(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】回動式操作ユニット及びラジオコントロール送信機
(51)【国際特許分類】
H01H 19/20 20060101AFI20231013BHJP
A63H 30/04 20060101ALI20231013BHJP
H01H 19/00 20060101ALI20231013BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H01H19/20 Q
A63H30/04 A
H01H19/00 Y
G01B7/30 H
(21)【出願番号】P 2021075976
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】北澤 秀郎
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-146695(JP,U)
【文献】特開2003-325994(JP,A)
【文献】特開2006-214873(JP,A)
【文献】特開2006-102011(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074549(WO,A1)
【文献】特開2019-160559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0200965(US,A1)
【文献】特開2010-287325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
G01B 7/00 - 7/34
H01H 13/00 - 13/88
19/00 - 21/88
25/00 - 25/06
89/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦信号を被操縦体に送信するラジオコントロール送信機に取り付けられて前記操縦信号を生成する回動式操作ユニットであって、
前記ラジオコントロール送信機に取り付けられる基体部と、
前記基体部に回動自在に設けられた軸部と、
前記軸部の一端部に設けられて前記軸部を回動させる操作部と、
前記軸部に設けられた磁力発生部と、
前記磁力発生部の磁力を検知する磁力検出部と、
前記基体部に固定され、前記軸部及び前記磁力発生部の近傍の所定位置に前記磁力検出部を保持する保持部と、
を具備
し、
前記保持部は前記磁力検出部を保持する貫通した保持孔を備えており、
前記保持孔から露出した前記磁力検出部が前記磁力発生部と対面して配置されていることを特徴とする回動式操作ユニット。
【請求項2】
前記保持部は、前記軸部の軸線に平行な視線で見た場合に前記軸部の両側の2点と、前記2点とともに三角形の頂点となる1点において前記基体部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の回動式操作ユニット。
【請求項3】
被操縦体に送信する操縦信号を生成する回動式操作ユニットを備えたラジオコントロール送信機であって、
前記回動式操作ユニットは、
前記ラジオコントロール送信機に取り付けられる基体部と、
前記基体部に回動自在に設けられた軸部と、
前記軸部の一端部に設けられて前記軸部を回動させる操作部と、
前記軸部に設けられた磁力発生部と、
前記磁力発生部の磁力を検知する磁力検出部と、
前記基体部に固定され、前記軸部及び前記磁力発生部の近傍の所定位置に前記磁力検出部を保持する保持部と、
を具備
し、
前記保持部は前記磁力検出部を保持する貫通した保持孔を備えており、
前記保持孔から露出した前記磁力検出部が前記磁力発生部と対面して配置されていることを特徴とするラジオコントロール送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオコントロール送信機において操縦信号を生成する回動式操作ユニット及びこれを備えたラジオコントロール送信機に係り、特に操作部とともに回動する磁力発生部の位置を非接触式の磁力検出部で検出する機構であるため寿命が長く、かつ磁力発生部と磁力検出部を、検出精度の高い所定の配置関係となるよう精密に設定できる構造を備えた回動式操作ユニット及びこれを備えたラジオコントロール送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはラジオコントロール送信機の発明が開示されている。このラジオコントロール送信機の本体側取付部2aには、操縦用の操作部であるステアリングホイル4を回動自在に支承する操作ユニット10が着脱可能に設けられている。操作ユニット10は、ステアリングホイル4の回転量を検出するためのポテンショメータ(可変抵抗器)を内部に有している。ステアリングホイル4を回転させれば、ポテンショメータはステアリングホイル4の回転量に対応する抵抗値に応じた電圧信号を角度信号として出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示したような従来のラジオコントロール送信機では、ステアリングホイルの回転量の検出手段として、接触式のポテンショメータが使用される場合が多かった。この接触式のポテンショメータは、例えば環状の抵抗体と、これに接触して摺動する摺動子を有しており、摺動子の位置に対応する抵抗値に応じて角度信号を出力する。しかしながら、抵抗体と摺動子が機械的に接触しているため、使用回数には限界があり、寿命は決して長くはなかった。
【0005】
本発明は、以上説明した従来の技術の課題を解決するためになされたものであって、回動する磁力発生部の位置を磁力検出部で検出する非接触式の機構であるため寿命が長く、かつ磁力発生部と磁力検出部を検出精度の高い所定の配置関係に精密に設定できる構造を備えた回動式操作ユニットと、これを備えたラジオコントロール送信機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された回動式操作ユニットは、
操縦信号を被操縦体に送信するラジオコントロール送信機に取り付けられて前記操縦信号を生成する回動式操作ユニットであって、
前記ラジオコントロール送信機に取り付けられる基体部と、
前記基体部に回動自在に設けられた軸部と、
前記軸部の一端部に設けられて前記軸部を回動させる操作部と、
前記軸部に設けられた磁力発生部と、
前記磁力発生部の磁力を検知する磁力検出部と、
前記基体部に固定され、前記軸部及び前記磁力発生部の近傍の所定位置に前記磁力検出部を保持する保持部と、
を具備し、
前記保持部は前記磁力検出部を保持する貫通した保持孔を備えており、
前記保持孔から露出した前記磁力検出部が前記磁力発生部と対面して配置されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された回動式操作ユニットは、請求項1に記載の回動式操作ユニットにおいて、
前記保持部は、前記軸部の軸線に平行な視線で見た場合に前記軸部の両側の2点と、前記2点とともに三角形の頂点となる1点において前記基体部に固定されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載されたラジオコントロール送信機は、
被操縦体に送信する操縦信号を生成する回動式操作ユニットを備えたラジオコントロール送信機であって、
前記回動式操作ユニットは、
前記ラジオコントロール送信機に取り付けられる基体部と、
前記基体部に回動自在に設けられた軸部と、
前記軸部の一端部に設けられて前記軸部を回動させる操作部と、
前記軸部に設けられた磁力発生部と、
前記磁力発生部の磁力を検知する磁力検出部と、
前記基体部に固定され、前記軸部及び前記磁力発生部の近傍の所定位置に前記磁力検出部を保持する保持部と、
を具備し、
前記保持部は前記磁力検出部を保持する貫通した保持孔を備えており、
前記保持孔から露出した前記磁力検出部が前記磁力発生部と対面して配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された回動式操作ユニットと、請求項3に記載されたラジオコントロール送信機によれば、ラジオコントロール送信機に取り付けられた回動式操作ユニットを回動させることにより、操縦信号を生成して被操縦体に送信する際に、特に次のような効果を得ることができる。回動式操作ユニットにおいて、軸部及び軸部に設けられた磁力発生部の近傍の所定位置には、保持部によって磁力検出部が保持され、所期の位置に位置決めされている。ここで、操縦者が操作部を回動させると、軸部に設けられた磁力発生部は、磁力検出部との所期の位置関係を保ちつつ、磁力検出部との距離を変化させる。これによって、磁力検出部は、操作部の回動による磁力発生部の位置変化を検出して角度検出信号を生成する。このように、磁気発生部と磁力検出部の配置関係に要求される精密性を保持部によって高いレベルで達成しているため、ラジオコントロール送信機による被操縦体の操縦において良好なレスポンスを得ることができるとともに、操作部の回転量を検出する機構に磁気を利用した非接触式を採用することで装置としての寿命を半永久的に長くすることが可能となった。
【0011】
さらに、前記磁力検出部は、保持部に貫通して設けられた保持孔に嵌め込まれて確実に保持されている。この保持部を所期の位置に位置決めすることにより、保持孔から露出した磁力検出部と、これに対面する磁力発生部との位置関係を、所期の状態に設定することができ、磁力検出部による磁力発生部の磁気の検出は確実かつ精密になる。そして磁力検出部は基板の表面に設けられており、基板及び基板から導出される外部配線等を介してラジオコントロール送信機に安定した状態で角度検出信号を送ることができる。
【0012】
請求項2に記載された回動式操作ユニットによれば、保持部は、軸部の両側の2点及び他の1点の合計3点で安定的に基体部に固定されているため、保持部が保持している磁力検出部の位置決めは確実かつ正確であり、精密な角度検出を実現するために必要な磁気発生部と磁力検出部の配置関係を高度な精密性で実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】回動式操作ユニットであるホイールユニットを備えた実施形態のラジオコントロール送信機の正面図である。
【
図2】実施形態のラジオコントロール送信機に設けられた回動式操作ユニットであるトリガーユニットの斜視図である。
【
図3】実施形態のラジオコントロール送信機に設けられた回動式操作ユニットであるホイールユニットの正面図である。
【
図4】実施形態のラジオコントロール送信機に設けられたホイールユニットの図
3におけるA-A切断線での断面図である。
【
図5】分図(a)は、実施形態のラジオコントロール送信機に設けられたホイールユニットの背面側から見た斜視図、分図(b)は、分図(a)と同一の視点で構成部品の一部を分解・拡散して示した斜視図である。
【
図6】実施形態のラジオコントロール送信機に設けられたホイールユニットの背面の拡大斜視図であって、分図(a)は、磁力検出部が取り付けられた基板を示す図、分図(b)は、磁力検出部を保持した保持部を基体部に固定した状態を示す図、分図(c)は、軸部の端部に磁力発生部を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態のラジオコントロール送信機について
図1~
図6を参照して説明する。
図1に示すように、実施形態のラジオコントロール送信機1(以下、単に送信機1とも呼ぶ。)は、例えば各種模型体(自動車、オートバイ、航空機、船舶など)や、クレーンなどの産業機械を被操縦体とし、予め決められた周波数帯を使用し、回動式操作ユニットであるホイールやトリガー等の操作に応じた操縦信号(無線電波)を被操縦体に送信することにより、被操縦体を遠隔操作するための装置である。なお、実施形態では被操縦体が模型自動車であり、被操縦体の動力源としてはエンジンを用いることを想定しているが、もちろん被操縦体は模型自動車以外でもよいし、動力源はエンジン以外(例えばモーター)でもよい。
【0015】
送信機1は、
図1に示すように、グリップ部2、ベース部3、ヘッド部4の各部によって大略構成された筐体を備えており、筐体の各部は熱可塑性樹脂(例えば汎用プラスチック)で形成されている。
【0016】
グリップ部2は、下端側がベース部3と一体であり、上端側がヘッド部4と一体となっている。グリップ部2の水平断面における形状は、ベース部3側からヘッド部4側に向かって徐々に長径が縮小する楕円形状である。グリップ部2は、被操縦体を遠隔操作するときに操縦者が把持する把持部として機能する。
【0017】
ベース部3は、グリップ部2の下端側に設けられた略矩形状の部分である。ベース部3は、グリップ部2を把持する手の下限位置を規制しており、手がグリップ部2から抜け落ちるのを防ぐとともに、送信機1を使用していないときには、例えば地面などに立てて置く際の脚部としても機能する。また、図示はしないが、ベース部3にはバッテリーが内蔵されている。
【0018】
ヘッド部4は、グリップ部2の上端側に設けられており、回動式の操作部であるホイール6と、回動式の操作部であるトリガー5を備えている。
【0019】
ホイール6は、被操縦体の進行方向を制御するためのステアリングとして機能する操作部である。ホイール6は、
図1に示すように、略円板形状の中心と軸心を一致させ、紙面と垂直に延在する回転軸によって、ヘッド部4に回動自在に支持されている。ホイール6を、所定の基準位置から左および右回りに回動すれば、被操縦体、例えば模型自動車の進行方向を制御することができる。
【0020】
トリガー5は、被操縦体の動力源、例えば模型自動車のエンジンを制御し、被操縦体の移動速度を調整するための操作部である。トリガー5は、
図2に示すようなトリガーユニット8として構成されており、これがヘッド部4に組み込まれている。トリガー5は、
図1及び
図2に示すような引き金形状であり、
図2に示すように軸7と同軸に連結された回動軸(ユニット8内にあるため図示せず)を中心として回動する。軸7には、アーム32を介して磁力発生部30が設けられており、ユニットの外面には磁力発生部30と対面する位置に磁力検出部31が設けられている。トリガー5は、被操縦体を加速するためのスロットルレバー5aと、被操縦体を減速するためのブレーキレバー5bの2つのレバーを備えている。操縦者が、スロットルレバー5a又はブレーキレバー5bを操作して回動軸を中心にトリガー5を回動させれば、磁力発生部30が軸7を中心として回動し、磁力検出部31がその移動を検出して角度信号を出力する。
【0021】
一般的な右利きの操縦者によるラジオコントロール送信機1の操縦態勢では、
図1において操縦者は送信機1の左側に右を向いて位置し、利き手と反対の手でグリップ部2を把持し、グリップ部2を把持した手の一部の指でトリガー5を操作するとともに、利き手の指でホイール6を回動操作する。
操縦者が左利きの場合は、ホイール6をラジオコントロール送信機1の
図1における背面側に付け替えて同様に操縦態勢をとる。
【0022】
図3は、回動式操作ユニットであるホイールユニット10の正面図であり、
図4は図
3におけるA-A切断線での断面図である。
これらの図に示すように、ホイールユニット10は、ラジオコントロール送信機1の筐体に取り付けられる基体部11と、基体部11に回動自在に設けられた軸部12と、軸部12の一端部に設けられて軸部12を回動させる操作部である略円筒形のホイール6を備えている。なお、ホイール6の軸部12は、
図4に示すように2本の軸部12,12を連結部13で一体化した構造でもよいし、1本の軸からなる一体構造でもよい。また、ホイールユニット10には、操縦者がホイール6を回動させながら操作可能である複数のスイッチ14、15、16が円周上の異なる位置に設けられている。
【0023】
図5(a)は、ホイールユニット10を背面側(送信機1の筐体の側)から見た斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)と同一の視点で構成部品の一部を分解・拡散して示した斜視図である。
これらの図に示すように、ホイールユニット10の背面側の基体部11の内部には、複数の構成部品から組み立てられて角度信号を生成する角度検出部が、カバー17に覆われた状態で設けられている。この角度検出部は、軸部12の端部に設けられた磁力発生部20と、基板21に固定されて磁力発生部20の磁力を検知する磁力検出部22と、基体部11に3本の固定ねじ23で固定され、軸部12及び磁力発生部20の近傍の所定位置に磁力検出部22を保持する保持孔25を備えた保持部24を有している。なお、磁力発生部20は、円筒又は立方体の磁石20aと、これを覆うケース20bとによって構成されている(
図4参照)。また、磁力検出部22は、磁力発生部20の磁石が発生する磁力を検出して磁石の位置を角度信号として出力する非接触式のポテンショメータである。ホイール6を回動させれば、磁力発生部20が回動し、磁力検出部22が磁力発生部20の位置を検出して角度信号を出力する。
【0024】
図6を参照して上述した角度検出部の構造の詳細を説明する。
図6はホイールユニット10の背面側の中心付近を拡大して斜視図であり、角度検出部の構造を示すために、重なり合った各部品を適宜に分解して示したものであり、各部品の組み立て手順を示すものではない。
図6(a)は、保持部24の図示を省略した状態(又は磁力検出部22を保持する保持部24を取り外した状態)での磁力検出部22を示している。磁力検出部22は、略正方形の基板21の表面の下縁辺にはんだ付けで固定されており、基板21から外部に導出される複数本の外部配線26に接続されている。
図6(a)では詳細を示していないが、
図1に示したようにホイールユニット10を送信機1のヘッド部4に取り付けた状態では、基板21から導出された外部配線26は、ホイールユニット10の内部から、送信機1のヘッド部4の内部に導かれ、ヘッド部4の内部にある制御部に接続されている。また、
図6(a)に示すように、基板21の略中央には貫通した逃げ孔27が設けられており、前述した保持部24の3本の固定ねじ23のうちの1本が接触せずに挿通できるようになっている。なお、
図6(a)では、保持部24は固定されていないが、保持部24を固定する3本の固定ねじ23を示すとともに、そのうちの1本が基板21の逃げ孔27を挿通していることを明示するため、3本の固定ねじ23が何れも基体部11に取り付けられた状態を示している。
【0025】
図6(b)は、磁力検出部22を保持した保持部24を基体部11に固定した状態を示している。保持部24は、略二等辺三角形状の板体であり、その中央には貫通した略正方形の保持孔25が設けられている。保持孔25には、基板21に搭載された磁力検出部22が嵌め込まれて保持されている。また、軸部12の軸線に平行な視線で見た場合に、二等辺三角形状の保持部24の底辺の両端は軸部12の両側に位置しており、これらの2点と、前記2点とともに三角形の頂点となる1点において、保持部24は3本の固定ねじ23でホイールユニット10の基体部11に安定的に固定されている。保持部24は金型によって極めて精密に製造することができ、しかも3点で基体部11に固定されるので、保持部24が保持している磁力検出部22の位置決めは確実かつ正確である。すなわち、実施形態の磁力検出部22は、
図6及び断面図である
図4に示すように、軸部12の軸線と直交する方向に関する軸部12との距離と、軸部12の軸線の方向に関する磁力発生部20(特に磁石20b)との距離が所定の範囲内に収まるように、その配置が正確に設定されている。
なお、磁力検出部22を搭載した基板21と、保持部24の組み立ては、保持部24の保持孔25に基板21の磁力検出部22を嵌め込み、その後で保持部24を基体部11に固定ねじ23で固定する手順となる。
【0026】
磁力検出部22のような非接触の磁気センサを用いて、回転する磁力発生部20の位置を検出する場合には、磁力検出部22と磁力発生部20の配置は精妙に設定する必要がある。なぜなら、一般に磁力検出部22の出力特性は非線型なので、回転する磁力発生部20と磁力検出部22の距離の変化に対する角度信号の出力が線型に近い高精度の検出を行える適正な配置関係の範囲は狭いからである。すなわち、磁力検出部22の中心と、磁力発生部20の回動中心である軸部12の中心との中心間距離が大きければ、磁力発生部20の回動に伴う磁力発生部20と磁力検出部22の距離の変化は線型に近くなるが、中心間距離が大きすぎると非線型になってしまう。このため、磁力検出部22は、軸部12に対する位置及び軸方向の位置の両方について、適正な範囲内で正確に位置決めし、固定する必要がある。この点において、実施形態のホイールユニット10によれば、精密な角度検出を実現するために必要な磁力発生部20と磁力検出部22の配置関係を高度な精密性で設定することができる。
【0027】
なお、磁力検出部22を取り付けた基板21を、基体部11にねじで直接固定することも考えられるが、その場合には、ねじの固定力によって基板21が歪み、又は基板21が回転してしまい、磁力検出部22の位置を所期の位置に正確に位置決めし、固定することができない。また、基板21の歪みが磁力検出部22にも影響を及ぼすため、検出される角度信号の精度が低下するという問題もある。これに対し、磁力検出部22を保持部24の保持孔25に嵌め込んで保持し、その保持部24を基体部11に固定するという実施形態の構造によれば、磁力検出部22の位置決めが正確であり、磁力検出部22に有害な外力が加わらない点においても優れている。
【0028】
図6(a)及び(b)に示すように、3本の固定ねじ23のうち、中央の1本は、基板21の逃げ孔27を挿通して基体部11に固定されており、基板21は固定ねじ23によって基体部11に固定されているわけではない。すなわち、保持部24は、保持孔25に磁力検出部22を保持し、固定ねじ23で基体部11に固定されることで磁力検出部22を上述した所定の位置に位置決めしている。しかし、基板21は、特に保持部24によって固定されておらず、基板21に固定された磁力検出部22を保持部24が保持している限りにおいて、保持部24によって位置の規制を受けているに過ぎない。
【0029】
図6(c)に示すように、軸部12の端部には磁力発生部20が取り付けられている。これによって、
図6(b)に示す保持孔25から露出した磁力検出部22は、
図6(c)に示すように磁力発生部20と対面して配置されることとなり、磁力検出部22は、前述したように、軸部12及び磁力発生部20の近傍の所定位置に正確に位置決めされた状態となる。なお、磁力検出部22は磁力発生部20と概ね接した状態となるため、軸部12の軸線の方向に関する磁力検出部22と磁力発生部20内の磁石との距離は、前述した所定の狭い範囲内に正確に設定されている。
【0030】
以上説明した実施形態のホイールユニット10において、操縦者がホイール6を回動させれば、軸部12に設けられた磁力発生部20が回動する。磁力検出部22は、磁力発生部20の位置変化を検出し、角度検出信号を生成する。実施形態では、磁力発生部20と磁力検出部22の配置関係に要求される精密性を保持部24によって高度なレベルで達成しており、磁力発生部20と磁力検出部22の位置関係は所期の範囲内に入るよう精密に設定されているので、ラジオコントロール送信機1による被操縦体の操縦において良好なレスポンスを得ることができる。また、ホイール6の角度検出手段として磁気による非接触式の素子を採用したので、装置としての寿命が半永久的となった。
【0031】
以上説明した実施形態では、ラジオコントロール送信機1の回動式操作ユニットとしてホイールユニット10を取り上げたが、前述したトリガーユニット8(
図2参照)も回動式操作ユニットであり、トリガーユニット8についても本発明の構成を適用することができる。具体的には、
図2において、アーム32のサイズを適宜に調整し、磁力検出部31を前述した保持孔25を有する保持部24を介して保持し、当該保持部24をトリガーユニット8の本体に固定すればよい。
【0032】
このように、ホイール6、トリガー5等といった名称の如何は問わず、ラジオコントロール送信機において操縦信号を生成する回動式の操作ユニットであれば、本発明を適用することができ、例えばスティック等と呼ばれる操作装置であっても、その操縦信号を出力するための機械的構造に回動部分があれば本発明を好適に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1…ラジオコントロール送信機(送信機)
5…操作部としてのトリガー
6…操作部としてのホイール
8…回転式操作ユニットとしてのトリガーユニット
10…回転式操作ユニットとしてのホイールユニット
11…基体部
12…軸部
20…磁力発生部
21…基板
22…磁力検出部
24…保持部
25…保持孔