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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】光学的検出システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20231013BHJP
【FI】
G01N21/3504
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019204916
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2020095022
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】16/220,485
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ケー・メフォード
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エー・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アール・ローウェル
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-321350(JP,A)
【文献】特開2018-087748(JP,A)
【文献】特開2016-170056(JP,A)
【文献】実開昭52-165681(JP,U)
【文献】特開2013-024826(JP,A)
【文献】特開平09-138194(JP,A)
【文献】特開平04-151546(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045266(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット(152)に光ビームを向けること(302)と、
複数の検査センサの中から前記ターゲット(152)から受けた放射との比較を行うための第一検査化学物質(130)を備える第一検査センサ(128)を選択すること(306)と、
前記ターゲット(152)から反射又は散乱光ビームを受けること(310)と、
線形検出器アレイ(144、146)を用いて、受けた前記反射又は散乱光ビームのスペクトルと前記第一検査化学物質からの第一スペクトルの比較を行うこと(312)と、
ハードウェアプロセッサを用いて、前記比較に基づいて前記ターゲット(152)から推定される化学物質の決定を行うこと(314)と、
前記決定に基づいて出力を提供すること(316)と、を備え、
前記複数の検査センサの各々が、異なる検査化学物質で含浸されたナノ物質を備える、光学的検出方法。
【請求項2】
前記複数の検査センサの中から前記ターゲット(152)から受けた放射との比較を行うための第二検査化学物質(134)を備える第二検査センサ(132)を選択すること(402)と、
前記線形検出器アレイ(144、146)を用いて、受けた前記反射又は散乱光ビームのスペクトルと前記第二検査化学物質からの第二スペクトルの比較を行うこと(404)と、
前記ハードウェアプロセッサを用いて、前記ターゲットから推定される化学物質が前記第一スペクトル又は第二スペクトルに近いかどうかの決定を行うこと(406)と、を更に備える請求項1に記載の光学的検出方法。
【請求項3】
前記向けること(302)が、ビームエキスパンダ(120)で前記光ビームを広げること(304)と、前記ターゲット(152)における前記光ビームが複数の空間的にずらされた光ビームを備えるようにビームステアリングミラー(122)で前記光ビームをステアリングすることとを更に備える、請求項1又は2に記載の光学的検出方法。
【請求項4】
前記選択すること(306)が、前記第一検査センサ(128)から前記第一検査化学物質(130)を放出するのに十分な温度に前記第一検査センサ(128)を加熱すること(308)を更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載の光学的検出方法。
【請求項5】
前記第一検査センサ(128)が、前記ターゲット(152)から推定される化学物質の初期評価に基づいて選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の光学的検出方法。
【請求項6】
前記複数の検査センサの各検査センサが、前記出力を提供する前に検査される、請求項1からのいずれか一項に記載の光学的検出方法。
【請求項7】
ターゲット(152)に光ビームを向けるように構成され、且つ、複数の検査センサの中から前記ターゲット(152)から受けた放射との比較を行うための第一検査化学物質(130)を備える第一検査センサ(128)を選択するように構成されたトランスミッタ(118)と、
前記ターゲット(152)から反射又は散乱光ビームを受けるように構成されたレシーバ(142)と、
受けた前記反射又は散乱光ビームのスペクトルと前記第一検査化学物質(130)からの第一スペクトルの比較を行うように構成された線形検出器アレイ(144、146)と、
前記比較に基づいて前記ターゲット(152)から推定される化学物質の決定を行うように構成されたハードウェアプロセッサ(150)と、
前記決定に基づいて出力を提供するように構成された出力インタフェース(148)と、を備え、
前記複数の検査センサの各々が、異なる検査化学物質で含浸されたナノ物質を備える、光学的検出装置。
【請求項8】
前記複数の検査センサの各々が、異なる検査化学物質を有するカプセルを備える、請求項に記載の光学的検出装置。
【請求項9】
前記トランスミッタ(118)が、前記第一検査センサ(128)から前記第一検査化学物質(130)を放出するのに十分な温度に前記第一検査センサ(128)を加熱するように構成された熱源(140)を更に備える、請求項7又は8に記載の光学的検出装置。
【請求項10】
前記トランスミッタ(118)が、前記光ビームを広げるように構成されたビームエキスパンダ(120)と、前記ターゲット(152)における前記光ビームが複数の空間的にずらされた光ビーム(154)を備えるように前記光ビームをステアリングするように構成されたビームステアリングミラー(122)と、を更に備える、請求項からのいずれか一項に記載の光学的検出装置。
【請求項11】
統合近赤外線コムデバイス(104)と統合中赤外線コムデバイス(106)との一方又は両方を備え、前記統合近赤外線コムデバイス(104)と統合中赤外線コムデバイス(106)の出力が前記トランスミッタ(118)に提供される、請求項から10のいずれか一項に記載の光学的検出装置。
【請求項12】
前記レシーバ(142)が、前記ターゲット(152)から反射又は散乱光ビームを受けるように構成されたビーム集束デバイス(138)と、前記線形検出器アレイ(144、146)に一つ以上の走査光ビームを提供するように構成された一つ以上の走査ミラー(142)と、を更に備える、請求項から11のいずれか一項に記載の光学的検出装置。
【請求項13】
前記第一検査センサ(128)が、前記ターゲット(152)から推定される化学物質の初期評価に基づいて選択される、請求項から12のいずれか一項に記載の光学的検出装置。
【請求項14】
前記複数の検査センサの各検査センサが、前記出力を提供する前に検査される、請求項から13のいずれか一項に記載の光学的検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学物質検出用のシステム及び方法に関する。特に、本開示は、照合基準を用いる光吸収検出を用いた遠隔化学物質検出システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大気中の化学物質の雲(cloud)の特定の成分を、その雲を構成している分子のスペクトル分析によって検出することが、当該分野において知られている。この種の化学物質検出は多くの応用を有し、埋設管からの天然ガスの漏れ、化学物質流出による化学物質の雲、化学的プロセスからの揮発性有機化合物(VOC)、煙突等からの汚染、軍事用化学兵器、大気中に存在する他の有毒ガスを検出することが挙げられる。典型的には、このタイプの化学物質の雲のスペクトル分析は遠隔で行われ、場合によっては10~20km離れて行われる。何故ならば、雲の成分は有毒であり得るので、健康への脅威となり、又は、化学物質の雲を直接検出することが可能ではないものとなり得るからである。この遠隔タイプの受動的検知のために検出設備をその雲から離さなければならない距離は、具体的な応用に依存するので、多種多様な応用のための多種多様なシステムが存在している。
【0003】
このタイプの検出及び分析を行うためには、分光計、例えばフーリエ変換赤外線(FTIR)分光計を化学物質の雲に離れた場所から向けて、そこからの放射を受動的に受ける。典型的な光吸収検出システムは、互いに独立して動作し、検出用に十分な種を吸収するのに長い光路長を要する。分光計が放射から生成するスペクトル表示は、雲の原子や分子を示す特定の波長において輝線と発光帯とを与える。各物質は、その分子を表す固有のスペクトル「フィンガープリント」を有するので、検出されたスペクトル表示を特定の化学物質の既知の「フィンガープリント」と比較して、雲の中にその化学物質が存在するかどうかを決定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法の多様な問題点に対処するように改善された遠隔化学物質検出システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の例に従って提供される光学的検出方法は、ターゲットに光ビームを向けることと、複数の検査センサの中からターゲットから受けた放射との比較を行うための第一検査化学物質を備える第一検査センサを選択することと、ターゲットから反射又は散乱光ビームを受けることと、線形検出器アレイを用いて、受けた反射又は散乱光ビームのスペクトルと第一検査化学物質からの第一スペクトルの比較を行うことと、ハードウェアプロセッサを用いて、比較に基づいてターゲットから推定される化学物質の決定を行うことと、決定に基づいて出力を提供することと、を備える。
【0006】
一部例では、光学的検出方法は、複数の検査センサの中からターゲットから受けた放射との比較を行うための第二検査化学物質を備える第二検査センサを選択することと、線形検出器アレイを用いて、受けた反射又は散乱光ビームのスペクトルと第二検査化学物質からの第二スペクトルの比較を行うことと、ハードウェアプロセッサを用いて、ターゲットから推定される化学物質が第一スペクトル又は第二スペクトルに近いかどうかの決定を行うことと、を更に備える。
【0007】
一部例では、複数の検査センサの各々は、異なる検査化学物質で含浸されたナノ物質を備える。一部例では、向けることは、ビームエキスパンダで光ビームを広げることと、ターゲットにおける光ビームが複数の空間的にずらされた光ビームを備えるようにビームステアリングミラーで光ビームをステアリングすることとを更に備える。一部例では、選択することは、第一検査センサから第一検査化学物質を放出するのに十分な温度に第一検査センサを加熱することを更に備える。一部例では、第一検査センサは、ターゲットから推定される化学物質の初期評価に基づいて選択される。一部例では、複数の検査センサの各検査センサは、出力を提供する前に検査される。
【0008】
本開示の例によると、光学的検出装置が提供される。光学的検出装置は、ターゲットに光ビームを向けるように構成され且つ複数の検査センサの中からターゲットから受けた放射との比較を行うための第一検査化学物質を備える第一検査センサを選択するように構成されたトランスミッタと、ターゲットから反射又は散乱光ビームを受けるように構成されたレシーバと、受けた反射又は散乱光ビームのスペクトルと第一検査化学物質からの第一スペクトルの比較を行うように構成された線形検出器アレイと、比較に基づいてターゲットから推定される化学物質の決定を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、決定に基づいて出力を提供するように構成された出力インタフェースと、を備える。一部例では、複数の検査センサの各々は、異なる検査化学物質で含浸されたナノ物質を備える。一部例では、複数の検査センサの各々は、異なる検査化学物質を有するカプセルを備える。一部例では、トランスミッタは、第一検査センサから第一検査化学物質を放出するのに十分な温度に第一検査センサを加熱するように構成された熱源を更に備える。一部例では、トランスミッタは、光ビームを広げるように構成されたビームエキスパンダと、ターゲットにおける光ビームが複数の空間的にずらされた光ビームを備えるように光ビームをステアリングするように構成されたビームステアリングミラーと、を更に備える。一部例では、光学的検出装置は、統合近赤外線コムデバイスと統合中赤外線コムデバイスとの一方又は両方を備え、統合近赤外線コムデバイスと統合中赤外線コムデバイスの出力がトランスミッタに提供される。一部例では、レシーバは、ターゲットから反射又は散乱光ビームを受けるように構成されたビーム集束デバイスと、線形検出器アレイに一つ以上の走査光ビームを提供するように構成された一つ以上の走査ミラーと、を更に備える。一部例では、第一検査センサが、ターゲットから推定される化学物質の初期評価に基づいて選択される。一部例では、複数の検査センサの各検査センサは、出力を提供する前に検査される。
【0009】
以上の一般的な説明と以下の詳細な説明はいずれも、単に例示的で説明的なものであって、特許請求される本教示を限定するものではないことを理解されたい。
【0010】
本明細書に組み込まれてその一部を成す添付図面は、明細書と共に本教示の態様を例示し、本教示の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態にかかる照合基準を用いた化学物質検出用の光学的検出システムのブロック図を示す。
図2図1のブロック図の概略図を示す。
図3】一実施形態に係る光学的検出方法300を示す。
図4】一実施形態に係る光学的検出方法400を示す。
図5】本開示の例に係る光学的検出方法300によって生成可能な例示的なスペクトル500を示す。
図6】基準化学物質を含まない例示的なスペクトル600を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面の一部の詳細は、構造的な精度、詳細、縮尺を厳密に維持するよりはむしろ理解を促進するために単純化されて描かれている点に留意されたい。
【0013】
以下、本教示を詳細に説明するが、本教示の例は添付図面に例示されている。図面全体にわたって同様の参照番号が同一の要素を指称するために使用されている。以下の説明では、その一部を成す添付図面を参照するが、図面には本教示を実施する具体的な例が例示として示されている。従って、以下の説明は単に例示的なものである。
【0014】
概説すると、本開示の態様は、バックグラウンドの中から目標箇所において化学物質を「引いて」(pull)、その化学物質のスペクトルを一種以上の検査化学物質のスペクトルと比較する性能を与える照合吸収フィルタを用いる光学的検出システム及び方法を提供する。バックグラウンドと混合された低濃度化合物の吸収を介する光学的検出が、バックグラウンドを有さない照合光吸収特徴の光学的組み合わせによって増強される。照合特徴は、検出システムによって決定されて、照合吸収特徴を放出するための源としても機能する。本光学的検出システム及び方法は、(1)バックグラウンドの特徴と光学的に組み合わされた照合化学物質吸収特徴の使用、(2)化学物質放出を決定する直交センサの使用、(3)光吸収検出用の対象化学物質の放出を生じさせる同じ直交センサタイプの使用を与える。本光学的検出システム及び方法は、化学物質(TNT(トリニトロトルエン)が挙げられるが、これに限定されない)のガス出力の照合を向上させる。
【0015】
本光学的検出システム及び方法はナノチューブ化学センサを使用することができ、ナノチューブ化学センサは、ナノチューブに結合した化学物質を放出するように加熱可能であり、光ビームで放出された化学物質を探査する。本光学的検出システム及び方法は環境を探査し、環境中に推定される化学物質を決定するために減算的な決定を用いる。ナノチューブは、加熱されると化学物質が放出される化学結合で機能化された表面を含み得る。光ビームを放出ガスに向けて分析して、その環境がその化学物質を含むかどうかを決定する。本光学的検出システム及び方法は、吸収分光法又は発光分光法のいずれかで化学物質の分光法を用いることができる。本光学的検出システム及び方法は、あらゆるタイプの環境監視、爆発物検出、煙突における環境問題、汚染モニタ、火災検出に使用可能である。
【0016】
図1は、一実施形態に係る照合基準を用いた化学物質検出用の光学的検出システム100のブロック図を示す。光学的検出システム100は、光ビームを生成して制御するように構成されている光学システムと制御システムとネットワーク102素子を備える。光学的検出システム100の光学システムは、一つ以上の統合近赤外線(「NIR」)周波数コム104レーザシステムと統合中赤外線(「MIR」)周波数コム106レーザシステムを含み得る。周波数コムレーザシステムは、そのスペクトルが一連の離散的で等しい間隔の周波数ラインで構成されているレーザ源である。周波数コムレーザは、色々なメカニズムで発生可能であり、連続波レーザの(振幅と位相の)周期的変調、非線形媒体での四波混合、モードロックレーザーによって発生させたパルス列の安定化が挙げられる。非限定的な一例では、周波数コム発生に用いられるレーザは、Ti:サファイア固体レーザやEr:ファイバレーザであり得て、典型的には100MHzから1GHzまで、更には10GHzの高さまでの間の繰り返し率を有する。
【0017】
また、光学システムと制御システムとネットワーク102素子は、統合NIR周波数コム104と統合MIR周波数コム106の動作を制御するように構成されているコントローラ110も含む。また、光学システムと制御システムとネットワーク102は、ネットワークインタフェース114とアンテナ116も含む。グローバルポジショニングシステム(「GPS」)モジュール108がコントローラ110及びマスタコントローラ112と通信し得る。また、光学システムと制御システムとネットワーク102素子は、ユーザへの出力、及び/又は、ネットワークインタフェース114及びアンテナ116によってネットワーク上のコンピュータシステムに提供される出力を提供するように構成されている出力インタフェースも備える。
【0018】
また、光学的検出システム100はトランスミッタ118も備える、トランスミッタ118は、NIR周波数コム104レーザシステム及び/又はMIR周波数コム106レーザシステムからターゲット152に向けて光ビームを向けるように構成されている。トランスミッタ118は、光ビームを広げるように構成されているビームエキスパンダ120と、光ビームをステアリングするように構成されたビームステアリングミラー122とを備え得て、ターゲット118における光ビームが複数の空間的にずらされた光ビームを備え得る。
【0019】
また、光学的検出システム100は点検出ユニット124も備え、その点検出ユニット124は、複数の検査センサ126の中から、ターゲット152から受けた放射との比較を行うのに用いられる検査センサを選択するように構成されている。複数の検査センサ126は第一検査センサ128、第二検査センサ130、…、第n検査センサ132を含む。第一検査センサ128は第一検査化学物質130を備え、第二検査センサ132は第二検査化学物質134を備え、第n検査センサ136は第n検査化学物質138を備える。複数の検査センサ126の各々は、異なる検査化学物質で含浸されたナノ物質を備える。複数の検査センサ126の各々は、異なる検査化学物質を有するカプセルを備え得る。また、点検出ユニット124は熱源134も含み得て、その熱源134は、複数の検査センサ126のうちの一つ以上を、検査センサから各検査化学物質を放出するのに十分な温度に加熱するように構成されている。非限定的な一例では、単層カーボンナノチューブ物質を、10ppm以下の感度レベルで硫化水素、硫黄マスタード、又はあらゆる数の他の化学物質を検出するための分子認識用の天然受容体を模倣するように機能化させることができる。
【0020】
レシーバ142は、ターゲット152から反射又は散乱光ビームを受けるように構成されている。レシーバ142は、ターゲット152から複数の散乱光ビーム及び/又は反射光ビームを集束させることによって、ビームエキスパンダ120を逆に動作させるように構成されているビームコンデンサ138及びカメラ140を備える。また、レシーバ142は、NIR用の線形検出器アレイ144及び/又はMIR用の線形検出器アレイ146も備え、その出力はレシーバ電子機器148によって受けられて、プロセッサ、例えば中央処理ユニット(「CPU」)やグラフィックス処理ユニット(「GPU」)150によって処理される。NIR用の線形検出器アレイ144及び/又はMIR用の線形検出器アレイ146は、一種以上の検査化学物質からの一つ以上のスペクトル、例えば、第一検査化学物質からの第一スペクトルを、ターゲット152から受けた反射又は散乱光ビームのスペクトルと比較するように構成されている。GPU150等のプロセッサは、プロセッサの結果に基づいて、ターゲット152から推定される化学物質を決定するように構成されている。
【0021】
図2は、光学的検出システム100の概略図200を示し、追加的な詳細を示している。統合NIR周波数コム104、統合MIR周波数コム106は、それぞれ、第一複数の空間表示光ビーム154、第二複数の空間表示光ビーム156を生成するように構成されている。第一複数の空間表示光ビーム154と第二複数の空間表示光ビーム156の一部を第一ミラー158によって点検出ユニット124に向ける。点検出ユニット124からの放射は第二ミラー160によってレシーバ142に向けられ、ビームスプリッタ162及び/又は回折格子若しくはプリズム139によってターゲット152から受けた放射と組み合わされて、NIR用の線形検出器アレイ144及び/又はMIR用の線形検出器アレイ146と、レシーバ電子機器148と、GPU150によって分析される。
【0022】
図3は、本開示の例に係る光学的検出方法300を示す。光学的検出方法300は、302において、光ビームをターゲット152に向けることで開始する。一部例では、その向けることは、304において、ビームエキスパンダでビームを広げて、ビームステアリングミラーで光ビームをステアリングすることを更に備える。ターゲット152における光ビームは、複数の空間的にずらされた光ビームを備える。
【0023】
光学的検出方法300は、306において、複数の検査センサ126の中からターゲット152から受けた放射との比較を行うための第一検査センサ128を選択することで続行し得る。一部例では、その選択することは、308において、第一検査センサ128から第一検査化学物質130を放出するのに十分な温度に第一検査センサ128を加熱することを更に備え得る。第一検査センサ128は第一検査化学物質130を備え得て、第二検査センサ132は第二検査化学物質134を備え得て、…、第n検査センサ136は第n検査化学物質138を備え得る。複数の検査センサ126の各々は、異なる検査化学物質で含浸されたナノ物質を備え得る。
【0024】
光学的検出方法300は、310において、ターゲット152から反射又は散乱光ビームを受けることで続行し得る。光学的検出方法300は、312において、線形検出器アレイ144、146を用いて、上記で受けた反射又は散乱光ビームのスペクトルと第一検査化学物質130からの第一スペクトルを比較することで続行し得る。例えば、トランスミッタ118によって、局所的な大気を調べ得る。検査センサ、例えば第一検査センサ128を加熱して、第一検査化学物質130を放出する。検査センサ、例えば第一検査センサ128に取り込まれた局所的な大気を、トランスミッタ118から第一ミラー158によって分離された光ビームの一部によって、調べ得る。光学的検出方法300は、314において、ハードウェアプロセッサを用いて、上記比較に基づいてターゲット152から推定される化学物質を決定することで続行し得る。光学的検出方法300は、316において、その決定に基づいた出力を提供することで実行し得る。典型的には、化学物質のスペクトルは、周波数の関数としてのその吸収特徴によって定められる。化学物質のスペクトルは、その化合物を構成する成分に関連する特有の特徴を有する。こうした特有の特徴を特定することによって、光学的検出システム100を用いた制御された環境においてデータベースが生成される。バックグラウンドや化学物質の合流がそうした特有の特徴を覆い隠している場合には、化学物質の特徴を増やす方法が必要とされる。照合フィルタのスペクトルを追加することで、調べているスペクトルが信号対バックグラウンド比において増える。取得されたスペクトルの特徴をデータベースに記憶された特徴と相関させる処理方法を用い、最高信頼度での判定が行われる。
【0025】
図4は、本開示の例に係る光学的検出方法400を示す。方法400は方法300の続きである。方法400は、402において、複数の検査センサ126の中からターゲット152から受けた放射との比較を行うための第二検査センサを選択することで開始する。第二検査センサ132は第二検査化学物質134を備え得る。方法400は、404において、線形検出器アレイ144、146を用いて、上記の受けた反射又は散乱光ビームのスペクトルと第二検査化学物質からの第二スペクトルを比較することで続行する。方法400は、406において、ハードウェアプロセッサを用いて、ターゲットから推定される化学物質が第一スペクトル又は第二スペクトルに近いかどうかを決定することで続行する。
【0026】
図5は、本開示の例の係る光学的検出方法300によって生成可能な例示的なスペクトル500を示す。スペクトル500は、基準化学物質の追加、例えば、第一検査化学物質130や第二検査化学物質134でバックグラウンドに対して信号対ノイズ比を増大させた化学物質のスペクトルの第一部分505を示す。スペクトル500は、バックグラウンドスペクトルを備える第二部分510も示す。
【0027】
対照的に、図6は、基準化学物質を含まない例示的なスペクトル600を示す。スペクトル600は、化学物質のスペクトルの第一部分605と、バックグラウンドスペクトルを備える第二部分610を示す。
【0028】
本開示の広範な範囲を与える数値範囲やパラメータは近似的なものではあるが、具体的な例で与えられている数値は可能な限り正確に報告されているものである。しかしながら、数値は、その検査測定値に見出される標準偏差に必ず起因する特定の誤差を固有に含むものである。更に、本開示の全ての範囲は、そこに含まれるあらゆるサブ範囲を包含するとして理解されるものである。
【0029】
一つ以上の実施形態に関して本教示を例示してきたが、添付の特許請求の範囲の要旨及び範囲から逸脱せずに、例示された例に変更及び/又は修正を行うことができる。また、複数の実施形態のうちの一つに関してのみ本教示の具体的な特徴が開示されているものとなり得るが、このような特徴は、他の実施形態の一つ以上の他の特徴と組み合わせ可能であり、また、所定の又は特定の機能にとって望まれて有利なものとなり得る。本願において、列挙されている事項に関する「AとBとのうちの少なくとも一方」との記載、例えば、AとBは、Aのみ、Bのみ、又は、AとBの両方を意味する。当業者はこれらのバリエーション又は他のバリエーションが可能であることを認識するものである。更に、詳細な説明や特許請求の範囲で用いられている「含む」、「有する」等の用語に関して、これら用語は、「備える」との用語と同じように包括的なものである。更に、本願の明細書及び特許請求の範囲における「略」との用語は、本願記載の意図している目的に対してプロセスや構造の不適合を生じさせない限りの変更の程度において記載されている値が変更し得ることを示す。最後に、「例示的」との記載は、その記載が理想的であることを示すというよりもむしろ、その説明が一例として用いられていることを示す。
【0030】
上記の特徴や機能及び他の特徴や機能の変更例や代替例が他の多数のシステムや応用において組み合わせ可能であることを理解されたい。現状においては予見又は想定できない代替例、修正、変更、改善が当業者によって将来為され得るものであるが、それらも添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
100 光学的検出システム
102 光学システムと制御システムとネットワーク
118 トランスミッタ
124 点検出ユニット
142 レシーバ
152 ターゲット
図1
図2
図3
図4
図5
図6