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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】吸込口体および電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A47L9/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019228576
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021094278
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 拳斗
(72)【発明者】
【氏名】興津 信秀
(72)【発明者】
【氏名】市川 洋光
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-222912(JP,A)
【文献】特開平08-056875(JP,A)
【文献】特開平11-047050(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0023224(KR,A)
【文献】実開昭49-108669(JP,U)
【文献】実開昭64-008357(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04-9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面へ向かって開く吸込口と、前記吸込口に繋がる吸込室と、前記吸込室の外側に区画される清掃体室と、前記吸込室の外側に区画される、前記清掃体室とは異なる第二清掃体室と、を有する吸込口本体と、
前記清掃体室に配置され、前記吸込口本体に回転可能に支持される回転清掃体と、
前記第二清掃体室に配置され、前記吸込口本体に回転可能に支持される第二回転清掃体と、
前記吸込口本体に収容されて前記回転清掃体の駆動力を発生させる駆動源と、を備え、
記回転清掃体と前記吸込口と前記第二回転清掃体とは、前記吸込口本体の前進方向へ順に並び、
前記吸込口本体は、
前記吸込室と前記清掃体室とを区画し、かつ前記吸込室の内面の一部と前記吸込口の縁の一部とを画定する隔壁と、
前記隔壁の縁から突出して前記回転清掃体に接する除塵突起と、
前記吸込室と前記第二清掃体室とを区画し、かつ前記吸込口の縁の一部を画定する第二隔壁と、
前記第二隔壁の縁から突出して前記第二回転清掃体に接する第二除塵突起と、を備え
前記除塵突起は、前記吸込口本体の接地面を基準面とすると、前記基準面に対して平行し、
前記第二除塵突起は、前記基準面から遠ざかる方向へ傾いて突出している吸込口体。
【請求項2】
前記第二除塵突起は、前記除塵突起よりも、前記基準面に近い位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸込口体。
【請求項3】
前記吸込室の内面の第一残部は、前記隔壁に対向し、かつ前記隔壁に向かって凸の円弧形状の湾曲面を有している請求項1または2に記載の吸込口体。
【請求項4】
前記吸込室の内面の第二残部は、前記隔壁に連接し、かつ前記吸込室の下流側へ向かって風路幅を狭める漏斗状の傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記吸込口本体の縦断面視において、前記隔壁に対向する案内面を含む階段形状を有している請求項1から3のいずれか1項に記載の吸込口体。
【請求項5】
前記第二隔壁は、前記吸込室と前記第二清掃体室とを繋ぐ孔を有する請求項1からのいずれか1項に記載の吸込口体。
【請求項6】
前記第二清掃体室の開口縁部の一部であって、前記第二除塵突起に対向する箇所に設けられて、前記第二回転清掃体に向かって鋭角な縦断面形状を有する突出部を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の吸込口体。
【請求項7】
掃除機本体と、
前記掃除機本体に収容されて負圧を発生させる電動送風機と、
前記電動送風機に流体的に接続される請求項1から6のいずれか1項に記載の吸込口体と、を備える電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、吸込口体および電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
床ブラシは、床ブラシの底面に設けられる吸込口に繋がる吸込室と、吸込室に回転可能に配置される回転ブラシと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-025203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吸込口体は、回転ブラシが吸込口を有する吸込室内に配置されている。そのため、従来の吸込口体では、吸込口から吸い込まれる糸状の塵埃が、吸込口から吸込室内に吸い込まれる過程で、回転ブラシに巻き付きやすい。
【0005】
そこで、本発明は、回転清掃体への糸状の塵埃の巻き付きを抑制可能な吸込口体、および電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る吸込口体は、底面へ向かって開く吸込口と、前記吸込口に繋がる吸込室と、前記吸込室の外側に区画される清掃体室と、前記吸込室の外側に区画される、前記清掃体室とは異なる第二清掃体室と、を有する吸込口本体と、前記清掃体室に配置され、前記吸込口本体に回転可能に支持される回転清掃体と、前記第二清掃体室に配置され、前記吸込口本体に回転可能に支持される第二回転清掃体と、
前記吸込口本体に収容されて前記回転清掃体の駆動力を発生させる駆動源と、を備え、記回転清掃体と記吸込口と前記第二回転清掃体とは、前記吸込口本体の前進方向へ順に並び、前記吸込口本体は、前記吸込室と前記清掃体室とを区画し、かつ前記吸込室の内面の一部と前記吸込口の縁の一部とを画定する隔壁と、前記隔壁の縁から突出して前記回転清掃体に接する除塵突起と、前記吸込室と前記第二清掃体室とを区画し、かつ前記吸込口の縁の一部を画定する第二隔壁と、前記第二隔壁の縁から突出して前記第二回転清掃体に接する第二除塵突起と、を備え、前記除塵突起は、前記吸込口本体の接地面を基準面とすると、前記基準面に対して平行し、前記第二除塵突起は、前記基準面から遠ざかる方向へ傾いて突出している。
【0007】
また、本発明の実施形態に係る電気掃除機は、掃除機本体と、前記掃除機本体に収容されて負圧を発生させる電動送風機と、前記電動送風機に流体的に接続される前記吸込口体と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る吸込口体を右前方から示す斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る吸込口体の平面図。
図4】本発明の実施形態に係る吸込口体の平面図。
図5】本発明の実施形態に係る吸込口体の底面図。
図6】本発明の実施形態に係る吸込口体を下方から見た斜視図。
図7】本発明の実施形態に係る吸込口体の断面図。
図8】本発明の実施形態に係る吸込口体の断面図。
図9】本発明の実施形態に係る吸込口体の安全装置の一体成形部材の斜視図。
図10】本発明の実施形態に係る吸込口体の断面図。
図11】本発明の実施形態に係る吸込口体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る吸込口体および電気掃除機の実施形態について、図1から図11を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、例えばスティック型である、電気掃除機1は、把手11を有して手持ち操作可能な掃除機本体12と、掃除機本体12に着脱可能な二次電池13(蓄電池、充電式電池、および充電池とも呼ばれる。)と、掃除機本体12に接続される延長管15と、延長管15に接続される吸込口体16と、を備えている。
【0012】
なお、電気掃除機1は、キャニスター型、アップライト型、またはハンディ型であっても良い。電気掃除機1は、二次電池13を電源として備えるコードレスタイプであっても良いし、商用交流電源から電源コードを介して電力を得る有線式であっても良い。
【0013】
掃除機本体12は、把手11を有する本体ケース17と、本体ケース17に収容されて吸込負圧を生じさせる電動送風機18と、本体ケース17に着脱自在に設けられる塵埃分離集塵部19と、主に電動送風機18を制御する本体制御部21と、を備えている。
【0014】
掃除機本体12は、二次電池13が蓄える電力によって電動送風機18を駆動させ、電動送風機18の駆動によって発生する負圧を延長管15に作用させる。電気掃除機1は、吸込口体16および延長管15を通じて床面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに分離後の空気を排気する。
【0015】
本体ケース17は、側面視において延長管15の延長線上に配置される円筒状の前半部17aと、前半部17aから屈曲して延長管15の延長線から徐々に離れる後半部17bと、を備えている。本体ケース17の前半部17aの上方には、塵埃分離集塵部19が設けられている。本体ケース17の後半部17bは、吸込口体16を床上に配置した使用状態(図2)において、後方へ向かって延びている。
【0016】
本体ケース17の正面部分には、本体接続口23が設けられている。
【0017】
本体接続口23は、延長管15を着脱可能な継手である。本体接続口23は、本体ケース17の円筒状の前半部17aから正面へ向かって突出している。本体接続口23は、掃除機本体12の流体的な入口であり、延長管15と塵埃分離集塵部19とを流体的に接続する。掃除機本体12から延長管15を取り外すことによって、本体接続口23は、掃除機本体12を単体で使用する際の吸込口としても機能する。
【0018】
把手11は本体ケース17に一体に設けられている。把手11は、電気掃除機1で床面を掃除するために、使用者が手で把持する部分である。把手11は、塵埃分離集塵部19の後端部の近傍から本体ケース17の後端部へアーチ状に架かっている。また、把手11は、延長管15中心線の延長線上に交差して配置されている。
【0019】
把手11の近傍には、把手11を握った使用者が、その手指を動かせる範囲に配置される入力部26が設けられている。
【0020】
入力部26は、電動送風機18の運転開始操作を受け付ける運転開始スイッチ26aと、電動送風機18の運転停止操作を受け付ける運転停止スイッチ26bと、吸込口体16への電力供給の開始操作および停止操作を受け付けるブラシスイッチ26cと、を備えている。運転開始スイッチ26aおよび運転停止スイッチ26bは、本体制御部21に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、入力部26を操作して電動送風機18の運転モードを択一的に選択できる。運転開始スイッチ26aは、電動送風機18の運転中に、運転モードの切替スイッチとしても機能している。この場合、本体制御部21は、運転開始スイッチ26aから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、入力部26は、運転開始スイッチ26aに代えて、強運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)、および弱運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
【0021】
塵埃分離集塵部19は、掃除機本体12の上面側に配置され、かつ掃除機本体12に着脱できる。塵埃分離集塵部19は、掃除機本体12に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機18へ送る。塵埃分離集塵部19は、電気掃除機1が吸い込む、塵埃と空気との質量の差異を利用して塵埃と空気とを遠心分離する遠心分離方式であっても良いし、含塵空気から塵埃を濾し取るフィルターを有する濾過分離方式であっても良い。
【0022】
電動送風機18は、塵埃分離集塵部19から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
【0023】
本体制御部21は、マイクロプロセッサ、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置を備えている。記憶装置は、予め設定される複数の運転モードに関連する種々の設定(引数)を記憶している。複数の運転モードは電動送風機18の出力に関連付けられている。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機18の入力値、電動送風機18に流れる電流目標値)が設定されている。それぞれの運転モードは、入力部26が受け付ける操作入力に関連付けられている。本体制御部21は、入力部26への操作入力に対応する任意の運転モードを、予め設定される複数の運転モードから択一的に選択し、選択した運転モードの設定を記憶部から読み出し、読み出した運転モードの設定にしたがって電動送風機18を運転する。
【0024】
二次電池13は、電動送風機18や本体制御部21で消費される電力を蓄える。二次電池13は、本体ケース17に固定されていても良いし、本体ケース17に着脱可能であっても良い。換言すると、電気掃除機1は、複数の二次電池13を適宜に交換して利用できるものであっても良いし、そうでなくても良い。電気掃除機1に着脱可能に装着されている二次電池13の充電率が低下した場合には、この二次電池13を、充電済みの二次電池13に交換することによって、電気掃除機1は、運転を継続できる。
【0025】
延長管15および吸込口体16は、電動送風機18から作用する負圧によって、床面上の塵埃を空気とともに吸い込んで掃除機本体12へ案内する。
【0026】
延長管15は、本体ケース17の本体接続口23および塵埃分離集塵部19を介して電動送風機18の吸込側に流体的に接続されている。延長管15は、使用者が掃除機本体12の把手11を把持した状態で実質的に床面に届く長さを有する。延長管15の一方の端部には、掃除機本体12の本体接続口23に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管15の他方の端部には、掃除機本体12の吸込口体16を着脱自在な継手構造が設けられている。延長管15は、伸縮可能であっても良いし、そうでなくても良い。
【0027】
吸込口体16は、木床やカーペットなどの床面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において床面に対向する底面に吸込口27を有する。また、吸込口体16は、吸込口27に配置される回転自在な回転清掃体28と、回転清掃体28を駆動させる駆動源としての電動機29と、を備えている。吸込口体16の一方の端部には、延長管15の他方の端部に着脱自在な継手構造が設けられている。吸込口体16は、延長管15を介して電動送風機18の吸込側に流体的に接続されている。吸込口体16、延長管15、および塵埃分離集塵部19は、電動送風機18から吸込口27へ至る吸込風路である。
【0028】
電気掃除機1は、運転開始スイッチ26aが操作されると電動送風機18を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機18が停止している状態で運転開始スイッチ26aが操作されると、先ず電動送風機18を強運転モードで始動させ、再び運転開始スイッチ26aが操作されると電動送風機18の運転モードを中運転モードに変更し、三度、運転開始スイッチ26aが操作されると電動送風機18の運転モードを弱運転モードに変更し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モード、および弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードである。電動送風機18に対する入力値は、強運転モードが最も大きく、弱運転モードが最も小さい。始動した電動送風機18は、塵埃分離集塵部19から空気を吸込み、塵埃分離集塵部19内を負圧にする。
【0029】
塵埃分離集塵部19内の負圧は、本体接続口23、延長管15、および吸込口体16を順次に通じて吸込口27に作用する。電気掃除機1は、吸込口27に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部19は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機18へ送る。電動送風機18は、塵埃分離集塵部19から吸い込んだ空気を掃除機本体12外へ排気する。
【0030】
次いで、吸込口体16について詳細に説明する。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係る吸込口体を右前方から示す斜視図である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態に係る吸込口体16は、略直方体形の吸込口本体部31と、吸込口本体部31の後部に設けられる接続管部32と、を備える。
【0033】
なお、吸込口体16の前後、左右、上下は、電気掃除機1の使用者を基準に説明する。図2中の実線矢印Xの方向は、吸込口体16の前方または前進方向であり、その反対方向は後方または後退方向である。また、図2中の実線矢印Yの方向は、吸込口体16の左方であり、その反対方向は右方である。さらに、図2中の実線矢印Zの方向は、吸込口体16の上方であり、その反対方向は下方である。
【0034】
平面視における吸込口本体部31の形状は、前後方向に短辺を有し、左右方向に長辺を有する長方形状である。つまり、吸込口本体部31の左右方向の寸法、つまり幅寸法は、吸込口本体部31の前後方向の寸法、つまり奥行き寸法より大きい。吸込口本体部31は、下ケース35と、下ケース35に覆い被さる上ケース36と、を備えている。
【0035】
接続管部32は、吸込口本体部31の後部、かつ幅方向略中央部に設けられる。接続管部32は、吸込口本体部31に対して回転可能な回転接続管部38と、回転接続管部38に対して揺動可能な揺動接続管部39と、を備えている。
【0036】
回転接続管部38は、吸込口体16の前後方向に延びる中心線(X軸に一致する線分またはX軸に平行な線分)まわりに回転する。この中心線は、吸込口本体部31を左右に二分する。
【0037】
揺動接続管部39は、回転接続管部38の回転中心線に直交する線分またはこの線分に平行な線分まわりに揺動する。揺動接続管部39の自由端部は、延長管15の自由端部に着脱可能な継手である。
【0038】
図3および図4は、本発明の実施形態に係る吸込口体の平面図である。
【0039】
図5は、本発明の実施形態に係る吸込口体の底面図である。
【0040】
図6は、本発明の実施形態に係る吸込口体を下方から見た斜視図である。
【0041】
図7は、図3のVII-VII線における、本発明の実施形態に係る吸込口体の縦断面図である。
【0042】
なお、図4では、上ケース36が取り外されている。
【0043】
図3から図7に示すように、本実施形態に係る吸込口体16は、吸込口本体部31と、吸込口本体部31に回転可能に支持される回転清掃体28と、吸込口本体部31に収容されて回転清掃体28の回転駆動力を発生させる駆動源としての電動機29と、電動機29から回転清掃体28へ駆動力を伝達する動力伝達機構41と、電動機29の運転を制御する吸込口体制御部42と、を備えている。
【0044】
また、吸込口体16は、吸込口体16が被掃除面から離れたり、吸込口体16の上下が反転したりした場合に、電動機29を停止させる安全装置43と、を備えている。
【0045】
さらに、吸込口本体部31は、底面31aへ向かって開く吸込口27と、吸込口27に繋がる吸込室45と、回転清掃体28が収容される清掃体室46と、を有している。
【0046】
清掃体室46は、吸込室45の外側に区画されている。清掃体室46は、吸込口本体部31の底面へ向かって開放されている。
【0047】
吸込室45は、下ケース35と、上ケース36の内側に収容され、かつ下ケース35の一部に覆い被さる風路カバー48と、吸込口本体部31の左右方向に幅広な吸込口27を中央部へ向かって絞る風路狭窄体49と、で区画されている。
【0048】
吸込口本体部31の底面31aには、被掃除面fに接地して吸込口本体部31を支える複数の転50が設けられている。複数の転50は、吸込口本体部31の左右それぞれの端部に配置される転50と、吸込口本体部31の後部中央部に配置される転50と、を含んでいる。
【0049】
吸込口本体部31の下ケース35と上ケース36との間には、空間が区画されている。この空間は、電動機29が収容される電動機室51と、動力伝達機構41が収容される機械室52と、吸込口体制御部42が収容される制御室53と、安全装置43が収容される安全装置室55と、を含んでいる。これら電動機室51、機械室52、制御室53、および安全装置室55は、繋がっていても良いし、分断されていても良い。
【0050】
制御室53は、平面視において、吸込口本体部31の前後左右の中央部に配置されている。
【0051】
安全装置室55は、吸込口本体部31の後部に配置され、かつ接続管部32の回転接続管部38を挟み込むように回転接続管部38の左右それぞれの側部に設けられている。
【0052】
そして、吸込口本体部31は、吸込口27を吸込口体16の前後から挟み込むように、一対の回転清掃体28を備えている。
【0053】
電動機29および動力伝達機構41も、一対あって、それぞれの回転清掃体28に個別に対応している。一対の電動機29は、吸込口本体部31の幅方向における一方の端部に設けられる電動機29と、吸込口本体部31の幅方向における他方の端部に設けられる電動機29と、を含んでいる。これら一対の電動機29は、吸込口本体部31を左右に二分する中心線から実質的に同じ距離離れた箇所に配置されていることが好ましい。一対の動力伝達機構41は、吸込口本体部31の幅方向における一方の端部に設けられる動力伝達機構41と、吸込口本体部31の幅方向における他方の端部に設けられる動力伝達機構41と、を含んでいる。これら一対の動力伝達機構41は、吸込口本体部31を左右に二分する中心線から実質的に同じ距離離れた箇所に配置されていることが好ましい。
【0054】
吸込口27よりも前側の回転清掃体28を、前清掃体28F(第一回転清掃体)と呼ぶ。前清掃体28Fが収容される清掃体室46を前清掃体室46F(第一回転清掃体室)と呼ぶ。前清掃体28Fに対応する電動機29を前用電動機29Fと呼び、前清掃体28Fに対応する動力伝達機構41を前用伝達機構41Fと呼ぶ。前用電動機29Fが収容される電動機室51を前用電動機室51Fと呼び、前用伝達機構41Fが収容される機械室52を前用機械室52Fと呼ぶ。
【0055】
吸込口27よりも後ろ側の回転清掃体28を、後清掃体28R(第二回転清掃体)と呼ぶ。後清掃体28Rが収容される清掃体室46を後清掃体室46R(第二回転清掃体室)と呼ぶ。後清掃体28Rに対応する電動機29を後用電動機29Rと呼び、後清掃体28Rに対応する動力伝達機構41を後用伝達機構41Rと呼ぶ。後用電動機29Rが収容される電動機室51を後用電動機室51Rと呼び、後用伝達機構41Rが収容される機械室52を後用機械室52Rと呼ぶ。
【0056】
前清掃体室46F、吸込口27、後清掃体室46Rは、吸込口体16の進行方向へ並んでいる。換言すると、前清掃体28F、吸込口27、後清掃体28Rは、吸込口体16の進行方向へ並んでいる。前清掃体28F、吸込口27、後清掃体28Rは、吸込口体16の前側から後ろ側へ並んでいる。さらに、前清掃体28F、風路狭窄体49、後清掃体28Rは、吸込口体16の進行方向へ並んでいる。前清掃体室46F、吸込口27、後清掃体室46Rは、実質的に同じ幅寸法を有している。
【0057】
吸込口27は、前清掃体室46Fと後清掃体室46Rとの間に配置されている。換言すると、吸込口27は、前清掃体28Fと後清掃体28Rとの間に配置されている。
【0058】
吸込室45は、後清掃体室46Rに覆い被さるように下ケース35に沿って吸込口本体部31の後方へ湾曲し、接続管部32に繋がっている。吸込室45と接続管部32との間には中継管57が設けられている。中継管57は、接続管部32を支持する基部の役割を担っている。中継管57は、風路カバー48に一体成形されている。
【0059】
前清掃体室46Fは、上ケース36、下ケース35、および風路狭窄体49によって区画されている。後清掃体室46Rは、下ケース35、および風路狭窄体49によって区画されている。
【0060】
機械室52は、吸込口本体部31の左右それぞれの端部であって、前清掃体室46F、吸込口27、および後清掃体室46Rの不存在部分に区画されている。機械室52は、前清掃体28Fの軸端、および後清掃体28Rの軸端を収容している。機械室52の底部には、転50が設けられている。
【0061】
前用機械室52Fは、吸込口本体部31の左側の端部であって、前清掃体室46F、吸込口27、および後清掃体室46Rの不存在部分に区画されている。前用機械室52Fは、前清掃体28Fの軸端、および後清掃体28Rの軸端を収容している。
【0062】
後用機械室52Rは、吸込口本体部31の右側の端部であって、前清掃体室46F、吸込口27、および後清掃体室46Rの不存在部分に区画されている。後用機械室52Rは、前清掃体28Fの軸端、および後清掃体28Rの軸端を収容している。
【0063】
電動機室51は、平面視において前清掃体室46F、吸込口27、後清掃体室46Rに重なり、制御室53と機械室52との間に配置されている。側面視において、前清掃体28Fの回転中心線、後清掃体28Rの回転中心線、電動機29の回転中心線が、三角形状のそれぞれの頂点に位置している。電動機室51は、円筒形状の電動機29を前清掃体室46F、および後清掃体室46Rの極力近くに収容している。つまり、電動機29の底部は、前清掃体28Fの頂部、および後清掃体28Rの頂部より下方に配置されている。このような電動機29の配置、および電動機室51の構成は、回転清掃体28の上方に電動機29を配置する場合であっても、吸込口本体部31の高さを回転清掃体28の高さ(直径)と電動機29の高さ(直径)との和より低く抑える。
【0064】
前用電動機室51Fは、吸込口本体部31の左側であって、前用機械室52Fに併設されている。
【0065】
後用電動機室51Rは、吸込口本体部31の右側であって、後用機械室52Rに併設されている。
【0066】
なお、前用電動機室51Fと前用機械室52Fとが併設されていれば、前用電動機室51Fおよび前用機械室52Fは、吸込口本体部31の右側に配置されていても良い。この場合には、前用伝達機構41Fも、吸込口本体部31の右側に配置される。後用電動機室51R、後用機械室52R、および後用伝達機構41Rは、吸込口本体部31の左側に配置される。
【0067】
回転清掃体28の回転中心線は、吸込口本体部31の幅方向に向けられている。回転清掃体28は、放射状に延びるブラシ毛59を有している。ブラシ毛59は、回転清掃体28の長手方向に延びる複数条の刷毛であり、かつ回転清掃体28の周方向に並んでいる。
【0068】
電動機29は、機械室52内に突出する出力軸29aを備えている。出力軸29aの回転中心線は、回転清掃体28の回転中心線に実質的に平行している。電動機29は、吸込口27へ塵埃を掃き集める方向へ回転清掃体28を回転させる。なお、吸込口体16は、電動機29に代わる回転清掃体28の駆動源、例えば吸込負圧で吸い込まれる空気によって回転するファンやタービンを備えていても良い。
【0069】
動力伝達機構41は、電動機29の出力軸29aに固定される主動歯車61と、回転清掃体28に設けられる従動歯車62と、主動歯車61と従動歯車62とに巻掛けられて電動機29から回転清掃体28へ駆動力を伝える無端状のベルト63と、を備えている。
【0070】
吸込口体制御部42は、掃除機本体12から延長管15を介して供給される電力によって電動機29を運転する。
【0071】
風路狭窄体49は、吸込室45と清掃体室46とを区画し、かつ吸込口27の縁の一部を画定する隔壁65と、隔壁65の縁から突出して回転清掃体28に接する除塵突起66と、を備えている。
【0072】
吸込室45と前清掃体室46Fとを区画する隔壁65を前隔壁65F(第一隔壁)と呼ぶ。前隔壁65Fは、吸込口27の前側の縁を画定している。前隔壁65Fの縁から突出して前清掃体28Fに接する除塵突起66を前突起66F(第一除塵突起)と呼ぶ。
【0073】
吸込室45と後清掃体室46Rとを区画する隔壁65を後隔壁65R(第二隔壁)と呼ぶ。後隔壁65Rは、吸込口27の後ろ側の縁を画定している。後隔壁65Rの縁から突出して後清掃体28Rに接する除塵突起66を後突起66R(第二除塵突起)と呼ぶ。
【0074】
吸込室45の内面の一部(ここでは吸込室45の後ろ側の内面、吸込室45の内面の第一残部)は、前隔壁65Fに対向し、かつ前隔壁65Fに向かって凸の円弧形状の湾曲面68を有している。湾曲面68は、後隔壁65Rの内面、および後隔壁65Rの内面に連なる下ケース35の面を含んでいる。下ケース35は、後清掃体室46Rを区画する、円弧形状の壁を有している。この壁は、実質的に一様な厚みで後清掃体28Rを同心円状に囲み、かつ後隔壁65Rの内面に滑らかに連なっている。
【0075】
前清掃体28Fの回転によって掃き上げられる塵埃は、吸込室45の湾曲面68に向かう。そして、湾曲面68は、飛来する塵埃を吸込室45の奥側(下流側)へ円滑に誘導する。
【0076】
また、吸込室45の内面の一部(ここでは吸込室45の左右それぞれの側方の内面、吸込室45の内面の第二残部)は、隔壁65に連接し、かつ吸込室45の奥側(下流側)へ向かって風路幅を狭める漏斗状の傾斜面71を有している。傾斜面71は、前隔壁65Fおよび後隔壁65Rに連接している。つまり、傾斜面71は、前隔壁65Fと後隔壁65Rとの間に架け渡されている。傾斜面71は、風路狭窄体49の左右に一対ある。左右の傾斜面71は、風路狭窄体49の対応する端部から離れ、中央部に近づくほど吸込室45の奥側へ入り込むよう傾いている。左右の傾斜面71は、合流することなく、離間している。この左右の傾斜面71の隙間は、傾斜面71よりも奥側の吸込室45へ繋がっている。傾斜面71は、吸込口体16の幅方向へ細長く広がった吸込口27から吸い込まれる空気を、接続管部32に繋がる吸込室45の奥側へ円滑に案内する。
【0077】
傾斜面71は、吸込口本体部31の縦断面視において、隔壁65に対向する案内面72を含む階段形状を有している。案内面72は、前隔壁65Fに対向している。この階段形状部は、図7のように単段でも良いし、複数段であっても良い。階段形状は、傾斜面71の全幅に達していることが好ましい。各段の底の形状は平面であっても良いし、窪んでいても良い。案内面72は、前隔壁65Fに平行であることが好ましい。案内面72は、前清掃体28Fに掃き上げられた塵埃を捕捉して吸込室45の奥側へ導く。また、案内面72は、途中部分が前清掃体28Fと被掃除面fとの間に挟まり、一方または両方の端部が吸込口27へ向かって浮き上がった糸状の塵埃が、後隔壁65Rを乗り越えて後清掃体28R側へ接近しないよう、糸状の塵埃の端部を吸込室45の奥側へ導く。
【0078】
除塵突起66は、回転清掃体28の回転軌跡の内側に入り込んでいる。除塵突起66は、回転清掃体28の回転にともなって回転清掃体28のブラシ毛59を弾く。このとき、除塵突起66は、回転清掃体28に付着して清掃体室46に進入しようとする糸状の塵埃をブラシ毛59から弾き飛ばして回転清掃体28から離脱させる。回転清掃体28から離脱した糸状の塵埃は、吸込口27へ容易に吸い込まれる。つまり、除塵突起66は、回転清掃体28に付着した糸状の塵埃が清掃体室46へ進入することを阻止できる。
【0079】
除塵突起66は、隔壁65の全幅に渡って設けられていることが好ましい。除塵突起66は、回転清掃体28のブラシ毛59を撓ませることができれば良い。そのため、除塵突起66の形状は、図5および図6のように櫛形状であっても良いし、突出長さが全幅に渡って一様な板状であっても良い。除塵突起66が接触することによって回転清掃体28の回転抵抗が増すため、除塵突起66の形状は、電動機29の出力に応じて、適宜に設定される。
【0080】
吸込口体16の接地面を基準面とすると、前突起66Fは、基準面に実質的に平行している。後突起66Rは、基準面から遠ざかる方向へ傾いて突出している。
【0081】
一般に、使用者は、吸込口体16を前進させて吸込口体16を未掃除の被掃除面fへ進入させる。このとき、被掃除面f上の糸状の塵埃は、吸込口体16の前方から後方へ移動する。発明者は、前突起66Fを基準面に対して実質的に平行させる一方、後突起66Rを基準面から遠ざかる方向へ傾けることで、糸状の塵埃が前清掃体室46Fおよび後清掃体室46Rの両方に進入しにくくなることを見いだした。
【0082】
また、後隔壁65Rは、吸込室45と後清掃体室46Rとを繋ぐ孔73を有している。孔73は、左右の傾斜面71に挟まれる範囲に配置されている。孔73は、複数あっても良い。孔73は、後清掃体室46R内に入り込んだ塵埃が後清掃体室46R内に残留しないよう、吸込室45へ排出する。
【0083】
なお、前清掃体室46Fに入り込んだ塵埃は、前清掃体28Fの回転にともなって吸込口体16の前方へ排出される。つまり、前清掃体室46Fに入り込んだ塵埃は、後清掃体室46Rに入り込んだ塵埃よりも吸込口体16の前進中に吸込口27へ吸い込まれる機会が多い。そのため、前隔壁65Fは、後隔壁65Rのように孔73を有していなくとも良い。
【0084】
後清掃体室46Rの開口縁部の一部であって、後突起66Rに対向する箇所には、後清掃体28Rに向かって鋭角な縦断面形状を有する突出部75が設けられている。突出部75は、後清掃体室46Rの開口縁部の後ろ側の部分に設けられている。吸込口体16をカーペットのように柔らかい被掃除面fで使用する場合には、吸込口本体部31は、被掃除面fに沈み込む。このような場合に、突出部75は、ブルドーザーのブレードのように被掃除面fをかきおこして、カーペットに入り込んだ塵埃を掻き出す。
【0085】
突出部75は、後清掃体室46Rの全幅に渡っていることが好ましい。また、突出部75は、吸込口体16をフローリングのような堅い被掃除面fで使用する場合には、被掃除面fに接しない範囲で吸込口本体部31の下方へ向かって吸込口本体部31の底面よりも突出していても良い。
【0086】
次いで、吸込口体16の安全装置43について詳細に説明する。
【0087】
図8は、図3のVIII-VIII線における、本発明の実施形態に係る吸込口体の断面図である。
【0088】
図9は、本発明の実施形態に係る吸込口体の安全装置の一体成形部材の斜視図である。
【0089】
図4に加えて、図8および図9に示すように、本実施形態に係る吸込口体16の安全装置43は、電動機29に繋がる給電路を開閉する開閉器81と、吸込口本体部31の底面31aに対する突出量を変化可能であり、吸込口本体部31が底面31aを被掃除面fに向けて接地しているか否かを検出する検知部82と、吸込口本体部31が底面31aを被掃除面fに向けて接地していることを検知部82が検知している場合には、開閉器81を閉じて電動機29を駆動させる操作片83と、吸込口本体部31が反転した場合に、操作片83が開閉器81を閉じることを阻止する阻止部85と、検知部82と操作片83と阻止部85とを回転一体化させる軸部86と、吸込口本体部31の底面31aから突出する方向へ検知部82に力を加える弾性部材87と、を備えている。
【0090】
検知部82は、軸部86の一方の端部に設けられている。検知部82は、接続管部32の右側の安全装置室55および左側の安全装置室55のいずれか一方に収容されている。検知部82は、例えば接続管部32の右側の安全装置室55に収容されている。検知部82は、軸部86の一方の端部に設けられるブラケット91と、ブラケット91に設けられる支持軸92と、支持軸92を介してブラケット91に回転可能に支持されるローラー93と、を備えている。
【0091】
阻止部85は、軸部86の他方の端部に、操作片83とともに設けられている。阻止部85は、接続管部32の右側の安全装置室55および左側の安全装置室55のいずれか他方に、操作片83とともに収容されている。阻止部85は、例えば接続管部32の左側の安全装置室55に収容されている。阻止部85は、軸部86の他方の端部に設けられる略U字形状のストッパー片95と、吸込口本体部31の上下方向へ自重で移動可能な球体96と、を備えている。
【0092】
ストッパー片95は、軸部86からアーム状に突出している。ストッパー片95は、U字形状の一方の端部であって軸部86に固定される基端部95aと、U字形状の他方の端部であって自由端部95bと、を有している。
【0093】
球体96は、合成樹脂製の阻止部85のストッパー片95に比べて強度が極めて高い金属製、例えばステンレス鋼製の球である。
【0094】
操作片83は、軸部86の他方の端部に、阻止部85とともに設けられている。操作片83は、接続管部32の右側の安全装置室55および左側の安全装置室55のいずれか他方に、阻止部85とともに収容されている。操作片83は、例えば接続管部32の左側の安全装置室55に収容されている。操作片83は、阻止部85のストッパー片95よりも軸部86の他方の端部に近く、ストッパー片95に併設されている。操作片83は、吸込口体16が被掃除面fに接地された際に、被掃除面fによってローラー93が吸込口本体部31の方へ押し込まれる動きに連動して回転し、開閉器81を閉じる。
【0095】
軸部86は、吸込口本体部31に回転可能に支持されている。軸部86は、接続管部32と吸込口本体部31の底板31bとの間に配置され、吸込口本体部31の平面視において接続管部32を跨いで接続管部32に交差する方向へ延びている。軸部86は、接続管部32と中継管57との連結部分の真下に配置されている。軸部86は、接続管部32の右側の安全装置室55と左側の安全装置室55との間に架け渡されている。
【0096】
軸部86のねじり強度は、検知部82のねじり強度、および操作片83のねじり強度よりも高い。また、軸部86のねじり剛性は、検知部82のねじり剛性、および操作片83のねじり剛性よりも高い。
【0097】
検知部82のブラケット91、操作片83、阻止部85のストッパー片95、および軸部86は、一体成形部材99によって回転一体化されている。検知部82のブラケット91、操作片83、阻止部85のストッパー片95は、例えば合成樹脂製である。軸部86は、合成樹脂製の検知部82のブラケット91、操作片83、および阻止部85のストッパー片95に比べて強度およびせん断弾性係数(剛性率)が極めて高い金属製、例えばステンレス鋼製の軸そのもの、または軸芯を有している。
【0098】
一体成形部材99は、例えば合成樹脂製の検知部82のブラケット91、操作片83、および阻止部85のストッパー片95に金属製の軸部86をインサート成形した成型品である。軸部86は、合成樹脂に覆われていても良いし、覆われていなくても良い。なお、検知部82のブラケット91、操作片83、阻止部85のストッパー片95、および軸部86は、例えばキーのような機械要素で回転一体に結合されていても良い。
【0099】
弾性部材87は、例えばねじりばねである。弾性部材87は、一体成形部材99の適宜の箇所に設けられたばね受け部と吸込口本体部31の適宜の箇所に設けられたばね受け部とに引っ掛けられている。弾性部材87は、検知部82が最大突出位置から押し込まれるとエネルギーを蓄え、このエネルギーを消費して検知部82を突出させる。また、弾性部材87は、吸込口体16の上下が反転され、吸込口体16の底面31aが上方へ向けられても、一体成形部材99であるブラケット91、操作片83、ストッパー片95、および軸部86と、支持軸92と、ローラー93と、が自重によって回転することのないよう、これらを支える。そのため、弾性部材87には、適宜の予荷重が付与されていることが好ましい。
【0100】
図10は、図3のX-X線における、本発明の実施形態に係る吸込口体の断面図である。
【0101】
図10に示すように、吸込口体16が底面31aを被掃除面fに向けた状態で被掃除面fに接地されると、弾性部材87が発生させる力に抗して被掃除面fによってローラー93が吸込口本体部31の方へ押し込まれる。ローラー93の動きは、検知部82の支持軸92およびブラケット91を介して軸部86を回転させる。この軸部86の回転は、操作片83および阻止部85のストッパー片95を回転させる。弾性部材87は、軸部86の回転によって変形し、エネルギーを蓄積する。
【0102】
回転した操作片83は、開閉器81を閉じて電動機29への給電路を可能にする。開閉器81が閉じられた状態であり、かつブラシスイッチ26cが操作されて吸込口体16へ電力が供給されている状態であれば、電動機29へ電力が供給されて電動機29が駆動する。そうすると、回転清掃体28が回転する。
【0103】
また、回転したストッパー片95は、U字形状の開放部分を水平方向へ向ける。阻止部85の球体96は、U字形状のストッパー片95の内側(凹形状部)に捕捉される。
【0104】
次いで、吸込口体16が底面31aを被掃除面fに向けた状態で被掃除面fから離れると、弾性部材87が復元することによって、ローラー93が吸込口本体部31から突出する方向へ軸部86が回転する。この軸部86の回転は、操作片83、阻止部85のストッパー片95、および検知部82のブラケット91を回転させる。
【0105】
回転したブラケット91は、吸込口本体部31からローラー93を突出させる。このとき、検知部82の突出位置は、最大突出位置に達する。
【0106】
また、回転した操作片83は、開閉器81を開いて電動機29への給電を遮断する。開閉器81が開かれた状態では、ブラシスイッチ26cが操作されて吸込口体16へ電力が供給されている状態であっても、電動機29への給電が断たれる。そうすると、電動機29が停止し、回転清掃体28が停止する。
【0107】
また、回転したストッパー片95は、U字形状の開放部分を上方へ向ける。U字形状の開放部分が上方へ向くと、球体96がU字形状のストッパー片95の内側(凹形状部)から抜け出すことが可能になる。つまり、球体96は、上方向へ移動可能になる。
【0108】
図11は、図3のX-X線における、本発明の実施形態に係る吸込口体の断面図である。
【0109】
図11に示すように、吸込口体16の上下が反転され、吸込口体16の底面31aが上方へ向けられると、弾性部材87が軸部86の回転を支え、ローラー93が吸込口本体部31から突出した状態を維持する。このとき、球体96が自重によってU字形状のストッパー片95の内側から抜け出る。ストッパー片95の内側から抜け出た球体96は、吸込口本体部31内に適宜に設けられて球体96の移動範囲を規制する壁によって、ストッパー片95の回転を阻止する回転阻止位置(図10)に配置される。回転阻止位置に配置された球体96は、ローラー93を吸込口本体部31へ押し込むような外力が検知部82に作用した場合には、ストッパー片95の自由端部95bに当たって軸部86の回転を阻止する。そうすると、操作片83、阻止部85のストッパー片95、および検知部82のブラケット91の回転が阻止される。
【0110】
回転が阻止される操作片83は、開閉器81を開いた状態を維持する。そうすると、電動機29が停止を続け、回転清掃体28が停止を続ける。
【0111】
以上のように、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、底面31aへ向かって開く吸込口27と、吸込口27に繋がる吸込室45と、吸込室45の外側に区画される清掃体室46と、を有する吸込口本体部31と、清掃体室46に配置される回転清掃体28と、回転清掃体28の駆動力を発生させる電動機29と、を備えている。そして、吸込口27と回転清掃体28とは、吸込口本体部31の進行方向へ並んでいる。吸込口本体部31は、吸込室45と清掃体室46とを区画し、かつ吸込口27の縁の一部を画定する隔壁65と、隔壁65の縁から突出して回転清掃体28に接する除塵突起66と、を備えている。したがって、吸込口体16および電気掃除機1は、回転清掃体28の周囲に回転清掃体28を囲い込むような空気の流れを生じない。吸込口27に吸い込まれる空気は、回転清掃体28と被掃除面fとの間の隙間、および吸込口27の側方から吸込口27に流れ込む。そのため、吸込口体16および電気掃除機1は、吸込口27に吸い込まれた糸状の塵埃が回転清掃体28に巻き付いてしまうことを防ぐことができる。
【0112】
また、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、隔壁65(前隔壁65F)に向かって凸の円弧形状を有する湾曲面68を有する吸込室45を備えている。そのため、吸込口体16および電気掃除機1は、回転清掃体28(前清掃体28F)の回転によって掃き上げられる塵埃を湾曲面68で吸込室45の奥側へ円滑に誘導し、被掃除面fの塵埃の残留を抑制する。
【0113】
さらに、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、吸込室45の下流側へ向かって風路幅を狭める漏斗状の傾斜面71を備えている。傾斜面71は、隔壁65(前隔壁65F)に対向する案内面72を含む階段形状を有している。そのため、吸込口体16および電気掃除機1は、前清掃体28Fに掃き上げられた塵埃を案内面72で捕捉して吸込室45の奥側へ導き、被掃除面fの様々な塵埃の残留を抑制できる。
【0114】
また、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、吸込室45の外側に区画される後清掃体室46Rと、後清掃体室46Rに配置される後清掃体28Rと、を備えている。吸込口27と前清掃体28Fと後清掃体28Rとは、吸込口本体部31の進行方向へ並び、吸込口27は、前清掃体28Fと後清掃体28Rとの間に配置されている。吸込室45と後清掃体室46Rとを区画し、かつ吸込口27の縁の一部を画定する後隔壁65Rは、吸込室45と後清掃体室46Rとを繋ぐ孔73を有している。そのため、吸込口体16および電気掃除機1は、後清掃体室46R内に入り込んだ塵埃が後清掃体室46R内に残留しないよう、吸込室45へ排出することができる。
【0115】
さらに、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、吸込口本体部31の接地面を基準面とすると、基準面から遠ざかる方向へ傾いて突出する後突起66Rを備えている。そのため、吸込口体16および電気掃除機1は、糸状の塵埃が前清掃体室46Fおよび後清掃体室46Rの両方に進入することを防ぐことができる。
【0116】
したがって、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1によれば、回転清掃体28への糸状の塵埃の巻き付きを抑制できる。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
1…電気掃除機、11…把手、12…掃除機本体、13…二次電池、15…延長管、16…吸込口体、17…本体ケース、17a…前半部、17b…後半部、18…電動送風機、19…塵埃分離集塵部、21…本体制御部、23…本体接続口、26…入力部、26a…運転開始スイッチ、26b…運転停止スイッチ、26c…ブラシスイッチ、27…吸込口、28…回転清掃体、28F…前清掃体、28R…後清掃体、29…電動機、29a…出力軸、29F…前用電動機、29R…後用電動機、31…吸込口本体部、31a…底面、31b…底板、32…接続管部、35…下ケース、36…上ケース、38…回転接続管部、39…揺動接続管部、41…動力伝達機構、41F…前用伝達機構、41R…後用伝達機構、42…吸込口体制御部、43…安全装置、45…吸込室、46…清掃体室、46F…前清掃体室、46R…後清掃体室、48…風路カバー、49…風路狭窄体、50…転、51…電動機室、51F…前用電動機室、51R…後用電動機室、52…機械室、52F…前用機械室、52R…後用機械室、53…制御室、55…安全装置室、57…中継管、59…ブラシ毛、61…主動歯車、62…従動歯車、63…ベルト、65…隔壁、65F…前隔壁、65R…後隔壁、66…除塵突起、66F…前突起、66R…後突起、68…湾曲面、71…傾斜面、72…案内面、73…孔、75…突出部、81…開閉器、82…検知部、83…操作片、85…阻止部、86…軸部、87…弾性部材、91…ブラケット、92…支持軸、93…ローラー、95…ストッパー片、95a…基端部、95b…自由端部、96…球体、99…一体成形部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11