(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】センサ管理システム
(51)【国際特許分類】
G01D 21/00 20060101AFI20231013BHJP
G01K 15/00 20060101ALI20231013BHJP
G01K 7/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G01D21/00 Q
G01K15/00
G01K7/00 311
(21)【出願番号】P 2019175912
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】横山 健
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-148370(JP,A)
【文献】特開平4-76799(JP,A)
【文献】特開2013-257339(JP,A)
【文献】特開2008-134117(JP,A)
【文献】特開2013-105606(JP,A)
【文献】特開2018-77757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 1/00-21/00
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定雰囲気中の物理量を検出するセンサが選択的に着脱交換可能な複数のチャンネルと、
前記センサを特定する情報と、前記センサの使用開始日時と、前記センサが接続されるチャンネルを特定するチャンネル番号とをセンサ情報として自動取得するセンサ情報自動取得部と、
前記センサ情報自動取得部にて取得した前記センサ情報を記憶するセンサ情報記憶部と、
前記センサの寿命に影響する情報に基づく交換判定条件を、前記センサ情報と紐付けて記憶する交換判定条件記憶部と、
前記チャンネルに接続されたセンサから測定データを取得する測定データ取得部と、
前記測定データ取得部にて取得した測定データと使用時間を、前記チャンネルに接続されたセンサごとに記憶する測定結果記憶部と、
前記センサの測定データと使用時間が、当該センサのセンサ情報と紐付けて前記交換判定条件記憶部に記憶された交換判定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記交換判定条件を満たすと判定したときに警報を出力する警報部とを備えたことを特徴とするセンサ管理システム。
【請求項2】
前記交換判定条件記憶部は、前記交換判定条件に条件番号を付与して記憶しており、
前記判定部は、前記センサの測定データと使用時間が、当該センサのセンサ情報と紐付けて前記交換判定条件記憶部に記憶された条件番号の交換判定条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のセンサ管理システム。
【請求項3】
前記センサ情報と前記交換判定条件を設定登録する設定登録部を備え
、
前記設定登録部にて設定登録された前記センサ情報を前記センサ情報記憶部に記憶することを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ管理システム。
【請求項4】
前記交換判定条件は、前記センサ
の累積使用時間、前記センサ
の使用回数の何れかであることを特徴とする請求項1~
3の何れかに記載のセンサ管理システム。
【請求項5】
前記センサは、予め決められた制御パターンで繰り返し制御される前記測定雰囲気中の温度を検出する温度センサであることを特徴とする請求項1~
4の何れかに記載のセンサ管理システム。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載のセンサ管理システムが前記センサの測定データに基づく測定結果を記録する1台の記録計で構成されることを特徴とするセンサ管理システム。
【請求項7】
請求項1~5の何れかに記載のセンサ管理システムが複数台の記録計と、これら複数台の記録計との間で通信可能な上位コンピュータまたはクラウドから構成され、前記記録計ごとに前記交換判定条件に基づく前記センサの交換の有無を判定することを特徴とするセンサ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定雰囲気中の物理量を検出するセンサを管理するセンサ管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定雰囲気中の物理量を検出するセンサとしては、例えば温度センサ、湿度センサ、ガスセンサなどの多種多様のセンサが知られている。
【0003】
例えば部品の熱処理を行う連続炉に用いられる温度センサは、炉内の所定箇所に適宜配置され、炉内の測定雰囲気中の温度を検出している。この種の連続炉では、各所に配置された温度センサの測定データに基づいて予め決められた繰り返し周期による制御パターン(例えば
図4参照)で炉内の不図示のヒータが制御されるようになっている。
【0004】
ところで、熱処理に関する規格(例えば航空部品業界:AMS2750E、自動車部品業界:IATF16949/CQI-9)では、温度センサ(例えば熱電対)の最大使用回数が定められている。また、温度センサは、交換条件が使用方法に依存する場合もあり、稼働時間だけでは適切な交換周期の管理が行えないという問題がある。しかも、1台の記録計に複数の温度センサが接続される場合であっても使用条件で温度センサの交換周期が変わるので、他の部品と比べて正確に交換周期の管理が難しいという問題点があった。例えば連続炉では、温度センサが配置される位置によって温度が異なるため、温度センサごとに交換周期が変わってしまう。
【0005】
このため、炉内の各所に配置された温度センサの交換時期を管理する必要があり、従来は、現場の作業員が定期的に温度センサの履歴情報(例えば使用回数など)を記録したり、現場の作業員からの報告により品質管理部門が管理していた。しかし、この方法では、現場の作業員による温度センサの履歴情報に漏れ(例えば使用回数のカウント漏れなど)が生じることもあって信頼性に欠けていた。また、品質管理部門で管理する場合には、温度センサを期日で交換するため、まだ使用可能な温度センサであっても必要以上に早めに交換するおそれがあった。
【0006】
ところで、下記特許文献1には、温度センサとしての熱電対の劣化を検知する熱電対劣化検知装置が開示されている。
【0007】
特許文献1の熱電対劣化検知装置では、スイッチ手段を介して熱電対に所定の電流を断続的に供給する電流源を備え、熱電対による熱起電力から温度を測定し、予めメモリに記憶された温度と熱電対の抵抗値との関係から測定した温度に対応する抵抗値を算出し、熱電対に電流源から電流を供給したときの電圧降下から熱電対の抵抗値を測定し、測定した抵抗値と算出した抵抗値とを処理手段にて比較して熱電対の劣化を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に開示される従来の熱電対劣化検知装置では、熱電対の種類ごとに熱起電力と温度との関係を記憶しておき、スイッチ手段をオンして電流源から熱電対に所定の電流を断続的に供給したときの電圧降下から熱電対の抵抗値を測定するので、特に複数のチャンネルに熱電対が接続されている場合には、チャンネルごとにスイッチ手段を制御するだけでなく、各チャンネルの切り換えを行うための入力切換器も必要となって構成が複雑化する。しかも、熱電対の劣化を検知するためにはスイッチ手段をオンして電流源から熱電対に所定の電流を断続的に供給する必要があるので、スイッチ手段の耐久性が問われるだけでなく、スイッチ手段をオンするタイミングによっては熱電対の交換時期を見逃すおそれがあり、信頼性の高い熱電対の交換時期の管理を行うのが困難であった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、より信頼性の高いセンサの交換時期の管理を行うことができるセンサ管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたセンサ管理システムは、測定雰囲気中の物理量を検出するセンサが選択的に着脱交換可能な複数のチャンネルと、
前記センサを特定する情報と、前記センサの使用開始日時と、前記センサが接続されるチャンネルを特定するチャンネル番号とをセンサ情報として自動取得するセンサ情報自動取得部と、
前記センサ情報自動取得部にて取得した前記センサ情報を記憶するセンサ情報記憶部と、
前記センサの寿命に影響する情報に基づく交換判定条件を、前記センサ情報と紐付けて記憶する交換判定条件記憶部と、
前記チャンネルに接続されたセンサから測定データを取得する測定データ取得部と、
前記測定データ取得部にて取得した測定データと使用時間を、前記チャンネルに接続されたセンサごとに記憶する測定結果記憶部と、
前記センサの測定データと使用時間が、当該センサのセンサ情報と紐付けて前記交換判定条件記憶部に記憶された交換判定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記交換判定条件を満たすと判定したときに警報を出力する警報部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に記載されたセンサ管理システムは、請求項1のセンサ管理システムにおいて、
前記交換判定条件記憶部は、前記交換判定条件に条件番号を付与して記憶しており、
前記判定部は、前記センサの測定データと使用時間が、当該センサのセンサ情報と紐付けて前記交換判定条件記憶部に記憶された条件番号の交換判定条件を満たすか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に記載されたセンサ管理システムは、請求項1または2のセンサ管理システムにおいて、
前記センサ情報と前記交換判定条件を設定登録する設定登録部を備え、
前記設定登録部にて設定登録された前記センサ情報を前記センサ情報記憶部に記憶することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項4に記載されたセンサ管理システムは、請求項1~3の何れかのセンサ管理システムにおいて、
前記交換判定条件は、前記センサの累積使用時間、前記センサの使用回数の何れかであることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項5に記載されたセンサ管理システムは、請求項1~4の何れかのセンサ管理システムにおいて、
前記センサは、予め決められた制御パターンで繰り返し制御される前記測定雰囲気中の温度を検出する温度センサであることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載されたセンサ管理システムは、請求項1~5の何れかに記載のセンサ管理システムが前記センサの測定データに基づく測定結果を記録する1台の記録計で構成されることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載されたセンサ管理システムは、請求項1~5の何れかのセンサ管理システムが複数台の記録計と、これら複数台の記録計との間で通信可能な上位コンピュータまたはクラウドから構成され、前記記録計ごとに前記交換判定条件に基づく前記センサの交換の有無を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電流源やスイッチ手段が不要な簡素な構成とし、従来のような現場の作業員によるセンサの使用回数などのカウント漏れを撲滅し、カウントの手間を削減でき、必要以上に早めに交換することがなく、より信頼性の高いセンサの交換時期の管理を自動的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るセンサ管理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本発明に係るセンサ管理システムのチャンネルに温度センサが接続された状態を示す図である。
【
図3】連続炉の炉内の測定雰囲気中の温度の制御パターンの一例を示す図である。
【
図4】外部の端末装置によるセンサ情報の登録画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明に係るセンサ管理システムによるセンサ情報の登録画面の一例を示す図である。
【
図6】本発明に係るセンサ管理システムによるセンサ購入アラートの設定画面の一例を示す図である。
【
図7】本発明に係るセンサ管理システムによる交換判定条件の設定画面の一例を示す図である。
【
図8】本発明に係るセンサ管理システムを用いた作業手順を示すフローチャートである。
【
図9】本発明に係るセンサ管理システムの他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態のセンサ管理システム1は、測定雰囲気の物理量を検出するセンサの交換時期を管理するものであり、センサの測定データに基づく測定結果を記録する1台の記録計1Aで構成され、センサ情報自動取得部2、設定登録部3、測定データ取得部4、記憶部5、警報部6、表示部7、制御部8を備える。
【0022】
本実施の形態において、測定雰囲気中の物理量を検出するセンサは、例えば
図2に示すように、部品の熱処理を行う連続炉11の炉内の所定箇所に適宜配置されて測定雰囲気中の温度を検出する温度センサ12からなる。温度センサ12は、例えば熱電対、測温抵抗体、サーミスタ、半導体などで構成され、センサ管理システム1としての記録計1Aの本体に備える複数のチャンネルCH1,CH2,…,CHnに対して選択的に着脱交換可能である。
【0023】
連続炉11の炉内の測定雰囲気中の温度は、同じ部品の熱処理を行う場合、温度センサ12の測定データに基づき、例えば
図3に示すような予め決められた繰り返し周期による制御パターンで炉内の不図示のヒータが制御される。
図3の制御パターンでは、時間Tを繰り返し周期とする各時間Tの期間において、炉内の測定雰囲気中の温度がt1→t2→t3→t4→t1となるように、温度センサ12の測定データに基づいてヒータがオン/オフによりPID制御される。すなわち、連続炉11による部品の熱処理では、炉内の測定雰囲気中の温度を段階的に上げた後、所定温度で加熱して温度を下げるようにヒータの制御が行われる。
【0024】
センサ情報自動取得部2は、記録計1AのチャンネルCH1,CH2,…,CHnに選択的に接続される温度センサ12のセンサ情報を外部の端末装置から受信して自動的に取得する。その際、温度センサ12のセンサ情報は、例えばスマートフォンやパソコンなどの外部の端末装置の登録画面から入力することができる。
【0025】
温度センサ12のセンサ情報には、センサ特定情報とチャンネル番号が含まれる。センサ特定情報は、温度センサ12ごとに付与されて温度センサ12を特定する固有情報であり、例えば温度センサ12の本体に貼付されたラベルの製造番号(シリアルナンバー)である。また、チャンネル番号は、温度センサ12を接続する記録計1Aのチャンネルを特定する番号である。
【0026】
図4は外部の端末装置の登録画面21の一例を示している。
図4の登録画面21は、外部の端末装置(例えばスマートフォンなど)のアプリケーションの起動により表示画面上に表示されるものであり、温度センサ12の製造番号を直接入力するための入力ボックス21a、端末装置に付属または接続されたカメラを作動させて温度センサ12の製造番号またはQRコード(登録商標)(またはバーコード)を読み取るためのスキャンボタン21b、温度センサ12が接続される記録計1Aのチャンネルの番号を入力するための入力ボックス21c、後述する交換判定条件の条件番号を入力するための入力ボックス21d、温度センサ12のセンサ情報を記録計1Aに転送して登録するための登録ボタン21eが表示される。
【0027】
ユーザは、
図4の登録画面21において、入力ボックス21aに温度センサ12の製造番号を直接入力するか、カメラを作動させてスキャンボタン21bの操作により温度センサ12の製造番号を文字認識により読み取るか、QRコード(登録商標)(またはバーコード)をスキャンして温度センサ12の製造番号の情報を取得する。そして、入力ボックス21cに記録計1Aのチャンネルの番号を入力し、入力ボックス21dに交換判定条件の条件番号を入力した後、登録ボタン21eを押下すると、温度センサ12のセンサ情報を自動的に記録計1Aに転送することが可能となる。
【0028】
なお、温度センサ12の製造番号は、人為的な入力ミスを防ぐため、カメラを作動させた状態でスキャンボタン21bの操作によって温度センサ12の製造番号を文字認識により読み取るか、温度センサ12の製造番号の情報を含むQRコード(登録商標)(またはバーコード)をスキャンして読み取るのが好ましい。
【0029】
また、温度センサ12の製造番号は、記録計1Aにカメラを接続し、所定のボタン操作により製造番号を読み取るか、QRコード(登録商標)(またはバーコード)をスキャンして製造番号を取得することもできる。さらに、温度センサ12に自身の製造番号の情報を記憶しておき、温度センサ12を記録計1Aのチャンネルに接続したときに、温度センサ12からの製造番号の情報をセンサ情報自動取得部2が取得する構成であってもよい。
【0030】
設定登録部3は、表示部7に表示される登録画面上や設定画面上でセンサ情報の登録、センサ購入アラートの設定、交換判定条件の設定を行う。
【0031】
図5はセンサ情報の登録画面31の一例を示している。
図5の登録画面31は、温度センサ12のセンサ情報を登録するための登録表示領域31Aと、既に登録済の温度センサ12のセンサ情報を一覧表示する一覧表示領域31Bからなる。
【0032】
登録表示領域31Aには、温度センサ12の製造番号を入力するための入力ボックス31a、交換判定条件の条件番号を入力するための入力ボックス31b、温度センサ12が接続される記録計1Aのチャンネルの番号を入力するための入力ボックス31c、温度センサ12の使用開始日時を入力するための入力ボックス31dが表示される。なお、使用開始日時とは、温度センサ12が記録計1Aのチャンネルに接続して使用を開始する日時である。
【0033】
一覧表示領域31Bには、既に登録されている温度センサ12のセンサ情報(製造番号、交換判定条件の条件番号、チャンネル番号、使用開始日時)がNo.1から登録順に一覧表示されている。一覧表示された各センサ情報の右側には、リセットボタン「RST」と削除ボタン「DEL」が並んで表示されている。リセットボタン「RST」を押下すると、その行のセンサ情報の使用開始日時がリセットを実行した日時に更新される。削除ボタン「DEL」を押下すると、その行のセンサ情報がクリアされて空白となる。なお、クリアしたNo.より下に過去のセンサ情報が存在する場合には、空白になったNo.を上詰めする。
【0034】
ユーザは、
図5の登録画面31の登録表示領域31Aにおいて、例えば図示のように、製造番号「BBBB」、交換判定条件の条件番号「2」、チャンネル番号「5」、使用開始日時「19/06/12」を入力し、登録ボタン「SET」を押下すると、入力されたセンサ情報が登録される。
【0035】
図6はセンサ購入アラートの設定画面41の一例を示している。
図6の設定画面41には、温度センサ12の定期的な交換(例えば熱電対の貴金属が劣化することによる交換など)を促すため、センサ購入アラートのON/OFFを切り替えるための設定ボックス41a、温度センサ12の交換周期(日)を入力するための入力ボックス41b、センサ納期(日)を入力するための入力ボックス41cが表示される。
【0036】
ユーザは、
図6の設定画面41において、例えば図示のように、センサ購入アラートの設定ボックス41aを「ON」に設定し、入力ボックス41bの交換周期(日)に「90」、入力ボックス41cのセンサ納期(日)に「20」を入力すると、センサ購入アラートの情報が設定される。
【0037】
図7は交換判定条件の設定画面51の一例を示している。
図7の設定画面51には、交換判定条件の設定を行う条件番号を選択するための入力ボックス51aが表示される。図示の設定画面51では、プルダウンメニューにより、8パターンの交換判定条件が選択設定できるようになっている。
【0038】
図7の設定画面51には、累積時間による判定として、温度センサ12の劣化時間の計測を開始する開始温度を入力するための入力ボックス51b、温度センサ12の劣化時間の計測を終了する終了温度(開始温度より低い温度)を入力するための入力ボックス51c、温度センサ12が劣化したと判定する劣化判定時間を入力するための入力ボックス51dが表示される。
【0039】
図7の設定画面51には、サイクル数による判定として、温度センサ12の劣化回数の計測を開始する開始温度を入力するための入力ボックス51e、温度センサ12の劣化回数の計測を終了する終了温度(開始温度より低い温度)を入力するための入力ボックス51f、温度センサ12が劣化したと判定する劣化判定回数を入力するための入力ボックス51gが表示される。
【0040】
図7の設定画面51には、使用期間による判定として、温度センサ12が劣化したと判定する劣化判定回数を入力するための入力ボックス51hが表示される。
【0041】
ユーザは、
図7の設定画面51において、例えば図示のように、条件番号の入力ボックス51aのプルダウンメニューから「1」を選択し、累積時間による判定として、入力ボックス51bの開始温度に「10」、入力ボックス51cの終了温度に「0」、入力ボックス51dの劣化判定時間に「0.1(=6分)を入力すると、交換判定条件として、条件番号1の累積時間による判定が設定される。
【0042】
交換判定条件は、温度センサ12の寿命に影響する情報に基づく条件である。具体的には、温度センサ12の使用開始日からの交換周期の日数、温度センサ12の交換日時からのセンサ納期の日数、温度センサ12の劣化時間の計測を開始する開始設定温度(開始設定値)から劣化時間の計測を終了する終了設定温度(終了設定値)になるまでの温度センサ12の劣化判定時間(累積使用時間)、温度センサ12の劣化回数の計測を開始する開始設定温度(開始設定値)から劣化回数の計測を終了する終了設定温度(終了設定値)になるまでの温度センサ12の劣化判定回数(使用回数)、温度センサ12の劣化判定日数(使用日数)などがある。
【0043】
ここで、交換判定条件において、劣化判定時間(累積使用時間)と劣化判定回数(使用回数)は、何らかの不具合で炉内のヒータの制御を停止する場合を想定して開始設定温度と終了設定温度を設定している。例えば
図3の制御パターンでヒータを制御して連続炉の炉内の温度を制御する場合、交換判定条件として、劣化判定時間(または劣化判定回数)の開始設定温度がt2、終了設定温度がt1に設定され、温度センサ12の温度がt2に到達する前に不具合により制御パターンによるヒータの制御が停止して温度センサ12の温度が下がると、そのときの劣化判定時間(または劣化判定回数)はカウントされないようになっている。
【0044】
なお、交換判定条件は、上述した設定画面51からの設定に限定されるものではなく、例えば外部の端末装置の設定画面にて設定し、設定した内容を記録計1Aに転送することもできる。
【0045】
また、
図7の設定画面51では、累積時間による判定、サイクル数による判定、使用期間による判定の何れかの判定を交換判定条件として選択的に設定できるが、これに限定されるものではない。例えば累積時間による判定、サイクル数による判定、使用期間による判定の少なくとも一つの判定を設定画面に表示して設定するようにしてもよい。
【0046】
測定データ取得部4は、複数のチャンネルCH1,CH2,…,CHnに対して選択的に接続された温度センサ12から測定データを取得する。
【0047】
なお、測定データは、予め校正で測定した温度のずれを補正値として設定しておき、この補正値で補正するのが好ましい。
【0048】
記憶部5は、温度センサ12の交換時期の判定を含む温度センサ12の管理に関わる各種情報、設定情報、温度センサ12の測定結果などを記憶するもので、センサ情報記憶部5a、判定条件記憶部5b、測定結果記憶部5cを備える。
【0049】
センサ情報記憶部5aは、センサ情報自動取得部2が自動取得したセンサ情報(温度センサ12の製造番号、チャンネル番号、交換判定条件の条件番号)または設定登録部3にて設定されたセンサ情報(温度センサ12の製造番号、チャンネル番号、交換判定条件の条件番号、使用開始日時)を記憶する。
【0050】
なお、センサ情報自動取得部2が自動取得したセンサ情報をセンサ情報記憶部5aに記憶する場合には、センサ情報自動取得部2が自動取得したセンサ情報に対し、センサ情報を取得した日時を使用開始日時として紐付けてセンサ情報記憶部5aに記憶する。
【0051】
交換判定条件記憶部5bは、センサ情報自動取得部2が自動取得したセンサ情報、または設定登録部3にて設定されたセンサ情報に対し、条件番号が付与された交換判定条件を紐付けて記憶する。
【0052】
測定結果記憶部5cは、複数のチャンネルCH1,CH2,…,CHnに対して選択的に接続された温度センサ12の検出結果に基づく測定データと使用時間を、チャンネルCH1,CH2,…,CHnに接続された温度センサ12ごとに記憶する。
【0053】
警報部6は、判定部8aが交換判定条件を満たすと判定したときに、制御部8の制御により警報(表示、音などによる温度センサ12の交換を促す警報)を出力する。具体的には、交換判定条件を満たしたときに、「センサ劣化判定値に到達しました。センサ情報の画面を確認してください。」、「センサ交換期日になりました。センサを交換してください。」、「センサ購入時期になりました。センサを発注してください。」などの温度センサ12の交換を促すメッセージを交換判定条件の内容に応じて表示部7の表示画面上に表示する。
【0054】
表示部7は、記録計1Aに備える例えば液晶表示器などの表示器で構成される。表示部7は、制御部8の制御により、温度センサ12の交換時期の判定に関わる登録画面(
図5のセンサ情報の登録画面31)、設定画面(
図6のセンサ購入アラートの設定画面41、
図7の交換判定条件の設定画面51)、温度センサ12の測定結果、温度センサ12の交換を促す警報メッセージなどを表示する。
【0055】
制御部8は、例えば中央処理装置(CPU:)、ROM、RAMなどの記憶素子から構成され、温度センサ12の検出結果に基づく測定データの記録および温度センサ12の交換時期の判定を含む温度センサ12の管理を行うため、センサ情報自動取得部2、設定登録部3、測定データ取得部4、記憶部5、警報部6、表示部7の各部を統括制御している。
【0056】
制御部8は、温度センサ12の交換時期を管理するにあたって、測定結果記憶部5cに記憶される温度センサ12ごとの測定データと使用時間が、対応するセンサ情報の交換判定条件を満たすか否かを判定する判定部8aを有する。制御部8は、判定部8aが交換判定条件を満たすと判定したときに警報を出力するように警報部6を制御する。
【0057】
次に、上記のように構成されるセンサ管理システム1(記録計1A)にて温度センサ12の交換時期を管理する際の作業手順について
図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
例えば連続炉11の炉内の測定雰囲気中の温度を検出するため、炉内の各所に配置される温度センサ12を記録計1Aの所定のチャンネルCH1,CH2,CH3,…CHnに取り付ける(ST1)。
【0059】
次に、記録計1Aのチャンネルに取り付けた温度センサ12のセンサ情報を登録する(ST2)。センサ情報の登録は、例えば外部の端末装置から転送されるセンサ情報をセンサ情報自動取得部2が受信して自動取得するか、設定登録部3による
図5のセンサ情報の登録画面31での設定で行う。
【0060】
なお、センサ情報の登録は、温度センサ12を接続するチャンネルの切り替え、温度センサ12の交換、温度センサ12の取付直しのタイミングで行う。
【0061】
次に、温度センサ12の交換判定条件を設定する(ST3)。温度センサ12の交換判定条件の設定は、設定登録部3にて
図6のセンサ購入アラートの設定画面41や
図7の交換判定条件の設定画面51で行う。
【0062】
そして、上述した温度センサ12のセンサ情報の登録および交換判定条件の設定を終えると、温度センサ12の使用を開始する(ST4)。
【0063】
温度センサ12の使用が開始されると、記録計1Aのチャンネルに接続された温度センサ12からの測定データを測定データ取得部4が取得し、この測定データと使用時間を記録する(ST5)、このときの測定データと使用時間は、測定結果として記憶部5の測定結果記憶部5cに記憶される。
【0064】
次に、制御部8の判定部8aは、測定結果記憶部5cに記憶される温度センサ12ごとの測定データと使用時間が、対応するセンサ情報の交換判定条件を満たすか否かを判定する(ST6)。
【0065】
そして、制御部8は、判定部8aが交換判定条件を満たすと判定すると、警報部6を制御して警報(例えば温度センサ12の交換を促すメッセージ表示など)を出力する(ST7)。ユーザは、警報が出力されると、該当する温度センサ12を取り外し、新しい温度センサ12と交換する。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、従来のような現場の作業員によるセンサの使用回数などのカウント漏れを撲滅し、カウントの手間を削減でき、必要以上に早めに交換(管理部門での管理の場合期日で交換)することがなく、より信頼性の高いセンサの交換時期の管理を自動的に行うことが可能となる。しかも、特許文献1に開示される電流源やスイッチ手段が不要な簡素な構成によるセンサの交換時期の管理が可能となる。また、センサの測定結果とセンサの使用状態(何回使用したセンサで測定したデータなのか等)を紐づけて記憶することにより、センサごとの交換時期の管理を行うことができる。
【0067】
ところで、上述した実施の形態では、管理対象となるセンサとして、連続炉11の炉内の測定雰囲気中の温度を検出する温度センサ12を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。例えば湿度センサ、ガスセンサ、圧力センサなどの他のセンサに関しても、温度センサ12と同様の交換判定条件(使用開始日からの交換周期の日数、交換日時からの納期日数、劣化時間の計測を開始する開始設定値から劣化時間の計測を終了する終了設定値になるまでの劣化判定時間(累積使用時間)、劣化回数の計測を開始する開始設定値から劣化回数の計測を終了する終了設定値になるまでの劣化判定回数(使用回数)、劣化判定日数(使用日数)など)を用いた手法により交換時期を管理することが可能である。
【0068】
また、
図1では、1台の記録計1Aでセンサ管理システム1を構成しているが、
図9に示すように、複数台の記録計1Aと上位コンピュータまたはクラウド1Bとの間で通信可能とし、各記録計1Aの記憶部5(センサ情報記憶部5a、交換判定条件記憶部5b、測定結果記憶部5c)に記憶される各種登録情報、設
定情報および測定データを管理するとともに、記録計1Aごとに前述した交換判定条件に基づく温度センサ12の交換の有無を判定するようにセンサ管理システム1を構成してもよい。これにより、各記録計1AのチャンネルCH1,CH2,CH3,…,CHnに接続される温度センサ12のセンサ情報、交換判定条件、測定結果を記録計1Aごとに上位コンピュータまたはクラウド1Bで一括管理することができる。その結果、複数の記録計が配置された現場に対応し、大量のデータを解析してセンサ(温度センサ12、湿度センサ、ガスセンサなど)の寿命を的確に判断することができ、自動発注にも対応することができる。
【0069】
以上、本発明に係るセンサ管理システムの最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
1 センサ管理システム
1A 記録計
1B 上位コンピュータまたはクラウド
2 センサ情報自動取得部
3 設定登録部
4 測定データ取得部
5 記憶部
5a センサ情報記憶部
5b 交換判定条件記憶部
5c 測定結果記憶部
6 警報部
7 表示部
8 制御部
8a 判定部
11 連続炉
12 温度センサ
21 外部の端末装置の登録画面
21a,21c,21d 入力ボックス
21b スキャンボタン
21e 登録ボタン
31 センサ情報の登録画面
31A 登録表示領域
31B 一覧表示領域
31a,31b,31c,31d 入力ボックス
41 センサ購入アラートの設定画面
41a 設定ボックス
41b,41c 入力ボックス
51 交換判定条件の設定画面
51a,51b,51c,51d,51e,51f,51g,51h 入力ボックス
CH1,CH2,CH3,…,CHn チャンネル