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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】扉案内装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/58 20060101AFI20231013BHJP
   E06B 3/50 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
E05D15/58 A
E06B3/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021574923
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 JP2021026102
(87)【国際公開番号】W WO2022044577
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2020144451
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021038888
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107572
【氏名又は名称】スガツネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 幸一
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-343767(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110454021(CN,A)
【文献】特開2020-514588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/58
E06B 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納本体の開口を開閉する扉を、上下方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に支持するとともに、開き位置から前記収納本体の側壁に沿って奥へと案内する扉案内装置において、
前後方向に水平に延び、上下に離れて前記収納本体の前記側壁に固定された複数のガイドレールと、
前記複数のガイドレールに、それぞれ前後方向にスライド可能に支持された複数のスライダと、
前記複数のスライダに連結された垂直フレームと、
前記スライダまたは前記垂直フレームに設けられ、前記扉を、前記回動軸線を中心に回動可能に支持するヒンジ機構と、
を備え、
前記スライダの少なくとも1つと前記垂直フレームとの間には、前記スライダと前記垂直フレームの間の角度を、前記回動軸線が垂直になる角度で維持するためのサポート手段が設けられていることを特徴とする扉案内装置。
【請求項2】
前記サポート手段は、前記回動軸線を垂直にして前記扉を直立姿勢に矯正するために、前記スライダと前記垂直フレームとの間の角度を調節する調節手段を有することを特徴とする請求項1に記載の扉案内装置。
【請求項3】
前記サポート手段が、少なくとも1つのサポート部材を含み、
前記調節手段は、前記少なくとも1つのサポート部材と前記スライダまたは垂直フレームとの連結位置を調節することができるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の扉案内装置。
【請求項4】
前記調節手段が、前記スライダまたは前記垂直フレームに形成された長穴と、前記少なくとも1つのサポート部材に設けられて前記長穴を通る係合軸部とを有し、
前記長穴の縁に複数の係合凹部が形成され、前記係合軸部が前記複数の係合凹部のいずれかに選択的に係合することを特徴とする請求項3に記載の扉案内装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのサポート部材が単一のサポート部材からなり、前記サポート部材が、第1端部を介して前記スライダに連結され第2端部を介して前記垂直フレームに連結されていることを特徴とする請求項3または4に記載の扉案内装置。
【請求項6】
前記サポート部材の前記第1端部と前記第2端部を結ぶ線が傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の扉案内装置。
【請求項7】
前記サポート部材の前記第1端部が、前記垂直フレームから離れた位置で前記スライダに連結されていることを特徴とする請求項5に記載の扉案内装置。
【請求項8】
前記サポート部材が前記垂直フレームに重なっており、前記第1端部が、前記垂直フレームに拘束されずに前記スライダに連結されていることを特徴とする請求項5に記載の扉案内装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのサポート部材が第1サポート部材と第2サポート部材を含み、前記第1サポート部材が前記垂直フレームの長手方向に延びており、
前記垂直フレームが第1連結点において前記スライダに回動可能に連結され、
前記第1サポート部材が前記第1連結点から前後方向に離れた第2連結点において前記スライダに回動可能に連結され、
前記第2サポート部材の一端部が前記第2連結点から上下方向に離れた第3連結点において前記第1サポート部材に回動可能に連結され、
前記調節手段が、前記垂直フレームに形成された前記長穴と、前記第2サポート部材の他端部に設けられた前記係合軸部を含み、前記係合軸部が前記第2サポート部材と前記垂直フレームとを連結する第4連結点として提供されることを特徴とする請求項4の扉案内装置。
【請求項10】
前記第1サポート部材と前記第2サポート部材が前記垂直フレームに重ねられていることを特徴とする請求項9に記載の扉案内装置。
【請求項11】
前記第1サポート部材が前記垂直フレームから前後方向に離れて配置され、前記第2サポート部材が前記第1サポート部材と前記垂直フレーム間に掛け渡されていることを特徴とする請求項9に記載の扉案内装置。
【請求項12】
前記サポート手段が、第1端部を介して前記スライダに連結され第2端部を介して前記垂直フレームに連結されるサポート部材を含み、
前記調節手段が前記サポート部材の長さを調節できるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の扉案内装置。
【請求項13】
前記サポート部材がターンバックルからなることを特徴とする請求項12に記載の扉案内装置。
【請求項14】
収納本体の開口を開閉する扉を、上下方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に支持するとともに、開き位置から前記収納本体の側壁に沿って奥へと案内する扉案内装置において、
前後方向に水平に延び、前記収納本体の前記側壁に固定された少なくとも1つのガイドレールと、
前記少なくとも1つのガイドレールに前後方向にスライド可能に支持されたスライダと、
前記スライダに連結された垂直フレームと、
前記垂直フレームに設けられ、前記扉を、前記回動軸線を中心に回動可能に支持するヒンジ機構と、
を備え、
前記スライダと前記垂直フレームとの間には、前記スライダと前記垂直フレームの間の角度を、前記回動軸線が垂直になる角度で維持するためのサポート手段が設けられていることを特徴とする扉案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押込み式扉の案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家具等において、扉を、開き位置から筐体の側壁に沿って奥へと押込むことにより、筐体に収納する構成は公知である。この押込み式扉を案内する装置は、後述する特許文献1に開示されているように、筐体の側壁の内面に固定されて前後方向に水平に延びる上下のガイドレールと、これらガイドレールに前後方向にスライド可能に支持されたスライダと、垂直に延びて上下のスライダに連結された連動フレームと、この連動フレームに設けられて扉を回動可能に支持する上下のヒンジ機構とを備えている。
【0003】
さらに特許文献1の扉案内装置は、扉の回動軸線を垂直にして扉を直立姿勢に維持するために、前後2本の垂直レールとリンク機構とを備えている。前側の垂直レールは連動フレームに固定され、後側の垂直レールは筐体の奥において筐体の側壁内面に固定されている。リンク機構は例えば第1、第2の2本のリンクの中央を回転可能に連結することによりX形状をなしている。2本のリンクの後端はローラを介して後側の垂直レールに走行可能に支持されている。第1のリンクの前端は前側の垂直レールに走行不能かつ回動可能に支持されており、第2のリンクの前端はローラを介して前側の垂直レールに走行可能に支持されている。
扉を開き位置から押し込むと、上下のスライダがガイドレールに沿ってスライドしながら、連動フレームが筐体の奥へと移動する。この過程でリンク機構が畳まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-58040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の扉案内装置では、2本の垂直レールとリンク機構を備えるため、大型でコスト高であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明は、収納本体の開口を開閉する扉を、上下方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に支持するとともに、開き位置から前記収納本体の側壁に沿って奥へと案内する扉案内装置において、
前後方向に水平に延び、上下に離れて前記収納本体の前記側壁に固定された複数のガイドレールと、前記複数のガイドレールに、それぞれ前後方向にスライド可能に支持された複数のスライダと、前記複数のスライダに連結された垂直フレームと、前記スライダまたは垂直フレームに設けられ、前記扉を、前記回動軸線を中心に回動可能に支持するヒンジ機構と、を備え、
前記スライダの少なくとも1つと前記垂直フレームとの間には、前記スライダと前記垂直フレームの間の角度を、前記回動軸線が垂直になる角度で維持するためのサポート手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、垂直フレームとスライダとの間に設けられたサポート手段により扉を直立姿勢で安定して支持することができる。また、大型のリンク機構を省略することができるので、低コスト化を図ることができる。
【0008】
好ましくは、前記サポート手段は、前記回動軸線を垂直にして前記扉を直立姿勢に矯正するために、前記スライダと前記垂直フレームとの間の角度を調節する調節手段を有する。
上記構成によれば、扉案内装置を介して扉を収納本体に設置した後で、調節手段により扉を直立姿勢に矯正することができる。
【0009】
好ましくは、前記サポート手段が、少なくとも1つのサポート部材を含み、前記調節手段は、前記少なくとも1つのサポート部材と前記スライダまたは垂直フレームとの連結位置を調節することができるように構成されている。
上記構成によれば、連結位置を調節することにより、比較的簡単に扉の姿勢を矯正できる。
【0010】
好ましくは、前記調節手段が、前記スライダまたは前記垂直フレームに形成された長穴と、前記少なくとも1つのサポート部材に設けられて前記長穴を通る係合軸部とを有し、前記長穴の縁に複数の係合凹部が形成され、前記係合軸部が前記複数の係合凹部のいずれかに選択的に係合する。
上記構成によれば、連結位置の調節を簡単に行うことができる。
【0011】
好ましくは、前記少なくとも1つのサポート部材が単一のサポート部材からなり、前記サポート部材が、第1端部を介して前記スライダに連結され第2端部を介して前記垂直フレームに連結されている。
上記構成によれば、サポート手段の構成をより一層簡略化することができる。
【0012】
好ましくは、前記サポート部材の前記第1端部と前記第2端部を結ぶ線が傾斜している。この構成によれば、扉の直立姿勢をより一層安定して維持することができる。
【0013】
一形態では、前記サポート部材の前記第1端部が、前記垂直フレームから離れた位置で前記スライダに連結されている。
上記構成によれば、スライダと垂直フレームの連結箇所と、サポート部材とスライダの連結箇所との間隔を長くすることができるので、扉が重くてもサポート部材により扉の直立姿勢を安定して維持することができる。
【0014】
他の形態では、前記サポート部材が前記垂直フレームに重なっており、前記第1端部が、前記垂直フレームに拘束されずに前記スライダに連結されている。
上記構成によれば、スライダの長さを短くすることができるので、扉を収納本体に押し込んだ状態で、収納本体からの扉の突出量を小さくすることができる。
【0015】
サポート手段は次の態様を採用することもできる。すなわち、前記少なくとも1つのサポート部材が第1サポート部材と第2サポート部材を含み、前記第1サポート部材が前記垂直フレームの長手方向に延びており、前記垂直フレームが第1連結点において前記スライダに回動可能に連結され、前記第1サポート部材が前記第1連結点から前後方向に離れた第2連結点において前記スライダに回動可能に連結され、前記第2サポート部材の一端部が前記第2連結点から上下方向に離れた第3連結点において前記第1サポート部材に回動可能に連結され、前記調節手段が、前記垂直フレームに形成された前記長穴と、前記第2サポート部材の他端部に設けられた前記係合軸部を含み、前記係合軸部が前記第2サポート部材と前記垂直フレームとを連結する第4連結点として提供される。
【0016】
上記サポート手段の一形態では、前記第1サポート部材と前記第2サポート部材が前記垂直フレームに重ねられている。他の形態では、前記第1サポート部材が前記垂直フレームから前後方向に離れて配置され、前記第2サポート部材が前記第1サポート部材と前記垂直フレーム間に掛け渡されている。
【0017】
さらに他の形態では、前記サポート手段が、第1端部を介して前記スライダに連結され第2端部を介して前記垂直フレームに連結されるサポート部材を含み、前記調節手段が前記サポート部材の長さを調節できるように構成されている。
上記構成によれば、サポート部材の長さを調節することにより、扉の姿勢を矯正することができる。
より好ましくは、前記サポート部材がターンバックルからなる。この構成によれば、簡単な操作で扉の姿勢を矯正することができる。
【0018】
本発明の他の態様は、収納本体の開口を開閉する扉を、上下方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に支持するとともに、開き位置から前記収納本体の側壁に沿って奥へと案内する扉案内装置において、
前後方向に水平に延び、前記収納本体の前記側壁に固定された少なくとも1つのガイドレールと、前記少なくとも1つのガイドレールに前後方向にスライド可能に支持されたスライダと、前記スライダに連結された垂直フレームと、前記垂直フレームに設けられ、前記扉を、前記回動軸線を中心に回動可能に支持するヒンジ機構と、を備え、
前記スライダと前記垂直フレームとの間には、前記スライダと前記垂直フレームの間の角度を、前記回動軸線が垂直になる角度で維持するためのサポート手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の扉案内装置は、扉を安定して回動可能に支持でき、しかも構成が小型で低コストである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本願発明の第1実施形態に係る扉案内装置を装備した家具の斜視図であり、扉が90°の開き位置にある状態を示す。
図1B】上記扉が筐体内に収納された状態を示す図1A相当図である。
図2】上記扉案内装置の側面図であり、筐体の仕切壁を省いて示す。
図3】上記扉案内装置の要部を拡大して示す側面図である。
図4】上記扉案内装置の要部の分解斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る扉案内装置の要部を拡大して示す側面図である。
図6】第2実施形態においてサポート部材を取り外した状態を示す図5相当図である。
図7】第2実施形態で用いられる連結ブラケットの拡大側面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る扉案内装置の要部を拡大して示す側面図である。
図9】同扉案内装置の要部の分解斜視図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る扉案内装置の要部を拡大して示す側面図である。
図11】本発明の第5実施形態に係る扉案内装置を装備した家具の正面図であり、扉が90°の開き位置から筐体に向かって押し込まれた状態を示す。
図12】同家具の斜視図であり、前傾姿勢の扉が90°開かれた状態を示す。
図13】同扉案内装置を分解して示す斜視図である。
図14】同扉案内装置の左側面図であり、扉が90°開かれた状態を示す。
図15図14の要部拡大側面図である。
図16】本発明の第6実施形態に係る扉案内装置を、分解した状態で、家具とともに示す斜視図である。
図17】同扉案内装置を家具の内側から見た側面図である。
図18】同扉案内装置の要部の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を、図1図4を参照しながら説明する。図1に示す家具は、筐体1(収納本体)と、押込み式の扉2とを備えている。以下の説明では、この筐体1の開口1a側を前側と言い、筐体1の奥を後側と言う。筐体1には、例えば右の側壁1bと平行に仕切壁1cが形成されており、これら右側壁1bと仕切り壁1cとの間に扉収納空間1dが形成されている。扉収納空間1dの入口には、後述するように扉2の押し込み、引き出しの際に扉2の側面を案内するローラ3が側壁1bの内面から離間して配置されている。なお、仕切り壁1cは省くことができる。
【0022】
図2に示すように、扉案内装置5は、筐体1の側壁1bの内面に固定された2本(複数)のガイドレール10を備えている。これらガイドレール10は、前後方向に水平に延びるとともに互いに上下に離間している。各ガイドレール10には、スライダ20がガイドレール10の長手方向(前後方向)にスライド可能に支持されている。本実施形態ではスライダ20はボールリテイナ25を介してガイドレール10に支持されているが、ボールリテイナ25を介さずに直接ガイドレール10に支持されていてもよい。
【0023】
扉案内装置5は、上下のスライダ20を連動させるための断面L字形の連動フレーム30(垂直フレーム)を備えている。連動フレーム30は略垂直に延び、その上下端部がそれぞれ上下のスライダ20の後部に連結されている。詳述すると、図4に示すように、下側のスライダ20の後部には2つのネジ穴21が前後に離間して形成されており、連動フレーム30の下端部には、2つの丸穴31が前後に離間して形成されている。これら丸穴31を貫通するネジ35をスライダ20のネジ穴21にねじ込むことにより、連動フレーム30の下端部が下側のスライダ20の後部に連結されている。連動フレーム30の上端部も同様にして上側のスライダ20の後部に連結されている。
【0024】
上下のスライダ20は、その前部に平板からなる連結ブラケット40,40’を有している。詳述すると、図4に示すように、下側のスライダ20の本体部の前部には、2つのネジ穴22が前後に離間して形成されている。下側の連結ブラケット40は台形をなし、その中間高さに前後に離間した2つの丸穴41が形成されている。これら丸穴41を貫通するネジ45をスライダ20のネジ穴22にねじ込むことにより、連結ブラケット40がスライダ20の本体部の前部に固定されている。この連結ブラケット40は、スライダ20の一部として提供される。上側の連結ブラケット40’は矩形をなし、上記と同様にして上側のスライダ20の前部に固定されている。
【0025】
上下の連結ブラケット40,40’の各々には、ヒンジ機構50が設けられている。本実施形態のヒンジ機構50は、連結ブラケット40,40’に固定された筐体側ヒンジ本体51と、扉2の右側縁近傍の内面に固定された扉側ヒンジ本体52と、これらヒンジ本体51,52を連結する複数のリンク53とを有している。ヒンジ機構50は、扉2を、垂直に延びる4本の回動軸線(図3において概略的に1つの回動軸線Lとして示す)を中心に回動可能に支持する。なお、これら回動軸線は扉2の開閉に伴って移動する。
【0026】
図2図3に示すように、扉案内装置5は、その下部にターンバックル60(サポート部材;サポート手段)を備えている。図4に示すように、ターンバックル60は、筒形状の操作筒61と、この操作筒61に螺合されて一直線上に延びる2本のネジロッド62,63とを有している。操作筒61の両端部内周には互いに逆ネジをなす雌ネジが形成されており、これら雌ネジにネジロッド62,63の雄ネジが螺合されている。これらネジロッド62,63の雄ネジと操作筒61により、ターンバックル60の長さを調節するための調節手段60Aが構成されている。ネジロッド62,63はその外端に、リング部62a,63aを有している。操作筒61を一方向に回すとターンバックル60が伸びてリング部62a,63aが離れ、他方向に回すとターンバックル60が縮んでリング部62a,63aが近付く。
【0027】
ターンバックル60の一端のリング部62aは、下側の連結ブラケット40の上端部に回動可能に連結されている。詳述すると、リング部62a内にはカラー65が収容され、リング部63aの両側にはワッシャ66とスペーサ67が配されている。これらカラー65、ワッシャ66,スペーサ67を貫通するネジ68を、連結ブラケット40の上端部に形成された丸穴42に通し、このネジ68と連結ブラケット40の裏側に配されたナット69で締め付けることにより、リング部62aが連結ブラケット40の上端部に回動可能に連結されている。図3において、この連結部(第1連結部;第1端部)に符号P1を付す。
【0028】
ターンバックル60の他端のリング部63aは、下側のスライダ20より所定距離上方において連動フレーム30に回動可能に連結されている。詳述すると、リング部63aは,リング部62aと同様に、カラー65、ワッシャ66,スペーサ67を貫通するネジ68を、連動フレーム30に形成された丸穴32に通し、このネジ68と連動フレーム30の裏側に配されたナット69で締め付けることにより、連動フレーム30に回動可能に連結されている。図3において、この連結部(第2連結部;第2端部)に符号P2を付す。
【0029】
上記構成をなす扉案内装置5の作用を説明する。扉2が閉じ位置にある時、上下のスライダ40およびヒンジ機構50は筐体1の開口1a近傍に位置している。扉2を90°回動させることにより扉2は図1Aの開き位置に至る。さらにこの開き位置から扉2を押し込むと、扉案内装置5の上下のヒンジ機構50と上下のスライダ20と連動フレーム30が一体となって奥へと移動し、扉2を図1Bに示す収納位置まで案内する。その結果、扉収納空間1dに扉2の大部分が収納される。
筐体1の開口1aを閉じる場合には、扉案内装置5の案内により扉2を引き出して図1Aの90°開き位置に戻し、さらに扉2を閉じ位置まで回動する。
【0030】
扉案内装置5は、回動軸線Lを垂直にし、扉2を直立姿勢で回動軸線Lを中心に回動可能に支持するように設計されている。しかし、実際にはガイドレール10とスライダ20との間の遊びや、スライダ20と連動フレーム30の連結部におけるネジ35と丸穴31との間の遊び等により、扉2は図2図3に想像線で示すように自重により前傾姿勢になり、回動軸線Lが垂直に維持されない。そのため、開閉機能に支障をきたす。
本実施形態では、ターンバックル60の調節により、扉2の前傾姿勢を直立姿勢に矯正し、回動軸線Lを垂直にすることができる。以下、詳述する。
【0031】
ターンバックル60は、例えば設計上スライダ40と連動フレーム30が直角をなすような長さに設定して、その両端を前述したように連動フレーム30と連結ブラケット40に連結しておく。上下のスライダ20と連動フレーム30を連結するネジ35は緩めておく。この状態で、扉2は自重により前傾姿勢になり(図2図3において想像線で示す)、回動軸線Lは傾いている。この扉2の姿勢を、ターンバックル60の操作筒61を回してターンバックル60の長さを調節することにより矯正する。本実施形態では、ターンバックル60を伸ばすことにより、スライダ20と連動フレーム30の間の角度Θ(図3参照)を調節して、図2図3で示すように、扉2を直立姿勢に矯正し(図2図3において実線で示す)、回動軸線Lを実質的に垂直に戻す。
【0032】
上記のように、ターンバックル60の操作筒61を回すだけで簡単に扉2の姿勢矯正を行うことができる。この矯正作業が完了したら、ネジ35を締める。なお、ネジ45と丸穴41間に遊びがある場合には、ターンバックル60による矯正作業に先立ちネジ45も緩めておき、矯正作業完了後に締める。
【0033】
上記扉2の姿勢矯正後、スライダ20と連動フレーム30の間の角度Θは、ターンバックル60により、回動軸線Lが実質的に垂直になり扉2が直立姿勢になるような角度に、維持される。そのため、扉2を長期にわたって安定して開閉することができる。
ターンバックル60を用いることにより、従来の扉案内装置のような複雑かつ大型のリンク機構を省略することができ、上記姿勢矯正作業も簡単に実行することができる。
本実施形態では、ターンバックル60の連結部P1、P2を前後方向に十分離間させることができるので、ターンバックル60の傾斜角度を大きくできる。そのため、扉2の重量が大きくても、上記角度維持機能を確実に果たすことができる。
【0034】
<第2実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これら実施形態において第1実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
図5図7に示す第2実施形態では、第1実施形態のターンバックル60の代わりに、1本の剛体例えば細長い板からなるサポート部材70(サポート手段)が用いられる。サポート部材70は、一端が連結ブラケット40の上端部に後述のようにして連結され、他端が連動フレーム30に、第1実施形態と同様のワッシャ66,スペーサ67、ネジ68(締結具)、ナット69(図4参照)を用いて回動可能に連結されている。
【0035】
サポート部材70の両端部には丸穴(図示しない)が形成されており、それぞれネジ68が貫通している。図6図7に示すように、連結ブラケット40の上端部には、第1実施形態の丸穴42の代わりに、前後方向に延びる長穴43が形成されており、この長穴43にネジ68の軸部68a(係合軸部)が通っている。この長穴43の下縁には複数例えば4つの係合凹部43aが形成されている。
【0036】
第2実施形態では、姿勢矯正の前に、上下のスライダ20と連動フレーム30を連結するネジ35を緩めておく。姿勢矯正の際には、扉2を持って扉2の回転軸線を垂直にし扉2を直立姿勢にする。この姿勢において、連結部P1のネジ68の軸部68aを、4つの係合凹部43aの1つに選択的に係合させる。このようにして、スライダ20と連結フレーム30との間の角度を調節し、サポート部材70によりこの調節した角度を維持する。矯正作業完了後にネジ35を締める。
【0037】
上記説明から理解できるように、係合凹部43aを有する長穴43とネジ68の軸部68aにより、扉2の姿勢を矯正するための調節手段70Aが構成されている。本実施形態では、1本の剛体によりサポート部材70を構成するので、サポート部材70をさらに簡略化でき、低コスト化を図ることができる。他の作用は第1実施形態と同様である。
【0038】
第2実施形態において、サポート部材70の一端を連結ブラケット40に回動可能に連結し、連結部P2に上記と同様の調節手段を設けても良い。この場合、連動フレーム30に長穴が形成され、この長穴の上縁に複数の係合凹部が形成される。
【0039】
<第3実施形態>
図8図9に示す第3実施形態では、第1実施形態と同様にターンバックル60が用いられる。本実施形態では、上下のスライダ20の前後方向の長さが第1実施形態より短い。
連動フレーム30は第1実施形態よりやや幅広で、スライダ20の略全長を覆うようにして上下のスライダ20に連結されている。連動フレーム30は、下側のスライダ20への連結部からさらに下方に突出しており、その突出端部に下側のヒンジ機構50の筐体側ヒンジ本体51が連結されている。図示しないが、連動フレーム30は上側のスライダ20への連結部からさらに上方に突出しており、その突出端部に上側のヒンジ機構50の筐体側ヒンジ本体51が連結されている。
【0040】
連動フレーム30には、下側のスライダ20の反対側においてターンバックル60(サポート部材)と連結ブラケット80が重なるように配置されている。連結ブラケット80の下部中央には大きな径の丸穴からなる逃がし穴81が形成され、その両側には丸穴82が形成されている。
連動フレーム30には、連結ブラケット80の逃がし穴81に対応した位置に1つの丸穴31が形成されており、連結ブラケット80の丸穴82に対応した位置に縦長の長穴からなる逃がし穴33が形成されている。
【0041】
1つのネジ35を連結ブラケット80の逃がし穴81と連動フレーム30の丸穴31に通し、スライダ20のネジ穴21にねじ込むことにより、連動フレーム30とスライダ20が1点において連結されている。
2つのネジ85(締結具)を、連結ブラケット80の丸穴82と連動フレーム30の逃がし穴33に通して、スライダ20に形成されたネジ穴26にネジ込むことにより、連結ブラケット80が連動フレーム30を介してスライダ20に固定される。この連結ブラケット80はスライダ20の一部として提供される。連動フレーム30とスライダ20は、上記ネジ35を中心として相対的に回動可能である(つまり角度調節可能である)。
なお、補助ネジ86が連動フレーム30の長穴34を通りスライダ20のネジ穴27にねじ込まれている。この補助ネジ86は、連動フレーム30とスライダ20の間の角度調節の支障とならない。
【0042】
ターンバックル60のリング部63aは第1実施形態と同様にして連動フレーム30に回動可能に連結されている。ターンバックル60のリング部62aは、カラー65とワッシャ66を通るネジ68を連結ブラケット80の上部に形成されたネジ穴83にねじ込むことにより、連結ブラケット80に回動可能に連結されている。
図示しないが、上側のガイドレールに支持されたスライダ20と連動フレーム30も同様に連結されるが、ターンバックルは省くことができる。
【0043】
上記構成において、ターンバックル60の長さ調節による扉2の姿勢の矯正作業は第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。姿勢矯正作業に先立ち、ネジ35、85,86を緩めておき、姿勢矯正作業の完了後に締める。ターンバックル60による姿勢矯正作業では、スライダ20と連動フレーム30の角度は、1本のネジ35を中心とする相対回動により調節される。
本実施形態では、連結ブラケット80を連動フレーム30に重ねて配置することにより、スライダ20の長さを短縮でき、扉2を第1実施形態よりさらに筐体1の奥へと収納することができる。
【0044】
<第4実施形態>
図10に示す第4実施形態の扉案内装置では、ターンバックル60(サポート部材)が垂直をなしている。ターンバックル60が配置される直線に対して、ネジ35(すなわちスライダ20と連動フレーム30の間の角度調節の回動中心)は外れた位置にある。他の構成は第3実施形態と同じであるので、同番号を付して説明を省略する。
【0045】
<第5実施形態>
次に、図11図15を参照しながら、本発明の第5実施形態に係る扉案内装置について説明する。図12図14図15では、扉2が姿勢矯正される前の前傾姿勢の状態で示されている。
本実施形態では、扉2を開き位置から筐体1の側壁1bの外面に沿って押し込むように構成されており、前後方向に水平に延びる複数例えば上下2本のガイドレール10が、筐体1の側壁1bの外面に固定されている。扉2は、第3、第4実施形態と同様に、連動フレーム30に設けられた複数のヒンジ機構50により支持されている。
【0046】
図13に示すように、上下のスライダ20と連動フレーム30との間には連動フレーム30と重なるようにして連結ブラケット90が配置されている。この連結ブラケット90はクランク形状を有しており、ガイドレール10に沿う垂直片部91と、連動フレーム30に沿う垂直片部92と両者を連ねる中間の水平片部93とを有している。垂直片部91に形成された4つの丸穴91aを通るネジ95をスライダ20のネジ穴にねじ込むことにより、連結ブラケット90がスライダ20に固定されている。連結ブラケット90はスライダ20の一部として提供される。これらネジ95は、連動フレーム30の上下端近傍に形成された大径の作業穴36を介してねじ込まれるようになっている。
【0047】
上下の連結ブラケット90の垂直片92の前端部には丸穴92aが形成されており、これら丸穴92aを通るネジ101を連動フレーム30の上下のネジ穴37にそれぞれねじ込むことにより、連動フレーム30が上下の連結ブラケット90に1点で連結されている。このネジ101は、連動フレーム30と上下のスライダ20の間の角度を調節する際の相対回動の中心となる。
【0048】
図13図15に示すように、本実施形態の扉案内装置は、連動フレーム30の外側(側壁1bの反対側)に配されたサポート機構100(サポート手段)を備えている。このサポート機構100は、上下方向に長く延びる第1サポート部材110と、傾斜した第2サポート部材120とを有している。これらサポート部材110,120は、細長い板状の剛体からなり、連動フレーム30と重なるようにして配置されている。
【0049】
上下の連結ブラケット90の垂直片部92の後端部に丸穴92bが形成され、第1サポート部材110の上下端部に丸穴111が形成され、連動フレーム30の対応する箇所には上下方向に延びる長穴38が形成されている。これら丸穴92b、111、長穴38を通るネジ103とナット104(図15にのみ示す)により、上下の連結ブラケット90(上下のスライダ20)と第1サポート部材110の上下端部が回動可能に連結されている。
【0050】
第1サポート部材110には下端から所定距離上方に丸穴112が形成されており、連動フレーム30の対応箇所には上下に延びる長穴38’が形成されている。この丸穴112と長穴38’を通るネジ105を、第2サポート部材120の一端に固定されたナット106にねじ込むことにより、第1サポート部材110と第2サポート部材120がネジ105を中心にして回動可能に連結されている。
【0051】
上記ネジ103が上記連動フレーム30の長穴38を通り、ネジ105が長穴38’を通ることにより、第1サポート部材110は、連動フレーム30に対して垂直方向(連動フレーム30の長手方向)に変位可能である。
【0052】
第2サポート部材120の他端にはネジ穴121が形成されており、連動フレーム30にはこのネジ穴121に対応した箇所に長穴39が形成されている。本実施形態ではこの長穴39は円弧をなし傾斜して前後に延びている。長穴39の下縁に沿って複数の係合凹部39aが形成されている。ネジ107が連動フレーム30の長穴39に挿通されて第2サポート部材120のネジ穴121にねじ込まれている。このネジ107の軸部107a(係合軸部)が、第2実施形態と同様に、長穴39の複数の係合凹部39aに選択的に係合される。この軸部107aと長穴39より調節手段100Aが構成されている。
【0053】
第1サポート部材110、第2サポート部材120、連結ブラケット90および連動フレーム30は、図示の一点鎖線で示すリンク機構を構成している。リンクL90は連結ブラケット90により構成され、リンクL30は連動フレーム30により構成され、リンクL110は第1サポート部材110により構成され、リンクL120は第2サポート部材120により構成されている。リンクL30とリンクL90の連結点C1はネジ101により構成され、リンクL90とリンクL110の連結点C2はネジ103により構成され、リンクL110とリンクL120の連結点C3はネジ105により構成され、リンクL30とリンクL120の連結点C4はネジ107により構成されている。連結点C1~C4はリンクを回動可能に連結しているが、リンクL110を構成する第1サポート110が上下のスライダ20に連結されているため、ネジ107の軸部107aの係合凹部39aへの係合位置が決まれば、リンク機構は一義的に位置決めされる。
【0054】
第5実施形態において、前傾姿勢にある扉2の姿勢矯正工程について主に図14図15を参照しながら、説明する。扉2を手で持ち前傾姿勢から直立姿勢にする(扉2の回動軸線を垂直にする)過程で、連動フレーム30は、スライダ20(連結ブラケット90)に対して連結点C1(ネジ101)を中心として後方へすなわち図において反時計回り方向に回動し、これに伴いサポート機構100の第1サポート部材110も連動フレーム30と同方向に同角度で回動する。第1サポート部材110の回動中心は連結点C2(ネジ103)にあり、連動フレーム30の回動中心である連結点C1(ネジ101)から離れているため、第1サポート部材110は連動フレーム30に対して長手方向(上下方向)に変位する。
【0055】
上記第1サポート部材110の反時計回り方向の回動に伴い、第1サポート部材110と第2サポート部材120の連結点C3(ネジ105)が後方に移動する。これに伴い、連結点C4すなわち第2サポート部材120の他端部のネジ107の軸部107aの係合位置が、前側の係合凹部39aから後側の係合凹部39aへと移る。このようにして連動フレーム30とスライダ20の間の角度が、扉2を直立姿勢にするように調節される。
上記調節された角度は、第1サポート部材110と第2サポート部材120により維持され、その結果、扉2の直立姿勢(扉2の回動軸線の垂直状態)が維持される。
【0056】
図16図18に示す第6実施形態の扉案内装置は、筐体1の側壁1bの内面に固定された4本(複数)のガイドレール10を備えている。連動フレーム30は、各スライダ20にそれぞれ3つのネジ231,232,233により、直接連結されている。連動フレーム30にはスライダ20の近傍においてヒンジ機構50が取り付けられている。
【0057】
連動フレーム30の前縁に最も近いネジ231は、連動フレーム30に形成された丸穴を通ってスライダ20のネジ穴(いずれも図示せず)にねじ込まれており、他のネジ232,233は、連動フレーム30に形成された縦長の逃がし穴242,243を通って、スライダ20のネジ穴にねじ込まれている。連動フレーム30の後縁近傍の逃がし穴243は、中間位置にある逃がし穴242より長い。逃がし穴242,243の長さは、最下段で最も長く、上段に向かうにしたがって短くなる。この連結構造により、連動フレーム30は、各段のスライダ20に対して前側のネジ231を中心に角度調節可能である。
【0058】
<第6実施形態>
第6実施形態では、第5実施形態と似たサポート機構200(サポート手段)が用いられる。このサポート機構200は、上下方向に長く延びる第1サポート部材210と、傾斜した第2サポート部材220とを有している。これらサポート部材210,220は、細長い板状の剛体からなる。
【0059】
本実施形態の第1サポート部材210は、第5実施形態と異なり、連動フレーム30と重ならず、連動フレーム30の後方に配置されている。第1サポート部材210は、各段のスライダ20に2本のネジ235,236により直接連結されている。後側のネジ235は、第1サポート210に形成された丸穴を通ってスライダ20のネジ穴(いずれも図示せず)にねじ込まれており、前側のネジ236は、第1サポート部材210に形成された縦長の逃がし穴246を通って、スライダ20のネジ穴にねじ込まれている。この連結構造により、連動フレーム30が各段のスライダ20に対して角度調節される際に、第1サポート部材210は、スライダ20に対してネジ235を中心として回動可能である。
【0060】
第1サポート部材210には下端から所定距離上方に丸穴(図示しない)が形成されており、この丸穴を通るピン250を、第2サポート部材220に加締めて固定することにより、第1サポート部材210と第2サポート部材220がピン250を中心にして回動可能に連結されている。
【0061】
第2サポート部材220の他端にはネジ穴(図示しない)が形成されており、連動フレーム30には長穴39が形成されている。長穴39の下縁に沿って複数の係合凹部39aが形成されている。ネジ260が連動フレーム30の長穴39に挿通されて第2サポート部材220のネジ穴にねじ込まれている。このネジ260の軸部(係合軸部)が、長穴39の複数の係合凹部39aの1つに選択的に係合される。このネジ260の軸部と長穴39より調節手段200Aが構成されている。
【0062】
第1サポート部材210、第2サポート部材220、スライダ20および連動フレーム30は、図示の一点鎖線で示すリンク機構を構成している。リンクL20はスライダ20により構成され、リンクL30は連動フレーム30により構成され、リンクL210は第1サポート部材210により構成され、リンクL220は第2サポート部材220により構成されている。リンクL30とリンクL20の連結点C1はネジ231により構成され、リンクL20とリンクL210の連結点C2はネジ235により構成され、リンクL210とリンクL220の連結点C3はピン250により構成され、リンクL30とリンクL220の連結点C4はネジ260により構成されている。
【0063】
第6実施形態における扉2の姿勢矯正工程は第5実施形態と同様であるから、詳細な説明を省略する。姿勢矯正工程に先立って、各段のスライダ20と連動フレーム30を連結するネジ231~233,および各段のスライダ20と第1サポート部材210を連結するネジ235,236を緩めておき、姿勢矯正工程終了後に締め付けるのが好ましい。
【0064】
本発明は、上記実施形態に制約されず、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
図1図4に示す第1実施形態において、連動フレーム30を上下のスライダ20の前部に配置してもよい。この場合、下側の連結ブラケット40はスライダ20の後部に配置され、ターンバックル60は第1実施形態と傾きが逆になるため、ターンバックル60の長さを縮めることによって扉の姿勢を矯正する。この構成では連動フレーム30にヒンジ機構50を設けるので、上側の連結ブラケット40は不要である。第2実施形態も同様の構成を採用可能である。
【0065】
第1~第6実施形態において、サポート手段は扉案内装置の上部に配置してもよいし、上部と下部の両方に配置してもよい。
筐体の開口を左右の2枚の扉で開閉してもよい。この場合には、扉案内装置は2組必要である。
【0066】
第1~第4、第6実施形態において、扉を開き位置から筐体の側壁の外面に沿って押し込んでもよい。この場合、ガイドレールは側壁の外面に固定される。同様に第5実施形態において、扉を側壁の内面に沿って押し込んでもよい。
【0067】
上述した実施形態では、4つの移動可能な回動軸線を有するヒンジ機構を用いたが、より構成が簡単な1つの回動軸線を有するヒンジ機構(いわゆる1軸ヒンジ)を用いてもよい。この回動軸線は定位置にあって動かない。
上述した実施形態ではヒンジ機構を複数用いたが、垂直方向に延びる細長い単一のヒンジ機構(例えば1軸ヒンジ)を用いてもよい。この場合、ヒンジ機構は垂直フレームに取り付けられる。
【0068】
ガイドレールの本数は、扉の重量に応じて適宜選択することができる。
扉を支持するためのヒンジ機構を垂直フレームに設ける実施形態では、扉が軽い場合には、ガイドレールは1本でもよい。この実施形態において、前述した第1~第6実施形態の構造を適宜用いることができる。
【0069】
予め決められた収納本体と扉に扉案内装置を設置する場合には、扉の前傾の程度が既知であるので、扉を直立姿勢に維持することができる垂直フレームとスライダの間の角度を予め求めることができる。そのため、垂直フレームとスライダに、この角度を維持できる連結部(例えば係合穴の位置)をそれぞれ形成しておき、これら連結部に剛体からなるサポート部材の両端部を連結してもよい。この場合、調節手段を省略できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、押込み式扉の案内装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 筐体(収納本体)
1a 開口
1b 側壁
2 扉
5 扉案内装置
10 ガイドレール
20 スライダ
30 連動フレーム(垂直フレーム)
39 長穴
39a 係合凹部
43 長穴
43a 係合凹部
50 ヒンジ機構
60 ターンバックル(サポート部材;サポート手段)
60A 調節手段
68a 軸部(係合軸部)
70 サポート部材(サポート手段)
70A 調節手段
100、200 サポート機構(サポート手段)
100A、200A 調節手段
107a 軸部(係合軸部)
110、210 第1サポート部材
120、220 第2サポート部材
L 回動軸線
P1 第1連結部(第1端部)
P2 第2連結部 (第2端部)
C1~C4 連結点(第1~第4連結点)
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18