IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7366015車両の快適性を適合させる方法、調整装置および車両
<>
  • 特許-車両の快適性を適合させる方法、調整装置および車両 図1
  • 特許-車両の快適性を適合させる方法、調整装置および車両 図2
  • 特許-車両の快適性を適合させる方法、調整装置および車両 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】車両の快適性を適合させる方法、調整装置および車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/08 20120101AFI20231013BHJP
   B60R 16/037 20060101ALI20231013BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20231013BHJP
   B60W 50/16 20200101ALI20231013BHJP
【FI】
B60W40/08
B60R16/037
B60W50/14
B60W50/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020524498
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2018073839
(87)【国際公開番号】W WO2019086157
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】102017219585.1
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ダウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルカー ワグナー
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/197068(WO,A1)
【文献】特開2004-299570(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0120149(US,A1)
【文献】特開2017-021651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60R 16/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の快適性を少なくとも1人の車両ユーザ(2)のために適合させる方法(V)であって、前記車両(1)は、
前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)と前記車両(1)との間の相互作用のためのHMIシステム(3)と、
前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)の位置を道路に対して適合させるシャーシシステム(4)と、
前記車両(1)の動きを計画および調整する(105)位置計画装置(5)と、
前記HMIシステム(3)、前記位置計画装置(5)、および前記シャーシシステム(4)と接続され、メモリを備える調整装置(6)と、を備え、
前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)のための目標快適領域(101)を、前記調整装置(6)の前記メモリに記憶させ、
前記HMIシステム(3)を用いて、前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)の現在の快適領域(102)を常に決定し、
前記現在の快適領域(102)を、前記目標快適領域(101)と常に比較(103)し、
前記調整装置(6)は、比較結果に基づいて前記シャーシシステム(4)を作動させ、前記目標快適領域(101)に到達するまで、前記現在の快適領域(102)が前記目標快適領域(101)に近づくように、前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)の位置を道路に対して適合させ、
前記HMIシステム(3)は、前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)の注意深さの程度を決定し、前記注意深さの程度は、現在の快適領域(102)と関連している、方法(V)。
【請求項2】
請求項1に記載の方法(V)であって、前記調整装置(6)は、比較結果に基づいて、前記シャーシシステム(4)を作動させることに加えて、前記HMIシステム(3)を作動させ、前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)に、前記車両(1)の前記位置計画装置(5)の現在の動きのデータを、前記HMIシステム(3)を用いて通信し、それによって、前記目標快適領域(101)に到達するまで、現在の快適領域(102)が前記目標快適領域(101)に近づくことを特徴とする、方法(V)。
【請求項3】
請求項2に記載の方法(V)であって、前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)に、前記車両(1)の前記位置計画装置(5)の将来の動きのデータを、前記HMIシステム(3)を用いて通信することを特徴とする、方法(V)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の方法(V)であって、前記車両(1)は、前記調整装置(6)と接続されたインテリアシステム(7)を備え、前記調整装置(6)は、追加的に、前記車両(1)の前記インテリアシステム(7)を作動させ、前記目標快適領域(101)に到達するまで、現在の快適領域(102)が前記目標快適領域(101)に近づくように、前記インテリアシステム(7)を適合させることを特徴とする、方法(V)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の方法(V)であって、前記位置計画装置(5)は、動きのデータの一部として、前記車両(1)の軌道を計画し、前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)に、これらの軌道を、前記HMIシステム(3)を用いて通信することを特徴とする、方法(V)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の方法(V)であって、前記調整装置(6)は、追加的に、前記位置計画装置(5)を作動させ、前記目標快適領域(101)に到達するまで、現在の快適領域(102)が前記目標快適領域(101)に近づくように、前記車両(1)の動きの計画(105)を適合させることを特徴とする、方法(V)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の方法(V)であって、前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)の現在の快適領域(102)を、前記HMIシステム(3)を用いて検出したバイタルパラメータに基づいて決定することを特徴とする、方法(V)。
【請求項8】
請求項2~7の何れか一項に記載の方法(V)であって、前記HMIシステム(3)は、前記少なくとも1人の車両ユーザ(2)と光学的および/または音響的および/または触覚的に通信することを特徴とする、方法(V)。
【請求項9】
車両(1)のための調整装置(6)であって、前記車両(1)のHMIシステム(3)、シャーシシステム(4)、および位置計画装置(5)と接続可能であり、前記調整装置は(6)は、請求項1~8の何れか一項に記載の、前記車両(1)の快適性を少なくとも1人の車両ユーザ(2)のために適合させる方法(V)を実行することを特徴とする、調整装置(6)。
【請求項10】
請求項9に記載の調整装置(6)であって、前記調整装置(6)はインテリアシステム(7)と接続可能であることを特徴とする、調整装置(6)。
【請求項11】
少なくとも1人の車両ユーザ(2)のための車両(1)であって、HMIシステム(3)と、シャーシシステム(4)と、位置計画装置(5)と、を備え、前記車両(1)は請求項9に記載の調整装置(6)を備え、前記車両(1)が、請求項1~8の何れか一項に記載の、快適性を少なくとも1人の車両ユーザ(2)のために適合させる方法(V)を実行することを特徴とする、車両(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の車両(1)であって、追加的にインテリアシステム(7)を備えることを特徴とする、車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有する車両の快適性を適合させる方法、請求項10に記載の特徴を有する車両のための調整装置、および請求項12に記載の特徴を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通における運転業務の自動化が増加するにつれて、運転者は車両をコントロールすることが少なくなって、乗客となる。これにより、運転者は、例えば読書、作業、睡眠などの副次的行為を車両内で行うことができる。人間の前庭による平衡感覚と視覚による感覚が一致しない場合、これが、快適性が欠ける原因、特に乗り物酔い(Reisekrankheit; Kinetose)の原因となる可能性がある。車両内での車両ユーザの副次的行為のために、車両ユーザは周囲を全体的に認識することができない。その結果、車両ユーザが、車両の現在の動きを評価することができず、車両の将来の動きも予測することができない。
【0003】
車両における乗り物酔いを抑制するシステムは、ドイツ実用新案出願公開第20116469 U1号明細書から知られている。システムは、車両加速度および/または車両速度および/または車間距離を検出する少なくとも1つのセンサを備える。さらに、システムは、少なくとも1つの制御装置、および車両室内に存在する少なくとも1つの表示装置を備える。制御装置は、センサの情報、またはセンサから走行状況を算出し、表示装置を用いてこれを表示する。
【0004】
ドイツ特許出願公開第10 2014 210 170 A1号明細書からは、自動車の乗り物酔いを抑制する方法が既知である。検出された、または予測可能な走行状況に応じて、可聴信号、可視信号、および/または触覚信号が車両乗員に送信される。触覚信号は気流として形成される。
【0005】
ドイツ特許第10156219 C1号明細書からは、交通手段および輸送手段の乗客の動揺病(kinetosis)の症状を低減する方法および装置が既知である。走行中、光学式再生装置を介して、乗客のために画像信号が提供される。乗客にとって、目にする画像の視覚的な印象が、現在主観的に知覚する位置の値および動きの値と関連するように、走行に特定される動きのデータに応じて画像信号が変更される。
【0006】
ドイツ特許出願公開第102014013585 A1号明細書からは、ルートを走行する際の車両の挙動をコントロールする方法が既知である。車両のための傾斜技術を実施するために、車両の車体軸の周りの少なくとも1つの傾斜角が影響を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】ドイツ実用新案出願公開第20116469 U1号
【文献】ドイツ特許出願公開第10 2014 210 170 A1号
【文献】ドイツ特許第10156219 C1号
【文献】ドイツ特許出願公開第102014013585 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術を鑑みて、本発明の課題は、車両ユーザの快適性を向上させる改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を鑑みて、本発明は、請求項1に記載の車両の快適性を適合させる方法、請求項10に記載の車両のための調整装置、および請求項12に記載の車両を提案する。さらなる有利な実施形態および発展形態は、従属請求項から明らかである。
【0010】
車両の快適性を少なくとも1人の車両ユーザのために適合させる方法を実行するために、車両は、少なくとも1人の車両ユーザと車両との間の相互作用のためのHMIシステムを備える。さらに、車両は、少なくとも1人の車両ユーザの位置を道路に対して適合させるシャーシシステムを備える。さらに、車両は、車両の動きを計画および調整する位置計画装置を備える。またさらに、車両は、HMIシステム、位置計画装置、およびシャーシシステムと接続された調整装置を備える。調整装置はメモリを備える。
【0011】
この方法では、少なくとも1人の車両ユーザのための目標快適領域は、調整装置のメモリに記憶されている。HMIシステムを用いて、少なくとも1人の車両ユーザの現在の快適領域を常に決定する。現在の快適領域を、目標快適領域と常に比較する。調整装置は、比較結果に基づいてシャーシシステムを作動させる。その際、目標快適領域に到達するまで、現在の快適領域が目標快適領域に近づくように、少なくとも1人の車両ユーザの位置を道路に対して適合させる。
【0012】
車両は、自動車、商用車、または同様の車両である。車両は、自律的に、または自動化されて走行することができる。これは、車両が、特定の状況において、または常に、もはや運転者を必要としないことを意味する。車両は、交通状況を自動で検出し、評価し、適切に反応することができる。還元すると、車両が車両自体を制御するのである。運転者は車両ユーザとなる。車両ユーザは、走行中に道路交通に集中する必要がなく、運転者の注意を道路から離して他の活動に向けることができる。さらに、車両ユーザはその手を、ステアリングホイール等から離すことができる。したがって、車両は、例えば、運転自動化レベル3、レベル4、またはレベル5を示すことができる。
【0013】
この方法は、少なくとも1人のために使用される。もちろん、複数の車両ユーザが車両を共有することも可能である。この場合、方法は車両ユーザの各々に対して使用される。車両ユーザが複数である際には、例えば、平均快適領域を、すべての車両ユーザのために目標快適領域として選択することができる。代替的に、個々の車両ユーザの目標快適領域を、例えば現在の快適領域が最も少ない車両ユーザの目標快適領域を、すべての車両ユーザのための目標快適領域として設定することができる。
【0014】
HMIシステムは、少なくとも1人の車両ユーザと車両との間の相互作用のために備えられている。これは、車両ユーザが、HMIシステムを用いて、データおよび情報を、車両に、より正確には車両のサブシステムに伝達可能であることを意味する。同様に、車両ユーザは、HMIシステムを用いて、車両から、より正確には車両のサブシステムから、データおよび情報を受信することができる。つまり、HMIシステムは、車両ユーザと車両との間を通信する役割を果たす。この場合、サブシステムとは、車両において機能を実行する個々の車両システムである。例えばサブシステムとして、空調装置、エンタテインメントシステム、シャーシシステム等が挙げられる。
【0015】
HMIシステムは、この場合、少なくとも1つの出力装置と、少なくとも1つの入力装置と、を備える。入力装置は、情報およびデータを車両ユーザから受信する役割を果たす。出力装置は、情報およびデータを車両ユーザに対して出力する役割を果たす。入力装置は、例として車両ユーザを監視すする室内カメラが挙げられる、光学センサとして構成することができる。これに対して代替的に、または追加的に、入力装置をタッチスクリーンとして構成することができる。この場合、車両ユーザは、タッチスクリーンを介してデータを入力できる。これに対して代替的に、または追加的に、入力装置を音響センサとして構成することができる。この場合、車両ユーザは口頭でデータを入力可能であり、またはノイズを検出することができる。これに対して代替的に、または追加的に、入力装置をバイタリティセンサシステムとして構成することができる。その際、車両ユーザの1つ以上のバイタルパラメータが監視される。HMIシステムは、決定したデータまたは受信したデータを、HMIシステム自体で評価してよく、またはこれらのデータを、評価を引き継ぐ調整装置6に転送することができる。
【0016】
シャーシシステムは、少なくとも1人の車両ユーザの位置を道路に対して適合させる役割を果たす。この場合、車両は道路上を移動する。シャーシシステムは、車両の長手方向軸線、横方向軸線、および垂直軸線を中心とする車両ユーザの傾斜、傾斜速度、および傾斜加速度を調整することができる。長手方向軸線は車両の長手方向を画定する。横方向軸線は車両の横方向を画定する。そして垂直軸線は車両の垂直方向を画定する。この目的のために、シャーシシステムは、適応型シャーシもしくは適応型キャブマウント、または両方の組み合わせを備えることができる。さらに、シャーシシステムは、これに対して追加的に、または代替的に、例えばアクティブな後軸操舵装置を備えることができる。「適応型」とは、適合させることができるという意味で理解される。換言すると、シャーシシステムは、例えば傾斜するテクニックを有する。さらに、シャーシシステムは、車両サスペンションおよび車両ダンピングを調整することができる。この目的のために、シャーシシステムは、適応型のサスペンションおよびダンピング装置を備えることができる。シャーシシステムは、現在の傾斜および現在のダンピングを決定するセンサを装備されてよい。これらの傾斜データおよびダンピングデータは、センサ自体によって評価されるか、または傾斜データおよびダンピングデータを評価する調整装置へ転送されてよい。
【0017】
位置計画装置は、車両の動きを計画および調整するために備えられている。この計画は、効率パラメータ、安全性パラメータ、および快適性パラメータに基づくものである。計画は、アルゴリズムを用いて実行される。位置計画装置は、ルート全体を走行する間に実行されなければならない運転操作に関して、車両の動きを計画する。運転操作の計画は、例えば、車両速度、曲率半径、車両加速度の計画、したがって軌道の計画を含む。この場合、軌道とは、速度プロフィールを有する車両がその上を動く、湾曲経路である。これに対して追加的に、位置計画装置は、ルート全体に関して車両の動きを計画することができる、つまり走行経路を設定することができる。このために、位置計画装置は、例えばGPSシステム、C2Xシステム、または類似のシステム等の、位置決定システムを備える。位置計画装置は、車両の動きに関するデータを調整装置に転送する。
【0018】
車両は、HMIシステム、位置計画装置、およびシャーシシステムと接続された調整装置を備える。調整装置はメモリを備える。もちろん、調整装置は更なる車両システムまたはサブシステムと接続されてよい。メモリは、データメモリである。調整装置は、例えば、ECUまたはドメインECUとして形成されている。データ交換は、調整装置、HMIシステム、シャーシシステム、および位置計画装置の間で行うことができる。換言すれば、調整装置は、HMIシステムから、シャーシシステムから、および位置計画システムからデータを受信することができる。さらに、調整装置は、HMIシステム、シャーシシステム、および位置計画システムを作動させることができる。調整装置は、シャーシシステムが、少なくとも1人の車両ユーザの位置を道路に対して適合させるように、作動させることができる。調整装置は、HMIシステムが、少なくとも1人の車両ユーザに、例えば車両の軌道に関する情報を通信し、また少なくとも1人の車両ユーザを監視するように、HMIシステムを作動させることができる。調整装置は、位置計画システムが車両の動きを所定の方法で計画し、例えば狭い曲率半径かつ高速での俊敏な運転操作が実行されるように、位置計画システムを作動させることができる。所定の運転操作のパラメータは、調整装置のメモリに記憶されている。これらのパラメータは、例えば車両速度、車両加速度、操舵角、車両の傾斜等とすることができる。
【0019】
少なくとも1人の車両ユーザのための目標快適領域は、調整装置のメモリに記憶されている。この目標快適領域は、少なくとも1人の車両ユーザの視覚的な印象が、体験可能な車両のドライビングダイナミクスと一致する快適領域である。さらに、少なくとも1人の車両ユーザは、この目標快適領域において、発生するドライビングダイナミクスに関して十分に高い予想能力を有する。この目標快適領域の更なる特性は、車両内の少なくとも1人の車両ユーザの安心感が、十分に高いことである。車両の走行スタイルは、少なくとも1人の車両ユーザに、不快感または不安な状態を引き起こさせない。この目標快適領域において、車両ユーザは、例えば、快適さを感じ、かつ動揺の兆候がない。例えば、車両ユーザは、この目標快適領域において動揺病の兆候を有さず、ストレスを受けない。車両ユーザのバイタルパラメータは、リラックスした状態に適合する領域にある。
【0020】
例えば、少なくとも1人の車両ユーザは、自分の好適な目標快適領域を自身で設定し、それをメモリに保存することができる。これに対して代替的に、目標快適領域を、例えば、十分に大きな試験グループのための統計的評価を用いて設定された一般的な目標快適領域として、メモリに記憶させることができる。さらに、これに対して代替的に、HMIシステムを用いて、校正フェーズの目標快適領域を決定することができる。目標快適領域は、走行状況または追及される副次的行為に応じて、変化しない。これは、目標快適領域が常に同一であることを意味する。
【0021】
HMIシステムを用いて、少なくとも1人の車両ユーザの快適性を適合させる方法を実行する間に、少なくとも1人の車両ユーザの現在の快適領域を常に決定する。これは、少なくとも1人の車両ユーザが車両内にいる限り、すなわち車両の全走行中に、現在の快適領域を中断無く決定することを意味する。HMIシステムは、その入力装置を使用して現在の快適領域を決定する。例えば、少なくとも1人の車両ユーザは、光学センサ、音響センサ、および/またはバイタリティセンサによって監視される。これに対して代替的に、または追加的に、少なくとも1人の車両ユーザは、自分の現在の快適領域を手動で入力することができる。つまり、車両ユーザの状態が監視される。
【0022】
続いて、現在の快適領域を目標快適領域と常に比較する。常に比較するとは、調整ループが作動中であることを意味する。現在の快適領域を絶えず決定し、現在の快適領域が目標快適領域から逸脱する場合、調整装置を用いて調整を行う。その際、調整装置は、目標快適領域に到達するまで、現在の快適領域が目標快適領域に近づくように、少なくとも1人の車両ユーザの位置を道路に対して変更すべく、シャーシシステムを作動させる。現在の車両ユーザの快適領域が目標快適領域と同一になるまで、少なくとも1人の車両ユーザの道路に対する位置を変更する。この場合、少なくとも1人の車両ユーザの現在の快適領域を、HMIシステムを用いて、さらに決定する。
【0023】
少なくとも1人の車両ユーザの位置を、道路に対して、例えば、少なくとも1人の車両ユーザに対して遠心力が作用しない、またはわずかな遠心力しか作用しないように変更する。これに対して代替的に、または追加的に、少なくとも1人の車両ユーザが、例えば地面の波うち、またはくぼみ等の車道起伏に全く気づかない、またはほんの僅かに気づくのみであるように、少なくとも1人の車両ユーザの位置を道路に対して変更することができる。これに対して代替的に、または追加的に、加速または制動の際の車両のピッチング運動を補償することができる。その結果、少なくとも1人の車両ユーザに対して、長手方向加速が作用しない、または長手方向加速は僅かに作用するのみである。
【0024】
この方法の利点は、シャーシシステムを、少なくとも1人の車両ユーザの現在の快適領域にのみ応じて作動させ、調整できることである。そのため、各車両ユーザのために、その位置を、個別にその感覚に応じて、道路に対して適合させることができる。こうしたことは、異なる車両ユーザが異なる時点で異なる快適感を有するために、有利である。例えば、現在の快適領域が目標快適領域に近い車両ユーザの位置は、現在の快適領域が目標快適領域から大きく逸脱している車両ユーザの位置ほど、道路に対して強く適合させる必要はない。さらに、例えば、車両の走行イベントを注意深く監視する車両ユーザの位置は、副次的行為に従事している車両ユーザの位置ほど、道路に対して強く適合させる必要はない。
【0025】
一実施形態によれば、調整装置は、比較結果に基づいて、シャーシシステムを作動させることに加えて、HMIシステムを作動させる。少なくとも1人の車両ユーザに、車両の位置計画装置の現在の動きのデータを、HMIシステムを用いて通信し、それによって、目標快適領域に到達するまで、現在の快適領域が目標快適領域に近づく。したがって、少なくとも1人の車両ユーザに、例えば、どの速度、どの加速度、どの勾配角、どの傾斜角、どの曲率半径、および/またはどの進行方向が現在存在するかを通信する。車両ユーザは、走行イベントに追従する必要がなく、車両がどのように動いているかを認識できる。そのため、これが車両ユーザの快適性の向上に寄与する。これによって、少なくとも1人の車両ユーザは、車両のドライビングダイナミクスを予測することができる。
【0026】
通信は、HMIシステムの出力装置を用いて行われる。例えば、これは、音響出力、触覚出力、および/または光学出力、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0027】
更なる実施形態によれば、少なくとも1人の車両ユーザに、車両の位置計画装置の将来の動きのデータを、HMIシステムを用いて通信する。したがって、少なくとも1人の車両ユーザに、将来存在する動きのデータが通信される。例えば、少なくとも1人の車両ユーザに、ルート経過に基づいて、どの速度、どの加速度、どの勾配角、どの傾斜角、どの曲率半径、および/またはどの進行方向が将来存在するかを通信する。この将来の動きのデータは、位置計画装置の計画に基づいて再生される。
【0028】
この場合、いつまでの期間の将来の動きのデータを通信すべきか、例えば、少なくとも1人の車両ユーザが設定することができる。車両ユーザは、例えば、最長5分または最長10分まで、または例えば最長0.5km、1km、または1.5kmまでの動きのデータを現在のものとして、それら動きのデータのみを、車両ユーザが通信して取得するように、指定することができる。これらの数字は、ここでは純粋に例示的なものとして選択されている。
【0029】
更なる実施形態により、調整装置は、追加的に、車両のインテリアシステムを作動させる。インテリアシステムを、目標快適領域に到達するまで、現在の快適領域が目標快適領域に近づくように適合させる。車両は、調整装置と接続されたインテリアシステムを備える。インテリアシステムは、例えば、調整可能な車両シート、車両の空調装置および換気装置、室内照明、エンタテインメントシステム、または車両の室内に配置された更なるシステムを含む。したがって、インテリアシステムは、すべての車両室内システムのための上位概念である。インテリアシステムは、調整装置とインテリアシステムとの間でデータ交換を行うことができるように、調整装置と接続されている。
【0030】
調整装置は、少なくとも1人の車両ユーザの目標快適領域と現在の快適領域との間の比較結果に基づいて、インテリアシステムを作動させ、インテリアシステムにおいて適合を実行する。これらの適合を、少なくとも1人の車両ユーザの現在の快適領域が目標快適領域と一致するまで実行する。これらの適合を、車両ユーザの位置を道路に対して変更することに対して追加的に行う。
【0031】
例えば、車両の室内の空調および換気は、新鮮な空気供給が増加される、および/または室内温度が所望の値、例えば約摂氏21度になるように適合される。これに対して追加的に、または代替的に、例えば、車両シートは、少なくとも1人の車両ユーザが、例えば直立の座位、またはリクライニング位置等の、変化した着座位置をとるように調整される。これに対して追加的に、または代替的に、例えば、車両の室内照明が、例えばほの暗くする、または着色する等して適合される。これに対して追加的に、または代替的に、エンタテインメントシステムがスイッチオン、オフされる。または、所定のメディア(音楽、ビデオ、画像、オーディオブック等)が、快適性を高めるためにアップロードされる。
【0032】
更なる実施形態により、HMIシステムは、少なくとも1人の車両ユーザの注意深さの程度を決定する。注意深さの程度の決定は、運転者の状態監視の一部であり、したがって現在の快適領域の決定の一部である。注意深さの程度は、例えば従来の方法で、例えば少なくとも1人の車両ユーザの目の動きまたは頭の動きに基づいて決定することができる。この場合、例えば、少なくとも1人の車両ユーザが副次的行為に従事しているために気を散らされている、または、車両ユーザは、その目を道路に向けているために、車両の走行イベントを注意深く追っている、等を決定する。さらに、注意深さの程度は、少なくとも1人の車両ユーザの予想能力によって、および安全性の感覚によって、影響される可能性がある。
【0033】
不注意な車両ユーザの場合、走行イベントのその認識と、実際の走行イベントとが、相互に異なる。これが動揺病の原因となる可能性がある。したがって、不注意な車両ユーザの現在の快適領域は、注意深い車両ユーザの現在の快適領域とは異なる。そのため、不注意な車両ユーザの場合には、注意深い車両ユーザの場合よりも、大きな適合をシャーシシステムに対して行わなければならない。例えば、不注意な車両ユーザの場合、シャーシシステムを用いて、その位置を路面に対して適合させ、ならびに現在および将来の動きのデータを通信するという、両方を行うことができる。これに対して、注意深い車両ユーザの場合、注意深い車両ユーザが走行イベントを監視するために、シャーシシステムを用いて、その位置のみを路面に対して適合させ、動きのデータの通信を省略することができる。
【0034】
更なる実施形態により、位置計画装置は、動きのデータの一部として、車両の軌道を計画する。少なくとも1人の車両ユーザに、これらの軌道を、HMIシステムを用いて通信する。例えば、軌道は、光学的、音響的、または触覚的に少なくとも1人の車両ユーザに伝達される。少なくとも1人の車両ユーザに、例えば、道路上のカーブをどの曲率半径、およびどの速度で走行するかを示すことができる。そのため、車両ユーザは、車両の走行イベントを監視せずに、車両の動きに適合することができる。
【0035】
更なる実施形態により、調整装置は、追加的に、位置計画装置を作動させる。その際、目標快適領域に到達するまで、現在の快適領域が目標快適領域に近づくように、車両の動きの計画を適合させる。この場合、調整装置は、車両の動きの計画に直接に影響を及ぼす。例えば、少なくとも1人の車両ユーザの決定された現在の快適領域が、目標快適領域から大きく逸脱する場合、現在の快適領域が目標快適領域に近い車両ユーザの場合と比較して、より滑らかな動き、すなわち狭い曲率半径がより少なく、より速度が低い、滑らかな動きを計画することができる。
【0036】
さらに、走行の開始から、現在の快適領域に合致するルートを選択することができる。例えば、目標快適領域と現在の快適領域との間に大きな偏差がある場合には、例えば要求されるのが低速、低加速度であり、またはカーブ走行が少ない、要求の少ないルートを選択することができる。
【0037】
更なる実施形態により、少なくとも1人の車両ユーザの現在の快適領域を、HMIシステムを用いて検出したバイタルパラメータに基づいて決定する。これらのバイタルパラメータは、少なくとも1人の車両ユーザの健康状態に関する情報を提供する。この情報から、アルゴリズムを用いて、現在の快適領域が導出される。
【0038】
更なる実施形態により、HMIシステムは、少なくとも1人の車両ユーザと光学的および/または音響的および/または触覚的に通信する。もちろん、2つの通信可能性、またはすべての3つの通信可能性を組み合わせることが可能である。
【0039】
車両のための調整装置は、車両のHMIシステム、シャーシシステム、および位置計画装置と接続可能である。さらに、調整装置をインテリアシステムと接続可能にすることができる。この場合、接続可能とは、接続を行うことができることを意味する。この接続は、データ交換を行うことが可能なものである。調整装置は、前述の説明において既述された。HMIシステム、シャーシシステム、位置計画装置、およびインテリアシステムは、前述の説明において既述された。調整装置は、車両の快適性を少なくとも1人の車両ユーザのために適合させる方法を実行する。この方法は、前述の説明において既述された。さらに、調整装置はメモリを備える。メモリは、データメモリである。もちろん、調整装置は更なる車両システムまたはサブシステムと接続されてよい。調整装置は、例えば、ECUまたはドメインECUとして形成されている。
【0040】
少なくとも1人の車両ユーザのための車両は、HMIシステムと、シャーシシステムと、位置計画装置と、を備える。さらに、車両はインテリアシステムを備えることができる。車両は調整装置を備える。HMIシステム、シャーシシステム、位置計画装置、インテリアシステム、および調整装置は、前述の説明において既述された。車両は、車両の快適性を少なくとも1人の車両ユーザのために適合させる方法を実行する。この車両は、前述の説明において既述された。
【0041】
本発明の多様な実施形態および詳細を、以下に説明する図面を参照して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】快適性を適合させる方法を実行することができる実施形態による、調整装置の概略図である。
図2図1の調整装置を備える更なる実施形態による、車両の概略図である。
図3】方法を実行する際に、図1の調整装置が実行する実施形態による、調整ループの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、快適性を適合させる方法Vを実行することができる実施形態による、調整装置6の概略図を示す。車両1の多様なシステムと接続された調整装置6が示されている。調整装置6は、シャーシシステム4、位置計画装置5、インテリアシステム7、およびHMIシステム3と接続されている。この場合、HMIシステム3は、入力装置8および出力装置9を備える。
【0044】
調整装置6と他のシステムとの間は、データ交換を行うことができるように接続されている。したがって、調整装置6は、個々のシステムのデータを受信する、またはこれらのシステムにデータを送信することができる。さらに、調整装置6は、シャーシシステム4、インテリアシステム7、位置計画装置5、およびHMIシステム3を作動させることができる。調整装置6は、HMIシステム3の入力装置8および出力装置9を、相互に独立して作動させることができる。調整装置は、例えば、ECUとして、またはドメインECUとして形成されている。
【0045】
HMIシステム3の入力装置8は、情報およびデータを車両ユーザ2から受信する役割を果たす。HMIシステム3の出力装置9は、情報およびデータを車両ユーザ2に対して出力する役割を果たす。HMIシステム3の入力装置8が車両ユーザ2から受信したデータは、HMIシステム3自体が評価してよく、またはHMIシステム3が、評価を引き継ぐ調整装置6にデータを転送してもよい。データは、音響的、光学的、または触覚的な方法で、またはこれらの組み合わせによって記録することができる。調整装置6は、特定の情報またはデータが、特定の時点で、車両ユーザ2に表示または出力されるように、HMIシステム3の出力装置9を作動させることができる。これは、音響的、光学的または触覚的な方法で、またはこれらの方法の組み合わせによって行うことができる。
【0046】
調整装置6は、道路に対する車両ユーザ2の位置が変更されるように、シャーシシステム4を作動させることができる。これは、車両ユーザ2の現在の快適領域にポジティブな影響を及ぼすために行われる。
【0047】
調整装置6は、位置計画装置5から、車両の動きを計画するためのデータを受信する。これらデータを、HMIシステム3を用いて、より正確には出力装置9を用いて、車両ユーザ2に出力することができる。さらに、調整装置6は、位置計画装置5が、車両ユーザ2の現在の快適領域に対してポジティブな効果を有する車両1の動きを計画するように、位置計画装置5を作動させることができる。
【0048】
調整装置6は、インテリアシステム7を作動させ、車両ユーザ2の現在の快適領域がポジティブに変化するように、インテリアシステム7を適合させることができる。インテリアシステム7は、例えば、空調装置11または調整可能な車両シート10を備える。調整装置6は、インテリアシステム7の各個別システムを作動させ、車両ユーザ2の現在の快適領域がポジティブに変化するように、各個別システムを調整することができる。例えば、空調装置を用いて、車両温度を変更することができる。
【0049】
図2は、図1の調整装置6を備える更なる実施形態による、車両1の概略図を示す。車両ユーザ2が乗車している車両1が示される。車両ユーザ2は、インテリアシステム7の一部であるシート10に着座している。車両1は、シャーシシステム4と、調整装置6と、位置計画装置5と、出力装置9および入力装置を有するHMIシステム3と、を備える。さらに、車両はインテリアシステム7を備える。インテリアシステム7は、シート10に加えて、空調装置11を備える。
【0050】
調整装置6は、HMIシステム3の入力装置8および出力装置9と接続されている。さらに、調整装置6はシャーシシステム4と接続されている。調整装置6は、インテリアシステム7のシート10および空調装置11とも接続されている。さらに、調整装置6は位置計画装置5と接続されている。したがって、調整装置6は、シャーシシステム4、HMIシステム3、およびインテリアシステム7、ならびに位置計画装置5を作動させることができる。
【0051】
HMIシステム3は、入力装置8を用いて、車両ユーザ2の現在の快適領域を決定する。これは、例えば、運転者の状態監視によって、バイタリティパラメータ測定によって、または注意深さの検出によって行うことができる。車両ユーザ2の現在の快適領域を決定する、更なる可能性も存在する。例えば、車両ユーザ2が、自分の現在の快適領域を入力することができる。車両ユーザ2の目標快適領域は、HMIシステム3のデータメモリに保存されている。車両ユーザ2の目標快適領域は、車両ユーザ2の現在の快適領域と比較される。この比較は、常に行われる。これは、図3に詳細に示されている。車両ユーザ2の現在の快適領域が、車両ユーザ2の目標快適領域から逸脱すると、調整装置6は、車両ユーザ2の現在の快適領域を目標快適領域に近づけるために、車両1の多様なシステムを作動させる。
【0052】
調整装置6は、車両ユーザ2の道路に対する位置が変更されるように、シャーシシステム4を作動させる。この変更は、例えば、カーブを走行する際に車両ユーザに作用する力の強さが弱まるように行われる。例えば、シャーシシステム4のシャーシは、それに適応するように形成されている。カーブ走行が差し迫っているとき、その情報は、位置計画装置5によって調整装置6に転送される。さらに、位置計画装置5が、走行ルート上で発生する速度、加速度、軌道、および同様のパラメータに関する情報を調整装置6に転送する。
【0053】
調整装置6は、さらに、HMIシステム3の出力装置9を作動させる。HMIシステム3の出力装置9を用いて、車両ユーザ2に、車両1での走行の間に、どの軌道、どの速度、どの加速度、およびどの傾斜角が、現在そして将来発生するかが示される。調整装置6は、これらの情報を位置計画装置5から受信していた。したがって、出力装置9を用いて、車両ユーザ2に、車両1での走行の際に、現在および将来何が起こるか通信される。したがって、車両ユーザ2は、現在および将来の状況に適応することができる。これによって、車両ユーザ2の現在の快適領域が、高まるまたは改善する。
【0054】
さらに、調整装置6は、インテリアシステム7の車両シート10を作動させる。これによって、車両ユーザ2の着座位置が変更される。例えば、車両ユーザ2がより快適に座れるように変更することができる。これによって、車両ユーザ2の現在の快適領域が、ポジティブな影響を受ける。
【0055】
さらに、調整装置6は、インテリアシステム7の空調装置11を作動させる。例えば、車両1への空気供給を著しく増加させ、車両1内部の温度を調整装置6によって適合させ、車両ユーザ2にとって快適な温度とする。車両ユーザ2にとってどの温度が快適であるかは、例えば、走行を開始する前に設定することができる。次いで、これが調整装置6のメモリに記憶される。
【0056】
車両1での走行の間に、車両ユーザ2の現在の快適領域を常に決定し、目標快適領域と常に比較することによって、調整装置6は、車両ユーザ2の現在の快適領域が目標快適領域と一致するまで、調整装置6と接続された全てのシステムを再調整する。この調整ループは、図3に、より詳細に示されている。
【0057】
図3は、方法Vを実行する際に、図1の調整装置6が実行する実施形態による、調整ループの概略図を示す。調整ループにとって、車両ユーザの目標快適領域101と現在の快適領域102との間を比較するステップ103が中心である。この現在の快適領域102を常に決定するステップ114が、続く。この車両ユーザ2の現在の快適領域102を決定するステップ114には、例えば、注意深さの程度、精神の状態、または予想される走行スタイルが含まれる。これは、矢印108で示されている。
【0058】
車両での走行の間に、多様なファクターが車両ユーザ2に対して作用する。例えば、道および現存する交通107は、車両ユーザ2に対して直接の効果106を有する。これは、例えば、回避的操作、制動プロセス、加速プロセス等を実行しなければならない場合である。力が車両ユーザ2に対して作用するため、これらの効果106は物理的性質を有する。さらに、道および交通107は、車両ユーザ2対して異なる効果も及ぼす。走行ルートの視認性112は、車両ユーザ2に対する影響を有する。車両ユーザ2がルートを厳密に監視する場合、これらの効果は、車両ユーザ2がルートを見ることができない場合とは異なる。これは、車両ユーザ2の現在の快適領域102の変化につながる。さらに、車両1自体が車両ユーザ2に対する効果を有する。現在および将来のドライビングダイナミクスおよび軌道を表示するステップ113は、車両ユーザ2の現在の快適領域102に直接に効果を及ぼす。この表示するステップ113は、HMIシステムを用いて行われる。
【0059】
車両1は、位置計画装置5を用いて動きを計画および調整するステップ105、ならびにシャーシシステム4を適合させるステップ104の両方に影響を及ぼす。この場合、シャーシシステム4を適合させるステップ104、ならびに位置計画装置5を用いて動きを計画および調整するステップ105は、相互に影響し合う。これは、二重矢印によって示されている。さらに、道および交通107は、位置計画装置5およびシャーシシステム4の両方に直接に影響を及ぼす。道および交通107は、インフラストラクチャおよび周囲条件109に関する前提条件を提供するためである。したがって、この動きを計画するステップ105の動きを、計画および調整する位置計画装置5、および適合させるステップ104で適合されたシャーシシステム4は、道および交通107ならびに車両1自体から影響を受ける。同様に、車両1は、位置計画装置5を用いて動きを計画および調整するステップ105から、ならびにシャーシシステムを適合させるステップ104から、影響を受ける。なぜなら、車両1において、ステアリングおよび加速、ならびにシャーシのパラメータもが影響を受けるためである。さらに、車両1は、当然ながら、交通および道107に対しても効果を及ぼす。
【0060】
位置計画装置を用いて動きを計画および調整するステップ105、およびシャーシシステムを適合させるステップ104は、目標快適領域101と現在の快適領域102との間を比較するステップ103に基づいて実行する。したがって、車両ユーザ2の快適性を適合させる方法Vの複雑な調整ループが示されている。
【0061】
本明細書に示す例は、単に例示的に選択されている。例えば、調整ループは、例えばインテリアシステムおよび更なるサブシステムのような、また更なるファクターを備えてよい。さらに、車両ユーザの現在の快適領域は、位置計画装置を用いて動きを計画および調整するステップに対して、直接に影響を及ぼすことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
2 車両ユーザ
3 HMIシステム
4 シャーシシステム
5 位置計画装置
6 調整装置
7 インテリアシステム
8 入力装置
9 出力装置
10 シート
11 空調装置
V 方法
101 目標快適領域
102 現在の快適領域
103 比較するステップ
105 位置計画装置を用いて動きを計画および調整するステップ
104 シャーシシステムを適合させるステップ
106 車両ユーザに対する、道および交通の効果
107 道および交通
108 注意深さの程度、精神の状態、予想される走行スタイル
109 インフラストラクチャおよび周囲条件に関する前提条件
110 ドライビングダイナミクス
111 ステアリング、加速、およびシャーシのパラメータの影響
112 走行ルートの視認性
113 現在および将来のドライビングダイナミクスおよび軌道を表示するステップ
114 現在の快適領域を決定するステップ
図1
図2
図3