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特許7365980清掃業務支援システムおよび清掃業務支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】清掃業務支援システムおよび清掃業務支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231013BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20231013BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020136145
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032411
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏徳
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-022309(JP,A)
【文献】国際公開第2006/046415(WO,A1)
【文献】特開2018-139720(JP,A)
【文献】特開2003-316893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃業務支援管理サーバと、管理者のコンピュータ装置と、清掃作業者の作業者端末がネットワークで接続された清掃業務支援システムであって、
施設には、カメラが配置されており、
前記清掃業務支援管理サーバは、
前記施設の管理者自身が、管理者の前記コンピュータ装置を用いて、清掃作業を行う作業計画を作成するために使う作業計画管理部と、
前記施設に設置された前記カメラからの画像情報データに基づいて、清掃箇所の汚れの程度を判定するとともに、清掃対象箇所となる部屋内の一定区間を動体や人物が何度も往復している場合を検知して、動体検知がなされた付近を重点的に清掃するように追加の作業手順を作成する作業環境判定部と、
前記施設の管理者自身が、管理者の前記コンピュータ装置を用いて、前記作業計画管理部において作成された作業計画および前記作業環境判定部が判定した清掃箇所の汚れの程度に基づいて、前記施設の清掃対象箇所の作業者人数と機材を含む作業手順を作成するために使う作業手順管理部と、
前記作業手順管理部で作成された作業手順、および前記作業環境判定部により追加された前記作業手順の作業が妥当であると清掃作業者が評価した場合に、前記作業手順を追加する際に利用した環境判定結果の学習データを得る学習データ管理部と、を備え、
前記作業手順管理部で作成された前記作業手順を清掃作業者の前記作業者端末に送付する、
清掃業務支援システム。
【請求項2】
さらに、清掃業務支援管理サーバは、天気情報を取得する天気情報取得部を備え、
前記天気情報取得部は、取得した天気情報を前記作業環境判定部に送る、
請求項1に記載の清掃業務支援システム。
【請求項3】
前記作業環境判定部は、前記作業手順を追加する際に利用した環境判定結果の前記学習データを、作業環境を判定する際のしきい値に反映する
請求項1または2に記載の清掃業務支援システム。
【請求項4】
前記作業環境判定部により前記しきい値への反映が承認された場合、前記学習データ管理部は、従来設定されていたしきい値を更新する
請求項に記載の清掃業務支援システム。
【請求項5】
さらに、前記施設には、ユーザが前記施設内に入退出するための認証装置としての入退出ゲートと、ユーザのIDカードを読み取るカードリーダ装置が設置されており、
清掃業務支援管理サーバは、入退出管理部を備え、
前記入退出管理部は、清掃対象となる前記施設のフロアまたは会議室への入室時刻と退出時刻から前記施設の前記フロアまたは会議室への滞在時間を取得する
請求項1に記載の清掃業務支援システム。
【請求項6】
施設の管理者のコンピュータ装置および清掃作業者の作業者端末とネットワークで接続された清掃業務支援装置であって、
前記施設の管理者自身が、管理者の前記コンピュータ装置を用いて、清掃作業を行う作業計画を作成するために使う作業計画管理部と、
前記施設に設置されたカメラからの画像情報データに基づいて、清掃箇所の汚れの程度を判定するとともに、清掃対象箇所となる部屋内の一定区間を動体や人物が何度も往復している場合を検知して、動体検知がなされた付近を重点的に清掃するように追加の作業手順を作成する作業環境判定部と、
前記施設の管理者自身が、管理者の前記コンピュータ装置を用いて、前記作業計画管理部において作成された作業計画および前記作業環境判定部が判定した清掃箇所の汚れの程度に基づいて、前記施設の清掃対象箇所の作業者人数と機材を含む作業手順を作成するために使う作業手順管理部と、
前記作業手順管理部で作成された作業手順、および前記作業環境判定部により追加された前記作業手順の作業が妥当であると清掃作業者が評価した場合に、前記作業手順を追加する際に利用した環境判定結果の学習データを得る学習データ管理部と、を備え、
前記作業手順管理部で作成された前記作業手順を清掃作業者の前記作業者端末に送付する、
清掃業務支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃業務支援システムおよび清掃業務支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル・施設の清掃作業などの実績管理は清掃の項目チェックや作業実績日時の記録といった簡易的な管理が多く、清掃作業自体については、作業者の経験や独自の判断に頼る傾向がある。
その弊害として、作業者の慣れによって項目を消化するだけに意識が向き、清掃作業が単調になったり、また、清掃する作業者によって、清掃後の成果にバラつきが発生したりする場合がある。
【0003】
また、現地の状況は、天候や人の通行などの外的要因により汚れの程度が異なる場合が多く、作業者は現地に到着しなければ、詳細な現地状況の判断ができない場合が多い。
そのため、必要以上に清掃器具や用具、作業者の人数を準備してしまったり、その逆に器具や用具、人数が不足し、予定時間内に清掃作業を完了させることができなかったりする場合もある。
【0004】
特許文献1には、室内を自動で掃除する掃除ロボットの制御に利用することができる画像処理システムが記載されている。
特許文献1に記載の技術は、随時更新される追跡情報を監視し、その監視結果から室内において人が多くの時間存在していたエリアを特定する。そして、そのエリアを重点的に掃除するように掃除ロボットを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-091127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、清掃ロボットを制御する上で、追跡対象である人物の特定エリアでの滞在時間は考慮しているものの、清掃する特定エリアに存在する人の数や人の流れを解析した結果を利用して清掃作業を支援することは考慮していない。
【0007】
本発明は、現地環境に変化があった場合でも、清掃する作業者の経験や個人差による清掃結果の差異を低減して、効率的に清掃作業を完了できる清掃業務支援システムおよび清掃業務支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、本発明の清掃業務支援システムは、清掃業務支援管理サーバと、管理者のコンピュータ装置と清掃作業者の作業者端末がネットワークで接続された清掃業務支援システムであって、施設には、カメラが配置されている。
【0009】
清掃業務支援管理サーバは、施設の管理者自身が、管理者のコンピュータ装置を用いて、清掃作業を行う作業計画を作成するために使う作業計画管理部と、
施設に設置されたカメラからの画像情報データに基づいて、清掃箇所の汚れの程度を判定するとともに、清掃対象箇所となる部屋内の一定区間を動体や人物が何度も往復している場合を検知して、動体検知がなされた付近を重点的に清掃するように追加の作業手順を作成する作業環境判定部と、施設の管理者自身が、管理者のコンピュータ装置を用いて、作業計画管理部において作成された作業計画および作業環境判定部が判定した清掃箇所の汚れの程度に基づいて、施設の清掃対象箇所の作業者人数と機材を含む作業手順を作成するために使う作業手順管理部と、作業手順管理部で作成された作業手順、および作業環境判定部により追加された作業手順の作業が妥当であると清掃作業者が評価した場合に、作業手順を追加する際に利用した環境判定結果の学習データを得る学習データ管理部と、を備え、作業手順管理部で作成された作業手順を清掃作業者の作業者端末に送付する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、清掃作業の作業者が清掃前に清掃エリアの汚れ度合を把握することができるので、作業現場で必要な機材(清掃用具等)と、決められた作業時間内で清掃を完了させるために必要な人数の決定を容易に行うことができる。
なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システム全体の構成例を示す機能ブロック図である。
図2】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムに係る清掃業務支援管理サーバのハードウェア構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムの作業計画の作成から現地の清掃作業完了までの処理手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムから作業者に対して配信される清掃業務の手順のイメージ画面と、清掃業務支援システムが推奨する手順が追加されたイメージ画面を作業者のスマートフォンやタブレット端末で表示した場合の図である。
図5】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムの作業計画格納エリアテーブルのデータ構造を示す図である。
図6】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムの作業手順格納エリアテーブルのデータ構造を示す図である。
図7】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムの作業実績格納エリアテーブルのデータ構造を示す図である。
図8】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムの入退出情報格納エリアテーブルのデータ構造を示す図である。
図9】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムの画像処理結果格納エリアテーブルのデータ構造を示す図である。
図10】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムの作業環境判定格納エリアテーブルのデータ構造を示す図である。
図11】本発明の一実施形態例に係る清掃業務支援システムの学習データ格納エリアテーブルのデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の清掃業務支援システムの一実施の形態例(以下、「本例」と称する)について、図面を参照して説明する。
【0013】
<清掃業務支援システムの全体構成およびビル・施設1の説明>
図1は、本例に係る清掃業務支援システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
本例の清掃業務支援システムでは、清掃業務支援管理サーバ19、ビル・施設1、作業者が携帯して利用するスマートフォンまたはタブレット端末18、および管理者のコンピュータ装置17がインターネットなどのネットワーク回線Nで接続されている。
【0014】
ビル・施設1は、例えば、勤務者、客、居住者などのユーザが利用するビル・施設(例えば、Aビル)である。スマートフォンまたはタブレット端末18(以下、「作業者端末18」という)は、清掃する作業者が清掃業務を行う際に利用する携帯用の情報端末である。コンピュータ装置17は、管理者が利用するコンピュータ装置であり、通常、ビル・設備1の管理フロア(例えば、管理会社、オーナーなどのフロア)に置かれている。
【0015】
図1では、ビル・施設1としてAビルの1階受付・ロビー3とna階のフロアが示されている。ビル・施設1としては、会社に勤務する社員(以下、「勤務者」と称する)が通勤する会社ビル、多くの利用者が来場する商業施設、あるいは住居者が入居するマンションといったさまざまな形態のビル・施設が考えられる。
【0016】
以下、本例の清掃業務支援システムにおけるビル・施設1は、会社ビルであるとして説明する。
ビル・施設1内には、ネットワーク回線Nと接続された通信装置13と、監視用の防犯カメラ(環境カメラを含む。以下、単に「カメラ」または「防犯カメラ」という)からの通信を集約するためのCAM通信網11と、カードリーダ(以下、「CR」という)や生態認証装置などの認証装置からの通信を集約するためのCR通信網12が設けられている。
【0017】
ビル・施設1(Aビル)の1階受付・ロビー3には、勤務者がビル内に入場するために認証を行う認証装置(入退出ゲート)7Aが設置されている。勤務者は認証装置7AのCR装置にIDカードをかざす。認証装置7Aは、IDカードから勤務者のユーザ情報を取得し、このユーザ情報をCRL(カードリーダのLAN回線)7BとCR通信網12から通信装置13を介して清掃業務支援管理サーバ19に送信する。
【0018】
また、ビル・施設1(Aビル)の1階受付・ロビー3には、監視用の動画像を撮影するためのカメラ9Aが設置されている。カメラ9Aで撮影された動画像は、CAM(カメラLAN)9BとCAM通信網11から通信装置13を介して清掃業務支援管理サーバ19に送信される。
なお、ここでは、カメラ9Aで撮影される画像を動画像としているが、カメラ9Aで撮影される画像は、必ずしも動画像に限定されない。スナップショットのような所定時間ごとに撮影した静止画の連続画像であってもよい。
【0019】
また、Aビルna階2には、複数の会議室2A~2C、共有スペース2D~2Eやエレベーター5が設置されている。例えば、会議室2Aの入退出用の扉は、電子施錠されており、勤務者は、会議室2Aに入室する際に、扉に設置されたCR装置4AにIDカードをかざす必要がある。
【0020】
CR装置4AはIDカードから勤務者のユーザ情報を取得し、取得した勤務者のユーザ情報を、カードリーダ(CR)のLAN回線であるCRL4Cと、CR通信網12から通信装置13を介して清掃業務支援管理サーバ19に送信する。
【0021】
勤務者が会議室2Aから退室する際は、会議室2Aの扉に設置されたCR装置4BにIDカードをかざす。すると、CR装置4BはIDカードから勤務者のユーザ情報を取得し、CRL4CとCR通信網12から通信装置13を介してユーザ情報を清掃業務支援管理サーバ19に送信する。
【0022】
その他の会議室2B、2Cも、CR装置4A、CR装置4Bと同様のCR装置が備えられている。
なお、CR装置4A、CR装置4Bとしては、受付・ロビー3の認証装置7Aと同様に、生体認証など、さまざまな認証方法が考えられる。
【0023】
ビル・施設1(Aビル)のna階2にも監視や画像解析処理を行うための動画像を撮影するカメラ6A、6Cが設置されている。カメラ6A、6Cで撮影された動画像は、CAM6B、6DとCAM通信網11から通信装置13を介して清掃業務支援管理サーバ19に送信される。
【0024】
ビル・施設1(Aビル)のna階2には、共有スペース2Dとフリースペース2Eが設けられており、共有スペース2D付近にはテーブルとディスプレイが設けられ、フリースペース2E付近には手すり10Aが設置されている。
また、ビル・施設1(Aビル)内には手すりつきの階段10Aが各階に設けられており、階段10Aには各階との中間地点に踊り場が存在する。
【0025】
ビル・施設1の管理者は、通信装置14とネットワーク回線Nを介して清掃業務支援管理サーバ19に接続可能なコンピュータ装置17を有する。
そして、ビル・施設1の管理者は、コンピュータ装置17を清掃業務支援管理サーバ19に接続し、ビル・施設1(Aビル)の各フロアの清掃作業の計画を作成する。
【0026】
また、清掃する作業者は、通信装置15とネットワーク回線Nを介して清掃業務支援管理サーバ19に接続可能な作業者端末18を保有している。作業者は、この作業者端末18を用いて、清掃業務支援管理サーバ19から配信された清掃手順をもとにビル・施設1の各フロア(例えば、1階の受付・ロビー)の清掃を実施する。
【0027】
本例の清掃業務支援システムにより、ビル・施設1の管理者が立案した作業計画および作業手順と、随時変化する現地の環境情報を清掃する作業者へ配信することで、作業者の清掃業務の支援を行うことが可能になる。
【0028】
<清掃業務支援管理サーバ19の構成および機能>
清掃業務支援管理サーバ19は、ネットワーク回線Nとの接続を行う通信装置16、制御装置20、作業計画管理部21、作業手順管理部22、作業実績管理部23、天気情報取得部24、入退出管理部25、画像解析処理部26、作業環境判定部27、学習データ管理部28、およびデータベース29を備える。
【0029】
データベース29には、作業計画格納エリア29a、作業手順格納エリア29b、作業実績格納エリア29c、入退出情報格納エリア29d、画像処理結果格納エリア29e、作業環境判定格納エリア29fおよび学習データ格納エリア29gの記憶領域が設けられている。なお、図1には、図示されていないが、データベース29には、ビル・施設1に設置されたカメラで撮影した動画像データも適宜保存される。
【0030】
本例の清掃業務支援システムにおいて、ビル・施設1の管理者は自身のコンピュータ装置17を、ネットワーク回線Nを介して清掃業務支援管理サーバ19に接続し、管理対象であるビル・施設1の清掃の作業予定日の作業計画を立案し、その立案した作業計画に従って清掃作業の作業手順を作成する。なお、作業予定日としては、毎日、1週間、1ヵ月といった一定周期単位などの作業予定日が考えられる。
【0031】
そして、作成された清掃作業の手順は、ネットワーク回線Nなどを経由して作業者の作業者端末18に配信され、作業者は、その配信された手順をもとに、実際に清掃作業を行い、作業者端末18から作業実績の入力を行う。
また、作業者によって入力された作業実績は、清掃業務支援管理サーバ19内のデータベース29に格納され、管理者はコンピュータ装置17を用いて作業者の作業実績の管理を行うことができる。
【0032】
本例の清掃業務支援システムにおける情報の提供方式としては、exeファイル形式の実行ファイルによるアプリケーションや、ブラウザに接続して利用するWebアプリケーションなどさまざまな提供形態が考えられる。
【0033】
また、清掃業務支援管理サーバ19は、清掃対象のビル・施設1に設置された認証装置やカメラから入退出情報データや動画像データを取得して、解析を実行し、解析時点のビル・施設1の清掃作業環境の状態を判定する。
【0034】
そして、清掃業務支援管理サーバ19は、判定した作業環境の状態(例えば、大雨のため、通常より汚れが多いなど)から、追加で必要とされる清掃手順を作成し、既に作成された清掃手順に対して追加の清掃手順を提案することもできる。
本例の清掃業務支援管理サーバ19側で提案した追加の手順を実際に作業者端末18へ配信するかどうかの承認は、最終的には管理者が自身のコンピュータ装置17で決定することになる。
【0035】
さらに、清掃業務支援管理サーバ19は、作業者が入力した作業実績の履歴から清掃業務支援管理サーバ19が提案した手順が実際に清掃作業者によって行われたか、またその提案手順が妥当であったかを評価し、学習データとして蓄積する。
すなわち、清掃業務支援管理サーバ19は、あらかじめ設定された作業環境状態を判定するためのしきい値と、蓄積した学習データを用いて、対象となるビル・施設1に対して、より最適な清掃手順を作成し、管理者に提案する。
【0036】
<制御装置20>
制御装置20は、通信装置16を介して受信した、ビル・施設1の各フロアに設置されたCR装置や生体認証による認証装置で取得した入退出情報を入退出管理部25に送る。
また、制御装置20は、ビル・施設1内に設置された防犯カメラで撮影した動画像データを、通信装置16を介して受信して、画像解析処理部26に送る。
【0037】
さらに、制御装置20は、通信装置16とネットワーク回線Nを介して管理者のコンピュータ装置17および作業者の作業者端末18と接続されている。
管理者は、制御装置20を介して、自身のコンピュータ装置17から作業計画管理部21を使って清掃作業計画を作成することができ、さらに作業手順管理部22を使って、清掃手順を作成することができる。
【0038】
また、制御装置20は、作業手順管理部22を使って管理者が作成した清掃の作業手順を作業者端末18に送信する。これにより、清掃する作業者は作業者端末18に表示される作業手順(詳細は図4で後述)を見ながら清掃作業を実施することができる。なお、作業者は、清掃作業の実績を、自身の作業者端末18に入力して、ネットワーク回線N経由で制御装置20から作業実績管理部23に送る。
【0039】
上述したように、制御装置20は、ネットワーク回線Nを経由して、ビル・施設1、管理者のコンピュータ装置17および作業者端末18と接続するほか、作業計画管理部21、作業手順管理部22、作業実績管理部23、天気情報取得部24、作業環境判定部27、学習データ管理部28、およびデータベース29を含む清掃業務支援管理サーバ19内の機器全体の制御を行う。
【0040】
<作業計画管理部21>
作業計画管理部21は、上述したように、ビル・施設1の管理者によって利用される。すなわち、ビル・施設1の管理者は、自身のコンピュータ装置17をインターネット回線Nと通信装置14を介して清掃業務支援管理サーバ19に接続し、作業計画管理部21にアクセスすることができる。
【0041】
作業計画管理部21は、清掃対象となるビル・施設1に関する住所情報、ビル・施設1の内部の執務室、会議室、トイレなどのフロア情報、またはカメラ、CR装置、認証装置などの設備情報を、制御装置20を介してデータベース29の作業環境判定格納エリア29fに格納し、またこれを参照することができる。
【0042】
また、作業計画管理部21は、制御装置20経由で、管理者が作成した清掃対象となるビル・施設1のフロア単位の清掃作業を実施する予定日や実施周期を受け付け、その作業計画を制御装置20からデータベース29の作業計画格納エリア29aに格納する。ビル・施設1の管理者は、自身のコンピュータ装置17で、作業計画格納エリア29aに格納された作業計画を後で参照し、修正または変更することができる。
【0043】
<作業手順管理部22>
作業手順管理部22は、管理者がコンピュータ装置17を使って作成したビル・施設1の清掃対象箇所の実際の清掃手順を、制御装置20から受け取り、これを制御装置20経由でデータベース29の作業手順格納エリア29bに格納する。
【0044】
すなわち、管理者は、自身のコンピュータ装置17により、制御装置20経由で作業手順管理部22にアクセスし、作業計画管理部21で作成された作業計画に基づき、清掃対象フロアの清掃作業の手順を作成する。そして、作業手順管理部22は、作成した清掃作業手順を、制御装置20経由で作業手順格納エリア29bに格納する。
【0045】
作業手順格納エリア29bに格納される清掃作業手順は、作業計画管理部21で作成された作業計画と紐づけられている。また、上述したように、管理者は、自身のコンピュータ装置17を用いて作業手順格納エリア29bに格納された作業手順を参照して、後から修正または変更することができる。
【0046】
<作業実績管理部23>
作業者は、作業者端末18に配信された清掃手順に従って、実際に清掃作業を行い、作業実績を、後述する図4に示す作業者端末18のイメージ画面の実績チェックおよび所要時間に入力する。
【0047】
そして、作業者は、作業者端末18から通信装置15とネットワーク回線Nを介して清掃業務支援管理サーバ19に送信する。すると、清掃業務支援管理サーバ19の作業実績管理部23は、受信した作業者の実績データを制御装置20経由でデータベース29の作業実績格納エリア29cに格納する。
【0048】
この作業実績格納エリア29cに格納されたデータは、管理者のコンピュータ装置17および作業者の作業者端末18により、作業履歴として利用される。また、管理者は、コンピュータ装置17により、作業実績格納エリア29cに格納されたデータを参照して、作業者の清掃作業の実績確認を行うことができる。
【0049】
<天気情報取得部24>
清掃業務支援管理サーバ19の天気情報取得部24は、天気情報を取得する。天気情報取得部24が取得する天気情報は、後述するように、作業環境判定部27が清掃対象のビル・施設1の汚れ具合を判定する際の情報として利用される。
すなわち、天気情報取得部24は、ネットワーク回線Nと、通信装置16および制御装置20を経由して、気象庁や日本気象協会が提供する天気情報のWebサイトなどから、定期的に降水量(mm)、風速(m/s)、気温(℃)、湿度(%)といった天候情報データを取得する。そして、取得したデータは、制御装置20経由でデータベース29の作業環境判定格納エリア29fに格納される。
【0050】
なお、天気情報取得部24は、天候情報データの取得先を任意に設定することが可能である。また、天気情報取得部24は、使用する取得先を複数選択してもよい。なお、取得先を複数選択した場合に、どの取得先の天候情報データを採用するかを決める採用基準としては、例えば、降水量(mm)を多く予測した取得先を採用するなどが考えられる。
天気情報取得部24が天候情報データを取得する周期は、例えば1時間ごとの単位のように天気情報取得部24により任意に設定することができる。
【0051】
<入退出管理部25>
清掃対象のビル・施設1に設置されたCR装置4A、4Bあるいは入退出ゲートである認証装置7Aに、勤務者がIDカードをかざす認証操作を行うと、勤務者の入退出データ(ユーザ情報)は、ビル・施設1内の通信装置13とネットワーク回線Nおよび通信装置16を介して清掃業務支援管理サーバ19に送信される。
【0052】
清掃業務支援管理サーバ19は、ビル・施設1から受信したユーザ情報を制御装置20経由で入退出管理部25に送る。入退出管理部25は、受信したユーザ情報を入退出情報格納エリア29dに格納されているユーザ情報(図8のユーザTd5参照)と照合し、ユーザ情報が一致した場合は、会議室2Aの施錠を開錠する旨の信号をビル・施設1に送信する。
【0053】
そして、ビル・施設1内の会議室2Aの施錠が開錠されると、入退出管理部25は、勤務者の入室時刻または退出時刻を、制御装置20を経由して、図8で後述する入退出情報格納エリア29dの入室時刻Td6または退出時刻Td7に格納する。
また、入退出管理部25は、入室時刻Td6と退出時刻Td7が格納された際に、ビル・施設1、または各フロアの部屋での滞在時間(分単位)を算出し、制御装置20経由で入退出情報格納エリア29dの滞在時間Td8(図8参照)に格納する。
【0054】
<画像解析処理部26>
本例の清掃業務支援システムに登録されたビル・施設1内に設置されたカメラ9A、6A、6Cなどで撮影した動画像を含む画像データは、ビル・施設1内の通信装置13とネットワーク回線Nを介して、清掃業務支援管理サーバ19に送信される。
清掃業務支援管理サーバ19は受信した画像データを制御装置20経由で画像解析処理部26へ送る。画像解析処理部26は、受け取った画像データを用いて、ビル・施設1内の人流解析、物体検知、動体検知といった画像処理を実行し、制御装置20を介して処理結果をデータベース29内の画像処理結果格納エリア29eに格納する。
【0055】
また、画像解析処理部26は、取得した画像データの画角内に清掃対象箇所が存在する場合に、その対象箇所自体、またはその付近の画像データに対して人流解析処理を実施する。そして、画像解析処理部26は、ある一定の期間内に清掃対象箇所を通過した人数をカウントして、その結果を制御装置20経由で画像処理結果格納エリア29eに格納する。
【0056】
なお、カメラ9Aまたはカメラ6A、6Cで撮影された動画像データは、画像解析処理部26により、制御装置20経由で不図示の内臓ハードディスクなどのデータ格納領域(図2に示す不揮発性ストレージ34)に保存される。
【0057】
また、画像解析処理部26は、人流解析を行うある一定の期間と、人流解析を実行する対象エリアの選択を行い、その際のしきい値を設定する。
ここで、人流解析を行う対象エリアとしては、カメラの画角全体を解析してもよいが、予め画像解析する箇所をマスキングし、データの処理量を低減することもできる。
なお、対象エリアの指定方法としては、図9に示す防犯カメラ1の画像処理例で後述するように、画角をブロックに分けて、人の流れが多くなる必要なブロックを選択する方法が考えられる。また、マウスなどを用いて、フリーハンドで対象エリアを指定する方法も考えられる。
【0058】
本例の清掃業務支援システムにおける物体検知も、さまざまな手法が考えられる。例えば、画像解析処理部26は、画像データの画角内の清掃対象箇所内にある物体が一定時間以上その付近に停滞して存在していた場合に物体として検知する手法をとる。
そして、画像解析処理部26は、検知した物体を制御装置20経由で画像処理結果格納エリア29eに格納する。その際、画像解析処理部26は、停滞時間や停滞と判断する位置の変化量について、しきい値を設定するようにする。
【0059】
ここで、人流解析のしきい値としては、例えば汚れが増えると予想される人数が考えられる。つまり、通過した人数が多ければ、汚れが多いと判定される可能性が高いが、このしきい値は天候によって変わる。具体的には、腫れの日は1時間当たり100人が通過すれば、床が汚れている可能性があると考える。一方、雨の日は、1時間当たり50人が通過すれば、床が汚れている可能性があると考える。つまり、汚れの有無の判定のしきい値は、腫れの日ならば100人、雨の日は50人となる。
【0060】
また、画像解析処理部26は、検知した物体の大きさや形状、色といった特徴データから物体を特定することがきる。例えば、画像解析処理部26は、野球ボール大の大きさの物体があるというような、より具体的かつ詳細な物体情報を管理者や作業者に提供することができる。
【0061】
さらに、画像解析処理部26は、物体の特徴量を学習データとして持っていたり、後から学習データをさらに追加したりすることができる。このように、画像解析処理部26に追加的に新たな機能を付与することで、画像解析処理部26は、画像処理の際に、「コップ」、「ペットボトル」「缶」といった物体の種類を特定することができるようになる。
【0062】
また、本例の掃業務支援システムの物体検知もさまざまな手法が考えられる。例えば、画像解析処理部26は、画像データの画角内の清掃対象箇所内にある物体が、ある一定の範囲内で移動を繰り返し行っていたり、それまで動いていた物体がある場所で一定時間留まっていたりした場合に、動体検知として処理する。そして、制御装置20経由で処理結果を画像処理結果格納エリア29eに格納する。
【0063】
このとき、画像解析処理部26は、ある物体が一定距離移動したり、移動している物体が停止したりした場合に、移動していると判断するか、あるいは留まっていると判断するかについてのしきい値を設定する。例えば、動体検知のしきい値としては、動いた距離が1m以上とか、静止している時間が1分以上といった特定の距離または時間がしきい値となる。
【0064】
<作業環境判定部27>
作業環境判定部27は、天気情報取得部24で取得された天気情報データと画像解析処理部26で画像処理されたデータを基に、清掃箇所の汚れの程度、ゴミまたは障害物の存在を判定する。
そして、作業環境判定部27は、その判定結果を制御装置20経由でデータベース29内の作業環境判定格納エリア29fに格納する。
【0065】
作業環境判定部27は、清掃箇所の汚れの程度、ゴミまたは障害物の存在に関する判定結果を格納した後、作業手順格納エリア29bに格納されている清掃手順(以下、基本手順と称する)を呼び出す。この基本手順は、管理者がコンピュータ装置17により作業手順管理部22を使って事前に作成して、作業手順格納エリア29bに格納したものである。
作業環境判定部27は、作業手順格納エリア29bに格納されている基本手順に追加が必要と判定した手順と、その追加する手順に必要な機材(用具、器具)、人数を追加し、制御装置20経由で作業手順格納エリア29bに格納する。
【0066】
作業環境判定部27で追加する必要があるとされた作業手順は、作業者による作業開始前に、制御装置20、通信装置16、そしてネットワーク回線N経由で清掃業務支援管理サーバ19から作業者の作業者端末18に配信される。
なお、作業環境判定部27は、作業環境の最終判定、および追加手順の配信のタイミングも設定する。
作業環境判定部27で追加される手順の詳細については、図4に示す清掃作業者への推奨手順配信のイメージ画面im2を用いて後述する。
【0067】
ここで、画像解析処理部26は、受け取った動画像データに対する物体検知、動体検知などの画像処理を実行するが、この物体検知、動体検知の具体例としては、以下のようなことが考えられる。
例えば、物体検知の場合は、作業環境判定部27は、清掃対象箇所である床にあるゴミや、床の色が変化するほどの汚れを検知する。また、ビル・施設1内のイベントなどで通常置かれて机や椅子など清掃作業時に障害となるものが現地画像の中に存在することも検知する。
このような場合、作業環境判定部27は、基本手順となる清掃手順に新たな手順を追加することで、作業環境に基づいて判定した清掃手順を、清掃作業前に管理者、および作業者に通知することができる。
【0068】
また、動体検知の場合、作業環境判定部27は、清掃対象箇所となる部屋内の一定区間を動体や人物が何度も往復している場合を検知する。そのような場合には、作業環境判定部27は、その動体検知がなされた付近を重点的に清掃するように追加手順を設けたり、移動していた人物が手すり付近で一定時間留まっていた場合は、手すりを消毒するなどの追加手順を付加したりすることができる。
【0069】
<学習データ管理部28>
作業環境判定部27で追加された手順の作業を作業者が実際に行い、その追加手順が妥当であったと作業者が評価した場合、学習データ管理部28は、その手順を追加する際に利用した環境判定結果を、制御装置20経由でデータベース29内の学習データ格納エリア29gに格納する。
学習データ格納エリア29gに格納された学習データは、管理者のコンピュータ装置17によって参照することができる。また、この学習データは、作業環境判定部27が作業環境を判定する際の新たなしきい値に反映される。
【0070】
このとき、作業環境判定部27において、従来から設定されていたしきい値は、学習データ格納エリア29gに格納された新たなしきい値に更新される。このように、従来のしきい値が実際に作業を行った際の手順の新たなしきい値へ更新されることで、作業環境判定部27は、より最適な作業手順を追加することが可能になる。
なお、作業環境判定部27による、しきい値の更新については、複数の蓄積データの平均や統計から決定するなどさまざまな手法が考えられる。
【0071】
<清掃業務支援管理サーバ19のハードウェア構成>
図2は、本例の清掃業務支援管理システムの主たる構成要素である清掃業務支援管理サーバ19のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、清掃業務支援管理サーバ19は、バス30に接続されたCPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、不揮発性ストレージ34から構成される。
【0072】
CPU31は、清掃業務支援管理サーバ19の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM32から読み出して演算処理を実行する。RAM33には、CPU31で行われる演算処理の途中で発生した変数等が一時的に書き込まれる。CPU31は、ROM32に記録されているプログラムコードを実行することにより、清掃業務支援管理サーバ19の機能を実現する。
【0073】
不揮発性ストレージ34は、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性のメモリで構成される。この不揮発性ストレージ34には、CPU31が動作するために必要なプログラムやデータ等が格納される。この不揮発性ストレージ34には、図1で説明したデータベース29に設けられた各記憶エリアが形成されている。
【0074】
また、清掃業務支援管理サーバ19は、通信インタフェース(通信部IF)35を備える。通信インタフェース35としては、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられる。この通信インタフェース35は、図1の通信装置16を実現するためのハードウェアである。
【0075】
すなわち、通信インタフェース35を介して、清掃業務支援管理サーバ19とビル・施設1、管理者のコンピュータ装置17および作業者の作業者端末18との情報の送受信が行われる。また、WeBからの天気情報などが、清掃業務支援管理サーバ19に入力される。
【0076】
<処理フロー>
次に、図3を参照して、本例の清掃業務支援システムの処理フローである清掃業務支援方法について説明する。
まず、ビル・施設1の管理者は、自身のコンピュータ装置17を清掃業務支援管理サーバ19の作業計画管理部21と接続して、ビル・施設1の作業計画(清掃の作業予定日など)を作成する(ステップS1)。ここでは、ビル・施設1のどのエリアを、作業者にいつ清掃してもらうか、また、担当する清掃業者をだれにするかといった作業計画が策定される。
【0077】
次に、ビル・施設1の管理者は、コンピュータ装置17を作業手順管理部22に接続して、ビル・施設1の清掃対象の各フロアや部屋などを清掃する清掃手順を作成する(ステップS2)。例えば、図6で後述するように、管理者は、ビル・施設1の受付ロビーどのような手順で清掃するか、そのための作業者と機材用具をどれだけ確保するかといった作業手順を策定する。以上のステップS1、S2の手順は、ビル・施設1の清掃作業を行う日前に管理者が策定する手順である。
【0078】
次に、清掃業務支援管理サーバ19は、清掃対象となるビル・施設1の現地状況を取得する(ステップS3)。ステップS3の現地状況の取得に際しては、清掃業務支援管理サーバ19の天気情報取得部24、入退出管理部25および画像解析処理部26が用いられる。
すなわち、天気情報取得部24は、既に述べたように、気象庁や日本気象協会が提供するWebサイトなどから、清掃作業を行うビル・施設1付近の清掃当日の天気予報を取得する。
【0079】
入退出管理部25は、ビル・施設1における清掃対象の各フロアや部屋などの入退出情報データを取得する。
画像解析処理部26は、ビル・施設1内に設置されたカメラ9A、6A、6Cなどで撮影された動画像データから、当日の人の流れ、物の移動や停滞状況を把握するための画像解析処理を行う。すなわち、画像解析処理部26は、取得した動画像データに基づいて、人流解析、物体検知、動体検知などの判定データを得る。以上がステップS3の現地状況の取得である。
【0080】
次に、作業環境判定部27は、ステップS3で取得された天気情報データ、入退室情報データ、および動画像データから得た人流解析、物体検知、動体検知などの判定データを用いて、作業環境の汚れ度合、ゴミまたは障害物などの有無を判定する。そして、作業環境判定部27は、清掃作業に必要な手順と、その手順に必要な用具、器具、人数を算出する(ステップS4)。
【0081】
そして、作業環境判定部27は、ステップS4で判定した結果を基に、ステップS2で作成された清掃手順に追加手順が必要であると判断した場合には、ステップS2で作成された作業手順に追加の作業手順を反映させる(ステップS5)。
【0082】
続いて、清掃業務支援管理サーバ19は、ステップS5で作成した追加の作業手順を含む清掃手順を作業者の作業者端末18に配信する(ステップS6)。
作業者は、作業者端末18を用いて、配信された清掃手順を基に、ビル・施設1内の対象箇所の清掃を実施し、実施した実績データと追加手順への評価結果を作業者端末18から入力する(ステップS7)。
【0083】
作業者端末18に入力された清掃作業の実績データは、清掃業務支援管理サーバ19の作業実績管理部23に送られる。作業実績管理部23は、この実績データを制御装置20経由でデータベース29の作業実績格納エリア29cに格納する。
管理者は、自身のコンピュータ装置17を用いて作業実績管理部23を参照し、作業者端末18から送信された実績データの作業履歴の管理を行う(ステップS8)。
【0084】
次に、清掃業務支援管理サーバ19の学習データ管理部28は、ステップS8で管理者により管理された作業履歴の中から、従来の作業手順に追加した方がよいと管理者が考えた手順、つまり管理者が追加する必要があると評価した手順を学習データとする(ステップS9)。そして、学習データ管理部28は、ステップS9で作成した学習データを、制御装置20経由で学習データ格納エリア29gに格納する。
【0085】
次に、管理者は、自身のコンピュータ装置17により、ステップS9で作成された学習データを参照して、採用可否の承認を行う(ステップS10)。そして、必要に応じて作業環境判定部27が環境判定に用いるしきい値を更新する。
すなわち、ステップS10では、学習データの採用可否の承認に加えて、ステップS5で反映された作業手順に対して、判定する基準となるしきい値を更新することの承認も含まれる。
【0086】
最後に、管理者は、自身のコンピュータ装置17により、作業計画や作業手順の見直しを実施し、学習データ管理部28は、管理者が承認した学習データを基に作業計画、作業手順の修正または変更を行う(ステップS11)。
以上で、本例の清掃業務支援管理方法の一連の処理が終了し、ステップS3に戻って、新たなビル・施設1に関する現地状況の取得を待つ。
【0087】
<清掃業務手順のイメージ画面>
図4は、本例の清掃業務支援システムにおいて、清掃業務支援管理サーバ19から作業者端末18に対して配信される清掃業務の手順のイメージ画面を示す。
図4の左側の図は、管理者がコンピュータ装置17により作成した、清掃作業者への手順配信イメージの基本手順を示した画面im1である。
一方、図4の右側の図は、清掃業務支援管理サーバ19において、ビル・施設1を取り巻く現地状況を考慮した結果、管理者によって追加される作業手順を含む、清掃業務支援管理サーバ19が推奨する手順を示すイメージ画面im2である。
【0088】
作業者は、清掃作業を開始する際に作業者端末18の表示画面上にある「作業開始」ボタンを押下する。作業者によって、作業開始ボタンが押下されると、作業開始時刻が入力される。図4の左画面では、作業開始時間は、「2020 7/31 09:00:00」と表示されている。これにより、作業者による清掃開示時刻は2020年7月31日の午前9時であることがわかる。
【0089】
作業者は、作業者端末18に表示された図4の左画面の清掃手順に示す作業項目に従って清掃を実施し、それぞれの作業項目の実施が終了すると、実績チェックのチェックボックスを有効化する。チェックボックスが有効化されると、(1)~(10)に示す清掃手順(作業項目)ごとの所要時間の欄に分単位で時間が自動入力される。なお、各作業項目に対して連絡事項などがある場合は、作業者は、コメントボタンを押下して表示されるコメント入力欄に必要事項を入力することができる。なお、コメントの内容については、図11で後述する。
【0090】
そして、清掃手順に記載されたすべての作業項目の実施が完了したら、作業者は、「実績送信」ボタンを押下する。作業者により実績送信ボタンが押下されると作業終了時刻が自動入力される。なお、各作業項目の所要時間については、実績送信ボタンを押下する前であれば、手動で変更可能とすることもできる。
【0091】
作業者が作業者端末18に入力した実績情報は、一旦作業者端末18の一時メモリまたはブラウザに記憶するようにしてもよい。
入力された実績データは、実績送信ボタンを押下すると、インターネット回線Nと通信装置15を介して清掃業務支援管理サーバ19に送信される。清掃業務支援管理サーバ19の作業実績管理部23は、通信装置16、制御装置20を介してこれを受信し、受信した実績データを制御装置20経由で作業実績格納エリア29cへ格納する。
【0092】
また、作業者は、作業者端末18に表示された手順配信イメージ画面im1の「画像取得」ボタンを押下すると、清掃を行う現地(例えば、Aビルの1階受付・ロビー3)の動画像を含む最新画像を参照することができる。
例えば、手順配信イメージ画面im1に表示される現地の最新画像としては、清掃業務支援管理サーバ19の画像解析処理部26に接続された不図示の内臓ハードディスクに随時蓄積される動画像データやスナップショットなどが含まれる。
【0093】
作業者は、自身の作業者端末18により、現地の最新画像を参照することで、清掃対象が屋外の場合であれば、雨が降っているかなどの天気状況を随時確認することができる。また、作業者は、清掃対象が室内の場合であれば、目視できる範囲の汚れ、ゴミまたは障害物の有無といった作業環境の変化状況を随時確認することができる。
【0094】
図4の右側の図は、清掃作業者への推奨手順を示す手順配信イメージ画面im2である。推奨手順を示す手順配信イメージ画面im2は、清掃作業者への手順配信イメージ画面(基本手順)im1に対して、作業環境判定部27により手順が追加された例を示している。なお、上述したように、清掃作業者への手順配信イメージ画面(基本手順)im1は、管理者が事前に作成した清掃手順である。
【0095】
具体的には、推奨手順を示す手順配信イメージ画面im2には、天気情報取得部24により、清掃対象のAビル付近の天気情報として、例えば、「雨(50mm)、気温30℃、湿度100%、風速8m/s」というデータを取得したことが表示される。
【0096】
また、作業環境判定部27は、人流解析結果のデータに、例えば、対象エリアを1時間で平均150人以上通過したなら床汚れ「大」とするような、しきい値を設定する。
そして、作業環境判定部27は、「雨(50mm)」というデータと、しきい値を設定した人流解析結果のデータから、床汚れが多いと判定し、基本手順im1の「(3)ロビーの床を掃く。」と「(4)ロビー床に床用洗剤を散布する。」の間に推奨手順を追加する。
【0097】
ここで追加される推奨手順としては、図4の右図に示されるように、例えば、手順(*1)<人流解析>として、「[a-b-e-i]区間は雨と人の通行量で通常より汚れているため、専用洗剤を散布する。用具:水あか・泥汚れ用洗剤、散布用モップ、器具:-、人数:3」で示す追加された新たな作業手順が表示される。
さらに、手順(*2)として、「[a-b-e-i]区間のロビー床を拭く。 用具:- 器具:清掃用マシン 人数:2」のような新たな作業手順が表示される。
【0098】
作業者は、自身の作業者端末18の画面に追加表示された手順を実施し、その手順が本当に必要だったかどうかの妥当性を評価して、評価チェック欄に入力する。評価チェック欄は、「必要」または「不必要」といった選択式でもよいが、図4の右側のイメージ画面im2に示すように、例えば5段階の数値を入力するようにしてもよい。図4の右図には、追加の手順に対して数値「3」が入力されている。
【0099】
なお、5段階評価を行う場合であれば、数値で「3以上」が入力された手順が学習データとして採用される。
そして、学習データとして作用された追加手順は、学習データ管理部28により制御装置20を経由して、学習データとして、データベース29の学習データ格納エリア29gに格納される。
【0100】
<作業計画格納エリア29aのデータ構造>
図5の作業計画格納エリアテーブルは、データベース29の作業計画格納エリア29aに格納されるデータのデータ構造を示す。
図5に示すように、作業計画格納エリア29aのテーブルは、No,フィールドTa1、ビル・施設フィールドTa2、場所フィールドTa3、階フィールドTa4、清掃場所フィールドTa5、担当業者フィールドTa6、清掃予定日フィールドTa7、開始時刻フィールドTa8、および終了時刻フィールドTa9を有する。
【0101】
No,フィールドTa1は、テーブルに記憶する情報の順番を示している。ビル・施設フィールドTa2には、清掃対象となっているビル・施設名が格納される。ここではビルAが対象になっているが、対象となるビル・施設1は、必ずしもビルAだけではなく、ビルA以外のビル、例えばビルBが清掃対象となる場合もある。
場所フィールドTa3には、ビルAのどの場所が対象となっているかが格納され、階フィールドTa4には、その場所が何階にあるかが格納される。
【0102】
また、清掃場所フィールドTa5には、対象のビル・施設1の清掃場所が格納され、担当業者フィールドTa6には、清掃作業を実施する担当業者が格納される。また、清掃予定日フィールドTa7には、清掃作業を実施する予定日が格納される。
開始時刻フィールドTa8および終了時刻フィールドTa9には、清掃作業の開始予定時刻と、清掃作業の終了予定時刻が格納される。
【0103】
<作業手順格納エリア29bのデータ構造>
図6の作業手順格納エリアテーブルは、データベース29の作業手順格納エリア29bに格納されるデータのデータ構造を示す。
図6のフィールドTb1~Tb5までは、図5のフィールドTa1~Ta5のフィールドと同じであり、図6のフィールドTb11~Tb13は、図5のフィールドTa7~Ta9と同じなので説明は省略する。
【0104】
但し、図6に示す作業手順格納エリアテーブルには、ビルAの1階の受付ロビーのフロア床の清掃作業における清掃手順が格納されている。すなわち、図5の作業計画格納エリアテーブルの第一行目に示されるNo,1、受付ロビー、1階、フロア床が対象となっている。
【0105】
図6の作業手順格納エリアテーブルは、上記フィールドの他に、手順No.フィールドTb6、手順フィールドTb7、機材用具フィールドTb8、作業者人数フィールドTb9、および予定所要時間フィールドTb10を有する。
【0106】
手順フィールドTb7には、管理者が作業手順管理部22を使用して作成した清掃対象となるビルAの1階受付ロビーのフロア床を、実際に清掃する手順が格納されている。ここでは、図6に示すように、手順番号1~5まで、清掃する作業者が具体的に何をすればよいかが格納されている。
【0107】
また、機材用具フィールドTb8には、手順フィールドTb7に示した手順通りに清掃を行うために必要な機材用具が格納され、作業者人数フィールドTb9には、それぞれの手順ごとに清掃作業に必要とされる人数が格納される。
そして、予定所要時間フィールドTb10には、清掃のそれぞれの手順を実施する際の予定所要時間が格納される。
【0108】
<作業実績格納エリア29cのデータ構造>
図7の作業実績格納エリアテーブルは、データベース29の作業実績格納エリア29cに格納されるデータのデータ構造を示す。
図7のフィールドTc1~Tc7までは、図6のフィールドTb1~Tb7のフィールドと同じであり、図7のフィールドTc12、Tc13、Tc14は、図6のフィールドTb12、Tb13、Tb10と同じなので説明は省略する。
【0109】
作業実績格納エリアテーブルは、上記フィールドの他に、実績フィールドTc8、変更変化ありフィールドTc9、コメントフィールドTc10、実績日フィールドTc11、および実績確認フィールドTc15を有する。
【0110】
実績フィールドTc8には、清掃した作業者が実際の清掃作業の実施後に作業者端末18を用いて入力した手順ごとの実績が格納される。ここでは、手順番号1~5までの作業実績に対して「OK」が格納されている。
変更変化ありフィールドTc9には、手順の変更があるか否かを示す「有」または「無」が格納される。そして、変更変化ありフィールドTc9において、「有」が格納された手順1に対して、コメントフィールドTc10に、「イベント期間中のため椅子と机なし」というコメントが格納されている。
【0111】
また、実績日フィールドTc11には、清掃作業者が清掃を行った実績日が格納され、実績確認フィールドTc15には、管理者が作業実績の確認を行った結果が格納される。ここでは、管理者は自身のコンピュータ装置17により、清掃した作業者の作業実績を確認したことを示す「済」が格納されている。
【0112】
<入退出情報格納エリア29dのデータ構造>
図8の入退出情報格納エリアテーブルは、データベース29の入退出情報格納エリア29dに格納されるデータのデータ構造を示す。
図8のフィールドTd1~Td4までは、図7のフィールドTc1~Tc4のフィールドと同じなので、詳しい説明は省略する。
【0113】
但し、図8のテーブルでは、ビル・施設フィールTd2のNo.1~No.3までがビルAであり、No.4とNo.5がビルBとした。これは、一般の入退出管理システムが、複数の施設を含む異なるビルの入退出管理を行うことから、本例の清掃業務管理システムにおいても、通常の入退出管理システムが用いられることを示したものである。
【0114】
入退出情報格納エリアテーブルは、上記フィールドの他に、ユーザフィールドTd5、入室時刻フィールドTd6、退出時刻フィールドTd7、および滞在時間フィールドTd8を有する。
ユーザフィールドTd5には、それぞれのビルの会議室に対して入室したユーザ名が格納される。例えば、会社の会議室であれば、勤務者または来訪者の氏名が格納される。
【0115】
清掃業務支援管理サーバ19の入退出管理部25は、対象のビル・施設1のCR装置4A、4Bや入退出ゲート7Aなどをユーザが通過する際にユーザ認証を行い、ユーザの会議室等への入室時刻と退室時間を管理する。
【0116】
入室時刻フィールドTd6には、ユーザの会議室等への入室時刻が格納され、退出時刻フィールドTd7には、ユーザの会議室等からの退出時刻が格納される。
また、滞在時間フィールドTd8には、ユーザが該当するビル・施設1または各フロアの会議室等に滞在した時間が格納される。例えば、ユーザBはビルAの会議室Aに60分滞在したことが格納されている。
【0117】
<画像処理結果格納エリア29eのデータ構造>
図9の画像処理結果格納エリアテーブルは、データベース29の画像処理結果格納エリア29eに格納されるデータのデータ構造を示す。
図9のフィールドTe1(No.)、Te3(ビル・施設)、Te4(場所)、Te5(階)は、図8のフィールドTd1、Td2、Td3、Td4の各フィールドと同じなので説明を省略する。
【0118】
画像処理結果格納エリア29eは、上記フィールドの他に、映像機器フィールドTe2、人流解析フィールドTe6、動体検知フィールドTe7、物体検知フィールドTe8、該当時間帯映像フィールドTe9、および分析結果例フィールドTe10を有する。
【0119】
映像機器フィールドTe2には、ビルAに設置された防犯カメラが格納される。ここでは受付ロビーには防犯カメラ1、会議室には防犯カメラ2、1-2階段には防犯カメラ3、事務所には防犯カメラ4が設置されていることが示されている。
人流解析フィールドTe6には、防犯カメラ1~4によって取得された画像データを画像解析処理部26で解析した結果が格納される。
【0120】
ここで、人流解析の「人流」とは、例えば、図1の下段左側の「防犯カメラ1の画像処理例」に示すように、出入口方向と入退出ゲートとの区画b-e-iの人の流れをいう。図9には、1階の受付ロビーと5階の会議室に人流解析「有」が格納されている。実際の人流解析の結果には、1時間当たりの通過人数がどの程度であるかといった情報も含まれる。
【0121】
動体検知フィールドTe7には、人物や物体が指定したエリアを行き来したり、停滞したりしたことを検知した結果が格納される。
物体検知フィールドTe8には、対象エリアに通常では存在しない物体が一定時間以上留まっていた場合に、その大きさや形からどんな物体かを予測した結果が格納される。
例えば、防犯カメラ3の映像から、ビルAの1-2階階段のところに、動体検知、物体検知の両方に「有」が格納されている。
【0122】
該当時間帯映像フィールドTe9には、人流解析、動体検知または物体検知の該当時間帯における防犯カメラ1~4の映像があることを示す「有」が格納されている。
そして、分析結果例フィールドTe10には、防犯カメラ1~4の画像データを分析した結果が格納される。すなわち、防犯カメラ1に関しては、「しきい値以上[d]区間に物体が停滞している」、つまりしきい値を超える時間、[d]区間に物体が存在し続けているという事実が格納される。また、同じ防犯カメラ1に関連して、「b-e-i区間を1時間平均150人が通過した」といった事実が格納される。
【0123】
この例は、図9の下段左側の防犯カメラ1の画像処理例に相当する。すなわち、図9の下段左側の図に示すように、受付ロビーをa~iの9区分のエリアに区分けしたときに、区間[d]にしきい値時間を超えて物体が停滞したこと、また区間[b-e-i]を1時間平均で150人の人が通過したことが分かる。
【0124】
また、図9の分析結果例フィールドTe10には、防犯カメラ2に関連して、5階の会議室に1時間平均で20人の出入りがあったことが格納されている。さらに、防犯カメラ3に関連して、1-2階段の手すり付近に物体検知と動体検知があったこと、そして10分程度の停滞が検知されたことが格納されている。
【0125】
この防犯カメラ3による画像検知とその処理例については、図9の下段右画面に示されている。すなわち、場所フィールドTe4と分析結果例フィールドTe10に記載されるように、1-2階階段の手すり付近の区間[d]に、人が10分程度停滞していることが示されている。
【0126】
<作業環境判定格納エリア29fのデータ構造>
図10の作業環境判定格納エリアテーブルは、データベース29の作業環境判定格納エリア29fに格納されるデータ構造を示す。
図10に示すフィールドTf1~Tf5は、図6に示す作業手順格納テーブルのフィールドTb1~Tb5と同じであり、フィールドTf11~Tf13は、図9の画像処理結果格納データテーブルのフィールドTe6~Te8と同じなので、説明を省略する。
【0127】
作業環境判定格納エリア29fは、上記フィールドの他に、清掃実施予定日フィールドTf6、天候フィールドTf7、風フィールドTf8、気温フィールドTf9、湿度フィールドTf10、最新状態更新時刻フィールドTf14および推奨手順フィールドTf15を有する。
【0128】
清掃実施予定日フィールドTf6には、例えば、ビルAの受付ロビーのフロア床の清掃予定日が2020年7月31日であることが格納されている。
天候フィールドTf7、風フィールドTf8、気温フィールドTf9および湿度フィールドTf10には、天気情報取得部24によって取得された天気情報が、天候、風、気温、湿度に分けて格納される。すなわち、天候は大雨70mm、風は強風15m/s、気温27℃、湿度100%であると格納されている。
【0129】
最新状態更新時刻フィールドTf14には、2020年7月31日の17時50分に作業環境のデータが更新されたことが格納されている。1
また、推奨手順フィールドTf15には、清掃作業者が作業を行う上での推奨手順が格納されている。すなわち、推奨手順フィールドTf15には、上述した天候情報、人流解析、物体検知および動体検知に関するデータを基に、汚れの程度、障害物、およびゴミの有無を判定し、追加で必要な清掃手順とその追加した手順を実施する上で必要な用具・機器・人数等が格納される。
【0130】
例えば、No.1では、「d区間に停滞物があり、ごみの可能性があるため、手順No.1の前に確認する」が推奨手順として格納されている。
また、No.3に関連して、「強い雨と人流解析結果「多」からb-e-i区間の汚れが多い可能性があるため、乾拭き用モップの追加」と格納されている。この推奨手順は、図9の下段左側の「防犯カメラ1の画像処理例」に示す内容と対応している。
【0131】
また、図10のNo.5に関連して、「階段の手すり付近でしきい値時間以上滞在している人物ありのため、手すりの消毒を実施」という推奨手順が格納されている。この推奨手順は、図9の下段右側の「防犯カメラ3の画像処理例」に示す内容と対応している。
【0132】
<学習データ格納エリア29gのデータ構造>
図11の学習データ格納エリアテーブルは、データベース29の学習データ格納エリア29gに格納されるデータのデータ構造を示す。
図11に示すフィールドTg1~Tg5は、図10に示す作業環境判定格納エリアテーブルのフィールドTf1~Tf5と同じであり、また、フィールドTg10~Tg16は、図10の作業環境判定格納エリアテーブルのフィールドTf7~Tf13と同じなので、説明を省略する。
【0133】
学習データ格納エリア29gは、上記フィールドの他に、清掃の実施日フィールドTg6、所要時間フィールドTg7、手順以外作業フィールドTg8、汚れ程度フィールドTg9、入退履歴フィールドTg17、実績(コメント)フィールドTg18およびしきい値反映フィールドTg19を有する。なお、図11では、清掃場所はすべて床窓とされている。
【0134】
実施日フィールドTg6には、清掃作業者による清掃作業の実施日が格納される。例えば、No.1のケースでは、2020年2月28日という日付が格納されている。
所要時間フィールドTg7には、清掃作業に要した所要時間が格納される。No.1のケースでは、55分を示す数字「55」が格納されている。
手順以外作業フィールドTg8には、当初予定されていた作業手順以外の清掃作業があった「有」か、それともなかった「無」のいずれかが格納される。
【0135】
汚れ程度フィールドTg9には、清掃作業の時に、汚れが多かったか、それとも少なかったか、あるいは普通であるかを示すデータが格納される。
入退履歴フィールドTg17には、会議室等への入退出する人が多かったか(「多」)、普通であったか(「普通」)、または少なかったか(「少」)のいずれかが格納される。例えば、図11のNo1では、20人であったため「少20」が格納され、No.2とNo.3では、30人と32人のため「普通30」と「普通32」が格納されている。No.4では、入退出する人数が50人なので、「多50」が格納されている。
【0136】
実績(コメント)フィールドTg18には、清掃作業を行った作業者のコメントが格納される。例えば、No.1では、「湿度が高く床、窓ともに結露しており、乾拭き用モップとふきんが必要だった」とする清掃作業者のコメントが格納されている。
また、No.3では、「(1)障害物ではなく、マットのシミであり、染み抜き剤を使用して清掃」したことと、「(2)マット付近の机の上にコップと飲み物のこぼれ汚れがあり、専用洗剤で清掃」したことがコメントとして格納されている。
【0137】
しきい値反映フィールドTg19には、作業手順管理部22で追加された手順を作業者が行った履歴から、天気情報データと、人の流れ等のデータを踏まえ、作業環境判定部27が次回以降の環境判定に利用するしきい値の最適化に反映させるか否かを示す、「する」または「しない」が格納される。
すなわち、上述のNo.1では、しきい値反映「する」が格納され、No.3では、しきい値反映「しない」が格納されている。
【0138】
上述したように、本例の清掃業務支援システムは、実際に清掃を行う作業者の作業を支援するシステムであり、天気情報による清掃内容の変化や施設の利用状況から汚れを判定し、清掃項目に追加することで清掃作業の最適化を図ることができる。
また、本例の清掃業務支援システムによれば、清掃を行うビル・施設等の現地状況を事前に把握できるので、清掃に必要な機器・用具、および人数の判断が容易になる。
【0139】
また、本例の清掃業務支援システムは、ビル・施設1内に設けられたカメラ画像の画像解析データを用いることで、本当に清掃が必要な箇所の見逃しを低減することができる。さらに、本例の清掃業務支援システムによれば、清掃エリアに障害物やゴミが存在する場合には、適切に処理するための情報を、清掃作業者または管理者に提供することができる。また、清掃作業者による作業実績を蓄積することで、類似の現象があった場合への適切な対処が、経験者・個人差を問わずに可能となる。
【0140】
以上、本例の清掃業務支援管理システムに関して詳細に説明したが、本発明は前述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例、応用例が含まれる。また、前述した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではなく、適宜、その他の構成にも応用することができる。
【符号の説明】
【0141】
1…ビル・施設、2…na階(ビル・施設の階数)、2A~2C…部屋(会議室)、3…1階(受付・ロビー)、4A、4B…CR(カードリーダ)装置、4C…CR通信LAN、5…エレベーター、6A、6C…カメラ(防犯カメラ)、6B、6D…カメラ通信LAN、7A…認証装置(入退出ゲート)、7B…CR通信LAN、8…人流、9A…カメラ(防犯カメラ)、9B…カメラ通信LAN、10A、10B…手すり、11…カメラ通信網、12…CR通信網、13、14、15、16…通信装置、17…コンピュータ装置、18…スマートフォンまたはタブレット端末、19…清掃業務支援管理サーバ、20…制御装置、21…作業計画管理部、22…作業手順管理部、23…作業実績管理部、24…天気情報取得部、25…入退出管理部、26…画像解析処理部、27…作業環境判定部、28…学習データ管理部、29…データベース(DB)、29a…作業計画格納エリア、29b…作業手順格納エリア、29c…作業実績格納エリア、29d…入退出情報格納エリア、29e…画像処理結果格納エリア、29f…作業環境判定格納エリア、29g…学習データ格納エリア
図1
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図10
図11