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  • 特許-車両充電装置 図1
  • 特許-車両充電装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】車両充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231013BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231013BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H01M10/44 P
H02J7/00 303C
H02J7/34 C
H02J7/34 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019168613
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021048667
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 成実
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】河合 智成
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝資
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-007908(JP,A)
【文献】特開2013-121279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0069970(US,A1)
【文献】特開2012-196028(JP,A)
【文献】特開2012-253952(JP,A)
【文献】国際公開第2012/066651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/34
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された交流電力を車両充電のための直流に変換する電力変換部、及び外部からの制御信号を受けて前記電力変換部の出力電力を制御する出力制御部を備えた急速充電器と、
商用電力を直流変換するAC/DC変換器と、
当該AC/DC変換器の出力と蓄電池の出力とを合わせて交流変換して、前記急速充電器に供給するDC/AC変換器と、
前記蓄電池の充放電を制御すると共に、前記急速充電器の出力制御部に制御信号を出力する蓄電池制御部と、を有し、
前記蓄電池制御部は、前記急速充電器が前記商用電力と前記蓄電池との双方の電力より車両を充電している最中に、前記蓄電池の蓄電容量が第1の所定量を下回ったら、前記急速充電器の出力電力を前記商用電力の契約電力より小さい所定の電力に変更し、前記商用電力の一部電力により前記蓄電池の充電を行うことを特徴とする車両充電装置。
【請求項2】
前記蓄電池制御部は、前記蓄電池が充電されて蓄電容量が前記第1の所定量より多い第2の所定量に達したら、前記急速充電器の出力制限を解除すると共に、前記蓄電池の充電を終了して電力の供給を実施させることを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EV等の蓄電池を備えた車両の急速充電を可能とする車両充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EVやPHV等の蓄電池を備えた車両の普及に伴い、この車両を充電する充電スタンドの普及が進んでいる。このような充電スタンドでは、短時間での充電を可能とするため急速充電器が使用されるが、急速充電器には大きな電流が通電されるため、この能力を十分発揮させるには、電力会社との契約電力を大きな容量に変更する必要があった。
例えば、50kWから100kWと大きくする場合は、受電設備全体を変更する必要があり、大きな設備費用が発生するため、容易に実施できるものではなかった。
そのため、契約電力の変更や大きな設備投資をすること無く、急速充電を可能とするシステムが提案されている。例えば特許文献1では、商用電力以外の電源として蓄電池を設置し、商用電力と蓄電池の充電電力の双方を合わせて供給することで、契約電力を大きくする事無く急速充電を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5857218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のシステムは、車両の急速充電が可能であるが、直流変換された商用電力と蓄電池からのDC出力を、EV用DC/DCコンバータから成る結合部で合算してDC出力する構成であるため、AC入力を基本とする汎用の急速充電器が使用できなかった。
そのため、既存の充電設備に蓄電池を接続して急速充電する機能を付加しようした場合、急速充電器を含むシステム全体を交換しなければ成らず、結局大きな設備費用が発生した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、契約電力を大きくする事無く急速充電を実現でき、且つ汎用の急速充電器を使用できる車両充電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、入力された交流電力を車両充電のための直流に変換する電力変換部、及び外部からの制御信号を受けて電力変換部の出力電力を制御する出力制御部を備えた急速充電器と、商用電力を直流変換するAC/DC変換器と、当該AC/DC変換器の出力と蓄電池の出力とを合わせて交流変換して、急速充電器に供給するDC/AC変換器と、蓄電池の充放電を制御すると共に、急速充電器の出力制御部に制御信号を出力する蓄電池制御部とを有し、蓄電池制御部は、急速充電器が商用電力と蓄電池との双方の電力より車両を充電している最中に、蓄電池の蓄電容量が第1の所定量を下回ったら、急速充電器の出力電力を商用電力の契約電力より小さい所定の電力に変更し、商用電力の一部電力により蓄電池の充電を行うことを特徴とする。
この構成によれば、商用電力と蓄電池の双方の電力で車両を急速充電する構成であっても、交流電力が入力される汎用の急速充電器を使用できる。それでいて、蓄電池の充電残量が僅かとなったら、急速充電器の出力を商用電力の契約電力より小さい電力まで削減するため、蓄電池の出力が停止しても商用電力の使用量が契約電力を超えることが無い。加えて、蓄電池の充電残量が僅かとなったら商用電力の一部電力を蓄電池の充電に回すため、車両の充電と蓄電池の充電の双方を実施でき、一方が疎かになることがない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、蓄電池制御部は、蓄電池が充電されて蓄電容量が第1の所定量より多い第2の所定量に達したら、急速充電器の出力制限を解除すると共に、蓄電池の充電を終了して電力の供給を実施させることを特徴とする。
この構成によれば、蓄電池が十分充電されたら、再び電力を出力して商用電力と共に車両充電を実施するため、急速充電を再開できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商用電力と蓄電池の双方の電力で車両を急速充電する構成であっても、交流電力が入力される汎用の急速充電器を使用できる。それでいて、蓄電池の充電残量が僅かとなったら、急速充電器の出力を商用電力の契約電力より小さい電力まで削減するため、蓄電池の出力が停止しても商用電力の使用量が契約電力を超えることが無い。加えて、蓄電池の充電残量が僅かとなったら商用電力の一部電力を蓄電池の充電に回すため、車両の充電と蓄電池の充電の双方を実施でき、一方が疎かになることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る車両充電装置の一例を示す構成図である。
図2】急速充電状態の説明図である。
図3】車両充電と蓄電池の充電の双方を実施する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る車両充電装置の一例を示す構成図であり、蓄電池1の充放電を制御する蓄電池盤2と、接続されたEV等の車両3を充電する急速充電器4とで構成されている。また、5は商用電力を示している。
蓄電池盤2は、商用電力5を電源として直流変換するAC/DC変換器21、急速充電器4に交流電力を供給するDC/AC変換器22、蓄電池1の充放電を制御する蓄電池制御部23を備え、蓄電池1は蓄電池制御部23を介してAC/DC変換器21とDC/AC変換器22の間に接続されている。こうして、急速充電器4には、商用電力5と蓄電池1の放電電力の双方が供給され、車両3が急速充電されるよう構成されている。
尚、商用電力5は、ここでは高圧電力を受電する図示しないキュービクルにより降圧されて出力される電力である。
【0011】
蓄電池盤2の動作は以下のようである。まず、急速充電器4は、交流電力を直流に変換して出力する電力変換部(図示せず)を有し、外部からの制御信号を受けて出力電力を制御する出力制御部4aを具備した汎用の急速充電器であり、予め設定された電力で車両3の充電を実施する。ここでは、100kWの出力を定格出力としている。そのため蓄電池盤2は、この定格出力を実施するよう電力制御を実施する。
【0012】
AC/DC変換器21は、商用電力5の契約電力を最大値として電力変換制御する。ここでは50kWを出力するよう動作し、蓄電池1からも50kWが出力されるよう蓄電池制御部23が制御する。
また蓄電池制御部23は、蓄電池1の充電量(蓄電容量)を管理し、充電量が僅かであれば、蓄電池1からの放電を停止して充電を行う。車両充電中の充電であれば、AC/DC変換器21が出力する電力50kWのうち、一部(例えば20kW)が蓄電池1の充電に使用される。車両3が充電状態に無ければ、商用電力5から供給される電力が蓄電池1の充電に振り向けられる。
【0013】
また蓄電池制御部23は、急速充電器4の出力電力を指示する信号を出力する。蓄電池1の充電量が十分ある場合は、蓄電池1の定格出力である50kWを出力させて、商用電力5の50kWと合わせて急速充電器4に供給することで、急速充電器4の出力を100kWとする制御信号を急速充電器4に出力する。
そして、蓄電池1の蓄電容量が減少して充電が必要な状況であれば、急速充電器4に対して商用電力5の契約電力より小さい電力(ここでは30kW)で出力させる信号を出力する。
【0014】
上記の如く構成された車両充電装置は以下のように動作する。図2、3を参照して説明する。
図2は蓄電池1の蓄電容量が第1の所定量(例えば、満充電の20%)以上の場合を示している。蓄電池制御部23はこの蓄電容量を把握しており、この状況では急速充電器4に出力制限を実施せず、図2に示すように急速充電器4は商用電力5と蓄電池1の双方の電力で車両3を充電する。このとき、商用電力5から50kW、蓄電池出力50kWの計100kWが出力され、車両3が急速充電される。
【0015】
図3は蓄電池1の蓄電容量が第1の所定量未満の場合を示している。蓄電池1の電力が使用されて放電が行われた結果、蓄電池1の蓄電容量が第1の所定量未満になったら、蓄電池制御部23がそれを把握し、放電を停止して蓄電池1の充電を開始させる。
具体的に、蓄電池1の蓄電容量が減少して満充電の20%未満になったら、出力制限信号を急速充電器4に出力する。この信号を受けた急速充電器4は、車両へ出力する電力を30kWに低減させる。
同時に蓄電池1の充電を開始し、AC/DC変換器21が出力可能な50kWのうち、車両3の充電電力を差し引いた20kWが蓄電池1の充電に回される。
【0016】
こうして、車両3の充電を継続しつつ、蓄電池1の充電が行われる。その後も蓄電池制御部23は蓄電容量を監視し、蓄電容量が第1の所定量より多い第2の所定量(例えば、満充電の80%)まで充電されたら、出力制限を解除して再度放電を開始させる。即ち、100kWの急速充電を再開させる。
【0017】
但し、車両3の充電が完了、或いは車両3が接続されていない状態では、商用電力5から供給される全ての電力50kWで充電することができるし、80%で充電を終了せずに100%の満充電まで充電しても良い。
【0018】
このように、商用電力5と蓄電池1の双方の電力で車両3を急速充電する構成であっても、交流電源が必要な汎用の急速充電器4を使用できる。それでいて、蓄電池1の充電残量が残り僅かとなったら、急速充電器4の出力を商用電力5の契約電力より小さい電力まで削減するため、蓄電池1の出力が停止しても商用電力5の使用量が契約電力を超えることが無い。加えて、商用電力5の一部電力を蓄電池1の充電に回すため、蓄電池1の出力が停止しても車両3の充電と蓄電池1の充電の双方を実施でき、一方が疎かになることがない。
また、蓄電池1が十分充電されたら、再び電力を出力して商用電力5と共に車両3の充電を実施するため、急速充電を再開できる。
【0019】
尚、上記実施形態では、蓄電池1の第1の所定量を満充電の20%としたが、任意であり10%でも30%でも良い。
また、急速充電器4が1台の構成を示しているが、同時に複数の車両3の充電を可能とするために、1つの蓄電池盤2に対して複数の急速充電器4を接続しても良い。この場合、蓄電池1の蓄電容量を増やして商用電力5に対する蓄電池1の出力の割合を増加させることで、それぞれの車両3に対して急速充電を実施できる。
【符号の説明】
【0020】
1・・蓄電池、2・・蓄電池盤、3・・車両、4・・急速充電器、4a・・出力制御部、5・・商用電力、21・・AC/DC変換器、22・・DC/AC変換器、23・・蓄電池制御部。
図1
図2
図3