滑に二つ折りにすることができる。
【0103】
ここで、表紙体10の上側表紙部15に固定された第1係合片101Aと第1カバー取付部35Aにおける第1スライド長孔353Aとの関係は、バインダー1が展開状態にあるときに、第1スライド長孔353Aの上下方向における外端(高さ中央線L1から遠い方の端部)側に各綴環部24が近接して配置されていることが好ましい。また、表紙体10の下側表紙部16に固定された第2係合片101Bと第2カバー取付部35Bにおける第2スライド長孔353Bとの関係は、バインダー1が展開状態にあるときに、第2スライド長孔353Bの上下方向における内端(高さ中央線L1に近い方の端部)側に各綴環部23が近接して配置されていることが好ましい。このようにすることで、バインダー1が展開状態にあるときに、バインダー1(表紙体10)の上下方向へのカバー本体部34の遊びが小さく、カバー本体部34が綴じ具固定端縁13に沿ってがたつき難くなる。ま
た、バインダー1の表紙体10に伴ってカバー本体部34が二つに折り畳まれる際、第1スライド長孔353Aの内端側に向かって相対移動する第1係合片101Aのスライドストロークを十分に確保することができる。同様に、第2スライド長孔353Bの内端側に向かって相対移動する第2係合片101Bのスライドストロークを十分に確保することができる。これにより、使用者がバインダー1を展開状態から二つ折り状態に切り替える際に、第1カバーヒンジ部33を境にカバー本体部34を円滑に二つ折りにすることができる。
【0104】
また、内側カバー体30における綴環挿入開口37B,37Aと各綴環部23,24との関係は、バインダー1が展開状態にあるときに、各綴環挿入開口37B,37Aにおける上下方向における外端(高さ中央線L1から遠い方の端部)側に各綴環部23,24が近接して配置されていることが好ましい。このようにすることで、バインダー1の表紙体10に伴って内側カバー体30のカバー本体部34が二つに折り畳まれる際に、各綴環部23,24が各綴環挿入開口37B,37Aの内端側に向かって相対移動しても、各綴環挿入開口37B,37Aに挿通した各綴環部23,24が内端に衝突しないように十分なスライドストロークを確保することができる。
【0105】
なお、上記のようにカバー本体部34を二つ折りにする際、カバー本体部34における第1カバー取付部35A、第2上側カバーヒンジ部36Aおよび上側カバー領域部31が一体的に表紙体10の上側表紙部15に対して高さ中心線離反方向に相対変位する。また、カバー本体部34における第2カバー取付部35B、第2下側カバーヒンジ部36Bおよび下側カバー領域部32が一体的に表紙体10の上側表紙部15に対して高さ中心線離反方向に相対変位する。これに対し、内側カバー体30における第2上側カバーヒンジ部36Aおよび第2下側カバーヒンジ部36Bはそれぞれ独立して設けられているため、上側カバー領域部31および下側カバー領域部32における高さ中心線離反方向へのそれぞれのスライド動作がより一層円滑なものとなる。
【0106】
また、内側カバー体30におけるカバー本体部34が折り畳まれる際には、上側表紙部15に対して上側カバー領域部31(第1カバー取付部35A)が高さ中心線離反方向に相対変位することに起因して、上側表紙部15に固定されている第2綴じ具20Bの各綴環部24と綴環挿入開口37Aとの綴じ具固定端縁13に沿った相対位置関係が変化する。同様に、下側表紙部16に対して下側カバー領域部32(第2カバー取付部35B)が高さ中心線離反方向に相対変位することに起因して、下側表紙部16に固定されている第1綴じ具20Aの各綴環部23と綴環挿入開口37Bとの綴じ具固定端縁13に沿った相対位置関係も変化する。これに対して、本実施形態の内側カバー体30においては、各綴環挿入開口37A,37Bにおける綴じ具固定端縁13に沿った方向の上下寸法(高さ寸法)を、第1カバー取付部35Aおよび第2カバー取付部35Bが綴じ具固定端縁13に沿ってスライドした際に各綴環挿入開口37A,37Bの縁が各綴環部23,24と干渉(衝突)しないように定めるようにした。このように各綴環挿入開口37A,37Bの上下寸法を調整することで、内側カバー体30におけるカバー本体部34を二つ折りにする際に、各綴環挿入開口37A,37Bの縁が各綴環部23,24と衝突することが抑制され、円滑な二つ折り動作が可能となる。
【0107】
次に、本実施形態に係る綴じ具20における綴環部23,24の開放姿勢維持機構について説明する。
図25は、実施形態1に係る第2綴じ具20B(第2ベース部22)における第2基部26の斜視図である。
【0108】
第2基部26の軸部260には、被係止部として一組の被係止
側凸部27,27が設けられている。被係止
側凸部27,27は、第2基部26における軸部260の表面から突出して設けられており、第2基部26の長手方向(軸方向)に直交する横断面が略三角形状を有している。
図25に示す例では、被係止
側凸部27,27が軸部260における第1端部領域260aおよび中央領域260cの間と、第2端部領域260bおよび中央領域260cの間にそれぞれ配設されている。
【0109】
図26は、実施形態1に係る被係止
側凸部27が形成されている位置に対応する第2基部26の横断面図である。
図26には、軸部260の横断面を破線で示している。また、被係止
側凸部27が形成されている位置における第2基部26の横断面には、被係止
側凸部27と異なる位置において軸部260から突出するストッパー凸部28が設けられている。
図26に示すように、被係止
側凸部27は、第2基部26における上面26aおよび外側面26bを基準として軸部260から内側斜め下方に向けて突出しており、ストッパー凸部28は、第2基部26における上面26aおよび外側面26bを基準として軸部260から方に向けて突出している。
【0110】
図27は、実施形態1に係る第2綴じ具20B(第2ベース部22)における第1基部25の斜視図である。
図28は、
図27の一部拡大図である。第1基部25には、一組の
係止部29,29が設けられている。ここで、係止部29,29は、第1基部25の長手方向(軸方向)における第1端部軸受け部250Aおよび中央軸受け部250Cの間と、第2端部軸受け部250Bおよび中央軸受け部250Cの間にそれぞれ配設されている。第1基部25に第2基部26が装着された状態においては、
図13に示すように、第1ベース部21の長手方向(軸方向)において第1基部25側の係止部29,29と第2基部26側の被係止
側凸部27,27とがそれぞれ対応する位置に配置されるようになっている。
【0111】
本実施形態における第1綴じ具20Aにおいて、第1基部25の各係止部29,29は、被係止側凸部27,27と協働して開放姿勢維持機構を形成している。具体的には、第2綴じ具20B(第2ベース部22)における第1基部25および第2基部26同士が各半割環部231,232を上述した閉鎖位置から開放位置に切り替える方向に相対回動変位する過程で、各被係止側凸部27,27が対応する各係止部29,29にそれぞれ係止され、各被係止側凸部27,27が対応する各係止部29,29に係止されている状態で第2綴じ具20Bの各半割環部231,232が開放位置に維持されるように構成されている。
【0112】
ここで、
図29は、係止部29が形成されている位置に対応する第1基部25の横断面図である。第1基部25の各係止部29,29は、横断面視において略L字形状を有し、L字形状に連結される上板部291および外側板部292を含んでいる。なお、上板部291の外面は上面25aの一部を形成し、外側板部292の外面は外側面25bの一部を形成している。
【0113】
係止部29は、上板部291および外側板部292の裏面(内面)側に形成された係止側凹部293、当該係止側凹部293に連設された係止側凸部294、ストッパー壁部295等を含む。係止側凹部293は、上板部291および外側板部292が連結される入隅部に位置付けられている。係止側凸部294は、外側板部292の裏面292aが他の部位よりも隆起することで形成された凸領域であり、係止側凹部293に連続して設けられている。また、外側板部292のうち、上板部291との接続端部と反対側の自由端部側にストッパー壁部295が形成されている。ストッパー壁部295は、外側板部292における裏面292aの一部によって形成されている。また、係止部29における外側板部292の裏面側領域において、係止側凸部294に対して係止側凹部293と反対側に隣接する領域を係止解除領域296と呼ぶ。
【0114】
図30は、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が開放状態となっているときの被係止
側凸部27と係止部29との関係を示す図である。
図31は、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が閉鎖状態となっているときの被係止
側凸部27と係止部29との関係を示す図である。
図31に示すように、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が閉鎖状態、すなわち各半割環部231,232の先端部同士が互いに近接して円環形状を形成する閉鎖位置にある状態では、第2基部26の軸部260の表面から突出する被係止
側凸部27が、第1基部25における係止部29の係止解除領域296に受け入れられることで遊嵌されている。そして、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23を閉鎖状態から開放状態に切り替える際には、上記のように軸部260が第1方向D1に回動することで、第1基部25と第2基部26とが相対回動変位をなす。その際、第2基部26の軸部260と一体に設けられた被係止
側凸部27と第1基部25側に設けられた係止部29との位置関係が
図31に示す状態から
図30に示す状態に変化する。
【0115】
すなわち、第2基部26の軸部260と一体に設けられた被係止
側凸部27が、例えばその弾性によって撓みつつ係止部29における係止側凸部294を乗り越え、係止解除領
域296側から係止側凹部293側に移動する。
図30に示すように、第2基部26における係止側凹部293が係止部29における係止側凹部293に位置付けされている状態では、第2綴じ具20Bの半割環部231,232の先端部が開放された状態になっている。また、
図30に示すように開放位置にある各半割環部231,232を閉鎖する場合には、使用者は、各半割環部231,232を指で把持するなどしてこれらを閉鎖する方向に押圧する。その結果、被係止
側凸部27が撓みを伴いながら係止側凸部294を乗り越えつつ軸部260が第1方向D1と反対側の第2方向D2に回動し、被係止
側凸部27が係止解除領域296に移動することで、半割環部231,232の先端部が閉鎖姿勢となる。
【0116】
ここで、被係止側凸部27と係止側凸部294との関係は、使用者が適度の力を加える場合には被係止側凸部27が係止側凸部294を乗り越えることができるが、各半割環部231,232の自重や、バインダー1に振動が加えられただけでは、被係止側凸部27が係止側凸部294を乗り越えることができないように調整されている。そのため、被係止側凸部27が係止部29の係止側凹部293に受け入れられた状態では、被係止側凸部27が係止側凸部294に係止されている状態ということができ、この状態において第2綴じ具20Bの各半割環部231,232(綴環部23)を開放位置に維持することができる。
【0117】
また、
図30に示すように、被係止
側凸部27と係止側凹部293とは相補的な形状および大きさを有しており、係止側凹部293に被係止
側凸部27が受け入れられた状態において、被係止
側凸部27の第1側面27aが係止側凸部294に当接すると共に被係止
側凸部27の第2側面27bが上板部291の内面に当接した状態となっている。これによれば、被係止
側凸部27を係止側凹部293内でがたつくことなく位置決めすることができる。その結果、第2綴じ具20Bの各半割環部231,232の姿勢にがたつきを生じさせることなく開放位置に維持できる。更に、本実施形態においては、第1綴じ具20Aにおける各綴環部23が閉鎖状態から開放状態に切り替えられる際、係止部29の係止側凹部293に被係止
側凸部27が受け入れられた時点で軸部260に突設されたストッパー凸部28が係止部29のストッパー壁部295に当接し、それ以上、軸部260が第1方向D1に回動しないように軸部260の回動を規制する。これにより、第1基部25における軸受け部250から軸部260が脱落するなどといった不都合を抑制できる。
【0118】
なお、
図25~
図31を参照して説明した第1基部25における係止部29と、第2基部26における被係止
側凸部27によって構成される開放姿勢維持機構は、第2綴じ具20Bにおける第1基部25および第2基部26にも備えられている。第2綴じ具20Bにおける開放姿勢維持機構(被係止
側凸部27、係止部29)については第1綴じ具20Aと同様であるため、繰り返しの説明は割愛する。
【0119】
以上のように、本実施形態における綴じ具20(第1綴じ具20A,第2綴じ具20B)は、第1基部25および第2基部26同士が各半割環部231,232(241,242)を閉鎖位置から開放位置に切り替える方向に相対回動変位する過程で、被係止側凸部27が係止部29に係止され、被係止側凸部27を係止部29に係止させている状態で各半割環部231,232(241,242)を開放位置に維持することが可能となる。これによれば、使用者がバインダー1における綴環部23,24を開放した後、その綴環部23,24にルーズリーフ用紙S1を綴じ込んでいる最中に綴環部23,24が不用意に閉鎖されてしまうことがなく、使い勝手が優れている。
【0120】
また、第1綴じ具20Aおよび第2綴じ具20Bにおいて、軸受け部250を有する第1基部25側に係止部29を配設し、軸部260を有する第2基部26側に被係止側凸部27を配設するようにした。ここで、軸部260の表面に対して被係止側凸部27を凸設する場合と、軸部260に係止側凹部293および係止側凸部294を含む係止部29を形成する場合を比較すると、前者の方が製造適性の観点から優れている。但し、第1綴じ具20Aおよび第2綴じ具20Bにおいて、第1基部25側に被係止側凸部27を配設し、第2基部26の軸部260に係止側凹部293および係止側凸部294を含む係止部29を配設してもよい。また、第1綴じ具20Aおよび第2綴じ具20Bにおいて、バインダー1の表紙体10に固定される第1基部25側に軸部260を配設し、第1基部25に装着される第2基部26側に軸受け部250を配設してもよい。
【0121】
以上、本発明に係るリング式綴じ具およびそれを備えた綴じ具付きバインダー(ファイル)の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0122】
例えば、本実施形態における綴じ具20は、バインダー1における表紙体10の上側表紙部15および下側表紙部16にそれぞれ第1綴じ具20Aおよび第2綴じ具20Bを配置する例を説明したが、これらの数についても特に限定されない。また、本実施形態においては、綴じ具20を展開状態と二つ折り状態に切り替え可能なバインダー1に適用する場合を例に説明したが、これには限定されない。例えば、一般的な表紙体、すなわち表表紙、裏表紙、およびこれを連結する背表紙からなる表紙体に対して本実施形態に係る綴じ具20を取り付けてもよい。この場合、表紙体の背表紙に沿って単一の綴じ具20を延在させてもよい。また、背表紙を備えていないバインダーに本実施形態に係る綴じ具20を適用してもよい。このように、本実施形態における綴じ具20は、種々の形態を有するバインダーに適用することができる。
【符号の説明】
【0123】
1・・・バインダー
10・・・表紙体
20・・・綴じ具
23,24・・・綴環部
25・・・第1基部
26・・・第2基部
27・・・被係止側凸部
29・・・係止部
30・・・内側カバー体
S1・・・ルーズリーフ用紙
S2・・・中敷きシート