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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】ファスナー打撃工具
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/06 20060101AFI20231013BHJP
   B25C 1/04 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B25C1/06
B25C1/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021573745
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2019122035
(87)【国際公開番号】W WO2020248531
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】201910499998.7
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521542432
【氏名又は名称】南京騰亜精工科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】王 愛国
(72)【発明者】
【氏名】常 鳳智
(72)【発明者】
【氏名】高 冬生
(72)【発明者】
【氏名】朱 清華
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/199670(WO,A1)
【文献】特開昭60-135182(JP,A)
【文献】特開2017-164860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0154505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 1/06
B25C 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内シリンダとピストンで構成されるエネルギ貯蔵機構を含み、前記ピストンはガンノズルに延伸するストライカーに接続され、前記シリンダの一側にバッテリパック付きのハンドルが設けられ、前記ガンノズルの一側に釘列が収納されたネイルボックスが設けられ、前記ハンドルとネイルボックスの間に持上げ機構が設けられ、前記持上げ機構は、噛合歯が長手方向に間隔を置いて分布された前記ストライカー、および噛合円筒が外周方向における一部の範囲に所定の円弧長さで間隔を置いて分布された駆動輪を含み、前記駆動輪はバッテリパックから給電されるモータに伝達可能に接続されて回転し、前記駆動輪が一回転する間に、前記噛合歯と前記噛合円筒とが噛み合い前記ストライカーを後方に向けて移動させてエネルギを蓄積していき、さらに駆動輪が回転して前記噛合歯と前記噛合円筒との噛み合いが終了すると蓄積したエネルギによって前記ストライカーを前方に移動させて釘をうち、さらに前記駆動輪が回転して前記噛合歯と前記噛合円筒とが再び噛み合いを開始するファスナー打撃工具であって、
前記駆動輪の所定円弧長さの対向側に径方向にシフトフィンガーが延伸し、前記ストライカーの側に突出ピンが設けられ、前記シフトフィンガーは、前記噛合円筒が噛合歯と噛み合いを開始する前に、すでに突出ピンの前方位置に移行しており、前記ストライカーが前方に移動することを防止し、前記シフトフィンガーは、前記噛合円筒が噛合歯と噛み合いを開始する時、前記突出ピンに接触して噛合歯が噛合円筒との噛合位置に入るように前記ストライカーをシフトさせる、ことを特徴とするファスナー打撃工具。
【請求項2】
前記駆動輪は2つの対称輪片を有し、前記噛合円筒は2つの対称輪片の間に支持される、ことを特徴とする請求項1に記載のファスナー打撃工具。
【請求項3】
前記2つの対称輪片の所定円弧長さの対向側にそれぞれ径方向にシフトフィンガーが延伸し、前記ストライカーの両側面に、対応のシフトフィンガーにそれぞれ接触する前記突出ピンを有する、ことを特徴とする請求項2に記載のファスナー打撃工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスナー打撃工具に関し、特に電動ガススプリングネイルガンに関し、電動工具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、古くから、釘式の留め具を使用してある物体を別の物体に固定するために、主に空気圧、例えば高圧ガス、ガス燃焼などを利用した工具が使用されているが、高価であるだけでなく、潜在的な安全上の危険もある。近年、電気ガススプリングネイルガンが登場し、典型的な構造は、米国特許US8011441およびUS8267296に記載されるものであり、このタイプのネイルガンはモーターによって駆動され、抜けた歯を退避して駆動輪を回転させ、次に、それに噛み合っているストライカーが持ち上げられ、シリンダー内の空気がピストンによって圧縮されてエネルギーを蓄える。その後、駆動輪が抜け歯状態になり、ストライカーとの噛み合いがなくなったとき、圧縮空気により、ピストンが駆動輪から解放されたストライカーを駆動し、素早く動き、釘付け動作が完了する。その後、駆動輪は再び持上げ噛合い状態になり、次の釘打ちサイクルが実行される。エネルギーは電気であるので、制御性能が良く、比較的安全である。
【0003】
しかし、実際の操作では、このようなネイルガンにおいてさまざまな理由で釘が詰まると、図6に示すように、ストライカーがブロックされ、点線で示す通常の限界位置に移動できないため、駆動輪の歯車の歯が再び持上げ噛合するとき、ストライカーと干渉する、すなわち、噛み合い状態に入るのを妨げる可能性があり、このとき、モータードライブがネイル詰まり状態になって、トランスミッション部品が破損する可能性があり、シリンダー内の空気には一定の圧力がかかっているため、ネイル詰まりした釘を取り除くと、撃針が制御不能になり、潜在的な安全上の問題を引き起こす可能性がある。このため、上記の特許は、ストライカーが暴走するのを防ぐための爪ロック構造も提供しているが、部品点数や組み立ての複雑さが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解決し、構造が簡単で、ネイル詰まりを回避し、使用の利便性および安全性を確保する、ファスナー打撃工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明のファスナー打撃工具の基本的な技術的解決策は、ケーシング内シリンダとピストンで構成されるエネルギ貯蔵機構を含み、前記ピストンはガンノズルに延伸するストライカーに接続され、前記シリンダの一側にバッテリパック付きのハンドルが設けられ、前記ガンノズルの一側にネイルボックスが設けられ、前記ハンドルとネイルボックスの間に持上げ機構が設けられ、
前記持上げ機構は、噛合歯が長手方向に間隔を置いて分布されたストライカー、および所定の円弧長さで間隔を置いて噛合円筒が分布された駆動輪を含み、前記駆動輪はバッテリパックから給電されるモータに伝達可能に接続され、
前記駆動輪の所定円弧長さの対向側に径方向にシフトフィンガーが延伸し、前記ストライカーの噛合歯に対向する側面にシフトフィンガーに噛み合っている突出ピンが設けられ、前記シフトフィンガーは、前記噛合円筒が噛合歯と持上げ噛合される前に、すでに突出ピンの前方の噛合シフト位置に移行し、前記シフトフィンガーは、前記噛合円筒が噛合歯と持上げ噛合される時、噛合歯が噛合円筒との噛合位置に入るように突出ピンをシフトさせる。
【0006】
このように、別のロック機構を設ける必要がなく、構造が簡単で、シフトフィンガーは、噛合円筒が噛合歯と持上げ噛合される前に、実際に突出ピンをシフトさせるため、駆動輪が再び持上げ噛合を行う場合ストライカーとの噛合干渉を効果的に防止することができる。
【0007】
本発明のさらなる改善として、前記駆動輪は2つの対称輪片を有し、前記噛合円筒は2つの対称輪片の間に支持される。
【0008】
本発明のさらなる改善として、前記2つの対称輪片の所定円弧長さの対向側にそれぞれ径方向にシフトフィンガーが延伸し、前記ストライカーの噛合歯に対向する両側面に、対応のシフトフィンガーにそれぞれ噛み合っている円筒突出ピンを有する。
【0009】
本発明のさらなる改善として、前記シフトフィンガーは、突出ピンとともにカムペアを構成する均一持上げ曲線フランジを有する。
【0010】
本発明のさらなる改善として、前記均一持上げ曲線フランジの両端は、それぞれ受け渡し円弧を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、添付の図面と併せて本発明をさらに説明する。
【0012】
図1】本発明の実施例1の三次元構造の概略図である。
図2図1の実施例の断面視構造の概略図である。
図3図1の実施例の持上げ機構の三次元構造の概略図である。
図4図3の持上げ機構の噛合開始位置の構造の概略図である。
図5図3の持上げ機構の噛合終了位置の構造の概略図である。
図6】従来技術の噛合干渉構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
本実施例のファスナー打撃工具の基本構造は、図1および図2に示され、ケーシング1の後端にシリンダ2-2とピストン2-1で構成されるエネルギ貯蔵機構2が装備され、ピストン2-1はガンノズル3に延伸するストライカー4に固定的に接続される。シリンダ2-2の下側にバッテリパック5-1付きのハンドル5が設けられ、ガンノズル3の下側に釘列を収納するネイルボックス6が設けられ、ハンドル5とネイルボックス6の間に、上部の持上げ機構7と下部のモータ8および減速伝達機構8-1が設けられる。
【0014】
図3に示すように、持上げ機構は、噛合歯が長手方向に間隔を置いて分布されるストライカー4、およびそれに噛み合っている駆動輪9を有し、この駆動輪9は2つの対称輪片9-1、および2つの対称輪片間に支持されて所定の円弧長さに間隔を置いて分布される噛合円筒9-2で構成され、駆動輪9はバッテリパック5-1から給電されるモータ8に伝達可能に接続される。
【0015】
駆動輪9の2つの対称輪片の所定の円弧長さの対向側にそれぞれ、径方向にシフトフィンガー9-3が延伸し、ストライカー4の噛合歯に対向する両側面は、それぞれ対応のシフトフィンガー9-3に噛み合っている円筒突出ピン4-1を有する。本実施例では、対称輪片の構造は、従来技術のカンチレバー噛合円筒を両端支持構造に変更するだけでなく、これに基づいて両側シフトフィンガーと突出ピンの対称噛合構造を形成するため、支持力がより強く、伝達がより安定する。シフトフィンガー9-3は、突出ピン4-1とともにカムペアを構成する均一持上げ曲線フランジCを有し、均一持上げ曲線フランジCの両端はそれぞれ受け渡し円弧を有し、持上げ動作がスムーズで信頼性が高い。
【0016】
動作中、図4に示すように、シフトフィンガー9-3は、噛合円筒9-2が噛合歯と持上げ噛合される前に、すでに突出ピン4-1の前方の噛合シフト位置に移行し、つまり、ネイル詰まりなどによりストライカーが初期位置から外れても、シフトフィンガー9-3は突出ピン4-1と最初に噛み合う際にブロック役割を果たし、ストライカーの暴走を効果的に防止し、安全性を確保し、その後ストライカーが伝達によりシフトし、噛合円筒9-2が噛合歯との通常持上げ噛合位置に入ることができ、つまり、シフトフィンガー9-3は、噛合円筒9-2が噛合歯と持上げ噛合される前に、噛合歯が噛合円筒との噛合位置に入るように突出ピン4-1をシフトさせるため、図6に示されるようなネイル詰まりを回避する。その後、駆動輪が継続的に回転し、噛合円筒と噛合歯の持上げ噛合を完了し、図5に示す噛合解放位置に到達すると、ストライカーは釘を突然解放する。
【0017】
試験によると、ネイル詰まりに起因してストライカーが初期位置から外れたにもかかわらず、シフトフィンガーは噛合円筒が噛合歯と持上げ噛合される前に、突出ピンの前方のシフト位置に移行するため、シリンダに圧縮空気が残留しても、シフトフィンガーにより、ストライカーが暴走することがなく、シフトフィンガーは噛合円筒が噛合歯と持上げ噛合される際に、実際に突出ピンをシフトさせ、持上げの開始を補助するだけでなく、噛合歯が噛合円筒との噛合位置に入るように突出ピンをシフトさせるため、確実な噛合を確保し、駆動輪が再び持上げ噛合を行う場合ストライカーとの噛合干渉を効果的に回避することができる。
【0018】
上記の実施例に加え、本発明はさまざまな他の変形を有し得る。例えば、駆動輪の回転中、ストライカー上の突出ピンがストライカーの移動方向に沿った力のみを受けるようにするために、シフトフィンガーは他の曲線の持上げフランジに設計されてもよい。同等の置換や等価変形によって得られた技術的解決策は、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0019】
(付記)
(付記1)
ケーシング内シリンダとピストンで構成されるエネルギ貯蔵機構を含み、前記ピストンはガンノズルに延伸するストライカーに接続され、前記シリンダの一側にバッテリパック付きのハンドルが設けられ、前記ガンノズルの一側にネイルボックスが設けられ、前記ハンドルとネイルボックスの間に持上げ機構が設けられ、前記持上げ機構は、噛合歯が長手方向に間隔を置いて分布されたストライカー、および噛合円筒が所定の円弧長さで間隔を置いて分布された駆動輪を含み、前記駆動輪はバッテリパックから給電されるモータに伝達可能に接続されるファスナー打撃工具であって、
前記駆動輪の所定円弧長さの対向側に径方向にシフトフィンガーが延伸し、前記ストライカーの噛合歯に対向する側面にシフトフィンガーに噛み合っている突出ピンが設けられ、前記シフトフィンガーは、前記噛合円筒が噛合歯と持上げ噛合される前に、すでに突出ピンの前方の噛合シフト位置に移行し、前記シフトフィンガーは、前記噛合円筒が噛合歯と持上げ噛合される時、噛合歯が噛合円筒との噛合位置に入るように突出ピンをシフトさせる、ことを特徴とするファスナー打撃工具。
【0020】
(付記2)
前記駆動輪は2つの対称輪片を有し、前記噛合円筒は2つの対称輪片の間に支持される、ことを特徴とする付記1に記載のファスナー打撃工具。
【0021】
(付記3)
前記2つの対称輪片の所定円弧長さの対向側にそれぞれ径方向にシフトフィンガーが延伸し、前記ストライカーの噛合歯に対向する両側面に、対応のシフトフィンガーにそれぞれ噛み合っている円筒突出ピンを有する、ことを特徴とする付記2に記載のファスナー打撃工具。
【0022】
(付記4)
前記シフトフィンガーは、突出ピンとともにカムペアを構成する均一持上げ曲線フランジを有する、ことを特徴とする付記3に記載のファスナー打撃工具。
【0023】
(付記5)
前記均一持上げ曲線フランジの両端は、それぞれ受け渡し円弧を有する、ことを特徴とする付記4に記載のファスナー打撃工具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6