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  • 特許-回転電機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
H02K5/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020078590
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021175294
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 雄介
(72)【発明者】
【氏名】西宮 和彦
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10122425(DE,A1)
【文献】特開2001-8410(JP,A)
【文献】特開2000-262013(JP,A)
【文献】特開平8-205475(JP,A)
【文献】特公昭47-1968(JP,B1)
【文献】特開2017-85765(JP,A)
【文献】特表2006-515981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータの内側に配置され、回転軸まわりに回転可能なロータと、
前記ロータに固定され、前記回転軸の軸方向に延びるシャフトと、
前記ステータ及び前記ロータが収容される収容室と、前記収容室に連通する給気口と、前記軸方向において前記給気口から離間して前記収容室に連通する排気口と、前記収容室の外の流路と、前記流路に連通する入口と、前記入口から前記軸方向において離間して前記流路に連通する出口と、が設けられ、前記シャフトを支持する筐体と、
前記筐体の外部に位置し、前記給気口に気体を供給する第1の冷却装置と、
前記流路に液体を流し、前記出口から排出された前記液体を冷却し、前記入口に前記液体を供給する、第2の冷却装置と、
を具備し、
前記筐体は、前記収容室を囲む周壁と、前記収容室を塞ぐように前記周壁の前記軸方向における一方の端部に取り付けられた第1のブラケットと、前記収容室を塞ぐように前記周壁の前記軸方向における他方の端部に取り付けられた第2のブラケットと、を有し、
前記第1のブラケット及び前記第2のブラケットは、前記シャフトを支持し、
前記第1のブラケットに、前記給気口と、当該給気口と前記回転軸まわりに隣接する導出孔と、が設けられ、
前記第2のブラケットに、前記排気口が設けられ、
前記ステータは、巻線と、当該巻線に接続されるとともに前記導出孔を通って前記筐体の外部へ延びるとともに前記導出孔の縁との間の隙間を封止材で塞がれたリード線と、を有し、
前記収容室は、前記軸方向において前記ステータ及び前記ロータと前記給気口との間に位置するとともに、前記筐体の外部から気密に隔てられた、上流空間を有する、
回転電機。
【請求項2】
前記ステータの少なくとも一部と、前記ロータの少なくとも一部とは、前記軸方向において、前記入口と前記出口との間に位置する、
請求項の回転電機。
【請求項3】
前記給気口は、前記軸方向において、前記軸方向のうち一方向である第1の方向に前記排気口から離間し、
前記入口は、前記軸方向において、前記第1の方向の反対の第2の方向に前記出口から離間する、
請求項の回転電機。
【請求項4】
前記流路は前記周壁の内部に設けられる、
請求項1乃至請求項のいずれか一つの回転電機。
【請求項5】
前記流路は、前記回転軸まわりに螺旋状に延びる、請求項の回転電機。
【請求項6】
前記周壁は、前記ステータを囲む内壁と、前記内壁を囲む外壁と、を有し、
前記流路は、前記内壁と前記外壁との間に設けられる、
請求項又は請求項の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機としての電動機は、例えば、当該電動機に駆動され、又は他の小型の電動機に駆動されたファンから送られた空気により冷却される。他の例では、電動機は、当該電動機のフレームの外部に設けられたウォータージャケットを流れる水により冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-268197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水冷方式は、空冷式よりも電動機を冷却することができる。しかし、電動機の出力によっては、回転するロータに対する冷却が不十分となり、電動機において局所的な温度上昇が発生してしまう虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、局所的な温度上昇を抑制可能な回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る回転電機は、ステータと、ロータと、シャフトと、筐体と、第1の冷却装置と、第2の冷却装置とを備える。前記ロータは、前記ステータの内側に配置され、回転軸まわりに回転可能である。前記シャフトは、前記ロータに固定され、前記回転軸の軸方向に延びる。前記筐体は、前記ステータ及び前記ロータが収容される収容室と、前記収容室に連通する給気口と、前記軸方向において前記給気口から離間して前記収容室に連通する排気口と、前記収容室の外の流路と、前記流路に連通する入口と、前記入口から前記軸方向において離間して前記流路に連通する出口と、が設けられ、前記シャフトを支持する。前記第1の冷却装置は、前記筐体の外部に位置し、前記給気口に気体を供給する。前記第2の冷却装置は、前記流路に液体を流し、前記出口から排出された前記液体を冷却し、前記入口に前記液体を供給する。前記筐体は、前記収容室を囲む周壁と、前記収容室を塞ぐように前記周壁の前記軸方向における一方の端部に取り付けられた第1のブラケットと、前記収容室を塞ぐように前記周壁の前記軸方向における他方の端部に取り付けられた第2のブラケットと、を有する。前記第1のブラケット及び前記第2のブラケットは、前記シャフトを支持する。前記第1のブラケットに、前記給気口と、当該給気口と前記回転軸まわりに隣接する導出孔と、が設けられる。前記第2のブラケットに、前記排気口が設けられる。前記ステータは、巻線と、当該巻線に接続されるとともに前記導出孔を通って前記筐体の外部へ延びるとともに前記導出孔の縁との間の隙間を封止材で塞がれたリード線と、を有する。前記収容室は、前記軸方向において前記ステータ及び前記ロータと前記給気口との間に位置するとともに、前記筐体の外部から気密に隔てられた、上流空間を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一つの実施形態に係る電動機を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、一つの実施形態について、図1を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、本実施形態に係る電動機10を模式的に示す断面図である。電動機10は、回転電機の一例である。回転電機は、発電機のような他の回転電機であっても良い。図1に示すように、電動機10は、ステータ11と、ロータ12と、シャフト13と、筐体14と、複数の軸受15と、空冷装置16と、水冷装置17とを有する。空冷装置16は、第1の冷却装置の一例である。水冷装置は、第2の冷却装置の一例である。
【0010】
ステータ11と、ロータ12と、シャフト13の一部とは、筐体14の内部に収容される。ロータ12及びシャフト13は、ステータ11の巻線に流れる電流により駆動され、回転軸Axまわりに一体的に回転する。回転軸Axは、例えば、シャフト13の中心線である。図1は、シャフト13の回転軸Axを含むように、回転軸Axと平行な電動機10の断面を示している。
【0011】
以下の説明において、便宜上、回転軸Axに沿う方向が回転軸Axの軸方向、回転軸Axと直交する方向が回転軸Axの径方向、回転軸Axまわりに回転する方向が回転軸Axの周方向と定義される。さらに、軸方向のうち一方向が第1の方向D1、軸方向のうち他方向が第2の方向D2と定義される。第2の方向D2は、第1の方向D1の反対方向である。
【0012】
ステータ11は、軸方向に延びる略円筒状に形成される。ステータ11は、筐体14に固定されている。ステータ11は、例えば、磁性体で作られた固定子鉄心と、当該固定子鉄心に取り付けられた巻線とを有する。
【0013】
ロータ12は、軸方向に延びる略円筒状に形成され、ステータ11と略同軸に配置される。ロータ12は、隙間Gを介してステータ11の内側に配置される。ロータ12は、例えば、複数の永久磁石を有する。
【0014】
ステータ11及びロータ12は、電磁力により回転力を生み出せれば、上述の構成に限られない。例えば、ロータ12は、磁性体で作られた回転子鉄心と、当該回転子鉄心に取り付けられた導体と、を有しても良い。
【0015】
シャフト13は、軸方向に延びる略円柱状に形成される。シャフト13は、内在部13aと、外在部13bとを有する。内在部13aは、シャフト13のうち、筐体14の内部に位置する略円柱状の部分である。内在部13aの例えば外周面にロータ12が固定される。外在部13bは、シャフト13のうち、内在部13aから軸方向に延び、筐体14の外部に位置する略円柱状の部分である。外在部13bは、例えば、内在部13aから連続するが、内在部13aと直径が異なって良い。外在部13bに、例えば外部装置が連結される。シャフト13が回転することで、当該外部装置が駆動される。
【0016】
筐体14は、例えば、アルミニウムのような金属で作られ、箱状に形成される。なお、筐体14は、他の材料で作られても良い。筐体14は、フレーム20と、第1のブラケット21と、第2のブラケット22とを有する。フレーム20は、周壁の一例である。さらに、筐体14に、カバー23が取り付けられる。
【0017】
フレーム20の内部に、収容室25が設けられる。収容室25は、軸方向に延びる略円柱形の空間である。詳細には、収容室25は、フレーム20と、第1のブラケット21と、第2のブラケット22とで囲まれる空間である。収容室25は、他の形状であっても良い。収容室25に、ステータ11と、ロータ12と、シャフト13の内在部13aとが収容される。
【0018】
フレーム20は、軸方向に延びる略円筒状に形成され、ステータ11及びロータ12と略同軸に配置される。なお、フレーム20は、他の形状であっても良い。収容室25は、フレーム20の内側に設けられ、フレーム20に囲まれる。フレーム20は、ステータ11を囲むとともに、ステータ11に固定されている。
【0019】
フレーム20は、インナーフレーム31と、アウターフレーム32とを有する。インナーフレーム31は、内壁の一例である。アウターフレーム32は、外壁の一例である。なお、フレーム20は、他の部材をさらに有しても良いし、単一の部材であっても良い。
【0020】
インナーフレーム31及びアウターフレーム32は、軸方向に延びる略円筒状に形成され、ステータ11及びロータ12と略同軸に配置される。インナーフレーム31は、ステータ11を囲む。アウターフレーム32は、インナーフレーム31を囲む。例えば、インナーフレーム31は、アウターフレーム32の内部に圧入され、溶接によりアウターフレーム32に固定される。なお、インナーフレーム31及びアウターフレーム32は、この例に限られない。
【0021】
インナーフレーム31は、第1の接触面31aと、凹面31bとを有する。第1の接触面31aは、インナーフレーム31の外面であって、径方向外側に向く。凹面31bは、第1の接触面31aから窪んでいる。凹面31bは、第1の接触面31aに開く溝31cを形成する。溝31cは、回転軸Axまわりに螺旋状に延びている。
【0022】
アウターフレーム32は、第2の接触面32aと、外面32bとを有する。第2の接触面32aは、アウターフレーム32の内面であって、径方向内側に向く。第2の接触面32aは、インナーフレーム31の第1の接触面31aに接触する。外面32bは、第2の接触面32aの反対側に位置し、径方向外側に向く。
【0023】
アウターフレーム32は、インナーフレーム31の溝31cを覆う。これにより、インナーフレーム31とアウターフレーム32との間に、流路35が設けられる。言い換えると、フレーム20の内部に流路35が設けられる。別の表現によれば、流路35は、フレーム20の内面20aとフレーム20の外面20bとの間に設けられる。流路35は、収容室25の外に位置し、インナーフレーム31によって収容室25から隔てられている。
【0024】
流路35は、インナーフレーム31の凹面31bと、アウターフレーム32の第2の接触面32aとにより形成される。流路35は、溝31cと同じく、回転軸Axまわりに螺旋状に延びている。
【0025】
アウターフレーム32に、入口36と、出口37とが設けられる。入口36及び出口37はそれぞれ、アウターフレーム32を略径方向に貫通し、第2の接触面32aと外面32bとに開く。入口36及び出口37は、例えば、電動機10が水平面に載置された場合、鉛直上方に向くように外面32bに開く。
【0026】
入口36は、流路35の一方の端部に連通する。出口37は、流路35の他方の端部に連通する。なお、入口36及び出口37は、流路35の両端の間で当該流路35に連通しても良い。
【0027】
入口36は、軸方向において、第2の方向D2に出口37から離間している。ステータ11の少なくとも一部と、ロータ12の少なくとも一部とは、軸方向において、入口36と出口37との間に位置する。
【0028】
第1のブラケット21及び第2のブラケット22は、軸方向におけるフレーム20の両端部に取り付けられ、収容室25を塞ぐ。第1のブラケット21は、第1の方向D1におけるフレーム20の端部に、例えば複数のボルトにより固定される。第2のブラケット22は、第2の方向D2におけるフレーム20の端部に、例えば複数のボルトにより固定される。ステータ11及びロータ12は、軸方向において、第1のブラケット21と第2のブラケット22との間に位置する。
【0029】
第1のブラケット21に、第1の挿通孔41が設けられる。第1の挿通孔41は、第1のブラケット21を軸方向に貫通する。第2のブラケット22に、第2の挿通孔42が設けられる。第2の挿通孔42は、第2のブラケット22を軸方向に貫通する。
【0030】
シャフト13は、第1の挿通孔41及び第2の挿通孔42を通るように配置される。第1のブラケット21及び第2のブラケット22は、軸受15を介して、シャフト13を支持する。このような構造により、シャフト13は、回転軸Axまわりに回転可能となる。
【0031】
第1のブラケット21及び第2のブラケット22に、通気口45が設けられる。なお、通気口45は、筐体14の他の部分に設けられても良い。通気口45は、収容室25に連通する。通気口45は、給気口46と、排気口47とを有する。本実施形態では、第1のブラケット21及び第2のブラケット22のうち一方に設けられた通気口45が給気口46となり、第1のブラケット21及び第2のブラケット22のうち他方に設けられた通気口45が排気口47となる。
【0032】
給気口46は、第1のブラケット21に設けられる。給気口46は、第1のブラケット21を略軸方向に貫通する。排気口47は、第2のブラケット22に設けられる。このため、給気口46は、軸方向において、第1の方向D1に排気口47から離間している。排気口47は、第2のブラケット22を軸方向に貫通する。ステータ11の少なくとも一部と、ロータ12の少なくとも一部とは、軸方向において、給気口46と排気口47との間に位置する。なお、例えば、給気口46と排気口47がフレーム20に設けられる場合、給気口46と排気口47とは、軸方向におけるステータ11及びロータ12の両端部の間に位置しても良い。
【0033】
軸方向から見た場合、給気口46の大きさ(開口面積)は、排気口47の大きさよりも小さい。例えば、複数の給気口46が第1のブラケット21に設けられ、複数の排気口47が第2のブラケット22に設けられた場合、複数の給気口46の大きさの合計は、複数の排気口47の大きさの合計よりも小さい。また、一つの給気口46が第1のブラケット21に設けられ、一つの排気口47が第2のブラケット22に設けられた場合、給気口46の大きさは、排気口47の大きさよりも小さい。
【0034】
第1のブラケット21に、導出孔48がさらに設けられる。導出孔48は、例えば、給気口46と周方向に隣接する。ステータ11の巻線に接続されたリード線11aが、導出孔48を通って筐体14の外部へ延びている。封止材49が、リード線11aと導出孔48の縁との間を塞いでいる。封止材49は、例えば、合成樹脂である。
【0035】
カバー23は、収容室25の外部に位置し、第2のブラケット22の排気口47を覆う。カバー23は、第2のブラケット22から離間している。なお、筐体14は、カバー23を省略しても良い。
【0036】
空冷装置16は、筐体14の外部に位置し、圧縮機51と、ダクト52とを有する。圧縮機51は、ダクト52を通じて、給気口46に接続される。圧縮機51は、給気口46に高圧の空気CAを供給する。空気CAは、気体の一例である。圧縮機51は、フィルタにより空気CAを濾過している。なお、圧縮機51は、他の気体を給気口46に供給しても良い。
【0037】
空冷装置16は、上記の例に限られない。例えば、空冷装置16は、圧縮機51及びダクト52の代わりに、ファンを有しても良い。当該ファンは、例えば、シャフト13の外在部13bにより、又は他の小型の電動機により駆動され、給気口46に空気CAを供給する。また、空冷装置16は、圧縮機51の代わりに、ブロワを有しても良い。
【0038】
収容室25は、上流空間25aと、下流空間25bとを有する。上流空間25aは、収容室25の一部であって、ステータ11及びロータ12と、第1のブラケット21との間に位置する。下流空間25bは、収容室25の一部であって、ステータ11及びロータ12と、第2のブラケット22との間に位置する。上流空間25aと下流空間25bとは、ステータ11とロータ12との間の隙間Gを通じて互いに連通している。
【0039】
ダクト52は、気密に給気口46に接続される。さらに、導出孔48は、封止材49によって気密に塞がれる。これにより、上流空間25aは、筐体14の外部から気密に隔てられている。一方、下流空間25bは、第2のブラケット22の排気口47を通じて、筐体14の外部に開放されている。
【0040】
水冷装置17は、ポンプ61と、配管62と、熱交換器63とを有する。ポンプ61は、配管62を通じて、入口36及び出口37に接続される。ポンプ61は、入口36に冷却水CWを供給し、出口37から冷却水CWを吸引する。これにより、ポンプ61は、流路35に冷却水CWを流す。冷却水CWは、液体の一例である。なお、液体は、他の液体であっても良い。熱交換器63は、出口37から排出された冷却水CWを冷却する。
【0041】
インナーフレーム31がアウターフレーム32に圧入されることで、流路35を流れる冷却水CWがインナーフレーム31とアウターフレーム32との間の隙間に漏出することが抑制される。アウターフレーム32に、漏出した冷却水CWを排出するドレンが設けられても良い。
【0042】
本実施形態の電動機10は、ロータ12及びシャフト13を高速で回転させる。例えば、ロータ12及びシャフト13は、3000rpm以上の単位時間当たり回転数で回転する。なお、ロータ12及びシャフト13の回転数は、この例に限られない。
【0043】
電動機10が駆動されると、電動機10において熱が生じる。さらに、ロータ12が高速で回転すると、例えば、ロータ12の空気抵抗により生じる風損及び機械損により、ロータ12の熱密度が高くなる。
【0044】
電動機10が駆動される間、水冷装置17が冷却水CWを流路35で流す。冷却水CWは、筐体14を冷却しながら、入口36から出口37へ流れる。このため、冷却水CWは、筐体14のうち、第1のブラケット21よりも第2のブラケット22により近い部分を、より多く冷却する。
【0045】
出口37から排出された冷却水CWは、熱交換器63により冷却された後、ポンプ61により再び入口36に供給される。これにより、冷却水CWは、筐体14の外部で冷却されながら、ポンプ61と流路35とを循環する。
【0046】
電動機10が駆動される間、空冷装置16が空気CAを給気口46に供給する。このため、上流空間25aの圧力が上昇する。一方、下流空間25bは、排気口47を通じて筐体14の外部に開放されている。このため、下流空間25bの圧力は、上流空間25aの圧力よりも低くなる。
【0047】
上流空間25aに供給された空気CAは、回転するロータ12によって撹拌される。これにより、上流空間25aにおいて、周方向の圧力の分布は、略均一になる。なお、上流空間25aに、給気口46に供給された空気CAを拡散させる部材が設けられても良い。
【0048】
空気CAは、圧力差により、高圧の上流空間25aから、隙間Gを通り、下流空間25bへ流れる。空気CAは、ステータ11及びロータ12を冷却しながら、隙間Gを流れる。このため、空気CAは、ステータ11及びロータ12のうち、第2のブラケット22よりも第1のブラケット21により近い部分を、より多く冷却する。下流空間25bの空気CAは、排気口47から筐体14の外部に排出される。
【0049】
空気CAは、第2のブラケット22とカバー23との間の空間を通って、筐体14の外部に放出される。第2のブラケット22とカバー23との間の空間の大きさは、例えば、通風抵抗が十分に小さくなるように設定される。カバー23は、例えば、排気口47に水及び塵埃が侵入することを抑制する。
【0050】
以上説明された実施形態に係る電動機10において、ステータ11及びロータ12が収容される収容室25と、収容室25に連通する通気口45と、収容室25の外の流路35と、が筐体14に設けられる。電動機10は、流路35を流れる冷却水CWにより水冷方式で冷却されることができる。さらに、通気口45から供給された空気CAが収容室25を流れることで、ロータ12における局所的な温度上昇が抑制され、電動機10の冷却能力が向上する。これにより、所定の大きさの電動機10における出力を向上させたり、所定の出力の電動機10を小型化させたりすることが可能となる。
【0051】
ステータ11の少なくとも一部と、ロータ12の少なくとも一部とは、軸方向において、給気口46と排気口47との間に位置する。これにより、収容室25において給気口46から排気口47へ流れる空気CAが、ステータ11及びロータ12をより多く冷却することができる。
【0052】
ステータ11の少なくとも一部と、ロータ12の少なくとも一部とは、軸方向において、入口36と出口37との間に位置する。これにより、流路35において入口36から出口37へ流れる冷却水CWが、ステータ11及びロータ12をより多く冷却することができる。
【0053】
給気口46は、軸方向において、軸方向のうち一方向である第1の方向D1に排気口47から離間する。入口36は、軸方向において、第1の方向D1の反対の第2の方向D2に出口37から離間する。これにより、空気CAによって冷却される部分の軸方向における分布と、冷却水CWによって冷却される部分の軸方向における分布と、がおおよそ逆になる。従って、電動機10における局所的な温度上昇が抑制され、電動機10の冷却能力が向上する。
【0054】
流路35は、フレーム20の内部に設けられる。これにより、流路35を流れる冷却水CWがフレーム20を直接冷却することができ、電動機10の冷却能力が向上する。さらに、筐体14の外部に例えばパイプによって流路35を設ける必要が無く、電動機10の小型化が可能となる。
【0055】
流路35は、回転軸Axまわりに螺旋状に延びる。これにより、流路35を流れる冷却水CWが電動機10を軸方向においてより均一に冷却することができ、電動機10の冷却能力が向上する。
【0056】
流路35は、インナーフレーム31とアウターフレーム32との間に設けられる。これにより、インナーフレーム31とアウターフレーム32との嵌め合いにより、フレーム20の内部に流路35を容易に設けることが可能となる。
【0057】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0058】
10…電動機、11…ステータ、12…ロータ、13…シャフト、14…筐体、16…空冷装置、17…水冷装置、20…フレーム、25…収容室、31…インナーフレーム、32…アウターフレーム、35…流路、36…入口、37…出口、45…通気口、46…給気口、47…排気口、Ax…回転軸、D1…第1の方向、D2…第2の方向、CA…空気、CW…冷却水。
図1