(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】ブームスプレーヤ
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A01M7/00 D
(21)【出願番号】P 2020144388
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】江澤 佑允
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143768(JP,A)
【文献】特開2014-093977(JP,A)
【文献】特開2017-000082(JP,A)
【文献】特開平08-254203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の前側又は後側に配置されて車両左右方向に延び薬液を散布可能なセンターブーム(14)と、
前記車両(1)に連結され前記センターブーム(14)を支持するためのセンターブーム支持部(11)と、
車両左右方向に一対が設けられ、その上部が前記センターブーム支持部(11)に回動可能に連結されると共に、その下部が前記センターブーム(14)に回動可能に連結され、前記センターブーム(14)が重力により水平となるように前記センターブーム支持部(11)に対して前記センターブーム(14)を車両左右方向に振り子状に揺動可能に支持する吊り下げ部材(15)と、
前記センターブーム(14)の長手方向中央に長手方向に沿って設けられ、前記センターブーム(14)と車両左右方向とが平行となるようにロックするためのロックシリンダ(21,31,41)と、を備え、
前記ロックシリンダ(21,31,41)は、
単一のシリンダチューブ(22)と、
前記シリンダチューブ(22)内に配置され、前記シリンダチューブ(22)の長手方向に沿い互いに反対方向を向くように配置された各々のピストンロッド(23)と、を備え、
前記ピストンロッド(23)は作動時に同時に反対方向へ伸縮し、
前記ピストンロッド(23)のピストンヘッド(26)が前記センターブーム支持部(11)にそれぞれ当接するまで伸長することにより、前記センターブーム(14)と車両左右方向とが平行となり前記センターブーム(14)がロックされることを特徴とするブームスプレーヤ(100)。
【請求項2】
前記センターブーム支持部(11)は、車両左右方向に一対が設けられ車両上下方向に延びると共に、前記吊り下げ部材(15)の上部を回動可能に支持する縦部材(12)をそれぞれ備え、
前記ロックシリンダ(21,31,41)の前記ピストンロッド(23)が各々伸長し、前記縦部材(12)の下部にそれぞれ当接し前記センターブーム(14)と車両左右方向とが平行となることを特徴とする請求項1記載のブームスプレーヤ(100)。
【請求項3】
前記シリンダチューブ(22)には、前記ピストンロッド(23)の対向する後端部(27,27)同士の間に設けられ、前記ピストンロッド(23)を同時に伸長/縮退させるための作動油の供油/排油スペース(S)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のブームスプレーヤ(100)。
【請求項4】
前記ロックシリンダ(21,31,41)は、前記ピストンロッド(23)の縮退を規制する移動規制手段(24,30,40)を有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のブームスプレーヤ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液散布を行うブームスプレーヤとして、以下の特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載のブームスプレーヤでは、車両前部に昇降装置としての4節リンク装置を備え、4節リンク装置の前側リンクに前部フレームが連結されている。前部フレームにおいて車両左右方向両側には、上下方向に延びる縦部材がそれぞれ固定され、車両左右方向一方側の縦部材の上部には、リンクロッドの一端が回動可能に連結されている。また、車両左右方向他方側の縦部材の上部には、傾斜シリンダの固定子が回動可能に連結されている。車両前方には車両左右方向に延びるセンターブームが配置され、リンクロッドの他端は、センターブームの中央部の車両左右方向一方側に回動可能に連結されている。傾斜シリンダの移動子は、センターブームの中央部の車両左右方向他方側に回動可能に連結され、リンクロッド及び傾斜シリンダにより車両前後方向視においてハの字が形成されている。すなわち、上辺を構成する前部フレームの上部、斜辺を構成するリンクロッド及び傾斜シリンダ、下辺を構成するセンターブームにより4辺(4節)リンク構造が形成され、センターブームが前部フレームに対して車両左右方向に振り子状に揺動可能に支持されており、4辺リンク構造による水平制御によって、センターブームが重力により水平となるようになっている。この水平状態では、傾斜シリンダの移動子は縮退した位置に位置している。なお、水平とは、地球の重力の方向と直角に交わる方向のことである。
【0003】
このようなブームスプレーヤにあっては、平地(水平圃場)を走行し作業する場合には、車両は傾かず水平で、センターブームは、車両左右方向と平行となり、水平となっている。一方、圃場が傾斜している傾斜圃場の場合には、車両は傾く一方で、センターブームは、重力による水平制御により車両左右方向に揺動し水平となる。この場合には、傾斜シリンダの移動子が伸長され、センターブームは、傾いている車両左右方向と平行となる。この状態で、車両左右方向両側においてセンターブームに沿うようにそれぞれ対向配置され、センターブームに固定子が固定されたロックシリンダの移動子がそれぞれ伸長し、前部フレームの左右の縦部材にそれぞれ当接することにより、センターブームが揺動不能となり、固定(ロック)される。すなわち、傾斜圃場の場合には、傾斜シリンダの移動子の伸長により、センターブームが、傾いている車両の車両左右方向と平行になると共に傾斜圃場と平行となり、振り子によるセンターブームの水平制御がロックシリンダによりロック(停止)されることによって、センターブームが農地や作物に接触しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、引用文献1のブームスプレーヤにおいては、センターブームの水平制御をロックし、センターブームが車両左右方向と平行な状態に固定するのに、車両左右方向に一対のロックシリンダが必要であり、高コスト化すると共に、大きなスペースが必要であった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、低コスト化が図られると共に、スペースを削減できコンパクトな設計が可能なブームスプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるブームスプレーヤ(100)は、車両(1)の前側又は後側に配置されて車両左右方向に延び薬液を散布可能なセンターブーム(14)と、車両(1)に連結されセンターブーム(14)を支持するためのセンターブーム支持部(11)と、車両左右方向に一対が設けられ、その上部がセンターブーム支持部(11)に回動可能に連結されると共に、その下部がセンターブーム(14)に回動可能に連結され、センターブーム(14)が重力により水平となるようにセンターブーム支持部(11)に対してセンターブーム(14)を車両左右方向に振り子状に揺動可能に支持する吊り下げ部材(15)と、センターブーム(14)の長手方向中央に長手方向に沿って設けられ、センターブーム(14)と車両左右方向とが平行となるようにロックするためのロックシリンダ(21,31,41)と、を備え、ロックシリンダ(21,31,41)は、単一のシリンダチューブ(22)と、シリンダチューブ(22)内に配置され、シリンダチューブ(22)の長手方向に沿い互いに反対方向を向くように配置された各々のピストンロッド(23)と、を備え、ピストンロッド(23)は作動時に同時に反対方向へ伸縮し、ピストンロッド(23)のピストンヘッド(26)がセンターブーム支持部(11)にそれぞれ当接するまで伸長することにより、センターブーム(11)と車両左右方向とが平行となりセンターブーム(14)がロックされることを特徴としている。
【0008】
このようなブームスプレーヤ(100)によれば、例えば傾斜圃場等において、車両(1)が傾く一方で、センターブーム(14)が、重力による水平制御により車両左右方向に振り子状に揺動し水平になろうとすると、センターブーム(14)の長手方向中央に長手方向に沿って設けられ単一のシリンダチューブ(22)を備えたロックシリンダ(21)が作動し、シリンダチューブ(22)内に互いに反対方向を向くように配置されたピストンロッド(23)が同時に伸長し、ピストンヘッド(26)が、センターブーム支持部(11)にそれぞれ当接することによって、センターブーム(14)と車両左右方向とが平行となりセンターブーム(14)がロックされる。このように、振り子によるセンターブーム(14)の水平制御のロックを、単一のロックシリンダ(21)により行うことができるため、従来技術に比してシリンダの個数を低減でき、低コスト化が図られると共に、スペースが削減されコンパクトな設計が可能となる。
【0009】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、センターブーム支持部(11)は、車両左右方向に一対が設けられ車両上下方向に延びると共に、吊り下げ部材(15)の上部を回動可能に支持する縦部材(12)をそれぞれ備え、ロックシリンダ(21,31,41)のピストンロッド(23)が各々伸長し、縦部材(12)の下部にそれぞれ当接しセンターブーム(14)と車両左右方向とが平行となる構成が挙げられる。
【0010】
また、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、シリンダチューブ(22)には、ピストンロッド(23)の対向する後端部(27,27)同士の間に設けられ、ピストンロッド(23)を同時に伸長/縮退させるための作動油の供油/排油スペース(S)が設けられている構成が挙げられる。
(100)。
【0011】
また、ロックシリンダ(21,31,41)は、ピストンロッド(23)の縮退を規制する移動規制手段(24,30,40)を有していると、ピストンロッド(23)の縮退を確実に規制できると共に、ピストンロッド(23)の対向する後端部(27,27)同士の間に、作動油の供油/排油スペースを確保できる。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、低コスト化が図られると共に、スペースが削減されコンパクトな設計が可能なブームスプレーヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るブームスプレーヤを前方斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】
図1中の水平制御装置を拡大して示す斜視図である。
【
図4】
図3に示す水平制御装置及びロックシリンダの背面図である。
【
図5】
図1に示すブームスプレーヤが、車両右側が低く左側が高い傾斜圃場に位置したときの水平制御装置及びロックシリンダの背面図である。
【
図6】
図1に示すブームスプレーヤが、車両右側が高く左側が低い傾斜圃場に位置したときの水平制御装置及びロックシリンダの背面図である。
【
図7】
図4中のロックシリンダを示す縦断面図である。
【
図8】ロックシリンダの他の例を示す縦断面図である。
【
図9】ロックシリンダのさらに他の例を示す縦断面図である。断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るブームスプレーヤの好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るブームスプレーヤを前方斜め上方から見た斜視図、
図2は、
図1中の水平制御装置を拡大して示す斜視図、
図3は、水平制御装置の正面図、
図4は、水平制御装置及びロックシリンダの背面図、
図5は、ブームスプレーヤが、車両右側が低く左側が高い傾斜圃場に位置したときの水平制御装置及びロックシリンダの背面図、
図6は、ブームスプレーヤが、車両右側が高く左側が低い傾斜圃場に位置したときの水平制御装置及びロックシリンダの背面図、
図7は、ロックシリンダを示す縦断面図である。本実施形態のブームスプレーヤは、例えば圃場において走行しながら、例えば農薬等の薬液を散布するものである。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、ブームスプレーヤを基準とした方向とする。
【0015】
図1に示すように、ブームスプレーヤ100は自走式であり、走行可能な車両1と、車両1から薬液を散布するためのブーム装置2と、を備えている。
【0016】
車両1の前部には、作業者が着座する空間を形成しハンドル3による運転操作や薬液散布操作等を行うための運転席4が設けられている。車両1の後部には、エンジンを収容するエンジンルーム5が設けられている。運転席4とエンジンルーム5との間には、ブーム装置2から散布される薬液を収容する薬液タンク6が搭載されている。車両1は、一対の前輪7と、一対の後輪8と、を備えている。前輪7、後輪8は、エンジンの駆動により回転する。本実施形態では4輪駆動のため、前輪7及び後輪8が回転するが、前輪駆動、後輪駆動であっても良い。
【0017】
車両1の運転席4より前方には、車両左右方向に対をなす4節リンク機構9が前方に延びるようにそれぞれ配設されている。上記ブーム装置2は、4節リンク機構9を介して車両1に支持されている。この4節リンク機構9が、電動油圧シリンダ(アクチュエータ)10の伸縮動作により作動することによって、4節リンク機構9の前側に連結されたセンターブーム支持部としての前部フレーム11が上下動する。
【0018】
前部フレーム11は、
図1~
図3に示すように、車両左右方向に一対が設けられ、車両上下方向に延びる縦部材12と、車両上下方向に離間配置され、縦部材12,12同士の上部及び下部をそれぞれ連結する横部材13と、を備えている。縦部材12は、4節リンク機構9を構成する前側リンクをさらに車両上方へ延ばして構成されている。なお、ここでは、縦部材12と前側リンクを兼用としているが、別部材としても良い。
【0019】
ブーム装置2は、4節リンク機構9に連結された上記前部フレーム11と、車両左右方向に延びるセンターブーム14と、車両左右方向に一対が設けられ、前部フレーム11とセンターブーム14とを連結する車両左右方向一対の吊り下げ部材15と、
図1に示すように、センターブーム14の両端に回動可能に連結された一対のサイドブーム16と、を備えている。
【0020】
センターブーム14及びサイドブーム16には、それぞれノズルパイプ17が取り付けられており、各ノズルパイプ17には、薬液噴霧用のノズル18が長手方向に沿って複数設けられている。サイドブーム16は、薬液散布を行うときには、
図1に示す状態からセンターブーム14に対して一直線状となるように広げられる。そして、エンジンの駆動により走行しながら薬液圧送ポンプが駆動され、薬液タンク6の薬液は、センターブーム14及びサイドブーム16のノズルパイプ17を介してノズル18から噴霧される。サイドブーム16は、薬液散布を行わないときには
図1に示すように折り畳まれ、車両1の側方位置において斜め後ろ上がりの状態で格納される。
【0021】
センターブーム14は、
図1~
図3に示すように、前述した前部フレーム11より車両前側へ配置されると共に上側の横部材13より下方に位置している。吊り下げ部材15は、その上部が縦部材12の前側上部に回動可能に連結されると共に、その下部がセンターブーム14の上部に回動可能に連結され、車両前後方向視においてハの字を呈している。
【0022】
そして、一対の縦部材12、一対の吊り下げ部材15及びセンターブーム14により4節リンク機構が構成されており、センターブーム14が重力により水平となるように、センターブーム14が吊り下げ部材15を介して縦部材12に対し車両左右方向に振り子状に揺動可能に支持されている。すなわち、一対の縦部材12、一対の吊り下げ部材15及びセンターブーム14により、センターブーム14を水平にする水平制御装置が構成されている。ここで、水平とは、地球の重力の方向と直角に交わる方向のことである。
【0023】
なお、水平制御装置にあっては、
図2及び
図3に示すように、センターブーム14の長手方向略中央の上部に、起立部材19が立設され、この起立部材19は、上側の横部材13と、この横部材13に対して車両前方へ離間し且つ平行をなすように固定された規制部材20との間に、挟まれるように配置されており、これにより、起立部材19の車両前後方向の移動が規制され、センターブーム14の車両前後方向の移動が規制されている。
【0024】
また、センターブーム14の背面には、
図2及び
図4に示すように、センターブーム14の長手方向中央の位置に長手方向に沿うようにして、センターブーム14と車両左右方向とが平行となるようにロックするためのロックシリンダ21が設けられている。
【0025】
ロックシリンダ21は、
図7に示すように、単一の長尺なシリンダチューブ22と、シリンダチューブ22内に配置され、シリンダチューブ22の長手方向に沿い互いに反対方向を向くように配置された各々のピストンロッド23と、を備えている。
【0026】
シリンダチューブ22内は長手方向中央に設けられた隔壁24により、長手方向両側のシリンダ室25に分けられ、各シリンダ室25にピストンロッド23が反対方向を向くように配置されると共に、ピストンヘッド26がシリンダチューブ22の左右端部から突出するように設けられている。ピストンロッド23は、その後端部寄りの部分がシリンダ室25を摺動するように大径部とされ、後端部27の中央が後方へ短尺に突出する形状とされている。
【0027】
シリンダチューブ22の長手方向中央の隔壁24及びシリンダチューブ22の長手方向両端部には、各シリンダ室25へ作動油を給油/排油するためのポート28,29がそれぞれ設けられている。隔壁24には、長手方向中央のポート28から垂下してからシリンダチューブ22の長手方向両側へ延び、それぞれの端部がシリンダチューブ22の長手方向両側のシリンダ室25へ連通する流路Sが設けられている。この流路Sが、ピストンロッド23の対向する後端部27,27同士の間に設けられ(隔壁24に設けられ)、ピストンロッド23を同時に伸長/縮退させるための作動油の供油/排油スペースとされている。そして、隔壁24が、ピストンロッド23の縮退時に当接し当該ピストンロッド23の縮退を規制する移動規制手段を構成している。
【0028】
このように構成されたブームスプレーヤ100によれば、水平農地であって、走行面のみが傾斜している傾斜面を車両1が走行・作業する場合、車両1は傾く一方で、水平制御装置の働きによって、センターブーム14は、重力により車両左右方向に揺動して水平となる。すなわち、センターブーム14は、車両左右方向とは平行にならずに水平となり、センターブーム14及びサイドブーム16が水平な農地や作物に接触することはない。一方、走行面が水平面の場合には、車両1は傾かず、センターブーム14は、車両左右方向と平行となり、水平となる。
【0029】
一方、ブームスプレーヤ100が、車両右側が低く左側が高い傾斜圃場に位置すると、車両1が車両左右方向右側を下側にして傾き、
図5に示すように、縦部材12及び横部材13が鉛直方向から車両左右方向右側へ傾く一方で、センターブーム14は水平となるように反時計回りに揺動する。すると、例えば運転手によるスイッチ操作やセンサーの検知等により、ロックシリンダ21が作動を開始する。すなわち、
図7に示すように、長手方向中央のポート28へ作動油が給油されると共にシリンダチューブ22の長手方向両端部のポート29,29からそれぞれ排油されることにより、ピストンロッド23が反対方向へ同時に伸長し、
図4に示すように、それぞれのピストンヘッド26が縦部材12の下部に当接するまで伸長することになって、センターブーム14と車両左右方向とが平行となりセンターブーム14がロックされる。
【0030】
また、ブームスプレーヤ100が、車両右側が高く左側が低い傾斜圃場に位置すると、車両1が車両左右方向左側を下側にして傾き、
図6に示すように、縦部材12及び横部材13が鉛直方向から車両左右方向左側へ傾く一方で、センターブーム14は水平となるように時計回りに揺動する。すると、例えば運転手によるスイッチ操作やセンサーの検知等により、ロックシリンダ21が作動を開始する。すなわち、
図7に示すように、シリンダチューブ22の長手方向中央のポート28へ作動油が給油されると共にシリンダチューブ22の長手方向両端部のポート29,29からそれぞれ排油されることにより、ピストンロッド23が反対方向へ同時に伸長し、
図4に示すように、それぞれのピストンヘッド26が縦部材12の下部に当接するまで伸長することになって、センターブーム14と車両左右方向とが平行となりセンターブーム14がロックされる。
【0031】
すなわち、例えば全体が傾斜する傾斜圃場にあっては、車両1が傾いても、単一のロックシリンダ21により、センターブーム14と車両左右方向とが平行となるようにセンターブーム14がロックされるため、センターブーム14と車両左右方向とが平行となり、センターブーム14及びサイドブーム16が農地や作物に接触しないようになっている。
【0032】
また、車両1が水平圃場に至ったら、
図7に示すように、シリンダチューブ22の長手方向両端部のポート29,29へ作動油がそれぞれ給油されると共にシリンダチューブ22の長手方向中央のポート28から排油される。すると、ピストンロッド23が反対方向(中央方向)へ同時に縮退し、ピストンロッド23の後端部27が、それぞれ長手方向中央の隔壁24に当接することにより、それぞれのピストンロッド23の縮退が規制される。これにより、センターブーム14の水平制御のロックが解除され、センターブーム14は、重力により車両左右方向に揺動して水平となる。
【0033】
このように、本実施形態においては、例えば傾斜圃場等において、車両1が傾く一方で、センターブーム14が、重力による水平制御により車両左右方向に振り子状に揺動し水平になろうとすると、センターブーム14の長手方向中央に長手方向に沿って設けられ単一のシリンダチューブ22を備えたロックシリンダ21が作動し、シリンダチューブ22内に互いに反対方向を向くように配置されたピストンロッド23が同時に伸長し、ピストンヘッド26が、前部フレーム11の縦部材12にそれぞれ当接することによって、センターブーム14と車両左右方向とが平行となりセンターブーム14がロックされるため、振り子によるセンターブーム14の水平制御のロックを、単一のロックシリンダ21により行うことができる。このため、従来技術に比してシリンダの個数を低減でき、低コスト化が図られると共に、スペースが削減されコンパクトな設計が可能となる。
【0034】
また、ロックシリンダ21は、ピストンロッド23の縮退を規制する隔壁24を有しているため、ピストンロッド23の縮退を確実に規制できると共に、ピストンロッド23の対向する後端部27,27同士の間に、作動油の供油/排油スペースとしての流路Sを確保できる。
【0035】
なお、車両左右方向右側(左側でも可)の吊り下げ部材15を、図示のようにピストンロッドが伸縮可能な傾斜シリンダとし、センターブーム14の傾斜角度を変更可能な構成とするのが好ましい。
【0036】
図8は、ロックシリンダの他の例を示す縦断面図である。このロックシリンダ31にあっては、隔壁24に代えて、円環状のリテーナ30が、各ピストンロッド23の縮退をそれぞれ規制する移動規制手段として用いられている。このリテーナ30は、各ピストンロッド23の縮退時に各ピストンロッド23の大径部の後端面周縁部に当接するようにシリンダ室25にそれぞれ設けられている。そして、ピストンロッド23の後端部27,27同士の間に、作動油の供油/排油スペースSが形成されている。
【0037】
このようなロックシリンダ31によれば、ピストンロッド23の縮退を規制するリテーナ30を有しているため、ピストンロッド23の縮退を確実に規制できると共に、ピストンロッド23の対向する後端部27,27同士の間に、作動油の供油/排油スペースSを確保できる。
【0038】
図9は、ロックシリンダのさらに他の例を示す縦断面図である。このロックシリンダ41にあっては、隔壁24に代えて、筒状のストッパ40が、ピストンロッド23の縮退をそれぞれ規制する移動規制手段として用いられている。このストッパ40は、各ピストンヘッド26の裏面に設けられると共に、各ピストンロッド23の縮退時にシリンダチューブ22の端面にそれぞれ当接するように設けられている。そして、ピストンロッド23の後端部27,27同士の間に、作動油の供油/排油スペースSが形成されている。
【0039】
このようなロックシリンダ41によれば、ピストンロッド23の縮退を規制するストッパ40を有しているため、ピストンロッド23の縮退を確実に規制できると共に、ピストンロッド23の対向する後端部27,27同士の間に、作動油の供油/排油スペースSを確保できる。
【0040】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、ロックシリンダ21,31,41を油圧としているが、流体シリンダであれば良い。
【0041】
また、上記実施形態においては、自走式のブームスプレーヤ100に対する適用を述べているが、例えばトラクタ等の車両に牽引される牽引式のブームスプレーヤに対しても適用でき、また、例えばトラクタ等の車両に搭載される搭載式のブームスプレーヤに対しても適用できる。これらの場合には、センターブーム14は車両の後側に配置される。
【符号の説明】
【0042】
1…車両、11…前部フレーム(センターブーム支持部)、12…縦部材、14…センターブーム、15…吊り下げ部材、21,31,41…ロックシリンダ、22…シリンダチューブ、23…ピストンロッド、24…隔壁(移動規制手段)、26…ピストンヘッド、27…後端部、30…リテーナ(移動規制手段)、40…ストッパ(移動規制手段)、100…ブームスプレーヤ、S…供油/排油スペース(流路)。