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特許7366105画像検査装置、プログラム、画像検査方法及び画像検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】画像検査装置、プログラム、画像検査方法及び画像検査システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20231013BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231013BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G03G21/00 386
G03G21/00 510
H04N1/00 002B
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021182354
(22)【出願日】2021-11-09
(62)【分割の表示】P 2018136028の分割
【原出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2022016487
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2021-11-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 亮
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】藤本 義仁
【審判官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-182758(JP,A)
【文献】特開2014-199244(JP,A)
【文献】特開2015-227009(JP,A)
【文献】特開2009-230047(JP,A)
【文献】特開2016-1415(JP,A)
【文献】特開2013-72846(JP,A)
【文献】特開2018-30254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置により画像が形成された第1の記録材をページごとに読取って生成された読取画像を前記画像が形成された第2の記録材をページごとに読み取って予め生成された基準画像と比較することにより前記読取画像の異常を検出する解析を行う読取画像解析部と、
前記読取画像解析部により生成された解析結果に関する情報を表示するための解析結果表示画面を表示部に表示する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記解析結果表示画面において、前記読取画像に前記異常が検出されなかったページの読取画像と前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像のうち、前記異常が検出されたページの読取画像のみを表示する異常画像確認画面を前記表示部に表示するための指示を受け付ける受付部を表示し、
前記受付部を介して前記指示を受け付けた場合に、前記異常画像確認画面において、前記異常が検出されたページの読取画像を前記異常があることを示す情報と共に表示する、
画像検査装置。
【請求項2】
前記解析結果に関する情報は、前記読取画像解析部の解析に基づく画像検査が行われた画像検査日時、前記異常が検出されたページ数、前記異常を検出するレベルに関する情報の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記異常があることを示す情報は、前記異常が検出されたページの読取画像において、前記異常が検出された位置表示される、請求項1または2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像に基づいて異常画像ファイルを生成するファイル生成部をさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記ファイル生成部は、所定のページ数単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項4に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記ファイル生成部は、前記画像形成装置で実行されるジョブ単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項4に記載の画像検査装置。
【請求項7】
画像形成装置により画像が形成された第1の記録材をページごとに読取って生成された読取画像を前記画像が形成された第2の記録材をページごとに読み取って予め生成された基準画像と比較することにより前記読取画像の異常を検出する解析を行う手順と、
前記読取画像の異常を検出する解析の解析結果に関する情報を表示部に表示するための解析結果表示画面において、前記読取画像に前記異常が検出されなかったページの読取画像と前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像のうち、前記異常が検出されたページの読取画像のみを表示する異常画像確認画面を前記表示部に表示するための指示を受け付ける受付部を表示する手順と、
前記受付部を介して前記指示を受け付けた場合に、前記異常画像確認画面において、前記異常が検出されたページの読取画像を前記異常があることを示す情報と共に表示する手順と、を
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
前記解析結果に関する情報は、前記読取画像の解析に基づく画像検査が行われた画像検査日時、前記異常が検出されたページ数、前記異常を検出するレベルに関する情報の少なくともいずれかを含む、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記異常があることを示す情報は、前記異常が検出されたページの読取画像において、前記異常が検出された位置表示される、請求項7または8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像に基づいて異常画像ファイルを生成する手順を含む、請求項7~9のいずれかに記載のプログラム。
【請求項11】
前記異常画像ファイルを生成する手順は、所定のページ数単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記異常画像ファイルを生成する手順は、前記画像形成装置で実行されるジョブ単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項10に記載のプログラム。
【請求項13】
画像形成装置により画像が形成された第1の記録材をページごとに読取って生成された読取画像を前記画像が形成された第2の記録材をページごとに読み取って予め生成された基準画像と比較することにより前記読取画像の異常を検出する解析を行う手順と、
前記読取画像の異常を検出する解析の解析結果に関する情報を表示部に表示するための解析結果表示画面において、前記読取画像に前記異常が検出されなかったページの読取画像と前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像のうち、前記異常が検出されたページの読取画像のみを表示する異常画像確認画面を前記表示部に表示するための指示を受け付ける受付部を表示する手順と、
前記受付部を介して前記指示を受け付けた場合に、前記異常画像確認画面において、前記異常が検出されたページの読取画像を前記異常があることを示す情報と共に表示する手順と、を含む
画像検査方法。
【請求項14】
前記解析結果に関する情報は、前記読取画像の解析に基づく画像検査が行われた画像検査日時、前記異常が検出されたページ数、前記異常を検出するレベルに関する情報の少なくともいずれかを含む、請求項13に記載の画像検査方法。
【請求項15】
前記異常があることを示す情報は、前記異常が検出されたページの読取画像において、前記異常が検出された位置表示される、請求項13または14に記載の画像検査方法。
【請求項16】
前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像に基づいて異常画像ファイルを生成する手順を含む、請求項13~15のいずれかに記載の画像検査方法。
【請求項17】
前記異常画像ファイルを生成する手順は、所定のページ数単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項16に記載の画像検査方法。
【請求項18】
前記異常画像ファイルを生成する手順は、前記画像形成装置で実行されるジョブ単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項16に記載の画像検査方法。
【請求項19】
第1の記録材に画像を形成する画像形成部と、
画像が形成された前記第1の記録材をページごとに読取って読取画像を生成する読取部と、
前記読取画像を前記画像が形成された第2の記録材をページごとに読み取って予め生成された基準画像と比較することにより前記読取画像の異常を検出する解析を行う読取画像解析部と、
前記読取画像解析部により生成された解析結果に関する情報を表示するための解析結果表示画面を表示部に表示する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記解析結果表示画面において、前記読取画像に前記異常が検出されなかったページの読取画像と前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像のうち、前記異常が検出されたページの読取画像のみを表示する異常画像確認画面を前記表示部に表示するための指示を受け付ける受付部を表示し、
前記受付部を介して前記指示を受け付けた場合に、前記異常画像確認画面において、前記異常が検出されたページの読取画像を前記異常があることを示す情報と共に表示する、
画像検査システム。
【請求項20】
前記解析結果に関する情報は、前記読取画像解析部の解析に基づく画像検査が行われた画像検査日時、前記異常が検出されたページ数、前記異常を検出するレベルに関する情報の少なくともいずれかを含む、請求項19に記載の画像検査システム。
【請求項21】
前記異常があることを示す情報は、前記異常が検出されたページの読取画像において、前記異常が検出された位置表示される、請求項19または20に記載の画像検査システム。
【請求項22】
前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像に基づいて異常画像ファイルを生成するファイル生成部をさらに備える、請求項19~21のいずれかに記載の画像検査システム。
【請求項23】
前記ファイル生成部は、所定のページ数単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項22に記載の画像検査システム。
【請求項24】
前記ファイル生成部は、前記画像形成部で実行されるジョブ単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項22に記載の画像検査システム。
【請求項25】
画像形成システムで実行される画像検査方法であって、
第1の記録材に画像を形成する手順と、
画像が形成された前記第1の記録材をページごとに読取って読取画像を生成する手順と、
前記読取画像を前記画像が形成された第2の記録材をページごとに読み取って予め生成された基準画像と比較することにより前記読取画像の異常を検出する解析を行う手順と、
前記読取画像の異常を検出する解析の解析結果に関する情報を表示部に表示するための解析結果表示画面において、前記読取画像に前記異常が検出されなかったページの読取画像と前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像のうち、前記異常が検出されたページの読取画像のみを表示する異常画像確認画面を前記表示部に表示するための指示を受け付ける受付部を表示する手順と、
前記受付部を介して前記指示を受け付けた場合に、前記異常画像確認画面において、前記異常が検出されたページの読取画像を前記異常があることを示す情報と共に表示する手順と、を含む
画像検査方法。
【請求項26】
前記解析結果に関する情報は、前記読取画像の解析に基づく画像検査が行われた画像検査日時、前記異常が検出されたページ数、前記異常を検出するレベルに関する情報の少なくともいずれかを含む、請求項25に記載の画像検査方法。
【請求項27】
前記異常があることを示す情報は、前記異常が検出されたページの読取画像において、前記異常が検出された位置表示される、請求項25または26に記載の画像検査方法。
【請求項28】
前記読取画像に前記異常が検出されたページの読取画像に基づいて異常画像ファイルを生成する手順を含む、請求項25~27のいずれかに記載の画像検査方法。
【請求項29】
前記異常画像ファイルを生成する手順は、所定のページ数単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項28に記載の画像検査方法。
【請求項30】
前記異常画像ファイルを生成する手順は、前記第1の記録材に画像を形成する手順で実行されるジョブ単位で前記異常画像ファイルを生成する、請求項28に記載の画像検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、プログラム、画像検査方法及び画像検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に印刷された画像をスキャンし、スキャンした画像を解析することで画像の異常部分を検知する画像検査が行われていた。この画像検査では、本来あるべき印刷画像に対して検出した、実際の印刷画像との差分が、ある規定値以上である場合に、異常画像として検出することが可能となる。これにより、実際の印刷画像に発生した汚れや色ずれ等の画像の異常が検出される。そして、実際の印刷画像のどの箇所が異常と検出されたかを分かりやすくなるようにスキャンした画像がレポートとして明示されていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、不良画像と判定された画像が形成されている転写紙と、正常画像と判定された画像が形成されている転写紙とが、それぞれ異なる排紙トレイに排紙される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-42521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術を用いて排紙トレイに排紙された、正常画像が形成された転写紙が成果物として顧客に納品される。しかし、画像形成装置を使用するユーザーが排紙トレイから成果物を取り出した後に、この成果物の一部が欠落したり、搬送途中の成果物に汚れが付着したりすることがあった。
【0006】
従来、ユーザーに提供されるレポートは、スキャンされた画像に発生した異常箇所をユーザーに明示することを目的として作成されていた。しかし、このレポートには、印刷物の作成にかかるエビデンスとして管理される情報がなかったため、用紙に正常画像が形成されたことをエビデンスとして示せなかった。また、正常画像のページ数は非常に大きくなることが想定される。このため、正常画像のエビデンスのサイズは非常に大きくなり、正常画像のエビデンスの生成と、異常画像のエビデンスの生成とを行うと、異常画像のエビデンスの生成が完了するまでに時間がかかってしまう。一方で読取画像に異常が検出されたのであれば、ユーザーは異常の発生を速やかに知りたいという要望がある。このため、異常の発生時には、どのような異常が発生したかをユーザーが把握できるようにする必要があった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、印刷物の作成にかかるエビデンスを提供するものである。特に、印刷物の異常の発生時には異常の内容を知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した画像検査装置は、画像形成装置により画像が形成された第1の記録材をページごとに読取って生成された読取画像を画像が形成された第2の記録材をページごとに読み取って予め生成された基準画像と比較することにより読取画像の異常を検出する解析を行う読取画像解析部と、読取画像解析部により生成された解析結果に関する情報を表示するための解析結果表示画面を表示部に表示する制御部と、を備え、制御部は、解析結果表示画面において、読取画像に異常が検出されなかったページの読取画像と読取画像に異常が検出されたページの読取画像のうち、異常が検出されたページの読取画像のみを表示する異常画像確認画面を表示部に表示するための指示を受け付ける受付部を表示する。そして、受付部を介して指示を受け付けた場合に、異常画像確認画面において、異常が検出されたページの読取画像を異常があることを示す情報と共に表示する。
なお、上記の画像検査装置は本発明の一態様であり、本発明の一側面を反映したプログラム、画像検査方法及び画像検査システムについても、上記の画像検査装置と同様の構成を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異常又は正常の読取画像のいずれかのみがエビデンスとして画面に表示され、ユーザーはエビデンスを通じて、特に印刷物の異常の発生時には異常の内容を確認することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの概要構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像検査装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るファイル生成部が、解析結果ファイルを生成する処理の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る1ファイルあたりの画像ファイルの量を制限する処理の例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るファイル一覧画面の表示例を示す説明図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る解析結果レポートの表示例を示す説明図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係る異常ページの表示例を示す説明図である。
図9】本発明の第1の実施の形態に係る正常ページの表示例を示す説明図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係るリカバリ処理の有無に対応してファイル生成部が行う処理の例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第3の実施の形態に係る現ジョブの画像ファイルの生成途中で、次ジョブの読取画像に異常が検出された時の処理の例を示すフローチャートである。
図12】本発明の第4の実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す機能ブロック図である。
図13】本発明の第5の実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[第1の実施の形態]
<画像形成システムの構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの構成例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システム1の概要構成図である。なお、図1には、本発明の説明に必要と考える要素又はその関連要素を記載しており、本発明の画像形成システムは図1に示す例に限定されない。
【0013】
画像形成システム1は、画像形成装置2及び画像検査装置3を備える。画像形成装置2は、静電気を用いて画像の形成を行う電子写真方式によって用紙に画像を形成する画像形成装置の一例である。画像形成装置2は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を重ね合わせるタンデム形式によって、用紙上にカラー画像を形成する。画像形成装置2には、不図示のLAN(Local Area Network)を介して、ユーザーによって操作されるPC70(後述する図2を参照)等が接続されている。そして、PC70からLANを介して画像形成装置2にジョブが投入される。画像形成装置2は、投入されたジョブに従って、画像形成処理等の各種の処理を行う。
【0014】
画像検査装置3は、画像形成装置2から搬送された用紙Shに形成(印刷)された画像の正常又は異常を検査する。画像検査装置3に搬送される用紙Shは、両面又は片面に画像が形成された印刷物である。画像検査装置3は、画像形成装置2が用紙Shの両面又は片面に形成した画像を読取り、所定の検査を行う。用紙Shは、記録材の一例である。画像形成装置2は、記録材の一例である樹脂製のシートにも画像を形成することが可能である。
【0015】
例えば、用紙Shに形成された画像に汚れ、スジ等がなければ、画像検査装置3は、この画像を正常と判断する。逆に、用紙Shに形成された画像に汚れ、スジ等があれば、画像検査装置3は、この画像を異常と判断する。用紙Shに形成された画像が正常又は異常のいずれであるかは、画像検査装置3が、後述する図3に示す基準画像603bと、用紙Shに形成された画像をスキャンして得られる読取画像603aとを比較することで判断される。
【0016】
そして、画像検査装置3は、後述する図3に示すように、正常と判断した画像をまとめた正常画像ファイル631、異常と判断した画像をまとめた異常画像ファイル632をジョブ毎に生成する。さらに、画像検査装置3は、正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632を一つにまとめた解析結果ファイル633を生成する。各ファイルは、記憶部63に保存される。そして、画像検査装置3は、解析結果ファイル633を画像形成装置2に出力する。画像形成装置2は、操作表示部13に解析結果ファイル633の内容を表示することができる。このため、画像形成装置2のユーザーは、操作表示部13に表示された内容に基づいて、解析結果ファイル633の内容を確認することができる。
【0017】
画像形成装置2は、自動原稿給送装置(ADF:Auto Document Feeder)12を有する画像入力部11、操作表示部13に加えて、給紙トレイ20及び画像形成部30を有するプリンター部10を備える。
【0018】
画像入力部11は、ADF12の原稿台上の原稿から画像を光学的に読み取り、読み取った画像をA/D変換して画像データ(スキャンデータ)を生成する。なお、画像入力部11は、プラテンガラス上で読み込むこともできる。
【0019】
操作表示部13は、液晶パネル等からなる表示部、及び、タッチセンサ等からなる操作部で構成される。表示部及び操作部は、例えばタッチパネルとして一体に形成される。操作表示部13は、操作部に入力されたユーザーからの操作の内容を表す操作信号を生成し、該操作信号を制御部50(後述する図2を参照)に供給する。また、操作表示部13は、制御部50から供給される表示信号に基づいて、表示部に、ユーザーによる操作内容や設定情報等を表示する。なお、操作部をマウスやタブレットなどで構成し、表示部とは別体で構成することも可能である。
【0020】
給紙トレイ20は、画像形成部30で画像形成が行われる用紙Shを収容する容器である。給紙トレイ20には、それぞれ、紙種や坪量等が異なる用紙が収容される。なお、本実施形態では、2つの給紙トレイ20を設けた例を挙げたが、給紙トレイ20の個数は1つであってもよく、3個以上であってもよい。
【0021】
画像形成装置2には、給紙トレイ20から給紙された用紙Shを画像検査装置3まで搬送する搬送路21が設けられる。搬送路21には、用紙Shを搬送するための複数の搬送ローラが設けられる。
【0022】
定着部36の下流側では、搬送路21が伸長して画像検査装置3の搬送路41に接続されている。また、搬送路21には、定着部36の下流側で分岐して、プリンター部10の上流側の搬送路21に合流する反転搬送路22が接続されている。反転搬送路22には、用紙Shを反転させる反転部23が設けられている。反転部23で反転された用紙Shは、反転搬送路22を通して搬送路21の上流側に返される。また、経路の切り替えによって反転した用紙Shが、定着部36の下流側の搬送路21に戻された後、画像検査装置3に搬送されることもある。
【0023】
画像形成部30は、Y、M、C及びKの各色のトナー画像を形成するための、4つの画像形成ユニット31Y,31M,31C及び31Kを備え、用紙Shに画像を形成する。画像形成ユニット31Y,31M,31C及び31Kはそれぞれ、帯電部、露光部(いずれも不図示)、像担持体としての感光体ドラム32Y,32M,32C,32K、及び、現像部33Y,33M,33C,33Kを備える。
【0024】
現像部33Y,33M,33C,33Kは、感光体ドラム32Y,32M,32C,32Kの各表面(外周部)に、画像に応じた光を照射することにより、各感光ドラムの周上に静電潜像を形成させる。そして、現像部33Y,33M,33C,33Kは、該静電潜像にトナーを付着させることにより、感光体ドラム32Y,32M,32C,32K上にトナー画像を形成する。
【0025】
また、画像形成部30は、中間転写ベルト34、2次転写部35及び定着部36を備える。中間転写ベルト34は、感光体ドラム32Y,32M,32C,32Kに形成された画像が1次転写されるベルトである。2次転写部35は、中間転写ベルト34上に1次転写された各色のトナー画像を、搬送路21を搬送された用紙Shに2次転写するローラである。
【0026】
定着部36は、2次転写部35の用紙搬送方向の下流側に配置されて、画像形成部30から供給されるカラーのトナー画像が形成された用紙Shに対して、定着処理を施す。定着部36は、搬送された用紙Shを加熱及び加圧することにより用紙Shの表面側に、画像形成部30により転写された画像を定着する。定着部36により画像が定着した用紙Shは、搬送路21によって画像検査装置3に搬送されるか、反転搬送路22を通して反転部23により表裏が反転された後、プリンター部10の上流側で搬送路21に返される。表裏反転された用紙Shは、プリンター部10によって裏面への画像形成が行われる。その後、定着部36によって定着処理が施された用紙Shは、画像検査装置3に搬送される。
【0027】
画像検査装置3は、画像形成装置2から搬送されてきた用紙Shを搬送する搬送路41,42,43、切替部44、読取部45a,45b、測色計46a,46b、搬送路41上を搬送された用紙Shが排紙される排紙トレイ47,48を有する。
【0028】
読取部45a,45bは、それぞれイメージセンサー等の画像入力装置の一例である。読取部45a,45bは、例えば、用紙Shの表面に光を投射し、用紙Shからの反射光を画像データとして取り込む。このように読取部45a,45bが用紙Shの画像データを取り込むことを「読取る」と呼ぶ。また、用紙Shの画像データを「読取画像」と呼ぶ。読取部45aは、搬送路41を搬送される用紙Shを搬送路41の下方から読取り、読取部45bは、搬送路41を搬送される用紙Shを搬送路41の上方から読取る。以降の説明では、読取部45a,45bを区別しないため、「読取部45」と総称する。読取部45は、用紙Shの読取画像を制御部60(後述する図3を参照)に出力する。制御部60は、読取部45から入力される読取画像をRAM603に読取画像603aとして保存する。このため、読取部45が生成した読取画像と、RAM603に保存された読取画像603aは同じものである。
【0029】
測色計46a,46bは、搬送路41上を搬送された用紙Shの上面及び下面に形成された画像を読み取り、読み取って得た画像情報に基づいて、該画像の色濃度(反射濃度)を測定する色濃度測定装置の一例である。測色計46aは、搬送路41を搬送される用紙Shを搬送路41の下方から読取り、測色計46bは、搬送路41を搬送される用紙Shを搬送路41の上方から読取る。以降の説明では、測色計46a,46bを区別しないため、「測色計46」と総称する。測色計46は、測定した色濃度の情報を、画像検査装置3の制御部60(図3参照)に出力する。なお、測色計46から画像検査装置3に出力される色濃度の情報が、読取画像603aに含まれてもよい。
【0030】
画像検査装置3は、搬送路41に接続される搬送路42,43を備える。
搬送路42は、搬送路41の途中から分岐する経路であり、画像検査装置3により検査された用紙Shを、排紙トレイ47(排紙部の一例)に排紙する。排紙トレイ47には、画像検査装置3によって画像が正常と判定された用紙Sh(「正常用紙Sh」とも呼ぶ)が排紙される。
【0031】
搬送路43についても、搬送路41の途中から分岐する経路であり、画像検査装置3により検査された用紙Shを、排紙トレイ48(排紙部の一例)に排紙する。排紙トレイ48には、画像検査装置3によって画像が異常と判定された用紙Sh(「異常用紙Sh」とも呼ぶ)が排紙される。
【0032】
切替部44は、搬送路42,43のいずれかに用紙Shが搬送されるよう、用紙Shの搬送方向を切替える。なお、画像検査装置3に一つの排紙トレイ47しかない場合、正常用紙Shと異常用紙Shが混在して排紙される。この場合、正常用紙Shと異常用紙Shは、それぞれ排紙される方向に直交する方向に少しずらして排紙される。
【0033】
また、本実施形態では、画像形成装置100が用紙Shの両面に画像を形成可能であるため、画像検査装置3が用紙Shの両面を検査する例を挙げた。しかし、画像検査装置3は、用紙Shの片面だけに画像を形成可能な画像形成装置から搬送された用紙Shの片面だけを検査するように構成してもよい。
【0034】
[画像形成装置の制御系の構成]
次に、図2を参照して、画像形成装置2の制御系の構成例について説明する。
図2は、画像形成装置2の制御系の構成例を示すブロック図である。
画像形成装置2は、通信I/F部51、用紙搬送部24、画像入力部11、画像形成部30、制御部50、記憶部52、定着部36及び操作表示部13を備える。
【0035】
通信I/F部51は、ネットワーク又は専用線を介して、ユーザーが操作する端末であるPC70との間でデータを送受信するインターフェースである。通信I/F部51として、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。
【0036】
用紙搬送部24は、制御部50による制御に基づいて、図1に示した搬送路21、反転搬送路22上に設けられた搬送ローラ(図示略)、及び反転部23を駆動する。
【0037】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502及びRAM(Random Access Memory)503、入力画像処理部504を備える。
ROM502には、制御部50のCPU501が実行するプログラム又はプログラムの実行時に使用するデータ等が保存される。CPU501は、ROM502に保存されたプログラムを読み出すことにより、画像形成装置2を構成する各部の制御を行う。
RAM503には、CPU501の演算処理の途中に発生した変数やパラメータなどが一時的に書き込まれる。
【0038】
入力画像処理部504は、PC70から通信I/F部51を介して入力したジョブに含まれる入力画像に所定の画像処理を施し、印刷用画像データを作成する。また、入力画像処理部504は、画像入力部11がADF12で読み取った原稿から取得した画像データ、又は、外部から取得した画像データについても画像処理を施し、印刷用画像データを作成する。この印刷用画像データは、画像形成部30に送られる。
【0039】
制御部50は、用紙搬送部24を制御して搬送ローラを駆動させ、用紙Shを搬送路21上で搬送させる。また、制御部50は、入力画像処理部504が作成した印刷用画像データを画像形成部30に出力する。また、制御部50は、画像形成部30を制御して、用紙Shに画像を形成させる。また、制御部50は、定着部36を制御して、画像を用紙Shに定着させる。
【0040】
また、制御部50は、操作表示部13から操作信号を受信し、該操作信号に応じた制御を行う。さらに、制御部50は、操作表示部13に表示信号を出力し、操作表示部13が、各種操作指示や設定情報を入力するための各種設定画面や各種処理結果等を表示する操作画面を表示パネルに表示する。
【0041】
記憶部52には、制御部50のCPU501がプログラムを実行する際に使用するパラメータや、プログラムを実行して得られたデータなどが保存される。例えば、記憶部52には、各濃度レベルの画像形成条件等の情報が保存される。なお、記憶部52に、CPU501が実行するプログラムを記憶させてもよい。
【0042】
[画像検査装置の制御系の構成]
次に、図3を参照して、画像検査装置3の制御系の構成例について説明する。
図3は、画像検査装置3の制御系の構成例を示すブロック図である。なお、図3において、図1と重複する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0043】
画像検査装置3は、通信I/F部61、用紙搬送部62、読取部45、測色計46、制御部60及び記憶部63を備える。
【0044】
通信I/F部61は、ネットワークを介して、画像形成装置2との間でデータを送受信するインターフェースである。通信I/F部61として、例えばNICを用いることができる。
用紙搬送部62は、制御部60による制御に基づいて、図1に示した搬送路41上に設けられた搬送ローラ(不図示)を駆動する。
【0045】
上述したように読取部45は、搬送路41を搬送される用紙Shの上面及び下面に形成された画像を読取る。読取部45が読取った画像は、読取画像603aとして、制御部60のRAM603に保存される。なお、読取画像603aは、記憶部63に保存されてもよい。
【0046】
測色計46は、例えば、光の波長ごとの反射光の強度(スペクトル)を計測可能な測色器であり、測定した色の濃度(反射濃度)や、L*a*b*値などを出力する。測色計46には、例えば、不図示の複数のセンサ(光電変換素子)を用紙幅方向(用紙搬送方向と直交する方向)の全域にわたる1次元上に配列したスキャナ(ラインセンサ)が使用される。測色計46をスキャナで構成した場合、画像の読み取りは、スキャナをその配置方向と直交する方向(用紙搬送方向)に移動させながら行われる。そして、測色計46は、画像の読み取りが行われる領域をメッシュ状に分割して得られる各領域を対象として、用紙Sh上に形成された画像の色濃度を測定する。
【0047】
なお、測色計46を単一のセンサで構成し、該センサを2次元的に移動させることにより画像の色の濃度を測定してもよい。または、測色計46を2次元上(マトリクス状)に配置した複数のセンサで構成し、該複数のセンサで1回の測定により用紙上の全画素の色の濃度を読み取ってもよい。
【0048】
制御部60は、CPU601、ROM602、RAM603、読取画像解析部604、ファイル生成部605及び排紙先選択部606を備える。
CPU601は、ROM602に保存されたプログラムを読み出すことにより、画像検査装置3を構成する各部の制御を行う。
ROM602には、制御部60のCPU601が実行するプログラム又はプログラムの実行時に使用するデータ等が保存される。
RAM603には、CPU601の演算処理の途中に発生した変数やパラメータなどが一時的に書き込まれる。上述したようにRAM603には、読取画像603aが保存される他、予め読取部45が基準となる画像を読取って得た基準画像603bも保存される。また、RAM603には、解析結果603c、パラメータ603dが保存される。
【0049】
CPU601がROM602から読み出したプログラムを実行することで、読取画像解析部604、ファイル生成部605及び排紙先選択部606の各機能が実現される。
読取画像解析部604は、RAM603から読み出した読取画像603aと、RAM603に予め保存されている基準画像603bとをページ毎に比較する。片面印刷された用紙Shでは画像が形成された片面だけの1ページ分が比較され、両面印刷された用紙Shでは画像が形成された両面の2ページ分が比較される。読取画像解析部604は、読取画像603aと基準画像603bに差異がなければ、読取画像603aを正常と判定する。
【0050】
また、読取画像解析部604は、読取画像603aを解析して、読取画像603aの正常又は異常を検出する。例えば、あるページに印刷された画像に汚れ等が付着していた場合、このページの読取画像603aは、基準画像603bに対して差異が生じる。このため、読取画像解析部604は、読取画像603aと基準画像603bとを比較して差異があれば、読取画像603aを異常と判定する。そして、読取画像解析部604は、このページの読取画像603aに差異が生じて異常と判定したことを解析結果603cに記録する。
【0051】
解析結果603cは、例えば、読取画像603aが異常と判定された要因である、汚れの位置、大きさ、異常が生じたページ番号等を含む情報である。また、読取画像603aが正常と判定された場合には、正常と判定されたページ番号等を含む情報も解析結果603cに記録される。読取画像解析部604は、解析結果603cをRAM603に保存するが、記憶部63に保存してもよい。
【0052】
パラメータ603dは、制御部60によって設定された各種の値である。読取画像解析部604、ファイル生成部605及び排紙先選択部606は、パラメータ603dから読み出した設定値に基づいて処理を行う。
【0053】
ここで、読取画像解析部604は、異常と判定した読取画像603aに対応するページの再印刷処理(「リカバリ処理」と呼ぶ)を、通信I/F部61を通じて画像形成装置2に指示することができる。リカバリ処理により、リカバリ処理とは、読取画像解析部604によって異常が検出された読取画像603aに対応する画像を再び画像形成装置2に形成させることができる。リカバリ処理は、画像形成システム1にて自動的に、又はユーザーの手動により行われる。ただし、リカバリ処理が行われると、画像形成装置2の処理時間が余計にかかる。このため、画像形成システム1を使用するユーザーは、異常が判定されたときに、画像形成装置2にリカバリ処理を行わせるか否かを予め設定することができる。
【0054】
リカバリ処理を行わせる設定がされていれば、画像形成装置2は、読取画像解析部604からの指示に基づいて、異常と判定された読取画像603aに対応するページのリカバリ処理を自動的に行う。上述したように排紙トレイ47には正常用紙Shが排紙され、排紙トレイ48には異常用紙Shが排紙される。このため、排紙トレイ47には、最初の画像形成処理により印刷された正常用紙Sh、及びリカバリ処理により印刷された正常用紙Shだけが排紙される。
【0055】
ファイル生成部605は、読取画像解析部604の解析結果603cに基づき、異常が検出されなかった読取画像603aを含む正常画像ファイル631を生成し、異常が検出された読取画像603aを含む異常画像ファイル632を生成する。そして、ファイル生成部605は、正常画像ファイル631又は異常画像ファイル632のいずれか一方、又は正常画像ファイル631又は異常画像ファイル632の両方を含む解析結果ファイル633を生成する。以下の説明では、正常画像ファイル631、異常画像ファイル632及び解析結果ファイル633を「画像ファイル」とも総称する。
【0056】
ここで、ファイル生成部605は、画像形成装置2の操作表示部13を通じて行われるユーザーの設定により、画像形成装置2が現ジョブを実行して用紙Shに形成した画像を読取って読取部45が生成した現ジョブの読取画像603aを含む異常画像ファイル632を、現ジョブの読取画像603aを含む正常画像ファイル631よりも優先して生成することができる。このとき、ファイル生成部605は、異常画像ファイル632の生成と並行して、正常画像ファイル631の生成を行ってもよい。優先して生成された異常画像ファイル632は、解析結果ファイル633の最初のページに配置され、その後生成された正常画像ファイル631は、解析結果ファイル633の後のページに配置されてもよい。あるいは、優先して生成された異常画像ファイル632だけを含む解析結果ファイル633が先に生成され、その後生成された正常画像ファイル631だけを含む解析結果ファイル633が別に生成されてもよい。
【0057】
さらに、ファイル生成部605は、画像形成装置2が現ジョブよりも後に他ジョブを実行して用紙Shに形成した画像を読取って読取部45が生成した他ジョブの読取画像603aを含む異常画像ファイル632を、現ジョブの読取画像603aを含む正常画像ファイル631よりも優先して生成することも可能である。この場合、他ジョブの読取画像603aから生成される異常画像ファイル632の内容を含む解析結果ファイル633が優先して生成される。ここで、現ジョブ、他ジョブとはいずれも画像形成装置2により実行されるジョブを表すが、他ジョブは現ジョブよりも後に実行されるジョブである。以下の説明では、他ジョブの一例として、現ジョブの直後に実行される次ジョブを挙げるが、他ジョブは、次ジョブよりもさらに後に実行されるジョブであっても構わない。
【0058】
なお、正常画像ファイル631のファイルサイズは非常に大きいため、正常画像ファイル631の生成と、異常画像ファイル632の生成とを並行して行うと、異常画像ファイル632の生成が完了するまでに時間がかかる場合がある。このため、ファイル生成部605は、読取画像解析部604によって解析された他ジョブの読取画像603aから異常が検知された場合に、現ジョブの読取画像603aから正常画像ファイル631を生成する処理を停止し、他ジョブの読取画像603aから異常画像ファイル632を優先して生成することができる。この場合、解析結果ファイル633には、異常画像ファイル632の内容が、正常画像ファイル631の内容よりも優先して取り込まれる。そして、異常画像ファイル632に含まれる異常が検出された読取画像603aが、解析結果ファイル633の最初のページに配置され、正常画像ファイル631に含まれる異常が検出されなかった読取画像603aが後のページに配置される。ただし、ページ順は任意であり、解析結果ファイル633には、読取画像603aが生成された順に配置されてもよい。
【0059】
また、ファイル生成部605は、ユーザーの設定により、正常画像ファイル631又は異常画像ファイル632のいずれかを生成することもできる。この場合、ファイル生成部605は、正常画像ファイル631又は異常画像ファイル632のいずれかだけを解析結果ファイル633に取り込む。なお、ファイル生成部605は、ジョブ単位、部単位、規定のページ数単位、又は規定のファイルサイズ単位に分離して正常画像ファイル631、異常画像ファイル632又は解析結果ファイル633を生成する。
【0060】
また、ファイル生成部605は、読取画像603aを含む正常画像ファイル631又は異常画像ファイル632だけでなく、解析結果603cを含むテキスト形式のデータも生成することができる。これらのファイルは、PDF(Portable Document Format)ファイル、JPEG(Joint Photographic Experts Group)ファイル等により生成される。また、ファイル生成部605が生成する解析結果ファイル633には、異常の位置を示すページ番号、座標等のテキスト形式のデータが含まれてもよい。ファイル生成部605により生成された画像ファイルは、記憶部63に保存されるだけでなく、画像検査装置3に接続された外部の記憶装置4に送られる。記憶装置4は、例えば、画像検査装置3に接続されたUSBメモリ、SSD、HDD(Hard Disk Drive)等としてよい。このため、ユーザーは、記憶装置4に保存された画像ファイルを表示し、内容を確認することができる。なお、通信I/F部61を経由して接続するクラウドのサーバー又はPC70に画像ファイルを転送し、保存してもよい。
【0061】
排紙先選択部606は、解析結果603cに従って、搬送路41を搬送される用紙Shの排紙トレイ(排紙先の一例)を選択する。例えば、解析結果603cが、用紙Shに形成された画像が正常であることを示していれば、この用紙Shは正常用紙Shである。このため、排紙先選択部606は、切替部44を動作して、正常用紙Shを搬送路42に搬送させ、排紙トレイ47に排紙させる。一方、解析結果603cが、用紙Shに形成された画像が異常であることを示していれば、この用紙Shは異常用紙Shである。このため、排紙先選択部606は、切替部44を動作して、異常用紙Shを搬送路43に搬送させ、排紙トレイ48に排紙させる。
【0062】
記憶部63は、大容量のHDD等で構成される。このため、記憶部63は、ファイル生成部605により生成された正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632を記憶する。正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632は一つの解析結果ファイル633にもまとめられる。そして、制御部60は、必要に応じて記憶部63から解析結果ファイル633を読み出し、通信I/F部61を介して画像形成装置2に送信する。画像形成装置2の操作表示部13では、解析結果ファイル633の内容を表示することができる。
【0063】
ここで、正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632には、以下の2つの用途がある。
(1)正常画像ファイル631の用途
正常画像ファイル631は、正常用紙Shが作成されたことを表すエビデンスとして用いられる。例えば、排紙トレイ47から正常用紙Shが取出された後に、一部の正常用紙Shが欠落したり、汚れたりしても、ユーザーが正常画像ファイル631の内容を確認することで、正常用紙Shが正しいページ数で作成されたことを確認できる。このため、ファイル生成部605によって、排紙トレイ47に排紙された正常用紙Shの画像だけを集めたファイルが正常画像ファイル631として生成される。正常画像ファイル631を利用するのは、例えば、画像形成システム1を使用する印刷作業者や、この印刷作業者に印刷を依頼したエンドユーザーである。
【0064】
(2)異常画像ファイル632の用途
異常画像ファイル632は、読取画像解析部604によって異常と判定された画像が、どのページのどの箇所に発生したのかを、ユーザーに示すために用いられる。このため、ファイル生成部605によって、排紙トレイ48に排紙された異常用紙Shの画像だけを集めたファイルが異常画像ファイル632として生成される。異常画像ファイル632を利用するのは、主に画像形成システム1を使用する印刷作業者、及び検品者である。
【0065】
このように正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632の用途が異なる。このため、本実施の形態では、正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632を別々に出力する。これにより、ユーザーは、正常画像と異常画像を混同することなく、明確に分かれた状態で、印刷が正常に行われたこと、また、異常の内容を確認することができる。
【0066】
上述したように異常画像ファイル632は、印刷作業を確認するために必要である。また、通常、正常画像ファイル631のページ数に比べて、異常画像ファイル632のページ数は少ない。このため、ファイル生成部605は、異常画像ファイル632を正常画像ファイル631よりも優先して生成する。これにより、ファイル生成部605は、異常画像ファイル632の生成が完了した後に、正常画像ファイル631を生成することができる。例えば、画像形成装置2によって現ジョブが完了した後、次ジョブを開始した場合、ファイル生成部605は、現ジョブの正常画像ファイル631の生成を一時中断し、次ジョブの異常画像ファイル632を優先して生成する。
【0067】
このため、ファイル生成部605は、次ジョブの異常画像ファイル632の生成が終わり次第、現ジョブの残りの正常画像ファイル631の生成を再開する。そして、ファイル生成部605は、現ジョブの残りの正常画像ファイル631の生成が完了した後、次ジョブの正常画像ファイル631の生成を行う。以下に、図4を参照して本処理の詳細な説明を行う。
【0068】
図4は、ファイル生成部605が、解析結果ファイル633を生成する処理の例を示すフローチャートである。以下の説明において、画像形成装置2は、現ジョブ、次ジョブの順にジョブを実行し、用紙Shに画像を形成して画像検査装置3に用紙Shを排紙する。そして、本フローチャートの開始前に、既に読取画像解析部604が、現ジョブの読取画像603aの解析を終えたものとする。
【0069】
始めに、ファイル生成部605は、ユーザーにより異常画像ファイル632の生成を指示する設定が行われているか否かを判断する(S1)。この判断は、読取画像解析部604が、パラメータ603dに設定された値を読み出すことで行われる。異常画像ファイル632の生成を指示する設定が行われていなければ(S1のNO)、ステップS3に移る。この場合、ファイル生成部605は、異常画像ファイル632を生成しない。
【0070】
一方、異常画像ファイル632の生成を指示する設定が行われていれば(S1のYES)、ファイル生成部605は、読取画像解析部604が異常を判定した読取画像603aに基づいて、異常画像ファイル632の生成を行う(S2)。
【0071】
ステップS1のNO、又はステップS2の後、ファイル生成部605は、ユーザーにより正常画像ファイル631の生成を指示する設定が行われているか否かを判断する(S3)。この判断も、読取画像解析部604が、パラメータ603dに設定された値を読み出すことで行われる。正常画像ファイル631の生成を指示する設定が行われていなければ(S3のNO)、ステップS5に移る。この場合、ファイル生成部605は、正常画像ファイル631を生成しない。
【0072】
一方、正常画像ファイル631の生成を指示する設定が行われていれば(S3のYES)、ファイル生成部605は、読取画像解析部604が正常と判定した読取画像603aに基づいて、正常画像ファイル631の生成を開始する(S4)。
【0073】
なお、ステップS4における正常画像ファイル631の生成処理の途中で、読取画像解析部604が次ジョブの読取画像603aの解析を行い、次ジョブの読取画像603aの異常を検出すると、この異常を示す異常画像ファイル632の生成処理が一連の処理に割込む。このため、ステップS4における正常画像ファイル631の生成終了まで待たずに、次のステップS5の処理が行われる。
【0074】
次に、読取画像解析部604は、画像形成装置2が次ジョブを実行して画像検査装置3に搬送した用紙Shから読取部45が生成した読取画像603aを解析する(S5)。
【0075】
次に、ファイル生成部605は、読取画像解析部604による次ジョブの読取画像603aの解析が完了したか否かを判断する(S6)。次ジョブの読取画像603aの解析が完了していれば(S6のYES)、ファイル生成部605は、次ジョブの異常画像ファイル632を優先して生成する(S7)。その後、ステップS3に戻って処理を繰り返す。
【0076】
一方、次ジョブの読取画像603aの解析が完了していなければ(S6のNO)、ファイル生成部605は、現ジョブの正常画像ファイル631の生成が完了したか否かを判断する(S8)。現ジョブの正常画像ファイル631の生成が完了していなければ(S8のNO)、ステップS3に戻って処理を繰り返す。
【0077】
一方、現ジョブの正常画像ファイル631の生成が完了していれば(S8のYES)、ファイル生成部605は、次ジョブの正常画像ファイル631を生成する(S9)。
【0078】
そして、ファイル生成部605は、現ジョブの正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632を含む解析結果ファイル633を生成する。その後、ファイル生成部605は、次ジョブの正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632を含む解析結果ファイル633も生成する(S10)。以上により、本フローチャートに示す処理が完了する。
【0079】
ファイル生成部605は、正常画像ファイル631、異常画像ファイル632及び解析結果ファイル633を基本的にジョブ単位で生成する。しかし、通常は正常用紙Shのページ数が、異常用紙Shのページ数よりもかなり多くなる。すると、正常用紙Shの読取画像603aから生成される正常画像ファイル631のファイルサイズが巨大化し、正常画像ファイル631の使用が困難となる。また、正常画像ファイル631の内容を含む解析結果ファイル633も同様にファイルサイズが巨大化する。さらに、画像形成装置2が誤って調整されると、異常画像ファイル632のファイルサイズも巨大化すると考えられる。
【0080】
例えば、画像形成システム1が使用される環境によっては、ファイルサイズが巨大化した画像ファイルをファイルシステムが取り扱えないこともある。そこで、ファイル生成部605は、画像ファイルのファイルサイズが巨大である場合に、例えば、部単位、規定のページ数、又は規定のファイルサイズで画像ファイルを分割することで、どの環境でも画像ファイルを取り扱えるようにする。
【0081】
図5は、1ファイルあたりの画像ファイルの量を制限する処理の例を示すフローチャートである。本処理は、ファイル生成部605が生成する1ファイルあたりの画像ファイルの量を、例えば、RAM603に保存される規定のページ数又はファイルサイズで制限するために行われる。
【0082】
始めに、ファイル生成部605が正常画像ファイル631又は異常画像ファイル632の生成を開始する(S11)。上述した図4のステップS1,S3にて説明したように、本処理は、正常画像ファイル631の生成を指示する設定、又は異常画像ファイル632の生成を指示する設定のいずれか、又は両方の設定によって生成された画像ファイルについて以降の処理が行われる。
【0083】
ファイル生成部605は、生成途中の画像ファイルのファイルサイズが規定サイズ以上であるか、又は画像ファイルのページ数が規定ページ数以上であるか否かを判断する(S12)。この判断は、読取画像解析部604が、パラメータ603dに設定された値を読み出すことで行われる。生成途中の画像ファイルのファイルサイズが規定サイズ未満、かつ画像ファイルのページ数が規定ページ数未満であれば(S12のNO)、ファイル生成部605は、画像ファイルの作成を続け、ステップS12の処理を繰り返す。
【0084】
一方、生成途中の画像ファイルのファイルサイズが規定サイズ以上であるか、又は画像ファイルのページ数が規定ページ数以上であれば(S12のYES)、ファイル生成部605は、このファイルをクローズし、次の画像ファイルの生成を開始する(S13)。
【0085】
次に、ファイル生成部605は、現ジョブの全ページの画像ファイルの生成が完了したか否かを判断する(S14)。全ページの画像ファイルの生成が完了していなければ(S14のNO)、ステップS12に戻り、画像ファイルの生成を継続する。一方、全ページの画像ファイルの生成が完了していれば(S14のYES)、本処理を終了する。
【0086】
<解析結果の表示例>
次に、ユーザーが正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632の内容を確認するために表示される解析結果の表示例について、図6図8を参照して説明する。図6図8に示す各画面は、画像形成装置2の操作表示部13、PC70の表示部等に表示される。
【0087】
図6は、ファイル一覧画面W1の表示例を示す説明図である。
ファイル一覧画面W1は、解析結果ファイル633のファイル名称を検査日時と共に一覧表示した画面である。このため、ファイル一覧画面W1には、検査番号(No.と記載)、検査日時、ファイル名称、異常種類、生成済、レポートページへのリンクの各項目が表示される。解析結果ファイル633のファイル名称は、検査番号及び検査日時の降順に並べて表示される。なお、ファイル一覧画面W1には、正常画像ファイル631又は異常画像ファイル632のファイル名称が検査日時と共に一覧表示されてもよい。
【0088】
異常種類項目には、読取画像解析部604が読取画像603aから解析した異常の種類が示される。異常の種類として、例えば、汚れがある。
生成済項目には、解析結果ファイル633が生成済みであることを示す「Created」が表示される。
レポートページへのリンク項目には、「レポートページ」と書かれたリンクボタンが表示される。ユーザーがこのリンクボタンを押すと、図7に示す解析結果レポートR1が表示される。
【0089】
図7は、解析結果レポートR1の表示例を示す説明図である。
解析結果レポートR1には、検査日時、モデル、シリアルNo、ジョブ名、ジョブセッティング、全異常ページ数、異常の各項目が表示される。
検査日時項目には、検査日時が表示される。
モデル項目には、検査対象となる画像を用紙Shに印刷した印刷装置(画像形成装置2)の名称が表示される。
シリアルNo.項目には、印刷装置(画像形成装置2)を一意に特定するために割り振られるシリアル番号が表示される。
ジョブ名項目には、印刷装置(画像形成装置2)で実行されたジョブのジョブ名が表示される。
ジョブセッティング項目には、ジョブの実行に伴って排紙される印刷物の全部数、全ページ数、及び全シート数が表示される。例えば、1シートに複数のページの画像が印刷されると、シート数とページ数が異なる。また、部数とシート数は基本的に同じである。
【0090】
全異常ページ数項目には、読取画像解析部604が読取画像603aから解析した異常を含むページのページ数が全異常ページ数として表示される。
異常項目には、読取画像603aの解析をするか否かが設定されるスイッチ、及び異常として検出するレベルが表示される。スイッチがオンされていれば、読取画像解析部604は読取画像603aを解析して異常の有無を検出する。一方、スイッチがオフされていれば、読取画像解析部604は読取画像603aを解析しない。また、読取画像解析部604は、異常の有無を、レベルによって判断する。例えば、レベルが所定値であれば、読取画像解析部604は、レベルに応じた大きさより大きい汚れ等を異常として検出する。例えば、レベル1であれば0.1mm以上、レベル3であれば0.5mm以上の汚れが異常として検出される。
【0091】
また、解析結果レポートR1の下部には、異常ページボタン及び正常ページボタンが表示される。ユーザーが異常ページボタンを押すと、図8に示す異常用紙Shの読取画像603aである異常ページが一覧表示される。一方、ユーザーが正常ページボタンを押すと、図9に示す正常用紙Shの読取画像603aである正常ページが一覧表示される。
【0092】
図8は、異常ページの表示例を示す説明図である。
図7の解析結果レポートR1に示したように、読取画像解析部604により異常と検出された用紙Shのページ数は3ページである。ユーザーが解析結果レポートR1の異常ページボタンを押すことで、図8に示す異常ページR11~R13が表示される。異常ページR11~R13は、解析結果レポートR1の始めのページ(例えば、1~3ページ目)に優先して配置される。異常ページR11~R13により、異常用紙Shに付着した汚れの位置及び大きさが、一点鎖線の円D1~D3で示される。また、図示しないが、異常ページR11~R13と共に、各ページのページ数も表示されてもよい。このため、ユーザーは、どの用紙にどのように汚れが付着したかを確認することができる。
【0093】
図9は、正常ページの表示例を示す説明図である。
図7の解析結果レポートR1に示したように、読取画像解析部604により正常と検出された用紙Shのページ数は、全シート数から全異常ページ数を除いた497ページである。ユーザーは、解析結果レポートR1の正常ページボタンを押すことで、図9に示す正常ページR21~R23が表示される。正常ページR21~R23は、497ページから選択された3ページ分の読取画像603aを表す。正常ページは、解析結果レポートR1により、どの時点で検査されたページであるかが判明する。また、排紙された正常用紙Shのページ数も分かる。このため、正常ページをエビデンスとして用いることができる。
【0094】
以上説明した第1の実施の形態に係る画像形成システム1では、正常用紙Shの画像だけを集めたファイルが正常画像ファイル631として生成され、正常画像ファイル631の内容が正常ページとして表示される。このため、正常画像ファイル631は、画像形成装置2によって印刷され、排紙された正常用紙Shの枚数、検査日時等を確認することができ、正常用紙Shが確かに排紙されたことを示すエビデンスとして用いることができる。
【0095】
また、正常画像ファイル631と異常画像ファイル632は、分けて保存することもできる。そして、正常画像ファイル631は、最終納品物のエビデンスとしてそのままクライアントに提示することが可能である。一方、異常画像ファイル632は、画像形成装置2が画像を形成した際に発生した異常画像の履歴として、画像形成装置2を管理する印刷会社がそのまま保持することが可能である。
【0096】
なお、正常画像ファイル631のファイルサイズ又はページ数は非常に大きくなることが想定される。このため、正常画像ファイル631を生成しない設定とすることもできる。逆に、正常画像ファイル631だけを使用するのであれば、異常画像ファイル632を生成しない設定としてもよい。
【0097】
また、上述した実施の形態では、現ジョブ及び次ジョブについて画像ファイルの生成又は停止を制御する例について説明したが、実行順が連続しないジョブについて画像ファイルの生成又は停止を制御してもよい。
【0098】
また、ユーザーは、異常の要因を速やかに知りたいという要望があるが、異常画像ファイル632の生成に時間がかかる場合がある。このため、ファイル生成部605は、異常画像ファイル632として、異常の位置を示すページ番号、座標等が含むテキスト形式のデータを生成してもよい。これにより、ユーザーは、異常の要因を速やかに知ることができる。
【0099】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システム1の処理について説明する。第2の実施の形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置2のリカバリ処理の有無により生成するファイルを変更する。
【0100】
通常、異常用紙Shのページ数に比べて、正常用紙Shのページ数はかなり多い。このため、ファイル生成部605が正常画像ファイル631を生成するための時間は、異常画像ファイル632を生成するための時間よりも長くなりがちである。また、エビデンスを必要としないユーザーであれば、正常画像ファイル631を不要と判断すると想定される。このため、正常画像ファイル631及び異常画像ファイル632を生成するか否かは、ユーザーが独立に設定可能とする。
【0101】
特に、画像形成装置2の自動リカバリ機能を利用する場合、正常用紙Shが出力される排紙トレイ47には異常用紙Shが含まれない。この場合、ユーザーによっては、エビデンスとしての正常画像ファイル631だけを保存しておき、異常画像ファイル632を不要と判断する場合がある。
【0102】
逆に、画像形成装置2の自動リカバリ機能を利用しない場合、異常用紙Shがパージされないので、排紙トレイ48に異常用紙Shが排出される。そして、ユーザーは、異常用紙Shに対応する読取画像603aの解析結果である異常画像ファイル632を早く確認したいと要望する場合がある。このため、処理に時間がかかる正常画像ファイル631の生成を行わず、異常画像ファイル632だけを生成することが求められる。そこで、本実施の形態に係る画像形成システム1では、自動リカバリ機能の利用有無に合わせて、ファイル生成部605が生成する画像ファイルを分ける処理を行う。
【0103】
図10は、リカバリ処理の有無に対応してファイル生成部605が行う処理の例を示すフローチャートである。
【0104】
始めに、ファイル生成部605は、画像形成装置2によってリカバリ処理が行われたか否かを判断する(S21)。リカバリ処理が行われていなければ(S21のNO)、ファイル生成部605は、異常画像ファイル632を生成し(S22)、解析結果ファイル633を生成して(S24)、本処理を終了する。このようにファイル生成部605は、リカバリ処理が行われない場合に、異常が検出された読取画像603aを、正常画像ファイル631よりも優先して異常画像ファイル632として生成し、又は異常が検出された読取画像603aだけを異常画像ファイル632として生成する。
【0105】
一方、リカバリ処理が行われていれば(S21のYES)、ファイル生成部605は、正常画像ファイル631を生成し(S23)、解析結果ファイル633を生成して(S24)、本処理を終了する。このようにファイル生成部605は、リカバリ処理が行われた場合に、異常が検出された読取画像603aを異常画像ファイル632として生成しない。
【0106】
上述した第2の実施の形態に係る画像形成システム1では、リカバリ処理が行われたときに正常画像ファイル631が生成される。このため、解析結果ファイル633には、正常画像ファイル631だけが取り込まれる。一方、リカバリ処理が行われなければ、異常画像ファイル632が生成される。このため、解析結果ファイル633には、異常画像ファイル632が取り込まれる。このように自動リカバリ機能の利用有無に合わせて、ファイル生成部605が生成する画像ファイルの種類を異ならせることが可能である。これにより、ユーザーが要望する画像ファイルだけを生成することができる。
【0107】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成システム1の処理について説明する。 例えば、画像検査装置3が現ジョブの実行に伴って画像が形成された用紙Shの読取画像603aに基づいて画像ファイルを生成する間に、画像形成装置2が次ジョブを実行することができる。基本的には、現ジョブに対応する画像ファイルが生成された後、次ジョブに対応する画像ファイルが生成される。
【0108】
ここで、読取画像解析部604が、次ジョブの実行により画像が形成された用紙Shの読取画像603aを解析した結果、異常を検知したとする。この場合、ユーザーは、異常が検知された読取画像603aから生成される異常画像ファイル632を早く取得し、どのページで異常が検知されたかを知りたいと要望することがある。読取画像解析部604は、読取画像603aの異常を検知すると画像形成装置2に停止の指示を出力し、画像形成装置2を一旦停止させる。そして、ファイル生成部605は、読取画像603aから異常画像ファイル632を優先して生成する。
【0109】
図11は、現ジョブの画像ファイルの生成途中で、次ジョブの読取画像603aに異常が検出された時の処理の例を示すフローチャートである。本フローチャートの開始前に、既に読取画像解析部604が、現ジョブの読取画像603aの解析を終えており、ファイル生成部605が現ジョブの読取画像603aに基づいて画像ファイルを生成している途中であるとする。
【0110】
始めに、読取画像解析部604は、RAM603から読み出した読取画像603aを順に解析する(S31)。このとき、読み出される読取画像603aは、画像形成装置2が次ジョブを実行して画像を形成した用紙Shを読取部45が読取ったものである。
【0111】
次に、読取画像解析部604は、読取画像603aから異常を検知したか否かを判断する(S32)。読取画像解析部604が異常を検知しなければ(S32のNO)、ステップS34に移る。
【0112】
読取画像解析部604が異常を検知すると(S32のYES)、ファイル生成部605は、予め画像形成装置2の停止が設定されているか否かを判断する(S33)。この判断は、読取画像解析部604が、パラメータ603dに設定された値を読み出すことで行われる。
【0113】
画像形成装置2の停止が設定されている場合(S33のYES)、ファイル生成部605は、停止要因となった次ジョブの読取画像603aに基づいて、異常画像ファイル632の生成を行う(S36)。そして、読取画像解析部604から出力された停止の指示により、画像形成装置2が一旦停止する(S37)。その後、ファイル生成部605は、ステップS36で生成された異常画像ファイル632を用いて解析結果ファイル633を生成する(S35)。このため、ユーザーは、次ジョブの読取画像603aに基づいて生成された異常画像ファイル632の内容を含む解析結果ファイル633を使用して、異常の内容等を速やかに知ることができる。
【0114】
一方、読取画像解析部604が異常を検知しなかった場合(S32のNO)、又は、画像形成装置2の停止が設定されていない場合(S33のNO)、読取画像解析部604は、全ての読取画像603aの解析を完了したか否かを判断する(S34)。全ての読取画像603aの解析を完了していなければ(S34のNO)、ステップS31に戻り、読取画像解析部604は、次の画像の解析を行う。一方、全ての読取画像603aの解析を完了していれば(S34のYES)、ファイル生成部605が解析結果ファイル633の生成を行った後(S35)、画像検査装置3による検査が完了する。
【0115】
以上説明した第3の実施の形態に係る画像形成システム1では、読取画像解析部604が次ジョブの読取画像603aから異常を検知したときに、画像形成装置2を一旦停止する。このため、画像形成装置2から連続して異常用紙Shが排紙されることを防ぎ、ユーザーは画像形成装置2の異常に速やかに対処することができる。
【0116】
そして、ファイル生成部605は、停止要因となった異常を含む次ジョブの読取画像603aに対応する異常画像ファイル632をできるだけ早く生成する処理を行う。そして、ファイル生成部605は、この異常画像ファイル632の内容を含む解析結果ファイル633を生成し、ユーザーに提供する。このため、ユーザーは、画像形成装置2が次ジョブを実行することで用紙Shに形成した画像に生じた異常の内容を速やかに把握し、対処することができる。
【0117】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る画像形成システムの構成例について説明する。本実施の形態に係る画像形成システムは、本実施の形態に係る画像形成装置が、画像検査装置から受信した解析結果に基づいて読取画像から画像ファイルを生成する。
【0118】
図12は、画像形成システム1Aの構成例を示す機能ブロック図である。
画像形成システム1Aは、画像形成装置2Aと、画像検査装置3と、PC70とを備える。
制御部50は、図2に示したCPU501、ROM502、RAM503、入力画像処理部504に加えて、ファイル生成部506を備える。ファイル生成部506の機能は、図3に示したファイル生成部605と同様である。
【0119】
制御部50のCPU501は、通信I/F部51を介して画像検査装置3から受信した読取画像603aをRAM503に読取画像503aとして保存する。読取画像503aは、画像検査装置3の読取部45が用紙Shに形成された画像を読取る度に、画像検査装置3から送信されるデータである。また、CPU501は、通信I/F部51を介して画像検査装置3から受信した解析結果603cをRAM503に解析結果503cとして保存する。
【0120】
ファイル生成部506は、RAM503から読み出した解析結果503cと、読取画像503aに基づいて、正常画像ファイル521、異常画像ファイル522及び解析結果ファイル523を生成し、記憶部52、又は制御部50に接続されたHDD等の記憶装置4Aに保存する。これらの画像ファイルの内容は、操作表示部13又はPC70の表示部に表示される。このため、操作表示部13又はPC70の表示部には、上述した図6に示したファイル一覧画面W1、図7に示した解析結果レポートR1、図8に示した異常ページ、及び図9に示した正常ページが表示される。
【0121】
以上説明した第4の実施の形態に係る画像形成システム1Aにおいても、上述した各実施の形態に係る画像形成システム1と同様に、正常画像ファイル521、異常画像ファイル522及び解析結果ファイル523が生成される。そして、ユーザーは、操作表示部13に表示された画面、レポート等の内容に基づいて、用紙Shに形成された画像の異常発生の有無を確認することができる。また、ユーザーは、正常画像ファイル631を使用することで、正常ページがどの時点で、どれだけ正しく印刷されたかをエビデンスとして確認することが可能となる。
【0122】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態に係る画像形成システムの構成例について説明する。本実施の形態に係る画像形成システムは、図2に示した画像形成システム1から画像検査装置3を除いた構成としている。このため、本実施の形態に係る画像形成システムは、上述した各実施の形態における画像検査装置3の制御部60の主要な処理部を備える。
【0123】
図13は、画像形成システム1Bの構成例を示す機能ブロック図である。
画像形成システム1Bは、画像形成装置2B、記憶装置4A、及びPC70を備える。 制御部50は、図12に示したCPU501、ROM502、RAM503、入力画像処理部504、ファイル生成部506に加えて、読取画像解析部505及び排紙先選択部507を備える。読取画像解析部505及び排紙先選択部507の各機能は、図3に示した読取画像解析部604及び排紙先選択部606と同様である。
【0124】
RAM503には、読取画像503a及び解析結果503cに加えて、画像検査装置3の基準画像603b及びパラメータ603dと同じデータである、基準画像503b及びパラメータ503dも保存されている。なお、本実施の形態でRAM503に保存される読取画像503aは、読取部53によって読取られた画像であり、解析結果503cは、読取画像解析部505が読取画像503aを解析したデータである。
【0125】
パラメータ503dは、制御部50によって設定された各種の値である。読取画像解析部505、ファイル生成部506及び排紙先選択部507は、パラメータ503dから読み出した設定値に基づいて、上述した各実施の形態に係る処理を行う。
【0126】
読取画像解析部505は、RAM503から読み出した読取画像503aと、基準画像503bとを比較し、読取画像503aの正常又は異常を解析する。読取画像解析部505による解析結果は、RAM503に解析結果503cとして保存される。
【0127】
排紙先選択部507は、読取画像解析部505の解析結果503cに基づいて、画像検査装置3の搬送路41を搬送される用紙Shの排紙先である排紙トレイ55,56のいずれかを選択する指示を行う。解析結果503cが、用紙Shに形成された画像が正常であることを示していれば、排紙先選択部507は、切替部57を動作して、正常用紙Shを排紙トレイ55に排紙させる。一方、解析結果603cが、用紙Shに形成された画像が異常であることを示していれば、排紙先選択部507は、切替部57を動作して、異常用紙Shを排紙トレイ56に排紙させる。このため、排紙先選択部507からの指示に従って切替部57が切替わり、正常用紙Sh及び異常用紙Shの排紙先が変わる。
【0128】
さらに、画像形成装置2Bは、読取部53、測色計54、排紙トレイ55,56及び切替部57を備える。そして、読取部53、測色計54、排紙トレイ55,56及び切替部57は、いずれも第1の実施の形態に係る画像検査装置3が備える読取部45、測色計46、排紙トレイ47,48及び切替部44と同様の機能を有する。
【0129】
読取部53及び測色計54は、いずれも定着部36より下流の搬送路21に沿って設置される。
読取部53は、イメージセンサー等の画像入力装置の一例であって、画像が形成された用紙Shを搬送路21の上方及び下方から読取った読取画像を制御部50に出力する。制御部50のCPU501は、この読取画像をRAM503に読取画像503aとして保存する。
測色計54は、用紙Sh上に形成された画像の色濃度を測定する。
【0130】
以上説明した第5の実施の形態に係る画像形成システム1Bにおいても、上述した画像形成システム1、1Aと同様に、正常画像ファイル521、異常画像ファイル522及び解析結果ファイル523が生成される。そして、ユーザーは、操作表示部13に表示された画面、レポート等の内容に基づいて、異常発生の有無を確認すると共に、正常ページがどの位正しく印刷されたかをエビデンスとして確認することが可能となる。
【0131】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…画像検査装置、4…記憶装置、10…プリンター部、13…操作表示部、30…画像形成部、36…定着部、50…制御部、503a…読取画像、503b…基準画像、503c…解析結果、503d…パラメータ、504…入力画像処理部、505…読取画像解析部、506…ファイル生成部、507…排紙先選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13