(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】積繊装置及び吸収体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A61F13/15 321
(21)【出願番号】P 2021168287
(22)【出願日】2021-10-13
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2020209573
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁
(72)【発明者】
【氏名】茂木 知之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 優喜
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健佑
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-59287(JP,A)
【文献】特開2018-11630(JP,A)
【文献】特開2009-386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させ、坪量が互いに異なる複数の部分を該搬送方向に有する積繊体を製造する、積繊装置であって、
前記集積用凹部は、前記積繊体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、該複数の積繊領域は、第1の積繊領域と、該第1の積繊領域に比べて高坪量の部分を形成する第2の積繊領域とを含み、
前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有し、
前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されており、
前記第1吸引領域対応部は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされており、
前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされており、
前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記第1の積繊領域に対応する非通気性の第1開口部閉鎖部材と、前記第2の積繊領域に対応する非通気性の第2開口部閉鎖部材とが配されており、
前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に、前記第1開口部閉鎖部材及び前記第2開口部閉鎖部材が重なることで、前記第1の積繊領域及び前記第2の積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされており、
前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第1開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1吸引領域対応部と該第1開口部閉鎖部材とが所定の離間距離G1を置いて離間しており、
前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第2開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1吸引領域対応部と該第2開口部閉鎖部材とが所定の離間距離G2を置いて離間し、且つ
前記離間距離G1<前記離間距離G2の大小関係が成立する、積繊装置。
【請求項2】
前記離間距離G1及び前記離間距離G2が、それぞれ、0mmよりも大きく3mm以下である、請求項1に記載の積繊装置。
【請求項3】
前記第1開口部閉鎖部材の前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さに対して、前記第1吸引領域において該第1開口部閉鎖部材と重なる前記第1吸引領域対応部の前記開口部の該搬送直交方向の長さは、10%以上90%以下であり、
前記第2開口部閉鎖部材の前記搬送直交方向の長さに対して、前記第1吸引領域において該第2開口部閉鎖部材と重なる前記第1吸引領域対応部の前記開口部の該搬送直交方向の長さは、10%以上90%以下である、請求項1又は2に記載の積繊装置。
【請求項4】
固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させ、坪量が互いに異なる複数の部分を該搬送方向に有する積繊体を製造する、積繊装置であって、
前記集積用凹部は、前記積繊体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、該複数の積繊領域は、第1の積繊領域と、該第1の積繊領域に比べて高坪量の部分を形成する第2の積繊領域とを含み、
前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有し、
前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されており、
前記第1吸引領域対応部は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされており、
前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされており、
前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記第1の積繊領域に対応する非通気性の第1開口部閉鎖部材と、前記第2の積繊領域に対応する非通気性の第2開口部閉鎖部材とが配されており、
前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に、前記第1開口部閉鎖部材及び前記第2開口部閉鎖部材が重なることで、前記第1の積繊領域及び前記第2の積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされており、
前記第1開口部閉鎖部材は、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に比べて、前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さが長く、前記第1吸引領域において該開口部に該第1開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1開口部閉鎖部材が該開口部を該搬送直交方向の全長にわたって延在し、
前記第2開口部閉鎖部材は、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に比べて、前記搬送直交方向の長さが短く、前記第1吸引領域において該開口部に該第2開口部閉鎖部材が重なった状態では、該開口部の該搬送直交方向の一部に、該第2開口部閉鎖部材で覆われない部分が存在する、積繊装置。
【請求項5】
前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第1開口部閉鎖部材が重なった状態で、該第1吸引領域対応部と該第1開口部閉鎖部材とが0mmよりも大きく3mm以下の距離を置いて離間し、
前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第2開口部閉鎖部材が重なった状態で、該第1吸引領域対応部と該第2開口部閉鎖部材とが0mmよりも大きく3mm以下の距離を置いて離間する、請求項4に記載の積繊装置。
【請求項6】
前記第1吸引領域対応部の面積に対する該第1吸引領域対応部の前記開口部の面積の割合が、5%以上80%以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の積繊装置。
【請求項7】
前記回転ドラムは、前記固定ドラムの外周部に対向配置されるドラム本体と、該ドラム本体よりも該固定ドラムから遠くに配置される外層部とを含み、
前記第1開口部閉鎖部材及び前記第2開口部閉鎖部材は、それぞれ、該ドラム本体において前記外層部から該ドラム本体側に所定距離離間した位置に配置されている、請求項1~6の何れか1項に記載の積繊装置。
【請求項8】
積繊装置を用い、坪量が互いに異なる複数の部分を一方向に有する吸収体を製造する、吸収体の製造方法であって、
前記積繊装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させるようになされており、
前記集積用凹部は、前記吸収体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、
前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有し、
前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されており、
前記第1吸引領域対応部は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされており、
前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされており、
前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記集積用凹部の前記複数の積繊領域の少なくとも一部に対応して、非通気性の開口部閉鎖部材がドラム周方向に複数並んで配されており、
前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記開口部閉鎖部材が重なることで、該集積用凹部における該開口部閉鎖部材に対応する前記積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされており、
ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材は、それぞれ、前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に重なった状態では、該第1吸引領域対応部に対して所定の離間距離を置いて離間しており、且つ
ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで前記離間距離が互いに異なり、ドラム周方向の一方側から他方側に向かって該離間距離が漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されており、
前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、前記吸引領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程を有し、
前記積繊工程では、前記第1吸引領域において、前記複数の開口部閉鎖部材に対応する前記複数の積繊領域どうしでは、前記離間距離が長いものほど前記空気流の流量が多くなる、吸収体の製造方法。
【請求項9】
前記第1吸引領域対応部に前記開口部がドラム軸方向に複数並んで設けられているとともに、前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記開口部閉鎖部材がドラム軸方向に複数並んで配されており、前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、ドラム軸方向に並ぶ複数の該開口部に、ドラム軸方向に並ぶ複数の開口部閉鎖部材が重なるようになされており、
ドラム軸方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材は、それぞれ、前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に重なった状態では、該第1吸引領域対応部に対して所定の離間距離を置いて離間しており、且つ
ドラム軸方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで前記離間距離が互いに異なり、ドラム軸方向の一方側から他方側に向かって該離間距離が漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されている、請求項8に記載の吸収体の製造方法。
【請求項10】
積繊装置を用い、坪量が互いに異なる複数の部分を一方向に有する吸収体を製造する、吸収体の製造方法であって、
前記積繊装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させるようになされており、
前記集積用凹部は、前記吸収体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、
前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有し、
前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されており、
前記第1吸引領域対応部は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされており、
前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされており、
前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記集積用凹部の前記複数の積繊領域の少なくとも一部に対応して、非通気性の開口部閉鎖部材がドラム周方向に複数並んで配されており、
前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記開口部閉鎖部材が重なることで、該集積用凹部における該開口部閉鎖部材に対応する前記積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされており、
ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで該開口部閉鎖部材の前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さが互いに異なり、ドラム周方向の一方側から他方側に向かって該開口部閉鎖部材の該搬送直交方向の長さが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されており、
前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、前記吸引領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程を有し、
前記積繊工程では、前記第1吸引領域において、前記複数の開口部閉鎖部材に対応する前記複数の積繊領域どうしでは、前記開口部閉鎖部材の前記搬送直交方向の長さが短いものほど前記空気流の流量が多くなる、吸収体の製造方法。
【請求項11】
前記第1吸引領域対応部に前記開口部がドラム軸方向に複数並んで設けられているとともに、前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記開口部閉鎖部材がドラム軸方向に複数並んで配されており、前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、ドラム軸方向に並ぶ複数の該開口部に、ドラム軸方向に並ぶ複数の開口部閉鎖部材が重なるようになされており、
ドラム軸方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで該開口部閉鎖部材の前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さが互いに異なり、ドラム軸方向の一方側から他方側に向かって該開口部閉鎖部材の該搬送直交方向の長さが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されている、請求項10に記載の吸収体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、坪量が部分的に異なる吸収体の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体として、木材パルプなどの繊維材料の坪量が部分的に異なり、該坪量が相対的に多い高坪量部と該坪量が相対的に少ない低坪量部とを有する偏在吸収体が知られている。偏在吸収体の典型例として、吸収性物品の着用者の前後方向に対応する方向(縦方向)の中央部に、周辺部に比べて繊維材料の坪量が大きい部分(いわゆる中高部)を有するものが知られている。このような偏在吸収体は、高い液吸収性が要求される部分に体液吸収性(親水性)の繊維材料が偏在し、それ以外の他の部分は繊維材料の坪量が抑制されて厚みが薄いため、液吸収性及び着用感の双方が良好である。
【0003】
また、吸収体の製造装置として、固定ドラムと、外周部に集積用凹部を有する回転ドラムとを備え、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流(バキュームエア)に乗って搬送された繊維材料を、該集積用凹部内に積繊させるように構成された積繊装置が知られている(特許文献1~3)。
特許文献1には、回転ドラムの内側に配設される吸引チャンバを、流れ方向に沿う断面で複数の吸引チャンバに区画するとともに、該複数の吸引チャンバに個別に吸引手段を設けた積繊装置が記載されている。特許文献1に記載の積繊装置によれば、吸収体の厚みを幅方向に均一化させる、吸収体の坪量を部分的に変化させる、吸収体に嵩高部を形成する、といったことが可能になるとされている。特許文献1に記載の積繊装置は、吸収体の製造時における流れ方向において吸収体の坪量を制御することはできない。
特許文献2には、コアポケットと、該コアポケットに動作可能に関連付けられた空気分配マニホールドとを含む積繊装置が記載されている。特許文献2に記載の積繊装置は、装置構成が比較的複雑であるため、製造コストの高騰、装置の故障等が懸念される。
特許文献3には、回転ドラムにおける多孔性部材の内面側に、バキュームエアの風量及び流れを調整する調整体の配置領域と非配置領域とが、回転ドラムの回転方向に配され、また、固定ドラムの外周部に、吸引が部分的に可能になされた選択的吸引領域と、吸引が全面的に可能になされた全面的吸引領域とが、該回転方向にこの順で配された積繊装置が記載されている。特許文献3に記載の積繊装置によれば、比較的簡単な構造で、偏在吸収体を安定的に製造できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-272782号公報
【文献】特表2010-509514号公報
【文献】特開2015-59287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偏在吸収体として、一方向(典型的には、吸収性物品の着用者の前後方向)に長い形状を有し、その長手方向において繊維材料の偏在の程度が大きく、高坪量部と低坪量部との間に比較的大きな坪量差が存在するものが要望されているが、従来の吸収体の製造技術では、斯かる要望に十分に応えられていないのが実情である。このような一方向に長い形状を有する吸収体の長手方向は、典型的には、その製造時の流れ方向に一致するところ、流れ方向における繊維材料の積繊量を比較的簡単な装置構成で適切に制御し得る技術は未だ提供されていない。
【0006】
本発明の課題は、製造時の流れ方向に対応する方向において繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体を提供し得る技術を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(第1発明)は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させ、坪量が互いに異なる複数の部分を該搬送方向に有する積繊体を製造する、積繊装置である。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記集積用凹部は、前記積繊体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、該複数の積繊領域は、第1の積繊領域と、該第1の積繊領域に比べて高坪量の部分を形成する第2の積繊領域とを含む。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有している。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されている。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記第1吸引領域対応部は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされている。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされている。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記第1の積繊領域に対応する非通気性の第1開口部閉鎖部材と、前記第2の積繊領域に対応する非通気性の第2開口部閉鎖部材とが配されている。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に、前記第1開口部閉鎖部材及び前記第2開口部閉鎖部材が重なることで、前記第1の積繊領域及び前記第2の積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされている。
以上の本発明(第1発明)の構成は、後述する本発明(第2発明)も具備し得る。
【0008】
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第1開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1吸引領域対応部と該第1開口部閉鎖部材とが所定の離間距離G1を置いて離間している。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第2開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1吸引領域対応部と該第2開口部閉鎖部材とが所定の離間距離G2を置いて離間している。
本発明(第1発明)の積繊装置の一実施形態では、前記離間距離G1<前記離間距離G2の大小関係が成立する。
【0009】
本発明(第2発明)の積繊装置の一実施形態では、前記第1開口部閉鎖部材は、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に比べて、前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さが長く、前記第1吸引領域において該開口部に該第1開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1開口部閉鎖部材が該開口部を該搬送直交方向の全長にわたって延在している。
本発明(第2発明)の積繊装置の一実施形態では、前記第2開口部閉鎖部材は、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に比べて、前記搬送直交方向の長さが短く、前記第1吸引領域において該開口部に該第2開口部閉鎖部材が重なった状態では、該開口部の該搬送直交方向の一部に、該第2開口部閉鎖部材で覆われない部分が存在する。
【0010】
本発明(第3発明)は、積繊装置を用い、坪量が互いに異なる複数の部分を一方向に有する吸収体を製造する、吸収体の製造方法である。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記積繊装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させるようになされている。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記集積用凹部は、前記吸収体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有している。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有している。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されている。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記第1吸引領域対応部は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされている。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされている。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記集積用凹部の前記複数の積繊領域の少なくとも一部に対応して、非通気性の開口部閉鎖部材がドラム周方向に複数並んで配されている。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記開口部閉鎖部材が重なることで、該集積用凹部における該開口部閉鎖部材に対応する前記積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされている。
以上の本発明(第3発明)の構成は、後述する本発明(第4発明)も具備し得る。
【0011】
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材は、それぞれ、前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に重なった状態では、該第1吸引領域対応部に対して所定の離間距離を置いて離間している。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで前記離間距離が互いに異なり、ドラム周方向の一方側から他方側に向かって該離間距離が漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されている。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、前記吸引領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程を有している。
本発明(第3発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記積繊工程では、前記第1吸引領域において、前記複数の開口部閉鎖部材に対応する前記複数の積繊領域どうしでは、前記離間距離が長いものほど前記空気流の流量が多くなる。
【0012】
本発明(第4発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで該開口部閉鎖部材の前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さが互いに異なり、ドラム周方向の一方側から他方側に向かって該開口部閉鎖部材の該搬送直交方向の長さが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されている。
本発明(第4発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、前記吸引領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程を有している。
本発明(第4発明)の吸収体の製造方法の一実施形態では、前記積繊工程では、前記第1吸引領域において、前記複数の開口部閉鎖部材に対応する前記複数の積繊領域どうしでは、前記開口部閉鎖部材の前記搬送直交方向の長さが短いものほど前記空気流の流量が多くなる。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造時の流れ方向に対応する方向において繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明によって提供される吸収体の一実施形態の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の積繊装置の一実施形態を一部透視して模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す積繊装置をドラム軸方向から見た場合の模式的な側面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す積繊装置の集積部の模式的な分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す積繊装置の集積用凹部の一部の模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示す積繊装置の吸引領域の模式的な平面図である。
【
図7】
図7は、
図5のI-I線での断面(第1の積繊領域のドラム軸方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、
図7(a)は第1吸引領域での吸引状態、
図7(b)は第2吸引領域での吸引状態を示す。
【
図8】
図8は、
図5のIII-III線での断面(第3の積繊領域のドラム軸方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、
図8(a)は第1吸引領域での吸引状態、
図8(b)は第2吸引領域での吸引状態を示す。
【
図9】
図9は、
図5のIV-IV線での断面(集積用凹部のドラム周方向に沿う断面)を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図2に示す積繊装置の一実施形態における
図5のI-I線での断面(第1の積繊領域のドラム軸方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、第1吸引領域での吸引状態を示す図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す積繊装置における
図5のII-II線での断面(第2の積繊領域のドラム軸方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、第1吸引領域での吸引状態を示す図である。
【
図12】
図12は、
図10に示す積繊装置における
図5のIV-IV線での断面(集積用凹部のドラム周方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、第1吸引領域での吸引状態を示す図である。
【
図13】
図13は、
図2に示す積繊装置の他の実施形態における
図5のII-II線での断面(第2の積繊領域のドラム軸方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、第1吸引領域での吸引状態を示す図である。
【
図14】
図14は、
図13に示す積繊装置における
図5のIV-IV線での断面(集積用凹部のドラム周方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、第1吸引領域での吸引状態を示す図である。
【
図15】
図15は、
図2に示す積繊装置の更に他の実施形態における
図5のI-I線又はII-II線での断面(第1の積繊領域又は第2の積繊領域のドラム軸方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、第1吸引領域での吸引状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0016】
本発明(積繊装置、製造方法)によって提供される吸収体は、体液をはじめとする水性液を吸収し得るものである。吸収体の用途は特に限定されないが、吸収性物品の吸収体として特に好適である。ここでいう「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。
吸収性物品は、典型的には、吸収体と、該吸収体よりも着用者の肌から近い側に配される液透過性の表面シートと、該吸収体よりも着用者の肌から遠い側に配される液難透過性ないし不透過性の裏面シートとを含んで構成されている。
【0017】
図1には、本発明によって提供される吸収体の一実施形態である吸収体10が示されている。吸収体10は、吸収性物品用のものであり、吸収性物品の着用者の前後方向に対応する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。
縦方向Xは、後述する吸収体10の製造時における流れ方向MD(Machine Direction)に一致し、横方向Yは、流れ方向MDと直交する方向である搬送直交方向CD(Cross machine Direction)に一致する。なお、流れ方向MDは、後述するドラム周方向X1に沿う回転ドラム3の回転方向R1(集積用凹部40の搬送方向)に一致し、搬送直交方向CDは、後述するドラム軸方向Y1に一致する(
図2参照)。
【0018】
吸収体10は、繊維材料を主体とする。吸収体10における繊維材料の含有量は、少なくとも50質量%以上であり、100質量%すなわち繊維材料のみから形成されていてもよい。繊維材料の種類は特に制限されず、熱可塑性樹脂等の合成樹脂からなる疎水性繊維を用いることもできるが、典型的には、親水性繊維が用いられる。親水性繊維としては、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ(以上、セルロース系繊維);親水性合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
吸収体10は、繊維材料に加えて更に、吸水性ポリマーを含有してもよい。吸水性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の吸水性ポリマーの形状は特に限定されず、例えば、球状、塊状、俵状、不定形状であり得る。吸水性ポリマーは、典型的には、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を主体とする。
【0019】
吸収体10は、
図1に示すように、繊維材料の坪量が相対的に多い高坪量部11と、相対的に少ない低坪量部12とを一方向に有する。本実施形態では、吸収体10は、平面視で縦方向Xに長い形状(略長方形形状)を有し、その長手方向すなわち縦方向Xの中央部に高坪量部11、縦方向Xの両端部に低坪量部12が配されており、低坪量部12、高坪量部11、低坪量部12の順に縦方向Xに配置されている。
【0020】
高坪量部11は、高坪量部11及び低坪量部12が連なる一方向(縦方向X)における、低坪量部12に比べて繊維材料の坪量が多い部位を含む領域であり、該部位以外の他の部位を含む場合は、該部位と、該部位と縦方向Xにおいて同位置にある他の部位との双方を含む。例えば、本実施形態では、高坪量部11の横方向Y(短手方向)の中央部に、吸収体10において繊維材料の坪量が最大の部分である中高部11Aが形成され、中高部11Aを挟んで横方向Yの両外方は、中高部11Aに比べて繊維材料の坪量が少ない標準坪量部11Bとなっており、中高部11Aと標準坪量部11B(中高部11Aと縦方向Xにおいて同位置にある他の部位)とからなる領域全体が、高坪量部11である。
中高部11Aは、周辺部に比べて厚みが大きく、吸収体10の一方の面側に突出しており、また、平面視において縦方向Xに長い略長方形形状を有している。吸収体10は、中高部11Aの突出面(
図1では上面)を、該吸収体10が用いられる吸収性物品の着用者の肌側に向けて使用されてもよく、あるいは中高部11Aの突出面側とは反対側の面を該着用者の肌側に向けて使用されてもよい。
標準坪量部11Bは、低坪量部12に比べて繊維材料の坪量が少ない場合があり得る。
低坪量部12は、その全域にわたって坪量が均一でもよく、坪量が部分的に異なっていてもよい。後者の場合の一例として、低坪量部12の縦方向Xの内方側(高坪量部11側)が、外方側に比べて繊維材料の坪量が多いか又は少ない形態が挙げられる。また、後者の場合の他の一例として、低坪量部12の横方向Yの中央部12A(
図1中斜線を付した部分)が、低坪量部12の横方向Yの両端部12B,12Bに比べて繊維材料の坪量が多いか又は少ない形態が挙げられる。
【0021】
本実施形態では、高坪量部11及び低坪量部12は、それぞれ、互いに交差する平面視直線状の複数の溝状凹部13X,13Yによって複数の領域に区分されている。溝状凹部13Xは縦方向Xに延び、溝状凹部13Yは横方向Yに延びている。図示の形態では、溝状凹部13X,13Yは、吸収体10における中高部11Aの突出面(
図1では上面)側に形成されているが、該突出面側とは反対側の面に形成されていてもよい。
溝状凹部13X,13Yは、排泄物等の液の流路として機能することで吸収体10の液吸収能を向上させ得るとともに、吸収体10の柔軟性、可撓性を高めて、吸収性物品の着用者の身体に対する追従性を向上させ得る。溝状凹部13X,13Yは無くてもよい。
【0022】
高坪量部11は、主に吸収体10の液吸収性の向上に寄与し、低坪量部12は、主に吸収体10を備える吸収性物品の着用感の向上に寄与する。吸収体10では、吸収体10が使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品の吸収体として使用された場合に、その吸収性物品の着用者の股間部(陰茎、膣口などの排泄部)に配される部分である、縦方向Xの中央部を高坪量部11とし、それ以外の部分を低坪量部12としている。吸収体10の縦方向Xの中央部は、着用者の排泄物が集中する部位であるので、該中央部を高坪量部11とすることで十分な液吸収性を確保し、また、吸収体10における該中央部以外の部分は、液吸収に使用される機会が該中央部に比べて少ないので、繊維材料の坪量を極力低減して厚みを薄くすることで着用感の向上を図っている。
【0023】
以下、本発明の積繊装置及び吸収体の製造方法について、前述した吸収体10の製造方法を例にとり図面を参照しながら説明する。
図2及び
図3には、本発明の吸収体の積繊装置の一実施形態である積繊装置1の全体構成が示されている。
積繊装置1は、固定ドラム2と、固定ドラム2の外周部2Sの周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部40を外周部3Sに有する回転ドラム3とを備え、回転ドラム3を回転させて集積用凹部40をドラム周方向X1に沿う搬送方向に搬送しつつ、固定ドラム2側からの吸引によって生じた空気流(以下、「バキュームエア」とも言う。)に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向X1の所定の吸引領域Sにて集積用凹部40の底面上に積繊させ、坪量が互いに異なる複数の部分を該搬送方向に有する吸収体10(積繊体)を製造するようになされている。
吸収体10は前述したように、集積用凹部40の搬送方向に対応する縦方向Xに、少なくとも高坪量部11及び低坪量部12を有し、また、両坪量部11,12は、それぞれ、坪量が互いに異なる複数の部分を縦方向Xに有していてもよく、坪量が互いに異なる部分を縦方向にXに3つ以上有し得る。例えば低坪量部12は、縦方向Xの内方側(高坪量部11側)が、外方側に比べて坪量が多い場合があり得る。
【0024】
本実施形態では、積繊装置1は、固定ドラム2及び回転ドラム3を含む集積部4と、集積部4(回転ドラム3)に繊維材料をはじめとする各種原材料を供給する原材料供給機構5と、回転ドラム3の集積用凹部40から排出された吸収体10を搬送する搬送機構6とを備えている。
【0025】
原材料供給機構5は、原材料の供給路50を内部に有するダクト51と、ダクト51内に原材料を導入する原材料導入部52とを備えている。ダクト51は原材料の供給方向の両端が開口し、その一端側の開口部が、集積部4の外周部(回転ドラム3)の一部を覆い、他端側の開口部に、原材料導入部52が備える粉砕機53が配されている。原材料導入部52は、シート状の木材パルプSPを粉砕機53により粉砕して繊維材料であるパルプ繊維とし、そのパルプ繊維をダクト51内に送り込むように構成されている。また、ダクト51には、吸水性ポリマー粒子を供給路50内に導入する吸水性ポリマー導入部54が配されている。
【0026】
搬送機構6は、集積部4の下方に配され、集積部4から排出された吸収体10を搬送面上に吸引しつつ搬送するバキュームコンベア(図示せず)を備えている。集積部4における固定ドラム2の内部には、ブロー発生機構(図示せず)が配されており、該ブロー発生機構による集積部4の内部側から回転ドラム3の外周部3S側へのエアーの吹きつけにより、外周部3Sの集積用凹部40から吸収体10が排出され、前記バキュームコンベアの搬送面上に転写されるようになされている。
本実施形態では、前記バキュームコンベアの搬送面上に、吸収体10の外面を被覆するコアラップシートなどとも呼ばれるシート材14が予め配されており、集積部4から排出された吸収体10はシート材14上に転写され、シート材14ごと搬送される。シート材14は、前記バキュームコンベアによる搬送途中で、吸収体10の全体を被覆するように折り曲げられる。
【0027】
積繊装置1の要部である集積部4について説明する。集積部4は、
図2~
図4に示すように、金属製の剛体からなる固定ドラム2と、固定ドラム2の外周部2Sに重ねて配された回転ドラム3とを主体として構成され、円筒状を有している。集積部4は、両ドラム2,3の周方向に対応するドラム周方向X1と、回転ドラム3の回転軸が延びる方向に対応するドラム軸方向Y1とを有している。
【0028】
固定ドラム2は円筒状を有し、その円筒状の固定ドラム2の軸方向両端の開口部は、側壁21及びフェルト等のシール材(図示せず)によって気密に封鎖されている。固定ドラム2の内部は、隔壁22によって周方向に複数(本実施形態では3つ)に区分され、各該区分に対応した複数の空間A~Cが形成されている。
固定ドラム2には、その内部を減圧する減圧機構(図示せず)が接続されている。前記減圧機構は、側壁21に接続された排気管(図示せず)と該排気管に接続された排気ファン(図示せず)とを含んで構成されている。前記減圧機構を作動させることで、固定ドラム2内の複数の空間A~Cのうちの任意のものが負圧に維持される。固定ドラム2は、隔壁22によって仕切られた複数の空間A~Cの負圧(吸引力)をそれぞれ独立に調整可能になされている。
回転ドラム3は、モータ等の原動機からの動力を受けて、水平な回転軸を回転中心としてドラム周方向X1に沿って方向R1に回転するのに対し、固定ドラム2は回転しない。
【0029】
本実施形態では、回転ドラム3は、
図4に示すように、金属製の円筒状のドラム本体3Aと、ドラム本体3Aの外周部3ASに重ねて配される複数の部材33~38からなる外層部3Bとを含む。ドラム本体3Aは、回転ドラム3において固定ドラム2に最も近接する部材であり、固定ドラム2の外周部2Sに対向配置されている。
ドラム本体3Aは、ドラム周方向X1の全長にわたって連続する環状の部材であるのに対し、外層部3Bを構成する複数の部材33~38は、それぞれ、ドラム周方向X1に複数に分割されている。これら複数の部材33~38は、ボルト等の締結具、接着剤等の接合手段により、相互に接離自在に接合されるとともに、ドラム本体3Aの外周部3ASに接離自在に接合される。
【0030】
外層部3Bを構成する複数の部材は、具体的には
図4に示すように、ドラム本体3Aに近い順に、第1吸引調整プレート33、第1凹部底面形成プレート34、第2吸引調整プレート35、第2凹部底面形成プレート36、凹部区画プレート37及びリングプレート38を含む。これら複数の部材のうち、第1吸引調整プレート33、第2吸引調整プレート35、第2凹部底面形成プレート36及び凹部区画プレート37の4枚のプレートは、ドラム軸方向Y1の長さ(幅)が互いに同じであり、外層部3Bの幅は、これら4枚のプレート33,35~37それぞれの幅と同じである。
リングプレート38は、回転ドラム3の最も外側に配される。リングプレート38は、前記4枚のプレート33,35~37に比べて幅が狭く、
図4及び
図5に示すように、集積用凹部40を挟んでドラム軸方向Y1の両側に一対配される。
凹部区画プレート37は、吸収体10に溝状凹部13X,13Yを形成するためのもので、凹部区画プレート37の集積用凹部40に対応する部分には、互いに交差する複数の仕切り部材370(
図4参照)が、溝状凹部13X,13Yと同じパターンで配されている。
第1凹部底面形成プレート34及び第2凹部底面形成プレート36は、それぞれ、繊維材料が積繊される集積用凹部40の底面を形成し、バキュームエアが通過可能な多数の吸引孔を有する通気性部材である。
第1凹部底面形成プレート34は、吸収体10の高坪量部11の一部である中高部11Aの形成に使用されるもので、集積用凹部40の後述する第3の積繊領域41Cに対応している。第1凹部底面形成プレート34は平面視で略長方形形状を有しており、第2凹部底面形成プレート36に比べて幅が狭い。
第2凹部底面形成プレート36は、吸収体10の中高部11A以外の部分の形成に使用されるもので、集積用凹部40の後述する第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41Bと、第3の積繊領域41Cにおける中高部11Aに対応する部分以外の部分とに対応している。第2凹部底面形成プレート36における第1凹部底面形成プレート34と平面視で重なる部分には、該プレート34に対応して、該プレート34の平面視形状と同形状の開口部360が形成されている。
第1吸引調整プレート33は、バキュームエアが通過可能な複数の開口部330,331,332を有する非通気性部材からなり、開口部330,331,332でのみ吸引可能で、開口部330,331,332以外の部分では吸引不可である。開口部332は、第1吸引調整プレート33における第3の積繊領域41Cに対応する部分のドラム軸方向Y1の中央部に、第1凹部底面形成プレート34に対応して配され、開口部332を挟んでドラム軸方向Y1の両側に開口部330が配されている。第2吸引調整プレート35は、バキュームエアが通過可能な複数の開口部350,351を有する非通気性部材からなり、開口部350,351でのみ吸引可能で、開口部350,351以外の部分では吸引不可である。
【0031】
なお、本発明では、回転ドラム3の外層部3Bの構成は、図示の形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば外層部3Bは、第1吸引調整プレート33及び第2吸引調整プレート35を含まなくてもよい。両吸引調整プレート33,35は、集積用凹部40のバキュームエアの流量(以下、「吸引風量」とも言う。)を調整するための吸引調整体として機能するものである。前記吸引調整体の設定を適宜調整することで、集積用凹部40に対応して配置された複数の開口部(例えば、第1吸引調整プレート33の開口部330,331,332、及び第2吸引調整プレート35の開口部350,351)の全部又は一部の開口面積を個別に調整することができ、これにより、該複数の開口部を通過するバキュームエアの流量(吸引風量)を個別に調整することができる。
【0032】
回転ドラム3が外周部3Sに有する集積用凹部40は、
図5に示すように、製造目的物である吸収体10(積繊体)の坪量が互いに異なる複数の部分(例えば高坪量部11、低坪量部12)に対応する、複数の積繊領域41をドラム周方向X1に有し、複数の積繊領域41は、第1の積繊領域41Aと、第1の積繊領域41Aに比べて積繊体の高坪量の部分を形成する第2の積繊領域41Bとを含む。
【0033】
本発明では、集積用凹部40が有する積繊領域41の数は、製造目的物である積繊体が製造時の流れ方向MDに対応する方向において有する、坪量が互いに異なる部分の数によって定まり、特に制限されない。例えば、前述した吸収体10は、製造時の流れ方向MD(回転ドラム3の回転方向R1)に対応する縦方向Xにおいて坪量が互いに異なる部分として、少なくとも高坪量部11及び低坪量部12の2つを有し、更に、高坪量部11及び低坪量部12それぞれが、縦方向Xにおいて坪量が互いに異なる複数の部分を有する場合があるので、1個の吸収体10を製造するための集積用凹部40が有する積繊領域41の数は、少なくとも2つであり、3つ、4つ、あるいは5つ以上があり得る。
【0034】
本実施形態では、集積用凹部40は積繊領域41として、
図5に示すように、第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41Bに加えて更に、第3の積繊領域41Cをドラム周方向X1に有している。
第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41Bは、それぞれ、吸収体10の低坪量部12を形成する部分であり、後述する開口部閉鎖部材30を有し(平面視で開口部閉鎖部材30と重なり)、開口部閉鎖部材30によって吸引が制限される積繊領域である。
これに対し、第3の積繊領域41Cは、吸収体10の高坪量部11を形成する部分であり、後述する開口部閉鎖部材30を有さず(平面視で開口部閉鎖部材30と重ならず)、開口部閉鎖部材30によって吸引が制限されない積繊領域である。
以下、第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41Bの如き、集積用凹部40における開口部閉鎖部材30を有する(開口部閉鎖部材30によって吸引が制限される)領域を「吸引制限領域」とも言う。また、第3の積繊領域41Cの如き、集積用凹部40における開口部閉鎖部材30を有さない(開口部閉鎖部材30によって吸引が制限されない)領域を「吸引非制限領域」とも言う。
本発明では、1個の積繊体を製造するための集積用凹部40において、前記吸引制限領域が3つ以上となる場合があり得る。前記吸引非制限領域は、典型的には、1個の吸収体10(積繊体)を製造するための集積用凹部40において1つである。
【0035】
本実施形態では、集積用凹部40は、回転ドラム3のドラム周方向X1の全長にわたって連続的に配されており、ドラム周方向X1に隣り合う第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41B(吸引制限領域)と、第3の積繊領域41C(吸引非制限領域)とが、ドラム周方向X1の全長にわたって交互に配されている。1つの第3の積繊領域41Cと、これを挟んでドラム周方向X1の前後に配された2つの積繊領域41A,41Bの組み合わせそれぞれのドラム周方向X1の半分の領域とが、1個の吸収体10に対応するので、集積用凹部40から搬送機構6の前記バキュームコンベアに排出される吸収体10は、複数の吸収体10が縦方向Xに連続した吸収体連続体である。
【0036】
回転ドラム3は固定ドラム2の外周部2Sの周りを、回転方向R1の上流側から下流側に向かって、空間Aに対応する領域、空間Bに対応する領域、空間Cに対応する領域の順に移動する。「空間Aに対応する領域」とは、固定ドラム2の空間Aを固定ドラム2の半径方向(ドラム軸方向と直交する方向)の外方に仮想的に延長した場合のその延長部分と重複する領域を指す。「空間Bに対応する領域」及び「空間Cに対応する領域」については、前記の「空間Aに対応する領域」の説明において「空間A」を「空間B」又は「空間C」に置換したものが適用される。
【0037】
本実施形態では、空間A,Bに対応する領域が、積繊材料が集積用凹部40内に積繊される吸引領域Sであり、原材料供給機構5のダクト51の一端側の開口は吸引領域Sを覆っている。吸引領域Sのうち、空間Aに対応する領域は、固定ドラム2側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域S1とされ、空間Bに対応する領域は、固定ドラム2側からの吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域S2とされている。吸引領域Sは、第1吸引領域S1と第2吸引領域S2とをドラム周方向X1に有している。
【0038】
前記減圧機構を作動させ固定ドラム2の空間A,Bを負圧に維持した状態で、回転ドラム3を回転方向R1に回転させると、回転ドラム3の集積用凹部40が、空間A,Bに対応する領域すなわち吸引領域Sを通過している間に、集積用凹部40の底面を形成する通気性部材(凹部底面形成プレート34,36)に空間A,B内の負圧が作用し、該通気性部材が有する多数の吸引孔を通じた空気の吸引が行われる。この吸引孔を通じた吸引により、吸引領域Sを覆うダクト51内の供給路50に、吸引領域Sに向かうバキュームエアが生じ、このバキュームエアに乗った繊維材料等の原材料が吸引領域Sに供給される。
【0039】
図4に示すように、固定ドラム2の外周部2Sには、第1吸引領域S1に対応する第1吸引領域対応部23と、第2吸引領域S2に対応する第2吸引領域対応部24とが配されている。本実施形態では、回転ドラム3の回転方向R1(集積用凹部40の搬送方向)にこの順で配されている。第1吸引領域対応部23は、固定ドラム2の内部側からの吸引が部分的に可能になされた部分であり、第2吸引領域対応部24は、固定ドラム2の内部側からの吸引が全面的に可能になされた部分である。
【0040】
第1吸引領域対応部23は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、バキュームエアは、該開口部を通じてのみ第1吸引領域対応部23を厚み方向に通過可能になされている。
本実施形態では、固定ドラム2の外周部2Sにおける第1吸引領域対応部23に対応する部分に、前記の「開口部が部分的に設けられた非通気性部材」に相当する吸引制御体25が配されている。吸引制御体25は、該吸引制御体25を厚み方向に貫通する制御体開口部26を1個以上有している。図示の形態では、制御体開口部26は、平面視でドラム周方向X1に延在する帯状(直線状)を有し、ドラム軸方向Y1に所定間隔を置いて複数配されている。吸引制御体25は非通気性であり、そのため、吸引制御体25における制御体開口部26以外の部分では吸引不可である。吸引制御体25を構成する非通気性部材としては、金属、樹脂等を用いることができる。
一方第2吸引領域対応部24は、非通気性部材を含まず、集積用凹部に対応する部分の全域が開口している。そのためバキュームエアは、第2吸引領域対応部24の全域を厚み方向に通過可能である。
【0041】
なお、本明細書において、集積部4(固定ドラム2、回転ドラム3)の外周部の如き、湾曲部についての「平面視」又は「平面図」とは、その湾曲部(例えば、吸引制御体25、集積用凹部40など)を、該湾曲部の法線方向(ドラム軸方向と直交する方向)の外方から見た場合を意味する。
【0042】
前述した固定ドラム2の外周部2Sの第1吸引領域対応部23に対応して、回転ドラム3における固定ドラム2の外周部2Sとの対向部分である、ドラム本体3Aの外周部3ASには、
図4に示すように、第1吸引領域対応部23の制御体開口部26を閉鎖する非通気性の開口部閉鎖部材30が配されている。開口部閉鎖部材30は、
図6に示すように、集積用凹部40が第1吸引領域S1を搬送中に制御体開口部26を閉鎖するようになされている。
【0043】
開口部閉鎖部材30は、
図6に示すように、集積用凹部40の第1の積繊領域41Aに対応する(平面視で第1の積繊領域41Aと重なる)第1開口部閉鎖部材30Aと、集積用凹部40の第2の積繊領域41Bに対応する(平面視で第2の積繊領域41Bと重なる)第2開口部閉鎖部材30Bとを含む。両開口部閉鎖部材30A,30Bは、両積繊領域41A,41Bに対応して、ドラム周方向X1に並んで配されている。
なお、本発明では前述したように、1個の積繊体(吸収体)を製造するための集積用凹部40が有する積繊領域41の数は、複数であることを前提として特に制限されず、3つ以上になる場合があり得るところ、その場合には、3個以上の複数の開口部閉鎖部材30がドラム周方向X1に並んで配され得る。
本明細書における開口部閉鎖部材30についての説明は、特に断らない限り、第1開口部閉鎖部材30A及び第2開口部閉鎖部材30Bをはじめとする、本発明の積繊装置に含まれる複数の開口部閉鎖部材に適用される。
【0044】
本実施形態では、前述したとおり、集積用凹部40は、第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41B(吸引制限領域)に加えて更に、吸収体10の高坪量部11を形成する第3の積繊領域41C(吸引非制限領域)を有しているところ、
図4及び
図6に示すように、ドラム本体3Aの外周部3ASにおける、第3の積繊領域41Cに対応する部分32には、開口部閉鎖部材30は配されていない。開口部閉鎖部材30を形成する非通気性の素材としては、金属、樹脂等を用いることができる。
【0045】
本実施形態では、
図4に示すように、ドラム本体3Aの外周部3ASに、開口部閉鎖部材30が配された吸引阻害部31と、開口部閉鎖部材30が配されておらず、該外周部3ASを厚み方向に貫通する貫通孔からなる吸引非阻害部32とが、ドラム周方向X1に交互に配されている。
複数の吸引阻害部31それぞれにおいて、開口部閉鎖部材30のドラム軸方向Y1での配置数は、固定ドラム2の外周部2Sの第1吸引領域対応部23における制御体開口部26のドラム軸方向Y1での配置数と同じに設定されている。図示の形態では、制御体開口部26のドラム軸方向Y1での配置数は3であるので、吸引阻害部31における開口部閉鎖部材30のドラム軸方向Y1での配置数も3である。複数の吸引阻害部31それぞれにおいて、複数(3個)の開口部閉鎖部材30は、平面視でドラム周方向X1に延在する帯状(直線状)を有し、ドラム軸方向Y1に間欠配置されている。また開口部閉鎖部材30は、制御体開口部26とドラム軸方向Y1において同位置に配されており、第1吸引領域対応部23と吸引阻害部31とが重なった状態で、第1吸引領域対応部23の制御体開口部26が、吸引阻害部31の開口部閉鎖部材30によって閉鎖されるようになされている。なお、ここでいう「閉鎖」には、1)バキュームエアが制御体開口部26を通過不可となる、すなわち制御体開口部26での吸引が完全に不可となるように、開口部閉鎖部材30が制御体開口部26に重なる形態と、2)制御体開口部26での吸引が多少は可能な程度に開口部閉鎖部材30が制御体開口部26に重なる形態とが包含される。前記1)及び2)の何れの形態も、開口部閉鎖部材30によって制御体開口部26での吸引が阻害される点では同じである。
一方吸引非阻害部32は、開口部閉鎖部材30の如き非通気性部材を含まず、集積用凹部に対応する部分の全域が開口している。そのためバキュームエアは、吸引非阻害部32の全域を厚み方向に通過可能である。
【0046】
固定ドラム2及び回転ドラム3が前述の如く構成された積繊装置1においては、集積用凹部40の第1吸引領域S1での搬送中に、固定ドラム2の外周部2Sの第1吸引領域対応部23の制御体開口部26(固定ドラム2側からの吸引に必要な開口部)に、開口部閉鎖部材30(第1開口部閉鎖部材30A、第2開口部閉鎖部材30B)が重なることで、集積用凹部40の第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41B(吸引制限領域)のバキュームエアの流量(吸引風量)を低減するようになされている。
【0047】
以下、吸引領域S(第1吸引領域S1、第2吸引領域S2)でのバキュームエアの制御方法について説明する。
積繊装置1では、前述したように
図3及び
図6に示す如くに、空間Aに対応する領域が第1吸引領域S1(回転ドラム3の外周部3Sにおける、固定ドラム2の外周部2Sの第1吸引領域対応部23と平面視で重なる部分)、空間Bに対応する領域が第2吸引領域S2(回転ドラム3の外周部3Sにおける、固定ドラム2の外周部2Sの第2吸引領域対応部24と平面視で重なる部分)とされ、回転ドラム3の回転方向R1すなわち集積用凹部40の搬送方向(流れ方向MD)の上流側から下流側に向かって、両吸引領域S1,S2がこの順で配されている。
なお、本発明の積繊装置では、両吸引領域S1,S2の位置は特に制限されず、図示の形態とは逆に、流れ方向MDの上流側から下流側に向かって、第2吸引領域S2、第1吸引領域S1の順で配されていてもよい。
また、バキュームエアの発生源(吸引源)である固定ドラム2の外周部2Sには、第1吸引領域S1に対応し、制御体開口部26を部分的に有する吸引制御体25を含む第1吸引領域対応部23と、第2吸引領域S2に対応し、集積用凹部40に対応する部分の全域が開口している第2吸引領域対応部24とが配されている。
また、回転ドラム3における固定ドラム2の外周部2Sとの対向部分であるドラム本体3Aの外周部3ASには、集積用凹部40の一部である第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41B(吸引制限領域)に対応し、非通気性の開口部閉鎖部材30(第1開口部閉鎖部材30A、第2開口部閉鎖部材30B)を含む吸引阻害部31と、集積用凹部40の他の一部である第3の積繊領域41Cに対応し、開口部閉鎖部材30が配されておらず、該外周部3ASを厚み方向に貫通する貫通孔からなる吸引非阻害部32とが配されている。
このような構成の積繊装置1において、回転ドラム3が回転方向R1に回転すると、集積用凹部40は、
図6に示すように、吸引領域Sを第1吸引領域S1、第2吸引領域S2の順に移動する。
【0048】
図7には、第1の積繊領域41A(吸引制限領域)の両吸引領域S1,S2での吸引状態、
図8には、第3の積繊領域41C(吸引非制限領域)の両吸引領域S1,S2での吸引状態がそれぞれ示されている。
図7及び
図8中の矢印はバキュームエアを示している。
図7(a)及び
図8(a)は、第1吸引領域S1での吸引状態、
図7(b)及び
図8(b)は、第2吸引領域S2での吸引状態を示している。
なお後述するように、第1の積繊領域41Aと第2の積繊領域41Bとは、固定ドラム2の制御体開口部26と回転ドラム3の開口部閉鎖部材30(30A,30B)との離間距離が異なり、その影響でバキュームエアの流量(吸引風量)が異なり得るが、第1吸引領域S1で制御体開口部26及び開口部閉鎖部材30を用いて実施される吸引風量の制御方法自体は実質的に同じである。したがって、
図7に示す形態、及び
図7に基づく以下の第1の積繊領域41A(第1開口部閉鎖部材30A)についての吸引風量の制御方法に関する説明は、第2の積繊領域41B(第2開口部閉鎖部材30B)にも適用できる。
【0049】
集積用凹部40が第1吸引領域S1を通過中の場合、第1の積繊領域41A(吸引制限領域)では、固定ドラム2の第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に回転ドラム3の開口部閉鎖部材30(第1開口部閉鎖部材30A)が重なることで制御体開口部26が閉鎖されるが(
図7(a)参照)、第3の積繊領域41C(吸引非制限領域)では、制御体開口部26は閉鎖されない(
図8(a)参照)。したがって集積用凹部40が第1吸引領域S1を通過中、第1の積繊領域41Aでは、固定ドラム2側からの吸引(バキュームエアの制御体開口部26の通過)が不可又は著しく制限されるため、吸引風量がゼロ又は著しく低減され、繊維材料の吸引が阻害され、第3の積繊領域41Cでは、固定ドラム2側からの吸引が実質的に制限されないため、吸引風量が実質的に低減されず、第1の積繊領域41Aに比べて繊維材料が優先的に積繊される。
一方、集積用凹部40が第2吸引領域S2を通過中の場合、第2吸引領域S2に対応する固定ドラム2の第2吸引領域対応部24が、吸引制御体25の如き非通気性部材を含まず、第2吸引領域対応部24における集積用凹部40に対応する部分の全域が開口しているため、集積用凹部40が有するドラム周方向X1に区分された複数の積繊領域41(本実施形態では、第1の積繊領域41A、第2の積繊領域41B、第3の積繊領域41C)それぞれで、固定ドラム2側からの吸引が実質的に制限されず、吸引風量が実質的に低減されないので、集積用凹部40全体に積繊材料が積繊し得る(
図7(b)及び
図8(b)参照)。
【0050】
積繊装置1ではこのように、固定ドラム2の制御体開口部26と回転ドラム3の開口部閉鎖部材30(30A,30B)との回転ドラム3の回転に伴う周期的な重なりを利用して、吸引領域Sの一部である第1吸引領域S1にて、第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41B(吸引制限領域)に関わるバキュームエアの流れのみを選択的に阻害することで、第3の積繊領域41C(吸引非制限領域)への集中的な繊維材料の積繊を可能にしている。これにより第1吸引領域S1では、第3の積繊領域41Cに優先的に繊維材料が積繊される。例えば、第1吸引領域S1では実質的に、第3の積繊領域41Cのみに繊維材料が積繊し、第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41Bには繊維材料が全く積繊しないか、積繊したとしても第3の積繊領域41Cに比べて積繊量が極少量となり得る。前述したとおり、第2吸引領域S2ではこのような選択的な吸引阻害を行わず、集積用凹部40全体で積繊が行われるので、吸引領域Sを通過後の集積用凹部40には、第1吸引領域S1での積繊方法の影響が強く反映された繊維材料の積繊体、すなわちドラム周方向X1に沿う集積用凹部40の搬送方向において繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体10が形成されることになる。
【0051】
前述した、第1吸引領域S1における制御体開口部26及び開口部閉鎖部材30を用いたバキュームエアの流量制御による作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、第1吸引領域対応部23の面積に対する制御体開口部26の面積の割合は、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、そして、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下である。
【0052】
本実施形態では、第3の積繊領域41C(吸引非制限領域)の少なくとも一部は、第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41B(吸引制限領域)に比べて凹部深さが深い。具体的には本実施形態では、
図8及び
図9に示すように、第3の積繊領域41Cのドラム軸方向Y1の中央部(吸収体10の中高部11Aを形成する部分)は、両積繊領域41A,41B及び第3の積繊領域41Cにおける該中央部以外の部分(第3の積繊領域41Cのドラム軸方向Y1の両端部)の双方に比べて、凹部深さが深い。すなわち、第3の積繊領域41Cのドラム軸方向Y1の中央部の底面を形成する第1凹部底面形成プレート34は、両積繊領域41A,41B及び第3の積繊領域41Cにおける該中央部以外の部分の底面を形成する第2凹部底面形成プレート36に比べて、固定ドラム2に近い側に位置している。前記「凹部深さ」とは、集積用凹部40を挟んでドラム軸方向Y1の両側に位置する部材の外面と集積用凹部40の底面との離間距離を指し、本実施形態では、該部材はリングプレート38である。このように、第3の積繊領域41C(吸引非制限領域)の少なくとも一部が、両積繊領域41A,41B(吸引制限領域)に比べて凹部深さが深いことは、
図1に示す吸収体10の如き偏在吸収体における繊維材料の偏在の程度を大きくする点で有用である。ただし、第1凹部底面形成プレート34は第2凹部底面形成プレート36と同じ深さでもよい。
【0053】
ところで、前述した、開口部閉鎖部材30(30A,30B)による制御体開口部26(固定ドラム2側からの吸引に必要な開口部)の閉鎖の際に、開口部閉鎖部材30と第1吸引領域対応部23(吸引制御体25)とが接触するように設計されていると、これらの部材が接触する度に摩耗していき、比較的短時間で故障するなどの不都合が生じることが懸念される。
この点に鑑みて、積繊装置1では、
図7(a)に示すように、第1吸引領域S1において、固定ドラム2の第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に、回転ドラム3の第1開口部閉鎖部材30Aが重なった状態では、第1吸引領域対応部23(具体的には第1吸引領域対応部23を形成する吸引制御体25)と第1開口部閉鎖部材30Aとが離間しているようになされている。
図7(a)に示す形態では、第1吸引領域対応部23(吸引制御体25)と第1開口部閉鎖部材30Aとの間に隙間G0(
図7(a)中、〇で囲んだ部分)が存在しており、両者が離間している。
同様に、制御体開口部26に回転ドラム3の第2開口部閉鎖部材30Bが重なった状態でも、第1吸引領域対応部23(吸引制御体25)と第2開口部閉鎖部材30Bとは離間している。
積繊装置1は、このように構成されていることで前記懸念が払拭されており、製造時の流れ方向MDに対応する方向において繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体(積繊体)を安定的に製造することができる。
【0054】
本発明の積繊装置では、製造時の流れ方向MDに対応する方向において繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体を得るという課題を解決するために、前述したように、吸引領域Sを集積用凹部40の搬送方向に第1吸引領域S1と第2吸引領域S2とに区分し、そのうちの一方である第1吸引領域S1において、制御体開口部26及び開口部閉鎖部材30を用いて、第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41B(吸引制限領域)のバキュームエアの流量を低減している(構成A)。
本発明の積繊装置は、前記課題を解決するために、前記構成Aに加えて更に、以下に説明する構成B1又はB2を具備する点で特徴付けられる。
【0055】
構成B1:第1吸引領域S1において制御体開口部26に開口部閉鎖部材30が重なった状態での第1吸引領域対応部23と開口部閉鎖部材30との離間距離が、ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30(具体的には例えば、第1開口部閉鎖部材30A、第2開口部閉鎖部材30B)どうしで異なる。
より具体的には、前記構成B1では、ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30どうしで前記離間距離が互いに異なり、ドラム周方向X1の一方側から他方側に向かって該離間距離が漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材30が配されている。
【0056】
構成B2:ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30(具体的には例えば、第1開口部閉鎖部材30A、第2開口部閉鎖部材30B)どうしで、開口部閉鎖部材30の搬送直交方向CDの長さ(幅、ドラム軸方向Y1の長さ)が異なる。
より具体的には、前記構成B2では、ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30どうしで、開口部閉鎖部材30の幅が互いに異なり、ドラム周方向X1の一方側から他方側に向かって開口部閉鎖部材30の幅が漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材30が配されている。
【0057】
前記構成B1について説明すると、
図10に示すように、第1吸引領域S1において第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に、集積用凹部40の第1の積繊領域41Aに対応する第1開口部閉鎖部材30Aが重なった状態では、第1吸引領域対応部23(吸引制御体25)と第1開口部閉鎖部材30Aとが所定の離間距離G1を置いて離間している。
また
図11に示すように、第1吸引領域S1において第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に、集積用凹部40の第2の積繊領域41Bに対応する第2開口部閉鎖部材30Bが重なった状態では、第1吸引領域対応部23(吸引制御体25)と第2開口部閉鎖部材30Bとが所定の離間距離G2を置いて離間している。
そして、「離間距離G1<離間距離G2」の大小関係が成立している。すなわち、第2の積繊領域41Bに対応する第2開口部閉鎖部材30Bの方が、第1の積繊領域41Aに対応する第1開口部閉鎖部材30Aに比べて、制御体開口部26に重なった状態での第1吸引領域対応部23との離間距離が長い。
図12には、前記構成B1を具備する積繊装置において、集積用凹部40の一製品単位(1個の吸収体10)に対応する部分が第1吸引領域S1に位置している状態での、ドラム周方向X1に沿う断面が示されている。
図12における第1の積繊領域41Aのドラム軸方向Y1に沿う断面が
図10、
図12における第2の積繊領域41Bのドラム軸方向Y1に沿う断面が
図11である。第3の積繊領域41Cは、前述したとおり、開口部閉鎖部材30を有さない吸引非制限領域である。
【0058】
前記構成B1を具備する積繊装置では、第1吸引領域S1において制御体開口部26に開口部閉鎖部材30が重なった状態での第1吸引領域対応部23と開口部閉鎖部材30との離間距離が長いほど、開口部閉鎖部材30による制御体開口部26の閉鎖の程度が弱まり、バキュームエアが制御体開口部26を通過しやすくなるので吸引風量が増加し、繊維材料の吸引力が向上する。したがって、前記構成B1を具備する積繊装置によれば、離間距離G1<離間距離G2の大小関係が成立することで、集積用凹部40に吸引され積繊される繊維材料の坪量について、第1の積繊領域41A<第2の積繊領域41Bの大小関係が成立するため、前述した前記構成Aによる作用効果と相俟って、製造時の流れ方向MDにおいて繊維材料の偏在の程度を大きくすることが可能となる。
前述した作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、離間距離G1と離間距離G2との差は、離間距離G2から離間距離G1を差し引いた場合に、好ましくは0.1mm以上2.9mm以下、より好ましくは0.1mm以上1.9mm以下である。
【0059】
離間距離G1,G2が短すぎると、前述した開口部閉鎖部材30(30A,30B)と第1吸引領域対応部23(吸引制御体25)との接触による摩耗の問題が懸念される他、バキュームエアが制御体開口部26を通過することが実質的に不可となるため、離間距離G1,G2の調整によって流れ方向MDにおける繊維材料の偏在の程度を制御することが困難となる。また、離間距離G1,G2が長すぎると、第1吸引領域S1で吸引制限領域(積繊領域41A,41B)の吸引風量を意図的に低減させること(前記構成Aによる作用効果)が不十分となって、流れ方向MDにおける繊維材料の偏在の程度を制御すること自体困難になることが懸念される。
以上を考慮すると、離間距離G1,G2は、それぞれ、好ましくは0mmよりも大きく3mm以下、そして、より好ましくは0mmよりも大きく2mm以下である。
【0060】
本発明では前述したように、集積用凹部40が有する積繊領域41の数は、複数であることを前提として特に制限されず、製造目的物である積繊体が製造時の流れ方向MDに対応する方向(吸収体10では縦方向X)において有する、坪量が互いに異なる部分の数次第では3個以上となり、その場合、3個以上の開口部閉鎖部材30がドラム周方向X1に並んで配され得る。つまり本発明には、製造時の流れ方向MD(回転ドラム3の回転方向R1、集積用凹部40の搬送方向)の上流側から下流側に向かって、第1開口部閉鎖部材、第2開口部閉鎖部材、第3開口部閉鎖部材・・・・第n開口部閉鎖部材という形態(以下、「特定形態A」とも言う。)が包含される。
前記特定形態Aで前記構成B1を具備する積繊装置においては、ドラム周方向X1に並ぶn(nは3以上の自然数)個の開口部閉鎖部材30は、それぞれ、第1吸引領域S1において第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に重なった状態では、第1吸引領域対応部23に対して所定の離間距離Gを置いて離間している。そして、そのドラム周方向X1に並ぶn個の開口部閉鎖部材30どうしで離間距離Gが互いに異なり、ドラム周方向X1の一方側から他方側に向かって離間距離Gが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材30が配されている。例えばドラム周方向X1に沿う流れ方向MDの上流側から下流側に向かって、第1開口部閉鎖部材、第2開口部閉鎖部材、第3開口部閉鎖部材・・・・第n開口部閉鎖部材と並んでいる場合、第1開口部閉鎖部材の離間距離G1<第2開口部閉鎖部材の離間距離G2<第3開口部閉鎖部材G3<・・・・<第n開口部閉鎖部材の離間距離Gn、という大小関係が成立している。
そして、斯かる大小関係が成立する積繊装置では、第1吸引領域S1において、n個の開口部閉鎖部材30に対応する複数(n以上の自然数)の積繊領域41(吸引制限領域)どうしでは、離間距離Gが長いものほど吸引風量が多くなるので、集積用凹部40に吸引され積繊される繊維材料の坪量について、「離間距離Gが相対的に短い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41<離間距離Gが相対的に長い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41」の大小関係が成立し、前述した前記構成Aによる作用効果と相俟って、製造時の流れ方向MDにおいて繊維材料の偏在の程度を大きくすることが可能となる。ここでいう離間距離Gnは、前述した離間距離G1,G2と同様の範囲に設定することができる。
【0061】
前記構成B1による作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、
図10を参照して、第1開口部閉鎖部材30Aの幅W1に対して、第1吸引領域対応部23において第1開口部閉鎖部材30Aと重なる第1吸引領域対応部23の制御体開口部26の幅W26は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、そして、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
また、
図11を参照して、第2開口部閉鎖部材30Bの幅W2に対して、第1吸引領域対応部23において第2開口部閉鎖部材30Bと重なる第1吸引領域対応部23の制御体開口部26の幅W26は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、そして、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
つまり、開口部閉鎖部材30の幅(搬送直交方向CDの長さ)の方が、第1吸引領域対応部23において該開口部閉鎖部材30と重なる制御体開口部26の幅W26に比べてやや長い方が好ましい。前述した特定形態Aでは、ドラム周方向X1に3個以上の複数の開口部閉鎖部材30が並ぶところ、前記構成B1を具備する場合に、その複数の開口部閉鎖部材30それぞれの幅とそれに対応する制御体開口部26の幅W26との比率についても、前記範囲にあることが好ましい。
なお、前記構成B1を具備する積繊装置においては、第1開口部閉鎖部材30Aの幅W1と第2開口部閉鎖部材30Bの幅W2とは同じでもよく、異なっていてもよいが、典型的には、両幅W1,W2は同じである。
【0062】
前記構成B2について説明すると、
図10に示すように、第1開口部閉鎖部材30Aの幅W1は、第1吸引領域対応部23の制御体開口部26の幅W26に比べて長く、第1吸引領域S1において制御体開口部26に第1開口部閉鎖部材30Aが重なった状態では、第1開口部閉鎖部材30Aが制御体開口部26を搬送直交方向CD(ドラム軸方向Y1)の全長にわたって延在している。
また
図13に示すように、第2開口部閉鎖部材30B1の幅W2は、第1吸引領域対応部23の制御体開口部26の幅W26に比べて短く、第1吸引領域S1において制御体開口部26に第2開口部閉鎖部材30B1が重なった状態では、制御体開口部26の搬送直交方向CD(ドラム軸方向Y1)の一部、典型的には、制御体開口部26の搬送直交方向CDの両端部に、第2開口部閉鎖部材30B1で覆われない部分が存在する。なお。第2開口部閉鎖部材30B1は、幅W2以外は、前述した第2開口部閉鎖部材30Bと同じである。
図14には、前記構成B2を具備する積繊装置において、集積用凹部40の一製品単位(1個の吸収体10)に対応する部分が第1吸引領域S1に位置している状態での、ドラム周方向X1に沿う断面が示されている。
図14における第1の積繊領域41Aのドラム軸方向Y1に沿う断面が
図10、
図14における第2の積繊領域41Bのドラム軸方向Y1に沿う断面が
図13である。第3の積繊領域41Cは、前述したとおり、開口部閉鎖部材30を有さない吸引非制限領域である。
なお、前記構成B2を具備する積繊装置においては、典型的には、制御体開口部26の幅W26は、これに重なる開口部閉鎖部材30の幅にかかわらず、当該積繊装置において一定である。
【0063】
前記構成B2を具備する積繊装置では、第1吸引領域S1において、第1開口部閉鎖部材30Aが制御体開口部26の回転ドラム3側の全体を覆うのに対し、第2開口部閉鎖部材30Bは制御体開口部26の回転ドラム3側の一部を覆わないため、第1開口部閉鎖部材30Aに対応する第1の積繊領域41Aと、第2開口部閉鎖部材30Bに対応する第2の積繊領域41Bとで、吸引風量について、第1の積繊領域41A<第2の積繊領域41Bの大小関係が成立する。したがって、前記構成B2を具備する積繊装置によれば。集積用凹部40に吸引され積繊される繊維材料の坪量について、第1の積繊領域41A<第2の積繊領域41Bの大小関係が成立するため、前述した前記構成Aによる作用効果と相俟って、製造時の流れ方向MDにおいて繊維材料の偏在の程度を大きくすることが可能となる。
【0064】
前記構成B2の技術思想は、前記構成B1のそれと同様に、前記特定形態Aにも適用できる。すなわち、前記特定形態Aで前記構成B2を具備する積繊装置においては、ドラム周方向X1に並ぶn(nは3以上の自然数)個の開口部閉鎖部材30どうしで、開口部閉鎖部材30の幅W(搬送直交方向CDの長さ)が互いに異なり、ドラム周方向の一方側から他方側に向かって幅Wが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材30が配されている。例えば、ドラム周方向X1に沿う流れ方向MDの上流側から下流側に向かって、第1開口部閉鎖部材、第2開口部閉鎖部材、第3開口部閉鎖部材・・・・第n開口部閉鎖部材と並んでいる場合、第1開口部閉鎖部材の幅W1<第2開口部閉鎖部材の幅W2<第3開口部閉鎖部材の幅W3<・・・・<第n開口部閉鎖部材の幅Wn、という大小関係が成立している。
そして、斯かる大小関係が成立する積繊装置では、第1吸引領域S1において、n個の開口部閉鎖部材30に対応する複数(n以上の自然数)の積繊領域41(吸引制限領域)どうしでは、第1吸引領域S1で当該開口部閉鎖部材30と重なり合う関係にある制御体開口部26の幅W26(
図13等参照)が積繊装置において一定であることを前提として、幅Wが短いものほど吸引風量が多くなるので、集積用凹部40に吸引され積繊される繊維材料の坪量について、「幅Wが相対的に長い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41<幅Wが相対的に短い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41」の大小関係が成立し、前述した前記構成Aによる作用効果と相俟って、製造時の流れ方向MDにおいて繊維材料の偏在の程度を大きくすることが可能となる。
【0065】
第1開口部閉鎖部材30Aのように、第1吸引領域S1で重なり合う関係にある制御体開口部26に比べて幅(搬送直交方向CDの長さ)が長い幅広の開口部閉鎖部材30について、該幅広の開口部閉鎖部材30の幅は、該制御体開口部26の幅に比べて長いことを前提として、該制御体開口部26の幅に対して、好ましくは110%以上、より好ましくは125%以上、そして、好ましくは1000%以下、より好ましくは500%以下である。
また第2開口部閉鎖部材30B1のように、第1吸引領域S1で重なり合う関係にある制御体開口部26に比べて幅(搬送直交方向CDの長さ)が短い幅狭の開口部閉鎖部材30について、該幅狭の開口部閉鎖部材30の幅は、該制御体開口部26の幅に比べて短いことを前提として、該制御体開口部26の幅に対して、好ましくは50%以上100%未満、より好ましくは60%以上100%未満である。
【0066】
前記構成B2を具備する積繊装置では、前述した開口部閉鎖部材30(30A,30B)と第1吸引領域対応部23(吸引制御体25)との接触による摩耗の問題を解決する観点から、第1吸引領域S1において第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に第1開口部閉鎖部材30Aが重なった状態で、第1吸引領域対応部23と第1開口部閉鎖部材30Aとが所定の離間距離を置いて離間していることが好ましく、その離間距離は、好ましくは0mmよりも大きく3mm以下、より好ましくは0mmよりも大きく2mm以下である。
同様の観点から、第1吸引領域S1において第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に第2開口部閉鎖部材30Bが重なった状態で、第1吸引領域対応部23と第2開口部閉鎖部材30Bとが所定の離間距離を置いて離間していることが好ましく、その離間距離は、好ましくは0mmよりも大きく3mm以下、より好ましくは0mmよりも大きく2mm以下である。
前述した特定形態Aでは、ドラム周方向X1に3個以上の複数の開口部閉鎖部材30が並ぶところ、前記構成B2を具備する場合に、その複数の開口部閉鎖部材30それぞれの第1吸引領域対応部23との離間距離についても、前記範囲にあることが好ましい。
【0067】
積繊装置1においては、前述したとおり
図4に示す如くに、回転ドラム3は、固定ドラム2の外周部2Sに対向配置されるドラム本体3Aと、ドラム本体3Aよりも固定ドラム2から遠くに配置される外層部3Bとを含むところ、
図15に示すように、開口部閉鎖部材30(第1開口部閉鎖部材30A、第2開口部閉鎖部材30B)は、ドラム本体3Aにおいて外層部3Bからドラム本体3A側に所定の距離離間した位置に配置されている。
外層部3Bは、集積用凹部40の底面を形成する部材(積繊装置1では、第1凹部底面形成プレート34及び第2凹部底面形成プレート36)を含むので、前記のように、開口部閉鎖部材30が外層部3Bから離間しているということは、開口部閉鎖部材30が集積用凹部40の底面からも離間していることになる。
図15に示す形態では、開口部閉鎖部材30は、外層部3Bから固定ドラム2側に離間距離Lを置いて配置され、第1吸引領域対応部23及び第2吸引領域対応部24を有する固定ドラム2の外周部2Sの近傍に配置されている。
開口部閉鎖部材30の回転ドラム3の半径方向における位置がこのようになっていると、外層部3Bを通って吸引された空気の流れをドラム軸方向Y1で整流することが可能となり、これにより、バキュームエアの乱れやドラム軸方向Y1の風量ふれを均すことができるため、積繊体(吸収体)の成形性の向上が期待できる。
前述した特定形態Aでは、ドラム周方向X1に3個以上の複数の開口部閉鎖部材30が並ぶところ、その複数の開口部閉鎖部材30それぞれの回転ドラム3の半径方向の位置についても、前記と同様に設定することができる。
【0068】
次に、本発明の吸収体の製造方法について、前述した積繊装置1を用いた吸収体10(坪量が互いに異なる複数の部分を一方向に有する吸収体)の製造方法を例にとり説明する。斯かる製造方法について特に説明しない点は、前述の積繊装置1についての説明が適宜適用される。
積繊装置1を用いた吸収体の製造方法は、積繊工程を有する。前記積繊工程は、
図2及び
図3に示すように、回転ドラム3を固定ドラム2の外周部2Sの周りに回転させつつ、回転ドラム3の外周部3Sに対して繊維材料を飛散状態にて供給し、ドラム周方向X1の所定の吸引領域Sにて集積用凹部40に積繊させる工程である。
【0069】
積繊装置1が、前述した特定形態Aで、前記構成A(吸引領域Sを集積用凹部40の搬送方向に第1吸引領域S1と第2吸引領域S2とに区分し、そのうちの一方である第1吸引領域S1において、制御体開口部26及び開口部閉鎖部材30を用いて、複数の積繊領域41(吸引制限領域)のバキュームエアの流量を低減する構成)に加えて更に、前記構成B1を具備する場合、
ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30は、それぞれ、第1吸引領域S1において第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に重なった状態では、第1吸引領域対応部23に対して所定の離間距離Gを置いて離間しており、且つ
ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30どうしで離間距離Gが互いに異なり、ドラム周方向X1の一方側から他方側に向かって離間距離Gが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材30が配されているので、
前記積繊工程では、第1吸引領域S1において、複数の開口部閉鎖部材30に対応する複数の積繊領域41(前記吸引制限領域)どうしでは、離間距離Gが長いものほど、バキュームエアの流量が多くなる。
つまり、集積用凹部40に吸引され積繊される繊維材料の坪量について、「離間距離Gが相対的に短い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41<離間距離Gが相対的に長い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41」の大小関係が成立する。
【0070】
例えば、前述した積繊装置1では、前記吸引制限領域として、第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41Bを含み、また、両積繊領域41A,41Bに関わる離間距離Gに関して前述したとおり、離間距離G1<離間距離G2の大小関係が成立するので、バキュームエアの流量について、第1の積繊領域41A<第2の積繊領域41Bの大小関係が成立し、したがって繊維材料の坪量(積繊量)についても同様の大小関係が成立する。
また、前述した積繊装置1では、前記吸引非制限領域として第3の積繊領域41Cを含むところ、第3の積繊領域41Cは開口部閉鎖部材30を有さず、これよる吸引の制限を受けないので、バキュームエアの流量については、第1の積繊領域41A(吸引制限領域)<第2の積繊領域41B(吸引制限領域)<第3の積繊領域41C(吸引非制限領域)の大小関係が成立する。したがって、前述した積繊装置1を用いた積繊工程では、第1吸引領域S1において、第3の積繊領域41Cに最も多くの繊維材料が積繊され、以下積繊量の多い順に、第2の積繊領域41B、第1の積繊領域41Aとなる。
【0071】
このように、前記構成A及び前記構成B1を具備する積繊装置を用いた本発明の吸収体の製造方法によれば、製造時の流れ方向に対応する方向において繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体が得られる。また、前記積繊装置が備える開口部閉鎖部材30は、第1吸引領域S1において第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に重なった状態では、第1吸引領域対応部23に対して所定の離間距離Gを置いて離間するようになされているので、開口部閉鎖部材30と第1吸引領域対応部23との接触による摩耗の問題が生じ難く、高品質の積繊体である吸収体10を安定的に製造することができる。
【0072】
ところで前記構成B1は、ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30どうしで第1吸引領域S1における第1吸引領域対応部23との離間距離Gを調整することで、ドラム周方向X1に沿う製造時の流れ方向MDでの繊維材料の偏在の程度を制御するというものであったが、これをドラム軸方向Y1に応用することで、搬送直交方向CDでの繊維材料の偏在の程度を制御することも可能である。
具体的には、前述した積繊装置1においては、第1吸引領域対応部23に制御体開口部26がドラム軸方向Y1に複数(3つ)並んで設けられているとともに、回転ドラム3の固定ドラム2の外周部2Sとの対向部分(ドラム本体3Aの外周部3AS)に、開口部閉鎖部材30がドラム軸方向Y1に複数(3個)並んで配されており、集積用凹部40の第1吸引領域S1での搬送中に、ドラム軸方向Y1に並ぶ複数の制御体開口部26に、ドラム軸方向Y1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30が重なるようになされており、ドラム軸方向Y1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30は、それぞれ、第1吸引領域S1において第1吸引領域対応部23の制御体開口部26に重なった状態では、第1吸引領域対応部23に対して所定の離間距離Gを置いて離間している(
図4、
図6、
図10及び
図11等参照)。このような構成の積繊装置1に下記構成B1aを採用する。
構成B1a:ドラム軸方向Y1に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材30どうしで離間距離Gが互いに異なり、ドラム軸方向Y1の一方側から他方側に向かって離間距離Gが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材30が配されている。
【0073】
前記構成B1aの具体例として、ドラム軸方向Y1の外方側から内方側に向かって離間距離Gが漸次増加するように、複数の開口部閉鎖部材30が配されているものが挙げられる。この具体例によれば、バキュームエアの流量について、ドラム軸方向Y1の外方側に位置する積繊領域41<ドラム軸方向Y1の内方側に位置する積繊領域41の大小関係が成立し、したがって繊維材料の坪量(積繊量)についても同様の大小関係が成立する。
このように、前記構成A、前記構成B1及び前記構成B1aを具備する積繊装置を用いた本発明の吸収体の製造方法によれば、前記積繊工程で、第1吸引領域S1において、ドラム周方向X1及びドラム軸方向Y1の双方にて、集積用凹部40に吸引され積繊される繊維材料の坪量について、「離間距離Gが相対的に短い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41<離間距離Gが相対的に長い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41」の大小関係が成立するため、繊維材料の偏在の程度をより高度に制御できる。
【0074】
また、積繊装置1が、前述した特定形態Aで、前記構成A(吸引領域Sを集積用凹部40の搬送方向に第1吸引領域S1と第2吸引領域S2とに区分し、そのうちの一方である第1吸引領域S1において、制御体開口部26及び開口部閉鎖部材30を用いて、複数の積繊領域41(吸引制限領域)のバキュームエアの流量を低減する構成)に加えて更に、前記構成B2を具備する場合、
ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30どうしで開口部閉鎖部材30の幅W(搬送直交方向CDの長さ)が互いに異なり、ドラム周方向X1の一方側から他方側に向かって開口部閉鎖部材30の幅Wが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材30が配されているので、
前記積繊工程では、第1吸引領域S1において、複数の開口部閉鎖部材30に対応する複数の積繊領域41(前記吸引制限領域)どうしでは、開口部閉鎖部材30の幅Wが短いものほどバキュームエアの流量が多くなる。
つまり、集積用凹部40に吸引され積繊される繊維材料の坪量について、「幅Wが相対的に長い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41<幅Wが相対的に短い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41」の大小関係が成立する。
【0075】
例えば、前述した積繊装置1では、前記吸引制限領域として第1の積繊領域41A及び第2の積繊領域41B、前記吸引非制限領域として第3の積繊領域41Cをそれぞれ含み、また、両積繊領域41A,41Bに関わる開口部閉鎖部材30の幅Wに関しては前述したとおりであるので、バキュームエアの流量について、第1の積繊領域41A<第2の積繊領域41B<第3の積繊領域41Cの大小関係が成立し、繊維材料の坪量(積繊量)についても同様の大小関係が成立する。
このように、前記構成A及前記構成B2を具備する積繊装置を用いた本発明の吸収体の製造方法によれば、製造時の流れ方向に対応する方向において繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体が得られる。
【0076】
ところで前記構成B2は、ドラム周方向X1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30どうしで開口部閉鎖部材30の幅Wを調整することで、ドラム周方向X1に沿う製造時の流れ方向MDでの繊維材料の偏在の程度を制御するというものであったが、これをドラム軸方向Y1に応用することで、搬送直交方向CDでの繊維材料の偏在の程度を制御することも可能である。
具体的には、前述した積繊装置1においては、第1吸引領域対応部23に制御体開口部26がドラム軸方向Y1に複数(3つ)並んで設けられているとともに、回転ドラム3の固定ドラム2の外周部2Sとの対向部分(ドラム本体3Aの外周部3AS)に、開口部閉鎖部材30がドラム軸方向Y1に複数(3個)並んで配されており、集積用凹部40の第1吸引領域S1での搬送中に、ドラム軸方向Y1に並ぶ複数の制御体開口部26に、ドラム軸方向Y1に並ぶ複数の開口部閉鎖部材30が重なるようになされている(
図4、
図6、
図10及び
図11等参照)。このような構成の積繊装置1に下記構成B2aを採用する。
構成B2a:ドラム軸方向Y1に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材30どうしで開口部閉鎖部材30の幅W(搬送直交方向CDの長さ)が互いに異なり、ドラム軸方向Y1の一方側から他方側に向かって開口部閉鎖部材30の幅Wが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材30が配されている。
【0077】
前記構成B2aの具体例として、ドラム軸方向Y1の外方側から内方側に向かって開口部閉鎖部材30の幅Wが漸次減少するように、複数の開口部閉鎖部材30が配されているものが挙げられる。この具体例によれば、バキュームエアの流量について、ドラム軸方向Y1の外方側に位置する積繊領域41<ドラム軸方向Y1の内方側に位置する積繊領域41の大小関係が成立し、したがって繊維材料の坪量(積繊量)についても同様の大小関係が成立する。
このように、前記構成A、前記構成B2及び前記構成B2aを具備する積繊装置を用いた本発明の吸収体の製造方法によれば、前記積繊工程で、第1吸引領域S1において、ドラム周方向X1及びドラム軸方向Y1の双方にて、集積用凹部40に吸引され積繊される繊維材料の坪量について、「幅Wが相対的に長い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41<幅Wが相対的に短い開口部閉鎖部材30に対応する積繊領域41」の大小関係が成立するため、繊維材料の偏在の程度をより高度に制御できる。
【0078】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0079】
<1>
固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させ、坪量が互いに異なる複数の部分を該搬送方向に有する積繊体を製造する、積繊装置であって、
前記集積用凹部は、前記積繊体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、該複数の積繊領域は、第1の積繊領域と、該第1の積繊領域に比べて高坪量の部分を形成する第2の積繊領域とを含み、
前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有し、
前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されており、
前記第1吸引領域対応部は、開口部(制御体開口部26)が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされており、
前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされており、
前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記第1の積繊領域に対応する非通気性の第1開口部閉鎖部材と、前記第2の積繊領域に対応する非通気性の第2開口部閉鎖部材とが配されており、
前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に、前記第1開口部閉鎖部材及び前記第2開口部閉鎖部材が重なることで、前記第1の積繊領域及び前記第2の積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされており、
前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第1開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1吸引領域対応部と該第1開口部閉鎖部材とが所定の離間距離G1を置いて離間しており、
前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第2開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1吸引領域対応部と該第2開口部閉鎖部材とが所定の離間距離G2を置いて離間し、且つ
前記離間距離G1<前記離間距離G2の大小関係が成立する、積繊装置。
<2>
前記離間距離G1及び前記離間距離G2が、それぞれ、0mmよりも大きく3mm以下である、前記<1>に記載の積繊装置。
<3>
前記第1開口部閉鎖部材の前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さに対して、前記第1吸引領域において該第1開口部閉鎖部材と重なる前記第1吸引領域対応部の前記開口部の該搬送直交方向の長さは、10%以上90%以下であり、
前記第2開口部閉鎖部材の前記搬送直交方向の長さに対して、前記第1吸引領域において該第2開口部閉鎖部材と重なる前記第1吸引領域対応部の前記開口部の該搬送直交方向の長さは、10%以上90%以下である、前記<1>又は<2>に記載の積繊装置。
【0080】
<4>
固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させ、坪量が互いに異なる複数の部分を該搬送方向に有する積繊体を製造する、積繊装置であって、
前記集積用凹部は、前記積繊体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、該複数の積繊領域は、第1の積繊領域と、該第1の積繊領域に比べて高坪量の部分を形成する第2の積繊領域とを含み、
前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有し、
前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されており、
前記第1吸引領域対応部は、開口部(制御体開口部26)が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされており、
前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされており、
前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記第1の積繊領域に対応する非通気性の第1開口部閉鎖部材と、前記第2の積繊領域に対応する非通気性の第2開口部閉鎖部材とが配されており、
前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に、前記第1開口部閉鎖部材及び前記第2開口部閉鎖部材が重なることで、前記第1の積繊領域及び前記第2の積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされており、
前記第1開口部閉鎖部材は、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に比べて、前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さが長く、前記第1吸引領域において該開口部に該第1開口部閉鎖部材が重なった状態では、該第1開口部閉鎖部材が該開口部を該搬送直交方向の全長にわたって延在し、
前記第2開口部閉鎖部材は、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に比べて、前記搬送直交方向の長さが短く、前記第1吸引領域において該開口部に該第2開口部閉鎖部材が重なった状態では、該開口部の該搬送直交方向の一部に、該第2開口部閉鎖部材で覆われない部分が存在する、積繊装置。
<5>
前記第1開口部閉鎖部材(前記第1吸引領域で重なり合う関係にある前記第1吸引領域対応部の前記開口部に比べて前記搬送直交方向の長さが長い、幅広の開口部閉鎖部材)の前記搬送直交方向の長さは、前記第1吸引領域対応部の前記開口部の該搬送直交方向の長さに対して、好ましくは110%以上、より好ましくは125%以上、そして、好ましくは1000%以下、より好ましくは500%以下である、前記<4>に記載の積繊装置。
<6>
前記第2開口部閉鎖部材(前記第1吸引領域で重なり合う関係にある前記第1吸引領域対応部の前記開口部に比べて前記搬送直交方向の長さが短い、幅狭の開口部閉鎖部材)の前記搬送直交方向の長さは、前記第1吸引領域対応部の前記開口部の該搬送直交方向の長さに対して、好ましくは50%以上100%未満、より好ましくは60%以上100%未満である、前記<4>又は<5>に記載の積繊装置。
<7>
前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第1開口部閉鎖部材が重なった状態で、該第1吸引領域対応部と該第1開口部閉鎖部材とが0mmよりも大きく3mm以下の距離を置いて離間し、
前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記第2開口部閉鎖部材が重なった状態で、該第1吸引領域対応部と該第2開口部閉鎖部材とが0mmよりも大きく3mm以下の距離を置いて離間する、前記<4>~<6>の何れか1項に記載の積繊装置。
【0081】
<8>
前記第1吸引領域対応部の面積に対する該第1吸引領域対応部の前記開口部の面積の割合が、5%以上80%以下である、前記<1>~<7>の何れか1項に記載の積繊装置。
<9>
前記回転ドラムは、前記固定ドラムの外周部に対向配置されるドラム本体と、該ドラム本体よりも該固定ドラムから遠くに配置される外層部とを含み、
前記第1開口部閉鎖部材及び前記第2開口部閉鎖部材は、それぞれ、該ドラム本体において前記外層部から該ドラム本体側に所定距離離間した位置に配置されている、前記<1>~<8>の何れか1項に記載の積繊装置。
<10>
前記外層部は、前記集積用凹部の底面を形成し、前記空気流が通過可能な多数の吸引孔を有する通気性部材からなる凹部底面形成プレートと、前記積繊体に溝状凹部を形成するための部材である凹部区画プレートとを含む、前記<9>に記載の積繊装置。
<11>
前記外層部は、前記集積用凹部における前記空気流の流量を調整するための部材である吸引調整プレートを含む、前記<9>又は<10>に記載の積繊装置。
<12>
前記集積用凹部は、前記第1の積繊領域及び前記第2の積繊領域に加えて更に、吸引が制限されない吸引非制限領域を有する、前記<1>~<11>の何れか1項に記載の積繊装置。
<13>
前記吸引非制限領域は、前記開口部閉鎖部材(前記第1開口部閉鎖部材及び前記第2開口部閉鎖部材)を有さない(平面視で前記開口部閉鎖部材と重ならない)、前記<12>に記載の積繊装置。
【0082】
<14>
積繊装置を用い、坪量が互いに異なる複数の部分を一方向に有する吸収体を製造する、吸収体の製造方法であって、
前記積繊装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させるようになされており、
前記集積用凹部は、前記吸収体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、
前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有し、
前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されており、
前記第1吸引領域対応部は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされており、
前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされており、
前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記集積用凹部の前記複数の積繊領域の少なくとも一部に対応して、非通気性の開口部閉鎖部材がドラム周方向に複数並んで配されており、
前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記開口部閉鎖部材が重なることで、該集積用凹部における該開口部閉鎖部材に対応する前記積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされており、
ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材は、それぞれ、前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に重なった状態では、該第1吸引領域対応部に対して所定の離間距離を置いて離間しており、且つ
ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで前記離間距離が互いに異なり、ドラム周方向の一方側から他方側に向かって該離間距離が漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されており、
前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、前記吸引領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程を有し、
前記積繊工程では、前記第1吸引領域において、前記複数の開口部閉鎖部材に対応する前記複数の積繊領域どうしでは、前記離間距離が長いものほど前記空気流の流量が多くなる、吸収体の製造方法。
<15>
前記第1吸引領域対応部に前記開口部がドラム軸方向に複数並んで設けられているとともに、前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記開口部閉鎖部材がドラム軸方向に複数並んで配されており、前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、ドラム軸方向に並ぶ複数の該開口部に、ドラム軸方向に並ぶ複数の開口部閉鎖部材が重なるようになされており、
ドラム軸方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材は、それぞれ、前記第1吸引領域において前記第1吸引領域対応部の前記開口部に重なった状態では、該第1吸引領域対応部に対して所定の離間距離を置いて離間しており、且つ
ドラム軸方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで前記離間距離が互いに異なり、ドラム軸方向の一方側から他方側に向かって該離間距離が漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されている、前記<14>に記載の吸収体の製造方法。
【0083】
<16>
積繊装置を用い、坪量が互いに異なる複数の部分を一方向に有する吸収体を製造する、吸収体の製造方法であって、
前記積繊装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムとを備え、該回転ドラムを回転させて該集積用凹部をドラム周方向に沿う搬送方向に搬送させつつ、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向の所定の吸引領域にて該集積用凹部の底面上に積繊させるようになされており、
前記集積用凹部は、前記吸収体の前記坪量が互いに異なる複数の部分に対応する複数の積繊領域をドラム周方向に有し、
前記吸引領域は、前記固定ドラム側からの吸引が部分的に可能になされている第1吸引領域と、該吸引が全面的に可能になされている第2吸引領域とをドラム周方向に有し、
前記固定ドラムの外周部に、前記第1吸引領域に対応する第1吸引領域対応部と、前記第2吸引領域に対応する第2吸引領域対応部とが配されており、
前記第1吸引領域対応部は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、前記空気流は、該開口部を通じてのみ該第1吸引領域対応部を厚み方向に通過可能になされており、
前記第2吸引領域対応部は、非通気性部材を含まず、前記空気流は、該第2吸引領域対応部の全域を厚み方向に通過可能になされており、
前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記集積用凹部の前記複数の積繊領域の少なくとも一部に対応して、非通気性の開口部閉鎖部材がドラム周方向に複数並んで配されており、
前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、前記第1吸引領域対応部の前記開口部に前記開口部閉鎖部材が重なることで、該集積用凹部における該開口部閉鎖部材に対応する前記積繊領域の前記空気流の流量を低減するようになされており、
ドラム周方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで該開口部閉鎖部材の前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さが互いに異なり、ドラム周方向の一方側から他方側に向かって該開口部閉鎖部材の該搬送直交方向の長さが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されており、
前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、前記吸引領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程を有し、
前記積繊工程では、前記第1吸引領域において、前記複数の開口部閉鎖部材に対応する前記複数の積繊領域どうしでは、前記開口部閉鎖部材の前記搬送直交方向の長さが短いものほど前記空気流の流量が多くなる、吸収体の製造方法。
<17>
前記第1吸引領域対応部に前記開口部がドラム軸方向に複数並んで設けられているとともに、前記回転ドラムの前記固定ドラムの外周部との対向部分に、前記開口部閉鎖部材がドラム軸方向に複数並んで配されており、前記集積用凹部の前記第1吸引領域での搬送中に、ドラム軸方向に並ぶ複数の該開口部に、ドラム軸方向に並ぶ複数の開口部閉鎖部材が重なるようになされており、
ドラム軸方向に並ぶ前記複数の開口部閉鎖部材どうしで該開口部閉鎖部材の前記搬送方向と直交する搬送直交方向の長さが互いに異なり、ドラム軸方向の一方側から他方側に向かって該開口部閉鎖部材の該搬送直交方向の長さが漸次変化するように、該複数の開口部閉鎖部材が配されている、前記<16>に記載の吸収体の製造方法。
【符号の説明】
【0084】
10 吸収体
11 高坪量部
11A 中高部
11B 標準坪量部
12,12A,12B 低坪量部
13X,13Y 溝状凹部
X 縦方向
Y 横方向
1 積繊装置
2 固定ドラム
2S 固定ドラムの外周部
21 側壁
22 隔壁
23 第1吸引領域対応部
24 第2吸引領域対応部
25 吸引制御体
26 制御体開口部
3 回転ドラム
3A ドラム本体
30 開口部閉鎖部材
30A 第1開口部閉鎖部材
30B,30B1 第2開口部閉鎖部材
31 吸引阻害部
32 吸引非阻害部
3B 外層部
4 集積部
40 集積用凹部
41A 第1の積繊領域
41B 第2の積繊領域
41C 第3の積繊領域
5 原材料供給機構
51 ダクト
6 搬送機構
S 吸引領域
S1 第1吸引領域
S2 第2吸引領域
X1 ドラム周方向
R1 回転ドラムの回転方向(MD)
Y1 ドラム軸方向(CD)