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特許7366085試料容器搬送具、実験室試料分配システムおよび実験室自動化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】試料容器搬送具、実験室試料分配システムおよび実験室自動化システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20231013BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G01N35/04 G
B65G54/02
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021120519
(22)【出願日】2021-07-21
(62)【分割の表示】P 2017562067の分割
【原出願日】2016-07-19
(65)【公開番号】P2021170031
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】15177890.9
(32)【優先日】2015-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】リーター,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マリノウスキ,ミハル
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-527010(JP,A)
【文献】特表2013-525232(JP,A)
【文献】特表2015-502525(JP,A)
【文献】特開平11-059901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験室試料分配システム(100)用の試料容器搬送具(10)であって、
前記試料容器搬送具(10)が、1つまたは複数の試料容器(12)を運ぶように適合されており、
前記試料容器搬送具(10)が、前記実験室試料分配システム(100)の水平な運搬平面(110)の上で移動させられるように適合されており、
前記試料容器搬送具(10)が、磁気要素(20)を備え、磁気移動力が、前記試料容器搬送具(10)に加えられるように、前記磁気要素(20)が、前記実験室試料分配システム(100)の手段(120)によって生成された磁場と相互作用するように適合されており、
前記磁気要素(20)が、前記磁気移動力が、前記運搬平面(110)上に設置されている前記試料容器搬送具(10)の傾斜度によって決まるように配置され、前記傾斜度は、垂直軸を中心とした前記試料容器搬送具(10)の回転方向の向きであり、
前記磁気要素(20)が、永久磁石である磁気的活性デバイス(30)を備え
前記磁気要素(20)が、強磁性またはフェリ磁性案内デバイス(40)を備え、
前記案内デバイス(40)が、前記磁気的活性デバイス(30)を少なくとも部分的に被覆するカバーとして形成され、
前記案内デバイス(40)が、いくつかのセクタを備える水平断面を有し、
前記セクタが、相互に離れており、それぞれ、前記案内デバイス(40)の共通の中心部分(41)から出ていることを特徴とする、
試料容器搬送具(10)。
【請求項2】
前記磁気的活性デバイス(30)が、正多角形の水平断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の試料容器搬送具(10)。
【請求項3】
前記セクタが、十字を形成するように配置される、請求項に記載の試料容器搬送具(10)。
【請求項4】
前記試料容器搬送具(10)が、摺動部材(50)を備え、前記試料容器搬送具(10)が、前記運搬平面(110)上に設置される場合、前記摺動部材(50)が、前記運搬平面(110)と接触するように適合されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の試料容器搬送具(10)。
【請求項5】
前記摺動部材(50)が、中心部分(51)から延びるいくつかのアーム(52、54、56、58)を備える水平断面を有し、前記摺動部材(50)が、前記アーム(52、54、56、58)の間に凹形の水平断面を有することを特徴とする、請求項に記載の試料容器搬送具(10)。
【請求項6】
前記摺動部材(50)が、いくつかの下縁部(70)を備え、前記摺動部材(50)の部分を取り囲んでいる前記下縁部(70)が、前記運搬平面(110)と接触するように適合されており、
前記下縁部(70)が、少なくとも部分的に斜角がつけられていることを特徴とする、請求項またはに記載の試料容器搬送具(10)。
【請求項7】
前記摺動部材(50)が、中央に位置する凹所(60)を有し、前記凹所(60)において前記摺動部材(50)は前記運搬平面(110)と接触せず、
前記凹所(60)が、前記運搬平面(110)と接触するように適合されている前記摺動部材(50)の部分によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の試料容器搬送具(10)。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の、いくつかの試料容器搬送具(10)と、
前記試料容器搬送具(10)を支持するように適合されている運搬平面(110)と、
前記運搬平面(110)より下に固定して配置されるいくつかの電磁アクチュエータ(120)であって、前記試料容器搬送具(10)を前記運搬平面(110)の上部上で移動させるために磁場を生成するように適合されている電磁アクチュエータ(120)と、
前記試料容器搬送具(10)が、対応する運搬路に沿って移動するように、前記電磁アクチュエータ(120)を駆動することによって、前記運搬平面(110)の上部上での前記試料容器搬送具(10)の前記移動を制御するように構成されている制御デバイス(150)とを備える、実験室試料分配システム(100)。
【請求項9】
前記電磁アクチュエータ(120)が、正多角形の水平断面を有することを特徴とする、請求項に記載の実験室試料分配システム(100)。
【請求項10】
いくつかの実験室ステーション(6、7)と、
試料容器搬送具(10)および/または試料容器(12)を前記実験室ステーション(6、7)の間で分配するように適合された、請求項またはに記載の実験室試料分配システム(100)とを備える、実験室自動化システム(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験室試料分配システム用の試料容器搬送具と、そのような試料容器搬送具を備える実験室試料分配システムと、そのような実験室試料分配システムを備える実験室自動化システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
試料容器搬送具を備える実験室試料分配システムは通常、実験室自動化システムで使用される。そのような実験室自動化システムは、分析前ステーション、分析ステーション、および/または、分析後ステーションのような実験室ステーションを備える場合がある。
【0003】
そのような実験室試料分配システムに関する例は、国際公開第2011/138448A1号に開示されている。実験室試料分配システムは、運搬平面および運搬平面の下に置かれる複数の電磁アクチュエータを備える。実験室試料分配システムは、試料容器を運ぶように適合されているいくつかの試料容器搬送具をさらに備える。そのような試料容器は、例えば、透明材料でできた管である場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された移動特性を有する試料容器搬送具を提供することである。さらなる目的は、実験室試料分配システムを提供すること、およびそのような試料容器搬送具を備える実験室自動化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの課題は、請求項1に記載の試料容器搬送具と、請求項11に記載の実験室試料分配システムと、請求項13に記載の実験室自動化システムとによって解決される。
本発明は、実験室試料分配システム用の試料容器搬送具に関する。
【0006】
試料容器搬送具は、例えば従来型の試料管の形態をした、1つまたは複数の試料容器を運ぶように適合されている。
試料容器搬送具は、実験室試料分配システムの水平な運搬平面の上で移動させられるように適合されている。試料容器搬送具は、磁気要素を備え、磁気移動力が、試料容器搬送具に加えられるように、磁気要素は、実験室試料分配システムによって生成された磁場と相互作用するように適合されている。
【0007】
磁気要素は、磁気移動力、例えば磁気移動力の量および/または角度が、運搬平面の上に設置されている、または運搬平面の上で移動させられる試料容器搬送具の傾斜度によって決まるように配置される。
【0008】
発明の試料容器搬送具によって、試料容器搬送具に好ましい方向をもたらすことが可能である。好ましい方向にしないで試料容器搬送具を使用する従来技術と比較して、試料容器搬送具の不随意回転のような作用は、防止され得る。このことにより、例えばエネルギーを節約すること、および移動を安定させることができる。
【0009】
磁気移動力が傾斜度によって決まるという表現は、磁気移動力、例えば磁気移動力の量が、外部磁場に対する試料容器搬送具の方向付けによって決まるということを含意することができる。例えば、試料容器搬送具が、垂直軸を中心に特定の量だけ回転する場合、試料容器搬送具が同じ位置で観察されても、磁気移動力は、別の量を有する場合がある、ま
たは別の方向を指す場合がある。
【0010】
実施形態によれば、磁気要素は、特に永久磁石の形態をした磁気的活性デバイスを備える。磁気的活性デバイスは、正多角形の水平断面を有することができる。好ましくは、磁気的活性デバイスは、矩形断面を有する。
【0011】
そのような磁気要素によって、好ましい方向が、磁気的活性デバイスによって生成された磁場にもたらされ得る。そのような場合の磁気移動力は、通常、それぞれの好ましい方向と外部磁場との間の角度によって決まるので、このことは、磁気移動力の傾斜度への依存を確認することができる。例えば、磁気的活性デバイスによって生成された磁場が特に高い量を有する好ましい方向は、多角形の辺に垂直である場合がある。
【0012】
実施形態によれば、磁気要素は、強磁性またはフェリ磁性の案内デバイスを備える。例えば、案内デバイスは、強磁性またはフェリ磁性の材料でできている、または備えることができる。
【0013】
案内デバイスは、磁気的活性デバイスを少なくとも部分的に、または完全に被覆するカバーとして形成される場合もある。このことは、そのようなカバーを使用して磁気的活性デバイスによって生成された磁場の好ましい方向を容易に実装するために使用されることができる。
【0014】
本明細書で使用されるような意味の案内デバイスは、磁力線用の案内デバイスであることを、理解されたい。例えば、そのような案内デバイスは、好ましい方向をもたらすことができる、またはそうではなく、そのような案内デバイスなしに存在し得る状態から磁気的活性デバイスによって生成された磁場を偏向させることができる。
【0015】
実施形態によれば、案内デバイスは、好ましくはアームとして具現化される、いくつかのセクタを含む水平断面を有し、セクタは、相互に離れており、それぞれ、案内デバイスの共通の中心部分から出ている。これらのセクタは、例えば、磁気的活性デバイスによって生成された磁場を案内するために使用されることができる。例えば、それぞれのセクタは、好ましい方向に対応することができる。セクタは、十字を形成するように配置され得る。このことは、例えば、それらの間にそれぞれ90度を有する4つの好ましい方向をもたらすために使用されることができる。
【0016】
案内デバイスは、1より大きい、好ましくは10より大きく、好ましくは100より大きく、好ましくは1,000より大きく、さらに好ましくは10,000より大きい、相対透磁率μを有する材料でできている、またはそのような材料を備えることができる。
【0017】
案内デバイスは、好ましくは建築用鋼材である、磁気的に柔軟な材料でできている、またはその材料を備えることができる。この材料は、使用目的に適した特性を示すことが判明しており、安価で、入手し易い。
【0018】
実施形態によれば、案内デバイスは、磁気的活性デバイスより上に置かれる板を備え、板は、好ましくは磁気的活性デバイスを越えて側方に延びている。
実施形態によれば、案内デバイスの側方を取り囲んでいる部分は、磁気的活性デバイスから離れている。
【0019】
実施形態によれば、案内デバイスの側方を取り囲んでいる部分および/または磁気的活性デバイスより上に置かれる案内デバイスの部分は、磁気的活性デバイスによって誘導される代表的な磁場で磁気飽和を防止するように適合された厚さを有する。そのような代表
的な磁場は、例えば、約0.7Tの値を有することができる。飽和は、意図されるように磁力線を曲げる、または案内する案内デバイスの能力低下につながることになる。
【0020】
磁気的活性デバイスより上に置かれている案内デバイスの部分は、磁気的活性デバイスに少なくとも部分的に当接することができる。案内デバイスは、磁気的活性デバイスの上にかけられたキャップの形態を有することができる。案内デバイスおよび磁気的活性デバイスは一緒に、キノコの形を有することができ、磁気的活性デバイスは、柱を構成する。そのような実装は、代表的な用途に有用であることが判明している。
【0021】
実施形態によれば、試料容器搬送具は、摺動部材を備えて、試料容器搬送具が、運搬平面上に設置される場合、摺動部材は、運搬平面と接触するように適合されている。そのような摺動部材は、例えば、運搬平面と試料容器搬送具との間の摩擦に適合するために使用され得る。
【0022】
摺動部材は、中心部分から延びるいくつかのアームを備える水平断面を有することができ、摺動部材は、アームの間に凹形の水平断面を有することができる。そのような構成は、運搬平面の縁部または段に沿って駆動するとき、特に試料容器搬送具の安定性を増すことができる。
【0023】
案内デバイスおよび摺動部材は、空胴を画定することができ、磁気的活性デバイスは、空胴内部に配置される。案内デバイスは、摺動部材の方向に開口を有することができ、案内デバイスは、磁気的活性デバイスの側方を少なくとも部分的に取り囲んでいることができる。実施態様によれば、案内デバイスは、磁気的活性デバイスを完全に取り囲んでいることができる。
【0024】
実施形態によれば、摺動部材はいくつかの下縁部または境界部を備え、摺動部材の部分を取り囲んでいる下縁部は、運搬平面と接触するように適合されている。下縁部は、少なくとも部分的に斜角がつけられている。下縁部のベベリングは、中心から摺動部材の水平な外側部分まで増大され得る。そのような実施形態は、試料容器搬送具が、運搬平面の段を通過しなければならない場合に特に適していることが判明している。
【0025】
実施形態によれば、摺動部材は、運搬平面と接触しない、中心に位置する凹所を有する。凹所は、運搬平面と接触するように適合されている摺動部材の部分によって取り囲まれていることができる。そのような実施形態は、試料容器搬送具と運搬平面との間の摩擦を減らし、移動の間、試料容器搬送具を安定させるのに有用であることが判明している。
【0026】
本発明は、さらに、実験室試料分配システムに関する。実験室試料分配システムは、本発明によるいくつかの試料容器搬送具を備える。試料容器搬送具に関しては、検討している実施態様、変型例、および実施形態の全てを使用することができる。
【0027】
実験室試料分配システムは、試料容器搬送具を支持するように適合されている運搬平面をさらに備える。
実験室試料分配システムは、運搬平面より下に固定して配置されるいくつかの電磁アクチュエータをさらに備え、電磁アクチュエータは、試料容器搬送具を運搬平面の上部上で移動させるために磁場を生成するように適合されている。
【0028】
実験室試料分配システムは、試料容器搬送具が、対応する運搬路に沿って移動するように、電磁アクチュエータを駆動することによって、運搬平面の上部上での試料容器搬送具の移動を制御するように構成されている制御デバイスをさらに備える。
【0029】
例えば、実験室試料分配システムは、1から500までの数の試料容器搬送具を備えることができる。実験室試料分配システムは、4から1024までの数の電磁アクチュエータを同様に備えることができる。運搬平面は、運搬面として示される場合もある。試料容器搬送具を支持することは、試料容器搬送具を運ぶこととして示される場合もある。実験室試料分配システムの電磁アクチュエータは、運搬平面の上で試料容器搬送具を駆動する磁場を生成するために使用され得る。試料容器搬送具は、2次元で移動させられることができ、試料容器搬送具を例えば実験室ステーションの間で運搬するとき、融通性を高めることが可能である。代表的な実施態様における電磁アクチュエータの間の距離は、20mmまたは約20mmである。
【0030】
実施形態によると、電磁アクチュエータ、特にそれぞれの磁気コイルおよび/または磁気コアは、正多角形の水平断面を有する。好ましくは、それらは、矩形断面を有している。そのような構成は、電磁アクチュエータによって生成された磁場に好ましい方向をもたらすために使用されることができる。そのような構成は、試料容器搬送具の運搬平面上での移動を特定の方向付けまたは方向に沿うようにさらに導くために、特に使用され得る。
【0031】
運搬平面は、電気伝導性材料でできていることができ、接地され得る。強磁性またはフェリ磁性案内デバイスはさらに、電気伝導性材料、例えば鋼鉄などで形成されることもできる。案内デバイスは、キャップ形状または鐘形状を有することができる。キャップまたは鐘の開口を画定する、案内デバイスの下側端部は、試料容器搬送具が運搬平面上に設置される場合、運搬平面と直接接触しているように適合され得る。案内デバイスおよび運搬平面は、試料容器搬送具が運搬平面上に設置される場合、空胴を画定する。磁気要素は、空胴内部に配置されることができる。磁気要素は、案内デバイスの上端部で案内デバイスに固定されることができる。案内デバイスは、例えば案内デバイスの上端部に設置されている、試料容器用の保持手段を備えることができる。保持手段は、例えば円形断面を有する、試料容器を受容するように適合された、例えば止まり穴として具現化されることができる。この実施形態は、試料容器搬送具が運搬平面の上で移動するとき、運搬平面の静電帯電、および試料容器搬送具の静電帯電を防止する。
【0032】
本発明は、さらに、いくつかの分析前ステーション、分析ステーション、および/または分析後(実験室)ステーションを備える実験室自動化システムと、実験室ステーションの間で試料容器搬送具および/または試料容器を運搬するように適合された、上に記載された実験室試料分配システムとに関する。実験室ステーションは、実験室試料分配システムに隣接して配置されることができる。
【0033】
分析前ステーションは、試料、試料容器、および/または試料容器搬送具の任意の種類の前処理を行うように適合されていることができる。
分析ステーションは、試料または試料の部分、および測定信号を発生させる試薬を使用するように適合されていることができ、測定信号は、分析物が存在しているかどうか、もしあるとすれば存在している濃度を示す。
【0034】
分析後ステーションは、試料、試料容器、および/または試料容器搬送具の任意の種類の後処理を行うように適合されていることができる。
分析前ステーション、分析ステーション、および/または分析後ステーションは、キャップ除去ステーション、キャップ再取付ステーション、分取ステーション、遠心分離ステーション、所定期間保存ステーション、ピペット操作ステーション、選別ステーション、管タイプ確認ステーション、および試料品質決定ステーションの少なくとも1つを備えることができる。
【0035】
次に、本発明を、概略図面に関して詳細に説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】試料容器の一部を示す図である。
図2】異なる観点で図1の部分を示す図である。
図3図1および図2の部分を備える試料容器を示す図である。
図4】実験室試料分配システムを示す図である。
図5】段での試料容器の摺動部材を示す図である。
図6】別の実施形態による試料容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、試料容器搬送具10の一部を示す。詳細には、図1は、試料容器搬送具10の底部分、すなわち底板15の真下および真上に配置された試料容器搬送具10の要素を示す。
【0038】
底板15上には、磁気要素20が、配置される。磁気要素20は、永久磁石30の形態の磁気的活性デバイスを備える。永久磁石30は、矩形水平断面を有する。
磁気要素20は、永久磁石30の上にかけられた案内デバイス40をさらに備える。案内デバイス40は、第1のアーム42、第2のアーム44、第3のアーム46、および第4のアーム48を備える。案内デバイス40は、磁気的高透磁性材料でできている。
【0039】
アーム42、44、46、48を有する案内デバイス40および特定の形状の永久磁石30によって、結果的に生じる磁場は、4つの好ましい方向、すなわち、第1のアーム42に沿って方向付けられた第1の好ましい方向32、第2のアーム44に沿って方向付けられた第2の好ましい方向34、第3のアーム46に沿って方向付けられた第3の好ましい方向36、および第4のアーム48に沿って方向付けられた第4の好ましい方向38が引き起こされるように、特異的に調整される。これらの好ましい方向は、試料容器搬送具10に加えられる磁気移動力は、外部磁場が存在する時、傾斜度、すなわち試料容器搬送具10の角度的な方向付けによって決まるという効果を提供する。
【0040】
図1に描写されるように、案内デバイスのアーム42、44、46、48は、十字を形成するように配置される全部で4つのセクタを形成するように配置される。換言すれば、アーム42、44、46、48の間の、またはこれらのアーム42、44、46、48によって画定されるセクタの間のそれぞれの角度は、それぞれ90度の値を有する。アームまたはセクタの間の角度は通常、アームまたはセクタのそれぞれの際立った方向、例えば中心および/または対称軸を画定する方向の間の角度として画定されることに留意されたい。
【0041】
アーム42、44、46、48はそれぞれ、案内デバイス40の共通の中心部分41から出ている。この中心部分41は、永久磁石30と部分的に重なっている。そのような構成によって、案内デバイス40は、永久磁石30の上にかけられたキャップの形態を有する。
【0042】
底板15の他の側には、摺動部材50が、配置される。この摺動部材50は、図1で見えているのは、非常に少ない部分にすぎず、図2を参照しながらさらに説明してゆく。
図2は、別の観点から図1の試料容器搬送具10の部分を示す。詳細には、試料容器搬送具10の底側が、示される。
【0043】
摺動部材50は、十字を形成するように、間に90度の水平角を備えて配置される4つのアーム52、54、56、58を備える。アーム52、54、56、58はそれぞれ、内側部分51からそれぞれの外側部分まで先細になっている断面を有し、外側部分は、丸
い。特に、3つのアーム52、54、56、58のうちの2つが、試料容器搬送具10が移動している運搬平面に形成された段の上側に置かれるそうした場合には、この構成は、試料容器搬送具10の安定性を強化する。詳細には、アームのうちの2つが、上側部分上にあり、アームのうちの2つが、下側部分上にあるような場合には、結果的に、試料容器搬送具10は、傾斜する危険性なく移動することができることが容易に認識され得る。
【0044】
試料容器搬送具10が、運搬平面に形成された段の上に上ることを容易にするために、アーム52、54、56、58のそれぞれの下縁部70には、斜角がつけられており、ベベリングは、中心部分51からアーム52、54、56、58のそれぞれの外側部分にかけて大きくなっている。そのようなベベリングによって、試料容器搬送具10が移動している運搬平面の段は、結果として、試料容器搬送具10が、段に当たってはね返らないように、試料容器搬送具10が、円滑に上がることができるようになっている。
【0045】
摺動部材50の中心には、凹所60が、位置付けられている。凹所60は、試料容器搬送具10が、運搬平面上で移動しているときに運搬平面と接触している、摺動部材50の部分によって取り囲まれているが、摺動部材50と運搬平面との間の総接触面積を減らしている。したがって、摩擦は低減され、このことは、エネルギー消費にプラスの効果を有する。
【0046】
図3は、完全な試料容器搬送具10を斜視図で示す。試料容器搬送具10は、下側端部に床板15を備え、床板15の下に摺動部材50が置かれている。このことにより、試料容器搬送具10が試料分配システムの運搬平面上で移動することが可能になる。
【0047】
試料容器搬送具10は、床板15の上に置かれる本体17を備える。本体17の中には、試料容器保持手段18が、配置される。試料容器保持手段18は、試料容器を設置することができて、保持することができる穴として具現化されている。
【0048】
図4は、試料分配システム100を有する実験室自動化システム5を示す。
実験室自動化システム5は、第1の実験室ステーション6および第2の実験室ステーション7を備える。これらは、例証目的で示しているにすぎない。代表的な実験室自動化システム5は、試料分配システム100が、試料または試料容器を実験室ステーション6、7の間で運搬するために使用され得るように、試料分配システム100に加えて配置される複数の実験室ステーションを備えることに留意されたい。
【0049】
実験室試料分配システム100は、試料容器搬送具10が、その上で移動することができる運搬平面110を備える。単なる例証目的で、図3に記載の単一の試料容器搬送具10が、運搬平面110上に示されている。試料容器搬送具10は、従来型の実験室管として具現化される試料容器12を含む。代表的な試料分配システム100上には、それぞれの試料容器を運んでいる複数の試料容器搬送具が、配置されることに留意されたい。
【0050】
試料分配システム100は、それぞれの磁気コア125を備えたコイルとして具現化されたいくつかの電磁アクチュエータ120をさらに備える。電磁アクチュエータ120およびコア125は共に、水平平面に矩形十字形状を有する。したがって、それらは、矩形断面の縁部に垂直なそれぞれの好ましい方向を有する磁場を生成する。この手段は、試料容器搬送具10を特異的な経路に沿って案内するのに役立つ。
【0051】
運搬平面110上には、それぞれの試料容器搬送具10の永久磁石30によって生成された磁場を感知することによって、試料容器搬送具10の位置を感知するように適合される複数の位置センサ130が、配置される。試料分配システム100は、電子制御装置150をさらに備える。電子制御装置150は、電磁アクチュエータ120を制御して、位置センサ130から信号を受信するように適合されている。したがって、制御装置150は、電磁アクチュエータ120を使用して、試料容器搬送具10を能動的に移動させることができる。さらに、制御装置150は、位置センサ130を使用して、試料容器搬送具10の位置を感知することができる。この機能性を使用することにより、電子制御装置150は、それぞれの試料容器搬送具10を所定の運搬路に沿って移動させることができる。
【0052】
電子制御装置150は、一般的に、プロセッサ手段およびメモリ手段を備えることができ、メモリ手段は、実行されると、プロセッサ手段を、特定の方法で機能させる、例えば試料容器搬送具10の位置を感知する、および/または試料容器搬送具10を運搬路に沿って移動させる、プログラムコードを備えることに留意されたい。
【0053】
実験室試料分配システム5によって、試料または試料容器を実験室ステーション6、7の間で運搬する作業が、行われることができ、試料容器搬送具10の回転は、試料容器搬送具10およびそれぞれのコア125を備えた電磁アクチュエータ120の両方の好ましい方向によって、防止されることができる。このことは、エネルギーを節約し、結果として、システムスループットを改良することができるより直線的な運搬路をもたらす。
【0054】
図5は、運搬平面110が段110cを含む場合の、運搬平面110を示す。段110cの左側に、運搬平面110の下側部分110aがある。段110cの右側に、運搬平面110の上側部分110bがある。単なる例証目的で、運搬平面110は、図5では、電磁アクチュエータ120、磁気コア125、および位置センサ130なしで示されている。
【0055】
図5に示される段110cは、例えば、試料分配システム110の2つのモジュールが相互に隣接するある線で生じる場合があることに留意されたい。
摺動部材50の有利な構成を図示するために、図2の摺動部材50は、試料容器搬送具10の残りの部分のない状態で、単独に、概略的に示されている。描写されるように、第1のアーム52および第2のアーム54は、運搬平面110の上側部分110b上に延びており、一方で、第3のアーム56および第4のアーム58は、運搬平面110の下側部分110aの上にとどまっている。しかしながら、摺動部材50は、依然として4つの地点で運搬平面110と接触したままであり、したがって、円形摺動部材50が使用されるときに生じる可能性のある傾き、または何らかの他の不安定性を防止している。
【0056】
図6は、別の実施形態による試料容器搬送具10’を断面図で示す。
試料容器搬送具10’は、永久磁石30の形態の磁気的活性デバイスと、電気伝導性材料、例えば鉄鋼で形成された鐘形状案内デバイス40’とを備える。案内デバイス40’の開口を画定する案内デバイス40’の下側部分49は、試料容器搬送具10’が運搬平面110上に設置される場合、運搬平面110と直接接触するように適合されている。案内デバイス40’および運搬平面110は、試料容器搬送具10’が運搬平面110上に設置される場合に、空胴を画定する。磁気的活性デバイス30は、空胴内部に配置される。磁気的活性デバイス30は、案内デバイス40’の上端部で案内デバイス40’に固定される。案内デバイス40’は、試料容器用の保持手段18’を備える。保持手段18’は、円形断面を有し、試料容器を受容するように適合された、案内デバイス40’の中の止まり穴として具現化される。この実施形態による運搬平面110は、電気伝導性材料でできており、接地されている。この実施形態は、試料容器搬送具10’が、運搬平面110の上で移動する場合、運搬平面110の静電帯電、および試料容器搬送具10’の底49の静電帯電を防止する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6