(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】GMR素子の上または下に配置されたTMR素子を有する磁気抵抗アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20231013BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20231013BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20231013BHJP
【FI】
G01R33/09
H01L29/82 Z
H10N50/10 Z
(21)【出願番号】P 2021504224
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(86)【国際出願番号】 US2019037629
(87)【国際公開番号】W WO2020023127
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-12-07
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】591150395
【氏名又は名称】コミサリア タ レネルジー アトミック エ オー エネルジー アルテルナティーヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】カムピリオ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】カドゥガン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ハムダッシュ,アマール
(72)【発明者】
【氏名】パリア,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】フェルモン,クロード
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0025819(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0059360(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0359103(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0015252(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006010652(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0074016(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0241542(US,A1)
【文献】特開2009-193635(JP,A)
【文献】国際公開第2009/078296(WO,A1)
【文献】特開2017-028022(JP,A)
【文献】特表2017-534855(JP,A)
【文献】特開2009-168796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0334621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/09
H01L 29/82
H10N 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に配置され、底面および上面を有する第1のGMR素子と、
前記基板の上に配置され、上面および底面を有する第1のTMR素子と
、
前記第1のGMR素子の前記底面に電気的に結合された第1および第2の電気接点と、
前記第1のTMR素子の前記上面に電気的に結合された電気接点と
を備え、
前記第1のGMR素子および前記第1のTMR素子は、共通のピニング層を共有し、
前記第1のTMR素子の前記上面または底面と垂直に交差する線は、前記第1のGMR素子の前記上面または底面と交差
するとともに、前記第1の電気接点、前記共通のピニング層および前記電気接点の各々と交差し、前記第1のGMR素子
に電気的に結合された前記第1の電気接点および前記第1のTMR素子
に電気的に結合された前記電気接点は、電気的に通じている、磁気抵抗アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のGMR素子は、第1の最大応答軸を有し、前記第1のTMR素子は、第2の最大応答軸を有し、前記第1および第2の応答軸は、前記基板の主面に平行である、請求項1に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のGMR素子の前記第1および第2の電気接点は、それぞれ、第1および第2の導電性ビアを備える、請求項
1に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項4】
前記第1のTMR
素子の前記電気接点は、導電性ビアを備える、請求項
3に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項5】
前記第1のGMR素子の前記第1および第2の電気接点は、前記基板の上に配置された第1の金属層に電気的に結合される、請求項
4に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項6】
前記第1のTMR素子の前記電気接点は、前記基板の上に配置された第2の金属層に電気的に結合され、前記第2の金属層は、前記第1の金属層の上または下に配置される、請求項
5に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項7】
前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に結合され、前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に対して駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能な電圧源または電流源をさらに備える、請求項
6に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項8】
第1のGMR出力信号は、前記第1のGMR素子の前記第2の電気接点で生成され、TMR出力信号は、前記第1のTMR素子の前記電気接点で生成される、請求項
7に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に結合され、前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に対して駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能な電圧源または電流源をさらに備える、請求項
6に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項10】
第1のGMR出力信号が、前記第1のGMR素子の前記第2の電気接点で生成され、TMR出力信号が、前記第1のTMR素子の前記電気接点で生成される、請求項
9に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に結合され、前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に対して駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能な電圧源または電流源をさらに備える、請求項
1に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項12】
第1のGMR出力信号が、前記第1のGMR素子の前記第2の電気接点で生成され、TMR出力信号が、前記第1のTMR素子の前記電気接点で生成される、請求項
11に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項13】
前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に結合され、前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に対して駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能な電圧源または電流源をさらに備える、請求項
1に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項14】
第1のGMR出力信号が、前記第1のGMR素子の前記第2の電気接点で生成され、TMR出力信号が、前記第1のTMR素子の前記電気接点で生成される、請求項
13に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項15】
前記第1のGMR素子は、第1の感度を有し、前記第1のTMR素子は、前記第1の感度とは異なる第2の感度を有する、請求項1に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項16】
前記基板の上に配置され、上面および底面を有する第2のGMR素子と、
前記基板の上に配置され、上面および底面を有する第2のTMR素子とをさらに備え、
前記第2のTMR素子の前記上面または底面と垂直に交差する線は、前記第2のGMR素子の前記上面または底面と交差し、前記第2のGMR素子および前記第2のTMR素子は、電気的に通じている、
請求項1に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項17】
前記第1のGMR素子および前記第1のTMR素子は、第1の共通のピニング層を共有し、前記第2のGMR素子および前記第2のTMR素子は、第2の共通のピニング層を共有する、請求項
16に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項18】
前記第1のGMR素子は、第1の最大応答軸を有し、前記第2のGMR素子は、第2の最大応答軸を有し、前記第1のTMR素子は、第3の最大応答軸を有し、前記第2のTMR素子は、第4の最大応答軸を有し、前記第1、第2、第3および第4の最大応答軸は、前記基板の主面に平行である、請求項
16に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項19】
前記第1のGMR素子は、第1および第2の電気接点を備え、前記第2のGMR素子は、第1および第2の電気接点を備え、前記第1のTMR素子は、電気接点を備え、前記第2のTMR素子は、電気接点を備える、請求項
16に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項20】
前記第1のGMR素子の前記第1および第2の接点と、前記第2のGMR素子の前記第1および第2の接点とは、それぞれ導電性ビアを備える、請求項
19に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項21】
前記第1のTMR素子の前記電気接点と、前記第2のTMR素子の前記電気接点とは、それぞれ導電性ビアを備える、請求項
20に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項22】
前記第1のGMR素子の前記第1および第2の接点と、前記第2のGMR素子の前記第1および第2の接点とは、前記基板の上に配置された第1の金属層に電気的に結合される、請求項
19に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項23】
前記第1のTMR素子の前記電気接点と、前記第2のTMR素子の前記電気接点とは、
前記基板の上に配置された第2の金属層に電気的に結合され、前記第2の金属層は、前記第1の金属層の上または下に配置される、請求項
22に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項24】
前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点、または前記第2のGMR素子の前記第1の電気接点に結合された電気回路をさらに備え、前記電気回路は、前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に対して第1の駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能であり、前記第2のGMR素子の前記第1の電気接点に対して第2の駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能である、請求項
23に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項25】
第1のGMR出力信号が、前記第1のGMR素子の前記第2の電気接点で生成され、第2のGMR出力信号が、前記第2のGMR素子の前記第2の電気接点で生成され、TMR出力信号が、前記第2のGMR素子の前記第2の電気接点で生成される、請求項
24に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項26】
前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点と、前記第2のGMR素子の前記第1の電気接点とに結合された電気回路をさらに備え、前記電気回路は、前記第1のGMR素子の前記第1の電気接点に対して第1の駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能であり、前記第2のGMR素子の前記第1の電気接点に対して第2の駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能である、請求項
19に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項27】
第1のGMR出力信号が、前記第1のGMR素子の前記第2の電気接点で生成され、第2のGMR出力信号が、前記第2のGMR素子の前記第2の電気接点で生成され、TMR出力信号が、前記第1および第2のTMR素子の前記電気接点で生成される、請求項
26に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項28】
前記第1のGMR素子は、第1の感度を有し、前記第2のGMR素子は、第2の感度を有し、前記第1のTMR素子は、第3の感度を有し、前記第2のTMR素子は、第4の感度を有し、前記第1および第2の感度は、前記第3および第4の感度とは異なる、請求項
16から
27のうちのいずれか1項に記載の磁気抵抗アセンブリ。
【請求項29】
基板上に磁気抵抗アセンブリを形成する方法であって、
前記基板の上に配置され、底面および上面を有する第1のGMR素子を形成するステップと、
前記基板の上に配置され、上面および底面を有する第1のTMR素子を形成するステップと
、
前記第1のGMR素子の前記底面に電気的に結合された第1および第2の電気接点を形成するステップと、
前記第1のTMR素子の前記上面に電気的に結合された電気接点を形成するステップと
を備え、
前記第1のGMR素子および前記第1のTMR素子は、共通のピニング層を共有するように形成され、
前記第1のTMR素子の前記上面または底面と垂直に交差する線は、前記第1のGMR素子の前記上面または底面と交差
するとともに、前記第1の電気接点、前記共通のピニング層および前記電気接点の各々と交差し、前記第1のGMR素子
に電気的に結合された前記第1の電気接点および前記第1のTMR素子
に電気的に結合された前記電気接点は、電気的に通じている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気抵抗素子に関し、より詳細には、巨大磁気抵抗(GMR)素子の下または上に配置されたトンネル磁気抵抗(TMR)素子に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で使用される場合、「磁場感知素子」という用語は、磁場を感知できる様々な電子素子を説明するために使用される。そのような磁場感知素子の1つは、磁気抵抗(MR)素子である。磁気抵抗素子は、磁気抵抗素子が受ける磁場に関連して変化する抵抗を有する。
【0003】
知られているように、磁気抵抗素子には、たとえば、巨大磁気抵抗(GMR)素子や、磁気トンネル接合(MTJ)素子とも呼ばれるトンネル磁気抵抗(TMR)素子のように、様々なタイプがある。
【0004】
GMR素子およびTMR素子は、抵抗が非磁性層によって分離された異なる磁性層の磁気配向に関連するスピンエレクトロニクス(すなわち、電子スピン)で動作する。スピンバルブ構成では、抵抗は、いわゆる「基準層」と呼ばれる別の層に対する、いわゆる「自由層」の磁化の角度方向に関連する。自由層および基準層については、以下で詳しく説明する。
【0005】
磁気抵抗素子は、単一の素子として使用され得るか、あるいは、様々な構成、たとえば、ハーフブリッジまたはフル(すなわち、ホイートストン)ブリッジに配置された2つ以上の磁気抵抗素子として使用され得る。
【0006】
本明細書で使用される場合、「磁場センサ」という用語は、一般に他の回路と組み合わせて、1つまたは複数の磁場感知素子を使用する回路を説明するために使用される。典型的な磁場センサでは、磁場感知素子および他の回路は、共通の基板、たとえば、半導体基板上に集積され得る。いくつかの実施形態では、磁場センサはまた、リードフレームおよびパッケージを含むことができる。
【0007】
磁場センサは、様々な用途で使用され、その用途としては、磁場の方向の角度を感知する角度センサと、通電導体によって送られる電流によって生成される磁場を感知する電流センサと、強磁性体の近接を感知する磁気スイッチと、たとえば、磁場センサがバックバイアスのまたは他の磁石と組み合わせて使用されるリング磁石または強磁性ターゲット(たとえば、歯車の歯)の磁区のような通過する強磁性物を感知する回転検出器と、磁場の磁場密度を感知する磁場センサとが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0008】
様々なパラメータが、磁場センサおよび磁場感知素子の性能を特徴付ける。磁場感知素子に関して、パラメータは、磁場に応じた磁場感知素子の出力信号(または、磁気抵抗素子の抵抗)の変化である感度と、磁場に対して線形的に(すなわち、正比例して)変化する磁場感知素子の出力信号(または、抵抗)の程度である線形度とを含む。パラメータは、磁場センサがゼロ磁場を受けたときにゼロ磁場を示さない磁場感知素子からの記述および出力であるオフセットも含む。
【0009】
GMR素子およびTMR素子は、たとえば、ホール効果素子と比較して、比較的高い感度を有することが知られている。したがって、たとえば、GMR素子またはTMR素子を使用する電流センサは、ホール効果素子を使用する電流センサよりも小さい電流を検出できる。
【0010】
TMR素子は、GMR素子よりも高い感度を有することが知られているが、低周波数においてノイズが高くなる。
【0011】
TMR素子とGMR素子との両方とも、それぞれ線形範囲を有するが、より高い磁場において飽和する。
【0012】
従来、GMR素子およびTMR素子は各々、それぞれ異なる基板、たとえば、半導体基板の上に配置され、各々は、それぞれ異なる堆積層の集合として製造される。GMR素子とTMR素子との層は異なるため、従来、GMR素子とTMR素子との層を同じ基板上に堆積させることは非常に困難である可能性がある。
【0013】
しかしながら、同じ基板の上に堆積されたGMR素子およびTMR素子を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、同じ基板の上に堆積されたGMR素子およびTMR素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の態様を理解するのに有用な例によれば、磁気抵抗アセンブリは、基板と、基板の上に配置され、底面および上面を有する第1のGMR素子と、基板の上に配置された第1のTMR素子とを含むことができる。第1のTMR素子は、上面および底面を有することができる。第1のTMR素子の上面または底面と垂直に交差する線は、第1のGMR素子の上面または底面と交差する。第1のGMR素子および第1のTMR素子は、電気的に通じている。
【0016】
磁気抵抗アセンブリは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を、単独でまたは組み合わせて含み得る。第1のGMR素子および第1のTMR素子は、共通のピニング層を共有し得る。第1のGMR素子は、第1の最大応答軸を有し、第1のTMR素子は、第2の最大応答軸を有し、第1および第2の応答軸は、基板の主面に平行であり得る。磁気抵抗アセンブリは、第1のGMR素子に電気的に結合された第1および第2の電気接点と、第1のTMR素子に電気的に結合された電気接点とをさらに含み得る。第1のGMR素子の第1および第2の電気接点はそれぞれ、第1および第2の導電性ビアを含み得る。第1のTMRの電気接点は、導電性ビアを含み得る。第1のGMR素子の第1および第2の電気接点は、基板の上に配置された第1の金属層に電気的に結合され得る。第1のTMR素子の電気接点は、基板の上に配置された第2の金属層に電気的に結合され得、第2の金属層は、第1の金属層の上または下に配置される。磁気抵抗アセンブリは、第1のGMR素子の第1の電気接点に結合され、第1のGMR素子の第1の電気接点に対して駆動電流を強制的に流入または流出させるように動作可能な電圧源または電流源をさらに含み得る。第1のGMR出力信号は、第1のGMR素子の第2の電気接点で生成され得、TMR出力信号は、第1のTMR素子の電気接点で生成され得る。第1のGMR素子は、第1の感度を有し得、第1のTMR素子は、第1の感度とは異なる第2の感度を有し得る。
【0017】
磁気抵抗アセンブリは、基板の上に配置された第2のGMR素子であって、上面および底面を有する第2のGMR素子と、基板の上に配置された第2のTMR素子であって、上面および底面を有する第2のTMR素子とをさらに含み得、第2のTMR素子の上面または底面と垂直に交差する線は、第2のGMR素子の上面または底面と交差し、第2のGMR素子および第2のTMR素子は、電気的に通じている。第1のGMR素子および第1のTMR素子は、第1の共通のピニング層を共有し得、第2のGMR素子および第2のTMR素子は、第2の共通のピニング層を共有し得る。第1のGMR素子は、第1の最大応答軸を有し、第2のGMR素子は、第2の最大応答軸を有し、第1のTMR素子は、第3の最大応答軸を有し、第2のTMR素子は、第4の最大応答軸を有し、第1、第2、第3および第4の最大応答軸は、基板の主面に平行であり得る。第1のGMR素子は、第1および第2の電気接点を含み得、第2のGMR素子は、第1および第2の電気接点を含み得、第1のTMR素子は、電気接点を含み得、第2のTMR素子は、電気接点を含み得る。第1のGMR素子の第1および第2の接点と、第2のGMR素子の第1および第2の接点とは、それぞれ導電性ビアを含み得る。第1のTMR素子の電気接点と、第2のTMR素子の電気接点とは、それぞれ導電性ビアを含み得る。第1のGMR素子の第1および第2の接点と、第2のGMR素子の第1および第2の接点とは、基板の上に配置された第1の金属層に電気的に結合され得る。第1のTMR素子の電気接点と、第2のTMR素子の電気接点とは、基板の上に配置された第2の金属層に電気的に結合され得、第2の金属層は、第1の金属層の上または下に配置される。磁気抵抗アセンブリは、第1のGMR素子の第1の電気接点、または第2のGMR素子の第1の電気接点に結合された電気回路をさらに含み得、電気回路は、第1の駆動電流を、第1のGMR素子の第1の電気接点に対して強制的に流入または流出させるように動作可能であり、第2の駆動電流を、第2のGMR素子の第1の電気接点に対して強制的に流入または流出させるように動作可能である。第1のGMR出力信号は、第1のGMR素子の第2の電気接点で生成され得、第2のGMR出力信号は、第2のGMR素子の第2の電気接点で生成され得、TMR出力信号は、第2のGMR素子の第2の電気接点で生成され得る。第1のGMR出力信号は、第1のGMR素子の第2の電気接点で生成され得、第2のGMR出力信号は、第2のGMR素子の第2の電気接点で生成され得、TMR出力信号は、第1および第2のTMR素子の電気接点で生成され得る。第1のGMR素子は、第1の感度を有し得、第2のGMR素子は、第2の感度を有し得、第1のTMR素子は、第3の感度を有し得、第2のTMR素子は、第4の感度を有し得、第1および第2の感度は、第3および第4の感度とは異なる。
【0018】
本発明の態様を理解するのに有用な例によれば、基板上に磁気抵抗アセンブリを形成する方法は、基板の上に配置された第1のGMR素子を形成することを含むことができ、第1のGMR素子は、底面および上面を有する。この方法はまた、基板の上に配置された第1のTMR素子を形成することを含むことができ、第1のTMR素子は、上面および底面を有し、第1のTMR素子の上面または底面と垂直に交差する線は、第1のGMR素子の上面または底面と交差し、第1のGMR素子および第1のTMR素子は、電気的に通じている。
【0019】
本発明の前述の特徴、ならびに本発明自体は、以下の図面の詳細な説明からより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】GMR素子の上に配置されたTMR素子からなる例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図であり、各々がそれぞれ複数の層を有している。
【
図2】GMR素子の上に配置されたTMR素子からなる別の例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図であり、各々がそれぞれ複数の層を有し、3つの電気接点を有し、面内電流(CIP)および面に垂直な電流(CPP)を示している。
【
図3】単一ピン止め型のGMR素子の上に配置された単一ピン止め型のTMR素子からなる別の例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図であり、各々がそれぞれ複数の層を有する。
【
図4】二重ピン止め型のGMR素子の上に配置された単一ピン止め型のTMR素子からなる別の例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図であり、各々がそれぞれ複数の層を有する。
【
図5】二重ピン止め型のGMR素子の上に配置された二重ピン止め型のTMR素子からなる別の例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図であり、各々がそれぞれ複数の層を有する。
【
図6】単一ピン止め型のGMR素子の上に配置された二重ピン止め型のTMR素子からなる別の例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図であり、各々がそれぞれ複数の層を有する。
【
図7】GMR素子の上に配置され、電気接点を有し、基板の上に配置された金属層への結合を有するTMR素子からなる別の例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図である。
【
図8】
図7の磁気抵抗素子アセンブリの上面図を示すブロック図である。
【
図9】それぞれ電気接点を有し、基板の上に配置された金属層への結合を有する、第1および第2のGMR素子の上に配置された第1および第2のTMR素子からなる別の例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図である。
【
図10】
図9の磁気抵抗素子アセンブリの上面図を示すブロック図である。
【
図11】GMR素子の下に配置され、電気接点を有し、基板の上に配置された金属層への結合を有するTMR素子からなる別の例示的な磁気抵抗アセンブリの側面図を示すブロック図である。
【
図12】
図11の磁気抵抗素子アセンブリの上面図を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を説明する前に、本明細書では、特定の形状(たとえば、円筒形状、長方形状、またはヨーク形状)を有する磁気抵抗アセンブリに対する参照がなされることがあることに留意されたい。しかしながら、当業者は、本明細書で説明される技法が、様々なサイズおよび形状に適用可能であることを理解するであろう。
【0022】
本発明を説明する前に、いくつかの導入概念および専門用語が説明される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「磁場感知素子」という用語は、磁場を感知できる様々な電子素子を説明するために使用される。磁場感知素子は、ホール効果素子、磁気抵抗素子、または磁気トランジスタであり得るが、これらに限定されない。知られているように、ホール効果素子には、たとえば、平面ホール素子、垂直ホール素子、および円形垂直ホール(CVH)素子など、様々なタイプがある。また知られているように、異なるタイプの磁気抵抗素子、たとえば、巨大磁気抵抗(GMR)素子、たとえば、スピンバルブ、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、および磁気トンネル接合(MTJ)が存在する。磁場感知素子は、単一の素子であり得るか、あるいは、様々な構成、たとえば、ハーフブリッジまたはフル(ホイートストン)ブリッジに配置された2つ以上の磁場感知素子を含み得る。デバイスのタイプや他の用途要件に応じて、磁場感知素子は、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などのIV族半導体材料、またはガリウム砒素(GaAs)などのIII-V族半導体材料、またはインジウム化合物、たとえば、インジウム-アンチモン化物(InSb)で作られたデバイスであり得る。
【0024】
知られているように、上記の磁場感知素子のいくつかは、磁場感知素子を支持する基板に平行な最大感度の軸を有する傾向があり、上記の磁場感知素子の他の素子は、磁場感知素子を支持する基板に垂直な最大感度の軸を有する傾向がある。特に、平面ホール素子は、基板に垂直な感度の軸を有する傾向がある一方、金属ベースまたは金属磁気抵抗素子(たとえば、GMR、TMR)および垂直ホール素子は、基板に平行な感度の軸を有する傾向がある。しかしながら、一部のTMR素子は、基板に垂直な感度の軸を有することができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「磁場センサ」という用語は、一般に他の回路と組み合わせて、磁場感知素子を使用する回路を説明するために使用される。磁場センサは、様々な用途で使用され、これら用途としては、磁場の方向の角度を感知する角度センサと、通電導体によって伝達される電流によって生成される磁場を感知する電流センサと、強磁性体の近接を感知する磁気スイッチと、たとえば、磁場センサがバックバイアスのまたは他の磁石と組み合わせて使用されるリング磁石または強磁性ターゲット(たとえば、歯車の歯)の磁区のような、通過する強磁性物を感知する回転検出器と、磁場の磁場密度を感知する磁場センサとが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
「平行」および「垂直」という用語は、本明細書の様々な文脈で使用される。平行および垂直という用語は、正確な垂直度または正確な平行度を必要としないが、代わりに、通常の製造公差が当てはまることが意図され、その公差は、用語が使用される文脈に依存することを理解されたい。場合によっては、「実質的に」という用語は、「平行」または「垂直」という用語を修正するために使用される。一般に、「実質的に」という用語の使用は、たとえば+/-10度以内のような、製造公差を超える角度を反映する。
【0027】
以下に説明するGMR素子とTMR素子とは、共通の共有ピニング層を有することが示される。しかしながら、他の実施形態では、共通の共有ピニング層は、それぞれ異なるピニング層で置換され得ることを理解されたい。
【0028】
単一のピン止め型と、二重のピン止め型との両方であるGMR素子およびTMR素子が、以下の図に示される。しかしながら、単一のピン止めおよび二重のピン止めがなされたGMR素子およびTMR素子は、以下に示されるものとは異なる数の層、異なる材料の層、および/または異なる厚みの層を有するように形成され得ることを理解されたい。
【0029】
図1を参照して示すように、例示的な磁気抵抗アセンブリ100は、たとえば半導体基板である基板102と、基板102の上に配置されたGMR素子104と、GMR素子104の上に配置されたTMR素子106とを含むことができる。電気接点108a、108bは、GMR素子104の底部に結合され得る。電気接点108cは、TMR素子106の上部に結合され得る。TMR素子106の上面に対して垂直にTMR素子106を通過する線は、GMR素子104と交差する。
【0030】
GMR素子104およびTMR素子106は各々、それぞれ複数の層を備えることができる。複数の層の例は、
図3~
図6と併せて以下に示される。いくつかの実施形態では、GMR素子104およびTMR素子106は、共通の層110を含むことができ、これは、以下の図に示されるように、共通の反強磁性ピニング層、たとえば、PtMnまたはIrMnの層であり得る。
【0031】
図2を参照して示すように、別の例示的な磁気抵抗アセンブリ200は、たとえば半導体基板である基板202と、基板202の上に配置されたGMR素子204と、GMR素子204の上に配置されたTMR素子206とを含むことができる。TMR素子206の上面に対して垂直にTMR素子206を通過する線は、GMR素子204と交差する。
【0032】
電気接点208a、208bは、GMR素子204の底面に結合され得る。電気接点208cは、TMR素子106の上部に結合され得る。
【0033】
電圧源210、または他の実施形態では、電流源は、電気接点208aに結合された電圧210a(または電流)を生成することができ、これは、電流210b、210cをもたらすことができる。電流210bは、いわゆる「面内電流」すなわちCIPであり得、GMR素子204を通って、一般に、基板202の面に対して平行に電気接点208bから出る方向に流れることができる。電流210cは、いわゆる「面に垂直な電流」すなわちCPPであり得、TMR素子206を通って、一般に、基板202の面に対して垂直に電気接点208cから出る方向に流れることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、接点208b、208cは、基板202上または基板202内に配置され得る電子回路212に結合され得る。電子回路212は、GMR素子204からGMR信号208baを受信でき、TMR素子206からTMR信号208caを受信できる。電子回路212は、GMR素子204およびTMR素子206の抵抗を同時にまたは個別に識別するように動作可能であり、これらは各々、外部磁場に応答する。たとえば、電子回路212は、電流210bを受け取るように結合され、GMR素子204の抵抗に比例する電流210bに比例する第1の電圧を生成するように動作可能な第1の固定抵抗器を含むことができる。電子回路212は、電流210cを受け取るように結合され、TMR素子206の抵抗に比例する電流210cに比例する第2の電圧を生成するように動作可能な第2の固定抵抗器を含むことができる。
【0035】
この構成により、GMR素子204とTMR素子206との両方は、電気的にアクティブとなり、同時に磁場に応答できる。しかしながら、他の実施形態では、電子回路212は、電流210b、210cのいずれか1つを開回路状態にすることができ、その場合、GMR素子204およびTMR素子206は、同じ電圧源210または電流源を使用して、異なる時間に電気的にアクティブになることができると理解されたい。
【0036】
上記のように、TMR素子は、GMR素子よりも外部磁場(たとえば、1ガウス当たりのオーム)に対して高い感度を有する傾向がある。したがって、磁気抵抗アセンブリ200を使用するいくつかの磁場センサは、より小さな磁場を感知するときにTMR素子206を使用でき、より高い磁場を感知するときにGMR素子204を使用できる。したがって、(磁場センサ内の)電子回路212は、2つの異なる動作範囲(たとえば、ガウスの範囲)を有することができ、その範囲は、重なり合う場合も、そうでない場合もある。
【0037】
磁気抵抗素子200の製造は、両方とも同じ基板上に直接配置されているが、並べて配置されている別個のGMR素子およびTMR素子を製造するよりも容易であることは明らかであるはずである。本質的に、磁気抵抗アセンブリ200は、下記の図でより完全に説明される材料の層を順次堆積することによって製造され得る。並べて配置するには、GMR素子とTMR素子とを別々に製造し、追加のマスク工程とそれに伴う高いコストとが必要となるであろう。
【0038】
図3を参照して示すように、別の例示的な磁気抵抗アセンブリ300は、たとえば半導体基板である基板302と、基板302の上に配置された単一ピン止め型のGMR素子304と、GMR素子304の上に配置された単一ピン止め型のTMR素子306とを含むことができる。TMR素子306の上面に対して垂直にTMR素子306を通過する線は、GMR素子304と交差する。電気接点は図示されていないが、
図1と
図2とを併せて上記の議論から理解されたい。
【0039】
単一ピン止め型のGMR素子およびTMR素子は各々、それぞれの基準層構造およびそれぞれの自由層構造を有し、そのために自由層構造は、単一層であり得るか、または複数の層を有することができると理解される。本明細書で使用される場合、文脈に応じて、「層構造」という用語は、1つの材料の単一層、または複数の結合層を説明するために使用され、各結合層は異なる材料を有する。
【0040】
GMR素子304は、反強磁性ピニング層324(たとえば、PtMnまたはIrMn)と、ピニング層324に磁気的に結合され、矢印によって示されるピニング層324の磁気方向をとるピン止め層構造322、320、318とを含むことができる基準層構造を有することができる。スペーサ層320は、層322と層318との間に反強磁性結合をもたらすように選択された材料および厚みを有する。層322、320、318は、合成反強磁性体(SAF)と呼ばれ得る。
【0041】
GMR素子304の自由層構造314、312は、外部磁場の磁気方向をとることができる。外部磁場がない場合、自由層構造314、312は、矢印の先で示されるように、図面の外へ磁気方向をとることができる。図面の外への方向は、GMR素子304の形状異方性に従って決定され得、すなわち、GMR素子304は、上面図からヨークの形状に形成され得、ヨークの最長寸法は、図面に出入りする方向に延びる。ヨーク形状は、
図8と併せて以下でより完全に説明される。
【0042】
TMR素子304は、反強磁性ピニング層324(たとえば、PtMnまたはIrMn)と、ピニング層324に磁気的に結合され、矢印によって示されるピニング層324の磁気方向をとるピン止め層構造326、328、330とを含むことができる基準層構造を有することができる。スペーサ層328は、層326と層330との間に反強磁性結合をもたらすように選択された材料および厚みを有する。層326、328、330は、合成反強磁性体(SAF)と呼ばれ得る。
【0043】
TMR素子306の自由層構造334は、外部磁場の磁気方向をとることができる。外部磁場がない場合、自由層構造334は、不定の磁気方向をとり得るが、ここでは磁気方向が矢印の先で示されるように図面の外へ向いている。TMR素子306は、上面から見て円筒形または長方形である可能性があるため、その不定方向は、形状異方性の欠如に起因する可能性がある。
【0044】
シード層310は、自由層構造314、312の下に配置され得る。キャップ層336は、自由層334の上に配置され得る。
【0045】
GMR素子304とTMR素子306との両方は、ピニング層324の磁気方向に平行な最大応答軸を有することができる。
【0046】
層の材料と、層の厚みとの例が示される。しかしながら、上記のように、他の厚みの他の材料を使用する他のGMR素子および他のTMR素子を使用することができる。また、GMR素子およびTMR素子の他の構造が使用され得る。以下の図には、他の構造の一部のみが示される。
【0047】
図3の同一要素が、同様の参照指定を有するように示される
図4を参照して示すように、磁気抵抗アセンブリ400は、磁気抵抗アセンブリ300と同様であり得、単一ピン止め型のTMR素子306と同じ単一ピン止め型のTMR素子306を使用できる。しかしながら、ここでは、GMR素子404が二重にピン止めされている。TMR素子306の上面に対して垂直にTMR素子306を通過する線は、GMR素子404と交差する。
【0048】
図3の磁気抵抗アセンブリ300に対して、第2のピニング層408(たとえば、PtMnまたはIrMn)、ピン止め層410、およびスペーサ層412を有するバイアス層構造が追加される。ピン止め層410は、ピニング層408に磁気的に結合され、矢印の先によって示されるピニング層408の磁気方向をとることができる。
【0049】
スペーサ層412は、材料から構成され得、ピン止め層410と、自由層構造312、314との間に強磁性結合をもたらす厚みを有することができる。
【0050】
電気接点は図示されていないが、
図1および
図2と併せて上記の議論から理解されたい。
【0051】
GMR素子404とTMR素子306との両方は、ピニング層324の磁気方向に平行な最大応答軸を有することができる。
【0052】
図3および
図4の同一要素が、同様の参照指定を有するように示される
図5を参照して示すように、磁気抵抗アセンブリ500は、磁気抵抗アセンブリ400と同様であり得、同じ二重ピン止め型のGMR素子404を使用できる。しかしながら、ここでは、TMR素子506は、二重にピン止めされている。TMR素子506の上面に対して垂直にTMR素子506を通過する線は、GMR素子404と交差する。
【0053】
図4の磁気抵抗アセンブリ400に対して、第3のピニング層512(たとえば、PtMnまたはIrMn)と、ピン止め層構造510と、スペーサ層508とを有するバイアス層構造が追加される。ピン止め層510は、ピニング層512に磁気的に結合され得、矢印の先によって示されるピニング層512の磁気方向をとることができる。
【0054】
スペーサ層508は、材料から構成され得、ピン止め層510と自由層334との間に強磁性結合をもたらす厚みを有することができる。外部磁場は、自由層334の磁気方向を異なる方向に動かすことができる。
【0055】
電気接点は図示されていないが、
図1および
図2と併せて上記の議論から理解されたい。
【0056】
GMR素子404とTMR素子506との両方は、ピニング層324の磁気方向に平行な最大応答軸を有することができる。
【0057】
図3、
図4、および
図5の同一要素が、同様の参照指定を有するように示される
図6を参照して示すように、磁気抵抗アセンブリ600は、
図5の二重ピン止め型のTMR素子506の下に配置された
図3の二重ピン止め型のGMR素子304を含むことができる。TMR素子506の上面に対して垂直にTMR素子506を通過する線は、GMR素子304と交差する。
【0058】
電気接点は図示されていないが、
図1および
図2と併せて上記の議論から理解されたい。
【0059】
GMR素子304とTMR素子506との両方は、ピニング層324の磁気方向に平行な最大応答軸を有することができる。
【0060】
上記に示す実施形態は、GMR素子の上に配置されたTMR素子を有するが、他の実施形態では、GMR素子は、TMR素子の上に配置され得る。そのような1つの配置は、
図11および
図12と併せて以下に説明される。
【0061】
図7を参照して示すように、基板702上に配置された磁気抵抗アセンブリ700は、TMR素子706の下に配置されたGMR素子704を含むことができる。GMR素子704とTMR素子706とは、共有AF層と呼ばれる共通の反強磁性ピニング層を有することができる。磁気抵抗アセンブリ700は、上記の磁気抵抗アセンブリのいずれかと同じまたは類似することができる。
【0062】
GMR素子704は、それぞれ第1および第2の電気接点712b、712dを含むことができ、これらは、めっきされた、または導電性の充填ビアであり得、基板702に近接するGMR素子704の底面の下に配置され得る。第1および第2の電気接点712d、712dは、基板702の上に配置された、たとえば、基板702とGMR素子704の底面との間の、第1の金属層714の第1および第2の部分714b、714cにそれぞれ結合され得る。
【0063】
TMR素子706は、電気接点712cを含むことができ、これは、めっきされた、または導電性の充填ビアであり得、基板702から遠位のTMR素子706の上面の上に配置され得る。電気接点712cは、基板702の上、たとえば、TMR素子706の上面の上に配置された第2の金属層720の部分720aに結合され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、第2の金属層720の部分720aは、めっきされた、または導電性の充填ビア712aを介して、第1の金属層714の第3の部分714aに結合され得る。
【0065】
電圧発生器722または電流発生器は、第1の金属層714の第1の部分714bに結合される電流722aを生成できる。
【0066】
第1の金属層714の部分714a、714b、714cは電気的に分離され得、その結果、電流722aは、第1の金属層714の第1の部分714aで受け取られ得、GMR出力信号724は、第1の金属層714の第2の部分714cで生成され得、TMR出力信号726は、第1の金属層714の第3の部分714aで生成され得ることを理解されたい。他の金属層および他の接続スキームも可能である。
【0067】
電流722aの第1の電流部分は、GMR出力信号724を生成するためにGMR素子704を横断できる。電流722aの第2の電流部分は、TMR出力信号726を生成するために、GMR素子704を通って上方に流れ、TMR素子706を通って上方に流れることができる。GMR素子は、GMR素子704を上向きに通過する第2の電流部分に応答しないか、または最小限しか応答しない。
【0068】
上記のように、GMR出力信号724およびTMR出力信号726は、同時に生成され得る。しかしながら、たとえば、GMR出力信号724およびTMR出力信号726の電流を1つずつ遮断することによって、GMR出力信号724およびTMR出力信号726を時間多重化することも可能である。そのような遮断は、電子スイッチを用いれば容易に可能である。GMR出力信号724またはTMR出力信号726のうちの他方からの電流を遮断することによって、GMR出力信号724またはTMR出力信号726のうちの一方のみを生成することも可能である。
【0069】
図7の同一要素が、同様の参照指定を有するように示される
図8を参照して示すように、GMR素子704およびTMR素子706が上面から示される。GMR素子704は、ヨーク形状を有することができる。TMR素子706は、長方形形状を有することができる。他の形状も可能である。
【0070】
図9を参照して示すように、磁気抵抗アセンブリ900は、複数のGMR素子および複数のTMR素子を含むことができる。ここでは、2つのGMR素子904、908、および2つのTMR素子906、910が示されているが、より多くの数も提供され得る。TMR素子906の上面に対して垂直にTMR素子906を通過する線は、GMR素子904と交差する。TMR素子910の上面に対して垂直にTMR素子910を通過する線は、GMR素子908と交差する。
【0071】
磁気抵抗アセンブリ900は、基板902の上に配置され得、TMR素子906の下に配置されたGMR素子904を含むことができ、TMR素子910の下に配置されたGMR素子908を含むことができる。GMR素子904およびTMR素子906は、共有AF層と呼ばれる共通の反強磁性ピニング層を有することができる。GMR素子908およびTMR素子910も、共有AF層と呼ばれる共通の反強磁性ピニング層を有することができる。GMR素子904、908およびTMR素子906、910は、上記のGMR素子およびTMR素子のいずれかと同じまたは類似することができる。
【0072】
GMR素子904は、それぞれ第1および第2の電気接点912e、912fを含むことができ、これらは、めっきされた、または導電性の充填ビアであり得、基板902に近接するGMR素子904の底面の下に配置され得る。第1および第2の電気接点912e、912fは、基板902の上に配置された、たとえば、基板902とGMR素子904の底面との間の、第1の金属層914の第1および第2の部分914c、914dにそれぞれ結合され得る。
【0073】
TMR素子906は、電気接点912dを含むことができ、これは、めっきされた、または導電性の充填ビアであり得、基板902から遠位のTMR素子906の上面の上に配置および結合され得る。電気接点912dは、基板902の上、たとえば、TMR素子906の上面の上に配置された第2の金属層920の部分920aに結合され得る。
【0074】
電圧発生器924または電流発生器は、第1の金属層914の第1の部分914dに結合された電流924aを生成できる。
【0075】
磁気抵抗アセンブリ900は、TMR素子910の下に配置されたGMR素子908を含むことができる。GMR素子908およびTMR素子910は、共有AF層と呼ばれる共通の反強磁性ピニング層を有することができる。GMR素子908およびTMR素子910は、上記のGMR素子およびTMR素子のいずれかと同じまたは類似することができる。
【0076】
GMR素子908は、それぞれ第1および第2の電気接点912c、912aを含むことができ、これらは、めっきされた、または導電性の充填ビアであり得、基板902に近接するGMR素子908の底面の下に配置され得る。第1および第2の電気接点912c、912aは、基板902の上に配置された、たとえば、基板902とGMR素子908の底面との間の、第1の金属層914の第3および第4の部分914b、914aにそれぞれ結合され得る。
【0077】
TMR素子910は、電気接点912bを含むことができ、これは、めっきされた、または導電性の充填ビアであり得、基板902から遠位のTMR素子910の上面の上に配置および結合され得る。電気接点912bは、基板902の上、たとえば、TMR素子910の上面の上に配置された第2の金属層920の部分920aに結合され得る。他の実施形態では、電気接点912bは、第2の金属層920の部分920aから電気的に分離された異なる部分に結合され得る。
【0078】
電圧発生器922または電流発生器は、第1の金属層914の第3の部分914bに結合された電流922aを生成できる。
【0079】
第1の金属層914の部分914a、914b、914c、914dが電気的に分離され得、その結果、電流922aは、第1の金属層914の部分914bで受け取られ得、電流924aは、第1の金属層914の部分914dで受け取られ得、第1のGMR出力信号926は、第1の金属層914の部分914aで生成され得、第2のGMR出力信号928aは、第1の金属層914の部分914cで生成され得、TMR出力信号928は、第2の金属層914の部分914cで生成され得ることを理解されたい。他の金属層および他の接続スキームも可能である。
【0080】
この構成により、電流922aが、GMR出力信号926およびTMR出力信号928bともなることを理解されたい。また、電流924aが、GMR出力信号928aとなることも理解されたい。いくつかの実施形態では、2つの電流信号922a、924aは、異なる時間において、たとえば、時間多重化されて印加される。他の実施形態では、2つの電流信号922a、924aが、同時に印加される。これらの実施形態では、2つの出力信号928a、928bは、信号の和として同時に存在できる。
【0081】
他の実施形態では、第1および第2のTMR素子906、910はそれぞれ、第2の金属層920の別個の部分で別個の出力信号を生成できる。
【0082】
図10を参照すると、
図9と同様の要素が同様の参照符号を付されて示されており、
図9のGMR素子904、908およびTMR素子906、910が、上面から示される。GMR素子904、908は各々、ヨーク形状を有することができる。TMR素子906、910は各々、長方形形状を有することができる。他の形状も可能である。
【0083】
図11に示されるように、別の例示的な磁気抵抗アセンブリ1100は、たとえば半導体基板である基板1102と、基板1102の上に配置された単一ピン止め型のTMR素子1104と、GMR素子1104の上に配置された単一ピン止め型のGMR素子1106とを含むことができる。電気接点は図示されていないが、
図1および
図2と併せて上記の議論から理解されたい。TMR素子1104の底面に対して垂直にTMR素子1104を通過する線は、GMR素子1106と交差する。
【0084】
GMR素子1106は、基準層構造を有することができ、この基準層構造は、反強磁性ピニング層1120(たとえば、PtMnまたはIrMn)と、ピニング層1120に磁気的に結合され、矢印によって示されるピニング層1120の磁気方向をとるピン止め層構造1122、1124、1126とを含むことができる。スペーサ層1124は、層1122、1126の間に反強磁性結合をもたらすように選択された材料および厚みを有する。
【0085】
GMR素子1106の自由層構造1130、1132は、外部磁場の磁気方向をとることができる。外部磁場がない場合、自由層構造1130、1132は、矢印の先で示されるように、図面の外へ磁気方向をとることができる。図面の外への方向は、GMR素子1106の形状異方性に従って決定され得、すなわち、GMR素子1106は、上面図からみるとヨークの形状に形成することができ、ヨークの最長寸法は、図面に出入りする方向に延びる。ヨークの形状は、上記の
図8と併せて以下でより完全に説明される。
【0086】
TMR素子1104は、反強磁性ピニング層1120(たとえば、PtMnまたはIrMn)と、ピニング層1120に磁気的に結合され、矢印によって示されるピニング層1120の磁気方向に平行な磁気方向をとるピニング層構造1118、1116、1114とを含むことができる基準層構造を有することができる。スペーサ層1116は、層1118と層1114との間に反強磁性結合をもたらすように選択された材料および厚みを有する。
【0087】
TMR素子1104の自由層1112は、外部磁場の磁気方向をとることができる。外部磁場がない場合、自由層構造1110は、不定の磁気方向をとり得るが、ここでは磁気方向が矢印の先で示されるように図面の外へ向いている。TMR素子1104は、上面から見て円筒形または長方形である可能性があるので、その不定方向は、形状異方性の欠如に起因する可能性がある。
【0088】
シード層1108は、自由層1110の下に配置され得る。キャップ層1134は、自由層構造1134の上に配置され得る。
【0089】
GMR素子1106とTMR素子1108との両方は、ピニング層1120の磁気方向に平行な最大応答軸を有することができる。
【0090】
層の材料と、層の厚みとの例が示されている。しかしながら、上記のように、他の厚みの他の材料を使用する他のGMR素子および他のTMR素子が使用され得る。また、GMR素子およびTMR素子の他の構造も使用され得る。以下の図には、他の構造の一部のみが示される。
【0091】
図12を参照して示すように、基板1202上に配置された磁気抵抗アセンブリ1200は、GMR素子1206の下に配置されたTMR素子1204を含むことができる。TMR素子1204およびGMR素子1206は、共有AF層と呼ばれる共通の反強磁性ピニング層を有することができる。磁気抵抗アセンブリ1200は、
図11の磁気抵抗アセンブリ1100と同じまたは類似することができる。
【0092】
TMR素子1204は、電気接点1208bを含むことができ、これは、めっきされた、または導電性の充填ビアであり得、基板1202に近接するTMR素子1204の底面の下に配置され得る。電気接点1208bは、基板1202の上に配置された、たとえば、基板1202とTMR素子1204の底面との間の、第1の金属層1216の部分1216bに結合され得る。
【0093】
GMR素子1206は、第1および第2の電気接点1208c、1208dを含むことができ、これらは、めっきされた、または導電性の充填ビアであり得、基板1202から遠位のGMR素子1206の上面の上に配置され得る。第1および第2の電気接点1208c、1208dは、基板1202の上、たとえばGMR素子1206の上面の上に配置された第2の金属層1222の第1および第2の部分1222a、1222bにそれぞれ結合され得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、第2の金属層1222の部分1222aは、めっきされた、または導電性の充填ビア1208aを介して、第1の金属層1216の別の部分1216aに結合され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、第2の金属層1222の部分1222bは、めっきされた、または導電性の充填ビア1208eを介して、第1の金属層1216の別の部分1216cに結合され得る。
【0096】
電圧発生器1210または電流発生器は、第1の金属層1216の第1の部分1216bに結合される電流1210aを生成できる。
【0097】
第1の金属層1216の部分1216a、1216b、1216cは電気的に分離され得、その結果、電流1210aは、第1の金属層1216の部分1216bで受信され得、GMR出力信号1214は、第1の金属層1216の部分1216cで生成され得、TMR出力信号1212は、第1の金属層1216の部分1216aで生成され得ることを理解されたい。他の金属層および他の接続スキームも可能である。
【0098】
この目的のために、電流1210aの第1の部分は、GMR出力信号1214を生成するためにGMR素子1206を横断できる。電流1210aの第2の電流部分は、TMR出力信号1212を生成するために、GMR素子1206を通って下向きに流れ、TMR素子1204を通って下向きに流れることができる。GMR素子1206は、GMR素子1206を下向きに通過する第2の電流部分に応答しないか、または最小限しか応答しない。
【0099】
上記のように、GMR出力信号1214およびTMR出力信号1212は、同時に生成され得る。しかしながら、たとえば、GMR出力信号1214またはTMR出力信号1216の電流を1つずつ遮断することによって、GMR出力信号1214およびTMR出力信号1212を時間多重化することも可能である。そのような遮断は、電子スイッチを用いれば容易に可能である。GMR出力信号1214またはTMR出力信号1212の他方からの電流を遮断することにより、GMR出力信号1214またはTMR出力信号1212の一方のみを生成することも可能である。
【0100】
本明細書で引用されたすべての引用文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
この特許の主題である様々な概念、構造、および技法を説明するのに役立つ好ましい実施形態を説明したので、これらの概念、構造、および技法を組み込んだ他の実施形態を使用できることが明らかになるであろう。したがって、特許の範囲は、記載された実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定されるべきであることが提起される。
【0102】
本明細書に記載の実施形態の要素を組み合わせて、上記に具体的に記載されていない他の実施形態を形成することができる。単一の実施形態の文脈で説明される様々な要素はまた、別個にまたは任意の適切な部分組合せで提供され得る。本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。