(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】絶縁シート、ステータの製造方法及びステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/34 20060101AFI20231013BHJP
H02K 15/12 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H02K3/34 C
H02K15/12 Z
(21)【出願番号】P 2020053080
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 真秀
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-126684(JP,A)
【文献】特開2010-155877(JP,A)
【文献】特開2012-170248(JP,A)
【文献】特開2013-005701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/30- 3/52
H02K 15/00-15/02
H02K 15/04-15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータのスロットに挿入される巻線と、当該ステータとの間に介装され、前記スロットの内壁と前記巻線とを電気的に絶縁する絶縁シートであって、
絶縁紙と、
前記絶縁紙における前記スロットの前記内壁側の第1表面に熱硬化性の第1接着材が配置される第1接着材層と、
前記絶縁紙における前記巻線側の第2表面に熱硬化性の第2接着材が配置される第2接着材層と、
を備え、
前記第1接着材の硬化温度は、前記第2接着材の硬化温度よりも低く設定される
絶縁シート。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁シートであって、
前記第1接着材の硬化温度が、前記第2接着材のガラス転移温度よりも低く設定される
絶縁シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の絶縁シートであって、
前記第1表面の前記第1接着材層の少なくとも一部に、前記第2接着材が配置される
絶縁シート。
【請求項4】
回転電機のステータの製造方法であって、
前記ステータのスロットの内壁に請求項1から3のいずれか一つに記載の絶縁シートを取り付ける手順と、
前記絶縁シートを、前記第1接着材の硬化温度よりも高い第1温度まで上昇させる手順と、
温度上昇後、前記スロットに前記巻線を挿入する手順と、
前記巻線の挿入後、前記絶縁シートを、前記第2接着材層の硬化温度よりも高い第2温度まで上昇させる手順と、
を有するステータの製造方法。
【請求項5】
回転電機のステータであって、
ステータコアと、前記ステータコアに形成されるスロットに挿入される巻線と、前記スロット内に配置され、前記スロットの内壁と前記巻線とを電気的に絶縁する請求項1から3のいずれか一つに記載の絶縁シートと、を備え、
前記絶縁シートと前記スロットの前記内壁とは、第1接着材により固定され、
前記絶縁シートと前記巻線とは、第2接着材により固定される
ステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁シート、ステータの製造方法及びステータ
に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータ等の回転電機において、ステータと巻線とを絶縁するために絶縁シートが用いられている。絶縁シートの表面には、ステータと巻線との双方に密着させる樹脂性等の接着材が配置される。
【0003】
引用文献1には、絶縁紙の両面の不織布に熱硬化タイプの接着材をマイクロカプセルに封入したものを分散して配置した絶縁シートが開示されている。この接着材の硬化温度は、マイクロカプセル表皮の軟化温度よりも高く設定されている。このような絶縁シートを用いた場合には、巻線挿入後に当該絶縁シートを昇温させることで、接着材をステータ及び巻線に密着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術の絶縁シートを用いたステータの製造は、スロットに巻線を挿入した後に熱を加えて接着材を硬化させる方式である。このような製造方法では、巻線挿入時に接着材は硬化しておらず、巻線をステータのスロットに挿入する際に絶縁シートがスロット内に固定されていないため、巻線が絶縁シートに引っかかるなどして絶縁シートがずれてしまう。
【0006】
これを防ぐために、治具を用いて絶縁シートを押さえたり、絶縁シートがずれないように予め折り目加工したりすることも考えられるが、工数が増える割に効果が低い。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、ステータに巻線を挿入する際のずれを防止できる絶縁シートを提供すること、また、絶縁シートのずれに起因する絶縁性の低下を抑制できるステータ及びステータ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、ステータのスロットとスロットに巻回される巻線との間に介装され、スロットの内壁と巻線とを電気的に絶縁する絶縁シートに適用される。この絶縁シートは、絶縁紙と、絶縁紙におけるスロットの内壁側の第1表面に熱硬化性の第1接着材が配置される第1接着材層と、絶縁紙における巻線側の第2表面に熱硬化性の第2接着材が配置される第2接着材層と、からなる。そして、第1接着材層の硬化温度が、第2接着材層の硬化温度よりも低い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、絶縁シートをスロットに取り付けて第1温度に昇温することで第1接着材によりスロットの内壁と絶縁シートが固定され、その際も巻線側の第2接着材の接着状態は変化しない。従って、絶縁シートが固定された状態で巻線を挿入できるので、巻線挿入時の絶縁シートのずれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態のステータの説明図である。
【
図2】
図2は、ステータのスロットの拡大図である。
【
図4】
図4は、ステータの組立方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態の変形例の絶縁シートの説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態の他の変形例の絶縁シートの説明図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態の他の変形例の絶縁シートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る絶縁シートが適用される回転電機(モータ)のステータ10を、回転軸方向から観察した場合の説明図である。
【0013】
ステータ10は、複数のスロット12が形成されたステータコア11と、スロット12に挿入される巻線30と、ステータコア11と巻線30との間を電気的に絶縁する絶縁シート20(
図2参照)とを備えて構成される。
【0014】
ステータコア11は、円環状に打ち抜かれた電磁鋼板が回転軸方向に積層して構成される。ステータコア11には、円環状のバックヨーク13と、バックヨーク13から内周側に突出する複数のティース14と、が形成される。
【0015】
ティース14とティース14との間に形成される空隙がスロット12を構成し、スロット12の内部に巻線30(
図1にハッチングで示す)が挿入される。
【0016】
ステータ10の内周側には図示しないロータが配置される。ステータ10の巻線30に電流を流すことで、ロータに備えられる永久磁石との作用によってロータが回転する。
【0017】
なお、
図1に示すステータコア11は、48個のスロット12が形成された例を示すが、スロット12の数はこれに限られるものではない。
【0018】
本実施形態の回転電機は、例えば電動自動車に搭載され、車輪を駆動する電動機として機能する。また、回転電機は、車輪の回転による駆動力を受けて発電(回生)を行なう発電機として機能する。なお、回転電機は、自動車以外の装置、例えば各種電気機器又は産業機械の駆動装置として用いられてもよい。
【0019】
次に、ステータ10のスロット12の構成を説明する。
【0020】
図2は、本実施形態のステータ10のスロット12の部分拡大図である。
図2は、
図1における複数のスロット12の一つを代表して説明するが、他のスロット12の構成も同一である。
【0021】
スロット12は、ステータ10において、ティース14とティース14との間に形成された間隙である。ティース14の先端には、周方向に突出する突起部14aが形成されており、突起部14aと突起部14aとの間隙15によりスロット12がステータ10の内周側に開口する。
【0022】
スロット12には巻線30が挿入され、スロット12の内壁12aと巻線30との間には、絶縁シート20が介装される。
【0023】
絶縁シート20は、ステータコア11と巻線30との間を電気的に絶縁する。また、絶縁シート20は、後述するように表面に接着材を備え、接着材によりスロット12の内壁12aと巻線30とを密着固定する。
【0024】
巻線30は、絶縁被膜を有する平角線により構成される。
図2に示す例では、一つのスロット12内に、径方向に6列の平角線が収装されている。これら複数の平角線により巻線30が構成される。なお、巻線30の数及び形状はこれに限られるものではない。
【0025】
図3は、本実施形態の絶縁シート20の説明図である。
【0026】
絶縁シート20は、絶縁紙21と、絶縁紙21におけるスロット12の内壁12a側の第1表面に第1接着材を含む第1接着材層22と、絶縁紙21における巻線30側の第1表面に第2接着材を含む第2接着材層23と、から構成される。
【0027】
絶縁紙21は、紙、不織布又は樹脂等の絶縁性の材料によりシート状に形成される。
【0028】
第1接着材層22には、熱硬化性の第1接着材が所定の厚み(所定の量)で塗布されている。第2接着材層23には、熱硬化性の第2接着材が所定の厚み(所定の量)で塗布されている。
【0029】
第1接着材及び第2接着材は、所定の硬化温度により硬化する。また、第1接着材及び第2接着材は、硬化温度よりも低い温度のガラス転移温度をそれぞれ有している。そして好ましくは、第2の接着材のガラス遷移温度が、第1の接着材の硬化温度よりも高く設定される。
【0030】
ガラス転移温度とは、固体の状態から溶融して流動性の高い状態へと転移する温度である。接着材が溶融することで、絶縁シート20と内壁12aとの隙間及び絶縁シート20と巻線30との隙間に接着材が流入して両者が密着する。硬化温度とは、ガラス転移温度よりも高い温度であって、溶融した接着材が硬化する温度である。
【0031】
ここで、従来のステータにおける絶縁シートについて考察する。
【0032】
ステータのスロットに巻線を挿入するのに先立って、スロットに絶縁シートを取り付ける。この状態で巻線をスロットに挿入する場合、絶縁シートがスロット内に固定されていないため、巻線が絶縁シートに引っかかるなどして絶縁シートがずれてしまい、ステータと巻線との間の絶縁性が低下する場合がある。
【0033】
これを防ぐために、治具を用いて絶縁シートを押さえたり、絶縁シートがずれないように予め折り目加工したりすることも考えられるが、工数が増える割に効果が低い。
【0034】
そこで、本発明の実施形態では、絶縁シート20の第1接着材の硬化温度と、第2接着材の硬化温度を異ならせた。つまり、絶縁シート20では、第1接着材層22の第1接着材の硬化温度が、第2接着材層23の第2接着材の硬化温度よりも低い温度となるように設定されている。
【0035】
このような構成により、スロット12に巻線30を挿入するのに先立って、第1接着材のみを硬化させて絶縁シート20を内壁12aへと固定することができるようになり、巻線30の挿入時に、絶縁シート20がずれることを防止することが可能となる。
【0036】
図4は、本実施形態の絶縁シート20を用いたステータ10の組立方法を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS10において、ステータ10の全てのスロット12内に、それぞれ絶縁シート20を取り付ける。
【0038】
このとき、治具等により、絶縁シート20の第1表面の第1接着材層22をスロット12の内壁12aに密着させておくことが望ましい。
【0039】
次に、ステップS20において、スロット12内に取り付けられた絶縁シート20を、第1温度へ昇温させる。
【0040】
例えば、ステータ10全体を炉に入れ、各スロット12に取り付けられた絶縁シート20を第1温度に昇温させてもよい。また、絶縁シート20を密着させるための治具が加熱機構を有しており、加熱機構により各絶縁シート20を第1温度に昇温させてもよい。
【0041】
なお、第1温度は、第1接着材層22の第1接着材のガラス転移温度及び硬化温度よりも高く、第1接着材が十分に硬化する温度であって、第2接着材層23の第2接着材のガラス転移温度よりも低い温度である。
【0042】
第1温度昇温後は、第1接着材が十分に硬化するまでの所定時間、絶縁シート20を第1温度に維持する。
【0043】
このステップS20の工程により、第1接着材が溶融して第1接着材層22と内壁12aとの隙間に第1接着材が行き渡る。その後、第1接着材が硬化することで、絶縁シート20とスロット12の内壁12aとが固定される。なお、絶縁シート20がスロット12の内壁12aに固定された後に、治具は取り外す。
【0044】
次に、ステップS30において、各スロット12に巻線30を挿入する。
【0045】
巻線30は、U字形状を有する複数の平角線により構成される。この平角線を開放端からスロット12の軸方向に挿入する。その後、平角線の開放端を電気的に接続することで、巻線30が形成される。
【0046】
このとき、スロット12の内壁12aと絶縁シート20とが第1接着材により固定されているので、絶縁シート20がずれることがない。さらに、この時点では絶縁シート20の第2接着材層23の第2接着材は、ガラス転移温度まで昇温されていないので流動性を有さず、巻線30の挿入を妨げない。
【0047】
次に、ステップS40において、スロット12内に取り付けられた絶縁シート20を、第2温度へ昇温させる。
【0048】
このときもステップS20と同様に、ステータ10全体を炉に入れ、絶縁シート20を第2温度に昇温させる。
【0049】
なお、第2温度は、第2接着材層23の第2接着材のガラス転移温度及び硬化温度よりも高く、第2接着材が十分に硬化する温度である。
【0050】
第2温度昇温後は、第2接着材が十分に硬化するまでの所定時間、絶縁シート20を第2温度に維持する。
【0051】
このステップS40の工程により、第2接着材が溶融して第2接着材層23と巻線30との隙間に第2接着材が行き渡る。その後、第2接着材が硬化することで、絶縁シート20と巻線30とが固定される。
【0052】
以上のような処理により、スロット12に巻線30を挿入するに先立って、第1接着材により絶縁シート20がスロット12の内壁12aへと固定されるので、巻線30の挿入により絶縁シート20がずれることが防止できる。
【0053】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0054】
前述のように、本実施形態では、第1温度で第1接着材を硬化させた後、より高い第2温度で第2接着材を硬化させている。
【0055】
ここで、第1接着材の材質や特性によっては、第1温度よりも高い第2温度への昇温により、第1接着材の接着力が低下してしまう場合があり、絶縁シート20と内壁12aとの固定が弱まる可能性がある。
【0056】
これに対して、第2温度においても接着力が低下しないように、第1接着材の材質を選択することも可能であるが、この場合は、第1接着材の材料コストが上昇する場合がある。
【0057】
そこで、第1接着材のコストを上昇させずに第2温度においても接着力を低下させない方法として、絶縁シート20の第1接着材層22の一部に、第2温度で硬化する第2接着材を分散して配置する。これにより、第2温度へと昇温した場合に第2接着材が硬化して、絶縁シート20と内壁12aの固定が維持される。
【0058】
図5から
図7は、第1接着材層22に第2接着材を分散して配置した例を示す。
【0059】
図5は、第1接着材層22において、絶縁シート20のステータ10の軸方向に帯状に、第1接着材と第2接着材(ハッチングで示す)とを交互に配置した例を示す。
【0060】
図6は、第1接着材層22において、絶縁シート20のステータ10の軸方向と直行する方向に帯状に、第1接着材と第2接着材とを交互に配置した例を示す。
【0061】
図7は、第1接着材層22において、絶縁シート20の第1接着材の中に円形状に第2接着材を分散して配置した例を示す。
【0062】
このような構成により、第2温度に昇温することにより第1接着材層22に配置された第2接着材が硬化して、絶縁シート20と内壁12aとが固定される。これにより、第1接着材のコストを上昇させることなく、第1接着材層22による絶縁シート20と内壁12aとの固定が弱まることを防止でき。
【0063】
次に、以上のように構成された本実施形態の効果を説明する。
【0064】
本実施形態は、ステータ10のスロット12に挿入される巻線30とステータ10との間に介装され、内壁12aと巻線30とを電気的に絶縁する絶縁シート20に適用される。この絶縁シート20は、絶縁紙21と、絶縁紙21におけるスロット12の内壁12a側の第1表面に配置される熱硬化性の第1接着材からなる第1接着材層22と、絶縁紙21における巻線30側の第2表面に配置される熱硬化性の第2接着材からなる第2接着材層23とを備え、第1接着材の硬化温度は、第2接着材の硬化温度よりも低く設定される。
【0065】
本実施形態では、第1接着材の硬化温度が第2接着材の硬化温度よりも低く設定されることで、スロット12に巻線30を挿入するに先立って、第1接着材のみを絶縁シート20を内壁12aへと密着固定することができ、巻線30の挿入時の絶縁シート20のずれを防止できる絶縁シート20を提供することができると共に、そのように構成されたステータ10を提供することができる。
【0066】
また、本実施形態では、第1接着材の硬化温度が、第2接着材のガラス転移温度よりも低く設定される。これにより、第1接着材が硬化する温度では第2接着材は溶融せず、流動性を有しないため、巻線30の挿入時に絶縁シート20の第2表面に引っかかることがなくなり、絶縁シート20のずれを防止できる。
【0067】
また、本実施形態では、第1表面の第1接着材層22の少なくとも一部に、第2接着材が配置される。これにより、スロット12に巻線30を挿入した後、第2温度に昇温することで第1接着材層22に配置された第2接着材が硬化して、絶縁シート20と内壁12aとが固定されるので、第1接着材のコストを上昇させることなく、第1接着材の接着力の低下による絶縁シート20と内壁12aとの固定が弱まることを防止できる。
【0068】
また、本実施形態では、第1接着材の硬化温度が、第2接着材の硬化温度よりも低く設定され、ステータ10のスロット12の内壁12aに絶縁シート20を取り付ける手順と、絶縁シート20を、第1接着材の硬化温度よりも高い第1温度まで上昇させる手順と、温度上昇後、スロット12に巻線30を挿入する手順と、巻線30の挿入後、絶縁シート20を、第2接着材の硬化温度よりも高い第2温度まで上昇させる手順と、を有する。
【0069】
これにより、スロット12に巻線30を挿入するに先立って、第1接着材を第1温度に昇温することで絶縁シート20を内壁12aへと密着固定することができ、その際にも第2接着材は溶融せず、巻線30の挿入時の絶縁シート20のずれを防止できる。さらに、第2温度に上昇させることで、巻線30と絶縁シート20とを密着固定することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態、及びその変形例について説明したが、上記実施形態及び変形例は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0071】
本実施形態では、スロット12内に平角線の巻線30が挿入される例を示したが、これに限られず、例えば巻線が丸線で構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 ステータ
11 ステータコア
12 スロット
12a 内壁
20 絶縁シート
21 絶縁紙
22 第1接着材層
23 第2接着材層
30 巻線