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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】シャッター装置の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/11 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
E06B9/11 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020094509
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021188367
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
(72)【発明者】
【氏名】中▲崎▼ 悠介
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-007363(JP,A)
【文献】特開2010-236226(JP,A)
【文献】特開2004-197434(JP,A)
【文献】特開2018-115057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00,9/02,9/06-9/18
9/40-9/50,9/56-9/92
E04G 21/14-21/22
B66C 1/10-1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に取り付けられる左右2個のブラケットにより長さ方向の両端部が回転自在に支持される巻取軸にシャッターカーテンの上端部が結合され、前記巻取軸に前記シャッターカーテンが繰り出し自在に巻き取られることによってこのシャッターカーテンが上下に開閉移動自在となるシャッター装置の構成部材のうち、少なくとも前記巻取軸と、前記左右2個のブラケットとにより組み立てられていて、前記巻取軸の長さ方向の両端部に前記左右2個のブラケットが前記巻取軸に対して回転自在に配置されることにより構成されている巻取軸組立体を持ち上げ装置により持ち上げ、この持ち上げにより前記構造体が配置されている高さ位置まで達した前記左右2個のブラケットを前記構造体に取り付けることを実施するシャッター装置の施工方法において、
前記持ち上げ装置によって前記巻取軸組立体を持ち上げるための持ち上げ位置を、前記巻取軸の水平直径方向における前記左右2個のブラケットでの前記巻取軸組立体の重心位置の真上位置又は略真上位置とするための第1作業工程と、
前記持ち上げ装置によって前記巻取軸組立体を持ち上げることにより、前記左右2個のブラケットを前記構造体が配置されている高さ位置まで上昇させるための第2作業工程と、
前記左右2個のブラケットを前記構造体に取り付けるための第3作業工程と、
を含んでいることを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター装置の施工方法において、前記持ち上げ装置は、この持ち上げ装置の本体から延出していて下方へ延びている左右2本の紐状部材を有し、これらの紐状部材の引き上げによって前記巻取軸組立体が持ち上げられるとともに、前記紐状部材による引き上げ位置が、前記第1作業工程において、前記持ち上げ装置によって前記巻取軸組立体を持ち上げるための前記持ち上げ位置となっていることを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項3】
請求項2に記載のシャッター装置の施工方法において、前記第2作業工程は、前記第1作業工程において、前記左右2個のブラケットのそれぞれに、1個の紐状部材連結部材を、前記巻取軸の水平直径方向における前記左右2個のブラケットでの前記巻取軸組立体の前記重心位置の真上位置又は略真上位置で取り付けた後に、これらの紐状部材連結部材に前記左右2本の紐状部材を連結することにより実施することを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項4】
請求項3に記載のシャッター装置の施工方法において、前記紐状部材連結部材に前記紐状部材を連結することは、この紐状部材の下端に設けたフック部材を前記紐状部材連結部材に引っ掛けることにより実施することを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項5】
請求項2に記載のシャッター装置の施工方法において、前記第2作業工程は、前記第1作業工程において、前記左右2個のブラケットのそれぞれに、2個の紐状部材連結部材を、前記巻取軸の水平直径方向における前記左右2個のブラケットでの前記巻取軸組立体の前記重心位置についての前記巻取軸の水平直径方向の両側において、前記重心位置よりも高い位置で取り付けた後に、前記2個の紐状部材連結部材に架け渡した可撓性細長部材のそれぞれに、前記重心位置の真上位置又は略真上位置で前記左右2本の紐状部材を連結することにより実施することを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項6】
請求項5に記載のシャッター装置の施工方法において、前記可撓性細長部材に前記紐状部材を連結することは、この紐状部材の下端に設けたフック部材を前記可撓性細長部材に引っ掛けることにより実施することを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のシャッター装置の施工方法において、前記第1作業工程を実施する以前において、前記構造体にベース部材を結合し、このベース部材に前記持ち上げ装置を取り付けることにより、この持ち上げ装置を、前記ベース部材を介して前記構造体に取り付ける作業を実施し、この後に、前記第1作業工程を実施することを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項8】
請求項7に記載のシャッター装置の施工方法において、前記第3作業工程は、前記ベース部材に前記ブラケットを取り付けることにより、前記構造体に、前記ベース部材を介して前記ブラケットを取り付ける作業工程となっていることを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項9】
請求項8に記載のシャッター装置の施工方法において、前記第2作業工程は、前記巻取軸組立体の前記ブラケットにおける前記ベース部材に取り付けられる被取付部の位置と、前記ベース部材の前面についての下方延長線とを、前記巻取軸の水平直径方向において、一致又は略一致させて実施することを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項10】
請求項7~9のいずれかに記載のシャッター装置の施工方法において、前記ベース部材は、前記第3作業工程の終了により、前記巻取軸の回転によって前記シャッターカーテンがこの巻取軸で巻き取られ、繰り出されて開閉移動可能となっているときにも、前記構造体に結合されていて、残されていることを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のシャッター装置の施工方法において、前記巻取軸組立体は、前記巻取軸に前記上端部が結合されてこの巻取軸に巻き取られている前記シャッターカーテンが含まれて組み立てられていることを特徴とするシャッター装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンが巻取軸の回転で開閉移動するシャッター装置を設置現場で施工するために、巻取軸と、巻取軸を回転自在に支持する左右2個のブラケットとが含まれて構成される巻取軸組立体を設置現場の構造体に取り付けためのシャッター装置の施工方法に係り、例えば、シャッターカーテンで防災区画を形成する防災用シャッター装置や、シャッターカーテンで出入口等の開口部を開閉する開口部用シャッター装置等に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
巻取軸の巻き取り、繰り出しによりシャッターカーテンが開閉移動するシャッター装置は、巻取軸と、構造体に取り付けられるとともに、巻取軸の長さ方向の両端部を回転自在に支持する左右2個のブラケットと、上端部が巻取軸に結合されて、巻取軸に繰り出し自在に巻き取られるシャッターカーテンとが主要の構成部材として構成される。下記の特許文献1には、シャッター装置を構成する構成部材のうち、巻取軸と左右2個のブラケットとシャッターカーテンとからなる巻取軸組立体を予め組み立てておき、この巻取軸組立体の巻取軸にベルトを懸け回し、このベルトにクレーンのフックを連結することにより、持ち上げ装置となっているこのクレーンにより巻取軸組立体を持ち上げ、これによって構造体の高さ位置まで達した左右2個のブラケットをこの構造体に取り付ける作業が示されている。
【0003】
しかし、この巻取軸組立体では、巻取軸の長さ方向の両端部に配置された左右2個のブラケットが巻取軸に対して回転自在となっているため、上述のようにクレーンにより巻取軸組立体を持ち上げたときには、構造体の高さ位置まで達したときの左右2個のブラケットの向きは、これらのブラケットの重心位置に応じた向きとなり、これらのブラケットを直ちに構造体に取り付けることはできない。このため、特許文献1に示されている技術では、構造体の高さ位置まで巻取軸組立体が持ち上げられたときの左右2個のブラケットの向きを、これらのブラケットをそのまま構造体に取り付けることができる向きとするために、クレーンにより巻取軸組立体を持ち上げる以前において、巻取軸に巻き取られているシャッターカーテンの端部とそれぞれのブラケットとを細長部材により連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-7363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これによると、巻取軸組立体を持ち上げる以前において、巻取軸に巻き取られているシャッターカーテンの端部とそれぞれのブラケットとを細長部材により連結する作業を行うことになり、このため、構造体の高さ位置まで巻取軸組立体が持ち上げられたときの左右2個のブラケットをそのまま構造体に取り付けることができるようにする工夫が求められる。
【0006】
本発明の目的は、構造体の高さ位置まで巻取軸組立体が持ち上げられたときの左右2個のブラケットをそのまま構造体に取り付けることができるようになるシャッター装置の施工方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシャッター装置の施工方法は、構造体に取り付けられる左右2個のブラケットにより長さ方向の両端部が回転自在に支持される巻取軸にシャッターカーテンの上端部が結合され、前記巻取軸に前記シャッターカーテンが繰り出し自在に巻き取られることによってこのシャッターカーテンが上下に開閉移動自在となるシャッター装置の構成部材のうち、少なくとも前記巻取軸と、前記左右2個のブラケットとにより組み立てられていて、前記巻取軸の長さ方向の両端部に前記左右2個のブラケットが前記巻取軸に対して回転自在に配置されることにより構成されている巻取軸組立体を持ち上げ装置により持ち上げ、この持ち上げにより前記構造体が配置されている高さ位置まで達した前記左右2個のブラケットを前記構造体に取り付けることを実施するシャッター装置の施工方法において、前記持ち上げ装置によって前記巻取軸組立体を持ち上げるための持ち上げ位置を、前記巻取軸の水平直径方向における前記左右2個のブラケットでの前記巻取軸組立体の重心位置の真上位置又は略真上位置とするための第1作業工程と、前記持ち上げ装置によって前記巻取軸組立体を持ち上げることにより、前記左右2個のブラケットを前記構造体が配置されている高さ位置まで上昇させるための第2作業工程と、前記左右2個のブラケットを前記構造体に取り付けるための第3作業工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0008】
このため、本発明に係るシャッター装置の施工方法では、第1作業工程において、持ち上げ装置によって巻取軸組立体を持ち上げるための持ち上げ位置を、巻取軸の水平直径方向における左右2個のブラケットでの巻取軸組立体の重心位置の真上位置又は略真上位置とする作業が実施されるため、第2作業工程において、持ち上げ装置によって巻取軸組立体を持ち上げて、左右2個のブラケットを構造体が配置されている高さ位置まで上昇させる過程において、左右2個のブラケットは巻取軸を中心に回転することはない又は殆どない。このため、第3作業工程で左右2個のブラケットを構造体に取り付ける際に、これらのブラケットの向きを、これらのブラケットに設けられている被取付部が構造体側に向いている向きとすることができ、これにより、構造体の高さ位置まで巻取軸組立体が持ち上げられたときの左右2個のブラケットをそのまま構造体に取り付けることができ、この取付作業を短時間のうちに容易に行える。
【0009】
以上の本発明に係るシャッター装置の施工方法において、持ち上げ装置によって巻取軸組立体を持ち上げることは、任意の持ち上げ装置により任意の形態によって実施することができる。その一例は、持ち上げ装置を、この持ち上げ装置の本体から延出していて下方へ延びている左右2本の紐状部材を有するものとし、これらの紐状部材の引き上げにより巻取軸組立体を持ち上げることである。そして、この場合には、紐状部材による引き上げ位置が、第1作業工程において、持ち上げ装置によって巻取軸組立体を持ち上げるための前記持ち上げ位置となる。
【0010】
また、以上のように持ち上げ装置を、この持ち上げ装置の本体から延出していて下方へ延びている左右2本の紐状部材を有するものとし、これらの紐状部材の引き上げにより巻取軸組立体を持ち上げ、これらの紐状部材による引き上げ位置を、持ち上げ装置によって巻取軸組立体を持ち上げるための前記持ち上げ位置とすることも、任意の形態によって実施することができる。その一例の形態は、第1作業工程において、巻取軸組立体における左右2個のブラケットのそれぞれに、1個の紐状部材連結部材を、巻取軸の水平直径方向における左右2個のブラケットでの巻取軸組立体の重心位置の真上位置又は略真上位置において取り付け、この後に、第2作業工程を実施するために、これらの紐状部材連結部材に左右2本の紐状部材を連結することである。
【0011】
これによると、それぞれの紐状部材の引き上げにより、巻取軸組立体における左右2個のブラケットを構造体の高さ位置まで持ち上げるための作業を、それぞれのブラケットに1個の紐状部材連結部材を取り付けて、この紐状部材連結部材に紐状部材を連結することにより実施できることになる。
【0012】
また、このように左右2個のブラケットのそれぞれに、1個の紐状部材連結部材を、巻取軸の水平直径方向における左右2個のブラケットでの巻取軸組立体の重心位置の真上位置又は略真上位置において取り付け、これらの紐状部材連結部材に左右2本の紐状部材を連結することも、任意の形態によって実施することができ、その一例の形態は、紐状部材連結部材に紐状部材の下端部を結び付けることであり、また、他の例の形態は、紐状部材の下端部にフック部材を設け、このフック部材を紐状部材連結部材に引っ掛けることである。
【0013】
これらのうち、後者のように、紐状部材の下端部にフック部材を設け、このフック部材を紐状部材連結部材に引っ掛けることにより、紐状部材連結部材に紐状部材を連結するようにすると、この連結作業を容易に行えるとともに、左右2個のブラケットを構造体に取り付けた後等において、紐状部材連結部材から紐状部材を分離することも容易に行える。
【0014】
また、前述したように持ち上げ装置を、この持ち上げ装置の本体から延出していて下方へ延びている左右2本の紐状部材を有するものとし、これらの紐状部材の引き上げにより巻取軸組立体を持ち上げ、これらの紐状部材による引き上げ位置を、持ち上げ装置によって巻取軸組立体を持ち上げるための前記持ち上げ位置とすることについての他の例の形態は、左右2個のブラケットのそれぞれに、2個の紐状部材連結部材を、巻取軸の水平直径方向における左右2個のブラケットでの巻取軸組立体の重心位置についての巻取軸の水平直径方向の両側において、前記重心位置よりも高い位置で取り付け、この後に、第2作業工程を実施するために、2個の紐状部材連結部材に架け渡した可撓性細長部材のそれぞれに、前記重心位置の真上位置又は略真上位置において左右2本の紐状部材を連結することである。
【0015】
これによると、左右2個のブラケットのそれぞれに、2個の紐状部材連結部材が、巻取軸の水平直径方向における左右2個のブラケットでの巻取軸組立体の重心位置についての巻取軸の水平直径方向の両側において、前記重心位置よりも高い位置で取り付けられ、2個の紐状部材連結部材に架け渡した可撓性細長部材のそれぞれに、前記重心位置の真上位置又は略真上位置において左右2本の紐状部材が連結されるため、第2作業工程において、それぞれの紐状部材の引き上げにより、巻取軸組立体における左右2個のブラケットを構造体の高さ位置まで上昇させる際に、これらのブラケットが巻取軸を中心に大きく揺れることを防止できるようになる。
【0016】
また、このように左右2個のブラケットのそれぞれに、2個の紐状部材連結部材を、巻取軸の水平直径方向における左右2個のブラケットでの巻取軸組立体の重心位置についての巻取軸の水平直径方向の両側において、前記重心位置よりも高い位置で取り付け、2個の紐状部材連結部材に架け渡した可撓性細長部材のそれぞれに、前記重心位置の真上位置又は略真上位置において左右2本の紐状部材を連結することも、任意の形態により実施することができ、その一例の形態は、可撓性細長部材に紐状部材の下端部を結び付けることであり、また、他の例の形態は、紐状部材の下端部にフック部材を設け、このフック部材を可撓性細長部材に引っ掛けることである。
【0017】
これらのうち、後者のように、紐状部材の下端部にフック部材を設け、このフック部材を可撓性細長部材に引っ掛けることにより、可撓性細長部材に紐状部材を連結するようにすると、この連結作業を容易に行え、また、左右2個のブラケットを構造体に取り付けた後等において、可撓性細長部材から紐状部材を分離することも容易に行える。
【0018】
また、以上説明した本発明に係るシャッター装置の施工方法に用いられる持ち上げ装置は、この持ち上げ装置の機能や構造等に応じて、シャッター装置が設置される建物等の構築物の任意の箇所に配置することができ、その配置箇所の一例は、左右2個のブラケットが取り付けられる前述した構造体である。
【0019】
このように持ち上げ装置を、左右2個のブラケットが取り付けられる構造体に取り付ける場合には、この構造体に持ち上げ装置を直接取り付けもよく、あるいは、前述の第1作業工程を実施する以前において、構造体にベース部材を結合し、このベース部材に持ち上げ装置を取り付けることにより、この持ち上げ装置を、ベース部材を介して構造体に取り付ける作業を実施し、この後に、第1作業工程を実施するようにしてもよい。
【0020】
これらのうち、後者のように、第1作業工程を実施する以前において、構造体にベース部材を結合し、このベース部材に持ち上げ装置を取り付けることにより、この持ち上げ装置を、ベース部材を介して構造体に取り付ける作業を実施し、この後に、第1作業工程を実施するようにすると、構造体への持ち上げ装置の取り付けは、ベース部材を介して行われているため、構造体に持ち上げ装置を一層確実に取り付けることができるようになる。
【0021】
また、このように第1作業工程を実施する以前において、構造体にベース部材を結合し、このベース部材に持ち上げ装置を取り付けることにより、この持ち上げ装置を、ベース部材を介して構造体に取り付ける作業を実施し、この後に、第1作業工程を実施するようにする場合には、前述した第3作業工程において、ベース部材に、前述した巻取軸組立体の一部となっていて、巻取軸の長さ方向の両端部に回転自在に配置されている前述のブラケットを取り付けるための作業を行い、これにより、この第3作業工程を、構造体にベース部材を介してブラケットを取り付ける作業工程としてもよい。
【0022】
これによると、構造体に結合されたベース部材には、持ち上げ装置とブラケットの両方が取り付けられるため、ベース部材は、これらの持ち上げ装置とブラケットを構造体に取り付けるための取付部材となり、このため、取付部材の兼用化により、持ち上げ装置とブラケットを構造体に有効に取り付けることができ、また、持ち上げ装置とベース部材を含んで構成されるシャッター装置の施工装置についてのコストを低減できる。
【0023】
また、第2作業工程を、巻取軸組立体のブラケットにおけるベース部材に取り付けられる被取付部の位置と、ベース部材の前面についての下方延長線とを、巻取軸の水平直径方向において、一致又は略一致させて実施させて行うようにしてもよい。
【0024】
これによると、巻取軸組立体のブラケットが、ベース部材が配置されている高さ位置まで上昇したとき、ブラケットをベース部材に取り付けるための作業を、巻取軸組立体を巻取軸の水平直径方向に移動させずに又は殆ど移動させずに容易に実施することができる。
【0025】
さらに、第3作業工程の終了により、巻取軸の回転によってシャッターカーテンがこの巻取軸で巻き取られ、繰り出されて開閉移動可能となっているときにも、ベース部材を、構造体に結合されていて、残されているものとしてもよい。これによると、構造体にベース部材を介して一層確実に取り付けられている左右2個のブラケットによって巻取軸を支持させて、シャッターカーテンの開閉移動を行わせることができる。
【0026】
また、以上説明した本発明に係るシャッター装置の施工方法において、持ち上げ装置により持ち上げられる前述の巻取軸組立体は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸と、この巻取軸の長さ方向の両端部に配置され、構造体に取り付けられることによって巻取軸を回転自在に支持するための左右2個のブラケットとにより組み立てられたものでもよく、あるいは、これらの巻取軸と左右2個のブラケットに、巻取軸に上端部が結合されてこの巻取軸に巻き取られているシャッターカーテンが加えられて組み立てられたものでもよい。
【0027】
さらに、このように巻取軸組立体を、巻取軸に上端部が結合されてこの巻取軸に巻き取られているシャッターカーテンが加えられて組み立てられたものとする場合には、このシャッターカーテンは、シャッターカーテンの一部でもよく、あるいは、シャッターカーテンの下端部に配置される座板を含んだシャッターカーテンの全体でもよく、あるいは、この座板を除いたシャッターカーテンの略全体でもよい。
【0028】
また、巻取軸組立体を構成するものとなっている巻取軸や左右2個のブラケットには、予め付属部材が配置されていてもよい。このような付属部材には、例えば、巻取軸を回転駆動させるための開閉機や、シャッターカーテンの閉じ移動を自動的に停止させるための自動閉鎖装置、さらには、開閉移動するシャッターカーテンが挿通するスリットを形成するためのまぐさ部材や、シャッターカーテンを巻取軸まで案内するガイド軸となっている補助軸を備えている2軸式のシャッター装置については、この補助軸等が含まれる。
【0029】
このため、巻取軸組立体が、上述のシャッターカーテンや付属部材が含まれて組み立てられている場合には、前述した巻取軸の水平直径方向における左右2個のブラケットでの巻取軸組立体の重心位置とは、シャッターカーテンや付属部材の重量を含む重心位置のことである。
【0030】
また、本発明に係るシャッター装置の施工方法に用いる持ち上げ装置は、巻取軸組立体を持ち上げて、この巻取軸組立体の左右2個のブラケットを、これらのブラケットが取り付けられる構造体の高さ位置まで上昇させることができるものであれば、任意の形式や装置によるものでよく、例えば、ウインチでもよく、あるいは、ホイストでもよく、あるいは、チェーンブロックでもよく、あるいは、クレーンでもよく、あるいは、フォークリフト等でもよい。
【0031】
また、持ち上げ装置の本体から延出して巻取軸組立体を引き上げるための紐状部材も、この持ち上げ装置の形式や構造等に応じたものでよく、この紐状部材は、例えば、ワイヤーでもよく、あるいは、チェーンでもよく、あるいは、ロープでもよく、あるいは、ベルト等でもよい。また、前述した可撓性細長部材も、例えば、ワイヤーでもよく、あるいは、チェーンでもよく、あるいは、ロープでもよく、あるいは、ベルト等でもよい。
【0032】
さらに、本発明に係るシャッター装置の施工方法は、任意の用途により任意の場所に設置されるシャッター装置に適用することができ、このシャッター装置は、例えば、火災発生等の非常時に閉じ移動したシャッターカーテンにより防災区画を形成するための防災用シャッター装置でもよく、あるいは、出入口等の開口部をシャッターカーテンで開閉するための開口部用シャッター装置等でもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、構造体の高さ位置まで巻取軸組立体が持ち上げられたときの左右2個のブラケットをそのまま構造体に取り付けることができるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る施工方法が実施されて設置されたシャッター装置の全体を示す正面図である。
図2図2は、巻取軸と、この巻取軸を支持するブラケットとの部分を示す図1の側断面図である。
図3図3は、持ち上げ装置であるウインチにより巻取軸組立体を持ち上げる作業を開始するときの状態を示す正面図である。
図4図4は、図3のS4-S4線断面図である。
図5図5は、図3で示されているブラケットとベース部材の部分を示す拡大正面図である。
図6図6は、図5の側面図である。
図7図7は、図4のうち、手動式走行台車と、この手動式走行台車に載せられている巻取軸組立体との部分を示す拡大図である。
図8図8は、図7で示されている巻取軸組立体のブラケットと、このブラケットに取り付けられた紐状部材連結部材となっているC形クランプと、紐状部材となっているワイヤーの下端部に設けられ、C形クランプに引っ掛けられたフック部材とを示す正面図である。
図9図9は、ウインチにより巻取軸組立体を持ち上げている作業の途中を示す図3と同様の図である。
図10図10は、図9のときにおける図7と同様の図である。
図11図11は、別実施形態に係るシャッター装置の施工方法を示す図10と同様の図である。
図12図12は、図11の実施例をさらに改良した実施例を示す図10と同様の図である。
図13図13は、別実施形態に係るベース部材を用いたシャッター装置を示す図1と同様の図である。
図14図14は、図13の実施形態に係るベース部材に持ち上げ装置であるウインチを取り付けて、巻取軸組立体を持ち上げる作業を開始するときの状態を示す図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るシャッター装置は、防災用シャッター装置である。このため、図1に示されているように、シャッターカーテン2は、天井材1で形成されている天井によって室内空間S1と仕切られている天井裏空間S2に配置された巻取軸3に通常時は巻き取られており、厚さ方向が前後方向となっているこのシャッターカーテン2が、火災等の非常事態発生時において、巻取軸3から繰り出されて閉じ移動することにより、室内空間S1には、前後方向に仕切られた防災区画が形成される。巻取軸3の軸方向の両端部は、左右2個のブラケット4により回転自在に支持され、これらのブラケット4は、防災用シャッター装置が設置される建物等の構築物の天井裏空間S2に設けられている下がり壁5に、後述する先付け部材として結合されているベース部材10を介して取り付けられており、上記構築物の躯体ともなっているこの下がり壁5は、ブラケット4をベース部材10を介して取り付けるための本実施形態に係る構造体となっている。
【0036】
なお、この構造体は、天井裏空間S2に金属棒材等を組み合わせて形成された枠組み体等でもよい。
【0037】
図2は、図1で示されている巻取軸3と、この巻取軸3を支持するブラケット4との部分を示す側断面図である。この図2に示されているように、ブラケット4は、巻取軸3の軸方向の端部を挿入するための凹部4Aが前方(図2では左側)に向かって開口して形成されているものであり、巻取軸3の軸方向の端部に回転自在に嵌合された軸受け部材6をビス等の止着具6Aでブラケット4に止着することにより、巻取軸3は、軸受け部材6を介して左右2個のブラケット2により回転自在に支持されている。図1で示されている左右2個のブラケット4の配置箇所と対応するそれぞれの位置において、図2に示されているように、下がり壁5には、上下方向が長さ方向となっている細長棒状のベース部材10が結合され、これらのベース部材10は、下がり壁5の内部に埋設されたアンカー部材等により下がり壁5に結合されている。
【0038】
本実施形態に係るブラケット4は、図2に示されているように、凹部4Aが形成されている本体部4Bの背面と上面と下面とに、巻取軸3の軸方向へ突出した背面フランジ部4Cと、上面フランジ部4Dと、下面フランジ部4Eとが設けられたものとなっている。背面フランジ部4Cには、ボルト11の軸部11Aを挿通するための孔12が上下に複数個形成され、これらの孔12に挿通されたボルト11の軸部11Aを、ベース部材10に形成されている雌ねじ孔13に螺入して、それぞれのボルト11を締め付けることにより、ブラケット4は、ベース部材10を介して下がり壁5に取り付けられる。このため、全体形状が縦長形状の棒部材となっているベース部材10のうち、複数個の雌ねじ孔13が形成されている下側部分は、ベース部材10にブラケット4を取り付けるためのブラケット取付部10Aとなっている。また、ブラケット4のうち、上下に延びる鉛直面となっている背面フランジ部4Cは、ベース部材10に取り付けられる被取付部となっている
【0039】
また、ベース部材10のうち、ブラケット取付部10Aよりも上側は、後述する持ち上げ装置となっているウインチを取り付けるための持ち上げ装置取付部10Bとなっており、このウインチは、ブラケット4と同様に、上下複数個のボルトによりベース部材10に取り付けられるものとなっているため、この持ち上げ装置取付部10Bは、ボルトの軸部が螺入される複数個の雌ねじ孔14が上下に設けられたものとなっている。
【0040】
図1に示されているように、左右2個のブラケット4のうち、一方のブラケット4には、チェーンやスプロケットホイール等で構成された伝動手段により巻取軸3と接続されている開閉機15が、図示されていない取付部材を介して取り付けられ、電動モータとブレーキとの組み合わせからなるこの開閉機15には、自動閉鎖装置16が設置されている。
【0041】
通常時のシャッターカーテン2は、このシャッターカーテン2の略全体が巻取軸3に巻き取られていることにより、全開状態となっている。火災が発生すると、煙等を検知したセンサからの信号により、図示しない制御装置が自動閉鎖装置16を作動させることにより、開閉機15のブレーキは機械的にオンからオフに切り替えられる。このため、シャッターカーテン2は、自重により、又はこの自重と、開閉機15の電動モータの駆動力とにより、巻取軸3の逆回転によって、図1の壁や柱等の躯体7に取り付けられた左右一対のガイドレール8に案内されながら下方へ閉じ移動し、これにより、前述したように室内空間S1に防災区画が形成される。なお、火災の発生を発見した人が、図1に示されている操作装置9を操作すると、ブレーキは電気的にオンからオフに切り替えられて、シャッターカーテン2は閉じ移動する。また、火災等の非常事態の解消後や、防災用シャッター装置の点検時等において、操作装置9を操作することにより、開閉機15の電動モータの駆動で巻取軸3が正回転することによってシャッターカーテン2は、巻取軸3に巻き取られて上方へ開き移動し、全開状態となる。
【0042】
図1で示されている天井材1による天井面には、一対のまぐさ部材17が前後方向の間隔をあけて配置され、シャッターカーテン2は、これらのまぐさ部材17の間のスリットに挿通されて、巻取軸3の巻き取り、繰り出しにより上下に開閉移動する。
【0043】
図3には、天井材1やまぐさ部材17の配置作業等が実施される以前において、下がり壁5に先付け部材として左右2個のベース部材10が結合されていること、及びこれらのベース部材10のそれぞれに、持ち上げ装置となっている1個のウインチ20が取り付けられることが示されている。すなわち、本実施形態のウインチ20は、ブラケット4と下がり壁5との間に介設された先付け部材となっていて、左右2個のブラケット4ごとに1個設けられているベース部材10を介して下がり壁5に取り付けられており、これにより、下がり壁5へのウインチ20の配置をベース部材10により有効に行える。図5は、図3のウインチ20の部分の拡大図であり、図6は、図5の側面図である。ウインチ20は、基台21に、電動モータ22と、この電動モータ22からの駆動力により、軸方向が水平方向となっている中心軸23Aを中心に正逆回転する巻取ドラム23とを取り付けたものとなっており、図6に示されているように、基台21の孔21Aにボルト18の軸部18Aを挿通し、この軸部18Aを、ベース部材10の持ち上げ装置取付部10Bに設けられている雌ねじ孔14に螺入させて、ボルト18を締め付けることにより、ウインチ20は、ベース部材10に、持ち上げ装置取付部10Bにおいて、取り付けられている。
【0044】
それぞれのウインチ20の巻取ドラム23には、紐状部材であるワイヤー24の一端部が結合され、電動モータ22と巻取ドラム23とで構成されるウインチ20の本体から延びているこのワイヤー24は、巻取ドラム23の正逆回転によりこの巻取ドラム23に巻き取られ、繰り出される。巻取ドラム23から延出してワイヤー24は、それぞれのウインチ20ごとに設けられているガイドローラ25に掛け回されて、このガイドローラ25の転換作用により、ワイヤー24の向きは下方の向きへ転換され、ワイヤー24はそのままへ鉛直に延びている。ガイドローラ25は、ガイドローラ支持体26の先端に、軸方向が水平方向となっている中心軸25Aを中心に回転自在に配置されており、ガイドローラ支持体26の基部は、ウインチ20の基台21の側面に溶接等で結合されている。基台21からシャッターカーテン1の厚さ方向のうち、斜め前方へ延出しているガイドローラ支持体26には、前後方向であるシャッターカーテン2の厚さ方向の成分を有する方向にガイドローラ25の配置位置を変更、調整することができる図6のガイドローラ配置位置調整手段27が設けられている。
【0045】
ガイドローラ支持体26は、図6に示されているように、ベース部材10側の部材となっていて、ウインチ20の基台21の側面に溶接等で結合された基部部材28と、ガイドローラ25側の部材となっていて、このガイドローラ25を支持している支持部材29とを含んで構成されており、図5に示されているように、ガイドローラ25の両側に2個設けられている支持部材29のそれぞれには、基部部材28に設けられた図6のガイド凹条28Aに対してスライド自在に嵌合しているガイド凸条29Aが設けられていて、これらのガイド凹条28Aとガイド凸条29Aのガイド作用により支持部材29が基部部材28に対して進退移動できるようになっていることにより、ガイドローラ支持体26に、ガイドローラ25の配置位置をガイドローラ支持体26の延出方向に対して変更、調整できるガイドローラ配置位置調整手段27が設けられている。ガイドローラ25の配置位置を変更、調整が終了した基部部材28と支持部材29は、これらの基部部材28と支持部材29とを締め付け結合する締付結合具30によって結合一体化することができる。
【0046】
この締付結合具30は、図5及び図6から分かるように、それぞれの支持部材29にガイドローラ支持体26の延出方向へ長く形成された長孔31と、基部部材28に形成された丸孔とに軸部32Aが挿通されているボルト32と、軸部32Aの端部に螺合されたナット33とからなるものであり、このナット33の締め付けにより、基部部材28と支持部材29は結合一体化される。また、ナット33を緩めることにより、支持部材29を基部部材28に対してガイド凹条28Aとガイド凸条29Aのガイド作用により進退させることができ、これにより、ガイドローラ25の配置位置を、ガイドローラ支持体26の延出方向の適正位置に変更、調整することができる。
【0047】
それぞれのウインチ20の電動モータ22は、作業者が、ウインチ20に搭載されている制御装置と無線又は有線により接続されている図示しない操作装置を操作することにより、制御装置に送信される信号によって正逆回転及び停止を行うため、作業者による操作装置の操作により、ウインチ20の電動モータ22を逆駆動させると、巻取ドラム23の逆回転により、ワイヤー24はこの巻取ドラム23から繰り出されて、ガイドローラ25の転換作用により鉛直に下降垂下する。
【0048】
図3に示されているように、下がり壁5の下方において、シャッター装置が設置される場所の床35には、手動式走行台車36が配置されており、この手動式走行台車36には、巻取軸組立体45が載置されている。この巻取軸組立体45は、巻取軸3と、この巻取軸3の長さ方向の両端部に前述した軸受け部材6を介して回転自在に配置された左右2個のブラケット4と、上端部が巻取軸3に結合されてこの巻取軸3に巻き取られているシャッターカーテン2とからなるものであり、巻取軸3の長さ方向の両端部に軸受け部材6を介して左右2個のブラケット4を配置する作業や、シャッターカーテン2の上端部を巻取軸3に結合して、シャッターカーテン2を巻取軸3に巻き取るための作業、すなわち、巻取軸3と左右2個のブラケット4とシャッターカーテン2とにより巻取軸組立体45を組み立てるための作業は、これらの巻取軸3や、左右2個のブラケット4、シャッターカーテン2を製造する工場、又はシャッター装置が設置される現場等において、予め実施されている。
【0049】
手動式走行台車36は、図3のS4-S4線断面図である図4に示されているように、巻取軸組立体45のうち、巻取軸3を載置するための載置部材37と、走行輪となっているキャスタ38が下面の前後2箇所に設けられているこの載置部材37の長さ方向の途中から斜め後方に延出している手掛け部材39と、載置部材37と手掛け部材39との間に架設され、手掛け部材39を支持している支持部材40とからなるユニット構造体41を有するものとなっている。図3に示されているように、ユニット構造体41は左右に2個あり、これらのユニット構造体41は、これらのユニット構造体41の載置部材37同士に架け渡されたパイプ材等による連結部材42により連結されている。この連結部材42は、載置部材37に図4のクランプ43で解除可能に結合されているため、クランプ43の開放によって載置部材37と連結部材42との結合を解除することにより、2個のユニット構造体41の間隔を調整することができ、これにより、載置部材37に載置される巻取軸3を含んで構成される巻取軸組立体45が、軸方向の長さ寸法が異なる各種の巻取軸3により構成されるものとなっていても、これらの巻取軸組立体45を、作業者が手掛け部材39に手を掛けて手動式走行台車36を走行させることにより、任意の場所まで運ぶことができる。
【0050】
このようにして作業者が手動式走行台車36を床35上において走行させることにより、この手動式走行台車36に載せられた巻取軸組立体45は、シャッター装置の設置場所である下がり壁5の下方の箇所まで運ばれる。そして、手動式走行台車36に載せられている巻取軸組立体45における左右2個のブラケット4のそれぞれには、ウインチ20の本体から延びる紐状部材となっているワイヤー24の下端部をブラケット4に連結するためのC形クランプ46が取り付けられ、このC形クランプ46が、本実施形態に係る紐状部材連結部材となっている。
【0051】
図7は、図4の手動式走行台車36の部分の拡大図であり、図8は、図7のブラケット4とC形クランプ46の部分の拡大正面図である。図8に示されているように、C形クランプ46は、クランプ本体47の一対の突出部47A,47Bに、2本のねじ棒部材48,49が互いに向かい合って螺入され、それぞれの一端部に回転操作部48A,49Aが設けられているこれらのねじ棒部材48,49の他端部に当接部48B,49Bが設けられたものである。回転操作部48A,49Aによりねじ棒部材48,49を正逆回転させることにより、当接部48B,49Bは、互いに接近、離間する方向に移動する。これらの当接部48B,49Bを、巻取軸3の軸方向において、ブラケット4の前述した本体部4Bの両側に配置した後に、回転操作部48A,49Aでねじ棒部材48,49を正回転させることにより、ブラケット4の本体部4Bは当接部48B,49Bにより挟着され、これにより、C形クランプ46はブラケット4に取り付けられる。
【0052】
このようにしてC形クランプ46をブラケット4に取り付ける位置は、図7において、取付位置P1として示されており、この取付位置P1は、C形クランプ46におけるねじ棒部材48,49が配置されている位置である。そして、本実施形態では、取付位置P1を、巻取軸3の水平直径方向におけるブラケット4での巻取軸組立体45の重心位置P2の真上位置又は略真上位置とする。本実施形態に係る巻取軸組立体45の略全体の重量は、巻取軸3と、この巻取軸3に巻き取られているシャッターカーテン2とによるものであり、このため、巻取軸3の水平直径方向におけるブラケット4での巻取軸組立体45の重心位置P2は、ブラケット4での巻取軸3の中心位置又はこの中心位置に近い位置となっている。このようにブラケット4での巻取軸3の中心位置又はこの中心位置に近い位置となっている重心位置P2の真上位置又は略真上位置となっている取付位置P1において、左右2個のブラケット4ごとに1個のC形クランプ46を、これらのブラケット4に取り付ける。
【0053】
図7及び図8に示されているように、C形クランプ46のクランプ本体47には、開口部50Aが形成された引っ掛け部50が設けられており、この開口部50Aに、前述したようにガイドローラ25から垂下しているワイヤー24の下端部に連結されたフック部材51を挿入、係止し、これにより、紐状部材連結部材となっているC形クランプ46にワイヤー24のフック部材51を引っ掛け、C形クランプ46とワイヤー24の下端部とを連結する。
【0054】
なお、このようにしてC形クランプ46とワイヤー24の下端部とを連結する以前において、又は連結した後において、ワイヤー24が垂下しているガイドローラ25の配置位置を、前述したガイドローラ配置位置調整手段27により、巻取軸3の水平直径方向である前後方向に変更、調整しておく。この変更、調整作業により、図4に示されているように、下がり壁5に結合されているベース部材10における前述したブラケット取付部10Aの前面10Cについての下方延長線Nと、巻取軸組立体45におけるブラケット4の前述した被取付部となっている背面フランジ部4Cの位置とを、巻取軸3の水平直径方向である前後方向において、一致又は略一致させておく。ここでいう略一致とは、背面フランジ部4Cの位置を、下方延長線Nに対して、前後方向のうち、ブラケット取付部10Aの前面10Cから離れる方向の前方へ少しずれた位置にしてもよいということである。
【0055】
また、このように下がり壁5に結合されているベース部材10におけるブラケット取付部10Aの前面10Cについての下方延長線Nと、巻取軸組立体45におけるブラケット4の被取付部となっている背面フランジ部4Cの位置とを、巻取軸3の水平直径方向となっている前後方向において、一致又は略一致させるようにすることは、本実施形態の巻取軸組立体45が手動式走行台車36に載せられているため、この手動式走行台車36を前後方向に走行させることによって行ってもよく、あるいは、ガイドローラ25の配置位置をガイドローラ配置位置調整手段27により変更、調整することと、手動式走行台車36を前後方向に走行させることとの両方によって行ってもよい。また、ガイドローラ配置位置調整手段27を省略し、手動式走行台車36を前後方向に走行させることだけによって行ってもよい。
【0056】
前述したように、手動式走行台車36に載せられた巻取軸組立体45における左右2個のブラケット4にC形クランプ46を取り付け、これらのC形クランプ46に、左右2個のベース部材10にそれぞれに取り付けられているウインチ20の本体から延びる左右2本のワイヤー24をフック部材51により連結した後に、作業者は、前述した操作装置の操作により、これらのウインチ20の電動モータ22を駆動させて、それぞれのウインチ20の巻取ドラム23を正回転させ、これらの巻取ドラム23にそれぞれのワイヤー24を巻き取らせることにより、これらのワイヤー24による引き上げ作用により、巻取軸組立体45を手動式走行台車36から持ち上げる作業を行う。
【0057】
図9には、このように左右2本のワイヤー24による引き上げ作用により、巻取軸組立体45が手動式走行台車36から離れて持ち上げられているときの状態が示されており、図10には、このときのブラケット4と、ブラケット4が含まれて構成されている巻取軸組立体45との状態が示されている。前述したように、左右2個のブラケット4のそれぞれにおけるC形クランプ46の取付位置P1は、巻取軸3の水平直径方向におけるブラケット4での巻取軸組立体45の重心位置P2の真上位置又は略真上位置となっている。この取付位置P1は、ワイヤー24による巻取軸組立体45についての引き上げ位置ともなっており、また、これらの取付位置P1や引き上げ位置は、持ち上げ装置となっているウインチ20による巻取軸組立体45についての持ち上げ位置ともなっている。
【0058】
そして、このようにウインチ20によって巻取軸組立体45を持ち上げるために、この巻取軸組立体45における左右2個のブラケット4のそれぞれに1個のC形クランプ46を取り付け、これらのC形クランプ46にウインチ20の本体から延びるワイヤー24の下端部をフック部材51により連結して、ワイヤー24の引き上げにより巻取軸組立体45を持ち上げても、取付位置P1は、巻取軸3の水平直径方向におけるブラケット4での巻取軸組立体45の重心位置P2の真上位置又は略真上位置となっているため、巻取軸組立体45を持ち上げている過程において、巻取軸3に対して前述の軸受け部材6により回転自在となっているブラケット4が、巻取軸3に対して回転することはなく又は回転することは殆どない。このため、ブラケット4のうち、ベース部材10のブラケット取付部10Aに取り付けられる被取付部となっている背面フランジ部4Cは、鉛直姿勢を維持又は略維持することになり、このような状態のまま巻取軸組立体45は持ち上げられ、そして、この巻取軸組立体45における左右2個のブラケット4は、前述の下がり壁5に結合されている左右2個のベース部材10の高さ位置まで上昇する。
【0059】
このようにして左右2個のブラケット4が、下がり壁5に結合されている左右2個のベース部材10の高さ位置まで上昇したときには、これらのブラケット4は、巻取軸3に対して回転しておらず又は殆ど回転していないため、ベース部材10におけるブラケット取付部10Aの前面10Cに取り付けられるブラケット4の背面フランジ部4Cは、このブラケット取付部10Aと同様の鉛直状態又は略鉛直状態を維持している。このため、図2で示したように、背面フランジ部4Cに設けられている孔12にボルト11の軸部11Aを挿通し、この軸部11Aを、ベース部材10のブラケット取付部10Aの雌ねじ孔13に螺入して、それぞれのボルト11を締め付けることによって実施するベース部材10へのブラケット4の取付作業を、ブラケット4を巻取軸3を中心に回転させることなく、ブラケット4をそのままの状態にして行えることになり、この取付作業を容易に行える。
【0060】
また、巻取軸組立体45がワイヤー24の引き上げ作用により持ち上げられているときには、前述したように、ベース部材10におけるブラケット取付部10Aの前面10Cについての下方延長線Nと、巻取軸組立体45におけるブラケット4の被取付部となっている背面フランジ部4Cの位置とが、巻取軸3の水平直径方向である前後方向において、一致又は略一致しているため、左右2個のブラケット4を左右2個のベース部材10の高さ位置まで上昇させたときに、巻取軸組立体45を前後方向に移動させることなく又は殆ど移動させることなく、ボルト11によってブラケット4の背面フランジ部4Cをベース部材10のブラケット取付部10Aに取り付けることができる。このため、この取付作業を容易に行える。
【0061】
以上のようにして左右2個のベース部材10に左右2個のブラケット4を取り付けると、これらのブラケット4は、巻取軸3とシャッターカーテン2と共に巻取軸組立体45を構成するものとなっているため、巻取軸3と、この巻取軸3に上端部が結合されて巻取軸3に書き取られているシャッターカーテン2も、図1で示した天井裏空間S2に配置されることになる。この後に、ウインチ20をベース部材10から取り外すことにより、このウインチ20の基台21に結合されているガイドローラ支持体26もベース部材10からの取り外し、さらに、左右2個のブラケットのうち、一方のブラケット4に図1の開閉機15や自動閉鎖装置16に取り付ける作業や、図1の躯体7に左右一対のガイドレール8を取り付ける作業、まぐさ部材17を配置した天井材1によって天井を形成する作業等を行うことにより、シャッターカーテン2を左右一対のガイドレール8により案内させながら、巻取軸3の正逆回転でシャッターカーテン1を巻き取り、繰り出して上下に開閉移動させることができる。
【0062】
このように巻取軸3の回転によってシャッターカーテン2がこの巻取軸3で巻き取られ、繰り出されて開閉移動可能となっているときにも、左右2個のベース部材10は、下がり壁5に結合されていて、残されている。このため、ウインチ20を下がり壁5に取り付けるために、下がり壁5に結合されたこれらのベース部材10を介して左右2個のブラケット4は、下がり壁5に取り付けられていることになり、下がり壁5に左右2個のブラケット4を取り付けるための部材として左右2個のベース部材10は利用される。
【0063】
このため、本実施形態に係るベース部材10は、ブラケット4とウインチ20の両方を下がり壁5に取り付けるための兼用化された取付部材となっており、これにより、シャッター装置の構成部材となっているブラケット4と、巻取軸組立体45を持ち上げるための装置となっているウインチ20とを、シャッター装置の施工現場に有効に配置することができて、ベース部材10とウインチ20を備えて構成されるシャッター装置の施工装置についてのコストを低減できる。
【0064】
また、以上の実施形態に係るベース部材10は、上下方向が長さ方向となっているものであり、下側の部分が、ブラケット4を取り付けるためのブラケット取付部10Aとなっていて、上側の部分が、ウインチ20を取り付けるための持ち上げ装置取付部10Bとなっているため、このベース部材10にブラケット4とウインチ20の両方を有効に取り付けることができる。
【0065】
また、以上の実施形態において、それぞれのブラケット4にワイヤー24を連結するために、それぞれのブラケット4に紐状部材連結部材として取り付けられるC形クランプ46の個数は、1個である。このため、このC形クランプ46をブラケット4に取り付け作業を容易に行える。
【0066】
また、C形クランプ46にワイヤー24の下端部を連結することは、ワイヤー24の下端部にフック部材51を設け、このフック部材51をC形クランプ46に引っ掛けることにより行うため、この連結作業を迅速かつ容易に行え、また、左右2個のブラケット4を左右2個のベース部材10に取り付けた後に、C形クランプ46とワイヤー24の下端部との連結を解除することも迅速かつ容易に行える。
【0067】
図11の実施形態では、1個のブラケット4に2個のC形クランプ46が取り付けられている。これらのC形クランプ46は、巻取軸3の水平直径方向におけるブラケット4での巻取軸組立体45の重心位置P2についての巻取軸3の水平直径方向の両側において、重心位置P2よりも高い位置で取り付けられている。また、この実施形態では、2個のC形クランプ46に、ワイヤー等による可撓性細長部材52が余裕長さをもって架け渡され、この可撓性細長部材52に、ワイヤー24の下端部に設けたフック部材51を引っ掛けることにより、ブラケット4とワイヤー24の下端部とを、C形クランプ46と可撓性細長部材52とフック部材51を介して連結し、可撓性細長部材52におけるフック部材51の引っ掛け位置を、巻取軸組立体45の重心位置P2の真上位置又は略真上位置としている。
【0068】
この図11の実施形態によっても、ウインチ20によって巻取軸組立体45を持ち上げる位置、これを言い換えると、ワイヤー24によって巻取軸組立体45を引き上げる位置を、巻取軸3の水平直径方向におけるブラケット4での巻取軸組立体45の重心位置P2の真上位置又は略真上位置とすることができる。
【0069】
特に、この図11の実施形態によると、2個のC形クランプ46が、ブラケット4に、巻取軸3の水平直径方向におけるブラケット4での巻取軸組立体45の重心位置P2についての巻取軸3の水平直径方向の両側において、重心位置P2よりも高い位置で取り付けられているため、ワイヤー24の引き上げによって巻取軸組立体45が上昇しているときに、予定外の外力等が巻取軸組立体45に作用しても、ブラケット4が巻取軸3を中心に大きく揺れることを防止でき、これにより、ワイヤー24の引き上げによって巻取軸組立体45を安定させて上昇させることができる。
【0070】
また、可撓性細長部材52にワイヤー24の下端部を連結することは、ワイヤー24の下端部に設けたフック部材51を引っ掛けることにより行われているため、この連結作業や、左右2個のブラケット4を左右2個のベース部材10に取り付けた後に行う可撓性細長部材52とワイヤー24の下端部との連結解除作業を迅速かつ容易に行うことができる。
【0071】
図12の実施形態では、可撓性細長部材52に、フック部材51の両側において、2個のストップ体53を取り付けている。これらのストップ体53は、可撓性細長部材52の外側に可撓性細長部材52に沿ってスライド自在に嵌合された短寸法の筒部材53Aと、この筒部材53Aに螺入された止めねじ53Bとからなるものであり、止めねじ53Bを回転操作してこの止めねじ53Bの先端を可撓性細長部材52に押圧接触させることにより、それぞれのストップ体53は可撓性細長部材52に固定される。
【0072】
この実施形態によると、ワイヤー24の引き上げによって巻取軸組立体45が上昇している過程において、予定外の外力等が巻取軸組立体45に作用しても、可撓性細長部材52におけるフック部材51の引っ掛け位置が前後方向にずれることをストップ体53により防止することができ、このため、ワイヤー24の引き上げによる巻取軸組立体45の安定した上昇を、一層確実に達成することができる。
【0073】
図13の実施形態は、これまでの実施形態でのベース部材10とは異なるベース部材60を下がり壁5に結合した実施形態である。このベース部材60は、巻取軸組立体45を持ち上げる作業のときの状態を示している図14から分かるように、図13の左右2個のブラケット4が取り付けられるブラケット取付部となっている縦長の左右両端部60Aと、これらの左右両端部60Aに架け渡された架け渡し部60Bとを有するものであり、この架け渡し部60Bの左右方向中央部に、図14の持ち上げ装置であるウインチ70を取り付けるための1個の持ち上げ装置取付部60Cが設けられている。
【0074】
ウインチ70は、持ち上げ装置取付部60Cにボルト79等で結合される基台71に電動モータ72と巻取ドラム73とを上下方向に配置したものであり、巻取ドラム73には、2本のワイヤー74の一端部が結合され、電動モータ72により巻取ドラム73が正回転すると、2本のワイヤー74は同時に巻取ドラム73に巻き取られ、電動モータ72により巻取ドラム73が逆回転すると、2本のワイヤー74は同時に巻取ドラム73から繰り出される。それぞれのワイヤー74は、前後方向が軸方向となっている中心軸75Aを中心に回転自在となっているガイドローラ75に掛け回されて、これらのガイドローラ75の転換作用により、ワイヤー74の向きは下方の向きに転換されている。
【0075】
それぞれのガイドローラ75は、ベース部材60のうち、架け渡し部60Bの端部の近くにおいて、この架け渡し部60Bにボルト76等で基部が結合されたガイドローラ支持体77の先端に配置されているとともに、これらのガイドローラ75の配置位置は、図6で示したガイドローラ配置位置調整手段27と同様の構造によってガイドローラ支持体77に設けられているガイドローラ配置位置調整手段により、前後方向の成分を有する方向に変更、調整できるものとなっている。
【0076】
それぞれのガイドローラ75から下方へ延びている2本のワイヤー74の下端部には、フック部材78が設けられ、これらのフック部材78が、図3の実施形態と同様に、手動式走行台車36に載せられている巻取軸組立体45における左右2個のブラケット4に取り付けられたC形クランプ46に引っ掛けられることにより、ワイヤー74の下端部はブラケット4に連結される。
【0077】
この実施形態でも、ウインチ70の電動モータ72により巻取ドラム73が正回転することにより、2本のワイヤー74は巻取ドラム73により巻き取られるため、これらのワイヤー24による引き上げによって巻取軸組立体45を手動式走行台車36から持ち上げることができるとともに、ウインチ20の個数は1個であって、2本のワイヤー74が1個の巻取ドラム73により同時に巻き取られるため、左右2本のワイヤー74による巻取軸組立体45の引き上げ作業を、巻取軸組立体45の左右の端部が水平方向から傾くことをなくしてこの引き上げ作業を行える。
【0078】
また、それぞれのガイドローラ75の配置位置は、上述したガイドローラ配置位置調整手段により、巻取軸3の水平直径方向となっている前後方向に変更、調整できるため、図4で示した実施形態と同様に、下がり壁5に結合されているベース部材60におけるブラケット取付部についての下方延長線と、巻取軸組立体45におけるブラケット4の被取付部となっている背面フランジ部4Cの位置とを、巻取軸3の水平直径方向である前後方向において、一致又は略一致させて、巻取軸組立体45を持ち上げることができる。これにより、左右2個のブラケット4をベース部材10における左右2個のブラケット取付部10Aの高さ位置まで上昇させたときに、巻取軸組立体45を前後方向に移動させることなく又は殆ど移動させることなく、ブラケット4をブラケット取付部10Aに取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、シャッターカーテンが左右2個のブラケットで支持された巻取軸の回転によって開閉移動するシャッター装置を、このシャッター装置の設置現場で設置施工するための作業に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2 シャッターカーテン
3 巻取軸
4 ブラケット
4C 被取付部である背面フランジ部
5 構造体である下がり壁
10,60 ベース部材
10A ブラケット取付部
10C 前面
10B 持ち上げ装置取付部
20,70 持ち上げ装置であるウインチ
22,72 電動モータ
23,73 巻取ドラム
24,74 紐状部材であるワイヤー
25,75 ガイドローラ
27 ガイドローラ配置位置調整手段
36 手動式走行台車
45 巻取軸組立体
46 紐状部材連結部材であるC形クランプ
51,78 フック部材
60A ブラケット取付部となっている左右両端部
60B 架け渡し部
60C 持ち上げ装置取付部
P1 持ち上げ位置、引き上げ位置、C形クランプの取付位置であって、巻取軸の水平直径方向におけるブラケットでの巻取軸組立体の重心位置の真上位置又は略真上位置
P2 巻取軸の水平直径方向におけるブラケットでの巻取軸組立体の重心位置
N 下方延長線
図1
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