(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】弾性および耐引裂性ポリウレタン発泡体の製造方法ならびにその使用
(51)【国際特許分類】
C08G 18/12 20060101AFI20231013BHJP
C08G 18/28 20060101ALI20231013BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20231013BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20231013BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20231013BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20231013BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20231013BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20231013BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20231013BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231013BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20231013BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20231013BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20231013BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20231013BHJP
【FI】
C08G18/12
C08G18/28 015
C08G18/48 033
C08G18/48 004
C08G18/73
A61L27/18
A61L27/56
A61L27/50
A61K8/87
A61Q1/00
A61Q19/00
A61F13/00 T
A61F13/00 301J
A61F13/15 100
A61F13/15 320
A61F13/53 300
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2020538097
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(86)【国際出願番号】 EP2019050278
(87)【国際公開番号】W WO2019137882
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-05
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520204744
【氏名又は名称】コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジュッターリーン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ワイザー,マルク-ステファン
(72)【発明者】
【氏名】プラク,サーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ドーア,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュトイエ,クロディーヌ
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0136785(US,A1)
【文献】国際公開第2017/020810(WO,A1)
【文献】特表2013-543905(JP,A)
【文献】特表2013-503222(JP,A)
【文献】特表2013-532216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0107243(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 71/00-71/04
C08G 101/00
A61L 15/00-33/18
A61F 13/00-13/84
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)A1)モル質量140~278g/molの低分子量ジイソシアネートと、
A2)2以上のOH官能価を有するポリアルキレンオキシド、
A3)場合により、A2に含まれない追加のイソシアネート反応性成分
との反応により得ることができるイソシアネート官能性プレポリマー;
B)組成物の総重量に基づいて、少なくとも2重量%の量の水;
C)場合により、140~278g/molのモル質量を有する低分子量ジイソシアネートの複素環式4員環または6員環オリゴマー;
D)場合により、触媒;
E)場合により
、対応する遊離酸が25℃の水中で3.0以上14.0以下のpKAを有する弱酸の塩;
F)場合により、界面活性剤;ならびに
G)場合により、一価または多価のアルコールまたはポリオール;
H)場合により、H1)モル質量140~278g/molの低分子量ジイソシアネート、および/またはそれから調製可能であり、2~6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートと、
H2)OH価10~250、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいてエチレンオキシド含有量50~100mol%の単官能性ポリアルキレンオキシドとの反応により得ることができる親水性ポリイソシアネート
を含む組成物を提供し、発泡させ、硬化させる、
ポリウレタン発泡体を製造するためのプロセスであって、
前記成分A、CおよびHが、
それぞれ独立に、各成分の総量に基づいて、2重量%~8重量%の範囲内の総イソシアネート含有量と、1.0~3.5mol/kgのウレタン基含有量とを有するプロセス。
【請求項2】
成分A)が、前記プレポリマーに基づいて1.0重量%未満の140~278g/molのモル質量を有する低分子量ジイソシアネートの重量割合を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
脂肪族イソシアネートが、成分A1)として使用されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項4】
以下の工程、すなわち、
I)成分A1)、A2)および場合によりA3)
から前記
イソシアネート官能性プレポリマーA)を調製する工程、
II)場合により、成分A)、C)およびH)ならびに他のイソシアネート含有成分を混合して、プレポリマー混合物を得る工程、
III)場合により、A3)および場合によりD)を加える工程、
IV)前記プレポリマー混合物とは別に、成分B)と他のすべての成分
とを混合する工程、
V)I)~III)で得られた前記プレポリマー混合物と、IV)から得られた混合物とを混合する工程、が行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
A2)の
ポリアルキレンオキシドにおけるエチレンオキシド含有量が50重量%以上であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
I)~III)における前記プレポリマー混合物が、1.0~5.0のウレタン基対イソシアネート基のモル比を有することを特徴とする、
請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
成分A1)~A3)の反応では、NCO基対OH基のモル比が5未満の前記イソシアネート官能性プレポリマーA)が得られることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記イソシアネート官能性プレポリマーAが、50000mPas以下の粘度を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記
成分A、C、及びHの少なくとも一部が2超のイソシアネート官能価を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ポリアルキレンオキシドA2)が、40~450mg KOH/gの範囲内のOH価を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
以下の成分、すなわち、
A)A1)モル質量140~278g/molの低分子量ジイソシアネートと、
A2)2以上のOH官能価を有するポリアルキレンオキシド、
A3)場合により、A2に含まれない追加のイソシアネート反応性成分
から得ることができるポリウレタンプレポリマー;
C)場合により、140~278g/molのモル質量を有する低分子量ジイソシアネートの複素環式4員環または6員環オリゴマー;
D)場合により、触媒;
H)場合により、H1)モル質量140~278g/molの低分子量ジイソシアネート、および/またはそれから調製可能であり、2~6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートと、
H2)OH価10~250、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいてエチレンオキシド含有量50~100mol%の単官能性ポリアルキレンオキシド
との反応により得ることができる親水性ポリイソシアネート、を含むポリウレタンプレポリマー混合物であって、
前記成分A、CおよびHが、
それぞれ独立に、各成分の総量に基づいて、2重量%~8重量%の範囲内のイソシアネート含有量と、1.0~3.5mol/kgのウレタン基含有量とを有する、ポリウレタンプレポリマー混合物。
【請求項12】
創傷被覆材、化粧品または失禁用製品の製造のための、
請求項11に記載のポリウレタンプレポリマー混合物
の使用。
【請求項13】
前記ポリウレタン発泡体が、少なくとも以下の特性
、
a)少なくとも3.5の破壊強度対20%伸び時の応力(F20)の比;
b)液体吸収300%以上;
c)密度50~300g/l;
d)少なくとも50kPaの破壊強度;
e)最大50kPaのF20、を有する
請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ポリウレタン発泡体が、創傷被覆材、化粧品または失禁用製品
の製造に用いられるものである、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン発泡体を製造するためのプロセスであって、組成物が、イソシアネート官能性プレポリマーA)、水B)、場合により、140~278g/molのモル質量を有する低分子量ジイソシアネートの複素環式4員環または6員環オリゴマーC)、場合により、触媒d)、場合により、対応する遊離酸が25℃の水中で3.0以上14.0以下のpKAを有する弱酸の塩E)、場合により、界面活性剤F)、場合により、一価または多価のアルコールまたはポリオールG)、場合により、親水性ポリイソシアネートH)を含み、イソシアネート含有成分、特に成分A)、C)およびH)が、いずれの場合もイソシアネート含有成分A)、C)およびH)の総量に基づいて、2重量%~8重量%の範囲内の総イソシアネート含有量と、1.0~3.5mol/kgのウレタン基含有量とを有するプロセス、ならびにこのように製造された発泡体およびその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
先行技術には、ポリイソシアネート含有出発物質を水と一緒に混合することによって発泡体を製造することができる公知のプロセスがある。さらに具体的には、特許出願、欧州特許第2143744号明細書、欧州特許第2470580号明細書、欧州特許第2585505号明細書および欧州特許第2632501号明細書は、2重量%~8重量%の範囲内のイソシアネート含有量を有する脂肪族イソシアネートを含むプレポリマー配合物を使用するそのようなプロセスを記載している。記載されている例ではいずれも、1.0mol/kg未満のウレタン含有量のみが使用されている。これらの例では、プレポリマー合成中のNCO/OH比は、15の値を有する。上記の文献のいずれも、製造された発泡体の機械的特性を記載していない。
【0003】
さらに、芳香族ポリイソシアネートに基づく発泡体が知られている。例えば、特許出願、米国特許第3903232号明細書、米国特許第4137200号明細書、米国特許第5849850号明細書および米国特許第2006142529号明細書では、8重量%超のイソシアネート含有量または1.0mol/kg未満のウレタン含有量のいずれかを有するプレポリマー配合物が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第2143744号明細書
【文献】欧州特許第2470580号明細書
【文献】欧州特許第2585505号明細書
【文献】欧州特許第2632501号明細書
【文献】米国特許第3903232号明細書
【文献】米国特許第4137200号明細書
【文献】米国特許第5849850号明細書
【文献】米国特許第2006142529号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような発泡体の製造、特に医療用途にそれらを使用する点でこれまで達成されていない目的には、発泡体の柔軟性、吸収される液体の量、引裂強度、および高すぎない発泡体密度などの様々な特性を同時に最適化することがある。しかし、この方法でのみ、最大引裂強度を有するが、それにもかかわらず柔軟であり、同時に最小重量の液体に対して高い吸収性を有する発泡体を提供することが可能であろう。特に、例えば、創傷被覆材用発泡体にそのような発泡体を使用できるようにするために、言及されたあらゆる特性を最適化することが望ましいであろう。しかし、水性媒体に対する高い吸収能力(以下、液体吸収とも呼ばれる)を有する発泡体は、柔軟性または破壊強度が比較的低いことがこれまでに見出されている。したがって、最適化された特性の組合せを有する発泡体を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって対処される1つの課題は、先行技術の少なくとも1つの欠点を少なくとも部分的に克服することであった。
【0007】
本発明によって対処されるさらなる課題は、液体の吸収性が良好な発泡体が、最大の耐久性を有し、それにもかかわらず柔軟であるために、高い柔軟性、すなわち、容易な変形性と、高い破壊強度とを依然として有するように、発泡体、または該発泡体を製造するためのプロセスを提供することであった。さらに具体的には、発泡体は、50kPa以下、好ましくは30kPa以下のF20値を有するべきである。F20は、「方法」に詳述されるように、DIN EN ISO 527-2に準拠した応力/歪み試験では、20%伸び時の張力に相当する。
【0008】
さらに、本発明によって対処される課題は、発泡体が、少なくとも3.5、好ましくは少なくとも4.0、好ましくは少なくとも5.0、または好ましくは少なくとも7.5の破壊強度対F20の比を有し、同時に依然として高い柔軟性を有するように、発泡体、または該発泡体を製造するためのプロセスを提供することであった。さらに具体的には、この発泡体は、300g/lまたは好ましくは200g/lの密度を超えるべきではない。
【0009】
本発明によって対処されるさらなる課題は、巻き上げられる際に発生する引張力の下で、発泡体ストリップを引き裂くことなく巻き上げられ得る発泡体ストリップの形態の発泡体を製造することを可能にする発泡体、または該発泡体を製造するためのプロセスを提供することであった。発泡体は、好ましくは、50kPa以上または好ましくは100kPa以上の破壊強度を有するべきである。
【0010】
さらに、対処される課題は、発泡体が、元の液体含有量に基づいて、好ましくは530%~4000%、または好ましくは800%~3500%、さらに好ましくは1000%~3000%の範囲内の高い液体吸収を有する発泡体、および該発泡体を製造するためのプロセスを提供することであった。同時に、発泡体は快適な触感特性を有し、曲面に容易に適応することができるべきである。
【0011】
驚くべきことに、請求項1の主題の特徴の組合せが、課題のうちの少なくとも1つを解決することができたことが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、第一に、
A)A1)モル質量140~278g/molの低分子量ジイソシアネートと、
A2)2以上、好ましくは2~6の範囲内、好ましくは2~5の範囲内、または好ましくは2~4のOH官能価を有するポリアルキレンオキシド、
A3)場合により、A2)に含まれない追加のイソシアネート反応性成分
との反応により得ることができるイソシアネート官能性プレポリマー;
B)組成物の総重量に基づいて、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%、または好ましくは少なくとも10重量%、または好ましくは2重量%~40重量%の範囲内、または好ましくは5重量%~30重量%の範囲、または好ましくは10重量%~25重量%の範囲内の量の水;
C)場合により、140~278g/molのモル質量を有する低分子量ジイソシアネートの複素環式4員環または6員環オリゴマー;
D)場合により、触媒;
E)場合により、弱酸の塩であって、対応する遊離酸が25℃の水中で3.0以上14.0以下のpKAを有する弱酸の塩;
F)場合により、界面活性剤;ならびに
G)場合により、一価または多価のアルコールまたはポリオール;
H)場合により、H1)モル質量140~278g/molの低分子量ジイソシアネートおよび/またはそれから調製可能であり、2~6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートと、
H2)OH価10~250、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいてエチレンオキシド含有量50~100mol%の単官能性ポリアルキレンオキシド
との反応により得ることができる親水性ポリイソシアネート
を含む組成物を提供し、発泡させ、硬化させる、ポリウレタン発泡体を製造するためのプロセスであって、
イソシアネート含有成分、特に成分A、CおよびHが、いずれの場合もイソシアネート含有成分の総量に基づいて、2重量%~8重量%の範囲内の総イソシアネート含有量と、1.0~3.5mol/kgのウレタン基含有量とを有するプロセスに関する。好ましくは、イソシアネート含有成分、特に成分A、CおよびHは、いずれの場合もイソシアネート含有成分の総量に基づいて、3重量%~7重量%の範囲内または好ましくは4重量%~6.5重量%の範囲内の総イソシアネート含有量と、好ましくは、1.5~3.0mol/kgの範囲内または好ましくは1.7~2.8mol/kgの範囲内のウレタン基含有量とを有する。
【0013】
好ましくは、使用されるプレポリマーA)は、プレポリマーに基づいて、0.5重量%未満の残留モノマー含有量を有する。この含有量は、ジイソシアネートA1)およびポリアルキレンオキシドA2)の適切に選択された使用量によって達成することができる。ただし、ジイソシアネートA1)を過剰に使用し、続いて、好ましくは蒸留により未変換モノマーを除去することが好ましい。
【0014】
イソシアネート官能性プレポリマーA)の調製では、ポリアルキレンオキシドA2)と低分子量脂肪族ジイソシアネートA1)との比は、典型的には、ポリアルキレンオキシドA2)のOH基1モルごとに、低分子量脂肪族ジイソシアネートA1)のNCO基が1.1~20モル、好ましくは1.3~5モル、さらに好ましくは1.5~3.5モル存在するように調節される。
【0015】
反応は、スズ化合物、亜鉛化合物、アミン、グアニジンもしくはアミジンなどのウレタン化触媒の存在下、または亜鉛化合物などのアロファネート化触媒の存在下で行うことができる。
【0016】
反応は、典型的には、25℃~140℃、好ましくは60℃~100℃で行われる。
【0017】
過剰量のイソシアネートが使用された場合、過剰量の低分子量脂肪族ジイソシアネートが、好ましくは薄膜蒸留によって除去される。
【0018】
反応、または過剰量のジイソシアネートの蒸留による除去の前、最中および後に、酸性安定化剤もしくはアルキル化定化剤、例えば、塩化ベンゾイル、塩化イソフタロイル、メチルトシレート、クロロプロピオン酸、HCl、リン酸ジブチル、または酸化防止剤、例えばジ-tert-ブチルクレゾールもしくはトコフェロールを加えることが好ましい。
【0019】
イソシアネート官能性プレポリマーA)のNCO含有量は、好ましくは1.5重量%~8重量%、さらに好ましくは2重量%~7.5重量%、最も好ましくは3重量%~7重量%である。
【0020】
成分A1)の低分子量脂肪族ジイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ビスイソシアナトメチルトリシクロデカン、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはジイソシアナトドデカンであり、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)が好ましい。PDI、HDI、IPDIが特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびペンタメチレンジイソシアネートが非常に特に好ましい。
【0021】
成分A1として芳香族ジイソシアネートが使用される場合、これらは、好ましくはトルエン2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)もしくは2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物である。
【0022】
成分A2)のポリアルキレンオキシドは、当業者がこの目的のために使用するであろう任意のポリアルキレンオキシドであり得る。これらの例は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフランまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される。成分A2)のポリアルキレンオキシドは、好ましくは、存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、ポリオールまたはアミンから開始して、50~100mol%、好ましくは60~90mol%のエチレンオキシド含有量を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーである。この種の好ましいスターターは、エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、アンモニアおよびエチレンジアミンまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される。
【0023】
成分A2)のポリアルキレンオキシドは、典型的には、250~10000g/mol、好ましくは300~2800g/mol、または好ましくは350~1500g/molの数平均分子量を有する。
【0024】
さらに、成分A2)のポリアルキレンオキシドは、2~6、好ましくは2~5、さらに好ましくは2~4のOH官能価を有する。
【0025】
成分A3)については、原則として、当業者にそれ自体公知の一価および多価のアルコールまたは単官能性および多官能性アミン、およびそれらの混合物のいずれかを使用することが好ましい。これらは、一価または多価のアルコールまたはポリオール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、デカノール、トリデカノール、ヘキサデカノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、単官能性のポリエーテルアルコールおよびポリエステルアルコール、ポリエーテルジオールおよびポリエステルジオールまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物である。単官能性および多官能性アミンの例には、ブチルアミン、エチレンジアミンまたはアミン末端ポリアルキレングリコール(例えば、Jeffamine(登録商標))が挙げられる。
【0026】
プレポリマーA)の調製では、例えば、成分D)について記載されるような触媒を使用することが可能である。
【0027】
成分B)として使用するための水は、そのままで、塩中の結晶水として、双極性非プロトン性溶媒中の溶液として、またはエマルジョンとして使用することができる。水をそのまま、または双極性非プロトン性溶媒中で使用することが好ましい。水をそのまま使用することが非常に特に好ましい。
【0028】
使用される成分C)の任意の化合物には、140~278g/molのモル質量を有する低分子量ジイソシアネートの複素環式4員環または6員環オリゴマー、例えば、前述の低分子量ジイソシアネートのイソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオンまたはウレトジオンが挙げられる。成分C)のために脂肪族ジイソシアネートを使用することが好ましい。ウレトジオンなどの複素環式4員環オリゴマーが好ましい。好ましくは、低分子量ジイソシアネートの4員環または6員環オリゴマーは、2~6の範囲内、または好ましくは2.1~5.5の範囲内、または好ましくは2.5~5の範囲内の官能価を有する。
【0029】
成分C)の低分子量脂肪族ジイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ビスイソシアナトメチルトリシクロデカン、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはジイソシアナトドデカンであり、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)が好ましい。PDI、HDI、IPDIが特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびペンタメチレンジイソシアネートが非常に特に好ましい。
【0030】
成分C)として芳香族ジイソシアネートが使用される場合、これらは、好ましくはトルエン2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)もしくは2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物である。
【0031】
成分C)の使用によって上昇したイソシアネート基の含有量は、イソシアネートと水との反応でさらに多くのCO2が形成されるため、優れた発泡を保証する。
【0032】
ウレタンの形成を促進するために、成分D)に触媒を使用することができる。これらは、典型的には、ポリウレタン技術から当業者に知られている化合物である。ここでは、触媒活性金属塩、アミン、アミジンおよびグアニジンからなる群からの化合物が好ましい。例には、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、酢酸スズ、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン-4(DBO)、N-エチルモルホリン(NEM)、トリエチレンジアミン(DABCO)、ペンタメチルグアニジン(PMG)、テトラメチルグアニジン(TMG)、シクロテトラメチルグアニジン(TMGC)、n-デシルテトラメチルグアニジン(TMGD)、n-ドデシルテトラメチルグアニジン(TMGDO)、ジメチルアミノエチルテトラメチルグアニジン(TMGN)、1,1,4,4,5,5-ヘキサメチルイソビグアニジン(HMIB)、フェニルテトラメチルグアニジン(TMGP)およびヘキサメチレンオクタメチルビグアニジン(HOBG)が挙げられる。
【0033】
成分D)の触媒としてのアミン、アミジン、グアニジンまたはそれらの混合物の使用が好ましい。さらに、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)の使用も好ましい。
【0034】
本発明によるプロセスでは、触媒を完全に省くことが好ましい。
【0035】
成分E)として、弱酸の塩であって、対応する遊離酸が25℃の水中で3.0以上14.0以下のpKAを有する弱酸の塩を使用することが可能であってもよい。好適な弱酸の塩の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムであり、これらの塩の任意の望ましい混合物も含まれる。弱酸の塩が、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの群から選択される場合が好ましい。この場合、結果は特に短い反応時間である。
【0036】
発泡体形成、発泡体安定性、または得られたポリウレタン発泡体の特性を改善するために、成分F)の化合物が使用されてもよく、そのような添加剤は、原則として、それ自体公知のアニオン性、カチオン性、両性および非イオン性界面活性剤のいずれか、ならびにそれらの混合物であってよい。アルキルポリグリコシド、EO/POブロックコポリマー、アルキルもしくはアリールアルコキシレート、シロキサンアルコキシレート、スルホコハク酸のエステルおよび/またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属アルカノエートまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物を使用することが好ましい。EO/POブロックコポリマーを使用することが特に好ましい。成分F)としてEO/POブロックコポリマーのみを使用することが好ましい。
【0037】
さらに、得られるポリウレタン発泡体の発泡体特性を改善するために、成分G)の化合物が使用されてもよい。これらは、原則として、当業者にそれ自体公知のあらゆる一価および多価のアルコールならびにそれらの混合物である。これらは、一価または多価のアルコールまたはポリオール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、デカノール、トリデカノール、ヘキサデカノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、単官能性のポリエーテルアルコールおよびポリエステルアルコール、ポリエーテルジオールおよびポリエステルジオールまたはこれらのうちの少なくとも2つの混合物である。
【0038】
親水性ポリイソシアネートH)の調製では、単官能性ポリアルキレンオキシドH2)と低分子量ジイソシアネートH1)との比は、典型的には、単官能性ポリアルキレンオキシドのOH基1モルごとに、低分子量ジイソシアネートH1)のNCO基が1.25~20モル、好ましくは2~15モル、さらに好ましくは5~13モル存在するように調節される。この後に、アロファネート化またはビウレット化および/またはイソシアヌレート形成またはウレトジオン形成が続く。ポリアルキレンオキシドH2)が、ウレタン基を介して、好ましくは脂肪族ジイソシアネートH1)に結合される場合、アロファネート化は、その後行われるのが好ましい。イソシアネート構造単位が形成されることがさらに好ましい。
【0039】
親水性ポリイソシアネートH)の好ましい代替的な調製は、典型的には、単官能性ポリアルキレンオキシド成分H2)の1モルのOH基と、脂肪族または芳香族ジイソシアネート、好ましくは脂肪族ジイソシアネートに基づく、2~6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートH1)の1.25~20モル、好ましくは2~15モル、さらに好ましくは5~13モルのNCO基との反応によって行われる。そのようなポリイソシアネートH1)の例は、好ましくは脂肪族ジイソシアネートに基づくビウレット構造、イソシアヌレートまたはウレトジオンである。ポリイソシアネートH1)およびポリアルキレンオキシドH2)は、好ましくは、ウレタン基または尿素基を介して互いに結合され、ウレタン基を介した結合が特に好ましい。
【0040】
本発明のポリウレタン発泡体の製造では、脂肪族ジイソシアネートのみを使用することが好ましい。さらに具体的には、成分A1)、C)およびH1)に脂肪族イソシアネートのみを使用することが好ましい。
【0041】
反応は、スズ化合物、亜鉛化合物、アミン、グアニジンもしくはアミジンなどのウレタン化触媒の存在下、または亜鉛化合物などのアロファネート化触媒の存在下で行うことができる。
【0042】
反応は、典型的には、25℃~140℃、好ましくは60℃~100℃で行われる。
【0043】
過剰量の低分子量ジイソシアネートが使用された場合、過剰量の低分子量脂肪族ジイソシアネートが、好ましくは薄膜蒸留によって除去される。
【0044】
反応、または過剰量のジイソシアネートの蒸留による除去の前、最中および/または後に、酸性安定化剤もしくはアルキル化定化剤、例えば、塩化ベンゾイル、塩化イソフタロイル、メチルトシレート、クロロプロピオン酸、HClまたは酸化防止剤、例えばジ-tert-ブチルクレゾールもしくはトコフェロールを加えることが可能である。
【0045】
親水性ポリイソシアネートH)のNCO含有量は、好ましくは0.3重量%~23重量%、さらに好ましくは2重量%~21重量%、最も好ましくは3重量%~18重量%である。
【0046】
成分H1)の低分子量脂肪族ジイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ビスイソシアナトメチルトリシクロデカン、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはジイソシアナトドデカンであり、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)が好ましい。PDI、HDI、IPDIが特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびペンタメチレンジイソシアネートが非常に特に好ましい。
【0047】
成分H1)として芳香族ジイソシアネートを使用する場合、これらは、好ましくはトルエン2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)もしくは2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物である。
【0048】
高分子量ポリイソシアネートH2)の例は、上記段落で言及した脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートに基づく、イソシアヌレート基、ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基、イミノオキサジアジントリオン基、オキサジアジントリオン基および/またはウレトジオン基を有する、2~6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートである。
【0049】
使用される成分H2)は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/または4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンに基づく、ビウレット基、イミノオキサジアジンジオン基、イソシアヌレート基および/またはウレトジオン基を有する高分子量化合物であることが好ましい。イソシアヌレートがさらに好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく構造が非常に特に好ましい。
【0050】
単官能性ポリアルキレンオキシドH2)は、15~250、好ましくは28~112のOH価と、存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて50~100mol%、好ましくは60~100mol%のエチレンオキシド含有量とを有する。
【0051】
本発明の文脈では、単官能性ポリアルキレンオキシドとは、ただ1つのイソシアネート反応性基、すなわちNCO基と反応することができる1つの基を有する化合物を意味すると理解される。
【0052】
好適なスターター分子のアルコキシル化によるポリアルキレンオキシドH2)の調製は、文献から知られている(例えば、Ullmanns Encyclopadie der technischen Chemie [Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry],4th edition,volume 19,Verlag Chemie,Weinheim p.31-38)。好適なスターター分子は、特に、飽和モノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、および芳香族アルコール、例えば、フェノールまたはモノアミン、例えば、ジエチルアミンである。好ましいスターター分子は、前述の種類の飽和モノアルコールである。スターター分子としてジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn-ブタノールを使用することが特に好ましい。
【0053】
単官能性ポリアルキレンオキシドH2)は、典型的には、220~3700g/mol、好ましくは250~2800g/mol、または好ましくは300~2000g/molの数平均分子量を有する。
【0054】
単官能性ポリアルキレンオキシドH2)は、好ましくは、イソシアネート反応性基としてOH基を有する。
【0055】
典型的には、成分A)~H)は以下の量で使用される:
100重量部のイソシアネート官能性プレポリマーA)
0.1~200重量部の水B)
0~30重量部の複素環式オリゴマーC)
0~1重量部の触媒D)
弱酸の塩であって、対応する遊離酸が25℃の水中で3.0以上14.0以下のpKAを有する、0~5重量部の弱酸の塩E)
0~10重量部の界面活性剤F)
0~20重量部のアルコールG)
0.5~50重量部の親水性ポリイソシアネート成分H)
好ましくは、成分A)~H)は以下の量で使用される:
100重量部のイソシアネート官能性プレポリマーA)
0.1~100重量部の水B)
1~20重量部の複素環式オリゴマーC)
0~1重量部の触媒D)
弱酸の塩であって、対応する遊離酸が25℃の水中で3.0以上14.0以下のpKAを有する、0~5重量部の弱酸の塩E)
0~5重量部の界面活性剤F)
0~10重量部のアルコールG)
1~25重量部の親水性ポリイソシアネートH)
さらに好ましくは、成分A)~H)は以下の量で使用される:
100重量部のイソシアネート官能性プレポリマーA)
1~60重量部の水B)
2~15重量部の複素環式オリゴマーC)
0~0.5重量部の触媒D)
弱酸の塩であって、対応する遊離酸が25℃の水中で3.0以上14.0以下のpKAを有する、0重量部の弱酸の塩E)
0~3重量部の界面活性剤F)
0重量部のアルコールG)
2~15重量部の親水性ポリイソシアネートH)
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、成分A)は、プレポリマーに基づいて1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.3重量%未満、または好ましくは0.1重量%未満の140~278g/molのモル質量を有する低分子量ジイソシアネートの重量割合を有する。低分子量ジイソシアネートの重量割合は、好ましくは蒸留により調節される。
【0056】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、脂肪族イソシアネートが成分A1)として使用される。
【0057】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、少なくとも以下の工程が行われる:
I)成分A1)、A2)および場合によりA3)、D)からプレポリマーA)を調製する工程、
II)場合により、成分A)、C)およびH)ならびに他のイソシアネート含有成分を混合して、プレポリマー混合物を得る工程、
III)場合により、A3)(および場合によりD)を加える工程、
IV)場合により、プレポリマー混合物とは別に、成分B)と他の全成分、特にD)、E)、F)およびG)とを混合する工程、
V)I)~III)で得られたプレポリマー混合物と、IV)から得られた混合物とを混合する工程。
【0058】
好ましくは、工程I)~IV)のうちの少なくとも1つでの温度は、2~70℃の範囲内、または好ましくは10~50℃の範囲内、または好ましくは20~40℃の範囲内で選択される。
【0059】
好ましくは、混合物は、工程IV)の後、基材に塗布され、硬化される。硬化は、好ましくは20~50℃の範囲内の温度で行われる。コンベクションオーブンまたは赤外線乾燥機を用いて、さらに高い温度範囲、例えば、50~200℃で硬化および同時乾燥を行うこともできる。
【0060】
本発明によるポリウレタン発泡体は、好ましくは、成分A1)、A2)および場合によりA3)、D)から製造された成分A)を、場合によりC)および/またはH)と任意の順序で混合し、次いで、B)および場合によりD)、E)、F)、G)の混合物と混合し、混合物を発泡させ、好ましくは化学的架橋により硬化させることによって製造される。好ましくは、成分A)、C)およびH)は互いに予め混合される。使用される任意の塩E)および任意の界面活性剤F)は、好ましくはそれらの水溶液の形態で反応混合物に加えられる。
【0061】
発泡は、原則として、イソシアネート基と水との反応で形成される二酸化炭素を用いて行うことができるが、他の発泡剤の使用も同様に可能である。例えば、C3~C6アルカンなどの炭化水素のクラスからの発泡剤、例えば、ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサンなど、またはハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、2,2-ジクロロ-2-フルオロエタン、特に塩素を含まないハイドロフルオロカーボン、例えば、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン(R 134またはR 134a)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(R 245 fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(R 256)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(R 365 mfc)、ヘプタフルオロプロパンまたは六フッ化硫黄を使用することも原則として可能である。これらの発泡剤の混合物も使用可能である。
【0062】
その後の硬化は、典型的には室温で行われる。
【0063】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、A2のエチレンオキシド含有量は、50重量%以上、または好ましくは55重量%以上、または好ましくは60重量%以上である。
【0064】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、イソシアネート含有成分の混合物は、1.0~5.0の範囲内、または好ましくは1.1~4.0の範囲内、または好ましくは1.2~3の範囲内のウレタン基対イソシアネート基のモル比を有する。
【0065】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、成分A1)~A3)の反応において、NCO基対OH基のモル比が5未満、または好ましくは4未満、または好ましくは3未満、または好ましくは1~5の範囲内、または好ましくは1.5~4.5の範囲内のイソシアネート官能性プレポリマーA)が得られる。
【0066】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、イソシアネート官能性プレポリマーAは、50000mPas以下、好ましくは25000以下、または好ましくは10000以下、または好ましくは100~20000mPasの範囲内の粘度を有する。
【0067】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、イソシアネート含有成分の少なくとも一部は、2超、好ましくは2~6の範囲内、または好ましくは2.1~5の範囲内のイソシアネート官能価を有する。
【0068】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドA2)は、40~450mg KOH/gの範囲内、好ましくは75~400の範囲内、または好ましくは113~300の範囲内のOH価を有する。
【0069】
さらに、本発明は、本発明によるプロセスによって製造されたポリウレタン発泡体、および創傷被覆材、化粧品または失禁用製品の構成要素としての親水性脂肪族ポリウレタン発泡体の使用をさらに提供する。
【0070】
すでに上述したように、本発明によるポリウレタン発泡体は、好ましくは、成分A1)、A2)および場合によりA3)、D)から製造された成分A)を、場合によりC)および/またはH)と任意の順序で混合し、次いで、B)および場合によりD)、E)、F)、G)の混合物と混合し、混合物を発泡させ、好ましくは化学的架橋により硬化させることによって製造される。好ましくは、成分A)、C)およびH)は互いに予め混合される。使用される任意の塩E)および任意の界面活性剤F)は、好ましくはそれらの水溶液の形態で反応混合物に加えられる。好ましくは、本発明によるポリウレタン発泡体は親水性であり、脂肪族単位を有する。
【0071】
本発明によるポリウレタン発泡体、または本発明に従って製造されたポリウレタン発泡体は、好ましくは、互いに連通する気泡を有する多孔質の少なくとも部分的に連続気泡の構造を有する。ポリウレタン発泡体の密度は、50~300g/lであることが好ましい。
【0072】
ポリウレタン発泡体内の生理食塩水の吸収能力は、発泡体の乾燥重量に基づいて、好ましくは300%~4000%、または好ましくは800%~3500%、または好ましくは1000%~3000%である。測定は以下の方法により行われる:(DIN EN 13726-1、パート3.2への決定)
他の親水性発泡体と比較すると、本発明によるポリウレタン発泡体は、超吸収性ポリマーを使用しなくても、生理食塩水の非常に高い吸収を達成することができる。本発明によるポリウレタン発泡体の場合、超吸収剤の組み込みも可能であることが理解されるであろう。本明細書に記載されたポリウレタン発泡体では、欧州特許第3235520号明細書におけるように、本発明によるポリウレタン発泡体への超吸収剤の組み込みの同じ技術を使用することができる。
【0073】
ポリウレタン発泡体は、優れた機械的強度と高い弾性とを有する。典型的には、引張強度の値は40kPaよりも大きく、破断点伸びの値は30%よりも大きく、密度は50~300g/lの範囲である(いずれの場合も「方法」に後述する規格により決定)。
【0074】
製造後、それ自体公知の方法によりポリウレタン発泡体を加工して、例えば、創傷被覆材、化粧品または失禁用製品の構成要素として使用することができる二次元材料を得ることができる。一般に、この目的のために、標準的な方法によってスラブストック発泡体を所望の厚さに切断して、典型的には10μm~5cm、好ましくは0.1mm~1cm、さらに好ましくは0.1mm~6mm、最も好ましくは0.2mm~6mmの厚さを有する二次元材料を得る。
【0075】
適切なキャスティング技術を用いて、基材、例えば、前処理されていてもよい紙、フィルム、不織布または織物に対して、本発明による組成物を塗布するか発泡させることによって、記載された二次元材料を直接得ることができる。
【0076】
好ましい変形例では、この目的のために、PCT出願番号WO2011/006608に記載されているような出発物質の混合物がコーティングバーによって基材に塗布され、次いで、コーティング後に発泡が続く。コーティングバーのギャップ高さは、一般に0.2mm~20mm、好ましくは0.5mm~5mm、最も好ましくは0.8mm~2mmの範囲である。使用するコーティングバーのフィルム幅は、特定の最終用途に合わせることができる。例には、10~5000mm、好ましくは20~2000mmのフィルム幅が挙げられる。
【0077】
ポリウレタン発泡体が層または基材にキャストされている間に、好ましくはポリウレタン発泡体が乾燥する前に、ポリウレタン発泡体の上面に追加の層が塗布されるキャスティング方法が好ましい。そのようなプロセスは、出願番号EP17156493.3による特許出願に記載されており、同様にここで使用することができる。
【0078】
ポリウレタン発泡体は、一般に、2重量%以下、好ましくは1重量%以下という少量の水抽出可能な割合のみを含有し、これは、それらが非常に少量の化学的に結合していない成分のみを含有することを意味する。
【0079】
さらに、ポリウレタン発泡体は、例えば、ヒドロゲル、(半)透過性フィルム、発泡体フィルム、コーティング、親水コロイドまたは他の発泡体に基づく追加の材料により結合、積層またはコーティングされてもよい。
【0080】
本発明によるポリウレタン発泡体は、創傷被覆材の製造に特に適している。ここでのポリウレタン発泡体は、創傷と直接または間接的に接触し得る。ただし、例えば、創傷液の最適な吸収を確実にするために、創傷と直接接触するポリウレタン発泡体を使用することが好ましい。
【0081】
創傷被覆材として使用されるポリウレタン発泡体は、追加のプロセス工程でさらに滅菌されなければならない。滅菌のために、当業者にそれ自体公知の方法が使用され、そこでは、滅菌は、熱処理、エチレンオキシドなどの化学物質、または例えばガンマ線照射による照射によって行われる。照射は、保護ガス雰囲気下で行うことができてもよい。本発明によるポリウレタン発泡体は、それらが照射、特にガンマ線による照射によって変色しないという大きな利点を有する。
【0082】
同様に、例えば、創傷治癒、および微生物汚染の回避に関連して、抗菌成分、医薬成分もしくは生物学的活性成分、またはプラスの効果を有する他の添加剤の添加、取り込みまたはコーティングが可能である。
【0083】
本発明は、以下の成分、すなわち、
A)A1)モル質量140~278g/molの低分子量ジイソシアネートと、
A2)2以上、好ましくは2~6の範囲内、または好ましくは2.1~5の範囲内のOH官能価を有するポリアルキレンオキシド、
A3)場合により、A2に含まれない追加のイソシアネート反応性成分
から得ることができるポリウレタンプレポリマー;
C)場合により、140~278g/molのモル質量を有し、好ましくは2~6のイソシアネート官能価または2.1~5のイソシアネート官能価を有する低分子量ジイソシアネートの複素環式4員環または6員環オリゴマー;
D)場合により、触媒;
H)場合により、H1)モル質量140~278g/molの低分子量ジイソシアネートおよび/またはそれから調製可能であり、2~6のイソシアネート官能価または2.1~5のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートと、
H2)OH価10~250、または好ましくは20~200、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいてエチレンオキシド含有量50~100mol%の単官能性ポリアルキレンオキシド
との反応により得ることができる親水性ポリイソシアネート、を含むポリウレタンプレポリマー混合物であって、
ポリウレタンプレポリマー混合物、特に成分A、CおよびHが、いずれの場合もポリウレタンプレポリマー混合物の総量に基づいて、2重量%~8重量%の範囲内、または好ましくは3%~7%の範囲内、好ましくは4重量%~6.5重量%の範囲内のイソシアネート含有量と、1.0~3.5mol/kgの範囲内、または好ましくは1.5~3.0mol/kgの範囲内、または好ましくは1.7~2.8mol/kgの範囲内のウレタン基含有量とを有するポリウレタンプレポリマー混合物をさらに提供する。
【0084】
本発明によるポリウレタンプレポリマー混合物は、好ましくは、ポリウレタン発泡体を製造するための上記のプロセスにおけるようにポリウレタン発泡体に変換される。ポリウレタンプレポリマー混合物について言及されたあらゆる成分は、本発明によるプロセスに関連してこれらの成分についてすでに記載されたものと同じ特性を有する。
【0085】
本発明はさらに、創傷被覆材、化粧品または失禁用製品の製造のための、本発明によるポリウレタンプレポリマー混合物または本発明によるポリウレタン発泡体の使用に関する。
【0086】
好ましくは、創傷被覆材、化粧品または失禁用製品の製造に使用されるポリウレタン発泡体は、以下の特性、すなわち、
a)少なくとも3.5、好ましくは少なくとも4、または好ましくは少なくとも5、または好ましくは3.5~30の範囲内、または好ましくは4~30の範囲内、または好ましくは5~30の範囲内、または好ましくは7.5~25の範囲内の破壊強度対F20の比;
b)300%以上、または好ましくは500%以上、または好ましくは1000%以上、または好ましくは300~3000%の範囲内、または好ましくは400~2500%の範囲内の液体吸収;
c)50~300g/lの範囲内、または好ましくは60~200g/lの範囲内の密度;
d)少なくとも50kPa、または好ましくは少なくとも100、または好ましくは少なくとも120、または好ましくは50~500の範囲内、または好ましくは100~400の範囲内の破壊強度;
e)最大50kPa、または好ましくは最大45kPa、または好ましくは最大40kPa、または好ましくは最大20kPa、または好ましくは1~50kPaの範囲内、または好ましくは2~40kPaの範囲内、または好ましくは2~20kPaの範囲内のF20、のうちの少なくとも3つを有する。
【0087】
好ましくは、ポリウレタン発泡体は、特徴a)+b)+c)またはa)+b)+d)またはa)+b)+e)またはa)+c)+d)またはa)+c)+e)またはa)+d)+e)またはb)+c)+d)またはb)+c)+e)またはc)+d)+e)またはa)+b)+c)+d)またはa)+b)+c)+e)またはa)+c)+d)+e)またはa)+b)+c)+d)+e)の組合せを有する。
【0088】
本発明はさらに、少なくとも以下の特性、すなわち、
a)少なくとも3.5、好ましくは少なくとも4、または好ましくは少なくとも5、または好ましくは3.5~30の範囲内、または好ましくは4~29の範囲内、または好ましくは5~28の範囲内、または好ましくは7.5~25の範囲内の破壊強度対F20の比;
b)300%以上、または好ましくは500%以上、または好ましくは1000%以上、または好ましくは300~3000%の範囲内、または好ましくは400~2500%の範囲内の液体吸収;
c)50~300g/lの範囲内、または好ましくは60~200g/lの範囲内の密度;
d)少なくとも50kPa、または好ましくは少なくとも100、または好ましくは少なくとも120、または好ましくは50~500の範囲内、または好ましくは100~400の範囲内の破壊強度;
e)最大50kPa、または好ましくは最大45kPa、または好ましくは最大40kPa、または好ましくは最大20kPa、または好ましくは1~100kPaの範囲内、または好ましくは2~40kPaの範囲内、または好ましくは2~20kPaの範囲内のF20、を有するポリウレタン発泡体に関する。
【0089】
本発明はさらに、本発明によるポリウレタン発泡体または本発明に従って製造されたポリウレタン発泡体を使用して得ることができる創傷被覆材、化粧品または失禁用製品に関する。
【0090】
方法
特に指示がない限り、割合はいずれも重量に基づく。
【0091】
粘度は、DIN 53019に準拠して、23℃で決定した。
【0092】
NCO含有量は、DIN-EN ISO 11909に準拠した体積測定法により決定した。
【0093】
液体吸収は、DIN EN 13726-1:2002に準拠して決定した。吸収された液体は、以下のように、発泡体の乾燥重量の%単位で報告され、発泡体の乾燥重量は100%に相当する:
【数1】
【0094】
破壊強度、破断点伸びおよび20%伸び時の応力(F20とも呼ばれる)の報告値は、DIN EN ISO 527-2に準拠して決定した。破壊強度とは、規格の条件下で試験片材料を破壊、すなわち破断させるために費やされなければならない、試験片の単位面積当たりの力である。破断点伸びは、試験片の元の長さに基づく破壊直前の試験片材料の伸びを示す。20%伸び、すなわちF20は、元の長さの20%だけ試験片を伸ばすために、試験片材料の伸張に費やされなければならない、試験片の単位面積当たりの力の大きさを示す。
【0095】
使用される物質および略語
Desmodur(登録商標)N 3300:脂肪族ポリイソシアネート(HDIイソシアヌレート)、NCO含有量21.8%、Covestro AG、レバークーゼン、ドイツ
Baymedix(登録商標)FP520:親水化脂肪族ポリイソシアネート(親水化HDIイソシアヌレート)、NCO含有量17.4%(ウレタン含有量0.4mol/kg)、Covestro AG、レバークーゼン、ドイツ
ウレタン含有量の決定
本発明では、ウレタン含有量は、ヒドロキシル基とイソシアネート基との間のウレタン形成反応の化学量論から計算することができる。いずれの例でもヒドロキシル基はウレタン基に完全に変換されているため、以下の式を計算に使用することができる:
【数2】
【0096】
式中、OHNは、使用するヒドロキシル成分のヒドロキシル価、または複数の成分の対応する平均値を示す。可能なヒドロキシル成分の例は、単官能性または多官能性のアルコールまたはポリオールである。具体的な例は、A1)、A3)、G)またはH2)の下に記載されている。
【0097】
例えば蒸留プロセスにより、生成物混合物からウレタンを含まない成分をその後除去する場合、ポリオール含有量が増加し、ひいては生成物混合物のウレタン含有量も増加する。
【0098】
実施例4を参考にした計算例
蒸留前のウレタン含有量:
【数3】
【0099】
【0100】
例えば、ウレタン基をすでに含む反応物が使用される場合、他のウレタン形成反応が使用される場合、または競合反応が起こり得る場合(例えば、アミンの存在下での尿素生成)、ここで使用される式を修正または拡張しなければならないことは当業者には明らかであろう。
【0101】
厚さ測定
層の厚さを表示するためにHeidehain(MT25P)製のディスプレイに接続された圧縮空気ゲージを用いて、層の厚さの測定を確認した。
【0102】
密度測定
密度を決定するために、5x5cm2の寸法(角が丸く、曲線の半径が3mm)のパンチを用いて試料片を打ち抜いた。上記の方法による5倍決定(5-fold determination)の平均から高さを確認した。その後の密度の計算では、Mettler Toledo XS603S天秤を使用して試料片の質量を決定した。
【0103】
[実施例]
[実施例1](本発明)
1680gのHDIと5.0gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する2960gのポリアルキレンオキシドを滴下し、9.1%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.7mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。混合物は、5.0%のNCO含有量と、5140mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は2.4mol/kgである。
【0104】
[実施例2](本発明)
662gのHDIと1.8gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する1167gのポリアルキレンオキシドを滴下し、9.1%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.4mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。5.0%のNCO含有量と、4500mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は2.4mol/kgである。その後、5% Desmodur N 3300を加えた。混合物は、5.7%のNCO含有量と、3700mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は2.3mol/kgである。
【0105】
[実施例3](本発明)
531gのHDIと1.6gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する1169gのポリアルキレンオキシドを滴下し、5.8%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.6mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。3.7%のNCO含有量と、11500mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は2.4mol/kgである。その後、5% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、4.1%のNCO含有量と、15700mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は2.3mol/kgである。
【0106】
[実施例4](本発明)
541gのHDIと1.5gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する1059gのポリアルキレンオキシドを滴下し、7.3%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.6mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。4.5%のNCO含有量と、6690mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は2.4mol/kgである。その後、5% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、4.7%のNCO含有量と、9800mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は2.3mol/kgである。
【0107】
[実施例5](本発明)
662gのHDIと1.8gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する1167gのポリアルキレンオキシドを滴下し、9.1%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.4mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。5.0%のNCO含有量と、4500mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は2.4mol/kgである。その後、5% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、5.2%のNCO含有量と、7030mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は2.3mol/kgである。
【0108】
[実施例6](本発明)
4616gのHDIと12gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する7384gのポリアルキレンオキシドを滴下し、10.4%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.3mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。5.5%のNCO含有量と、3450mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は2.4mol/kgである。その後、5% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、5.9%のNCO含有量と、4100mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は2.3mol/kgである。
【0109】
[実施例7](本発明)
4984gのHDIと12gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する7016gのポリアルキレンオキシドを滴下し、12.5%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.3mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。5.7%のNCO含有量と、2670mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は2.3mol/kgである。その後、5% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、6.1%のNCO含有量と、3220mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は2.2mol/kgである。
【0110】
[実施例8](本発明)
420gのHDIと1.6gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する1021gのポリアルキレンオキシドを滴下し、23.5%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.4mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。7.5%のNCO含有量と、905mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は2.2mol/kgである。その後、5% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、8.0%のNCO含有量と、1440mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は2.2mol/kgである。
【0111】
[実施例9](本発明)
710gのHDIと0.5gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、400g/molのモル質量(OH価281mg KOH/g)を有する200gのポリエチレングリコールを滴下し、7.5%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.4mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。5.0%のNCO含有量と、15900mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は3.2mol/kgである。その後、5.0% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、5.1%のNCO含有量と、23100mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は3.0mol/kgである。
【0112】
[実施例10](本発明)
361gのHDIと2.1gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および89%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、998g/molのモル質量(OH価112mg KOH/g)を有する1216gのポリアルキレンオキシドを滴下し、15.8%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.4mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。4.9%のNCO含有量と、1360mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は1.5mol/kgである。その後、5.0% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、5.5%のNCO含有量と、2020mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は1.5mol/kgである。
【0113】
[実施例11](本発明ではない)
1260gのHDIと2.0gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および78%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、3951g/molのモル質量(OH価28.4mg KOH/g)を有する1972gのポリアルキレンオキシドを滴下し、18.1%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.5mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。2.0%のNCO含有量と、3690mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は0.5mol/kgである。その後、5.0% Baymedix(登録商標)FP520を加えた。混合物は、2.6%のNCO含有量と、4250mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は0.5mol/kgである。
【0114】
[実施例12](本発明ではない)
実施例10および11から得られたイソシアネート含有混合物を1:1の比で混合した。混合物は、4.3%のNCO含有量と、2940mPasの粘度とを有した。計算されたウレタン含有量は0.97mol/kgである。
【0115】
[実施例13](本発明ではない)
1130gのHDIと1.78gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、652gのテトラエチレングリコール(OH価580mg KOH/g)を滴下し、15.7%のNCO含有量が達成されるまで(3.5時間)混合物の撹拌を続けた。計算されたウレタン含有量は3.8mol/kgである。室温に冷却している間に、白色固体を形成する結晶化があった。固体特性のために、材料を加工して発泡体を得ることができなかった。
【0116】
[実施例14](本発明ではない)
998gのHDIと1.9gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、873gのテトラエチレングリコール(OH価580mg KOH/g)を滴下し、6.4%のNCO含有量が達成されるまで(7時間)混合物の撹拌を続けた。計算されたウレタン含有量は4.8mol/kgである。室温に冷却している間に、白色固体を形成する結晶化があった。固体特性のために、材料を加工して発泡体を得ることができなかった。
【0117】
[実施例15](本発明ではない)
1184gのHDIと2.58gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で2時間以内に、グリセロール、および72%のエチレンオキシドの重量割合および28%のプロピレンオキシドの重量割合から開始して、4680g/molのモル質量(OH価36mg KOH/g)を有する1395gのポリアルキレンオキシドを滴下し、21.4%のNCO含有量が達成されるまで(2.5時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.1mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。2.5%のNCO含有量と、3500mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は0.6mol/kgである。
【0118】
[実施例16](本発明ではない)
2805gのHDIと3.25gのリン酸ジブチルとの混合物に、80℃で30分以内に、1,3-プロピレングリコール、および87%のエチレンオキシドの重量割合から開始して、591g/molのモル質量(OH価190mg KOH/g)を有する649gのポリアルキレンオキシドを滴下し、37.6%のNCO含有量が達成されるまで(1時間)混合物の撹拌を続けた。140℃および0.5mbarでの薄膜蒸留によって、過剰量のHDIを除去した。9.1%のNCO含有量と、700mPasの粘度とを有するプレポリマーが得られた。計算されたウレタン含有量は2.2mol/kgである。その後、5.0% Desmodur N 3300を加えた。混合物は9.3%のNCO含有量を有し、計算されたウレタン含有量は2.1mol/kgである。
【0119】
実施例からの発泡体の製造
Sarstedt製の500ml PPカップに、実施例から得られたプレポリマー混合物をそれぞれ導入し、930rpmの速度で15秒間にわたりPendraulik(Disperlux green 037)製の撹拌機を用いて均質化した。その後、規定された量(表1)を加えた。水相は、93.5%の水、1.3%の炭酸水素ナトリウム、0.4%のクエン酸一水和物および4.8%のPluronic PE6800からなった。次いで、混合物をさらに7秒間撹拌した。コーティングバー(ギャップ高さ1500μm)を用いて、Felix Schoeller製の剥離紙(Y05200)に混合物を塗布した。60秒後(実験の開始に基づいて)、Felix Schoeller(Y05200)製の針処理した剥離紙を貼った。得られた発泡体を室温で一晩放置して乾燥させた。
【表1】
【0120】
本出願の冒頭ですでに述べたように、例えば、最適化された特性を有する創傷被覆材の製造に適した発泡体を提供することが望ましい。これらの最適化された特性には、高い破断点伸びを伴う最大の柔軟性、および最大の吸収能力が含まれる。表1の値から、本発明の実施例のF20値はいずれも50kPa未満であり、破壊強度対F20値の比は3.5を超えることがわかる。対照的に、本発明ではない実施例は、いずれの場合にもそのような組合せを有しないため、柔軟性がはるかに低く、および/または耐引裂性が不十分であり、ひいては創傷被覆材として使用するのに適していない。さらに、本発明によるイソシアネート含有例を使用して、50~300g/lの所望の密度範囲内、特に60~200g/lの好ましい範囲内の発泡体を製造することは容易に可能であった。