(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】表示装置およびその駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3266 20160101AFI20231013BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231013BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20231013BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20231013BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20231013BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231013BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20231013BHJP
H05B 45/60 20220101ALI20231013BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20231013BHJP
【FI】
G09G3/3266
G09G3/20 622G
G09G3/20 642A
G09G3/20 680R
G09G3/3233
H05B33/02
H05B33/10
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H05B45/60
H10K59/12
(21)【出願番号】P 2021563568
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2019048966
(87)【国際公開番号】W WO2021117228
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】横山 真
(72)【発明者】
【氏名】他谷 展之
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳一
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534613(JP,A)
【文献】特開2016-148843(JP,A)
【文献】特開2017-227880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0166017(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0116923(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0141570(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0352311(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0137805(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0366066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G3/00-3/08
3/12-3/16
3/19-3/26
3/30-3/34
3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平走査線として複数種類の走査線が配設された非矩形の表示部と、前記複数種類の走査線をそれぞれ駆動する複数の走査駆動回路とを備えた表示装置であって、
前記表示部内の領域が前記水平走査線の負荷が大きい高負荷領域と前記水平走査線の負荷が小さい低負荷領域とに区分され、前記高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は前記複数の走査駆動回路によってそれぞれ駆動され、前記低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は前記複数の走査駆動回路のうちの1つによって駆動され
、
前記複数種類の走査線は、書き込み制御線と初期化制御線であることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記複数の走査駆動回路は、書き込み制御回路と初期化制御回路とを含み、
前記表示部は、それぞれが前記書き込み制御線と前記初期化制御線とに接続された複数の画素回路を含み、
各画素回路は、
ハイレベル電源電圧を供給する第1電源線とローレベル電源電圧を供給する第2電源線との間に設けられ、前記第1電源線側の第1端子と前記第2電源線側の第2端子とを有する、電流によって駆動される表示素子と、
制御端子と第1導通端子と第2導通端子とを有し、前記表示素子と直列に設けられた駆動トランジスタと、
一端が前記駆動トランジスタの制御端子に接続され、他端が前記第1電源線に接続されたキャパシタと
前記書き込み制御線に接続された制御端子と、データ信号を供給するデータ信号線に接続された第1導通端子と、前記駆動トランジスタの第1導通端子に接続された第2導通端子とを有する書き込み制御トランジスタと、
前記書き込み制御線に接続された制御端子と、前記駆動トランジスタの第2導通端子に接続された第1導通端子と、前記駆動トランジスタの制御端子に接続された第2導通端子とを有する閾値電圧補償トランジスタと、
前記初期化制御線に接続された制御端子と、前記駆動トランジスタの制御端子に接続された第1導通端子と、初期化電圧を供給する初期化電源線に接続された第2導通端子とを有する初期化トランジスタと
を含み、
前記高負荷領域に配設されている前記書き込み制御線は、前記書き込み制御回路によって駆動され、
前記高負荷領域に配設されている前記初期化制御線は、前記初期化制御回路によって駆動され、
前記低負荷領域に配設されている前記書き込み制御線と前記低負荷領域に配設されている前記初期化制御線とは、前記書き込み制御回路および前記初期化制御回路のうちのいずれか一方によって駆動されることを特徴とする、請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
水平走査線として複数種類の走査線が配設された非矩形の表示部と、前記複数種類の走査線をそれぞれ駆動する複数の走査駆動回路とを備えた表示装置であって、
前記表示部内の領域が前記水平走査線の負荷が大きい高負荷領域と前記水平走査線の負荷が小さい低負荷領域とに区分され、前記高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は前記複数の走査駆動回路によってそれぞれ駆動され、前記低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は前記複数の走査駆動回路のうちの1つによって駆動され、
前記複数種類の走査線は、書き込み制御線と第1初期化制御線と第2初期化制御線であることを特徴とする、表示装置。
【請求項4】
前記複数の走査駆動回路は、書き込み制御回路と第1初期化制御回路と第2初期化制御回路とを含み、
前記表示部は、それぞれが前記書き込み制御線と前記第1初期化制御線と前記第2初期化制御線とに接続された複数の画素回路を含み、
各画素回路は、
ハイレベル電源電圧を供給する第1電源線とローレベル電源電圧を供給する第2電源線との間に設けられ、前記第1電源線側の第1端子と前記第2電源線側の第2端子とを有する、電流によって駆動される表示素子と、
制御端子と第1導通端子と第2導通端子とを有し、前記表示素子と直列に設けられた駆動トランジスタと、
一端が前記駆動トランジスタの制御端子に接続され、他端が前記第1電源線に接続されたキャパシタと
前記書き込み制御線に接続された制御端子と、データ信号を供給するデータ信号線に接続された第1導通端子と、前記駆動トランジスタの第1導通端子に接続された第2導通端子とを有する書き込み制御トランジスタと、
前記書き込み制御線に接続された制御端子と、前記駆動トランジスタの第2導通端子に接続された第1導通端子と、前記駆動トランジスタの制御端子に接続された第2導通端子とを有する閾値電圧補償トランジスタと、
前記第1初期化制御線に接続された制御端子と、前記駆動トランジスタの制御端子に接続された第1導通端子と、初期化電圧を供給する初期化電源線に接続された第2導通端子とを有する第1初期化トランジスタと、
前記第2初期化制御線に接続された制御端子と、前記表示素子の第1端子に接続された第1導通端子と、前記初期化電源線に接続された第2導通端子とを有する第2初期化トランジスタと
を含み、
前記高負荷領域に配設されている前記書き込み制御線は、前記書き込み制御回路によって駆動され、
前記高負荷領域に配設されている前記第1初期化制御線は、前記第1初期化制御回路によって駆動され、
前記高負荷領域に配設されている前記第2初期化制御線は、前記第2初期化制御回路によって駆動され、
前記低負荷領域に配設されている前記書き込み制御線と前記低負荷領域に配設されている前記第1初期化制御線と前記低負荷領域に配設されている前記第2初期化制御線とは、前記書き込み制御回路および前記第1初期化制御回路および前記第2初期化制御回路のうちのいずれか1つによって駆動されることを特徴とする、請求項
3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部には、前記表示素子の発光を制御するための発光制御線が配設され、
各画素回路は、
前記発光制御線に接続された制御端子と、前記第1電源線に接続された第1導通端子と、前記駆動トランジスタの第1導通端子に接続された第2導通端子とを有する電源供給制御トランジスタと、
前記発光制御線に接続された制御端子と、前記駆動トランジスタの第2導通端子に接続された第1導通端子と、前記表示素子の第1端子に接続された第2導通端子とを有する発光制御トランジスタと
を含むことを特徴とする、請求項
2または4に記載の表示装置。
【請求項6】
各走査駆動回路は、シフトレジスタによって構成され、
前記低負荷領域に配設されている走査線を駆動する走査駆動回路を構成するシフトレジスタは、表示に寄与しない単位回路を除くと、前記低負荷領域に配設されている走査線に対応する単位回路および前記高負荷領域に配設されている走査線に対応する単位回路からなり、
前記高負荷領域に配設されている走査線のみを駆動する走査駆動回路を構成するシフトレジスタは、表示に寄与しない単位回路を除くと、前記高負荷領域に配設されている走査線に対応する単位回路のみからなることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記高負荷領域に配設されている走査線のみを駆動する走査駆動回路を構成するシフトレジスタには、前記低負荷領域に配設されている走査線を駆動する走査駆動回路を構成するシフトレジスタに含まれる単位回路の1つからの出力信号がスタートパルス信号として与えられることを特徴とする、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記シフトレジスタに含まれる各単位回路からの出力信号は、対応する走査線と次段の単位回路とに与えられ、
前記低負荷領域に配設されている走査線を駆動する走査駆動回路を構成するシフトレジスタに関し、
前記高負荷領域に配設されている走査線に対応する各単位回路には、対応する走査線に前記出力信号を出力する出力端子と次段の単位回路に前記出力信号を出力する出力端子とが設けられ、
前記低負荷領域に配設されている走査線に対応する各単位回路には、対応する走査線と次段の単位回路とに前記出力信号を出力する1つだけの出力端子が設けられていることを特徴とする、請求項6
または7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の走査駆動回路は、書き込み制御回路と初期化制御回路とを含み、
前記高負荷領域に配設されている前記書き込み制御線は、前記書き込み制御回路によって駆動され、
前記高負荷領域に配設されている前記初期化制御線は、前記初期化制御回路によって駆動され、
前記低負荷領域に配設されている前記書き込み制御線と前記低負荷領域に配設されている前記初期化制御線とは、前記書き込み制御回路によって駆動され、
前記書き込み制御回路および前記初期化制御回路は、シフトレジスタによって構成され、
前記書き込み制御回路を構成するシフトレジスタと前記初期化制御回路を構成するシフトレジスタとには、異なる波形のスタートパルス信号が与えられることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示部は、半円と矩形とを組み合わせた形状を有し、
前記半円の頂点は、前記半円の直線部の中心を基準として垂直走査方向に延びる直線上に位置し、
前記表示部内の領域のうち前記半円の頂点近傍の領域が前記低負荷領域に区分されることを特徴とする、請求項1から
9までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示部は、円形の形状を有し、
前記表示部内の領域のうち前記表示部の中心を基準とする垂直走査方向についての一端部近傍および他端部近傍が前記低負荷領域に区分されることを特徴とする、請求項1から
9までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は、前記表示部の一端側および他端側の双方から駆動され、
前記低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は、前記表示部の一端側および他端側の一方のみから駆動されることを特徴とする、請求項1から
11までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
水平走査線として複数種類の走査線が配設された非矩形の表示部を備えた表示装置の駆動方法であって、
前記表示部内の領域のうちの前記水平走査線の負荷が小さい低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線を複数の走査駆動回路のうちの1つによって駆動する低負荷領域駆動ステップと、
前記表示部内の領域のうちの前記水平走査線の負荷が大きい高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線を前記複数の走査駆動回路によってそれぞれ駆動する高負荷領域駆動ステップと
を含
み、
前記複数種類の走査線は、書き込み制御線と初期化制御線であることを特徴とする、駆動方法。
【請求項14】
水平走査線として複数種類の走査線が配設された非矩形の表示部を備えた表示装置の駆動方法であって、
前記表示部内の領域のうちの前記水平走査線の負荷が小さい低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線を複数の走査駆動回路のうちの1つによって駆動する低負荷領域駆動ステップと、
前記表示部内の領域のうちの前記水平走査線の負荷が大きい高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線を前記複数の走査駆動回路によってそれぞれ駆動する高負荷領域駆動ステップと
を含み、
前記複数種類の走査線は、書き込み制御線と第1初期化制御線と第2初期化制御線であることを特徴とする、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、非矩形の表示部を備えた表示装置およびその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子を含む画素回路を備えた有機EL表示装置が実用化されている。有機EL素子は、OLED(Organic Light-Emitting Diode)とも呼ばれており、それに流れる電流に応じた輝度で発光する自発光型の表示素子である。このように有機EL素子は自発光型の表示素子であるので、有機EL表示装置は、バックライトおよびカラーフィルタなどを要する液晶表示装置に比べて、容易に薄型化・低消費電力化・高輝度化などを図ることができる。従って、近年、積極的に有機EL表示装置の開発が進められている。
【0003】
有機EL表示装置の表示部には、画素回路の動作を制御するための各種の制御信号線が配設されている。例えば、画素回路内の駆動トランジスタの特性のばらつきを補償する方式に内部補償方式を採用している有機EL表示装置においては、画素回路へのデータ信号の書き込みを制御するための書き込み制御線や画素回路の内部の状態を初期化するための初期化制御線などの複数種類の水平走査線が表示部に配設されている。
【0004】
ところで、従来の一般的な有機EL表示装置は、矩形の表示部を有していた。ところが、近年、時計用途の有機EL表示装置や車載用途の有機EL表示装置など、非矩形の表示部を有する有機EL表示装置の開発が進められている。非矩形の表示部を有する表示装置は「異型ディスプレイ」と呼ばれている。
図27は、異型ディスプレイの表示部90の一例を示す図である。この例では、表示部90は、半円形の部分90aと矩形の部分90bとによって構成されている。
図28は、異型ディスプレイの表示部90の別の一例を示す図である。この例では、表示部90は、円形の形状を有している。
【0005】
図27に示した異型ディスプレイにおいては、表示部90内の水平走査線は、例えば、符号97を付した矢印で示す順序で1行ずつ順次に駆動される。
図28に示した異型ディスプレイにおいては、表示部90内の水平走査線は、例えば、符号98を付した矢印で示す順序で1行ずつ順次に駆動される。このように表示部90内の水平走査線が1行ずつ順次に駆動されることによって、画素回路へのデータ信号の書き込みが1行ずつ順次に行われ、表示部90に所望の画像が表示される。
【0006】
なお、本件に関連して、日本の特表2018-534613号公報には、短いゲートラインと長いゲートラインとに異なるパルス幅のゲート信号を与えるようにした表示装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、異型ディスプレイにおいては、領域によって水平走査線の長さが異なる。例えば、
図27に示した異型ディスプレイでは、符号91を付した領域に配設されている水平走査線は、符号92を付した領域や符号93を付した領域に配設されている水平走査線に比べて顕著に短い。また、
図28に示した異型ディスプレイでは、符号94を付した領域や符号96を付した領域に配設されている水平走査線は、符号95を付した領域に配設されている水平走査線に比べて顕著に短い。このように水平走査線の長さが領域によって大きく異なると、領域間の負荷(負荷容量)の差も大きくなる。
【0009】
図27において符号91を付した領域や
図28において符号94,96を付した領域は、負荷が極めて小さな領域となる。以下、このような領域を「低負荷領域」といい、低負荷領域以外の領域(例えば、
図27において符号92,93を付した領域や
図28において符号95を付した領域)を「高負荷領域」という。
【0010】
高負荷領域では、水平走査線に与えられる制御信号の波形には、例えば
図29において符号Vaを付した波形のように、鈍りが生じる。これに対して、低負荷領域では、特に負荷容量が0に近い場合に、例えば
図29において符号Vbを付した波形のように制御信号の波形変化は急峻な変化となる(制御信号のパルスの立ち上がりや立ち下がりが急峻なものとなる)。このため、制御信号の波形変化に関して、低負荷領域と高負荷領域との間で大きな遅延差が生じる。そのような遅延差は、低負荷領域と高負荷領域との間での輝度差を引き起こす。
【0011】
また、水平走査線を駆動するドライバ(例えば、後述するスキャンドライバやディスチャージドライバ)内のトランジスタがディプレッション特性を有することとなった場合、ノイズの影響を受けやすくなるので、例えば制御信号のパルスが発振状態となる(1つのパルスが出力されるべきであるにもかかわらず複数のパルスが連続して出力される)ことが懸念される。
【0012】
なお、上記のような現象への対策として、低負荷領域にダミー負荷を設けることが考えられる。しかしながら、パネルの形状が異型であるために、ダミー負荷を設ける領域の確保が困難であるケースが多い。また、狭額縁化のニーズが高まっているという観点から、ダミー負荷を設けることは好ましくない。
【0013】
そこで、以下の開示は、非矩形の表示部を有する表示装置において、負荷が大きい領域と負荷が小さい領域との間の輝度差の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示のいくつかの実施形態に係る表示装置は、水平走査線として複数種類の走査線が配設された非矩形の表示部と、前記複数種類の走査線をそれぞれ駆動する複数の走査駆動回路とを備えた表示装置であって、
前記表示部内の領域が前記水平走査線の負荷が大きい高負荷領域と前記水平走査線の負荷が小さい低負荷領域とに区分され、前記高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は前記複数の走査駆動回路によってそれぞれ駆動され、前記低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は前記複数の走査駆動回路のうちの1つによって駆動され、
前記複数種類の走査線は、書き込み制御線と初期化制御線である。
本開示の他のいくつかの実施形態に係る表示装置は、水平走査線として複数種類の走査線が配設された非矩形の表示部と、前記複数種類の走査線をそれぞれ駆動する複数の走査駆動回路とを備えた表示装置であって、
前記表示部内の領域が前記水平走査線の負荷が大きい高負荷領域と前記水平走査線の負荷が小さい低負荷領域とに区分され、前記高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は前記複数の走査駆動回路によってそれぞれ駆動され、前記低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線は前記複数の走査駆動回路のうちの1つによって駆動され、
前記複数種類の走査線は、書き込み制御線と第1初期化制御線と第2初期化制御線である。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態に係る(表示装置の)駆動方法は、水平走査線として複数種類の走査線が配設された非矩形の表示部を備えた表示装置の駆動方法であって、
前記表示部内の領域のうちの前記水平走査線の負荷が小さい低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線を複数の走査駆動回路のうちの1つによって駆動する低負荷領域駆動ステップと、
前記表示部内の領域のうちの前記水平走査線の負荷が大きい高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線を前記複数の走査駆動回路によってそれぞれ駆動する高負荷領域駆動ステップと
を含み、
前記複数種類の走査線は、書き込み制御線と初期化制御線である。
本開示の他のいくつかの実施形態に係る(表示装置の)駆動方法は、水平走査線として複数種類の走査線が配設された非矩形の表示部を備えた表示装置の駆動方法であって、
前記表示部内の領域のうちの前記水平走査線の負荷が小さい低負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線を複数の走査駆動回路のうちの1つによって駆動する低負荷領域駆動ステップと、
前記表示部内の領域のうちの前記水平走査線の負荷が大きい高負荷領域に配設されている前記複数種類の走査線を前記複数の走査駆動回路によってそれぞれ駆動する高負荷領域駆動ステップと
を含み、
前記複数種類の走査線は、書き込み制御線と第1初期化制御線と第2初期化制御線である。
【発明の効果】
【0016】
本開示のいくつかの実施形態によれば、非矩形の表示部を有する表示装置において、高負荷領域では複数種類の走査線がそれぞれに対応する走査駆動回路によって駆動されるのに対して、低負荷領域では複数種類の走査線が1つの走査駆動回路によって駆動される。すなわち、低負荷領域に配設されている水平走査線に関し、各行に着目すると、複数の水平走査線が1つの走査駆動回路によって駆動される。このため、低負荷領域に配設されている水平走査線に与えられる制御信号の急峻な波形変化が抑制される。その結果、低負荷領域と高負荷領域との間での制御信号の波形変化についての遅延差が従来よりも小さくなり、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生が抑制される。以上のように、非矩形の表示部を有する表示装置において、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態において、スキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成を示すブロック図である。
【
図2】上記第1の実施形態における有機EL表示装置の概略平面図である。
【
図3】上記第1の実施形態において、表示部内の一部の構成を示す図である。
【
図4】上記第1の実施形態において、パネル駆動部の内部の機能構成を示す図である。
【
図5】上記第1の実施形態において、有機EL表示装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】上記第1の実施形態における第i行第j列の画素回路の構成を示す回路図である。
【
図7】比較例におけるスキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成を示すブロック図である。
【
図8】上記第1の実施形態において、単位回路の一構成例を示す回路図である。
【
図9】上記第1の実施形態において、単位回路の動作について説明するための信号波形図である。
【
図10】上記第1の実施形態における全体の動作について説明するための信号波形図である。
【
図11】上記第1の実施形態の第1の変形例において、スキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成を示すブロック図である。
【
図12】上記第1の実施形態の第1の変形例におけるゲートスタートパルス信号等の信号波形図である。
【
図13】上記第1の実施形態の第2の変形例において、スキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成を示すブロック図である。
【
図14】上記第1の実施形態の第2の変形例において、1系統駆動に対応する単位回路の構成を示す回路図である。
【
図15】上記第1の実施形態の第3の変形例における有機EL表示装置の概略平面図である。
【
図16】上記第1の実施形態の第4の変形例における全体の動作について説明するための信号波形図である。
【
図17】上記第1の実施形態の第5の変形例における第i行第j列の画素回路の構成を示す回路図である。
【
図18】第2の実施形態における有機EL表示装置の概略平面図である。
【
図19】上記第2の実施形態において、スキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成を示すブロック図である。
【
図20】上記第2の実施形態における全体の動作について説明するための信号波形図である。
【
図21】第3の実施形態における第i行第j列の画素回路の構成を示す回路図である。
【
図22】上記第3の実施形態において、パネル駆動部の内部の機能構成を示す図である。
【
図23】上記第3の実施形態において、スキャンドライバおよびディスチャージドライバ(第1ディスチャージドライバ、第2ディスチャージドライバ)の構成を示すブロック図である。
【
図24】上記第3の実施形態における全体の動作について説明するための信号波形図である。
【
図25】第4の実施形態において、スキャンドライバおよびディスチャージドライバ(第1ディスチャージドライバ、第2ディスチャージドライバ)の構成を示すブロック図である。
【
図26】上記第4の実施形態における全体の動作について説明するための信号波形図である。
【
図27】従来例に関し、異型ディスプレイの表示部の一例を示す図である。
【
図28】従来例に関し、異型ディスプレイの表示部の別の一例を示す図である。
【
図29】従来例に関し、制御信号の波形変化について説明するための信号波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<0.はじめに>
近年、有機EL表示装置のパネルの大型化や高精細化が顕著である。それ故、従来に比べて、表示部に配設されている水平走査線の負荷は顕著に大きくなっている。そこで、水平走査線を複数系統のドライバで駆動することが考えられる。なお、以下においては、水平走査線を1系統のドライバで駆動する方式を「1系統駆動」といい、水平走査線を2系統のドライバで駆動する方式を「2系統駆動」といい、水平走査線を3系統のドライバで駆動する方式を「3系統駆動」という。また、水平走査線を2系統以上のドライバで駆動する方式を総称して「複数系統駆動」という。
【0019】
異型ディスプレイにおいては、複数系統駆動が採用されている場合にも、上述したような低負荷領域と高負荷領域との間での輝度差が生じ得る。ところで、複数系統駆動に関し、後述する複数の書き込み制御線と複数の初期化制御線には、同様の波形の制御信号が与えられる。従って、水平走査線の負荷が小さければ、書き込み制御線と初期化制御線とを1つのドライバで駆動しても問題は生じないと考えられる。そこで、低負荷領域と高負荷領域との間での輝度差の発生を抑制するために、以下の各実施形態では、高負荷領域では複数系統駆動を行って低負荷領域では1系統駆動を行うという方式を採用している。
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、実施形態について説明する。各実施形態に関し、画素回路は垂直走査方向にn個存在すると仮定する。なお、第2~第4の実施形態については、主に第1の実施形態と異なる点について説明し、第1の実施形態と同様の点については適宜説明を省略する。
【0021】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成>
図2は、第1の実施形態における有機EL表示装置の概略平面図である。
図2には、この有機EL表示装置の表示部10とパネル駆動部20を示している。本実施形態においては、表示部10は、
図27に示した表示部90と同様、半円形の部分と矩形の部分とによって構成されている。すなわち、表示部10は、半円と矩形とを組み合わせた形状を有している。
図2から把握されるように、半円の頂点11は、半円の直線部12の中心13を基準として垂直走査方向に延びる直線14上に位置している。
【0022】
図3は、表示部10内の一部の構成を示す図である。表示部10には、複数の画素回路100が設けられている。また、表示部10には、複数の書き込み制御線SCAN、複数の初期化制御線DIS、複数の発光制御線EM、および複数のデータ信号線Dが配設されている。書き込み制御線SCAN、初期化制御線DIS、および発光制御線EMは水平走査方向に延びており、データ信号線Dは垂直走査方向に延びている。以下、書き込み制御線SCANに与えられる書き込み制御信号にも必要に応じて符号SCANを付し、初期化制御線DISに与えられる初期化制御信号にも必要に応じて符号DISを付し、発光制御線EMに与えられる発光制御信号にも必要に応じて符号EMを付し、データ信号線Dに与えられるデータ信号にも必要に応じて符号Dを付す。なお、本実施形態においては、書き込み制御線SCANと初期化制御線DISとが複数種類(2種類)の走査線に相当する。
【0023】
また、表示部10には、複数の画素回路100に共通の図示しない電源線が配設されている。より詳細には、有機EL素子を駆動するためのハイレベル電源電圧を供給する電源線(以下、「ハイレベル電源線」という。)、有機EL素子を駆動するためのローレベル電源電圧を供給する電源線(以下、「ローレベル電源線」という。)、および初期化電圧を供給する電源線(以下、「初期化電源線」という。)が配設されている。ローレベル電源電圧、ハイレベル電源電圧、および初期化電圧は、図示しない電源回路から供給される。なお、ハイレベル電源線は第1電源線に相当し、ローレベル電源線は第2電源線に相当する。
【0024】
図4は、パネル駆動部20の内部の機能構成を示す図である。パネル駆動部20には、書き込み制御線SCANを駆動するスキャンドライバ(書き込み制御回路)210と、初期化制御線DISを駆動するディスチャージドライバ(初期化制御回路)220と、発光制御線EMを駆動するエミッションドライバ(発光制御回路)230とが含まれている。
【0025】
図2に示すように、表示部10の左方(
図2における左方)の外縁部に沿って、パネル駆動部20が設けられている。同様に、表示部10の右方(
図2における右方)の外縁部に沿って、パネル駆動部20が設けられている。このような構成が採用されているので、表示部10に配設されている書き込み制御線SCAN、初期化制御線DIS、および発光制御線EMは、表示部10の一端側および他端側の双方から駆動される。なお、データ信号線Dを駆動するソースドライバは、例えば、表示部10の下方(
図2における下方)に設けられる。
【0026】
ところで、本実施形態においては、水平走査線(書き込み制御線SCANと初期化制御線DIS)の駆動に関し、高負荷領域では2系統駆動が行われ、低負荷領域では1系統駆動が行われる。
図2では、パネル駆動部20の構成要素のうち1系統駆動に対応する構成要素が存在している部分に符号61を付している。
【0027】
図5は、この有機EL表示装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、この有機EL表示装置は、表示部10とスキャンドライバ210とディスチャージドライバ220とエミッションドライバ230とソースドライバ300と表示制御回路400とを備えている。
【0028】
以下、
図5に示す各構成要素の動作について説明する。表示制御回路400は、外部から送られる入力画像信号DINとタイミング信号群(水平同期信号、垂直同期信号など)TGとを受け取り、デジタル映像信号DVと、スキャンドライバ210の動作を制御する制御信号CTL1と、ディスチャージドライバ220の動作を制御する制御信号CTL2と、エミッションドライバ230の動作を制御する制御信号CTL3と、ソースドライバ300の動作を制御する制御信号SCTLとを出力する。
【0029】
スキャンドライバ210は、表示制御回路400から出力された制御信号CTL1に基づいて、複数の書き込み制御線SCANに書き込み制御信号を印加する。ディスチャージドライバ220は、表示制御回路400から出力された制御信号CTL2に基づいて、複数の初期化制御線DISに初期化制御信号を印加する。エミッションドライバ230は、表示制御回路400から出力された制御信号CTL3に基づいて、複数の発光制御線EMに発光制御信号を印加する。ソースドライバ300は、表示制御回路400から出力されたデジタル映像信号DVと制御信号SCTLとに基づいて、複数のデータ信号線Dにデータ信号を印加する。
【0030】
以上のようにして、複数の書き込み制御線SCANに書き込み制御信号が印加され、複数の初期化制御線DISに初期化制御信号が印加され、複数の発光制御線EMに発光制御信号が印加され、複数のデータ信号線Dにデータ信号が印加されることによって、入力画像信号DINに基づく画像が表示部10に表示される。
【0031】
<1.2 画素回路の構成>
次に、表示部10内の画素回路100の構成について説明する。
図6は、第i行第j列の画素回路100の構成を示す回路図である。この画素回路100は、表示素子(電流によって駆動される表示素子)としての1個の有機EL素子(有機発光ダイオード)L1と、7個のトランジスタ(典型的には薄膜トランジスタ)T1~T7(第1初期化トランジスタT1、閾値電圧補償トランジスタT2、書き込み制御トランジスタT3、駆動トランジスタT4、電源供給制御トランジスタT5、発光制御トランジスタT6、第2初期化トランジスタT7)と、1個の保持キャパシタCaとを含んでいる。保持キャパシタCaは、2つの電極(第1電極および第2電極)からなる容量素子である。トランジスタT1~T7は、Pチャネル型のトランジスタである。第1初期化トランジスタT1および閾値電圧補償トランジスタT2は、2個の制御端子(ゲート端子)を有するダブルゲートトランジスタである。
【0032】
第1初期化トランジスタT1については、制御端子は(i-1)行目の初期化制御線DIS(i-1)に接続され、第1導通端子は閾値電圧補償トランジスタT2の第2導通端子と駆動トランジスタT4の制御端子と保持キャパシタCaの第2電極とに接続され、第2導通端子は初期化電源線Viniに接続されている。閾値電圧補償トランジスタT2については、制御端子はi行目の書き込み制御線SCAN(i)に接続され、第1導通端子は駆動トランジスタT4の第2導通端子と発光制御トランジスタT6の第1導通端子とに接続され、第2導通端子は第1初期化トランジスタT1の第1導通端子と駆動トランジスタT4の制御端子と保持キャパシタCaの第2電極とに接続されている。書き込み制御トランジスタT3については、制御端子はi行目の書き込み制御線SCAN(i)に接続され、第1導通端子はj列目のデータ信号線D(j)に接続され、第2導通端子は駆動トランジスタT4の第1導通端子と電源供給制御トランジスタT5の第2導通端子とに接続されている。駆動トランジスタT4については、制御端子は第1初期化トランジスタT1の第1導通端子と閾値電圧補償トランジスタT2の第2導通端子と保持キャパシタCaの第2電極とに接続され、第1導通端子は書き込み制御トランジスタT3の第2導通端子と電源供給制御トランジスタT5の第2導通端子とに接続され、第2導通端子は閾値電圧補償トランジスタT2の第1導通端子と発光制御トランジスタT6の第1導通端子とに接続されている。
【0033】
電源供給制御トランジスタT5については、制御端子はi行目の発光制御線EM(i)に接続され、第1導通端子はハイレベル電源線と保持キャパシタCaの第1電極とに接続され、第2導通端子は書き込み制御トランジスタT3の第2導通端子と駆動トランジスタT4の第1導通端子とに接続されている。発光制御トランジスタT6については、制御端子はi行目の発光制御線EM(i)に接続され、第1導通端子は閾値電圧補償トランジスタT2の第1導通端子と駆動トランジスタT4の第2導通端子とに接続され、第2導通端子は第2初期化トランジスタT7の第1導通端子と有機EL素子L1のアノード端子とに接続されている。第2初期化トランジスタT7については、制御端子はi行目の初期化制御線DIS(i)に接続され、第1導通端子は発光制御トランジスタT6の第2導通端子と有機EL素子L1のアノード端子とに接続され、第2導通端子は初期化電源線Viniに接続されている。保持キャパシタCaについては、第1電極はハイレベル電源線と電源供給制御トランジスタT5の第1導通端子とに接続され、第2電極は第1初期化トランジスタT1の第1導通端子と閾値電圧補償トランジスタT2の第2導通端子と駆動トランジスタT4の制御端子とに接続されている。有機EL素子L1については、アノード端子は発光制御トランジスタT6の第2導通端子と第2初期化トランジスタT7の第1導通端子とに接続され、カソード端子はローレベル電源線に接続されている。
【0034】
<1.3 スキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成>
<1.3.1 シフトレジスタ>
図1は、スキャンドライバ210およびディスチャージドライバ220の構成を示すブロック図である。スキャンドライバ210およびディスチャージドライバ220は、それぞれ、複数段からなるシフトレジスタによって構成されている。なお、以下においては、シフトレジスタの各段を構成する回路のことを「単位回路」という。スキャンドライバ210は、詳しくは、3~n行目に対応する単位回路2s(3)~2s(n)と出力端側のダミー用の単位回路2s(X)とからなるシフトレジスタ211によって構成されている。ディスチャージドライバ220は、詳しくは、入力端側のダミー用の単位回路2a(0)と1~n行目に対応する単位回路2a(1)~2a(n)と出力端側のダミー用の単位回路2a(X)とからなるシフトレジスタ221によって構成されている。ダミー用の単位回路は、表示には直接的には寄与しない単位回路である。なお、以下において、不特定の単位回路に言及する際には、単位回路に符号2を付す。
【0035】
ところで、本実施形態においては、1~2行目が低負荷領域に相当し、3~n行目が高負荷領域に相当する。換言すれば、表示部10内の領域が、水平走査線の負荷が小さい低負荷領域である1~2行目と水平走査線の負荷が大きい高負荷領域である3~n行目とに区分されている。このように、表示部10内の領域のうち半円の頂点11(
図2参照)近傍の領域が低負荷領域に区分されている。
【0036】
図1から把握されるように、ディスチャージドライバ220を構成するシフトレジスタ221には全ての行に対応して単位回路2が設けられているが、スキャンドライバ210を構成するシフトレジスタ211には低負荷領域である1~2行目に対応する単位回路2が設けられていない。すなわち、表示に寄与しない単位回路2を除くと、シフトレジスタ221は低負荷領域である1~2行目に対応する単位回路2a(1)~2a(2)と高負荷領域である3~n行目に対応する単位回路2a(3)~2a(n)とからなるのに対して、シフトレジスタ211は高負荷領域である3~n行目に対応する単位回路2s(3)~2s(n)のみからなる。
【0037】
また、低負荷領域に配設されている水平走査線に着目すると、行ごとに、書き込み制御線SCANと初期化制御線DISとが互いに接続されている(
図1参照)。このように、低負荷領域に配設されている水平走査線については、行ごとに、2種類の走査線である2本の走査線(書き込み制御線SCAN、初期化制御線DIS)が互いに接続されている。
【0038】
シフトレジスタ211には、上述した制御信号CTL1として、ゲートクロック信号GCK3,GCK4が与えられる。シフトレジスタ221には、上述した制御信号CTL2として、ゲートスタートパルス信号GSP1とゲートクロック信号GCK1,GCK2とが与えられる。
【0039】
各単位回路2は、セット信号SU、クロック信号CK1、およびクロック信号CK2をそれぞれ受け取るための入力端子と、出力信号GLOUTおよび出力信号OUTをそれぞれ出力するための出力端子とを含んでいる。出力信号GLOUTは、書き込み制御信号SCANや初期化制御信号DISとして表示部10内に与えられる信号である。出力信号OUTは、次段の単位回路2にセット信号SUとして与えられる信号である。
【0040】
シフトレジスタ211に関しては、単位回路2s(3)を1段目と定義すると、次のようにゲートクロック信号GCK3,GCK4が与えられる。奇数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK3がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK4がクロック信号CK2として与えられる。偶数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK4がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK3がクロック信号CK2として与えられる。シフトレジスタ221に関しては、単位回路2a(0)を1段目と定義すると、次のようにゲートクロック信号GCK1,GCK2が与えられる。奇数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK1がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK2がクロック信号CK2として与えられる。偶数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK2がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK1がクロック信号CK2として与えられる。また、シフトレジスタ221内の単位回路2a(0)には、ゲートスタートパルス信号GSP1が与えられる。
【0041】
シフトレジスタ211内の単位回路2s(3)~2s(n)から出力される出力信号GLOUTは、書き込み制御信号SCAN(3)~SCAN(n)として3~n行目の書き込み制御線に与えられる。シフトレジスタ221内の単位回路2a(3)~2a(n)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(3)~DIS(n)として3~n行目の初期化制御線に与えられる。シフトレジスタ221内の単位回路2a(1)~2a(2)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(1)~DIS(2)として1~2行目の初期化制御線に与えられるとともに書き込み制御信号SCAN(1)~SCAN(2)として1~2行目の書き込み制御線に与えられる。また、シフトレジスタ221内の単位回路2a(2)から出力される出力信号OUTは、セット信号SUとして単位回路2a(3)に与えられるとともに、スタートパルス信号としてシフトレジスタ211に与えられる(セット信号SUとしてシフトレジスタ211内の単位回路2s(3)に与えられる)。
【0042】
ここで、比較例として、全ての領域で2系統駆動が行われる場合のスキャンドライバ210およびディスチャージドライバ220の構成を
図7に示す。この場合、ダミー用の単位回路を除くと、スキャンドライバ210を構成するシフトレジスタ211およびディスチャージドライバ220を構成するシフトレジスタ221はいずれも1~n行目に対応する単位回路2によって構成されている。これに対して、本実施形態においては、上述したように、スキャンドライバ210を構成するシフトレジスタ211には低負荷領域である1~2行目に対応する単位回路2が設けられていない(
図1参照)。
【0043】
<1.3.2 単位回路>
図8は、本実施形態における単位回路2の一構成例を示す回路図である。
図8に示すように、単位回路2は、9個のトランジスタM1~M9と2個のキャパシタC1,C2と1個の抵抗器R1を備えている。トランジスタM1~M9はPチャネル型のトランジスタである。単位回路2は、また、ゲートハイ電位VGHを供給する第1定電位線に接続された入力端子およびゲートロー電位VGLを供給する第2定電位線に接続された入力端子のほか、4個の入力端子21~24および2個の出力端子28,29を有している。
図8では、セット信号SUを受け取るための入力端子に符号21を付し、クロック信号CK1を受け取るための入力端子に符号22を付し、クロック信号CK2を受け取るための入力端子に符号23を付し、初期化信号INITBを受け取るための入力端子に符号24を付し、出力信号GLOUTを出力するための出力端子に符号28を付し、出力信号OUTを出力するための出力端子に符号29を付している。なお、以下においては、出力信号GLOUTを出力するための出力端子を「第1出力端子」といい、出力信号OUTを出力するための出力端子を「第2出力端子」という。
【0044】
トランジスタM2の第2導通端子、トランジスタM4の第1導通端子、およびトランジスタM6の第1導通端子は互いに接続されている。なお、これらが互いに接続されている一節点のことを「第1内部ノード」という。第1内部ノードには符号N1を付す。トランジスタM6の第2導通端子とトランジスタM8の制御端子とキャパシタC2の第1電極とは接続されている。なお、これらが接続されている一節点のことを「第2内部ノード」という。第2内部ノードには符号N2を付す。トランジスタM1の第1導通端子、トランジスタM3の第1導通端子、トランジスタM4の制御端子、トランジスタM7の制御端子、トランジスタM9の第2導通端子、キャパシタC1の第1電極、および抵抗器R1の一端は互いに接続されている。なお、これらが互いに接続されている一節点のことを「第3内部ノード」という。第3内部ノードには符号N3を付す。また、第1出力端子28と第2出力端子29とを接続する一節点のことを「出力ノード」といい、出力ノードには符号N9を付す。
【0045】
トランジスタM1については、制御端子は入力端子21に接続され、第1導通端子は第3内部ノードN3に接続され、第2導通端子は第1定電位線に接続されている。トランジスタM2については、制御端子は入力端子21に接続され、第1導通端子は第2定電位線に接続され、第2導通端子は第1内部ノードN1に接続されている。トランジスタM3については、制御端子は出力ノードN9に接続され、第1導通端子は第3内部ノードN3に接続され、第2導通端子は第1定電位線に接続されている。トランジスタM4については、制御端子は第3内部ノードN3に接続され、第1導通端子は第1内部ノードN1に接続され、第2導通端子は第1定電位線に接続されている。トランジスタM5については、制御端子は入力端子22に接続され、第1導通端子は第2定電位線に接続され、第2導通端子は抵抗器R1の他端に接続されている。トランジスタM6については、制御端子は第2定電位線に接続され、第1導通端子は第1内部ノードN1に接続され、第2導通端子は第2内部ノードN2に接続されている。トランジスタM7については、制御端子は第3内部ノードN3に接続され、第1導通端子は出力ノードN9に接続され、第2導通端子は第1定電位線に接続されている。トランジスタM8については、制御端子は第2内部ノードN2に接続され、第1導通端子は入力端子23に接続され、第2導通端子は出力ノードN9に接続されている。トランジスタM9については、制御端子は入力端子24に接続され、第1導通端子は第2定電位線に接続され、第2導通端子は第3内部ノードN3に接続されている。キャパシタC1については、第1電極は第3内部ノードN3に接続され、第2電極は第1定電位線に接続されている。キャパシタC2については、第1電極は第2内部ノードN2に接続され、第2電極は出力ノードN9に接続されている。抵抗器R1については、一端は第3内部ノードN3に接続され、他端はトランジスタM5の第2導通端子に接続されている。
【0046】
入力端子24に与えられる初期化信号INITBは、通常動作時にはハイレベルで維持される。従って、通常動作が行われている期間を通じて、トランジスタM9はオフ状態で維持される。
【0047】
ここで、トランジスタM6に着目する。トランジスタM6の制御端子には、ゲートロー電位VGLが与えられている。このゲートロー電位VGLは、第1内部ノードN1または第2内部ノードN2の電位が通常のローレベルよりも低いときを除いてトランジスタM6をオン状態で維持するレベルの電位である。すなわち、トランジスタM6は、第1内部ノードN1または第2内部ノードN2の電位が通常のローレベルよりも低いときを除いてオン状態で維持される。トランジスタM6は、第2内部ノードN2の電位が所定以下になるとオフ状態となり、第1内部ノードN1と第2内部ノードN2とを電気的に切り離す。これにより、トランジスタM6は、第2内部ノードN2がブースト状態になったときの当該第2内部ノードN2の電位の低下を補助する。
【0048】
図8に示す構成に関し、符号63の矢印で示す領域(出力ノードN9-第1出力端子28間の領域)は配線抵抗が比較的高い領域であって、また、当該領域では単位回路2の配線と電源配線とが交差するので当該領域の負荷は出力ノードN9-第2出力端子29間の領域の負荷に比べて大きい。
【0049】
<1.4 動作>
<1.4.1 単位回路の動作>
図9を参照しつつ、単位回路2の動作について説明する。なお、時点t3~時点t4の期間がこの単位回路2から出力信号GLOUTおよび出力信号OUTのパルスが出力されるべき期間であると仮定する。
【0050】
時点t1以前の期間には、第3内部ノードN3の電位はローレベルで維持され、第1内部ノードN1,第2内部ノードN2,および出力ノードN9の電位はハイレベルで維持されている。
【0051】
時点t1になると、セット信号SUがハイレベルからローレベルに変化する。これにより、トランジスタM2がオン状態となり、第1内部ノードN1および第2内部ノードN2の電位が低下する。その結果、トランジスタM8がオン状態となる。しかしながら、時点t1~時点t2の期間には、クロック信号CK2はハイレベルで維持されるので、出力ノードN9の電位(すなわち、出力信号GLOUT,OUTの電位)はハイレベルで維持される。また、時点t1には、トランジスタM1がオン状態となるので、第3内部ノードN3の電位が上昇する。
【0052】
時点t2~時点t3の期間には、時点t1~時点t2の期間と同様、クロック信号CK2はハイレベルで維持される。従って、時点t2~時点t3の期間には、出力ノードN9の電位はハイレベルで維持される。
【0053】
時点t3になると、クロック信号CK2がハイレベルからローレベルに変化する。このとき、トランジスタM8はオン状態となっているので、入力端子23の電位の低下とともに出力ノードN9の電位が低下する。ここで、第2内部ノードN2-出力ノードN9間にはキャパシタC2が設けられているので、出力ノードN9の電位の低下とともに第2内部ノードN2の電位も低下する。その結果、トランジスタM8の制御端子には大きな負の電圧が印加され、出力ノードN9の電位が充分に低下する。なお、時点t3~時点t4の期間には、トランジスタM6はオフ状態となり、第1内部ノードN1の電位は時点t3以前の電位で維持される。
【0054】
時点t4になると、クロック信号CK2がローレベルからハイレベルに変化する。これにより、入力端子23の電位の上昇とともに出力ノードN9の電位が上昇する。出力ノードN9の電位が上昇すると、キャパシタC2を介して、第2内部ノードN2の電位も上昇する。これにより、トランジスタM6はオン状態となる。
【0055】
時点t5になると、クロック信号CK1がハイレベルからローレベルに変化する。これにより、トランジスタM5がオン状態となり、第3内部ノードN3の電位が低下する。第3内部ノードN3の電位が低下することによって、トランジスタM4がオン状態となる。その結果、第1内部ノードN1の電位が上昇する。このとき、トランジスタM6はオン状態であるので、第2内部ノードN2の電位も上昇する。
【0056】
時点t5以降の期間には、時点t1以前の期間と同様、第3内部ノードN3の電位はローレベルで維持され、第1内部ノードN1,第2内部ノードN2,および出力ノードN9の電位はハイレベルで維持される。
【0057】
<1.4.2 全体の動作>
単位回路2の動作を踏まえ、
図10を参照しつつ、全体の動作について説明する。なお、
図10に関し、ゲートクロック信号GCK1~GCK4のパルスのうち数値等を付したパルスは、単位回路2からの書き込み制御信号SCANや初期化制御信号DISのパルスの出力に直接的に寄与しているパルスである。例えば、ゲートクロック信号GCK1のパルスのうち数値「3」を付したパルスは初期化制御信号DIS(3)のパルスの出力に寄与するパルスであり、ゲートクロック信号GCK3のパルスのうち数値「4」を付したパルスは書き込み制御信号SCAN(4)のパルスの出力に寄与するパルスであり、ゲートクロック信号GCK1のパルスのうち数値「1」を付したパルスは初期化制御信号DIS(1)および書き込み制御信号SCAN(1)のパルスの出力に寄与するパルスである。また、データ信号Dの欄の数値等は、データ信号Dが何行目のデータに相当するのかを示している。
【0058】
ゲートスタートパルス信号GSP1のパルス出力後、期間P10には、ゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいて、単位回路2a(0)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。すなわち、期間P10には、ダミー用の初期化制御信号DIS(0)のパルスが出力される。
【0059】
期間P11には、ゲートクロック信号GCK1のパルスに基づいて、単位回路2a(1)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。上述したように、単位回路2a(1)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(1)として1行目の初期化制御線に与えられるとともに書き込み制御信号SCAN(1)として1行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P11には、初期化制御信号DIS(1)および書き込み制御信号SCAN(1)のパルスが出力される。
【0060】
期間P12には、ゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいて、単位回路2a(2)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。上述したように、単位回路2a(2)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(2)として2行目の初期化制御線に与えられるとともに書き込み制御信号SCAN(2)として2行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P12には、初期化制御信号DIS(2)および書き込み制御信号SCAN(2)のパルスが出力される。
【0061】
期間P13には、ゲートクロック信号GCK1のパルスに基づいて、単位回路2a(3)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。上述したように、単位回路2a(3)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(3)として3行目の初期化制御線に与えられる。従って、期間P13には、初期化制御信号DIS(3)のパルスが出力される。また、上述したように、単位回路2a(2)から出力された出力信号OUTは、スタートパルス信号としてシフトレジスタ211に与えられる(セット信号SUとしてシフトレジスタ211内の単位回路2s(3)に与えられる)。これにより、期間P13には、ゲートクロック信号GCK4のパルスに基づいて、単位回路2s(3)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。従って、期間P13には、書き込み制御信号SCAN(3)のパルスが出力される。
【0062】
期間P14には、ゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいて、単位回路2a(4)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。上述したように、単位回路2a(4)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(4)として4行目の初期化制御線に与えられる。従って、期間P14には、初期化制御信号DIS(4)のパルスが出力される。また、期間P14には、ゲートクロック信号GCK3のパルスに基づいて、単位回路2s(4)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。上述したように、単位回路2s(4)から出力される出力信号GLOUTは、書き込み制御信号SCAN(4)として4行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P14には、書き込み制御信号SCAN(4)のパルスが出力される。
【0063】
期間P15以降の期間には、ゲートクロック信号GCK1またはゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいてシフトレジスタ221内の単位回路2から初期化制御信号DISのパルスが出力され、ゲートクロック信号GCK3またはゲートクロック信号GCK4のパルスに基づいてシフトレジスタ211内の単位回路2から書き込み制御信号SCANのパルスが出力される。
【0064】
以上のように、期間P11~P12には1系統駆動によって初期化制御線DISおよび書き込み制御線SCANが駆動され、期間P13以降の期間には2系統駆動によって初期化制御線DISおよび書き込み制御線SCANが駆動される。すなわち、低負荷領域では1系統駆動が行われ、高負荷領域では2系統駆動が行われる。
【0065】
<1.5 効果>
本実施形態によれば、有機EL表示装置の表示部10は非矩形の形状を有している。そして、高負荷領域に配設されている書き込み制御線SCANおよび高負荷領域に配設されている初期化制御線DISはスキャンドライバ210およびディスチャージドライバ220によってそれぞれ駆動され、低負荷領域に配設されている書き込み制御線SCANおよび低負荷領域に配設されている初期化制御線DISはいずれもディスチャージドライバ220によって駆動される。このように、低負荷領域に配設されている水平走査線については、各行に着目すると、2つの水平走査線(書き込み制御線SCANおよび初期化制御線DIS)が1つのドライバによって駆動される。このため、低負荷領域に配設されている水平走査線に与えられる制御信号の急峻な波形変化が抑制される。その結果、低負荷領域と高負荷領域との間での制御信号の波形変化についての遅延差が従来よりも小さくなり、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生が抑制される。以上のように、本実施形態によれば、非矩形の表示部10を有する有機EL表示装置において、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生を抑制することが可能となる。
【0066】
<1.6 変形例>
以下、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0067】
<1.6.1 第1の変形例>
図11は、第1の実施形態の第1の変形例におけるスキャンドライバ210およびディスチャージドライバ220の構成を示すブロック図である。第1の実施形態においては、スキャンドライバ210を構成するシフトレジスタ211に、低負荷領域である1~2行目に対応する単位回路2が設けられていなかった。これに対して、本変形例においては、
図11から把握されるように、ディスチャージドライバ220を構成するシフトレジスタ221に、低負荷領域である1~2行目に対応する単位回路2が設けられていない。
【0068】
また、本変形例においては、第1の実施形態とは異なり、2つのゲートスタートパルス信号GSP1,GSP2が用いられる。すなわち、スキャンドライバ210を構成するシフトレジスタ211とディスチャージドライバ220を構成するシフトレジスタ221とには、異なる波形のゲートスタートパルス信号が与えられる。
【0069】
本変形例においては、例えば、
図12に示すように、シフトレジスタ221に与えられるゲートスタートパルス信号GSP2のパルス幅がシフトレジスタ211に与えられるゲートスタートパルス信号GSP1のパルス幅よりも長くされる。これにより、初期化制御線の1回の駆動の際に初期化制御信号DISのパルスを複数回発生させることが可能となる(
図12参照)。その結果、画素回路100の内部の状態を初期化するための時間が充分に確保される。
【0070】
<1.6.2 第2の変形例>
第1の実施形態においては、シフトレジスタを構成する全ての単位回路2に2つの出力端子28,29が設けられていた(
図1,
図8参照)。これに対して、本変形例においては、1系統駆動に対応する単位回路2については、1つの出力端子のみが設けられる。これについて、以下に説明する。
【0071】
図13は、本変形例におけるスキャンドライバ210およびディスチャージドライバ220の構成について説明するための図である。
図13に示すように、ディスチャージドライバ220を構成するシフトレジスタ221に関し、入力端側のダミー用の単位回路2a(0)および1~2行目に対応する単位回路2a(1)~2a(2)には、出力信号GLOUTを出力するための出力端子は設けられているが、出力信号OUTを出力するための出力端子は設けられていない。単位回路2a(0)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(0)としてダミー用の初期化制御線に与えられ、セット信号SUとして次段の単位回路2a(1)に与えられる。単位回路2a(1)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(1)として1行目の初期化制御線に与えられ、書き込み制御信号SCAN(1)として1行目の書き込み制御線に与えられ、セット信号SUとして次段の単位回路2a(2)に与えられる。単位回路2a(2)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(2)として2行目の初期化制御線に与えられ、書き込み制御信号SCAN(2)として2行目の書き込み制御線に与えられ、セット信号SUとして次段の単位回路2a(3)に与えられる。
【0072】
図14は、本変形例において1系統駆動に対応する単位回路2の構成を示す回路図である。
図14で符号65を付した部分から把握されるように、1系統駆動に対応する単位回路2には、それ以外の単位回路2(2系統駆動に対応する単位回路2)(
図8参照)とは異なり、出力信号OUTを出力する出力端子29が設けられていない。
【0073】
以上のような構成によれば、低負荷領域に対応する単位回路2からは、水平走査線(書き込み制御線SCANおよび初期化制御線DIS)に与える制御信号と次段の単位回路2にセット信号SUとして与える制御信号とが1つの出力端子28より出力される。このため、低負荷領域に配設されている水平走査線に与えられる制御信号の波形変化が第1の実施形態に比べて緩やかになる。これにより、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生が効果的に抑制される。また、1系統駆動に対応する単位回路2には第1の実施形態とは異なり出力信号OUTを出力する出力端子29が設けられないので、額縁を小さくするという効果も得られる。
【0074】
<1.6.3 第3の変形例>
第1の実施形態においては、全ての書き込み制御線SCANおよび全ての初期化制御線DISは、表示部10の一端側および他端側の双方から駆動されていた。これに対して、本変形例においては、高負荷領域に配設されている書き込み制御線SCANおよび初期化制御線DISは表示部10の一端側および他端側の双方から駆動され、低負荷領域に配設されている書き込み制御線SCANおよび初期化制御線DISは表示部10の一端側および他端側の一方のみから駆動される。
【0075】
図15は、本変形例における有機EL表示装置の概略平面図である。
図15に関し、表示部10の左方に設けられているパネル駆動部20については、1系統駆動に対応する構成要素が存在している。一方、表示部10の右方に設けられているパネル駆動部20については、1系統駆動に対応する構成要素が存在していない。すなわち、表示部10の右方に設けられているパネル駆動部20内のシフトレジスタ211,221には、1~2行目に対応する単位回路2が設けられていない。
【0076】
以上のような構成によれば、第2の変形例と同様、低負荷領域に配設されている水平走査線に与えられる制御信号の波形変化が第1の実施形態に比べて緩やかになる。これにより、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生が効果的に抑制される。また、第1の実施形態に比べて単位回路2の数を少なくすることができるので、第2の変形例と同様、額縁を小さくするという効果も得られる。
【0077】
<1.6.4 第4の変形例>
図16は、第1の実施形態の第4の変形例における全体の動作について説明するための信号波形図である。本変形例においては、ゲートスタートパルス信号GSP1のパルス幅が第1の実施形態よりも長くなっている。そのため、書き込み制御線および初期化制御線の1回の駆動の際に、書き込み制御信号SCANおよび初期化制御信号DISのパルスがそれぞれ3回発生している。なお、スキャンドライバ210およびディスチャージドライバ220の構成については第1の実施形態と同様である(
図1参照)。
【0078】
以上のように、本変形例においては、シフトレジスタ211,221に含まれる各単位回路2から出力信号として連続する複数のパルスが出力されるように、シフトレジスタ221にゲートスタートパルス信号GSP1およびゲートクロック信号GCK1,GCK2が与えられるとともにシフトレジスタ211にゲートクロック信号GCK3,GCK4が与えられる。このようにして、書き込み制御線および初期化制御線の1回の駆動の際に書き込み制御信号SCANおよび初期化制御信号DISのパルスをそれぞれ複数回発生させるようにしても良い。
【0079】
<1.6.5 第5の変形例>
第1の実施形態においては、
図6に示した構成の画素回路100が用いられていた。これに対して、本変形例においては、
図17に示す構成の画素回路100が用いられる。このような構成の画素回路100が用いられる場合にも、水平走査線(書き込み制御線SCANおよび初期化制御線DIS)の駆動に関して、高負荷領域では2系統駆動を行って低負荷領域では1系統駆動を行うという方式を採用することができる。
【0080】
<1.6.6 第1~第5の変形例について>
第1~第4の変形例については、それぞれ、他の実施形態や他の変形例にも適用することができる。第5の変形例については、第2の実施形態や他の変形例にも適用することができる。
【0081】
<2.第2の実施形態>
<2.1 全体構成>
図18は、第2の実施形態における有機EL表示装置の概略平面図である。本実施形態においては、表示部10は、
図28に示した表示部90と同様、円形の形状を有している。
図18において符号94,96を付した領域が低負荷領域に相当する。すなわち、本実施形態においては、表示部10内の領域のうち表示部10の中心を基準とする垂直走査方向についての一端部近傍および他端部近傍が低負荷領域に区分されている。そして、これら低負荷領域では1系統駆動が行われ、それ以外の領域(すなわち、高負荷領域)では2系統駆動が行われる。従って、表示部10の左方についても、表示部10の右方についても、上方側および下方側の双方に1系統駆動に対応する構成要素が存在している部分61がある。
【0082】
<2.2 スキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成>
図19は、スキャンドライバ210およびディスチャージドライバ220の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、1~2行目および(n-1)~n行目が低負荷領域に相当し、3~(n-2)行目が高負荷領域に相当する。第1の実施形態と同様、ディスチャージドライバ220を構成するシフトレジスタ221には全ての行に対応して単位回路2が設けられている。スキャンドライバ210を構成するシフトレジスタ211については、1~2行目に対応する単位回路2および(n-1)~n行目に対応する単位回路2が設けられていない。すなわち、本実施形態においては、表示に寄与しない単位回路2を除くと、シフトレジスタ211は、高負荷領域である3~(n-2)行目に対応する単位回路2s(3)~2s(n-2)のみからなる。単位回路2の構成および動作については、第1の実施形態と同様である。
【0083】
<2.3 全体の動作>
図20は、本実施形態における全体の動作について説明するための信号波形図である。期間P20以前の期間には、第1の実施形態と同様の動作が行われる。なお、期間P20には、2系統駆動によって初期化制御線DISおよび書き込み制御線SCANが駆動されている。
【0084】
期間P21には、ゲートクロック信号GCK1のパルスに基づいて、単位回路2a(n-1)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2a(n-1)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(n-1)として(n-1)行目の初期化制御線に与えられるとともに書き込み制御信号SCAN(n-1)として(n-1)行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P21には、初期化制御信号DIS(n-1)および書き込み制御信号SCAN(n-1)のパルスが出力される。
【0085】
期間P22には、ゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいて、単位回路2a(n)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2a(n)から出力される出力信号GLOUTは、初期化制御信号DIS(n)としてn行目の初期化制御線に与えられるとともに書き込み制御信号SCAN(n)としてn行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P22には、初期化制御信号DIS(n)および書き込み制御信号SCAN(n)のパルスが出力される。
【0086】
以上のようにして、1~2行目の水平走査線については1系統駆動が行われ、3~(n-2)行目の水平走査線については2系統駆動が行われ、(n-1)~n行目の水平走査線については1系統駆動が行われる。このように、第1の実施形態と同様、本実施形態においても、低負荷領域では1系統駆動が行われ、高負荷領域では2系統駆動が行われる。
【0087】
<2.4 効果>
本実施形態によれば、円形の表示部10を有する有機EL表示装置において、第1の実施形態と同様、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生を抑制することが可能となる。
【0088】
<3.第3の実施形態>
<3.1 全体構成>
本実施形態に係る有機EL表示装置の表示部10は、第1の実施形態と同様、半円と矩形とを組み合わせた形状を有している(
図2参照)。本実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、表示部10に初期化制御線として第1初期化制御線DISaと第2初期化制御線DISbとが配設されている。
図21は、本実施形態における第i行第j列の画素回路100の構成を示す回路図である。
図21から把握されるように、第1初期化トランジスタT1の制御端子は(i-1)行目の第1初期化制御線DISa(i-1)に接続され、第2初期化トランジスタT7の制御端子はi行目の第2初期化制御線DISb(i)に接続されている。
【0089】
図22は、パネル駆動部20の内部の機能構成を示す図である。本実施形態においては、パネル駆動部20には、書き込み制御線SCANを駆動するスキャンドライバ(書き込み制御回路)210と、第1初期化制御線DISaを駆動する第1ディスチャージドライバ(第1初期化制御回路)220aと、第2初期化制御線DISbを駆動する第2ディスチャージドライバ(第2初期化制御回路)220bと、発光制御線EMを駆動するエミッションドライバ(発光制御回路)230とが含まれている。
【0090】
以上のような構成において、水平走査線(書き込み制御線SCAN、第1初期化制御線DISa、および第2初期化制御線DISb)の駆動に関し、高負荷領域では3系統駆動が行われ、低負荷領域では1系統駆動が行われる。なお、本実施形態においては、書き込み制御線SCANと第1初期化制御線DISaと第2初期化制御線DISbとが複数種類(3種類)の走査線に相当する。
【0091】
<3.2 スキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成>
図23は、スキャンドライバ210およびディスチャージドライバ(第1ディスチャージドライバ220a、第2ディスチャージドライバ220b)の構成を示すブロック図である。スキャンドライバ210は、3~n行目に対応する単位回路2s(3)~2s(n)と出力端側のダミー用の単位回路2s(X)とからなるシフトレジスタ211によって構成されている。第1ディスチャージドライバ220aは、入力端側のダミー用の単位回路2a(0)と1~n行目に対応する単位回路2a(1)~2a(n)と出力端側のダミー用の単位回路2a(X)とからなるシフトレジスタ221aによって構成されている。第2ディスチャージドライバ220bは、3~n行目に対応する単位回路2b(3)~2b(n)と出力端側のダミー用の単位回路2b(X)とからなるシフトレジスタ221bによって構成されている。
【0092】
本実施形態においても、表示部10内の領域が、水平走査線の負荷が小さい低負荷領域である1~2行目と水平走査線の負荷が大きい高負荷領域である3~n行目とに区分されている。
図23から把握されるように、第1ディスチャージドライバ220aを構成するシフトレジスタ221aには全ての行に対応して単位回路2が設けられているが、スキャンドライバ210を構成するシフトレジスタ211および第2ディスチャージドライバ220bを構成するシフトレジスタ221bには低負荷領域である1~2行目に対応する単位回路2が設けられていない。すなわち、表示に寄与しない単位回路2を除くと、シフトレジスタ221aは低負荷領域である1~2行目に対応する単位回路2a(1)~2a(2)と高負荷領域である3~n行目に対応する単位回路2a(3)~2a(n)とからなり、シフトレジスタ221bは高負荷領域である3~n行目に対応する単位回路2b(3)~2b(n)のみからなり、シフトレジスタ211は高負荷領域である3~n行目に対応する単位回路2s(3)~2s(n)のみからなる。
【0093】
低負荷領域に配設されている水平走査線に着目すると、行ごとに、書き込み制御線SCANと第1初期化制御線DISaと第2初期化制御線DISbとが互いに接続されている(
図23参照)。このように、低負荷領域に配設されている水平走査線については、行ごとに、3種類の走査線である3本の走査線(書き込み制御線SCAN、第1初期化制御線DISa、第2初期化制御線DISb)が互いに接続されている。
【0094】
シフトレジスタ221aには、ゲートスタートパルス信号GSP1とゲートクロック信号GCK1,GCK2とが与えられる。シフトレジスタ221bには、ゲートクロック信号GCK3,GCK4が与えられる。シフトレジスタ211には、ゲートクロック信号GCK5,GCK6が与えられる。
【0095】
シフトレジスタ211に関しては、単位回路2s(3)を1段目と定義すると、次のようにゲートクロック信号GCK5,GCK6が与えられる。奇数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK5がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK6がクロック信号CK2として与えられる。偶数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK6がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK5がクロック信号CK2として与えられる。シフトレジスタ221aに関しては、単位回路2a(0)を1段目と定義すると、次のようにゲートクロック信号GCK1,GCK2が与えられる。奇数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK1がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK2がクロック信号CK2として与えられる。偶数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK2がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK1がクロック信号CK2として与えられる。また、シフトレジスタ221a内の単位回路2a(0)には、ゲートスタートパルス信号GSP1が与えられる。シフトレジスタ221bに関しては、単位回路2b(3)を1段目と定義すると、次のようにゲートクロック信号GCK3,GCK4が与えられる。奇数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK3がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK4がクロック信号CK2として与えられる。偶数段目の単位回路2には、ゲートクロック信号GCK4がクロック信号CK1として与えられ、ゲートクロック信号GCK3がクロック信号CK2として与えられる。
【0096】
シフトレジスタ211内の単位回路2s(3)~2s(n)から出力される出力信号GLOUTは、書き込み制御信号SCAN(3)~SCAN(n)として3~n行目の書き込み制御線に与えられる。シフトレジスタ221a内の単位回路2a(3)~2a(n)から出力される出力信号GLOUTは、第1初期化制御信号DISa(3)~DISa(n)として3~n行目の第1初期化制御線に与えられる。シフトレジスタ221a内の単位回路2a(1)~2a(2)から出力される出力信号GLOUTは、第1初期化制御信号DISa(1)~DISa(2)として1~2行目の第1初期化制御線に与えられ、第2初期化制御信号DISb(1)~DISb(2)として1~2行目の第2初期化制御線に与えられ、書き込み制御信号SCAN(1)~SCAN(2)として1~2行目の書き込み制御線に与えられる。また、シフトレジスタ221a内の単位回路2a(2)から出力される出力信号OUTは、セット信号SUとして単位回路2a(3)に与えられ、スタートパルス信号としてシフトレジスタ221bに与えられ(セット信号SUとしてシフトレジスタ221b内の単位回路2b(3)に与えられ)、スタートパルス信号としてシフトレジスタ211に与えられる(セット信号SUとしてシフトレジスタ211内の単位回路2s(3)に与えられる)。シフトレジスタ221b内の単位回路2b(3)~2b(n)から出力される出力信号GLOUTは、第2初期化制御信号DISb(3)~DISb(n)として3~n行目の第2初期化制御線に与えられる。
【0097】
<3.3 全体の動作>
図24は、本実施形態における全体の動作について説明するための信号波形図である。ゲートスタートパルス信号GSP1のパルス出力後、期間P30には、ゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいて、単位回路2a(0)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。すなわち、期間P30には、ダミー用の第1初期化制御信号DISa(0)のパルスが出力される。
【0098】
期間P31には、ゲートクロック信号GCK1のパルスに基づいて、単位回路2a(1)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2a(1)から出力される出力信号GLOUTは、第1初期化制御信号DISa(1)として1行目の第1初期化制御線に与えられ、第2初期化制御信号DISb(1)として1行目の第2初期化制御線に与えられ、書き込み制御信号SCAN(1)として1行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P31には、第1初期化制御信号DISa(1)、第2初期化制御信号DISb(1)、および書き込み制御信号SCAN(1)のパルスが出力される。
【0099】
期間P32には、ゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいて、単位回路2a(2)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2a(2)から出力される出力信号GLOUTは、第1初期化制御信号DISa(2)として2行目の第1初期化制御線に与えられ、第2初期化制御信号DISb(2)として2行目の第2初期化制御線に与えられ、書き込み制御信号SCAN(2)として2行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P32には、第1初期化制御信号DISa(2)、第2初期化制御信号DISb(2)、および書き込み制御信号SCAN(2)のパルスが出力される。
【0100】
期間P33には、ゲートクロック信号GCK1のパルスに基づいて、単位回路2a(3)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2a(3)から出力される出力信号GLOUTは、第1初期化制御信号DISa(3)として3行目の第1初期化制御線に与えられる。従って、期間P33には、第1初期化制御信号DISa(3)のパルスが出力される。また、上述したように、単位回路2a(2)から出力された出力信号OUTは、スタートパルス信号としてシフトレジスタ221bに与えられる(セット信号SUとしてシフトレジスタ221b内の単位回路2b(3)に与えられる)。これにより、期間P33には、ゲートクロック信号GCK4のパルスに基づいて、単位回路2b(3)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。従って、期間P33には、第2初期化制御信号DISb(3)のパルスが出力される。さらに、上述したように、単位回路2a(2)から出力された出力信号OUTは、スタートパルス信号としてシフトレジスタ211に与えられる(セット信号SUとしてシフトレジスタ211内の単位回路2s(3)に与えられる)。これにより、期間P33には、ゲートクロック信号GCK6のパルスに基づいて、単位回路2s(3)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。従って、期間P33には、書き込み制御信号SCAN(3)のパルスが出力される。
【0101】
期間P34には、ゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいて、単位回路2a(4)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2a(4)から出力される出力信号GLOUTは、第1初期化制御信号DISa(4)として4行目の第1初期化制御線に与えられる。従って、期間P34には、第1初期化制御信号DISa(4)のパルスが出力される。また、期間P34には、ゲートクロック信号GCK3のパルスに基づいて、単位回路2b(4)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2b(4)から出力される出力信号GLOUTは、第2初期化制御信号DISb(4)として4行目の第2初期化制御線に与えられる。従って、期間P34には、第2初期化制御信号DISb(4)のパルスが出力される。さらに、期間P34には、ゲートクロック信号GCK5のパルスに基づいて、単位回路2s(4)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2s(4)から出力される出力信号GLOUTは、書き込み制御信号SCAN(4)として4行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P34には、書き込み制御信号SCAN(4)のパルスが出力される。
【0102】
期間P35以降の期間には、ゲートクロック信号GCK1またはゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいてシフトレジスタ221a内の単位回路2から第1初期化制御信号DISaのパルスが出力され、ゲートクロック信号GCK3またはゲートクロック信号GCK4のパルスに基づいてシフトレジスタ221b内の単位回路2から第2初期化制御信号DISbのパルスが出力され、ゲートクロック信号GCK5またはゲートクロック信号GCK6のパルスに基づいてシフトレジスタ211内の単位回路2から書き込み制御信号SCANのパルスが出力される。
【0103】
以上のように、期間P31~P32には1系統駆動によって第1初期化制御線DISa、第2初期化制御線DISb、および書き込み制御線SCANが駆動され、期間P33以降の期間には3系統駆動によって第1初期化制御線DISa、第2初期化制御線DISb、および書き込み制御線SCANが駆動される。すなわち、低負荷領域では1系統駆動が行われ、高負荷領域では3系統駆動が行われる。
【0104】
<3.4 効果>
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生を抑制することが可能となる。
【0105】
<4.第4の実施形態>
<4.1 全体構成>
本実施形態に係る有機EL表示装置の表示部10は、第2の実施形態と同様、円形の形状を有している(
図18参照)。本実施形態においては、第3の実施形態と同様、表示部10に初期化制御線として第1初期化制御線DISaと第2初期化制御線DISbとが配設されている。従って、画素回路100についても、第3の実施形態と同様、
図21に示す構成を有している。また、パネル駆動部20についても、第3の実施形態と同様、
図22に示す構成を有している。以上のような構成において、水平走査線(書き込み制御線SCAN、第1初期化制御線DISa、および第2初期化制御線DISb)の駆動に関し、高負荷領域では3系統駆動が行われ、低負荷領域では1系統駆動が行われる。なお、第2の実施形態と同様、1~2行目および(n-1)~n行目が低負荷領域に相当し、3~(n-2)行目が高負荷領域に相当する。
【0106】
<4.2 スキャンドライバおよびディスチャージドライバの構成>
図25は、スキャンドライバ210およびディスチャージドライバ(第1ディスチャージドライバ220a、第2ディスチャージドライバ220b)の構成を示すブロック図である。第1ディスチャージドライバ220aを構成するシフトレジスタ221aには全ての行に対応して単位回路2が設けられている。第2ディスチャージドライバ220bを構成するシフトレジスタ221bおよびスキャンドライバ210を構成するシフトレジスタ211については、1~2行目に対応する単位回路2および(n-1)~n行目に対応する単位回路2が設けられていない。すなわち、本実施形態においては、表示に寄与しない単位回路2を除くと、シフトレジスタ221bは高負荷領域である3~(n-2)行目に対応する単位回路2b(3)~2b(n-2)のみからなり、シフトレジスタ211は高負荷領域である3~(n-2)行目に対応する単位回路2s(3)~2s(n-2)のみからなる。
【0107】
<4.3 全体の動作>
図26は、本実施形態における全体の動作について説明するための信号波形図である。なお、
図26には、表示部10の下端部近傍の行が駆動される期間の波形のみを示している。
【0108】
期間P40以前の期間には、第3の実施形態と同様の動作が行われる。なお、期間P40には、3系統駆動によって第1初期化制御線DISa、第2初期化制御線DISb、および書き込み制御線SCANが駆動されている。
【0109】
期間P41には、ゲートクロック信号GCK1のパルスに基づいて、単位回路2a(n-1)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2a(n-1)から出力される出力信号GLOUTは、第1初期化制御信号DISa(n-1)として(n-1)行目の第1初期化制御線に与えられ、第2初期化制御信号DISb(n-1)として(n-1)行目の第2初期化制御線に与えられ、書き込み制御信号SCAN(n-1)として(n-1)行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P41には、第1初期化制御信号DISa(n-1)、第2初期化制御信号DISb(n-1)、および書き込み制御信号SCAN(n-1)のパルスが出力される。
【0110】
期間P42には、ゲートクロック信号GCK2のパルスに基づいて、単位回路2a(n)から出力信号GLOUTのパルスが出力される。単位回路2a(n)から出力される出力信号GLOUTは、第1初期化制御信号DISa(n)としてn行目の第1初期化制御線に与えられ、第2初期化制御信号DISb(n)としてn行目の第2初期化制御線に与えられ、書き込み制御信号SCAN(n)としてn行目の書き込み制御線に与えられる。従って、期間P42には、第1初期化制御信号DISa(n)、第2初期化制御信号DISb(n)、および書き込み制御信号SCAN(n)のパルスが出力される。
【0111】
以上のようにして、1~2行目の水平走査線については1系統駆動が行われ、3~(n-2)行目の水平走査線については3系統駆動が行われ、(n-1)~n行目の水平走査線については1系統駆動が行われる。このように、第3の実施形態と同様、低負荷領域では1系統駆動が行われ、高負荷領域では3系統駆動が行われる。
【0112】
<4.4 効果>
本実施形態によれば、第2の実施形態と同様、円形の表示部10を有する有機EL表示装置において、低負荷領域と高負荷領域との間の輝度差の発生を抑制することが可能となる。
【0113】
<5.その他>
上記各実施形態および上記各変形例では有機EL表示装置を例に挙げて説明したが、これには限定されず、無機EL表示装置、QLED表示装置などにも本発明を適用することができる。また、表示部の形状として半円と矩形とを組み合わせた形状(
図2参照)や円形の形状(
図18参照)を例示したが、それら以外の非矩形の形状の表示部を有する表示装置にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0114】
2,2a,2b,2s…単位回路
10…表示部
20…パネル駆動部
100…画素回路
210…スキャンドライバ(書き込み制御回路)
220…ディスチャージドライバ(初期化制御回路)
220a…第1ディスチャージドライバ(第1初期化制御回路)
220b…第2ディスチャージドライバ(第2初期化制御回路)
230…エミッションドライバ(発光制御回路)
SCAN…書き込み制御線,書き込み制御信号
DIS…初期化制御線,初期化制御信号
DISa…第1初期化制御線,第1初期化制御信号
DISb…第2初期化制御線,第2初期化制御信号
EM…発光制御線,発光制御信号
GLOUT,OUT…単位回路からの出力信号
L1…有機EL素子
T1…第1初期化トランジスタ
T2…閾値電圧補償トランジスタ
T3…書き込み制御トランジスタ
T4…駆動トランジスタ
T5…電源供給制御トランジスタ
T6…発光制御トランジスタ
T7…第2初期化トランジスタ