IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-漏水検知装置 図1
  • 特許-漏水検知装置 図2
  • 特許-漏水検知装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】漏水検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/16 20060101AFI20231013BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20231013BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20231013BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G01M3/16 E
G01N27/416 341A
G01N27/26 391Z
G01N27/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020027760
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021131339
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 則啓
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-113738(JP,U)
【文献】特開平02-150735(JP,A)
【文献】特開2013-167551(JP,A)
【文献】特開2001-296201(JP,A)
【文献】特開2011-158468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00- 3/40
G01N 27/00-27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の金属電極と、
前記一対の金属電極の一端に接続され、前記一対の金属電極間の電位差によって警報を発報する警報装置と、
前記一対の金属電極の他端に接続され、前記一対の金属電極間に電圧を印加する電源を備える漏水検知装置。
【請求項2】
前記一対の金属電極は、標準電極電位の異なる異種金属であることを特徴とする請求項1に記載の漏水検知装置。
【請求項3】
前記電源は、抵抗と、ダイオードと、定電圧源と、タイマーとを備えることを特徴とする請求項1記載の漏水検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏水検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、漏水によって発生する電力によって、漏水発生の警報を発報する漏水検知装置が知られている。具体的には、標準電極電位の異なる異種金属の間に水分が浸透することにより、異種金属間に発生する起電力を利用した漏水検知装置が提唱されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-53057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の漏水検知装置は、万一の漏水の際に間違いなく検知されることが求められるため、定期的な点検が必要であった。定期的な点検のために、人員等の確保が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の漏水検知装置は、一対の金属電極と、前記一対の金属電極の一端に接続され、前記一対の金属電極間の電位差によって警報を発報する警報装置と、前記一対の金属電極の他端に接続され、前記一対の金属電極間に電圧を印加する自己診断用電源を備える漏水検知装置とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の漏水検知装置によれば、定期的に自動で動作確認が行われ、定期点検等を行う人員等が不要になった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態の一例を示す概略図である。
図2】本発明の第2の実施形態の一例を示す概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態の漏水警報装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる漏水検知装置の一例を示す概略図である。
【0009】
本実施形態の漏水検知装置1は、漏水警報装置2と自己診断用電源3を備えている。漏水警報装置2は、漏水検知回路5と、センサ部4を備える。センサ部4は、第1の電極11と、第2の電極12とを有する。自己診断用電源3は、抵抗13と、ダイオード14と、定電圧レギュレータ15と、タイマー16と電池17とを有する。
【0010】
定電圧源としての電池17はタイマー16に接続され、タイマー16に直流電流を供給する。
【0011】
タイマー16は、定電圧レギュレータ15に接続され、所定の時間に定期的に予め設定した時間だけ電池17からの電流を定電圧レギュレータ15へ供給する設定がされている。
【0012】
定電圧レギュレータ15は、ダイオード14と抵抗13を介して第1の電極と第2の電極に接続され、タイマーから電流が供給されると、ダイオード14と抵抗13を介してセンサ部4へ予め設定された電圧で電流を供給する。ダイオード14は、抵抗13から定電圧レギュレータ15への電流の逆流防止のために挿入されている。ダイオード14は、逆リーク電流の小さいダイオードが望ましい。例えば、ダイオード14は、印加される電圧よりも高いツェナー電圧のツェナーダイオードを用いる。定電圧レギュレータ15は、三端子降圧型シリーズレギュレータを用いるが、電池17の電圧によってはDCDCコンバータによる昇圧型定電圧レギュレータでも良い。
【0013】
センサ部4の第1の電極11と第2の電極12は、自己診断用電源3と接続されている箇所の対向側で漏水検知回路5に接続されている。第1の電極11と第2の電極12は、標準電極電位の異なる異種金属を含んでいる。第1の電極11と第2の電極12は、当該金属の導体であっても良いし、当該金属が表面にメッキされた導体であっても良いし、非導体の繊維の表面に当該金属を付着させた導体でも良い。標準電極電位の異なる異種金属として、例えば亜鉛と銀の組合せがある。異種金属は、この組み合わせに限定されず、標準電極電位の異なる金属の組合せであれば、他の組合せでも良い。センサ部4は、第1の電極11と第2の電極12の電極間の電位差を漏水検知回路5に入力する。
【0014】
漏水検知回路5は、第1の入力端子18と第2の入力端子19を有する。第1の電極11は、第1の入力端子18に接続され、第2の電極12は、第2の入力端子19に接続される。
【0015】
本実施形態の漏水検知装置1の動作について説明する。センサ部4は、漏水検知を行いたい部位に設置する。例えば、センサ部4を細長いテープ状に形成し、建築物内の送水管の接続部などに巻き付ける。
【0016】
送水管の接続部で漏水が発生し、センサ部4の第1の電極11と第2の電極12の間に水分が浸透すると、センサ部4は、第1の電極11と第2の電極12の標準電極電位の差に由来する起電力により電位差を発生する。センサ部4で発生した電位差は、第1の入力端子18と第2の入力端子19を介して漏水検知回路5に入力される。漏水検知回路5は、第1の入力端子18と第2の入力端子19の間の電位差によって、漏水検知回路5に入力される電気量が予め設定された電気量の値を超えると漏水発生の警報を発報する。
【0017】
漏水検知回路5とセンサ部4の接続部の対向側には、自己診断用電源3が接続されている。自己診断用電源3は、電池17からの電流を、タイマー16によって、所定の時刻に定期的に予め設定した時間だけセンサ部4を介して漏水検知回路5へ供給する。所定の時刻は、例えば午前2時であり、予め設定した時間は、例えば300秒である。
【0018】
漏水検知回路5は、所定の時刻に定期的に入力される電流については、漏水の発生ではなく、自己診断用電源3からの電流供給として警報を発報しない。また、漏水検知回路5は、所定の時刻に定期的に電流が入力されている間は、漏水検知装置1が正常動作状態であることを示す表示をする。
【0019】
また、漏水検知回路5は、自己診断用電源3からの電流供給が所定の時刻に予め設定した時間だけ入力されない時は、自己診断用電源3またはセンサ部4の異常発生として、異常発生警報を発報する。自己診断用電源3の異常例は、電池17の消耗、タイマー16の故障等がある。センサ部4の異常例は、電極の断線や短絡の発生、電極の腐食、特に電極材料に銀を使用した場合の銀電極の腐食や硫化銀の生成による抵抗値増がある。
【0020】
本実施形態の漏水検知装置1は、漏水が発生しセンサ部4に水分が浸透した場合に漏水検知回路5から漏水警報を発報する。また、本実施形態の漏水検知装置1は、平常時に、自己診断用電源3による自己診断が定期的に行われ、異常発生時には異常発生警報を発報する。
【0021】
[第2の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は、本実施形態にかかる漏水検知装置21の一例を示す概略図である。また、図3は、本実施形態にかかる漏水警報装置22の一例を示す概略図である。なお、第1の実施形態と同じ構成要素については同じ符号をつけ、説明は省略する。
【0022】
本実施形態の漏水警報装置22の漏水検知回路23は、第1の入力端子18と、第2の入力端子19と、蓄電昇圧回路27と、微小電力で動作する無線送信回路28と、送信アンテナ24とを有する。漏水検知回路23は、蓄電昇圧回路27の供給する電力で動作し、漏水検知装置21の外部から電力供給を必要としない。第1の入力端子18と第2の入力端子19は、蓄電昇圧回路27に接続される。蓄電昇圧回路27は、無線送信回路28に接続される。無線送信回路28は、送信アンテナ24に接続される。また、本実施形態の漏水警報装置22は、外部の漏水警報装置親機25の子機として動作する。漏水警報装置親機25は、無線受信回路(図示せず)と受信アンテナ26を有する。
【0023】
本実施形態の漏水検知装置21は、第1の実施形態の漏水検知装置1と同じく、センサ部4の第1の電極と第2の電極の間に水分が浸透すると、第1の電極と第2の電極の標準電極電位の差に由来する起電力により電位差を発生する。センサ部4で発生した電位差による電流は、第1の入力端子18と第2の入力端子19を介して漏水検知回路23に入力される。蓄電昇圧回路27は、第1の入力端子18と第2の入力端子19から入力された微小な電気量を内部の容量に蓄電し、予め設定した所定の電気量が内部の容量に蓄電されると内部の昇圧回路を起動し、無線送信回路28へ電力を供給する。無線送信回路28は、蓄電昇圧回路27から電力の供給を受けると、送信アンテナ24から漏水検出信号を送信する。漏水警報装置親機25は、受信アンテナ26により漏水検出信号を受信し、漏水警報を発報する。
【0024】
自己診断用電源3は、第1の実施形態と同様に、電池17からの電流を、タイマー16によって、所定の時刻に定期的に予め設定した時間だけセンサ部4を介して漏水検知回路23へ供給する。所定の時刻は、例えば午前2時であり、予め設定した時間は、例えば300秒である。予め設定する時間は、蓄電昇圧回路27が所定の電気量を蓄電するために十分な時間とする。漏水検知回路23は、自己診断用電源3からの電流が入力されると漏水検出信号を送信する。漏水警報装置親機25は、漏水検知装置21のタイマー16に設定された所定の時刻に漏水検出信号を受信したときは、自己診断用電源3の動作による漏水検知信号として漏水警報を発報しない。また、漏水警報装置親機25は、所定の時刻に漏水検出信号を受信しなかったときは、漏水検知装置21の異常を示す警報を発報し、所定の時刻に定期的に電流が入力されている間は、漏水検知装置21が正常動作状態であることを示す表示を行い、更に定期的に他の機器へ漏水検知装置21が正常動作状態であることを伝達する。
【0025】
なお、ここでは漏水警報装置親機25は、所定の時刻の漏水検出信号に対して漏水警報を発報しないとしたが、例えば前回と前々回の自己診断による漏水検出信号の時間間隔を記録しておき、この時間間隔に近い漏水検出信号を自己診断による漏水検出信号としてもよい。この場合は、タイマー16の動作周期が、環境温度の変動によって変化した場合でも適切に追従できる。また、この場合は、タイマー16の動作周期が所定の時刻の場合だけでなく、たとえば50時間毎のような場合にも対応できる。
【0026】
本実施形態では、漏水検知装置21と漏水警報装置親機25との間の通信は、無線通信を用いる例で説明したが、有線通信を用いる構成でも良い。
【0027】
以上、本発明の漏水検知装置によれば、定期的に自動で動作確認が行われ、漏水検知装置自身の故障による漏水の見逃しが防止でき、定期点検等を行う人員等が不要になる。
【符号の説明】
【0028】
1、21 漏水検知装置
2、22 漏水警報装置
3 自己診断用電源
4 センサ部
5、23 漏水検知回路
11 第1の電極
12 第2の電極
13 抵抗
14 ダイオード
15 定電圧レギュレータ
16 タイマー
17 電池
18 第1の入力端子
19 第2の入力端子
24 送信アンテナ
25 漏水警報装置親機
26 受信アンテナ
27 蓄電昇圧回路
28 無線送信回路
図1
図2
図3