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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】樹脂製容器の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20231013BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021513668
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2020015836
(87)【国際公開番号】W WO2020209287
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2019074083
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】湯本 晴仁
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-221705(JP,A)
【文献】特開平6-87135(JP,A)
【文献】特開2002-264194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータを用いてプリフォームを加熱する加熱部と、
前記加熱された前記プリフォームをブロー成形するブロー成形部と、
前記ブロー成形部に接続され、ブロー成形に用いる加圧された気体を貯留するためのアキュムレータと、
前記加熱部と前記アキュムレータとを電気的駆動弁を介して接続する接続配管と、
を備え、
前記電気的駆動弁は、電力が供給されている時に閉じており、電力が供給されていない時に開いて、前記アキュムレータ内の気体を前記加熱部に流通させることを特徴とする、樹脂製容器の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製容器の製造装置において、前記アキュムレータは、第1のアキュムレータと、前記第1のアキュムレータよりも低圧な気体を貯留する第2のアキュムレータとを有し、前記接続配管は、前記第2のアキュムレータに接続されたことを特徴とする、樹脂製容器の製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の樹脂製容器の製造装置において、前記加熱部は、送風機を用いて、前記ヒータで加熱した気体を前記プリフォームに接触させることを特徴とする、樹脂製容器の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂製容器の製造装置において、前記接続配管は、前記送風機の吐出側配管に接続されたことを特徴とする、樹脂製容器の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリフォームを温度調整する加熱部と、加熱部で温度調整したプリフォームをブロー成形するブロー成形部とを備えた樹脂製容器の製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の樹脂製容器の製造装置は、ブロー成形部よりも前の工程に加熱部を有している。これにより、常温まで冷えたプリフォームを用いてボトル容器を製造する場合であっても、ブロー成形する前に加熱部でプリフォームを加熱することができるため、ブロー成形に適した温度までプリフォームを温度調整することを可能にしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-315973号公報
【文献】特開2012-135913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術による樹脂製容器の製造装置は、電力を用いて動作するため、停電等により運転が停止してしまう場合があったが、現状では、樹脂製容器の製造装置は、停電に対する安全対策はあまり講じられていないのが実情である。
【0005】
プリフォームを加熱するための加熱部は略箱状のフレームを有し、このフレームの中にプリフォーム加熱用の赤外線ランプと、プリフォーム及び赤外線ランプの過加熱防止用の冷却装置、及び加熱部内の雰囲気温度調整に用いるエアの給気または排気するための機構であるブロワが設けられている。これらは電力により動作するため、加熱部は、停電により電力の供給が停止するとエアの給気及び排気が停止し、赤外線ランプの余熱等が原因で、加熱部の雰囲気温度が著しく昇温する。これにより、搬送されてきて停電等により加熱部内で停止したプリフォームが余熱により過度に加熱されて溶融し、その周辺の機器に溶けた樹脂が接触して固着する等の悪影響を及ぼす恐れがあった。
【0006】
また、過度な昇温により、赤外線ランプの破損や、赤外線ランプから放出された赤外線が外部に漏れることを防止するための遮光板の変形も生じかねない。さらに、加熱部でこのような不具合が起きてしまうと、復旧作業に時間がかかり、場合によっては部品交換も必要になってしまう。従って、現行の樹脂製容器の製造装置において、停電時における加熱部の不具合を抑止することのできる安全対策機構を搭載させる必要性があった。
【0007】
本発明は、電力の供給が停止されたときに加熱部で不具合が生じることを防止することのできる樹脂製容器の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ヒータを用いてプリフォームを加熱する加熱部と、前記加熱された前記プリフォームをブロー成形するブロー成形部と、前記ブロー成形部に接続され、ブロー成形に用いる加圧された気体を貯留するためのアキュムレータと、前記加熱部と前記アキュムレータとを電気的駆動弁を介して接続する接続配管と、を備え、前記電気的駆動弁は、電力が供給されている時に閉じており、電力が供給されていない時に開いて、前記アキュムレータ内の気体を前記加熱部に流通させることを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記アキュムレータは、第1のアキュムレータと、前記第1のアキュムレータよりも低圧な気体を貯留する第2のアキュムレータとを有し、前記接続配管は、前記第2のアキュムレータに接続されていてもよい。前記加熱部は、送風機を用いて、前記ヒータで加熱した気体を前記プリフォームに接触させてもよい。前記接続配管は、前記送風機の吐出側配管に接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電力の供給が停止されたときに加熱部で不具合が生じることを防止することのできる樹脂製容器の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るブロー成形装置の模式図を示す。
図2】全行程の工程図を示す。
図3】アキュムレータに接続された配管の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、ブロー成形装置の模式図を示し、図2は、全行程の工程図を示している。
図1において、工程1はプリフォーム成形工程を示し、工程2はプリフォーム後冷却工程を示し、工程3及び4はプリフォーム温度平衡工程を示し、工程5は再加熱工程を示し、工程6は均温化工程を示し、工程7は延伸ブロー成形工程を示し、工程8は容器取出し工程を示している。
【0013】
本実施形態に係るブロー成形装置(樹脂製容器の製造装置)200は、図1に示すように、レール(搬送路)6上をプリフォーム1が順次搬送されて射出成形ステーション110、後冷却ステーション115、温度調整ステーション(加熱部)120、延伸ブローステーション(ブロー成型部)130、及び取出しステーションによる各工程を経るようになっている。これにより、ブロー成形装置200は、搬送されるプリフォーム1に対して順次、冷却や温度調整が行われるようになっている。なお、後冷却ステーション115は、広義的には温度調整ステーション120の一部に含まれ、特にプリフォーム1の強制冷却を担うステーションである。
【0014】
ブロー成形装置200は、射出成形ステーション110で射出成形されたプリフォーム1を一度にまとめて温度調整やブロー成形を行わずに、複数回に分けてブロー成形を行っている。すなわち、射出成形ステーション110では一度に例えば36個のプリフォーム1を射出成形しているが、レール6により例えば12個ずつ温度調整ステーション120に搬送されて温度調整された後に、例えば12個ずつ延伸ブローステーション130でブロー成形されるように設けられている。射出成形ステーション110で射出成形されたプリフォーム1は工程2乃至4で冷却されるため、後冷却工程の後の温度調整ステーション120にて赤外線ランプを用いて加熱する構造になっている。なお、ブロー成形装置200の1成形サイクル時間は、プリフォーム1の射出成形時間とほぼ同じとみなすことができる。また、1成形サイクル時間あたりのブロー成形回数は3回が望ましいが、これに限定されない。つまり、射出成形された1バッチ分のプリフォームを複数回に分けてブロー成形する様態であれば何回でも良い。
【0015】
ブロー成形装置200で射出成形されるプリフォーム1は、合成樹脂材料(例えばPET樹脂)のガラス転移点より高い温度の熱を有した柔らかい状態のまま(外形が維持できる程度の高温状態で)射出成形ステーション110から離型される。すなわち、ブロー成形装置200は、射出成形ステーション110で成形したプリフォーム1の外側表面温度が内側表面温度より高くなる前にプリフォーム1を射出成形ステーション110の射出成形キャビティ型から取り出し、工程2のプリフォーム後冷却工程、工程3及び4のプリフォーム温度平衡工程にてプリフォーム1を10℃以上50℃以下だけ冷却させている。これにより、射出成形時に熱を蓄えたプリフォーム1は、保有熱を活かしながら延伸ブローステーション130で最終的な容器1aに成形される。
【0016】
ブロー成形装置200は、図2に示すように、射出成形工程を短くするのとともに温度調整工程の温調ポット型を用いた後冷却機能により、プリフォーム成形サイクル(射出成形サイクル)を短くしている。このとき、プリフォーム1を成形する射出成形ステーション110にて、冷却時間は射出時間(充填時間)の2/3以下、1/2以下、1/3以下、好ましくは略0(ゼロ)秒になるように設けられている。
【0017】
以下、各工程について説明する。
先ず、射出成形工程にて、ブロー成形装置200は、図2に示すように、所定の射出時間をかけて5℃以上20℃以下に設定された射出成形型の成形空間に材料を射出(充填)し、限りなく0(ゼロ)秒に近い短い所定の冷却時間を挟んだ後に、プリフォーム1の射出成形を完了させる。次いで、ブロー成形装置200は、所定の機械動作時間をかけて、プリフォーム1を射出成形ステーション110からや受け取りポット型(不図示)に取り出す(離型する、図1の工程1、図2の射出成形工程)。例えば、射出時間(充填時間)は3.0秒から3.5秒、冷却時間は0.5秒から1.0秒に、各々設定される。
【0018】
射出成形ステーション110(図1)における機械動作時間は射出成形型の型開閉時間でありプリフォーム1を射出成形型から受け取りポット型に転送する時間である。機械動作時間は、例えば、3.5秒以上4.0秒以下に設定される。射出型開閉機構(不図示)や受け取りポット型の機械的動作によりプリフォーム1が取り出されて搬送される際に周囲空気や受取ポット型との接触により冷却されるため、温調工程におけるプリフォーム1の受け取り及び強制冷却を実質的に兼ねている(図2の第1の温調工程(受取冷却工程))。このとき、本実施形態の射出成形時間(射出時間、冷却時間、及び機械動作時間の合計)は、従来技術(例えば、WO2012-057016A)の射出成形時間(在来射出成形サイクル)よりも短い時間に設定されている。
【0019】
受取冷却工程を行うと、ブロー成形装置200(図1)は、プリフォーム1を受取ポット型に入れられたまま射出成形ステーション110から退避移動して、搬送部材(不図示)によりプリフォーム1を温度調整ステーション120へと転送する。この機械動作時間を利用して、プリフォーム1の均温化処理を行う。このとき、プリフォーム1の外層(スキン層)は、内層(コア層)からの熱移動により、射出成形ステーション110の離型直後の温度と比較して、80℃以上上昇する。
【0020】
第1の温調工程が完了すると、ブロー成形装置200は、温度調整ステーション120、より正確には後冷却ステーション115の温調キャビティ型(冷却ポット型)に搬入されたプリフォーム1に対して、強制冷却工程(後冷却工程)を行う(図1の工程2、図2の第2の温調工程(強制冷却工程))。プリフォーム1は、材料のガラス転移点温度以下(例えば60℃以下)に設定された温調キャビティ型と外表面側で接触し、強制冷却される。
【0021】
第2の温調工程が完了すると、ブロー成形装置200(図1)は、温調キャビティ型の反転・下降といった機械動作により、プリフォーム1をレール6に待機された搬送部材(不図示)に転送する(図1の工程3)。次いで、電動モータやスプロケット等による機械動作で、プリフォーム1を搬送部材とともにレール6に沿って温度調整ステーション120に移送する(図1の工程4)。この機械動作時間中(例えば、3.5秒以上4.0秒以下)に、ブロー成形装置200は、温度調整ステーション120において、後冷却工程の終了直後から再加熱工程の開始直前まで、プリフォーム1を自然冷却及び均温化させる(図2の第3の温調工程(自然冷却工程))。
【0022】
プリフォーム1が第3の温調工程で冷却及び均温化されると、ブロー成形装置200は、温度調整ステーション120の再加熱工程(再加熱ステーション120a)にて、プリフォーム1に対して再加熱、均温化、及び再加熱の順に加熱と均温化を行う(図1の工程5、図2の第4の温調工程(再加熱工程))。
【0023】
プリフォーム1が再加熱、均温化、及び再加熱の順による加熱及び均温化されると、ブロー成形装置200は、レール6に沿って大気中で搬送されることによりプリフォーム1を均温化させた後、プリフォーム1をブロー成形ステーション130内に搬入する(図1の工程6、図2の第5の温調工程(均温化工程))。ブロー成形直前に、プリフォーム1の内外層間(スキン層-コア層間)または胴部2bの肉厚方向で熱移動を生ぜしめて内外層間の温度差を低減させ、プリフォーム1の温度分布の平衡安定化が行えるため、ブロー成形直前のプリフォーム1の温度条件の最適化が図れる。なお、この工程の時間は、例えば、約1.0秒以上2.0秒以下に設定される。
【0024】
ブロー成形ステーション130内にプリフォーム1が搬入されると、ブロー成形装置200は、ブロー工程にて、プリフォーム1をブロー成形して容器1aを成形する(図1の工程7、図2のブロー成形工程)。
【0025】
プロフォーム1をブロー成形して容器1aを成形すると、ブロー成形装置200は、機械動作により搬出し、容器1aを取り出す(図1の工程8、図2の取り出し工程)。なお、本実施形態では、射出工程にて1度に射出したM個(例えば36個)のプリフォーム1に対して、M個より小さいN個(12個)ずつ温調工程、自然冷却工程、再加熱工程、及びブロー工程を行っている。このとき、温調工程、自然冷却工程、及び再加熱工程は、プリフォーム1がレール6に沿って搬送されて連続的に実施されるが、ブロー工程では3回に分けて12個ずつブロー成形を行うようになっている。
【0026】
以上の工程により、ブロー成形装置200によるサイクルを短縮させた全行程に要する時間は、在来の装置による全行程に要する時間よりも短くなっている。
【0027】
図3は、アキュムレータに接続された管路の回路図を示す。
延伸ブローステーション130は、図3に示すように、第1のアキュムレータ10と第2のアキュムレータ11とを備えている。なお、プリフォーム1は、最初に第2のアキュムレータ11に貯留された低圧の圧縮空気によりブローされ、次いで第1のアキュムレータ10に貯留された高圧の圧縮空気によりブローされ、容器1аへと成形される。
【0028】
第1のアキュムレータ10は、空気圧源12に接続されており、空気圧源12から最大で3.5MPaの圧縮空気が供給されて貯留するようになっている。この第1のアキュムレータ10は、内部圧力を測定するための圧力計13、不要になった圧縮空気を排出させるための仕切弁14、及び、第1のアキュムレータ10内が高圧になり過ぎないように、貯留する圧縮空気の圧力が3.8MPa以上になったときに圧縮空気を大気に放出するためのリリーフ弁15が設けられている。
【0029】
第1のアキュムレータ10は、ソレノイドバルブであるノーマルクローズの第1の電磁弁16を介して、延伸ブローステーション130内に搬送されてきたプリフォーム1内に挿入されるノズル17と接続されている。これにより、第1のアキュムレータ10は、第1の電磁弁16が通電していなくて閉じているときには、貯留している圧縮空気を保持するが、第1の電磁弁16が通電して開いているときに、貯留している圧縮空気をノズル17から放出するように設けられている。延伸ブローステーション130内に搬送されてきたプリフォーム1は、ノズル17から放出された圧縮空気により膨張され、図示せぬブロー型の型面に押し付けられるようになっている。
【0030】
第1の電磁弁16とノズル17との間の配管は分岐しており、分岐した先にソレノイドバルブであるノーマルオープンの第2の電磁弁18を介して、消音器19が接続されている。これにより、第2の電磁弁18が通電して閉じているときには、圧縮空気は第2の電磁弁18を流通しないが、第2の電磁弁18が通電していなくて開いているときに、第1の電磁弁16とノズル17との間の配管内に溜まっている圧縮空気を消音器19から放出するようになっている。
【0031】
第1のアキュムレータ10は、減圧弁20を介して第2のアキュムレータ11にも接続されている。これにより、空気圧源12から第1のアキュムレータ10及び減圧弁20を介して第2のアキュムレータ11に供給された圧縮空気は、第1のアキュムレータ10に貯留されている圧縮空気よりも低圧(例えば1.5MPa)になっている。この第2のアキュムレータ11は、内部圧力を測定するための圧力計21、及び、不要になった圧縮空気を排出させるための仕切弁22が設けられている。
【0032】
第2のアキュムレータ11は、ソレノイドバルブであるノーマルクローズの第3の電磁弁23、及びチェック弁24を介して、延伸ブローステーション130内に搬送されてきたプリフォーム1内に挿入されるノズル17と接続されている。これにより、第2のアキュムレータ11は、第3の電磁弁23が通電していなくて閉じているときには、貯留している圧縮空気を保持するが、第3の電磁弁23が通電して開いているときに、貯留している圧縮空気をノズル17から放出するように設けられている。延伸ブローステーション130内に搬送されてきたプリフォーム1は、ノズル17から放出された圧縮空気により膨張され、図示せぬブロー型の型面に押し付けられるようになっている。ここで、第3の電磁弁23は、第1のアキュムレータ10側にある第1の電磁弁16に接続されてノズル17を共用しているが、チェック弁24を介していることにより、第1のアキュムレータ10から高圧の圧縮空気が流れてきてもこの高圧の圧縮空気は第3の電磁弁23まで到達しないようになっている。
【0033】
第3の電磁弁23とノズル17との間の配管は分岐しており、分岐した先にソレノイドバルブであるノーマルオープンの第4の電磁弁25を介して、消音器26が接続されている。これにより、第4の電磁弁25が通電して閉じているときには、圧縮空気は第4の電磁弁25を流通しないが、第2の電磁弁が通電していなくて開いているときに、第3の電磁弁23とノズル17との間の配管内に溜まっている圧縮空気を消音器26から放出するようになっている。
【0034】
温度調整ステーション120、より具体的には再加熱ステーション120aには、給気用ブロワ31と、排気用ブロワ32,32とを備えている。
【0035】
給気用ブロワ31は、配管を通して冷却空気を再加熱ステーション120aの加熱装置(加熱ボックス)120a1内に送風するように設けられている。加熱装置120a1内に送風された冷却空気は、それぞれ逆向きにプリフォーム1を搬送する一対の搬送路の間に導かれた後に、それぞれの搬送路に送風されるようになっている。このとき、送風された冷却用空気は、それぞれの搬送路に配置された赤外線ランプ(ヒータ)33,33を流通して加熱されることにより加熱空気(加熱雰囲気)となり、プリフォーム1に接触するように送風される。これにより、プリフォーム1は、赤外線ランプ(ヒータ)33,33から出力される赤外線(電磁波)に加え、加熱空気でも加熱されることにより温度調整されるようになっている。また、ブロー成形装置200が通電しているときは、冷却装置である給気用ブロワ31と排気用ブロワ32(後述)からの送風により、赤外線ランプ(ヒータ)33,33および加熱装置120a1内にある加熱空気の過加熱が抑止される。
【0036】
排気用ブロワ32,32は、一対の搬送路を挟むようにそれぞれ配置されており、給気用ブロワ31からプリフォーム1に接触するように送風された加熱空気を吸い出すように設けられている。
【0037】
再加熱ステーション120a1(広義的には温度調整ステーション120)は、給気用ブロワ31の吐出側と再加熱ステーション120a1内とを接続する接続配管41が第5の電磁弁(電気的駆動弁)40を介して延伸ブローステーション130の第2のアキュムレータ11と接続されている。この第5の電磁弁40は、ノーマルオープンのソレノイドバルブであり、通電しているときには閉じているが、通電していないときには第2のアキュムレータ11に貯留されている圧縮空気を流通させるようになっている。これにより、第5の電磁弁40が通電していないときに、第2のアキュムレータ11に貯留されている圧縮空気は、給気用ブロワ31の吐出側に接続された接続配管41を通って再加熱ステーション120a1内に供給され、プリフォーム1に接触するように送風されるようになっている。
【0038】
本実施形態に係るブロー成形装置200は、赤外線ランプ33,33を用いてプリフォーム1を加熱する再加熱ステーション120a1(広義的には温度調整ステーション120)と、加熱されたプリフォーム1をブロー成形する延伸ブローステーション130と、延伸ブローステーション130に接続され、ブロー成形に用いる圧縮空気を貯留するためのアキュムレータ10,11と、再加熱ステーション120a1とアキュムレータ10,11とを第5の電磁弁40を介して接続する接続配管41と、を備え、第5の電磁弁40は、電力が供給されている時に閉じており、電力が供給されていない時に開いて、アキュムレータ10,11内の圧縮空気を再加熱ステーション120a1に流通させるようになっている。これにより、停電等によりブロー成形装置200への電力の供給が停止したときに、第1の電磁弁16及び第3の電磁弁23が閉じるとともに第5の電磁弁40が開くため、アキュムレータ10,11内に貯留されている圧縮空気を用いて再加熱ステーション120a1内を冷却することができる。このため、電力の供給が停止されたときに再加熱ステーション120a1で不具合(プリフォーム1の溶融や赤外線ランプ33の破損等)が生じることを防止することができる。また、アキュムレータ10,11や給気用ブロワ31と再加熱ステーション120a1内とを接続する配管等の既存の構成を主に用いるため、既存のブロー成型装置にも大きな改造を行うことなく適用することができる。なお、接続配管41と第5の電磁弁40との間に流量調整弁(不図示)を設けても良い。これにより、再加熱ステーション120a1の昇温度合に応じて圧縮エアの流量(冷却度合)が適宜変更でき、停電復旧までにアキュムレータ10,11内の圧縮空気をより有効に利用することが可能になる。
【0039】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、2つのアキュムレータ10,11を備えているが、これに限定されない。圧縮された気体を貯留することができればアキュムレータの個数は1つ、または3つ以上であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、アキュムレータ10,11に圧縮空気を貯留しているが、これに限定されない。ブロー成形及び温度調整ステーションの冷却に用いることができれば、その他の気体であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…プリフォーム
1a…容器
6…レール
10…第1のアキュムレータ
10…アキュムレータ
12…空気圧源
13…圧力計
14…仕切弁
15…リリーフ弁
16…第1の電磁弁
17…ノズル
18…第2の電磁弁
19…消音器
20…減圧弁
21…圧力計
22…仕切弁
23…第3の電磁弁
24…チェック弁
25…第4の電磁弁
26…消音器
31…給気用ブロワ
32…排気用ブロワ
33…赤外線ランプ(ヒータ)
40…第5の電磁弁(電気的駆動弁)
41…接続配管
110…射出成形ステーション
115…後冷却ステーション
120…温度調整ステーション(加熱部)
130…延伸ブローステーション(ブロー成形部)
200…ブロー成形装置
図1
図2
図3