(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】半導体装置とその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
H01L23/50 H
(21)【出願番号】P 2019212792
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】塚越 功二
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-307675(JP,A)
【文献】特開2009-060093(JP,A)
【文献】特開2000-100864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/28-23/31
H01L23/48
H01L23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
前記半導体チップの周囲に配置されたリードと、
前記半導体チップと前記リードを接続する接続部材と、
前記半導体チップと前記リードと前記接続部材を封止する封止樹脂と、を備え、
前記リードの底面は前記封止樹脂から露出し、前記リードの側面には前記リードの上面から前記リードの底面まで達するテーパー状の貫通溝が設けられて
おり、
前記貫通溝の前記リードの上面に開口する面積が前記リードの底面に開口する面積よりも大きく、前記貫通溝の側面に螺旋溝を設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体チップと、
前記半導体チップの周囲に配置されたリードと、
前記半導体チップと前記リードを接続する接続部材と、
前記半導体チップと前記リードと前記接続部材を封止する封止樹脂と、を備え、
前記リードの底面は前記封止樹脂から露出し、前記リードの側面には前記リードの上面から前記リードの底面まで達するテーパー状の貫通溝が設けられており、
前記貫通溝の前記リードの上面に開口する面積が前記リードの底面に開口する面積よりも小さく、前記貫通溝の側面に螺旋溝を設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップはダイパッド上に搭載され、前記ダイパッドの底面は前記封止樹脂から露出し、前記ダイパッドの側面には前記ダイパッドの上面から前記ダイパッドの底面まで達するテーパー状の貫通溝が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップの底面の端縁に面取り部を有し、前記半導体チップの底面が前記封止樹脂から露出し、前記面取り部が前記封止樹脂で覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップは前記リードにフリップチップ接続されていることを特徴とする請求項1及び2に記載の半導体装置。
【請求項6】
貫通溝を有するリードを備えるリードフレームを用意する工程と、
半導体ウェハをバックグラインドする工程と、
前記半導体ウェハの裏面からハーフカットダイシングする工程と、
前記半導体ウェハの裏面をダイシングテープに貼り付け、前記半導体ウェハの表面からフルカットダイシングする工程と、
前記ダイシングテープをエキスパンドして、個片化した半導体チップ間の寸法を前記リードフレームのピッチサイズと同じ寸法まで広げる工程と、
前記ダイシングテープと前記リードフレームを貼り合わせる工程と、
前記半導体チップと前記リードを接続部材で接続する工程と、
前記半導体チップと前記リードと前記接続部材を封止樹脂にて封止する工程と、
前記封止樹脂および前記リードを切断する工程と、
前記ダイシングテープを前記リードと前記半導体チップと前記封止樹脂から剥離する工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記貫通溝を有するリードを備えるリードフレームを用意する工程は、
金属平板に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の中心を横断して切断する打ち抜き工程と、を備えることを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ハーフカットダイシングする工程で用いる第1ブレードの先端は角錐形状であって、前記フルカットダイシングする工程で用いる第2ブレードの幅よりも幅広であることを特徴とする請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンリードタイプの半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型機器やICカードに搭載される半導体装置には小型化や薄型化が求められている。リード端子をパッケージ端面と等しい長さにしたノンリードタイプとすることにより、半導体装置の実装面積が減少することはよく知られている。
【0003】
図8には、ノンリードタイプの半導体パッケージの断面を示している。ダイパッド121とリード122を樹脂130で接合し、ダイパッド121上に搭載した半導体素子170と上面にメッキ膜150を形成したリード122とをボンディングワイヤ171を介して電気的に接続し、封止用樹脂180で封止し、リード122の外側面と封止用樹脂180の側面が同一面を成す構造となっている。
【0004】
図示するノンリードタイプの半導体パッケージでは、ダイパッド121を断面視的に六角形とし、ダイパッド121の厚み方向の中央部が膨らんだ形状である。また、リード122は、その断面においてボンディングワイヤ171を接続している上面の幅をダイパッド121方向に長くして、底面の幅を短くした構造としている。すなわち、リード122の上面には、ダイパッド121に向かい合う方向に凸型の庇部を有する構造である。以上の構造により、ダイパッド121とリード122は樹脂130や封止用樹脂180から容易に抜け落ちないようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載のノンリードタイプの半導体パッケージでは、リード122に凸型の庇部を設けることで、リード122の上面の平面積が樹脂130から露出するリード122の底面の平面積よりも大きいものとなる。また、リード122の脱落防止のためには庇部を所定の厚さとする必要があり、それによってリード122自身も厚くなる。以上のようにリードに庇部を設けることは小型化や薄型化の阻害要因となっている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、封止樹脂からのリードの脱落防止をしつつ、小型で薄型の半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では以下の手段を用いた。
半導体チップと、
前記半導体チップの周囲に配置されたリードと、
前記半導体チップと前記リードを接続する接続部材と、
前記半導体チップと前記リードと前記接続部材を封止する封止樹脂と、を備え、
前記リードの底面は前記封止樹脂から露出し、前記リードの側面には前記リードの上面から前記リードの底面まで達するテーパー状の貫通溝が設けられていることを特徴とする半導体装置とした。
【0008】
また、貫通溝を有するリードを備えるリードフレームを用意する工程と、
半導体ウェハをバックグラインドする工程と、
前記半導体ウェハの裏面からハーフカットダイシングする工程と、
前記半導体ウェハの裏面をダイシングテープに貼り付け、前記半導体ウェハの表面からフルカットダイシングする工程と、
前記ダイシングテープをエキスパンドして、個片化した半導体チップ間の寸法を前記リードフレームのピッチサイズと同じ寸法まで広げる工程と、
前記ダイシングテープと前記リードフレームを貼り合わせる工程と、
前記半導体チップと前記リードを接続部材で接続する工程と、
前記半導体チップと前記リードと前記接続部材を封止樹脂にて封止する工程と、
前記封止樹脂および前記リードを切断する工程と、
前記ダイシングテープを前記リードと前記半導体チップと前記封止樹脂から剥離する工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を用いた。
【発明の効果】
【0009】
上記手段を用いることで、リードとダイパッドの封止樹脂からの脱落を防止しつつ、小型かつ薄型の半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の断面図および底面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の溝部の拡大断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の断面図および底面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式図である。
【
図6】
図5に続く、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す模式図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図8】従来のノンリードタイプの半導体パッケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態である半導体装置について図を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の半導体装置の断面図および底面図である。まず、断面図である
図1(a)を参照して半導体装置10の構成を説明する。ダイパッド5上にダイアタッチ層3を介して半導体チップ1が固着されている。ダイパッド5の周囲にはダイパッド5と離間してリード4が設けられている。そして、半導体チップ1の上面に設けられた電極パッド(図示せず)とリード4の上面とが接続部材であるボンディングワイヤ2を介して電気的に接続されている。ボンディングワイヤ2の材料としては金(Au)や銅(Cu)が用いられる。
【0012】
半導体チップ1とダイパッド5とボンディングワイヤ2の周囲は封止樹脂6によって被覆され、ダイパッド5の底面も半導体装置10の薄型化を阻害しない程度の薄い封止樹脂6によって覆われている。半導体装置10の薄型化を阻害するようであれば、ダイパッド5を薄型化する構造とすることでも良い。
【0013】
これに対し、リード4の場合は、リード4の上面、およびリード4がダイパッド5と対向する内側面4bが封止樹脂6によって覆われ、リード4がダイパッド5と対向しない側面である外側面4aおよびリード4の底面は封止樹脂6から露出している。半導体装置10は断面視的に矩形であって、半導体装置10の外表面の殆どが封止樹脂6で覆われ、部分的にリード4が封止樹脂6から露出する構成である。リード4の底面と封止樹脂6の底面は同一面を形成し、リード4の外側面4aと封止樹脂6の側面は同一面を成している。また、図示していないが、封止樹脂6から露出するリード4の底面と外側面4aにはメッキ膜が被着され、実装時の半導体装置10と配線基板との接合を良好なものとしている。
【0014】
リード4の紙面手前方向の側面には、断面視的にテーパー状の側面を有する貫通溝7が形成されている。貫通溝7はリード4の上面から底面まで達する溝であって、その中には封止樹脂6が充填されている。この貫通溝7に充填されている封止樹脂6はリード4の上面などの周囲を覆う封止樹脂6と強固に繋がっている。これにより、リード4が封止樹脂6から容易に抜け落ちず、リード4の脱落防止性が向上する構造となっている。
【0015】
図示する貫通溝7は順テーパー状の側面を有する半円錐台形状であって、リード4の上面における開口幅がリード4の底面における開口幅よりも小さい。すなわち、平面視的にはリード4の上面に開口する面積がリード4の底面に開口する面積よりも小さいという構造である。
【0016】
図1(b)は、
図1(a)に示した半導体装置を下方向から見た底面図である。4辺を有する封止樹脂6の一辺に4つのリード4が配置され、対向する辺に他の4つのリード4が配置されている。各々のリード4の外側面4aと内側面4bの両側面と直交する側面4cには半円形の貫通溝7が設けられている。同心円状に図示されている貫通溝7の曲率半径の大きな半円がリード4の底面に開口する部分を示し、曲率半径の小さな半円がリード4の上面に開口する部分を示している。
【0017】
リード4の各々には2つの貫通溝7を設けているが、リード4の脱落防止性を向上させるために貫通溝7の個数を増やしても構わない。ボンディングワイヤ2が接合するリード4の上面は曲率半径の小さい半円の外側、すなわち、開口部分の外側であれば良く、曲率半径の小さい半円と曲率半径の大きな半円の間で規定された領域にボンディングワイヤ2が部分的に接合していても良い。なお、ダイパッド5の底面は薄い封止樹脂6で覆われているため、この底面図では図示されていない。
【0018】
半導体装置の小型化や薄型化のためには、リードの幅を小さく、厚さを薄くする必要がある。特に、半導体装置の厚さを200μm以下にする場合、リードの厚さは50μm以下になるが、
図8に示すような凸型の庇部を有する構造では庇部の存在が小型化や薄型化の阻害要因となり、リードの厚さを50μm以下とすることは困難である。
【0019】
これに対し、本発明の第1実施形態の半導体装置10では、凸型の庇部が存在せず、リード4の側面に凹型の貫通溝7のようなリード抜け防止部を有する構造であるため、必要以上にリード4の幅を大きくする必要が無いため小型化が達成できる。また、庇部を有する構造では庇部が十分な脱落防止性を有するためには所定の厚さの庇部とする必要があり、その分リード自身も厚くなって薄型化を阻害していたが、本発明の第1実施形態の半導体装置10では貫通溝7の縦方向の長さがリードの厚みと同等であるため、リード4を厚くしなくても脱落防止性を確保でき、薄型化も実現できる構造となっている。
【0020】
以上では、4辺を有する封止樹脂6の一辺と対向する辺にリードが配置される実施例について説明したが、4辺の全てにリードを配置する半導体装置に適用することも可能である。
【0021】
図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の溝部の拡大断面図である。
図2(a)は、
図1(a)に示した順テーパー状の側面を有する半円錐台形状の貫通溝7の拡大断面図であり、貫通溝7の内部には封止樹脂6が充填されている。
図2(b)には逆テーパー状の側面を有する逆半円錐台形状の貫通溝7を示している。リード4の上面における開口幅がリード4の底面における開口幅よりも大きい。すなわち、平面視的にはリード4の上面に開口する面積がリード4の底面に開口する面積よりも大きいという構造である。貫通溝7の中には封止樹脂6が充填されている。
【0022】
図2(c)には、順テーパー状の側面を有する半円錐台形状の貫通溝7のテーパー状側面に段差部11を設けた点で
図2(a)に図示した構造と異なるリード4を示している。テーパー状側面の途中に段差部11を設け、脱落防止性が一層向上する構造となっている。この構造を
図2(b)に適用して、逆テーパー状の側面を有する逆半円錐台形状の貫通溝7のテーパー状側面に段差部11を設けるという構造としても良い。
【0023】
図2(d)には、順テーパー状の側面を有する半円錐台形状の貫通溝7のテーパー状側面に螺旋溝12を設けた点で
図2(a)に図示した構造と異なるリード4を示している。テーパー状側面に斜めに沿う複数の螺旋溝12を形成することで、螺旋溝12の中に封止樹脂6が入り込み、脱落防止性が一層向上することになる。この構造を
図2(b)に適用して、逆テーパー状の側面を有する逆半円錐台形状の貫通溝7のテーパー状側面に螺旋溝12を設けるという構造としても良い。
【0024】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の半導体装置の断面図および底面図である。まず、断面図である
図3(a)を参照して半導体装置10の構成について説明する。ダイパッド5上にダイアタッチ層3を介して半導体チップ1が固着されている。ダイパッド5の周囲にはダイパッド5と離間してリード4が設けられている。そして、半導体チップ1の上面に設けられた電極パッド(図示せず)とリード4の上面とが接続部材であるボンディングワイヤ2を介して電気的に接続されている。ボンディングワイヤ2の材料としては金(Au)や銅(Cu)が用いられる。
【0025】
半導体チップ1とダイパッド5とボンディングワイヤ2の周囲は封止樹脂6によって被覆されるが、ダイパッド5の底面が封止樹脂6から露出している。ダイパッド5の紙面手前方向の側面には、断面視的にテーパー状の側面を有する貫通溝8が形成されている。貫通溝8はダイパッド5の上面から底面まで達する溝であって、その中には封止樹脂6が充填されている。この貫通溝8に充填されている封止樹脂6はダイパッド5の上面などの周囲を覆う封止樹脂6と強固に繋がっている。これにより、ダイパッド5が封止樹脂6から容易に抜け落ちず、ダイパッド5の脱落防止性が向上する構造となっている。
【0026】
リード4の場合は、リード4の上面およびリード4がダイパッド5と対向する内側面4bが封止樹脂6によって覆われ、リード4がダイパッド5と対向しない側面である外側面4aおよびリード4の底面は封止樹脂6から露出している。半導体装置10は断面視的に矩形であって、半導体装置10の外表面の殆どが封止樹脂6で覆われ、部分的にリード4が封止樹脂6から露出する構成である。ダイパッド5の底面とリード4の底面と封止樹脂6の底面は同一面を形成し、リード4の外側面4aと封止樹脂6の側面は同一面を成している。また、図示していないが、封止樹脂6から露出するダイパッド5の底面およびリード4の底面と外側面4aにはメッキ膜が被着され、実装時の半導体装置10と配線基板との接合を良好なものとしている。
【0027】
リード4の紙面手前方向の側面には、断面視的にテーパー状の側面を有する貫通溝7が形成されている。貫通溝7はリード4の上面から底面まで達する溝であって、その中には封止樹脂6が充填されている。この貫通溝7に充填されている封止樹脂6はリード4の上面などの周囲を覆う封止樹脂6と強固に繋がっている。これにより、リード4が封止樹脂6から容易に抜け落ちず、リード4の脱落防止性が向上する構造となっている。
【0028】
図示する貫通溝7は順テーパー状の側面を有する半円錐台形状であって、リード4の上面における開口幅がリード4の底面における開口幅よりも小さい。すなわち、平面視的にはリード4の上面に開口する面積がリード4の底面に開口する面積よりも小さいという構造である。
【0029】
図3(b)は、
図3(a)に示した断面図を下方向から見た底面図である。4辺を有する封止樹脂6の一辺に4つのリード4が配置され、対向する辺に他の4つのリード4が配置されている。各々のリード4の外側面4aと内側面4bの両側面と直交する側面4cには半円形の貫通溝7が設けられている。同心円状に図示されている貫通溝7の曲率半径の大きな半円がリード4の底面に開口する部分を示し、曲率半径の小さな半円がリード4の上面に開口する部分を示している。
【0030】
リード4の各々には2つの貫通溝7を設けているが、リード4の脱落防止性を向上させるために、貫通溝7の個数を増やしても構わず、図示する2辺のほかに、リード4の内側面4bに貫通溝7を形成しても良い。ボンディングワイヤ2が接合するリード4の上面は曲率半径の小さい半円の外側、すなわち、開口部分の外側であれば良く、曲率半径の小さい半円と曲率半径の大きな半円の間で規定された領域にボンディングワイヤ2が部分的に接合していても良い。
【0031】
一方の辺に配置されたリード4と他方の辺に沿って配置されたリード4との間には、これらと離間してダイパッド5が配置されている。ダイパッド5を成す4辺のうち、対向する2辺の各々に貫通溝8が設けられている。ここで、ダイパッド5に設けられた貫通溝8はリード4に設けられた貫通溝7と互いに平行に配置されている。ダイパッド5の内側に点線で囲んだ領域は半導体チップ1を平面投影した領域であるが、貫通溝8はこの領域よりも外側に形成されている。これは、半導体チップ1をダイボンディングする際、余分なダイアタッチ材が漏れて貫通溝8に入り込むのを避けるためである。
【0032】
図ではダイパッド5の対向する2つの辺、すなわちダイパッド5の対向する2つの側面に計4つの貫通溝8を設けているが、ダイパッド5の脱落防止性を向上させるために貫通溝8の個数を増やしても構わず、ダイパッド5の4つの辺、すなわちダイパッド5の全ての側面に貫通溝8を形成しても良い。
【0033】
本発明の第2実施形態の半導体装置10は、リード4の形状と配置は
図1に示す第1実施形態の半導体装置10と同じで、さらにダイパッド5も封止樹脂6から露出する構造としている。上記にて説明したように、ダイパッド5に対しても凹型の貫通溝8のようなリード抜け防止部を有する構造としているため、必要以上にダイパッド5の幅を大きくする必要が無いため小型化が達成できる。また、ダイパッド5に設けられた貫通溝8の縦方向の長さがダイパッド5の厚みと同等であるため、ダイパッド5を厚くしなくても脱落防止性を確保でき、薄型化も実現できる構造となっている。
【0034】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態の半導体装置の断面図である。
図3に示した半導体装置10との違いは、ダイパッド5が無い構造としている点であり、半導体チップ1の底面が封止樹脂6の底面から直に露出している。ただし、半導体チップ1が封止樹脂6から抜け落ちないように半導体チップ1の底面の端縁に面取り部を有して逆メサ形状としている。このような形状とすることで、樹脂封止時に半導体チップ1の底面の端縁に封止樹脂6が入り込み、封止樹脂6内に半導体チップ1を保持できるようになり、半導体チップ1の脱落防止性が向上する。リード4の形状は前述の本発明の第2実施形態の半導体装置10と同じである。半導体チップ1の底面とリード4の底面と封止樹脂6の底面は同一面を形成し、リード4の外側面4aと封止樹脂6の側面は同一面を成している。また、図示していないが、封止樹脂6から露出する半導体チップ1の底面およびリード4の底面と外側面4aにはメッキ膜が被着され、実装時の半導体装置10と配線基板との接合を良好なものとしている。
【0035】
次に、本発明の第3実施形態の半導体装置の製造方法の一例について
図5~6を参照して説明する。
まず、
図5(a)に示すように、銅や銅合金からなる金属平板を準備し、打ち抜き加工により所定の位置にテーパー状の貫通孔を形成する。次の打ち抜き加工において貫通孔の中心を横断するように切断して貫通溝7を有するリード4を備えたリードフレーム20が出来上がる。リード4はリードフレーム20の枠体であるフレーム枠21に接続されている。一つのフレーム枠21内のリード4が一つの半導体装置の構成部品として利用される。したがって、フレーム枠21の両側に隣接して設けられたリード4は異なる半導体装置の構成部品である(STEP1)。
【0036】
次に、
図5(b)に示すように、バックグラインドテープ51に半導体ウェハ30を貼り付け、バックグラインドにて半導体ウェハ30を所定の厚さにする。そして、バックグラインドテープ51上に貼り付けられた半導体ウェハ30の裏面からハーフカットダイシングを行う。その際に用いる第1ブレード41は幅広で先端が広角の角錐形状であって、その角錐部分のみが半導体ウェハ30に入り込んでダイシングする。第1ブレード41の先端の切込み先端角Aは80~100度の範囲であって、半導体ウェハ30の裏面には断面視的に三角形の切削溝13が形成される(STEP2)。
【0037】
次に、
図5(c)に示すように、半導体ウェハ30の裏面を耐熱性のダイシングテープ52上に貼り付け、半導体ウェハ30の表面から第2ブレード42を用いてフルカットダイシングを行うことで逆メサ形状の半導体チップ1を得る。用いるダイシングテープ52には後続の樹脂封止工程にてかかる温度(200℃)でも分解しないという耐熱性が要求される。第2ブレード42は第1ブレード41に比べ幅狭である。第2ブレード42によって形成された切削溝14はストレート形状で、半導体ウェハ30の表面から切削溝13の上部まで達する。
【0038】
バックグラインド後の半導体ウェハ30の厚さが100μmの場合、第1ブレード41の厚さは50~100μmの範囲である。また、第2ブレード42の厚さは20~40μmの範囲が好ましい。また、バックグラインド後の半導体ウェハ30の厚さが150μmの場合、第1ブレード41の厚さは100~150μmの範囲、第2ブレード42の厚さは20~40μmの範囲が好ましい(STEP3)。
【0039】
次に、
図6(a)に示すように、フルカットダイシング後にダイシングテープ52をエキスパンドして、個片化した半導体チップ1間の寸法をリードフレーム20のピッチサイズと同じ寸法まで広げる。その後、予め用意したリードフレーム20をエキスパンドしたダイシングテープ52に貼り合わせる。これにより、リードフレーム20の対向するリード4の間に半導体チップ1を配置することができる(STEP4)。
【0040】
次に、
図6(b)に示すように、半導体チップ1の上面に設けられた電極パッドとリード4の上面とを接続部材であるボンディングワイヤ2にて電気的に接続し、次いで、ダイシングテープ52上に半導体チップ1とリード4を貼り合わせた状態で樹脂封止を行う(STEP5)。
【0041】
次に、
図6(c)に示すように、樹脂封止後に第3ブレード43にて封止樹脂6およびリード4を連続して切断する。このとき、第3ブレードの厚さをフレーム枠21の幅よりも厚くし、隣接するリード4を繋ぐフレーム枠21が切削されて無くなるように切断する(STEP6)。
最後に、
図6(d)に示すように、ダイシングテープ52をリード4や半導体チップ1や封止樹脂6から剥がした後、封止樹脂6から露出するリード4の底面および外側面4a、そして半導体チップ1の底面にメッキ膜(図示せず)を形成して半導体装置10が得られる(STEP7)。
【0042】
次に、他の製造方法例について説明する。
まず、前例のSTEP1~2に示した工程を行う。
次に、リードフレーム20の裏面に耐熱性テープ53を貼り付ける。
次に、前例のSTEP3に示した工程を行う。
次に、フルカットダイシング後の半導体ウェハ30を僅かにエキスパンドして、個片化した半導体チップ1をピックアップして、リードフレーム20に貼り付けられた耐熱性テープ53上の所定位置に搭載する。対向するリード4の間が半導体チップ1の所定位置である。
【0043】
次に前例のSTEP5~7に示した工程を行う。
以上のような工程を実施することで、本発明の第3実施形態の半導体装置10が得られる。本製造方法で得られた半導体装置10は小型で薄型、さらに配線基板への実装性が良好なものである。
【0044】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態の半導体装置の断面図である。本実施形態の半導体装置10はダイパッド5が無く、半導体チップ1をリード4にバンプ9を介してフリップチップ接続している。接続部材としてボンディングワイヤ2を利用する場合はボンディングワイヤ2のループ高さを半導体チップ1の上面より高い位置にする必要があるが、本実施形態の半導体装置10のような接続部材としてバンプ9を用いるフリップチップ接続の場合は、ループ高さに相当する厚さを減じることができる。これにより薄型の半導体装置10を実現することができる。
【0045】
また、半導体チップ1とリード4を重畳する構造であるため、半導体チップ1とリード4間の距離をワイヤ接続に比べて短縮でき、さらに小型の半導体装置10を実現することができる。以上のように、本発明の第4実施形態の半導体装置10では一層の小型化、薄型化が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明による半導体装置は、携帯玩具、ヘルスケア商品、ウェアラブル端末、携帯端末、カード端末、家電製品等に用いることができる。また、使用環境の厳しい車載用途、屋外用途への応用も可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 半導体チップ
2 ボンディングワイヤ
3 ダイアタッチ層
4 リード
4a 外側面
4b 内側面
4c 側面
5 ダイパッド
6 封止樹脂
7、8 貫通溝
9 バンプ
10 半導体装置
11 段差部
12 螺旋溝
13、14 切削溝
20 リードフレーム
21 フレーム枠
30 半導体ウェハ
41、42、43 ブレード
51 バックグラインドテープ
52 ダイシングテープ
53 耐熱性テープ
A 切込み先端角