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特許7366146基板支持ピン設置用治具、基板支持ピン設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】基板支持ピン設置用治具、基板支持ピン設置方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021550864
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2019039007
(87)【国際公開番号】W WO2021064922
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 知久
(72)【発明者】
【氏名】野口 剛裕
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-166583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を支持する少なくとも1つの基板支持ピンの支持台への設置に用いられる基板支持ピン設置用治具であって、
当該基板支持ピン設置用治具が、
前記支持台に対して相対移動可能な本体と、
前記本体に設けられ、前記少なくとも1つの基板支持ピンを含む複数の基板支持ピンを収容可能な複数のピン収容部と、
前記本体に設けられ、前記複数のピン収容部の各々に収容された前記複数の基板支持ピンの各々を保持する保持位置と、前記複数の基板支持ピンの各々を保持しない非保持位置とに切換可能な保持部材と
を含み、
前記複数の基板支持ピンの各々が、それぞれ、底部と、被係合部とを含み、
前記保持部材が、前記保持位置において、前記被係合部が前記ピン収容部である貫通孔から突出し、前記底部の底面が前記支持台から離間した状態で、前記被係合部に係合することにより、前記複数の基板支持ピンの各々を保持し、前記非保持位置において、前記被係合部に係合せず、前記複数の基板支持ピンを保持しないものであり、
前記基板支持ピンの前記底面が、前記保持部材の前記非保持位置において、前記支持台に当接した状態にある基板支持ピン設置用治具。
【請求項2】
当該基板支持ピン設置用治具が、前記本体に設けられ、前記支持台への位置決めに用いられる被位置決め部を含む請求項1に記載の基板支持ピン設置用治具。
【請求項3】
前記支持台を含む基板保持装置が、前記被位置決め部に係合可能な位置決め部を含み、
前記位置決め部と前記被位置決め部とにより、前記本体の前記支持台に対する相対位置が決まる請求項2に記載の基板支持ピン設置用治具。
【請求項4】
前記底部が、磁石と、磁石を保持する磁石保持部とを含み、
前記基板支持ピンが、前記磁石により前記支持台に設置される請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板支持ピン設置用治具。
【請求項5】
複数のピン収容部を有する基板支持ピン設置用治具を使って少なくとも1つの基板支持ピンを支持台上に設置する基板支持ピン設置方法であって、
前記基板支持ピン設置用治具に、前記少なくとも1つの基板支持ピンを、前記複数のピン収容部のうちの少なくとも1つの各々に前記基板支持ピンをそれぞれ収容して、保持させる保持工程と、
前記少なくとも1つの基板支持ピンを保持する前記基板支持ピン設置用治具を、前記支持台の予め定められた位置に載置する治具載置工程と、
前記少なくとも1つの基板支持ピンの各々の保持を解除し、前記少なくとも1つの基板支持ピンの各々を前記支持台に設置して、前記基板支持ピン設置用治具を前記支持台から外すピン設置工程と
を含む基板支持ピン設置方法。
【請求項6】
前記基板支持ピン設置用治具が、前記複数のピン収容部のうちの少なくとも1つにそれぞれ収容された前記少なくとも1つの基板支持ピンの各々に係合して、前記少なくとも1つの基板支持ピンを保持する保持位置と、前記少なくとも1つの基板支持ピンの各々に係合せず、前記少なくとも1つの基板支持ピンを保持しない非保持位置とに切換え可能な保持部材を含み、
前記保持工程において、前記保持部材を前記保持位置とし、
前記ピン設置工程において、前記保持部材を前記非保持位置とする請求項5に記載の基板支持ピン設置方法。
【請求項7】
前記治具載置工程が、前記基板支持ピン設置用治具を前記支持台の前記予め定められた位置に位置決めする位置決め工程を含み、
前記位置決め工程において、前記支持台を含む基板保持装置に設けられた位置決め部と、前記基板支持ピン設置用治具に設けられた被位置決め部とにより、前記基板支持ピン設置用治具の前記支持台の相対位置を規定する請求項5または6に記載の基板支持ピン設置方法。
【請求項8】
複数のピン収容部が設けられた本体と、
前記複数のピン収容部のうちの少なくとも1つに保持された少なくとも1つの基板支持ピンの各々に係合して、前記少なくとも1つの基板支持ピンを保持する保持位置と、前記少なくとも1つの基板支持ピンの各々に係合せず、前記少なくとも1つの基板支持ピンを保持しない非保持位置とに切換え可能な保持部材と
を含む基板支持ピン設置用治具を使って前記少なくとも1つの基板支持ピンを支持台に設置する基板支持ピン設置方法であって、
前記複数のピン収容部のうちの少なくとも1つに、前記基板支持ピンをそれぞれ収容して前記保持部材を前記保持位置とすることにより、前記基板支持ピン設置用治具に前記少なくとも1つの前記基板支持ピンを保持させる保持工程と、
前記少なくとも1つの基板支持ピンを保持する前記基板支持ピン設置用治具を、前記支持台に載置する治具載置工程と、
前記保持部材を前記非保持位置に切り換えることにより、前記少なくとも1つの基板支持ピンを前記支持台に設置するピン設置工程と
を含む基板支持ピン設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板を支持する基板支持ピンを支持台に設置する場合に用いる基板支持ピン設定治具、基板支持ピンを支持台に設置する方法である基板支持ピン設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の基板支持ピン(以下、支持ピンと略称する)を保持する支持ピンベースであって、(a)回路基板に対して昇降可能な支持台に固定的に設置された本体と、(b)本体に上下方向に貫通して形成された複数のピン収容孔と、(c)本体の上下方向の中間部に相対移動可能に挿入され、支持ピンを下方から保持する保持位置と、保持しない非保持位置とにスライド可能なシャッタ板とを含むものが記載されている。
【0003】
複数のピン収容孔に複数の支持ピンが収容された状態で、支持ピンベースの上方に治具ベースが搬入される。治具ベースの支持ピンを設置すべき位置である基準位置に対応する部分には磁石が嵌め込まれている。支持ピンベースを上昇させて、磁石と支持ピンとを接触させ、その後、支持ピンベースを下降させる。それにより、磁石に接触した支持ピンを、他の支持ピンに対して上方へ突出させ、シャッタ板を保持位置に移動させる。それにより、支持ピンが、支持ピンベースを介して支持台の基準位置に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-153457号公報
【開示の概要】
【0005】
【開示が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の課題は、新規な基板支持ピン設置用治具、基板支持ピン設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および効果】
【0007】
本開示に係る基板支持ピン設置用治具(以下、治具と略称する場合がある)は、支持台に相対移動可能な本体と、本体に設けられた複数のピン収容部と、支持台への位置決めに用いられる被位置決め部とを含む。治具の複数のピン収容部のうちの少なくとも1つに基板支持ピンが収容されて保持される。治具が、支持台に被位置決め部により位置決めされた状態で載置される。少なくとも1つの基板支持ピンの保持の解除により、少なくとも1つの基板支持ピンが支持台に設置され、その後、治具が外される。その結果、少なくとも1つの基板支持ピンの各々がそれぞれ支持台上の予め定められた位置に設置される。本開示に係る治具、基板支持ピン設置方法は、特許文献1に記載されておらず、新規なものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子部品の回路基板への装着が行われる実装機の斜視図である。
図2】上記実装機の基板保持装置を表す側面図である。
図3】上記実装機の制御装置の周辺を概念的に示すブロック図である。
図4】上記基板保持装置の基板支持ピンの設置に用いられる治具の平面図である。
図5】上記治具の本体を表す斜視図である。
図6】上記本体の平面図である。
図7図6のA-A断面図である。
図8】上記治具の保持部材の平面図である。
図9】上記治具に基板支持ピンが収容されて、保持部材が保持位置にある状態を示す断面図である。
図10】上記治具が支持台に載置された状態を示す平面図である。
図11】上記治具が支持台に載置された状態を示す正面図である。
図12】上記基板支持ピンが支持台に載置された状態を示す正面図である。
図13】上記治具の別の態様を示す斜視図である。
図14】上記治具の本体の別の態様を示す断面図である。
図15】上記治具の本体のさらに別の態様を示す断面図である。
【開示を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例
【0010】
図1に示す実装機は、電子部品(以下、部品と略称する場合がある)sを回路基板(以下、基板と略称する場合がある)Pに装着するものであり、装置本体2,回路基板搬送保持装置4,部品供給装置6,ヘッド移動装置8等を含む。
回路基板搬送保持装置4は、基板Pを搬送して保持するものであり、図2に示す基板搬送装置10と基板保持装置12とを含む。図1において、基板Pの搬送方向をx方向、基板Pの幅方向をy方向、基板Pの厚み方向をz方向とする。y方向、z方向は、それぞれ、実装機の前後方向、上下方向である。これら、x方向、y方向、z方向は互いに直交する。
【0011】
部品供給装置6は、基板Pに装着される部品sを供給するものであり、本実施例においては、複数のテープフィーダ14を含む。
【0012】
ヘッド移動装置8は、作業ヘッド16を保持してx、y方向へ移動させるものである。作業ヘッド16は、部品sを保持する部品保持具の一例としての吸着ノズル17と、図9等に示す基板支持ピン(以下、支持ピンと略称する場合がある)18を保持するピン保持具19と、吸着ノズル17,ピン保持具19を、それぞれ、ヘッド本体に対してz方向に移動させる図示しない昇降機構とを有する。作業ヘッド16の移動により、吸着ノズル17が部品供給装置6と基板Pとの間で移動させられる。部品供給装置6により供給された部品sが、基板Pの予め決まった位置に装着される。また、作業ヘッド16の移動により、ピン保持具19が、後述する初期位置と基準位置との間で移動させられる。それにより、初期位置に設置された支持ピン18が基準位置へ移動させられ、設置される。本実施例において、ピン保持具19およびヘッド移動装置8等を含んで、支持ピン18を基準位置に自動で設置するピン自動設置装置20が構成される。
【0013】
基板搬送装置10は、基板Pをx方向に搬送するものであり、図2に示すように、y方向に隔てて設けられた一対の側板21,22と、一対の側板21,22に取り付けられた一対のコンベア機構23,24とを含む。
一対の側板21,22は、それぞれ、x方向に伸びたものであり、側板21が固定され、側板22が側板21に対して接近・離間可能とされる。一対のコンベア機構23,24は、駆動源としての電動モータ26(図3参照)、図示しない複数のプーリ、複数のプーリに掛けられたベルト28等を含む。複数のプーリは、それぞれ、側板21,22に回転可能に保持される。電動モータ26の駆動により、複数のプーリが回転させられ、ベルト28が移動させられ、ベルト28に載せられた基板Pが搬送される。なお、符号30はベルト28を支持する支持レールを示す。
【0014】
基板保持装置12は、基板Pを保持するものであり、支持台40、複数の支持ピン18、支持台40を昇降させる昇降装置44、基板Pをクランプするクランプ装置46等を含む。
支持台40は、磁性材料により製造されたものであり、基板搬送装置10の下方に位置する。支持台40は、昇降装置44により基板Pに対して相対的に昇降させられる。支持台40には、図10,11に示すように、後述する基板支持ピン設置用治具100の位置を決める位置決め部の構成要素であるx方向位置決め部48が設けられる。x方向位置決め部48は、支持台40に固定された支持柱48hと、支持柱48hに取り付けられ、概してx方向に伸びた係合凸部48aとを含む。係合凸部48aは、伸縮可能、例えば、ねじ機構等により支持柱48hに対する突出量が変更可能なものとすることができる。
【0015】
支持ピン18は、基板Pを下方から支持するものであり、図9に示すように、長手方向に伸びた段付き形状を成し、大径の底部50と、小径の先端部52と、底部50と先端部52との間の中径の中間部54とを含む。底部50は、本体55の内部に設けられた磁石56と、磁石56を下方から保持する磁石保持部58とを含む。支持ピン18は、磁石56により支持台40に設置される。また、磁石56と支持台40との間に磁石保持部58が介在するため、支持台40の表面に傷が付き難くされる。先端部52には、被係合部59が設けられる。被係合部59は、中心角120°間隔で半径方向に伸びた3つの突出ロッド60(図10参照)を含む。前述のピン支持具19は、被係合部59を把持することにより支持ピン18を保持する。
【0016】
昇降装置44は、本実施例において、駆動源としての流体シリンダ64と、案内装置65とを含む。流体シリンダ64の図示しないピストンのピストンロッド66に昇降台を介して支持台40が取り付けられる。流体シリンダ64において、流体給排制御装置(図3参照)68の制御により、流体の給排が制御され、支持台40の昇降が制御される。
【0017】
クランプ装置46は、一対の側板21,22と、一対の受け部材70,71と、一対の押上部73,74とを含む。受け部材70,71は、基板Pを上方から押さえるものであり、x方向に伸びて設けられる。また、受け部材70,71の各々は、一対の側板21,22から互いに対向する向きに突出し、先端部が、ベルト28より内側に位置する。押上部73,74は、押上プレート76,77と、押上プレート76,77を下部においてそれぞれ保持する保持体78,79とを含む。押上プレート76,77は、保持体78,79に上部が突出した状態で保持され、上端部が、ベルト28より内側の、一対の受け部材70,71の先端部の下方に位置する。保持体78,79は、側板21,22に、相対的に昇降可能、かつ、図示しないスプリングにより下方に付勢された状態で保持される。保持体78,79の各々の下端部には係合部としてのボルト80,81が取り付けられる。
【0018】
支持台40が上昇させられることにより、支持台40の上面がボルト80,81に当接し、押上部73,74が持ち上げられる。押上プレート76,77によりベルト28に保持された基板Pが持ち上げられ、受け部材70,71と押上プレート76,77とによりクランプされる。また、基板Pは支持ピン18により下方から支持される。
【0019】
本実装機は、図3に示すように、コンピュータを主体とする制御装置90を含む。制御装置90は図示しない実行部、記憶部、入出力部等を含み、入出力部には、ヘッド移動装置8、基板搬送装置10の電動モータ26、基板保持装置12の昇降装置44の流体給排装置68等が駆動回路を介して接続される。
【0020】
1つ以上の支持ピン18の各々は、それぞれ、支持台40上の基準位置(基準位置とは、基板Pの形状、特性、部品sの装着位置等に基づいて予め決まる位置をいう)に、ピン自動設置装置20により自動で設置されるが、それに先立って、作業者は、1つ以上の支持ピン18を、それぞれ、予め定められた初期位置に設置する必要がある。しかし、1つ以上の支持ピン18を、それぞれ、初期位置に設置するのは面倒である。また、支持ピン18の初期位置は、作業者にとって作業が困難な位置であることが多い。そこで、本実施例においては、基板支持ピン設置用治具(以下、治具と略称する場合がある)100を用いて支持ピン18の初期位置への設置、すなわち、初期設定が行われる。
【0021】
治具100は、支持台40に固定的に設けられたものではなく、着脱可能、相対移動可能なものであり、図4に示すように、本体102と、保持部材104とを含む。本体102は、図5~7に示すように、概して直方体状を成し、本体102の内部には、支持ピン18を収容可能なピン収容部106が複数設けられる。ピン収容部106には、支持ピン18が自身の長手方向に移動可能に収容される。保持部材104は、ピン収容部106に収容された支持ピン18を保持するものであり、本体102に相対移動可能、すなわち、スライド可能に取り付けられる。
【0022】
ピン収容部106は、図7に示すように、本体102の互いに対向する一対の面112,114を貫通する貫通孔であり、互いに平行に、間隔を隔てて並んで形成される。ピン収容部106は、それぞれ、孔径が異なる段付き形状を成し、大径孔部108、中径孔部109、小径孔部110を含む。大径孔部108の直径は、支持ピン18の底部50の直径より大きく、中径孔部109の直径は、支持ピン18の中間部54の直径より大きく、小径孔部110の直径は、支持ピン18の被係合部59の外径より大きい。被係合部59の外径は、3つの突出ロッド60の先端部によって決まる。そして、本体102の、面112には、ピン収容部106の小径孔部110の開口110aが位置し、面114には、大径孔部108の開口108aが位置する。また、面112には、複数のピン穴120が設けられる。
【0023】
本体102の正面122は、段付き形状を成す。正面122は、正面122に対向する裏面123からの距離が異なる第1面122a、第2面122b、第3面122c、第2面122bと第3面122cとの間の断面122d等を含む。段面122dと第1面122aとは互いに交差する方向、例えば、直交する方向に伸びる。本実施例において、第1面122a、段面122d等により被位置決め部124が構成される。
【0024】
保持部材104は、図8に示すように、概して長方形状の板状を成し、保持部材104の、本体102のピン収容部106に対応する位置には、それぞれ、互いに連通した大径孔部132と小径孔部134とを備えた貫通孔130が設けられる。大径孔部132の直径は、支持ピン18の被係合部59の外径より大きく、小径孔部134の直径は、被係合部59の外径より小さく先端部52の直径より大きい。
【0025】
また、保持部材104の、本体102の複数のピン穴120に対応する位置に、それぞれ、長孔140が形成される。長孔140は、貫通孔130の大径孔部132と小径孔部134とが並ぶ方向と平行な方向に伸びたものであり、保持部材104は、図4,10に示すように、長孔140において、本体102の面112のピン穴120に取り付けられたピン142によりスライド可能に保持される。保持部材104は、大径孔部132が開口110aに対応する非保持位置と、小径孔部134が開口110aに対応する保持位置とに、面112に沿ってスライド可能とされる。なお、ピン142と長孔140の両端縁とにより、保持部材104のスライド移動の限度が規定される。
【0026】
保持部材104は、保持位置において、支持ピン18の被係合部59に係合し、支持ピン18を保持する。非保持位置において、支持ピン18の被係合部59に係合せず、支持ピン18の保持を解除する。また、保持部材104の長孔140の伸びる方向の両端部には、それぞれ、外方に突出する凸部128,129が設けられ、保持部材104を移動させる場合の取っ手として機能する。
【0027】
以上のように構成された治具100を用いて、初期設定を行う場合の作動について説明する。
【0028】
治具100に、少なくとも1つの支持ピン18を保持させる(保持工程)。
保持部材104の非保持位置において、少なくとも1つの支持ピン18が、本体102の複数のピン収容部106のうちの少なくとも1つにそれぞれ収容される。支持ピン18は、大径孔部108の開口108aから挿入され、先端部52、すなわち、被係合部59が本体102の開口110a、保持部材104の大径孔部132から突出した姿勢とされる。その後、保持部材104を、被係合部59と本体102の面112との間において、保持位置に移動させる。被係合部59の外径は保持部材104の小径孔部134の直径より大きいため、図9に示すように、保持位置において、保持部材104が被係合部59に係合し、支持ピン18が保持される。また、突出ロッド60が120°間隔で3本設けられるため、支持ピン18の位相に関係なく、保持部材104は保持位置において3つの突出ロッド60のうちの少なくとも1つに係合することが可能となる。保持部材104が被係合部59に係合した状態で、支持ピン18の底部50の底面50fは面114より内側に位置する。なお、保持工程は、保持部材104が被係合部59に係合する係合工程と称することができる。
【0029】
支持ピン18を保持する治具100を支持台40に載置する(治具載置工程)。
本体102が支持台40に、面114が下面、面112が上面となる姿勢で、図10,11に示すように、第1面122aが固定側の押上プレート76の内側面76fに当接し、段面122dが係合凸部48aに当接する状態で、載置される。内側面76fと第1面122aとが当接することにより、治具100のy方向の位置が決まり、係合凸部48aと段面122dとが当接することにより、治具100のx方向の位置が決まる。押上プレート76の内側面76fは、治具100のy方向の位置を決めるy方向位置決め部としての機能を有し、これらy方向位置決め部76f、x位置決め部48等により位置決め部150が構成される。基板保持装置12の位置決め部150と治具100の被位置決め部124とにより、治具100の支持台40における相対位置が決まるのであり、治具100が位置決めされる(位置決め工程)。
また、治具100が支持台40に載置された状態で、支持ピン18は、図9に示すように、保持部材104に、底部50の底面50fが支持台40から離間した状態で保持される。そのため、磁石57の影響が小さくなり、治具100の支持台40の上での移動が容易となる。
【0030】
支持ピン18を支持台40に設置する(ピン設置工程、ピン初期位置設置工程)。
保持部材104を、図10の2点鎖線が示すように、非保持位置へ移動させる。被係合部59の外径は、保持部材104の大径孔部132の直径より小さく、本体102の小径孔部110の直径より小さいため、支持ピン18の保持が解除され、支持ピン18が落下する。支持ピン18の底部50が支持台40に当接して設置される。図12に示すように、少なくとも1つの支持ピン18は、それぞれ、初期位置に設置される。その後、治具100が外される。
【0031】
その後、ピン自動設置装置20により、支持台40の初期位置に設置された少なくとも1つの支持ピン18が1本ずつ把持されて、基準位置に移動させられ、設置される。それにより、少なくとも1つの支持ピン18を、それぞれ、基準位置に設置することができる(ピン基準位置設置工程)。本実施例において、基板Pが支持ピン18により下方から支持された状態で、部品sの装着が行われる。
【0032】
このように、本実施例においては、治具100を利用して、少なくとも1つの支持ピン18を一括して、初期位置に設定することができる。作業者が支持ピン18を1本ずつ設置する必要がなく、しかも、治具100の被位置決め部14と基板保持装置12の位置決め部150とにより、正確に設置することができる。その結果、ピン自動設置装置20により、良好に支持ピン18を基準位置に設置することが可能となる。
【0033】
なお、本実施例においては、治具100が実装機において支持ピン18が設置される場合に利用される場合について説明したが、スクリーン印刷機において支持ピン18が設置される場合にも利用することができる。また、支持ピン18を初期位置に設定する場合に限らず、基準位置に設定する場合にも利用することができる。
【0034】
さらに、支持ピンの形状は問わない。例えば、被係合部59は、等間隔で設けられた突出ロッド60を4本以上含むものとすることができる。
【0035】
また、保持部材の形状は問わない。例えば、図13に示すように、保持部材204の凸部206,207は、保持部材204の長孔140の伸びる方向と直交する方向の両端部に設けることができる。
【0036】
さらに、ピン収容部の形状は問わない。例えば、図14に示すように、本体302に設けられたピン収容部304は、大径孔部308、中径孔部309、小径孔部312、大径孔部308と中間孔部309との間に位置し、孔径が連続的に変化する傾斜部310、中間孔部309と小径孔部312との間に位置し、孔径が連続的に変化する傾斜部314等を有する形状を成すものとすることができる。傾斜部310,314を設けることにより、支持ピン18のピン収容部304への挿入が容易となる。
【0037】
また、図15に示すように、本体402に設けられたピン収容部404の形状を、大径孔部408、小径孔部410、大径孔部408と小径孔部410との間に位置し、孔径が連続的に変化する傾斜部412等を有する形状とすることができる。ピン収容部404は、図7等に示すピン収容部106において中径孔部109を傾斜部412としたような形状を成す。本実施例においても、傾斜部412により、支持ピン18のピン収容部404への挿入が容易となる。
【0038】
また、本体102の形状は問わない。例えば、面122の四隅に台座を設けることができる。台座を作業面に当接させた状態で支持ピン18をピン収容部106に収容させることができる。
【0039】
さらに、上記実施例においては、基板保持装置12の押上プレート76の内側面76fがy方向位置決め部とされたが、y方向位置決め部は支持台に設けることができる等、本開示は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
12:基板保持装置 40:支持台 42:基板支持ピン 48:x方向位置決め部 76f:y方向位置決め部 100:基板支持ピン設置用治具 102,302,402:本体 104,204:保持部材 106,304,404:ピン収容部 122a:第1面 122d:段面 124:被位置決め部 130:貫通孔 130:大径孔部 132:小径部 140:長孔 142:ピン 150:位置決め部
図1
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