(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】主翼アセンブリ用の主翼接合システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B64F 5/10 20170101AFI20231013BHJP
【FI】
B64F5/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019185666
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-10-04
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス, ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ストーン, パトリック ビー.
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0147521(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0282668(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0172470(US,A1)
【文献】米国特許第06190484(US,B1)
【文献】特開2015-030447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0146007(US,A1)
【文献】特開2013-123794(JP,A)
【文献】特開2015-042436(JP,A)
【文献】特表2010-520104(JP,A)
【文献】特開2017-106619(JP,A)
【文献】特開2018-008677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/10
B64C 1/26
B64C 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(10)の胴体(18)に接合される主翼アセンブリ(30)を製造する方法であって、
中央主翼セクション(34)を主翼接合ステーション(114)の中に積み込むこと(250)、
右主翼セクション(36)を前記主翼接合ステーションの中で前記中央主翼セクションの近くに積み込むこと(252)、
左主翼セクション(38)を前記主翼接合ステーションの中で前記中央主翼セクションの近くに積み込むこと(254)、
完成した主翼アセンブリ(30)を形成するために、前記右主翼セクション及び前記左主翼セクションを前記中央主翼セクションに接合すること(260)、
前記完成した主翼アセンブリを
、二次的な組み立てラインの複数の処理ステーションのうちの第1の処理ステーション(118)に移動させること(246)、
前記
第1の処理ステーションで前記完成した主翼アセンブリに対して穿孔作業を実行すること(264)
であって、前記完成した主翼アセンブリの前部ボックススパー及び後部ボックススパーに対して穿孔作業を実行することを含む、前記第1の処理ステーションで穿孔作業を実行すること、
前記
第1の処理ステーションで前記完成した主翼アセンブリ内にファスナを設置すること(242)
であって、前記前部ボックススパー及び前記後部ボックススパー内にファスナを設置することを含む、前記第1の処理ステーションでファスナを設置すること、
前記完成した主翼アセンブリを、前記複数の処理ステーションのうちの第2の処理ステーション(162)に移動させること、
前記第2の処理ステーションで前記完成した主翼アセンブリに対して穿孔作業を実行することであって、前記完成した主翼アセンブリの上側外板及び下側外板に対して更なる穿孔作業を実行することを含む、前記第2の処理ステーションで穿孔作業を実行すること、
前記第2の処理ステーションで前記完成した主翼アセンブリ内にファスナを設置することであって、前記上側外板及び前記下側外板内にファスナを設置することを含む、前記第2の処理ステーションでファスナを設置すること、及び
前記完成した主翼アセンブリを前記胴体に接合するために、前記完成した主翼アセンブリを
、主たる組み立てラインの主翼本体接合ステーション(110)に移動させること
を含む、方法。
【請求項2】
前記完成した主翼アセンブリ(30)を移動させること(246)が、前記右主翼セクション及び前記左主翼セクション(36、38)が接合された前記中央主翼セクションを、前記胴体(18)から独立したユニットとして、前記主翼接合ステーション(114)と前記
複数の処理ステーショ
ンとの間で移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの構成要素支持ツール(142)を有するモーションシステム(140)を設けることを更に含み、前記中央主翼セクション(34)を積み込むこと(250)が、前記少なくとも1つの構成要素支持ツールを使用して前記中央主翼セクションを積み込むことを含み、前記右主翼セクション(36)を積み込むこと(252)が、前記少なくとも1つの構成要素支持ツールを使用して前記右主翼セクションを積み込むことを含み、前記左主翼セクション(38)を積み込むこと(254)が、前記少なくとも1つの構成要素支持ツールを使用して前記左主翼セクションを積み込むことを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記完成した主翼アセンブリ(30)を移動させること(246)が、
前記中央主翼セクション(34)、前記右主翼セクション(36)、及び前記左主翼セクション(38)のうちの少なくとも1つを支持する構成要素支持ツール(142)を有するモーションシステム(140)を設けること、及び
前記構成要素支持ツールを、レール(186)、クレーン(180)、又はクローラー(182)上で、前記主翼接合ステーション(114)と前記
複数の処理ステーショ
ンとの間で移動させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記中央主翼セクション(34)、前記右主翼セクション(36)、及び前記左主翼セクション(38)を位置特定するための追跡デバイス(152)を有する計測システム(150)を設けることを更に含み、前記完成した主翼アセンブリ(30)を前記
複数の処理ステーショ
ンに移動させること(246)が、前記追跡デバイスを使用して前記
複数の処理ステーション内で前記完成した主翼アセンブリを位置特定することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記完成した主翼アセンブリ(30)を前記
複数の処理ステーショ
ンに移動させること(246)が、
コントローラ(136)を有する位置決めシステム(134)を使用して、前記中央主翼セクション(34)、前記右主翼セクション(36)、及び前記左主翼セクション(38)の相対的な位置を追跡し、前記
複数の処理ステーション内で前記中央主翼セクション、前記右主翼セクション、及び前記左主翼セクションを位置特定するこ
とを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記完成した主翼アセンブリ(30)を前記主翼本体接合ステーション(110)に移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリの試運転を実行すること(269)、及び
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリ内に電気接地システムを設置すること(288)を更に含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記完成した主翼アセンブリ(30)を前記主翼本体接合ステーション(110)に移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリの内面に対して密封作業を実行すること(290)、
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリの燃料タンクを閉鎖すること(296)、及び
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリの密封を完了することを更に含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記完成した主翼アセンブリ(30)を前記主翼本体接合ステーション(110)に移動させる前に、前記中央主翼セクション(34)内の第1の燃料構成要素と前記右主翼セクション(36)内の第2の燃料構成要素と前記左主翼セクション(38)内の第3の燃料構成要素とを、通じさせるように連結すること(288)を更に含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記完成した主翼アセンブリ(30)を前記主翼本体接合ステーション(110)に移動させる前に、前記中央主翼セクション(34)内の第1の液圧構成要素と前記右主翼セクション(36)内の第2の液圧構成要素と前記左主翼セクション(38)内の第3の液圧構成要素とを、液圧連結すること(288)を更に含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
右主翼セクション及び左主翼セクション(36、38)を中央主翼セクション(34)に接合するための主翼アセンブリ製造システム(130)であって、
製造施設(102)内で前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションを支持し且つ移動させるための、少なくとも1つの構成要素支持ツール(142)を有するモーションシステム(140)、
前記製造施設内で前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションを位置特定するための追跡デバイス(152)を有する計測システム(150)、及び
前記追跡デバイスに通信可能に接続されたコントローラ(136)を有し、前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションの位置データを受け取る、位置決めシステム(134)であって、前記コントローラが、前記少なくとも1つの構成要素支持ツールと動作可能に接続されて、前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションに関する前記位置データに基づいて、前記製造施設内における前記構成要素支持ツールの相対的な位置決めを制御する、位置決めシステムを備え、
前記位置決めシステムは、前記モーションシステムに、胴体(18)に接合されるように構成された完成した主翼アセンブリ(30)の、主翼本体接合ステーション(110)への移動を実行させる前に、前記完成した主翼アセンブリを形成するために、前記右主翼セクション及び前記左主翼セクションを前記中央主翼セクションに接合するべく、前記右主翼セクションと前記左主翼セクションを前記中央主翼セクションに対して位置決めするように前記モーションシステムを動作させ
、
前記位置決めシステム(134)は、前記完成した主翼アセンブリ(30)を主たる組み立てラインの前記主翼本体接合ステーション(110)に移動させる前に、前記構成要素支持ツール(142)に、前記完成した主翼アセンブリの前部ボックススパー及び後部ボックススパーに対して穿孔作業及び固定作業が実行される二次的な組み立てラインの第1の処理ステーション(118)への、前記完成した主翼アセンブリの移動を実行させ、且つ前記構成要素支持ツールに、前記完成した主翼アセンブリの上側外板及び下側外板に対して穿孔作業及び固定作業が実行される前記二次的な組み立てラインの第2の処理ステーション(162)への、前記完成した主翼アセンブリの移動を実行させる、
主翼アセンブリ製造システム(130)。
【請求項12】
前記位置決めシステム(134)が、最初に、前記中央主翼セクション(34)と前記右主翼セクション及び前記左主翼セクション(36、38)を、前記右主翼セクション及び前記左主翼セクションが前記中央主翼セクションに接合される主翼接合ステーション(114)内に位置決めし、前記位置決めシステムが、前記完成した主翼アセンブリ(30)を前記主翼本体接合ステーション(110)に移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリを、前記完成した主翼アセンブリを処理するための
前記第1の処理ステーション(118)に移動させる、請求項
11に記載の主翼アセンブリ製造システム(130)。
【請求項13】
前記計測システム(150)の前記追跡デバイス(152)が、1以上のレーザービームを使用して、前記右主翼セクション(36)、前記左主翼セクション(38)、及び前記中央主翼セクション(34)の位置を特定するように構成された、レーザー追跡デバイスを含む、請求項
11又は12に記載の主翼アセンブリ製造システム(130)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、広くは、主翼アセンブリを形成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の製造は、製造施設内で行われる。多くのシステム及びサブシステムを完成させる必要があり、これは、航空機製造の全体のフロー時間に影響を与える。航空機の最終的な組み立てフロー時間の主要な部分は、胴体の主たるフレームに取り付けられる中央主翼セクションに、右と左の主翼を接合することに費やされる。従来の接合方法は、右と左の主翼と中央主翼セクションとの間に、そして、中央主翼セクションと胴体との間に、穿孔すると共に何百ものファスナを設置することを必要とする。これは、大量の手動作業を必要とし、非常に時間がかかる。右と左の主翼が胴体に接合されてしまうと、燃料システム、液圧システム、電気システムなどの、主翼アセンブリの他のシステムを航空機に設置するための更なる処理が行われる。更に、右と左の主翼を胴体に接合した後の、塗装及び他の工程向けに航空機を準備するために、主翼アセンブリは汚れを取り、密封される必要がある。したがって、より少ない組み立て時間を必要とする、航空機の主翼を胴体に接合するための新しい方法とシステムが望まれている。
【発明の概要】
【0003】
一実施例では、航空機の胴体本体に接合される主翼アセンブリを製造する方法であって、中央主翼セクションを主翼接合ステーションの中に積み込むステップ、右主翼セクションを主翼接合ステーションの中で中央主翼セクションの近くに積み込むステップ、及び左主翼セクションを主翼接合ステーションの中で中央主翼セクションの近くに積み込むステップを含む、方法が提供される。該方法は、完成した主翼アセンブリを形成するために、右及び左主翼セクションを中央主翼セクションに接合するステップ、及び完成した主翼アセンブリを処理ステーションに移動させるステップを含む。該方法は、処理ステーションにおいて完成した主翼アセンブリに穿孔作業を実行するステップ、処理ステーションにおいて完成した主翼アセンブリ内にファスナを設置するステップ、及び、完成した主翼アセンブリを胴体本体と接合するために、完成した主翼アセンブリを主翼本体接合ステーションに移動させるステップを含む。
【0004】
更なる一実施例では、右及び左主翼セクションを中央主翼セクションに接合するための主翼アセンブリ製造システムであって、製造施設内で右主翼セクション、左主翼セクション、及び中央主翼セクションを支持し且つ移動させるための少なくとも1つの構成要素支持ツールを有するモーションシステムを含む、システムが提供される。主翼アセンブリ製造システムは、製造施設内で右主翼セクション、左主翼セクション、及び中央主翼セクションを位置特定するための追跡デバイスを有する計測システムを含む。主翼アセンブリ製造システムは、追跡デバイスに通信可能に接続されたコントローラを有する位置決めシステムであって、右主翼セクション、左主翼セクション、及び中央主翼セクションの位置データを受け取る位置決めシステムを含む。該コントローラは、少なくとも1つの構成要素支持ツールと動作可能に接続されて、右主翼セクション、左主翼セクション、及び中央主翼セクションに関する位置データに基づいて、製造施設内における構成要素支持ツールの相対的な位置決めを制御する。位置決めシステムは、モーションシステムに、胴体本体に接合されるように構成された完成した主翼アセンブリの、主翼本体接合ステーションへの移動を実行させる前に、完成した主翼アセンブリを形成するために、右及び左主翼セクションを中央主翼セクションに接合するべく、右主翼セクションと左主翼セクションを中央主翼セクションに対して位置決めするようにモーションシステムを動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】航空機を組み立てるために使用される、一実施例による航空機組み立てシステムの斜視図である。
【
図2】一実施例による、主翼接合ステーションを示す航空機組み立てシステムの一部分の上面図である。
【
図3】中央主翼セクションを構築するための、一実施例による航空機組み立てシステムの主翼構築ステーションの斜視図である。
【
図4】一実施例による、主翼接合ステーションの一部分の斜視図である。
【
図5】一実施例による、主翼アセンブリを製造するための工程フローチャートである。
【
図6】航空機組み立てシステム用の、一実施例による主翼接合ステーションの上面図である。
【
図7】一実施例による、主翼接合ステーションの一部分の斜視図である。
【
図8】一実施例による、主翼接合ステーションの一部分の斜視図である。
【
図9】一実施例による、主翼接合ステーションの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、航空機10を組み立てるために使用される、一実施例による航空機組み立てシステム100の斜視図である。航空機組み立てシステム100は、製造施設102内に設けられてよい。航空機10は、製造施設102内の様々なステーション104で段階的に製造されてよい。例えば、航空機10の様々な部品は、航空機10を完成させるために、1以上のステーションで予め組み立てられ、製造施設102内の他のステーションで接合されてよい。
【0007】
航空機10は、民間航空機であってよい。図示されている実施例では、航空機10が、航空機10を推進するための2つの主たるエンジン14を有する推進システム12を含む。主たるエンジン14は、ガスタービンエンジンであってよい。任意選択的に、推進システム12は、示されているより多くの主たるエンジン14を含んでよい。主たるエンジン14は、航空機10の主翼16によって担持されてよい。他の実施例では、主たるエンジン14が、胴体18及び/又は尾部20によって担持されてよい。尾部20は、水平尾翼22と垂直尾翼24含む。航空機10の胴体18は、客室、操縦室、貨物エリアなどの、内部区画又はエリアを画定してよい。
【0008】
一実施例では、航空機組み立てシステム100が、複数のステーション104を有する主たる組み立てライン106を含む。主たる組み立てライン106における構築時間を低減させるために、したがって、航空機組み立てシステム100を通る航空機10のスループットを増加させるために、航空機10の様々な構成要素が、二次的な組み立てライン108で予め組み立てられ、次いで、更なるアセンブリのために主たる組み立てライン106に移動される。例えば、航空機10のノーズ26が、二次的な組み立てライン108で予め組み立てられてよく、航空機10のテール28が、二次的な組み立てライン108で予め組み立てられてよく、主翼アセンブリ30が、二次的な組み立てライン108で組み立てられてよく、以下同様である。
【0009】
図1は、完成した主翼アセンブリ30を製造するために使用される、二次的な組み立てライン108内の主翼アセンブリ30を示している。完成した主翼アセンブリ30は、主たる組み立てライン106に移動されてよく、航空機組み立てシステム100の主翼本体接合ステーション110で、胴体18の本体32などの胴体18に取り付けられてよい。主翼アセンブリ30は、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38を含む。中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38は、1以上の主翼構築ステーション112で別々に組み立てられる。中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38は、主翼接合ステーション114で共に接合されて、完成した主翼アセンブリ30を形成する。完成した主翼アセンブリ30は、胴体18に接合するための完成したユニットとして、主翼接合ステーション114から運ばれる。エンジン14は、エンジン接合ステーション116で主翼16に取付けられる。航空機10は、エンジン接合ステーション116の下流の1以上の航空機処理ステーション118に移動されてよい。
【0010】
主翼アセンブリ30を主たる組み立てライン106に移動させる前に、主翼アセンブリ30を完成させることによって、主翼アセンブリ30を製造するための様々な処理ステップが、二次的な組み立てライン108などの主たる組み立てライン106の外側で完了されてよい。例えば、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に固定されてよく、そのような固定が、仕上げられて検査されてよい。主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合された後で、接合されたセクション34、36、38は、レール上で、クローラーを使用して、クレーンを使用するなどして、二次的な組み立てライン108を通るフローのために、様々な段階又はステーションを通して移動されてよい。主翼アセンブリ30は、試運転(shake down)工程を受けてよい。燃料タンクシステム、液圧システム、電気接地システムなどの、主翼アセンブリ30の様々なシステムが、右及び左主翼セクション36、38と中央主翼セクション34との間のエリアを横断して設置されてよい。主翼アセンブリ30の1以上の構成要素及び/又はシステムの密封は、労力と時間がかかる工程であり、主翼アセンブリ30が主たる組み立てライン106に移動される前に、完了されてよい。構成要素及び/又はシステムは、主たる組み立てライン106よりむしろ二次的な組み立てライン108において機能試験を受けてよい。主翼アセンブリ30は、主たる組み立てライン106よりむしろ二次的な組み立てライン108において水洗浄を受けてよい。燃料タンクは、主たる組み立てライン106よりむしろ二次的な組み立てライン108において閉鎖工程(closeout process)を受けてよい。二次的な組み立てライン108において様々な処理ステップを実行することによって、全体の航空機組み立て時間及び主たる組み立てライン106内の所要床面積を低減することができる。
【0011】
図2は、一実施例による、主翼接合ステーション114を示す航空機組み立てシステム100の一部分の上面図である。航空機組み立てシステム100は、主翼接合ステーション114に主翼アセンブリ製造システム130を含む。主翼アセンブリ製造システム130は、作業エリア132内で主翼アセンブリ30のセクション34、36、38を接合し、作業エリア132内で主翼アセンブリ30を処理するために使用されて、完成した主翼アセンブリ30を形成する。それは、主翼接合ステーション114から主翼本体接合ステーション110(
図1で示されている)に移動されてよい。作業エリア132は、主たる組み立てライン106(
図1で示されている)の外側にあり、したがって、主翼接合中に、胴体18などの航空機10の他の構成要素と同じ物理的な空間を占めない。
【0012】
主翼アセンブリ30に対する様々な処理ステップが、主翼接合ステーション114内で実行されてよい。一実施例では、主翼接合ステーション114が、主翼接合ステーション114を通して主翼アセンブリ30を進めるための複数の位置又は段階120を有する。種々の工程が種々の段階120で実行され、主翼アセンブリ30は、最終的に主翼本体接合ステーション110に移動される前に、段階120の間で上流に移動される。図示されている実施例では、主翼接合ステーション114が、4つの段階120を含む。任意の特定の段階120で遊休時間がほとんどないように、主翼アセンブリ30に対して実行される様々な工程が、種々の段階120で実行される。一実施例では、完成した主翼アセンブリ30が、一日置きに完成され主翼本体接合ステーション110に送られるように、主翼アセンブリ30が、一日置きに様々な段階120の間で移動されるが、代替的な実施例では他のパルス時間も可能である。
【0013】
一実施例では、主翼アセンブリ製造システム130が、主翼接合ステーション114内でセクション34、36、38の位置を制御するためのコントローラ136を有する位置決めシステム134を含む。主翼アセンブリ製造システム130は、構成要素を支持し且つ段階120の間で構成要素を移動させるための、少なくとも1つの構成要素支持ツールを有するモーションシステム140を含む。例えば、一実施例では、中央主翼セクション構成要素支持ツール142、右主翼セクション構成要素支持ツール144、及び左主翼セクション構成要素支持ツール146である。構成要素支持ツール142、144、146は、それぞれ、セクション34、36、38を支持する。構成要素支持ツール142、144、146は、様々な段階120の間などで、製造施設102の作業エリア132内で可動である。様々な実施例では、構成要素支持ツール142、144、146が、コンピュータ制御され、プログラム可能であってよい。例えば、構成要素支持ツール142、144、146は、位置決めシステム134のコントローラ136と動作可能に接続されてよい。コントローラ136は、構成要素支持ツール142、144、146の移動及び位置決めを制御してよい。構成要素支持ツール142、144、146は、予め規定された経路に沿って移動可能であってよい。様々な実施例では、構成要素支持ツール142、144、146が、コントローラ136に加えて又は代えて、オペレータによって駆動され操作されてよい。
【0014】
一実施例では、構成要素支持ツールが、上から構成要素を支持するためのクレーン又は他の種類のオーバーヘッド支持体を含んでよい。他の様々な実施例では、構成要素支持ツールが、下から構成要素を支持するためのジャッキタワー、ポゴ支持体、又は他の種類の支持体を含んでよい。構成要素支持ツールは、様々な段階120の間で構成要素支持ツールの移動を可能にするクローラーによって支持されてよい。他の様々な実施例では、構成要素支持ツールが、様々な段階120の間の移動を容易にするレール上のキャリッジによって支持されてよい。構成要素を支持し、様々な段階120の間の移動を可能にするために、代替的な実施例では、他の種類の構成要素支持ツールが使用されてよい。任意選択的に、構成要素支持ツール142、144、146のうちの1以上は、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合された後で、取り除かれてよい。例えば、右主翼セクション構成要素支持ツール144と左主翼セクション構成要素支持ツール146は、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合された後で、取り除かれてよい。それによって、主翼アセンブリ30は、全体が中央主翼セクション構成要素支持ツール142によって支持される。
【0015】
一実施例では、主翼アセンブリ製造システム130が、製造施設102の作業エリア132内で、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38を位置特定するための、少なくとも1つの追跡デバイス152を有する計測システム150を含む。コントローラ136は、追跡デバイス152と通信可能に接続され、追跡デバイス152から、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38の位置データを受け取る。様々な実施例では、追跡デバイス152が、1以上のレーザービームを使用して、セクション34、36、38の位置を特定するように構成されたレーザー追跡デバイスである。セクション34、36、38は、追跡デバイス152による位置決め用の再帰反射器などの反射器を含んでよい。他の様々な実施例では、追跡デバイス152が、カメラによって取得された画像に基づいて、セクション34、36、38の位置を検出するように構成されたカメラなどの、画像追跡デバイスであってよい。他の種類の追跡デバイス152が、代替的な実施例で使用されてよい。一実施例では、コントローラ136が、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38に関する、追跡デバイス152によって取得された位置データに基づいて、製造施設102の作業エリア132内で、構成要素支持ツール142、144、146の相対的な位置決めを制御する。
【0016】
第1の段階122では、中央主翼セクション34と右及び左主翼セクション36、38が、作業エリア132の中に積み込まれる。セクション34、36、38は、構成要素支持ツール142、144、146を使用して、作業エリア132の中に積み込まれてよい。コントローラ136は、追跡デバイス152によって受け取られた位置データに基づいて、作業エリア132内で、構成要素支持ツール142、144、146の位置決めを制御してよい。任意選択的に、構成要素支持ツール142、144、146は、セクション34、36、38を所定の位置に積み込んでよく、次いで、計測システム150が、セクション34、36、38の互いに対する位置決めを検証するために使用されてよい。構成要素支持ツール142、144、146の位置は、追跡デバイス152によって検知された実際の位置に基づいて、修正又は更新されてよい。右及び左主翼セクション36、38が中央主翼セクション34に対して方向付けられると、セクション34、36、38の間にシムが設置されてよい。計測システム150を使用して、セクション34、36、38の間のシムの位置決め及び/又はそれらの一群の適切なシムギャップを検証することができる。他の様々な実施例では、シムギャップが、手動で検証されてよく、セクション34、36、38の位置決めが、検証されたシムギャップに基づいて調整されてよい。
【0017】
主翼アセンブリ製造システム130は、第1の段階122に処理ステーション160を含む。主翼アセンブリ30は、処理ステーション160で処理される。処理は、主翼アセンブリ30に対して1以上の作業を実行することを含む。処理は、完成した主翼アセンブリ30に近づくように、主翼アセンブリ30を進め又は改善することを含む。処理ステーション160では、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合される。例えば、穿孔作業が、第1の段階122で実行されてよい。更に、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に接合するために、ファスナが第1の段階122で設置されてよい。様々な実施例では、穿孔作業の一部分のみが、第1の段階122で実行され、ファスナの一部分のみが、第1の段階122で設置される。他の穿孔作業及びファスナの設置は、第2の段階124などのより後ろの段階で実行される。第1の段階で穿孔及びファスナの設置の一部を実行することによって、右及び左主翼セクション36、38は、中央主翼セクション34に対して固定されてよいが、接合工程を完了するために、更なる穿孔及びファスナの設置が、より後ろの段階で必要になるだろう。最初の接合は、第2の段階124で更なる処理が続けられ得るように、右及び左主翼セクション36、38が中央セクション34から分離しないで、主翼アセンブリ30を第2の段階124に移動させることができれば十分であろう。
【0018】
第1の段階122で必要な工程が実行されると、主翼アセンブリ30が、第2の段階124に移動される。位置決めシステム134は、第1の段階122と第2の段階124の間の移動を制御する。コントローラ136は、主翼アセンブリ30を第2の段階124に移動させるために、構成要素支持ツール142、144、146を動作させる。作業エリア132内の主翼アセンブリ30の位置は、第2の段階124で追跡デバイス152によって検証されてよい。
【0019】
主翼アセンブリ製造システム130は、第2の段階124に処理ステーション162を含む。処理ステーション162で、穿孔作業が実行される。更に、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に接合するために、ファスナが処理ステーション162で設置されてよい。様々な実施例では、主翼アセンブリ30が次の下流の段階に移動される前に、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に接合するために、孔の全てが穿たれ、ファスナの全てが設置される。例えば、第1の処理ステーション160で穿たれなかった孔が、第2の処理ステーション162で穿たれ、第1の処理ステーション160で設置されなかったファスナが、第2の処理ステーション162で設置される。様々な実施例では、主翼アセンブリ30は、第2の段階124で試運転工程を受けてよい。様々な実施例では、主翼アセンブリ30は、第2の段階124で清掃工程を受けてよい。他の様々な実施例では、他の工程が処理ステーション162で行われてよい。
【0020】
第2の段階124で必要な工程が実行されると、主翼アセンブリ30が、第3の段階126に移動される。位置決めシステム134は、第2の段階124と第3の段階126の間の移動を制御する。コントローラ136は、主翼アセンブリ30を第3の段階126に移動させるために、構成要素支持ツール142、144、146を動作させる。作業エリア132内の主翼アセンブリ30の位置は、第3の段階126で追跡デバイス152によって検証されてよい。
【0021】
主翼アセンブリ製造システム130は、第3の段階126に処理ステーション164を含む。処理ステーション164に、主翼アセンブリシステムが設置されてよい。主翼アセンブリシステムは、中央主翼セクション34と右主翼セクション36の間及び/又は中央主翼セクション34と左主翼セクション38の間などで、主翼アセンブリ30にわたり設置されてよい。例えば、燃料タンクや燃料ラインなどの燃料システムの構成要素が設置されてよい。液圧ラインや液圧ポンプなどの液圧システムの構成要素が設置されてよい。電気接地構成要素などの電気システムの構成要素が設置されてよい。主翼接合ステーション114内で主翼アセンブリ30を完成させることによって、主翼アセンブリ30が胴体18に接合される前に、主翼アセンブリシステムの構成要素が設置されてよい。そのようにして、航空機10の全体の組み立て及び製造時間を低減させることができる。主翼アセンブリ30が、主たる組み立てライン106に移動され、胴体18に接合される前に、主翼アセンブリシステムが、主翼接合ステーション114及び二次的な組み立てライン108内で完成され得るので、主たる組み立てライン106における組み立て及び製造時間が、低減され得る。
【0022】
様々な実施例では、主翼アセンブリ30の構成要素が、第3の段階126で密封されてよい。例えば、中央主翼セクション34及び/又は右主翼セクション36及び/又は左主翼セクション38の内面が密封されてよい。主翼アセンブリシステムの構成要素が密封されてよい。例えば、燃料システムが密封されてよい。他の様々な実施例では、他の工程が処理ステーション164で行われてよい。
【0023】
第3の段階126で必要な工程が実行されると、主翼アセンブリ30が、第4の段階128に移動される。位置決めシステム134は、第3の段階126と第4の段階128の間の移動を制御する。コントローラ136は、主翼アセンブリ30を第4の段階128に移動させるために、構成要素支持ツール142、144、146を動作させる。作業エリア132内の主翼アセンブリ30の位置は、第4の段階128で追跡デバイス152によって検証されてよい。
【0024】
主翼アセンブリ製造システム130は、第4の段階128に処理ステーション166を含む。処理ステーション166で、主翼30の構成要素が機能試験を受けてよい。例えば、ファスナが試験されてよい。主翼アセンブリシステムが、試験されてよい。例えば、燃料システム、液圧システム、電気システム、又は他のシステムが、試験されてよい。主翼アセンブリ30の密封が、試験されてよい。処理ステーション166で、主翼アセンブリ30が水洗浄を受けてよい。処理ステーション166で、燃料システムのタンクが閉鎖されてよい。他の様々な実施例では、他の工程が処理ステーション166で行われてよい。
【0025】
第4の段階128で必要な工程が実行されると、主翼アセンブリ30が、完成し、主翼本体接合ステーション110に移動されるように構成される。位置決めシステム134は、主翼本体接合ステーション110への移動を制御してよい。他の様々な実施例では、完成した主翼アセンブリ30が、モーションシステム140の構成要素支持ツール142、144、146から、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させるためのクローラーなどの、別の構成要素に移動されてよい。
【0026】
図3は、中央主翼セクション34を構築するために、主翼アセンブリ製造システム130を使用する、一実施例による主翼構築ステーション112の斜視図である。モーションシステム140が、作業エリア内で、中央主翼セクション34の構成要素を支持する。例えば、図示されている実施例では、中央主翼セクション構成要素支持ツール142が、中央主翼セクション34の構成要素を支持するクレーン180を含む。中央主翼セクション構成要素支持ツール142は、中央主翼セクション34の構成要素を支持するクローラー182を含む。クローラー182は、構成要素を、中央主翼セクション34を構築するための位置の中に移動させる。中央主翼セクション構成要素支持ツール142は、中央主翼セクション34の構成要素を運ぶレール186上のキャリッジ184を含む。キャリッジ184は、構成要素を、中央主翼セクション34を構築するための位置の中に移動させる。
【0027】
中央主翼セクション34は、主翼ボックスフレーム52及び主翼ボックスフレーム52上の主翼ボックス外板54を有する主翼ボックス50を含む。例えば、主翼ボックス外板54は、上側外板56と下側外板58を含む。主翼ボックスフレーム52は、前部ボックススパー60と後部ボックススパー62を含む。主翼ボックスフレーム52は、前部及び後部ボックススパー60、62の間、又は翼長ビームの間で延在する、ボックスリブ64を含む。主翼ボックス50は、下側竜骨ビーム66に取り付けられるように構成されている。図示されている実施例では、下側竜骨ビーム66が、キャリッジ184によって支持され、主翼ボックス50と接合するために、主翼ボックス50の下に移動するように構成されている。図示されている実施例では、下側外板58が、クローラー182によって支持され、クローラー182によって主翼ボックスフレーム52の下に移動するように構成されている。図示されている実施例では、主翼ボックスフレーム52と上側外板56が、クレーン180によって支持されている。下側外板58と下側竜骨ビーム66は、主翼構築ステーション112内で主翼ボックスフレーム52に接合されるように構成されている。中央主翼セクション34が組み立てられると、中央主翼セクション34は、主翼接合ステーション114(
図2で示されている)に移動されてよい。
【0028】
図4は、第1の段階122にある点線の主翼アセンブリ30を示す主翼接合ステーション114の一部分の斜視図である。右及び左主翼セクション36、38は、主翼接合ステーション114で中央主翼セクション34に接合される。作業員が主翼アセンブリ30に対して作業することを可能にするために、主翼アセンブリ30の周りに位置決めされた作業プラットフォーム188が、
図4で示されている。作業プラットフォーム188は、作業員が、穿孔する、ファスナを設置する、又は、主翼アセンブリ30を清掃する、主翼アセンブリ30を密封する、主翼アセンブリ30内にシステムを設置するなどの、主翼アセンブリ30に対する他の工程を実行するなどのために、主翼アセンブリ30の上側及び下側表面にアクセスすることを可能にする。
【0029】
モーションシステム140は、作業エリア132内で、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38を支持する。例えば、中央主翼セクション34は、キャリッジ184(
図3で示されている)によって支持されてよい。図示されている実施例では、右主翼セクション構成要素支持ツール144が、右主翼セクション36を支持するクローラー190を含む。クローラー190は、右主翼セクション36を支持するために、支持ビーム192が間に連結された状態で、右主翼セクション36の前と後に位置決めされてよい。他の様々な実施例では、クローラー190が、右主翼セクション36を支持するために、右主翼セクション36の真下に設けられてよい。複数のクローラー190を使用するときに、クローラー190の移動は、位置決めシステム134(
図2で示されている)を使用するなどして、組織的に調整されてよい。他の様々な実施例では、クローラーを使用するよりむしろ、右主翼セクション構成要素支持ツール144が、レール上の1以上のキャリッジを含んでよい。図示されている実施例では、左主翼セクション構成要素支持ツール146が、左主翼セクション38を支持するクローラー194を含む。クローラー194は、左主翼セクション38を支持するために、支持ビーム196が間に連結された状態で、左主翼セクション38の前と後に位置決めされてよい。他の様々な実施例では、クローラー194が、左主翼セクション38を支持するために、左主翼セクション38の真下に設けられてよい。複数のクローラー194を使用するときに、クローラー194の移動は、位置決めシステム134を使用するなどして、組織的に調整されてよい。他の様々な実施例では、クローラーを使用するよりむしろ、左主翼セクション構成要素支持ツール146が、レール上の1以上のキャリッジを含んでよい。
【0030】
構成要素支持ツール142、144、146は、主翼接合ステーション114内で主翼アセンブリ30を次の段階に移動させるために使用されてよい。様々な実施例では、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合されると、構成要素支持ツール142、144、146のうちの1以上が、ラインから外されてよい。例えば、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合されると、構成要素支持ツール144、146は、不必要であるだろう。そのような実施例では、中央主翼セクション構成要素支持ツール142を使用して、全体の主翼アセンブリ30を支持し、主翼接合ステーション114の様々な段階の間で主翼アセンブリ30を移動させることができる。他の実施例では、構成要素支持ツール144、146を使用して、主翼アセンブリ30を下流の段階まで支持することができ、したがって、右及び左主翼セクション36、38が中央主翼セクション34に接合された後で、中央主翼セクション構成要素支持ツール142は必要でなくなる。
【0031】
図5は、一実施例による、主翼アセンブリ30を製造するための工程フローチャートである。
図5は、一実施例による、主翼接合ステーション114の様々な段階120(
図2で示されているものなど)で実行される工程を示している。段階120は、工程ブロックに分割されてよい。様々な工程が、対応する工程ブロック内で実行されてよい。任意選択的に、工程ブロックは連続的に実行されてよい。製造中に、工程ブロックは、時間的に重なってよく、したがって、1つの工程ブロックからの1以上の工程が、先行する工程ブロックからの工程のうちの全てが完了する前に、開始されてよい。
【0032】
第1の段階122で、製造方法は、積み込み工程ブロック210、接合工程ブロック212、ギャップ検証工程ブロック214、穿孔工程ブロック216、及び固定工程ブロック218を含む。第2の段階124で、製造方法は、穿孔工程ブロック220、固定工程ブロック222、試運転工程ブロック224、及び清掃工程ブロック226を含む。第3の段階126で、製造方法は、システム設置工程ブロック230、及び密封工程ブロック232を含む。第4の段階128で、製造方法は、機能試験工程ブロック240、水洗浄工程ブロック242、及びタンク閉鎖工程ブロック244を含む。
【0033】
製造方法は、様々な段階120における処理ステーションの間で主翼アセンブリ30を移動させること246を含む。例えば、モーションシステム140を使用して、主翼アセンブリ30を処理ステーションの間で移動させることができる。一実施例では、主翼アセンブリ30を移動させることが、位置決めシステム134を使用して、先ず、中央主翼セクション34と、右及び左主翼セクション36、38とを、主翼接合ステーション内に位置決めすることを含む。そこで、右及び左主翼セクション36、38は、中央主翼セクション34に接合される。一実施例では、主翼アセンブリ30を移動させることが、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーションに移動させる前に、完成した主翼アセンブリ30を処理するために、位置決めシステム134、モーションシステム140、及び/又は計測システム150などを使用して、接合された又は完成した主翼アセンブリ30を、処理ステーションに移動させることを含む。一実施例では、完成した主翼アセンブリ30を移動させることが、右及び左主翼セクション36、38が接合された中央主翼セクション34を、胴体18から独立したユニットとして、1以上の処理ステーション及び/又は主翼本体接合ステーション110に移動させることを含む。構成要素支持ツール142、144、146を使用して、処理ステーションの間で主翼アセンブリ30を移動させることができる。一実施例では、主翼アセンブリ30を様々な処理ステーションに移動させることが、計測システム150の追跡デバイス152を使用して、処理ステーション内で主翼アセンブリ30を位置特定することを含む。主翼アセンブリ30を様々な処理ステーションに移動させることは、位置決めシステム134とモーションシステム140を使用することを含む。例えば、主翼アセンブリ30を移動させることは、コントローラ136を使用して、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38の相対的な位置を特定し、処理ステーション内でセクション34、36、38を位置特定することを含む。一実施例では、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、完成した主翼アセンブリ30が、主翼接合ステーション114内の複数の処理ステーションに移動されてよい。製造方法は、完成した主翼アセンブリ30を胴体18と接合するために、完成した主翼アセンブリ30を主翼接合ステーション114から主翼本体接合ステーション110に移動させること248を含む。
【0034】
対応する工程ブロックのそれぞれで、1以上の工程が実行されてよい。一実施例では、製造方法の積み込み工程ブロック210が、中央主翼セクション34を主翼接合ステーション114の中に積み込むこと250を含む。製造方法の積み込み工程ブロック210は、右主翼セクション36を、主翼接合ステーション114の中で中央主翼セクション34の近くに積み込むこと252、及び、左主翼セクション38を、主翼接合ステーション114の中で中央主翼セクション34の近くに積み込むこと254を含む。一実施例では、主翼アセンブリ製造システム130のモーションシステム140が、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38を積み込むために使用される。例えば、構成要素支持ツール142、144、146のうちの少なくとも1つを使用して、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38を積み込むことができる。構成要素支持ツール142、144、146は、クレーン、クローラー、レール上のキャリッジなどによって移動され、セクション34、36、38を互いに対して位置決めすることができる。
【0035】
製造方法の接合工程ブロック212は、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38の位置を特定するために、計測システム150を動作させること256を含む。計測システム150は、接合計測シュート動作(join metrology shoot operation)で動作されてよい。その場合、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38の位置を特定するために、追跡デバイス152が、作業エリア内にレーザービームを放つ。他の様々な実施例では、追跡デバイス152が、セクション34、36、38の位置情報を特定するために、レーザービームを放つレーザー追跡デバイスよりむしろ、画像データを取得するカメラを含んでよい。追跡デバイス152は、セクション34、36、38の位置に関する位置データを生成し、その位置データを位置決めシステム134に送信する。コントローラ136は、セクション34、36、38が適切な位置にあるか否か、又はセクション34、36、38が移動される必要があるかどうかを判定するために、それらの位置データを処理する。セクション34、36、38のうちの1以上が、移動される必要がある場合、コントローラ136は、構成要素支持ツール142、144、146の再位置決めを行う。
【0036】
製造方法の接合工程ブロック212は、セクション34、36、38の間にシムを設置すること258を含む。シムの設置は、右及び左主翼セクション36、38と中央主翼セクション34と間のインターフェースで行われてよい。様々な実施例では、シムが、作業員によって手動で設置されてよい。接合工程のために、シムを使用して、セクション34、36、38を互いに対して正確に位置決めすることができる。
【0037】
製造方法の接合工程ブロック212は、完成した主翼アセンブリ30を形成するために、右及び左主翼セクション36、38を、中央主翼セクション34に接合すること260を含む。
【0038】
製造方法のギャップ検証工程ブロック214は、右及び左主翼セクション36、38と中央主翼セクション34との間のシムギャップを検証すること262を含む。シムギャップは、隙間ゲージ又は他の測定デバイスなどを使用して、作業員による手動の検査によって検証されてよい。他の様々な実施例では、シムギャップが、計測システム150を使用して検証されてよい。
【0039】
製造方法の穿孔工程ブロック216は、後部ボックススパー62上で穿孔作業264を実行すること、上側外板56上で穿孔作業266を実行すること、前部ボックススパー60上で穿孔作業268を実行すること、及び下側外板58上で穿孔作業270を実行することを含む。穿孔作業は、セクション34、36、38内で穿孔することを含んでよい。例えば、右主翼セクション36と中央主翼セクション34を通して孔が穿たれてよく、又は左主翼セクション38と中央主翼セクション34を通して孔が穿たれてよく、したがって、孔は、ファスナを受け入れるために位置が合っている。様々な実施例では、上側外板56の穿孔と下側外板58の穿孔が、第1の段階122の穿孔作業中に部分的にのみ完了する。例えば、穿たれる必要がある孔の数によって、孔の一部が第1の段階122で穿たれてよく、一方で、孔のうちの残りのものが、穿孔工程ブロック220中に第2の段階124で穿たれてよい。様々な実施例では、孔のうちの近似的に50%が、第1の段階122で穿たれてよいが、第1の段階122で必要な工程及び第2の段階124で必要な工程を実行するのに利用可能な時間に応じて、第1の段階122でより多くの数の又はより少ない数の孔が穿たれてよい。それによって、各段階での全体のサイクル時間が、タクトタイムと近似的に等しく又は近くなる。第1及び第2の段階122、124の間で穿孔工程を分割することによって、段階120のそれぞれにおける全体の処理時間が、タクトタイムを満たすように調整されてよい。様々な実施例では、前部ボックススパー60と後部ボックススパー62の穿孔が、第1の段階122での穿孔作業中に完了する。それによって、主翼アセンブリ30を第2の段階124に移動させる前に、ファスナを使用して、前部及び後部ボックススパー60、62において、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合されてよい。
【0040】
製造方法の固定工程ブロック218は、後部ボックススパー62内にファスナを設置すること272、及び前部ボックススパー60内にファスナを設置すること274を含む。ファスナは、前部及び後部ボックススパー60、62を通して穿たれた孔内に設置される。ファスナは、前部及び後部ボックススパー60、62において、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に連結する。ファスナは、手動で設置されてよい。ファスナは、ロボットによって設置されてよい。ファスナは、主翼アセンブリ30を形成するために、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に接合する。ファスナは、ねじ、ナット、及びボルト、又は他の種類のファスナであってよい。他の様々な実施例では、更に、ファスナが、第1の段階122で、上側及び下側外板56、58内に設置されてよい。
【0041】
製造方法の穿孔工程ブロック220は、上側外板56に対して穿孔作業276を実行すること、及び下側外板58に対して穿孔作業278を実行することを含む。穿孔作業は、セクション34、36、38内で穿孔することを含んでよい。第2の段階124で穿たれる孔の数は、第1の段階122で穿たれることができた孔の数に依存する。様々な実施例では、孔の全てが、第1及び第2の段階122、124で穿たれる。それによって、第1の段階122中に穿たれなかった孔は、何れも第2の段階124中に穿たれる。他の様々な実施例では、穿孔作業の全てが第1の段階122で実行されなかった場合、穿孔工程ブロック220が更に、前部及び後部ボックススパー60、62上で穿孔作業を実行することを含んでよい。
【0042】
製造方法の固定工程ブロック222は、上側外板56内にファスナを設置すること280、及び下側外板58内にファスナを設置すること282を含む。ファスナは、上側及び下側外板56、58を通して穿たれた孔内に設置される。ファスナは、上側及び下側外板56、58において、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に連結する。ファスナは、主翼アセンブリ30を形成するために、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に接合する。他の様々な実施例では、ファスナの全て或いはほとんどが第1の段階122で設置されていたとしても、更に、ファスナを前部及び後部ボックススパー60、62内に設置することができる。
【0043】
製造方法の試運転工程ブロック224は、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、完成した主翼アセンブリ30の試運転を実行すること284を含む。航空機の試運転は、アビオニクス、飛行制御、他のシステム、及び/又は主翼アセンブリ30の耐空性を確認することを含んでよい。
【0044】
製造方法の清掃工程ブロック226は、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、完成した主翼アセンブリ30を清掃すること286を含む。主翼アセンブリ30を清掃することは、主翼アセンブリ30のセクション34、36、38の内面及び/又は外面からデブリ(debris)を除去することを含む。主翼アセンブリ30を清掃することは、主翼アセンブリ30の内面及び/又は外面をきれいに拭くことを含む。主翼接合ステーション114内で主翼アセンブリ30を清掃することによって、主翼アセンブリ30を主たる組み立てライン106に移動させる前に、主翼アセンブリ30の製造が進む。例えば、表面が清掃された後で、他の処理ステップが実行されてよい。したがって、主たる組み立てライン106での製造時間が低減され得る。
【0045】
製造方法のシステム設置工程ブロック230は、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、主翼アセンブリシステムを完成した主翼アセンブリ30内に設置すること288を含む。主翼アセンブリシステムは、中央主翼セクション34と右主翼セクション36の間及び/又は中央主翼セクション34と左主翼セクション38の間などで、主翼アセンブリ30にわたり設置されてよい。主翼アセンブリシステムを設置することは、燃料システムを設置することを含んでよい。例えば、燃料タンクや燃料ラインなどの燃料システムの構成要素が、設置されてよい。一実施例では、該方法が、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、中央主翼セクション34内の第1の燃料構成要素と右主翼セクション36内の第2の燃料構成要素と左主翼セクション38内の第3の燃料構成要素とを、通じさせるように連結することを含んでよい。
【0046】
主翼アセンブリシステムを設置することは、液圧システムを設置することを含んでよい。例えば、液圧ラインや液圧ポンプなどの液圧システムの構成要素が、設置されてよい。一実施例では、該方法が、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、中央主翼セクション34内の第1の液圧構成要素と右主翼セクション36内の第2の液圧構成要素と左主翼セクション38内の第3の液圧構成要素とを、液圧連結することを含んでよい。
【0047】
主翼アセンブリシステムを設置することは、電気システムを設置することを含んでよい。例えば、電気配線や電気接地構成要素などの電気システムの構成要素が、設置されてよい。主翼アセンブリシステムを設置することは、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、電気接地システムを完成した主翼アセンブリ30内に設置することを含んでよい。一実施例では、該方法が、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、中央主翼セクション34内の第1の電気構成要素と右主翼セクション36内の第2の電気要素と左主翼セクション38内の第3の電気構成要素とを、電気接続することを含んでよい。
【0048】
主翼接合ステーション114内に主翼アセンブリシステムのうちの1以上を設置することによって、主翼アセンブリ30を主たる組み立てライン106に移動させる前に、主翼アセンブリ30の製造が進む。主たる組み立てライン106における製造時間を低減させるために、主翼接合ステーション114内でフローや作業が実行されてよい。
【0049】
製造方法の密封工程ブロック232は、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、完成した主翼アセンブリ30の内面及び/又は外面に対して密封作業を実行すること290を含む。例えば、右及び左主翼セクション36、38と中央主翼セクション34との接合部が密封されてよい。ファスナが密封されてよい。内装構造が密封されてよい。フレーム、燃料システム、液圧システム、電気システムなどの範囲内で、主翼アセンブリシステムの構成要素が密封されてよい。完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、主翼接合ステーション114で、主翼アセンブリ30の密封が完了されてよい。主翼接合ステーション114内で主翼アセンブリ30を密封することによって、主翼アセンブリ30を主たる組み立てライン106に移動させる前に、主翼アセンブリ30の製造が進む。したがって、主たる組み立てライン106での製造時間が低減され得る。
【0050】
製造方法の機能試験工程ブロック240は、主翼アセンブリ30の機能試験292を含む。主翼アセンブリ30の機能試験は、右及び左主翼セクション36、38と中央主翼セクション34との間の接合の機能試験を含んでよい。例えば、機能試験は、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に固定するファスナの試験を含んでよい。機能試験は、接合及び接地要件のためのファスナの電気伝導性の試験を含んでよい。主翼アセンブリ30の機能試験は、主翼アセンブリシステムの試験を含んでよい。例えば、機能試験は、燃料システムの動作や燃料システムの漏れなどに対する、燃料システムの試験を含んでよい。機能試験は、液圧システムの動作や液圧システムの漏れなどに対する、液圧システムの試験を含んでよい。機能試験は、電気システムの配線の電気接続や電気システムの接地接続の電気接続などに対する、電気システムの試験を含んでよい。主翼接合ステーション114内で主翼アセンブリ30の機能試験を行うことによって、主翼アセンブリ30を主たる組み立てライン106に移動させる前に、主翼アセンブリ30の製造が進む。したがって、主たる組み立てライン106での製造時間が低減され得る。
【0051】
製造方法の水洗浄工程ブロック242は、主翼アセンブリ30を水洗浄すること294を含む。主翼アセンブリ30を水洗浄することは、洗浄すること及び空洞の中及び表面上に洗浄液を噴霧することを含む。次いで、溶液はきれいに拭きとられてよい。主翼アセンブリ30を水洗浄することは、主翼アセンブリ30のセクション34、36、38の内面及び/又は外面からデブリを除去することを含む。主翼接合ステーション114内で主翼アセンブリ30を水洗浄することによって、主翼アセンブリ30を主たる組み立てライン106に移動させる前に、主翼アセンブリ30の製造が進む。したがって、主たる組み立てライン106での製造時間が低減され得る。
【0052】
製造方法のタンク閉鎖工程ブロック244は、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、完成した主翼アセンブリ30の燃料タンクを閉鎖すること296を含む。燃料タンクを閉鎖することは、燃料タンクの種々のセクション又は構成要素を共に接合又は連結することを含んでよい。燃料タンクを閉鎖することは、燃料タンクを密封することを含んでよい。中央主翼セクション34を胴体18に接合する前に、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合されるので、中央主翼セクション34と右及び左主翼セクション36、38内の燃料タンクが、主翼接合ステーション114内で接合され閉鎖されてよい。したがって、燃料システム及び燃料タンクは、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させる前に、完成され閉鎖されてよい。
【0053】
図6は、航空機組み立てシステム100用の、一実施例による主翼接合ステーション314の上面図である。主翼接合ステーション314は、主翼接合ステーション114(
図2で示されている)に類似している。しかし、主翼接合ステーション314は、4つの段階を有する単一の処理ラインを有する主翼接合ステーション114とは対照的に、それぞれ3つの段階を有する2つの処理ラインを含む。主翼接合ステーション314内の処理ラインは、主翼接合ステーション114内の処理ラインより少ない段階を有するので、段階のそれぞれで実行される工程は、主翼接合ステーション114で実行される段階とは異なることがある。主翼接合ステーション314のレイアウトは、主翼接合ステーション114のレイアウトとは異なる速度及びタクトタイムを有する、作業管理及び工程管理を可能にすることができる。
【0054】
主翼アセンブリ製造システム330は、主翼接合ステーション314において作業エリア332内に設けられる。主翼アセンブリ製造システム330は、主翼アセンブリ30のセクション34、36、38を接合し、主翼アセンブリ30を処理するために使用されて、完成した主翼アセンブリ30を形成する。それは、主翼接合ステーション314から主翼本体接合ステーション110(
図1で示されている)に移動されてよい。主翼アセンブリ製造システム330は、主翼アセンブリ製造システム130(
図2で示されている)に類似してよく、本明細書で詳細には説明されないが、主翼アセンブリ製造システム330の同様な構成要素は、主翼アセンブリ製造システム130の同様な構成要素と類似したやり方で動作してよい。主翼アセンブリ製造システム330は、コントローラ336を有する位置決めシステム334を含む。主翼アセンブリ製造システム330は、構成要素支持ツール342、344、346を有するモーションシステム340を含む。主翼アセンブリ製造システム330は、追跡デバイス352を有する計測システム350を含む。
【0055】
主翼アセンブリ30に対する様々な処理ステップが、主翼接合ステーション314内で実行されてよい。一実施例では、主翼接合ステーション314が、主翼接合ステーション314を通して主翼アセンブリ30を進めるための各処理ライン内の複数の位置又は段階320を有する。種々の工程が種々の段階320で実行され、主翼アセンブリ30は、最終的に主翼本体接合ステーション110に移動される前に、段階320の間で上流に移動される。図示されている実施例では、主翼接合ステーション314の各処理ラインが、3つの段階320を含む。任意の特定の段階320で遊休時間がほとんどないように、主翼アセンブリ30に対して実行される様々な工程が、種々の段階320で実行される。一実施例では、主翼アセンブリ30が、三日置きに様々な段階320の間で動かされるが、(2つの)処理ラインは二日だけオフセットされている。したがって、完成した主翼アセンブリ30は、二日毎などのタクトで完成し主翼本体接合ステーション110に送られるが、代替的な実施例では、二日毎未満などの他のパルス時間が可能である。
【0056】
第1の段階322では、中央主翼セクション34と右及び左主翼セクション36、38が、作業エリア332の中に積み込まれる。セクション34、36、38は、構成要素支持ツール342、344、346を使用して、作業エリア332の中に積み込まれてよい。コントローラ336は、追跡デバイス352によって受け取られた位置データに基づいて、作業エリア332内で、構成要素支持ツール342、344、346の位置決めを制御してよい。任意選択的に、構成要素支持ツール342、344、346は、セクション34、36、38を所定の位置に積み込んでよく、次いで、計測システム350が、セクション34、36、38の互いに対する位置決めを検証するために使用されてよい。構成要素支持ツール342、344、346の位置は、追跡デバイス352によって検知された実際の位置に基づいて、修正又は更新されてよい。右及び左主翼セクション36、38が中央主翼セクション34に対して方向付けられると、セクション34、36、38の間にシムが設置されてよい。計測システム350を使用して、セクション34、36、38の間のシムの位置決め及び/又はそれらの一群の適切なシムギャップを検証することができる。他の様々な実施例では、シムギャップが、手動で検証されてよく、セクション34、36、38が、検証されたシムギャップに基づいて調整されてよい。
【0057】
主翼アセンブリ製造システム330は、第1の段階322に処理ステーション360を含む。主翼アセンブリ30は、処理ステーション360で処理される。処理ステーション360では、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合される。例えば、穿孔作業が、第1の段階322で実行されてよい。更に、右及び左主翼セクション36、38を中央主翼セクション34に接合するために、ファスナが第1の段階322で設置されてよい。様々な実施例では、主翼アセンブリ30が、第2の段階324で試運転工程を受けてよい。様々な実施例では、主翼アセンブリ30が、第2の段階324で清掃工程を受けてよい。他の様々な実施例では、他の工程が処理ステーション362で行われてよい。
【0058】
第1の段階322で必要な工程が実行されると、主翼アセンブリ30が、第2の段階324に移動される。位置決めシステム334は、第1の段階322と第2の段階324の間の移動を制御する。コントローラ336は、主翼アセンブリ30を第2の段階324に移動させるために、構成要素支持ツール342、344、346を動作させる。作業エリア332内の主翼アセンブリ30の位置は、第2の段階324で追跡デバイス352によって検証されてよい。
【0059】
主翼アセンブリ製造システム330は、第2の段階324に処理ステーション362を含む。処理ステーション362に、主翼アセンブリシステムが設置されてよい。主翼アセンブリシステムは、中央主翼セクション34と右主翼セクション36の間及び/又は中央主翼セクション34と左主翼セクション38の間などで、主翼アセンブリ30にわたり設置されてよい。例えば、燃料タンクや燃料ラインなどの燃料システムの構成要素が設置されてよい。液圧ラインや液圧ポンプなどの液圧システムの構成要素が設置されてよい。電気接地構成要素などの電気システムの構成要素が設置されてよい。主翼接合ステーション314内で主翼アセンブリ30を完成させることによって、主翼アセンブリ30が胴体18に接合される前に、主翼アセンブリシステムの構成要素が設置されてよい。そのようにして、航空機10の全体のアセンブリ及び製造時間を低減させることができる。主翼アセンブリ30が、主たる組み立てライン106に移動され、胴体18に接合される前に、主翼アセンブリシステムが、主翼接合ステーション314及び二次的な組み立てライン108内で完成され得るので、主たる組み立てライン106における組み立て及び製造時間が低減され得る。
【0060】
様々な実施例では、主翼アセンブリ30の構成要素が、第2の段階324で密封されてよい。例えば、中央主翼セクション34及び/又は右主翼セクション36及び/又は左主翼セクション38の内面が密封されてよい。主翼アセンブリシステムの構成要素が密封されてよい。例えば、燃料システムが密封されてよい。他の様々な実施例では、他の工程が処理ステーション362で行われてよい。
【0061】
第2の段階324で必要な工程が実行されると、主翼アセンブリ30が、第3の段階326に移動される。位置決めシステム334は、第2の段階324と第3の段階326の間の移動を制御する。コントローラ336は、主翼アセンブリ30を第3の段階326に移動させるために、構成要素支持ツール342、344、346を動作させる。作業エリア332内の主翼アセンブリ30の位置は、第3の段階326で追跡デバイス352によって検証されてよい。
【0062】
主翼アセンブリ製造システム330は、第3の段階326に処理ステーション364を含む。処理ステーション364で、主翼30の構成要素が機能試験を受けてよい。例えば、ファスナが試験されてよい。主翼アセンブリシステムが、試験されてよい。例えば、燃料システム、液圧システム、電気システム、又は他のシステムが、試験されてよい。主翼アセンブリ30の密封が、試験されてよい。処理ステーション364で、主翼アセンブリ30が水洗浄を受けてよい。処理ステーション364で、燃料システムのタンクが閉鎖されてよい。他の様々な実施例では、他の工程が処理ステーション364で行われてよい。
【0063】
第3の段階326で必要な工程が実行されると、主翼アセンブリ30が、完成し、主翼本体接合ステーション110に移動されるように構成される。位置決めシステム334は、主翼本体接合ステーション110への移動を制御してよい。他の様々な実施例では、完成した主翼アセンブリ30が、モーションシステム340の構成要素支持ツール342、344、346から、完成した主翼アセンブリ30を主翼本体接合ステーション110に移動させるためのクローラーなどの、別の構成要素に移動されてよい。
【0064】
図7は、主翼接合ステーション314の1つの処理ラインの段階322、324、326を通って進む主翼アセンブリ30を示す、主翼接合ステーション314の一部分の斜視図である。右及び左主翼セクション36、38は、主翼接合ステーション314で中央主翼セクション34に接合される。
図7は、主翼ボックスフレーム52及び主翼ボックス外板54を示す、中央主翼セクション34の主翼ボックス50を示している。主翼ボックス外板54は、上側外板56と下側外板58を含む。主翼ボックスフレーム52は、前部ボックススパー60と後部ボックススパー62を含む。主翼ボックスフレーム52は、前部及び後部ボックススパー60、62の間で延在する、ボックスリブ64及び/又は翼長ビームを含む。ボックスリブ64は、外板56、58の上下で延在してよい。下側竜骨ビーム66は、主翼ボックス50を支持する。右及び左主翼セクション36、38が、主翼ボックス50に接合される。例えば、主翼セクション36、38は、ファスナ及び/又はブラケットなどを使用して、前部及び後部ボックススパー60、62並びに/又はボックスリブ64並びに/又は翼長ビームにおいて、主翼ボックスフレーム52に接合される。各主翼セクション36、38の外板70、72は、それぞれ、ファスナなどを使用して、上側外板56や下側外板58などの主翼ボックス外板54に接合されてよい。
【0065】
作業員が主翼アセンブリ30に対して安全に作業することを可能にするために、主翼アセンブリ30の周りに位置決めされた作業プラットフォーム388が、
図7で示されている。作業プラットフォーム388は、作業員が、穿孔する、ファスナを設置する、又は、主翼アセンブリ30を清掃する、主翼アセンブリ30を密封する、主翼アセンブリ30内にシステムを設置するなどの、主翼アセンブリ30に対する他の工程を実行するなどのために、主翼アセンブリ30の上側及び下側表面にアクセスすることを可能にする。
【0066】
モーションシステム340は、作業エリア332内で、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38を支持する。例えば、中央主翼セクション34は、キャリッジ384によって支持されてよい。図示されている実施例では、右主翼セクション構成要素支持ツール344が、右主翼セクション36を支持するクローラー390を含む。クローラー390は、支持面の垂直姿勢を制御するために上下させることができるジャッキタワー394を有する。クローラー390は、右主翼セクション36を支持するために、支持ビーム392が間に連結された状態で、右主翼セクション36の前と後に位置決めされてよい。他の様々な実施例では、クローラー390が、右主翼セクション36を支持するために、右主翼セクション36の真下に設けられてよい。複数のクローラー390を使用するときに、クローラー390の移動は、位置決めシステム334(
図6で示されている)を使用するなどして、組織的に調整されてよい。他の様々な実施例では、クローラーを使用するよりむしろ、右主翼セクション構成要素支持ツール344が、レール上の1以上のキャリッジを含んでよい。図示されている実施例では、左主翼セクション構成要素支持ツール346が、左主翼セクション38を支持するクローラー390を含む。クローラー390は、左主翼セクション38を支持するために、支持ビーム396が間に連結された状態で、左主翼セクション38の前と後に位置決めされてよい。他の様々な実施例では、クローラー390が、左主翼セクション38を支持するために、左主翼セクション38の真下に設けられてよい。複数のクローラー390を使用するときに、クローラー390の移動は、位置決めシステム334を使用するなどして、組織的に調整されてよい。他の様々な実施例では、クローラーを使用するよりむしろ、左主翼セクション構成要素支持ツール346が、レール上の1以上のキャリッジを含んでよい。
【0067】
構成要素支持ツール342、344、346は、主翼接合ステーション314内で主翼アセンブリ30を次の段階に移動させるために使用されてよい。様々な実施例では、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合されると、構成要素支持ツール342、344、346のうちの1以上が、ラインから外されてよい。例えば、右及び左主翼セクション36、38が、中央主翼セクション34に接合されると、構成要素支持ツール344、346は、不必要であるだろう。そのような実施例では、中央主翼セクション構成要素支持ツール342を使用して、全体の主翼アセンブリ30を支持し、主翼接合ステーション314の様々な段階の間で主翼アセンブリ30を移動させることができる。他の実施例では、構成要素支持ツール344、346を使用して、主翼アセンブリ30を下流の段階まで支持しすることができ、したがって、右及び左主翼セクション36、38が中央主翼セクション34に接合された後で、中央主翼セクション構成要素支持ツール342は必要でなくなる。
【0068】
図8は、主翼接合ステーション314の1つの処理ラインの段階322、324、326を通って進む主翼アセンブリ30を示す、主翼接合ステーション314の一部分の斜視図である。作業プラットフォーム388は、段階322、324、326のそれぞれに設けられる。モーションシステム340は、作業エリア332内で、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38を支持する。例えば、セクション34、36、38は、レール386上のキャリッジ384によって支持される。キャリッジ384の移動は、位置決めシステム334を使用するなどして、組織的に調整されてよい。作業プラットフォーム388は、対応する段階322、324、326で実行される1以上の工程ステップの処理を向上させるためなどに、温室(hot house)を含んでよい。
【0069】
図9は、段階122、124、126、128を通って進む主翼アセンブリ30を示す、主翼接合ステーション114の斜視図である。作業プラットフォーム188が、段階122、124、126に設けられる。モーションシステム140は、作業エリア132内で、中央主翼セクション34、右主翼セクション36、及び左主翼セクション38を支持する。例えば、第1の段階122で、セクション34、36、38は、レール186上のキャリッジ184によって支持される。段階122、124、126、128の間の移動は、クレーン180によって実行されてよい。主翼アセンブリ30を支持するために、ジャッキタワー198が第2及び第3の段階124、126に設けられるが、ポゴタワーなどの他の種類の支持体が使用されてよい。クレーン180が、主翼アセンブリ30を位置決めし、ジャッキタワー198又はポゴタワーが、主翼アセンブリ30を支持するように位置決めされてよい。クローラー182は、第4の段階128で主翼アセンブリ30を支持する。クローラー182を使用して、主翼アセンブリ30を、主翼接合ステーション114から主翼本体接合ステーション110に移動させることができる。
【0070】
更に、本開示は、下記の条項による実施形態を含む。
1.
航空機の胴体に接合される主翼アセンブリを製造する方法であって、
中央主翼セクションを主翼接合ステーションの中に積み込むこと、
右主翼セクションを前記主翼接合ステーションの中で前記中央主翼セクションの近くに積み込むこと、
左主翼セクションを前記主翼接合ステーションの中で前記中央主翼セクションの近くに積み込むこと、
完成した主翼アセンブリを形成するために、前記右及び左主翼セクションを前記中央主翼セクションに接合すること、
前記完成した主翼アセンブリを処理ステーションに移動させること、
前記処理ステーションで前記完成した主翼アセンブリに対して穿孔作業を実行すること、
前記処理ステーションで前記完成した主翼アセンブリ内にファスナを設置すること、及び
前記完成した主翼アセンブリを前記胴体に接合するために、前記完成した主翼アセンブリを主翼本体接合ステーションに移動させることを含む、方法。
2.
前記完成した主翼アセンブリを移動させることが、前記右及び左主翼セクションが接合された前記中央主翼セクションを、前記胴体から独立したユニットとして、前記主翼接合ステーションと前記処理ステーションとの間で移動させることを含む、条項1に記載の方法。
3.
少なくとも1つの構成要素支持ツールを有するモーションシステムを設けることを更に含み、前記中央主翼セクションを積み込むことが、前記少なくとも1つの構成要素支持ツールを使用して前記中央主翼セクションを積み込むことを含み、前記右主翼セクションを積み込むことが、前記少なくとも1つの構成要素支持ツールを使用して前記右主翼セクションを積み込むことを含み、前記左主翼セクションを積み込むことが、前記少なくとも1つの構成要素支持ツールを使用して前記左主翼セクションを積み込むことを含む、条項1又は2に記載の方法。
4.
前記完成した主翼アセンブリを移動させることが、
前記中央主翼セクション、前記右主翼セクション、及び前記左主翼セクションのうちの少なくとも1つを支持する構成要素支持ツールを有するモーションシステムを設けること、及び
前記構成要素支持ツールをレール上で前記主翼接合ステーションと前記処理ステーションとの間で移動させることを含む、条項1又は2に記載の方法。
5.
前記完成した主翼アセンブリを移動させることが、
前記中央主翼セクション、前記右主翼セクション、及び前記左主翼セクションのうちの少なくとも1つを支持する構成要素支持ツールを有するモーションシステムを設けること、及び
前記構成要素支持ツールをクレーン又はクローラーによって前記主翼接合ステーションと前記処理ステーションとの間で移動させることを含む、条項1又は2に記載の方法。
6.
前記中央主翼セクション、前記右主翼セクション、及び前記左主翼セクションを位置特定するための追跡デバイスを有する計測システムを設けることを更に含み、前記完成した主翼アセンブリを前記処理ステーションに移動させることが、前記追跡デバイスを使用して前記処理ステーション内で前記完成した主翼アセンブリを位置特定することを含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
7.
前記完成した主翼アセンブリを前記処理ステーションに移動させることが、コントローラを有する位置決めシステムを使用して、前記中央主翼セクション、前記右主翼セクション、及び前記左主翼セクションの相対的な位置を追跡し、前記処理ステーション内で前記中央主翼セクション、前記右主翼セクション、及び前記左主翼セクションを位置特定することを含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
8.
前記完成した主翼アセンブリを前記処理ステーションに移動させることが、前記完成した主翼アセンブリを第1の処理ステーションに移動させること、及び前記完成した主翼アセンブリを第2の処理ステーションに移動させることを含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
9.
前記完成した主翼アセンブリを前記処理ステーションに移動させることが、前記完成した主翼アセンブリを第1の処理ステーションに移動させること、及び前記完成した主翼アセンブリを第2の処理ステーションに移動させることを含み、前記完成した主翼アセンブリに対して穿孔作業を実行することが、前記第1の処理ステーションにおいて前記完成した主翼アセンブリに対して穿孔作業を実行すること、及び前記第2の処理ステーションにおいて前記完成した主翼アセンブリに対して穿孔作業を実行することを含み、前記完成した主翼アセンブリ内にファスナを設置することが、前記第1の処理ステーションにおいて前記完成した主翼アセンブリ内にファスナを設置すること、及び前記第2の処理ステーションにおいて前記完成した主翼アセンブリ内にファスナを設置することを含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
10.
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリの試運転を実行することを更に含む、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
11.
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリ内に電気接地システムを設置することを更に含む、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
12.
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリの内面に対して密封作業を実行することを更に含む、条項1から11のいずれか一項に記載の方法。
13.
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリの燃料タンクを閉鎖することを更に含む、条項1から12のいずれか一項に記載の方法。
14.
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリの密封を完了することを更に含む、条項1から13のいずれか一項に記載の方法。
15.
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記中央主翼セクション内の第1の燃料構成要素と前記右主翼セクション内の第2の燃料構成要素と前記左主翼セクション内の第3の燃料構成要素とを、通じさせるように連結することを更に含む、条項1から14のいずれか一項に記載の方法。
16.
前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記中央主翼セクション内の第1の液圧構成要素と前記右主翼セクション内の第2の液圧構成要素と前記左主翼セクション内の第3の液圧構成要素とを、液圧連結することを更に含む、条項1から14のいずれか一項に記載の方法。
17.
右及び左主翼セクションを中央主翼セクションに接合するための主翼アセンブリ製造システムであって、
製造施設内で前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションを支持し且つ移動させるための、少なくとも1つの構成要素支持ツールを有するモーションシステム、
前記製造施設内で前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションを位置特定するための追跡デバイスを有する計測システム、及び
前記追跡デバイスに通信可能に接続されたコントローラを有し、前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションの位置データを受け取る、位置決めシステムであって、前記コントローラが、前記少なくとも1つの構成要素支持ツールと動作可能に接続されて、前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションに関する前記位置データに基づいて、前記製造施設内における構成要素支持ツールの相対的な位置決めを制御する、位置決めシステムを備え、
前記位置決めシステムは、前記モーションシステムに、胴体(18)に接合されるように構成された完成した主翼アセンブリの、主翼本体接合ステーションへの移動を実行させる前に、前記完成した主翼アセンブリを形成するために、前記右及び左主翼セクションを前記中央主翼セクションに接合するべく、前記右主翼セクションと前記左主翼セクションを前記中央主翼セクションに対して位置決めするように前記モーションシステムを動作させる、主翼アセンブリ製造システム。
18.
前記位置決めシステムが、最初に、前記中央主翼セクションと前記右及び左主翼セクションを、前記右及び左主翼セクションが前記中央主翼セクションに接合される主翼接合ステーション内に位置決めし、前記位置決めシステムが、前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記完成した主翼アセンブリを、前記完成した主翼アセンブリを処理するための処理ステーションに移動させる、条項17に記載の主翼アセンブリ製造システム。
19.
前記位置決めシステムは、前記完成した主翼アセンブリを前記主翼本体接合ステーションに移動させる前に、前記構成要素支持ツールに、前記完成した主翼アセンブリの、前記主翼アセンブリに対して少なくとも1つの作業が実行される第1の処理ステーションへの移動を実行させ、更に前記構成要素支持ツールに、前記完成した主翼アセンブリの、前記主翼アセンブリに対して少なくとも1つの作業が実行される第2の処理ステーションへの移動を実行させる、条項17又は18に記載の主翼アセンブリ製造システム。
20.
前記計測システムの前記追跡デバイスが、1以上のレーザービームを使用して、前記右主翼セクション、前記左主翼セクション、及び前記中央主翼セクションの位置を特定するように構成された、レーザー追跡デバイスを含む、条項17から19のいずれか一項に記載の主翼アセンブリ製造システム。
【0071】
上記の説明は、限定ではなく、例示を意図するものであることを理解するべきである。例えば、上記の実施例(及び/又はそれらの態様)は、互いに組み合わせて使用されてよい。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に特定の状況又は材料を適合させるために、多数の修正を加えることが可能である。本明細書で説明している寸法、材料の種類、様々な構成要素の配向、並びに、様々な構成要素の数及び位置は、一定の実施形態のパラメータを規定することを意図しており、決して限定するものでは実施例、実施例形態に過ぎない。特許請求の本質及び範囲に含まれる多くの他の実施例及び改変は、上記の説明を読むことによって、当業者にとって明らかになるであろう。したがって、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びこうした特許請求の範囲が認められる均等物の全範囲を参照して、決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「そこにおいて(in which)」という語は、それぞれ、「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」という語の明白な同義語として使用される。更に、以下の特許請求の範囲では、「第1の」「第2の」、及び「第3の」などの表現は、単なる標識として使用されるものであり、それらの対象物の数値的要件を課すことを意図していない。更に、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズ・プラス・ファンクション形式で記述されておらず、こうした特許請求の範囲の限定が、「のための手段(means for)」という言い回しを明示的に使用せず、さらなる構造を持たない機能の記述がそれに続かない限り、米国特許法第112条、段落(f)に基づいて解釈されることを意図していない。