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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】血液処理システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A61M1/16 101
A61M1/16 107
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020564602
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 GB2019051403
(87)【国際公開番号】W WO2019224533
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】1808381.6
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517165302
【氏名又は名称】スペクトラム メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】バウアーズ、 スコット
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-213851(JP,A)
【文献】特表2018-500972(JP,A)
【文献】国際公開第2017/211460(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がガス入口及びガス出口を含む複数のガス通路と、前記ガス通路とガス-血液界面
を有するように配置された血液通路とを備える血液ガス管理装置であって、
前記血液ガス管理装置は、供給ガスの前記ガス入口から前記ガス通路を通って前記ガス
出口への流れを可能にし、血液流路内の血液の前記血液通路を通る流れを可能にして、前
記ガス-血液界面を介して血液ガスと前記供給ガスとの交換を可能にするように構成され

前記血液ガス管理装置は、前記血液流路に対して異なる方向から前記ガス-血液界面に
前記供給ガスを提供することができるようにする供給ガス分配構成を含み、
第1のガス通路が、第2のガス通路のガス出口の方向にガス入口を備え、それにより、前記第1のガス通路は、ガスを前記第2のガス通路に対して対向流に導くように構成され、
前記第1のガス通路及び前記第2のガス通路が、前記血液流路に対して順次配置されている、
血液ガス管理装置。
【請求項2】
前記供給ガス分配構成は、前記血液流路の少なくとも一部または全部を第1の方向に横
断する第1のガス供給を提供し、前記血液流路の少なくとも一部または全部を前記第1の
方向とは異なる第2の方向に横断する第2のガス供給を提供するように構成される、請求
項1に記載の血液ガス管理装置。
【請求項3】
血液の流れに対して異なる方向にガス出口から排気ガスを抽出するように構成された排
ガス除去システムをさらに備える、請求項1または2に記載の血液ガス管理装置。
【請求項4】
前記排気ガス除去システムは、多方向ガス通路の異なるガス出口への共通接続を含む、
請求項に記載の血液ガス管理装置。
【請求項5】
前記ガス通路の少なくとも一部または全部が、ガス透過性壁を有する中空繊維によって
提供される、請求項に記載の血液ガス管理装置。
【請求項6】
前記ガス通路の各端部にガスチャンバを有する体外人工肺に含まれ、各ガスチャンバは
複数のコンパートメントに分離され、各コンパートメントは別個のグループのガス通路を
介してガスを導くことを可能にする、請求項1に記載の血液ガス管理装置。
【請求項7】
前記ガス入口に入るおよび/または前記ガス出口から出る供給ガスの少なくとも一つの
ガス値を取得するように構成されたガスセンサ構成を含み、前記少なくとも一つのガス値
は、ガス流量、ガス圧力、ならびに/または二酸化炭素、酸素、窒素、および/もしくは
これらの組み合わせのパーセンテージを含む、請求項1に記載の血液ガス管理装置。
【請求項8】
前記ガス-血液界面に流入および/または流出する血液の少なくとも一つの血液値を得
るように構成された血液センサ構成を含み、前記少なくとも一つの血液値は、血流量、血
圧、血液温度、ならびに/または二酸化炭素、酸素、窒素、および/もしくはそれらの組
み合わせのパーセンテージを含む、請求項1に記載の血液ガス管理装置。
【請求項9】
一つ以上の血液値または一つ以上のガス値を入力として受け取り、前記ガス値および/
または前記血液値に応答して少なくとも一つのガス流パラメータを調節するように構成さ
れた供給ガス制御システムを含み、前記少なくとも一つのガス流パラメータは、前記供給
ガスの組成および/または流量を含む、請求項7または8に記載の血液ガス管理装置。
【請求項10】
前記複数のガス通路は、人工肺または二酸化炭素管理装置の一部である、請求項1に記載の血液ガス管理装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、血液処理装置および方法に関する。特に、本発明は、体外血液酸素化(extracorporeal blood oxygenation)および二酸化炭素制御のような、肺をバイパスするシステムにおける血液から二酸化炭素を除去するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
体外膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenators)などの血液ガス処理装置は、血液ガス組成物を、ガス-血液界面を介して供給ガスに血液を曝露することによって調節することを可能にする。ガス-血液界面は、中空繊維のガス透過性壁の形態で設けられ得、ガスは中空繊維の内部管腔を通過し、血液は中空繊維の外部を横切って流れる。ガス透過性壁を横切るガス交換は、血液ガスと供給ガスとの間の相対分圧の分圧勾配によって促進される。ガス交換後、供給されたガスは排気ガスとして除去される。
【0003】
体外膜型人工肺では、出て行く(outgoing)血液(出て行く血液とは血液ガス処理装置を出る血液である)中の酸素分圧は、供給ガスの組成を調節することにより制御可能である。出て行く血液中の二酸化炭素分圧は、ガス血液界面を通過する供給ガスの流量(flow rate)を調節することによって制御可能である。
【0004】
本出願人による国際特許出願PCT/GB2015/053694は、WO2016/087859として公開されており、その内容を参照により援用するが、供給ガスに対する排気ガスの流量を制御するための流量制御構成を有する酸素化システムを開示している。また、WO2016/087859は、低流量で高精度の酸素含有量の供給ガスを調製するためのブレンダーを開示している。WO2016/087859に開示されたブレンダーおよび流量制御構成は、供給ガスの低い流量を維持するために使用することができ、同時に高度の混合精度を可能にし、酸素化ガス(oxygenation gas)供給よりも高いが、低い適切な流量で排気ガスを引き出すことを可能にする。WO2016/087859のようなシステムは、出て行く血液中の酸素と二酸化炭素の分圧の同時調節を可能にする。
【0005】
本発明は、既存の血液ガス交換装置をさらに改良することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載の血液ガス管理装置が提供される。血液ガス管理装置は、各々がガス入口及びガス出口を含む複数のガス通路と、ガス通路とガス-血液界面を有するように配置された血液通路とを備える。血液ガス管理装置は、供給ガスのガス入口からガス通路を通ってガス出口への流れを可能にし、血液流路内の血液の血液通路を通る流れを可能にして、ガス-血液界面を介して血液ガスと供給ガスとの交換を可能にするように構成される。血液ガス管理装置は、血液流路に対して異なる方向(different directions)からガス-血液界面に供給ガスを提供することができるようにする供給ガス分配構成(supply gas distribution arrangement)を含む。
【0007】
血液ガス管理装置のレイアウトは、ガス入口とガス排気口との間の複数のガス通路(例えば、数千本の中空繊維)として視覚化することができる。血液はガス通路の外側を横切って流れることができる。
【0008】
本メカニズムは、血液から排気ガスへの二酸化炭素移動の大部分がガス-血液界面の比較的早期に起こるという認識に基づいている。ガス交換は、血液中およびガス通路中の二酸化炭素分圧の差(differential)によって駆動される。本明細書において、差のことをいうとき「勾配」という表現が用いられる場合もある。二酸化炭素の移動性のために、差はガス通路に沿って急速に減少する。したがって、ガス通路に沿ってかなりすぐに、ガス移動を駆動する差、したがって勾配が減少する。
【0009】
既存のシステムでは、ガス流量を変えることにより二酸化炭素交換を調節できる。例示として、増加したガス流量によって、単位時間当たりにより多くの「新鮮な」供給ガスがさらにガス通路内に輸送されることが達成される。しかし、酸素のような他のガス成分の規定されたガス交換を維持することのような実際的な考慮によって、ガス流の調節には限界がある。
【0010】
本メカニズムは、ガス通路の長さにわたってより良いガス移動勾配を提供する。血液流路に対して異なる方向からガスを供給することにより、より良好なガス移動勾配が達成される。これにより、関連するガス成分の分圧の差がより大きい新鮮な供給ガスを、ガス通路の下流領域の血液に向けることができる。「新鮮な」供給ガスとは、まだ、ガス-血液界面において血液に曝露されていない供給ガスを意味する。
【0011】
異なる方向からのガス供給は、双方向または多方向のガス供給であってもよく、ガスは、特にガス-血液界面を通って、血液流路に対して2つ以上の異なる方向に沿って供給される。ガス供給は、血液の流れに対して対向流に配置された二つ以上のガス通路を有する双方向性であってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、供給ガス分配構成は、血液流路の少なくとも一部または全部を第1の方向に横断する第1のガス供給(first supply of gas)を提供し、血液流路の少なくとも一部または全部を第1の方向とは異なる第2の方向に横断する第2のガス供給(second supply of gas)を提供するように構成される。
【0013】
第1および第2の供給は、同じ組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。第1および第2の供給は、同じ流量または異なる流量を有することができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、少なくとも一つのガス通路が、別のガス通路のガス出口の方向にガス入口を備え、それにより、その少なくとも一つのガス通路は、ガスを他のガス通路に対して対向流に導くように構成される。
【0015】
対向流構成(counter flow arrangement)は、本発明を平行ガス通路を用いて実施することを可能にする。これにより、血液ガス管理装置の構成を容易にすることができる。例えば、これは、ガス供給の設計を容易にすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つ以上の多方向ガス通路が、血液流路に対して順次(in series)配置される。
【0017】
順次配置とは、血流の方向において、第1のガス通路が第2のガス通路の上流で血液を横断することを意味する。これにより、ガス通路を横切って流れる血液は、第2のガス通路に曝される前に、第1のガス通路に曝される。
【0018】
いくつかの実施形態では、血液ガス管理装置は、血液の流れに対して異なる方向(different directions)にガス出口から排気ガスを抽出するように構成された排気除去システムをさらに含む。
【0019】
排気ガス除去システムは、WO2016/087859に記載されているように構成することができる。排気ガス除去システムは、ガス通路の排気ガス流量をガス通路の供給ガス流量に対して調節させることができる。例えば、排気ガス流量は、閉ループ制御によって、供給ガスの流量に一致するか、またはそれを超えるように調節することができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、排気ガス除去システムは、多方向ガス通路の異なるガス出口(different gas outlets)への共通接続を含む。
【0021】
排気ガス除去システムは、真空または他の適切な低圧源によって補助されてもよい。排気ガス除去システムは、ガス通路の排気コンパートメント内に補助通気孔を備えることができる。補助通気孔は、ガス-血液界面での過圧に対する安全保護機構を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態において、ガス通路の少なくとも一部又は全部は、ガス透過性壁を含む中空繊維によって提供される。
【0023】
ガス透過性は、中空繊維の壁が、ガスによって、繊維の内側から壁を横切って、血液が流れることができる繊維の外側へガス交換を可能にすることを示すと理解されるであろう。
【0024】
いくつかの実施形態では、血液ガス管理装置は、ガス通路の各端部にガスチャンバを有する体外人口肺(extracorporeal oxygenator)に含まれ、各ガスチャンバは複数のコンパートメントに分離され、各コンパートメントは、別個のグループのガス通路を介してガスを導くことを可能にする。
【0025】
既存の人工肺(oxygenator)の設計は、入口ゾーン及び排気ゾーンを有する所定のガス通路を有する。例えば、中空繊維人工肺は、一般的な人工肺の設計であり、各々が入口から排気へのガス通路を提供する数千の中空繊維を含む。各ファイバーの一方の端部はガス入口ゾーンに至り、各ファイバーの他方の端部はガス排気ゾーンに至る。本発明は、このような公知の中空繊維設計が、対向流で少なくともいくつかのガスを供給することによって、すなわち、ガスの一部が、従来のガス排気ゾーンである方向から、従来のガス入口ゾーンである方向に供給されることによって、修正され得ることの理解に基づく。
【0026】
ガスチャンバは、一つ以上の仕切り(partitions)によって複数のコンパートメントに分離することができ、各部は、ガス-血液界面の異なる領域との境界を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、血液ガス管理装置は、ガス入口に入るおよび/またはガス出口から出る供給ガスの少なくとも一つのガス値を得るように構成されたガスセンサ構成(gas sensor arrangement)を含み、その少なくとも一つのガス値は、ガス流量、ガス圧力、ならびに/または二酸化炭素、酸素、窒素、および/もしくはこれらの組み合わせのパーセンテージを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、血液ガス管理装置は、ガス-血液界面に流入および/または流出する血液の少なくとも一つの血液値を得るように構成された血液センサ構成(blood sensor arrangement)を含み、その少なくとも一つの血液値は、血流量、血圧、血液温度、ならびに/または二酸化炭素、酸素、窒素、および/もしくはそれらの組み合わせのパーセンテージを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、血液ガス管理装置は、一つ以上の血液値または一つ以上のガス値を入力として受け取り、ガス値および/または血液値に応答して少なくとも一つのガス流パラメータを調節するように構成された供給ガス制御システムを含み、その少なくとも一つのガス流パラメータは、供給ガスの組成および/または流量を含む。
【0030】
上述のセンサ構成および制御システム構成は、血液ガス管理制御システムの一部であってもよい。上述の構成は、血液ガス管理装置と作動的に連結されてもよく、装置のハウジングの外側に位置してもよい。
【0031】
多方向ガス通路を通るガスの供給は、ガス組成及び/又はガス流量に関して調節することができる。センサ構成及び制御システムと共に、これは、血液ガス値を設定値又は目標値に向けて自動的に調節することを容易にする閉ループ制御又はフィードバックループを提供する。
【0032】
ガスおよび/または血液の流量および/または組成を制御する機構と作動的に連結されたセンサはそれぞれ、所定の設定点でPaO、PaCOおよび/または温度などの特定の特性を維持するために、供給ガスおよび/または血液流を調節する閉ループ制御を可能にする。
【0033】
特性を「維持する」とは、システムは、ガスパラメータ(フロー、組成)を補償することに応答し、それにより、所定の設定点についての一時的な変動を補うことを意味する。
【0034】
例えば、センサは、第1の方向にガス供給を伴う第1の数の繊維と第2の方向にガス供給を伴う第2の数の繊維とを横断した血液の血液二酸化炭素が、目標二酸化炭素レベルに対して十分に低くないことを記録することができる。制御システムは、例えば、酸素化性能に望ましくない影響を与えることになるため、第1のガス供給のガス流量を変更することによって、出て行く血液中の二酸化炭素レベルを低下させることができないと判断することができる。この場合、血液ガス管理装置は、第1のガス供給の調節を回避するために、第2の方向におけるガス供給の流量および/または組成を調節して、血液二酸化炭素値をさらに低減することができる。
【0035】
本発明の第二の態様によれば、請求項12に記載の血液ガス管理装置を使用する方法が提供される。血液ガス管理装置は、各々がガス入口及びガス出口を含む複数のガス通路と、ガス通路とガス-血液界面を有する血液通路とを備える。この方法は、ガス入口からガス通路を通ってガス出口に供給ガスの流れを導くステップと、血液流路内の血液の血液通路を通る流れを可能にして、界面を介した血液ガスと供給ガスとの交換を可能にするステップとを含む。この方法はさらに、血液流路に対して異なる方向(different directions)からガス-血液界面に供給ガスを供給することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、この方法は、血液流路の少なくとも一部または全部を第1の方向に横断する第1のガス供給を提供することと、血液流路の少なくとも一部または全部を第1の方向とは異なる第2の方向に横断する第2のガスの供給を提供することとを含み、任意選択的に、第1のガス供給に対して対向流で第2のガス供給を提供することを含んでよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、この方法は、血液流路に対して順次に少なくとも二つ以上の多方向ガス通路を提供することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、この方法は、血液の流れに対して異なる方向(different directions)にガス出口から排気ガスを抽出することを含み、任意選択的に、多方向ガス通路の異なるガス出口(different gas outlets)に接続された共通の排気ガス除去システムを使用して排気ガスを抽出することを含んでよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、この方法は、ガス通路の各端部にガスチャンバを有する体外人工肺において使用され、各ガスチャンバは複数のコンパートメントに分離され、この方法は、別個のグループのガス通路を介して異なるガス供給を導くことを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、この方法は、ガス入口に入るおよび/またはガス出口から出る供給ガスの少なくとも一つのガス値を得るために、ガスセンサ構成を使用することを含み、その少なくとも一つのガス値は、二酸化炭素、酸素、窒素、および/またはそれらの組み合わせを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、この方法は、ガス-血液界面に流入および/または流出する血液の少なくとも一つの血液値を得るように構成された血液センサ構成を含み、その少なくとも一つの血液値は、二酸化炭素、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、この本方法は、フィードバックループを使用して、ガス値及び/又は血液値に応答して少なくとも一つのガス流パラメータを調節することを含み、その少なくとも一つのガス流パラメータは、供給ガスの組成及び/又は流量を含む。
【0043】
血液ガス管理装置または方法のいくつかの実施形態では、複数のガス通路は、人工肺または二酸化炭素管理装置の一部である。
【0044】
人工肺または装置は、体外装置、装着可能装置、または移植可能装置であってよい。
【0045】
図の説明
以下、図を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、先行技術の人工肺の構成を示す。
図2図2は、図1の装置の作動中に予想されるガス移動勾配を示す。
図3図3は、血液ガス管理装置の概略図である。
図4図4は、図3の装置の一つの作動モードで予想されるガス移動勾配を示す。
図5図5は、別の血液ガス管理装置の概略図である。
図6図6は、血液ガス管理方法のシーケンスのステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
説明
図1は、体外換気に使用される公知の人工肺1中に見出されることが期待される要素を示す。人工肺1は、酸素および低パーセンテージの二酸化炭素を含む供給ガスに酸素低下した、または静脈血液を曝露するために提供される。供給されたガス中の二酸化炭素の割合は、実質的に0であってもよい。血液と供給ガスとの間のガス交換の間、酸素が豊富で二酸化炭素が減少した動脈血が提供されるために、血液は酸素化され、二酸化炭素が除去される。人工肺1は、静脈血液が人工肺1に供給される血液入口2と、往々にして患者に戻される動脈血としてさらなる使用のために人工肺1から出て行く血液が出る血液出口3とを含む血液通路を含む。また、人工肺1は、入口チャンバ(inlet chamber)5を介してガス-血液界面7を通り、排気チャンバ(exhaust chamber)8を介して排気通路9に至るスイープガス供給部(sweep gas supply)4を含むガス通路を備える。
【0048】
現代のガス-血液界面は、典型的には、微小多孔性のガス透過性特性を有する数千の中空の微小多孔性繊維の束を含む。スイープガスは繊維の内部、中空空間を通って供給され、繊維の周りの血流とガス交換は血液とガス中の酸素と二酸化炭素それぞれの濃度間の相対的ガス移動勾配によって促進される。中空繊維は、典型的には、入口チャンバ5および排気チャンバ8からの血液通路をシールする、いわゆるポッティング7と呼ばれる樹脂によってその端部で一緒に保持される。この設計は、入口チャンバ5からガス-血液界面6を通るガス流の状態、特に流量及び体積が、単一の静的ガス供給ポートから予想されるように、制御可能である限り均一であると予想されるようなものである。血液が酸素分子を拾い上げるにつれて酸素含有量が徐々に減少し、血液二酸化炭素から酸素化ガスへの拡散によって二酸化炭素含有量が徐々に増加しているので、動作中、ガス組成および圧力は、中空繊維に沿って入口側ポッティング7から出口側ポッティング7に向かって変化することが理解されるであろう。しかしながら、入口チャンバ5から所定の距離の間、中空繊維を通るガス流の状態はスウィープガス供給部4のパラメータによって決定され、実質的に均質である。
【0049】
このような人工肺のタイプの目的は、出て行く血液中の酸素分圧PaO2を調節することである。目的は、出て行く血液中の二酸化炭素分圧PaCO2を調節することであってもよい。PaO2は酸素化ガスの酸素百分率(すなわち酸素分圧)を調節することによって調節することができ、残りの成分は主に窒素である。PaCO2は、酸素化ガスの流量を調節することによって調節することができる。本出願人のWO2016/087859およびWO2016/087861に記載されているような酸素化ガス供給システムを用いて、酸素化ガスの組成および流量の両方を同時に制御することができ、これにより、出て行く血液中で予想されるPaO2およびPaCO2の両方を同時に調節することができる。
【0050】
図2は、使用中の人工肺1の二酸化炭素ガス移動勾配を概略的に示す。図2及び図1において、同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一の構成要素の説明は、図1に対応する場合には繰り返さない。血液ガスと供給されたガス成分との交換は、膜を横切る勾配(中空繊維の内側から外側に向かって)によって駆動される。勾配が大きいほど、ガスの移動が効率的になる。図2は、血液からガス通路への二酸化炭素の移動を駆動する勾配を示す。静脈血液が血液入口2を介して入ると(図2の読取方向、左上隅)、血液は比較的高い二酸化炭素分圧を有する。ガス-血液界面に入ると、血液は、実質的にゼロの二酸化炭素分圧のスウィープガス供給部4からの新鮮な供給ガスに曝される。最初に、ガス通路に二酸化炭素を移動させる高いガス移動勾配がある。血液がガス-血液界面6を通って血液出口3に向かって流れる(図2の読取方向に流下する)につれて、血液二酸化炭素は減少し、したがってガス移動勾配は供給ガスに対して減少する。また、ガス通路(図2の読取方向、左側の入口チャンバ5から右側の排気チャンバ8まで)に沿って、供給ガス中の二酸化炭素分圧が上昇するため、ガス移動勾配が小さくなる。要約すると、ガス移動勾配は、ガス-血液界面(a)を横切って、ガス通路の方向の血液流路(b)の方向に減少する。二酸化炭素ガス移動勾配は、ガス-血液界面6内のより明るいおよびより暗いディザリングによって概略的に示される。より明るいディザリングはガス移動勾配を示し、血液からの二酸化炭素の除去を促進する可能性が高い。より暗いディザリングは、より小さいガス移動勾配を示し、二酸化炭素の除去速度が、明るいディザリング領域よりも遅い。
【0051】
図3は、本発明の実施形態による人工肺10を示す。人工肺10は、人工肺10を通る血液通路を提供する血液入口12及び血液出口14を備える。人工肺10は、複数の中空繊維が設けられたガス-血液界面32を含み、これら中空繊維は、一端がポッティング30により、他端がポッティング36により束として保持される。人工肺10内では、ガス-血液界面32のポッティング30、36の外側の空間は、ガス-血液界面の各側に一つずつのガスチャンバを提供する。各ガスチャンバは、ガス通路にガス-血液界面32を提供する。
【0052】
人工肺10は三つのガス経路を備え、その各々はガス供給部を介してガスチャンバに向かい、ガス-血液界面のガス通路を通り、反対側のガスチャンバを介して排気ラインに入る。
【0053】
第1ガス経路は、ガス-血液界面32に向かって供給ガスを提供する第1スイープガス流制御部24Aを備えた第1スイープガス供給部22Aを備える。第1ガス経路は、第1ガスチャンバ内の第1入口コンパートメント26Aを介して、ポッティング30を通ってガス-血液界面32内、特に中空繊維の第1グループ34A内に至り、ガス-血液界面32からポッティング36を通って第2ガスチャンバの第1排気コンパートメント40A内に至り、そこから第1排気ライン42Aを介して排気ガスが除去される。
【0054】
第2ガス経路は、第1ガス経路に順次対応し、その整数には、接尾辞「-A」の代わりに、「-B」が付されている。第2ガス経路は、第1のガス経路の反対方向に延び、第2のスウィープガス流制御部24Bを備えた第2のスウィープガス供給部22Bを備え、ガス-血液界面32に向かって供給ガスを提供する。第2のガス経路は、第2のガス経路の向きが反対であるため第2のガスチャンバ内にある第2入口コンパートメント26Bを介して、ポッティング36を通ってガス-血液界面32内、特に中空繊維の第2のグループ34B内に至り、ガス-血液界面32からポッティング30を介して第1ガスチャンバ内にある第2排気コンパートメント40B内に至り、ここから第2排気ライン42Bを介して排気ガスが除去される。
【0055】
第3ガス経路は、第1ガス経路に順序及び方向で対応し、その整数には接尾辞「-A」の代わりに「-C」が付されている。第3ガス経路は、第1ガス経路に平行に且つ第2のガス経路の反対方向に延び、第3のスウィープガス流制御部24Cを有する第3のスウィープガス供給部22Cを備え、ガス-血液界面32に向かって供給ガスを提供する。第3ガス経路は、第1ガスチャンバ内の第3入口コンパートメント26Cを介して、ポッティング30を通ってガス-血液界面32内、特に中空繊維の第3グループ34C内に至り、ガス-血液界面32からポッティング36を通って第2ガスチャンバ内の第3排気コンパートメント40C内に至り、そこから第3排気ライン42Cを介して排気ガスが除去される。
【0056】
人工肺10は、ガス入口領域において気密であるハウジングを含む。特に、第1、第2及び第3入口コンパートメント26A、26B及び26Cは、ガス-血液界面32に入る前の供給ガスの汚染を避けるために気密である。他方の端部では、第1、第2および第3排気コンパートメント40A、40Bおよび40Cは、ガス-血液界面32内の圧力の蓄積を回避するために、環境との圧力平衡を可能にするいくつかの開口部を備えてもよい。
【0057】
血液入口12と血液出口14との間の血液通路は、ガス-血液界面32によって、入口側ポッティング30と出口側ポッティング36とで境界され、中空繊維34を囲むポッティング内部の空間によって構成される。
【0058】
ガスチャンバ内に、人工肺10は、複数(ここでは:4)の仕切り28、すなわち、仕切り28A、28B、28C、28Dを備え、仕切り28は、二つのガスチャンバをそれぞれ複数(ここでは:3)のガスコンパートメントに分離する。人工肺10の一端では、第1ガスチャンバは、二つの仕切り28A及び28Bによって、第1入口コンパートメント26A、第2排気コンパートメント40B及び第3入口コンパートメント26Cに分離され、人工肺10の他端では、第2のガスチャンバは、二つの仕切り28C及び28Dによって、第1排気コンパートメント40A、第2入口コンパートメント26B及び第3排気コンパートメント40Cに分離される。
【0059】
各コンパートメント26A、26B、26Cおよび40A、40B、40Cは、それぞれポッティング30または36の異なる部分に隣接しているとみなすことができる。したがって、各ガス入口コンパートメント及び各ガス排気コンパートメントは、ガス-血液界面32と異なる境界を有する。この構成により、仕切りを追加することにより、既知の人工肺中空繊維設計を対向流ガス供給に利用することができる。図3の構成は、同じ血液経路の異なる領域を横断する複数の(ここでは:3)ガス経路、または複数のグループのガス通路を提供することが理解されよう。これは、無菌の血液通路を提供することを容易にする。
【0060】
第1入口コンパート26Aに接続する中空繊維束は、第1スイープガス供給部22Aによって供給可能であり、同様に、第2入口コンパート26Bに接続する繊維は、第2スイープガス供給部22Bによって供給可能であり、第3入口コンパート26Cに接続する繊維は、第2スイープガス供給部22Cによって供給可能である。
【0061】
仕切り28A~28Dは、図3の固定位置に示されている。仕切り28A~28Dは、例えば人工肺の設計に従って、所定の位置に固定することができる。仕切り28A~28Dは、異なる位置に再配置可能であってよい。再配置可能な仕切りにより、第1ガス通路、第2ガス通路、または第3ガス通路を介して供給されるファイバの数を変更することができる。さらに、再配置可能な仕切りは、ガス入口コンパートメントと対応するガス排気コンパートメントとの位置合わせを容易にする。仕切り28A~28Dは、ポッティング30および36を横切って移動可能であり得る。これにより、中空繊維のグループ34A、34B、34Cの互いに対する数の比率、ひいては面積を変化させることができる。
【0062】
仕切り28A~28Dは、ポッティング30及び/又は36に対してシールする必要は必ずしもなく、それは、それぞれの他の領域(例えば、第1ガス入口コンパートメント26Aから中空繊維の第2のグループ34Bへ)に浸入する少量のガスが許容可能であり得るからである。また、中空繊維は密に充填され、仕切りの縁部は中空繊維の直径よりも大きくてもよい。入口に面するポッティング30又は36に接触する仕切りの縁部は、仕切りで覆われた中空繊維が実質的にガスを供給できないように、一定量の中空繊維を覆うことができる。逆に、仕切り28がそれぞれのポッティング30または36と密接に接触していない場合、仕切りの真下の中空繊維はスイープガスによって供給されず、代わりに、スイープガスが仕切りの周りで隣接する排気コンパートメントに吸引されてもよい。
【0063】
各スイープガス供給部22A、22B、22Cは、各スイープガス流量制御部24A、24B、24Cによって個別に制御可能である。各スイープガス供給は、個別に制御可能であってよい。スウィープガスは、ガス-血液界面に供給されることが意図された組成を有すると理解される。
【0064】
排気コンパートメント40A、40B及び40Cは、人工肺10のハウジング内のスリットのような、外側への一つ以上の開口部を含むことができる。開口部は、ガス通路を過度に加圧することに対する機構を提供する補助通気孔を提供する。
【0065】
図4は、使用中の人工肺10の二酸化炭素ガス移動勾配を概略的に示す。図4及び図3において、同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一の構成要素の説明は、図3に対応する場合には繰り返さない。図2と同様に、二酸化炭素ガス移動勾配は、ガス-血液界面32内のより明るいディザリングおよびより暗いディザリングによって示される。より明るいディザリングは、より大きい二酸化炭素ガス移動勾配を示し、血液からの二酸化炭素除去を促進する可能性が高い。より暗いディザリングは、より小さいガス移動勾配を示し、二酸化炭素の除去速度が、明るいディザリング領域よりも遅いことを示す。
【0066】
図2と同様に、図4のガス移動勾配は、ガス-血液界面(a)を横切って、ガス通路内のガス流の方向にある血液流路(b)の方向に減少する。しかし、図2とは対照的に、図4の構成には対向流の3つのガス経路が存在するため、排気コンパートメント40A付近の中空繊維の第1のグループ34Aを通過した血液は、低二酸化炭素パーセントの「新鮮な」供給ガスによって供給される中空繊維の第2のグループ34Bと接触する。供給ガスの二酸化炭素のパーセンテージは実質的に0であり得、したがって拡散勾配は、後続のガス経路で比較的大きく、それは図4において、第2入口コンパートメント26Bの近くのより明るいディザリングによって示される。複数の(ここでは:3)対向流のガス通路を通過させた後、血液出口14で流出する血液は、図2の比較における同じ数の中空繊維と比較して、より低い二酸化炭素分圧を有する。
【0067】
図4に示されるように、複数のガス通路は、互いに対向して流れ、血液入口12と血液出口14との間のガス通路のそれぞれを通過して血液が流れるように、連続して順次血液通路を横切る。
【0068】
図1図3の実施形態の比較の中空繊維の数は同一であってもよいことに留意されたい。実際、本発明は既知の中空繊維界面設計で使用することができると考えられる。図3の実施形態は、血液流路に対して異なる方向から供給ガスを提供することによって、図1の比較よりも優れた二酸化炭素除去を達成する。
【0069】
供給ガスの状態、流量および組成は、所与の血液ガス管理装置について、血液出口14における出て行く血液中の所定の血液ガス組成を達成するように設定されることが理解されよう。
【0070】
血液ガス管理装置は、一つ以上の血液ガス値を同時に設定するために使用することができる。例えば、酸素及び/又は二酸化炭素の分圧を同時に設定するためにシステムを使用することができる。システムは、各ガス供給の供給ガス条件を個別に調整するオプションを提供する。実施形態において、二つ以上の供給ガスラインが、同じガス源によって供給され、マニホールドを介してガス-血液界面に分配されてもよい。例えば、供給ガスは、共通の供給源によって供給される同じ組成を有してもよく、各通路を通る流量は別々に調節される。
【0071】
同様に、排気ガスの除去は、ガス通路毎に別々に行ってもよいし、2以上のガス通路に共通の排気ガス抽出源を用いて行ってもよい。
【0072】
図5は、図3の変形例を示す。図5及び図3において、同じ構成要素には同じ符号を使用し、同じ構成要素の説明は、図3に対応する場合には繰り返さない。図5の構成では、三つの排気ライン42A、42B及び42Cは、マニホールド44内に至り、そこから共通の排気ライン46を介して排気ガスが除去される。
【0073】
図6は、血液ガスの移動を管理する方法50を示す。方法50は、図3または図5の装置10または10Aなどの血液処理装置を提供するステップ52を含み、この血液処理装置は、ガス-血液界面と、血液流路の方向に対して二以上の方向からガスを供給する構成とを含む。ステップ54では、血液流路を少なくとも二方向に横断するように供給ガスが供給される。任意選択で行ってよい(optional)ステップ56において、供給ガスは、方向のうちの少なくとも一つに対して、方向のうちの他の一つに対してとは異なるように調節される。任意選択で行ってよいステップ58において、利用可能なガス-血液界面領域は、例えば、一つ以上のガス通路を通るガスの供給を停止することによって、調節される。任意選択で行ってよいステップ60では、出て行く血液の血液ガス値が測定される。任意選択で行ってよいステップ62および64では、ガスパラメータは、出て行く血液値に応答して変更される。このような機構は、閉ループ制御を提供するために使用されてもよい。任意選択で行ってよいステップ62において、一つ以上のガス供給の流量が調節される。任意選択で行ってよいステップ64では、一つ以上のガス供給の組成が調節される。
【0074】
本明細書に記載の構成は、単一の中空繊維アセンブリを複数のガス通路との界面として使用することを可能にする。個々のガス通路は中空繊維界面の外側のガスチャンバの仕切りによって規定される。これは、血液が単一の血液処理装置を通してのみ導かれなければならない血液通路のための無菌環境を提供することを容易にする。
【0075】
本発明は、既存の繊維膜界面形状を利用する能力を有するように考案されたが、初期計算は、本発明が異なる界面形状においてさらに効果的であり得ることを示す。特に、血液から二酸化炭素を除去するために使用される場合、二酸化炭素除去効果は、より長いガス通路で維持され得、これにより、ガス-血液界面の同じ表面積を達成するために使用される繊維をより少なくすることができる。これにより、より短い血液通路を使用することが可能となり、第1に、血液の移動距離が短いために血液細胞に作用する機械的歪みが低減され、さらに、血液を他の数千本の繊維を通過させるために必要な駆動圧が低減される。より短い血液経路は、血液ガス処理装置を通して血液を駆動するのに必要なポンピングパワーを低減し、これにより、はるかに小さいポンプを使用することができる。
【0076】
したがって、本発明は、単一方向ガス供給システムのために実用的であるよりも長いガス通路を有するが、同じガス-血液界面領域を提供するために少ない繊維を有する短い血液通路を有する、はるかに小さい血液ガス処理装置を可能にすると考えられる。本発明は、着用可能な、埋め込み可能な血液ガス処理装置を可能にすることができる。
【0077】
実施形態において、血液ガス処理装置は、ガス-血液界面内に、血液通路の長さの少なくとも2倍を含むか、または測定された血液通路の長さの3倍(3x)、4倍(4x)、5倍(5x)を超えるガス通路を含むことができ、ガス通路の長さは、ガス-血液界面の入口からガス-血液界面の排気端まで測定され、血液通路の長さは、ガス-血液界面への血液入口からガス-血液界面からの血液出口までの直接距離である。
【0078】
具体的な実施形態を、3つのガス流路を用いて説明した。この構成は、ガス移動勾配の改善とシステムの複雑さとの間の良好なトレードオフを提供するための計算において見出された。ガス流路は3つより少なくてもよく、3つより多くてもよい。
【0079】
特定の実施形態が、対向流構成として説明された。このような構成は、既存の中空繊維界面形状を利用できるため、実用的である。相互に垂直なガス経路のような他のガス分配構成を使用してもよいことが理解されよう。
【0080】
さらに、特定の実施形態が、線形ガス流路を用いて説明された。人工肺は、より複雑な血流およびガス流の幾何学的形状を含むことができる。
【0081】
本発明は、血液ガス管理装置に関連して説明される。血液ガス管理装置は、血液ガス管理システムの一部であってもよい。例えば、血液ガス管理システムは、供給ガスを調整し、血液ガス管理装置に向けて供給ガスを供給するための構成要素を含むことができる。血液ガス管理システムは、排気ガスを除去するための構成要素を含むことができる。
【0082】
血液ガス管理システムは、流量の閉ループ制御を実行するためのセンサ構成及びコント
ローラを含むことができる。センサは、各ガス経路のガス入口及び/又はガス出口、特に
、界面ガス通路のガス入口及び/又はガス出口における値を測定するように配置すること
ができる。センサは、ガス流路の前後の血液値を測定するように配置することができる。
例えば、血液が第1のガス経路を通過する前の血液入口で、二つのガス経路の間、および
/または血液が全てのガス経路を通過した後に血液出口で、血液値を測定するために、一
つ以上のセンサを配置することができる。
<付記>
項1
各々がガス入口及びガス出口を含む複数のガス通路と、前記ガス通路とガス-血液界面
を有するように配置された血液通路とを備える血液ガス管理装置であって、
前記血液ガス管理装置は、供給ガスの前記ガス入口から前記ガス通路を通って前記ガス
出口への流れを可能にし、血液流路内の血液の前記血液通路を通る流れを可能にして、前
記ガス-血液界面を介して血液ガスと前記供給ガスとの交換を可能にするように構成され

前記血液ガス管理装置は、前記血液流路に対して異なる方向から前記ガス-血液界面に
前記供給ガスを提供することができるようにする供給ガス分配構成を含む、血液ガス管理
装置。
項2
前記供給ガス分配構成は、前記血液流路の少なくとも一部または全部を第1の方向に横
断する第1のガス供給を提供し、前記血液流路の少なくとも一部または全部を前記第1の
方向とは異なる第2の方向に横断する第2のガス供給を提供するように構成される、請求
項1に記載の血液ガス管理装置。
項3
少なくとも一つのガス通路が、他のガス通路のガス出口の方向にガス入口を備え、それ
により、前記少なくとも一つのガス通路は、ガスを他のガス通路に対して対向流に導くよ
うに構成される、項1または2に記載の血液ガス管理装置。
項4
少なくとも二つ以上の多方向ガス通路が、前記血液流路に対して順次配置されている、
先行するいずれかの項に記載の血液ガス管理装置。
項5
血液の流れに対して異なる方向にガス出口から排気ガスを抽出するように構成された排
気除去システムをさらに備える、先行するいずれかの項に記載の血液ガス管理装置。
項6
前記排気ガス除去システムは、多方向ガス通路の異なるガス出口への共通接続を含む、
項5に記載の血液ガス管理装置。
項7
前記ガス通路の少なくとも一部または全部が、ガス透過性壁を有する中空繊維によって
提供される、先行するいずれかの項に記載の血液ガス管理装置。
項8
前記ガス通路の各端部にガスチャンバを有する体外人工肺に含まれ、各ガスチャンバは
複数のコンパートメントに分離され、各コンパートメントは別個のグループのガス通路を
介してガスを導くことを可能にする、先行するいずれかの項に記載の血液ガス管理装置。
項9
前記ガス入口に入るおよび/または前記ガス出口から出る供給ガスの少なくとも一つの
ガス値を取得するように構成されたガスセンサ構成を含み、前記少なくとも一つのガス値
は、ガス流量、ガス圧力、ならびに/または二酸化炭素、酸素、窒素、および/もしくは
これらの組み合わせのパーセンテージを含む、先行するいずれかの項に記載の血液ガス管理装置。
項10
前記ガス-血液界面に流入および/または流出する血液の少なくとも一つの血液値を得
るように構成された血液センサ構成を含み、前記少なくとも一つの血液値は、血流量、血
圧、血液温度、ならびに/または二酸化炭素、酸素、窒素、および/もしくはそれらの組
み合わせのパーセンテージを含む、先行するいずれかの項に記載の血液ガス管理装置。
項11
一つ以上の血液値または一つ以上のガス値を入力として受け取り、前記ガス値および/
または前記血液値に応答して少なくとも一つのガス流パラメータを調節するように構成さ
れた供給ガス制御システムを含み、前記少なくとも一つのガス流パラメータは、前記供給
ガスの組成および/または流量を含む、項9または10に記載の血液ガス管理装置。
項12
各々がガス入口及びガス出口を含む複数のガス通路と、前記ガス通路とガス-血液界面
を有する血液通路とを備える血液ガス管理装置を使用する方法であって、
前記ガス入口から前記ガス通路を通って前記ガス出口に供給ガスの流れを導くステップ
と、
血液流路内の血液の前記血液通路を通る流れを可能にして、前記界面を介した血液ガス
と前記供給ガスとの交換を可能にするステップと
を含み、
前記血液流路に対して異なる方向から前記ガス-血液界面に前記供給ガスを提供するこ
とをさらに含む、方法。
項13
前記血液流路の少なくとも一部または全部を第1の方向に横断する第1のガス供給を提
供することと、前記血液流路の少なくとも一部または全部を前記第1の方向とは異なる第
2の方向に横断する第2のガス供給を提供することとを含み、任意選択的に、前記第1の
ガス供給に対して対向流で前記第2のガス供給を提供することを含んでよい、項12に記載の方法。
項14
前記血液流路に対して順次に少なくとも二つ以上の多方向ガス通路を提供することを含
む、項12または13に記載の方法。
項15
血液の流れに対して異なる方向にガス出口から排気ガスを抽出することを含み、任意選
択的に、多方向ガス通路の異なるガス出口に接続された共通の排気ガス除去システムを用
いて排気ガスを抽出することを含んでよい、項12~14のいずれか一項に記載の方法。
項16
前記ガス通路の各端部にガスチャンバを有する体外人工肺において使用され、各ガスチ
ャンバは複数のコンパートメントに分離され、前記方法は、別個のグループのガス通路を
介して異なるガス供給を導くことを含む、項12~15のいずれか一項に記載の方法。
項17
前記ガス入口に入るおよび/または前記ガス出口から出る供給ガスの少なくとも一つの
ガス値を得るために、ガスセンサ構成を使用することを含み、前記少なくとも一つのガス
値は、二酸化炭素、酸素、窒素、および/またはそれらの組み合わせを含む、項12~16のいずれか一項に記載の方法。
項18
前記ガス-血液界面に流入および/または流出する血液の少なくとも一つの血液値を得
るように構成された血液センサ構成を含み、前記少なくとも一つの血液値は二酸化炭素、
酸素、窒素、またはそれらの組み合わせを含む、項12~17のいずれか一項に記載の方法。
項19
フィードバックループを使用して、前記ガス値および/または前記血液値に応答して少
なくとも一つのガス流パラメータを調節することを含み、前記少なくとも一つのガス流パ
ラメータは、前記供給ガスの組成および/または流量を含む、項12または18に記
載の方法。
項20
前記複数のガス通路は、人工肺または二酸化炭素管理装置の一部である、先行するいず
れかの項に記載の血液ガス管理装置または方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6