(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/18 20060101AFI20231013BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20231013BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20231013BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G06F1/18 C
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
G06F1/16 312J
H05K7/00 B
H05K5/02 V
(21)【出願番号】P 2022046909
(22)【出願日】2022-03-23
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 旅人
(72)【発明者】
【氏名】劉 ガロ
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】森野 貴之
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0324964(US,A1)
【文献】特開2003-158355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16-1/18
H05K5/00-5/06;7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1電子部品を搭載した第1筐体と、
前記第1筐体と隣接し、第2電子部品を搭載した第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
前記ヒンジ装置を通過して前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1電子部品と前記第2電子部品とを接続するフレキシブル基板と、
を備え、
前記第1筐体は、フラットな内面を有し、
前記フレキシブル基板は、前記第1筐体内において、順に並んで互いに逆向きに湾曲した第1折返し部及び第2折返し部を有
し、該第1折返し部及び第2折返し部と前記ヒンジ装置を通過する部分との間が前記第1筐体のフラットな内面上に摺動可能な状態でフラットに載置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記第1折返し部及び前記第2折返し部は、全体として略S字形状に形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記第2筐体は、フラットな内面を有し、
前記フレキシブル基板は、前記第2筐体内において、順に並んで互いに逆向きに湾曲した第3折返し部及び第4折返し部をさらに有
し、該第3折返し部及び第4折返し部と前記ヒンジ装置を通過する部分との間が前記第2筐体のフラットな内面上に摺動可能な状態でフラットに載置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項
3に記載の電子機器であって、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有するディスプレイと、
前記第1筐体に固定され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第1プレートと、
前記第2筐体に固定され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持する第2プレートと、
をさらに備え、
前記第1折返し部及び前記第2折返し部は、前記第1プレートのフラットな裏面と、前記第1筐体のフラットな内面との間に形成された第1空間に配置され、
前記第3折返し部及び前記第4折返し部は、前記第2プレートのフラットな裏面と、前記第2筐体のフラットな内面との間に形成された第2空間に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項
4に記載の電子機器であって、
前記第1筐体は、その内面から前記第1プレート側に向かって起立し、前記第1電子部品が配置された空間と前記第1空間とを仕切る第1立壁を有し、
前記第2筐体は、その内面から前記第1プレート側に向かって起立し、前記第2電子部品が配置された空間と前記第2空間とを仕切る第2立壁を有し、
前記第
1折返し部は、前記第1立壁に面して配置され、
前記第
3折返し部は、前記第1立壁に面して配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項
5に記載の電子機器であって、
前記フレキシブル基板は、
前記第1折返し部及び第2折返し部よりも前記第1電子部品に近い位置で
あって、前記第1立壁を基準として前記第1空間側とは反対側の位置で前記第1筐体に固定された第1固定部と、
前記第3折返し部及び第4折返し部よりも前記第2電子部品に近い位置で
あって、前記第2立壁を基準として前記第2空間側とは反対側の位置で前記第2筐体に固定された第2固定部と、
前記第1固定部と前記第2固定部の間で前記ヒンジ装置に固定された第3固定部と、
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記フレキシブル基板は、
前記第1折返し部及び第2折返し部よりも前記第1電子部品に近い位置で前記第1筐体に固定された第1固定部と、
前記第2筐体に固定された第2固定部と、
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器であって、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有するディスプレイと、
前記第1筐体に固定され、表面で前記ディスプレイの裏面を支持するプレートと、
をさらに備え、
前記第1折返し部及び前記第2折返し部は、前記プレートのフラットな裏面と、前記第1筐体のフラットな内面との間に形成された空間に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の筐体を相対的に回動可能に連結した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないPCやスマートフォン等の電子機器が急速に普及している。この種の電子機器のディスプレイは、使用時には大きい方が望ましい反面、非使用時には小型化できることが望まれている。そこで、例えば有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイを用いることで、筐体間を折り畳み可能に構成した電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子機器では、左右の筐体にそれぞれ搭載された電子部品間を接続する配線は、筐体間の回動動作時に生じる内輪差によって伸縮動作を生じる。すなわち、配線は、筐体間が折り畳まれた状態では伸長され、筐体間が開かれた状態では余長を生じる。
【0005】
上記特許文献1の構成では、左右の筐体間の境界に位置する背表紙部材に溝部を設け、この溝部内で配線を水平方向に撓ませることで配線の余長を吸収している。このように、金属線を絶縁被覆した一般的なケーブル状の配線であれば、単に水平方向に撓ませるだけで伸縮動作を吸収できる。
【0006】
ところで、左右の筐体間で送受信される情報量が大きい場合等、一般的な配線では太くなり過ぎるときは、フレキシブル基板を使用することが考えられる。ところが、フレキシブル基板は、水平方向への折り曲げができないため、上記特許文献1の構造によって余長を吸収することはできない。他方、余長の吸収を考慮せずにフレキシブル基板を左右の筐体間に延在させた場合は、筐体の回動動作時にフレキシブル基板がばたつき、円滑に余長を吸収することが難しい。なお、このようなフレキシブル基板の余長の問題は、フレキシブルディスプレイを用いない折り畳み型の電子機器でも同様に生じ得る。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、相対的に回動可能に連結された筐体間に亘るフレキシブル基板の余長を円滑に吸収できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係る電子機器は、第1電子部品を搭載した第1筐体と、前記第1筐体と隣接し、第2電子部品を搭載した第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1電子部品と前記第2電子部品とを接続するフレキシブル基板と、を備え、前記フレキシブル基板は、前記第1筐体内において、順に並んで互いに逆向きに湾曲した第1折返し部及び第2折返し部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、相対的に回動可能に連結された筐体間に亘るフレキシブル基板の余長を円滑に吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す電子機器の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、フレキシブル基板の変形例に係る余長吸収構造を示す模式的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0013】
図1~
図3に示すように、電子機器10は、第1筐体12A及び第2筐体12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の電子機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCを例示する。電子機器10は、スマートフォン又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0014】
各筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。第1筐体12Aは、フレーム部材17Aと、カバー部材18Aとを備える。フレーム部材17Aは、第2筐体12Bとの隣接端部12Aa以外の3辺に立壁を形成した矩形の枠状部材である。カバー部材18Aは、フレーム部材17Aの裏面開口を閉じるプレート状部材である(
図4Aも参照)。同様に、第2筐体12Bは、第1筐体12Aとの隣接端部12Ba以外の3辺に立壁を形成したフレーム部材17Bと、フレーム部材17Bの裏面開口を閉じるカバー部材18Bとを備える。フレーム部材17A,17Bの表面開口は、ディスプレイ16で閉じられる。
【0015】
各部材17A,17B,18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属部材、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。
【0016】
ヒンジ装置14は、筐体12A,12Bを0度姿勢と180度姿勢との間で相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、
図1に示す0度姿勢で形成される隣接端部12Aa,12Ba間の隙間を隠す背表紙としても機能する。
【0017】
以下、電子機器10について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する隣接端部12Aa,12Baに沿う方向をY方向、筐体12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。X方向については、第2筐体12Bから第1筐体12Aに向かう方向をX1方向、その逆をX2方向と呼ぶこともある。Z方向については、各筐体12A,12Bの背面から表面、つまり内面12Ab,12Bbからディスプレイ16に向かう方向をZ1方向、その逆をZ2方向と呼ぶこともある。また、筐体12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(
図1参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(
図2及び
図4A参照)と呼んで説明する。0度と180度の間の姿勢は適宜角度を刻んで呼ぶことができ、例えば筐体12A,12Bの互いの面方向が直交した状態が90度姿勢となる。これらの角度は説明の便宜上のものであり、実際の製品では角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じ得る。
【0018】
図3に示すように、第1筐体12Aは、マザーボード20を搭載している。マザーボード20は、CPU(Central Processing Unit)、通信モジュール、SSD(Solid State Drive)等の電子部品が実装されている。CPUは、電子機器10の主たる制御や処理に関する演算を行う処理装置である。通信モジュールは、例えばワイヤレスWANや第5世代移動通信システムに対応しており、筐体12A,12B内に搭載されたアンテナを介して送受信される無線通信の情報処理を行う。SSDは、半導体メモリを用いた記憶装置である。第1筐体12Aは、マザーボード20以外にも各種電子部品が搭載される。
【0019】
第2筐体12Bは、バッテリ装置21、ディスプレイボード22、及びサブカード23を搭載している。バッテリ装置21は、電子機器10のメイン電源となる二次電池である。なお、第1筐体12Aには、サブ電源となるバッテリ装置24が搭載されている。ディスプレイボード22は、ディスプレイ16の制御基板である。サブカード23は、例えば電源ボタンやUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠した外部コネクタ等を実装した基板である。第2筐体12Bは、バッテリ装置21等以外にも各種電子部品が搭載される。
【0020】
電子機器10は、第2筐体12Bにマザーボード20を搭載し、第1筐体12Aにバッテリ装置21等を搭載してもよい。電子機器10は、例えばマザーボード20とサブカード23を第1筐体12Aに搭載し、バッテリ装置21を第2筐体12Bに搭載する等、各電子部品の配置を適宜変更してもよい。
【0021】
図3に示すように、筐体12A,12B間は、例えば3本のフレキシブル基板26,27,28によって電気的に接続されている。フレキシブル基板26~28は、可撓性を持った絶縁性フィルムを用い、薄く且つ柔軟に形成したフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuit)である。
【0022】
図3に示すように、フレキシブル基板26は、X方向に沿う直線形状に形成されている。フレキシブル基板26は、第1筐体12A側の第1端部26aがマザーボード20に接続され、第2筐体12B側の第2端部26bがバッテリ装置21に接続される。
【0023】
フレキシブル基板27は、X方向に沿う直線形状に形成され、フレキシブル基板26よりも全長が長い。フレキシブル基板27は、第1筐体12A側の第1端部27aがマザーボード20に接続され、第2筐体12B側の第2端部27bがディスプレイボード22に接続される。
【0024】
フレキシブル基板28は、X方向に延在しつつ、一部がY方向に屈曲したクランク形状を有し、フレキシブル基板27よりも全長が長い。フレキシブル基板28は、第1筐体12A側の第1端部28aがマザーボード20に接続され、第2筐体12B側の第2端部28bがサブカード23に接続される。
【0025】
フレキシブル基板26~28の接続対象は上記以外でもよい。フレキシブル基板26~28の設置本数は変更してもよい。
【0026】
図4Aは、
図3中のVI-VI線に沿う模式的な断面図である。
図4Bは、
図4Aに示す電子機器10を0度姿勢とした状態を示す模式的な断面図である。
【0027】
図1及び
図4Bに示す0度姿勢において、筐体12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれた状態となる。ディスプレイ16は、有機ELで形成されたペーパー状のフレキシブルディスプレイである。0度姿勢時、ディスプレイ16は、
図2に示す第1筐体12A側の領域R1と第2筐体12B側の領域R2とが対向するように配置され、領域R1,R2間の境界領域である折曲領域R3が円弧状に折り曲げられた状態となる。
図2~
図4Aに示す180度姿勢において、筐体12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ16は、領域R1,R2及び折曲領域R3がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す。
【0028】
ディスプレイ16は、領域R1が第1筐体12Aに対して相対的に固定され、領域R2が第2筐体12Bに対して相対的に固定される。具体的には、
図4Aに示すように、領域R1の裏面16aが第1プレート30Aを介して第1筐体12Aと固定され、領域R2の裏面16aが第2プレート30Bを介して第2筐体12Bと固定される。
【0029】
プレート30A,30Bは、ヒンジ装置14を間に挟むように左右に配置され、それぞれの表面30Aa,30Baでディスプレイ16を支持する。ディスプレイ16の裏面16aは、領域R1が第1プレート30Aの表面30Aaに粘着固定され、領域R2が第2プレート30Bの表面30Baに粘着固定される。プレート30A,30Bは、例えば炭素繊維にエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂板と、この炭素繊維強化樹脂板の裏面の外周を囲むマグネシウム合金製の金属フレームとを有する構成である。
【0030】
ディスプレイ16の折曲領域R3は、筐体12A,12Bに対して相対移動可能である。180度姿勢時、折曲領域R3の裏面16aは、ヒンジ装置14で支持される(
図4A参照)。0度姿勢時、折曲領域R3は、円弧状に折り曲げられ、裏面16aの一部がヒンジ装置14で支持され、大部分はヒンジ装置14から離間する(
図4B参照)。
【0031】
図3~
図4Bに示すように、本実施形態のヒンジ装置14は、ヒンジ本体31と、第1サポートプレート32Aと、第2サポートプレート32Bとを有する。
【0032】
ヒンジ本体31は、筐体12A,12Bの隣接端部12Aa,12Baを跨ぐ位置に設けられ、隣接端部12Aa,12Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。ヒンジ本体31は、アルミニウム等の金属材料で形成されたブロック状部品である。ヒンジ本体31には、180度姿勢でX方向に並ぶ2本のヒンジ軸14A,14Bが支持されている(
図7参照)。
【0033】
図3に示すように、第1ヒンジ軸14Aには、第1リンクアーム33Aの第1端部が軸周りに回転可能に支持されている。第1リンクアーム33Aの第2端部は、第1ブラケット34Aに対して回転軸を用いて相対回転可能に連結されている。第1ブラケット34Aは、第1筐体12Aの内面12Abにねじ固定されている。第1ヒンジ軸14Aと第1ブラケット34Aとの間には、さらに、第1リンクアーム33Aの動作を補助する第1サポートアーム35Aが支承されている。
【0034】
第2筐体12Bの内面12Bbには、第1ブラケット34Aと左右対称構造の第2ブラケット34Bが固定されている。第2ヒンジ軸14Bと第2ブラケット34Bとの間も、第1リンクアーム33A及び第1サポートアーム35Aと同様な第2リンクアーム33B及び第2サポートアーム35Bで連結されている。
【0035】
図3に示すように、ヒンジ装置14は、1枚の第1ブラケット34Aに第1リンクアーム33A及び第1サポートアーム35Aを1本ずつ連結した可動部14Cを複数有する。各可動部14Cは、ヒンジ本体31の長手方向であるY方向に沿って互いに間隙を空けて並んでいる。第2ブラケット34B、第2リンクアーム33B、及び第2サポートアーム35Bも同様な可動部14Cを構成している。これによりヒンジ本体31は、筐体12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ本体31内には、筐体12A,12B間の回動動作を同期させるギヤ機構や、筐体12A,12B間の回動動作に所定の回動トルクを付与するトルク機構等も設けられている。
【0036】
図1、
図4A及び
図4Bに示すように、ヒンジ本体31の外面には、化粧カバーとなる背表紙部品36が取り付けられている。背表紙部品36は、ヒンジ本体31の外面形状に合わせた略U字状の金属プレートである。フレキシブル基板26~28は、隣接端部12Aa,12Baを跨ぐ位置では、ヒンジ本体31と背表紙部品36との間を通過している。
【0037】
図4Aに示す180度姿勢時、ヒンジ本体31は、筐体12A,12B内に収納され、互いに近接した隣接端部12Aa,12BaをX方向に跨ぐ。
図4Bに示す0度姿勢時、ヒンジ本体31は、大きく離間した隣接端部12Aa,12Ba間に形成される隙間を塞ぐように配置される。この際、背表紙部品36が最外面に配置されることで、折り畳まれた電子機器10の外観意匠の低下を防止している(
図1参照)。
【0038】
サポートプレート32A,32Bは、アルミニウム等の金属材料で形成されたプレートであり、左右対称形状である。サポートプレート32A,32Bは、筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bb側に設けられ、隣接端部12Aa,12Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。
【0039】
第1サポートプレート32Aは、第1プレート30Aとヒンジ本体31との間に配置される。第1サポートプレート32Aは、第1プレート30A側の縁部が第1ブラケット31Aに対して回転軸を介して相対回転可能に連結されている。第1サポートプレート32Aは、ヒンジ本体31側の縁部がヒンジ本体31に対して相対移動可能である。第2サポートプレート32Bの構成及び取付構造等は、第1サポートプレート32Aと左右対称であるため、詳細な説明を省略する。
【0040】
サポートプレート32A,32Bは、筐体12A,12Bの回動動作に応じて揺動する。180度姿勢時、サポートプレート32A,32Bは、その表面でディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。180度以外の角度姿勢では、サポートプレート32A,32Bは、ディスプレイ16との間に隙間を設けた状態、又はディスプレイ16を変形させない程度の僅かな力でディスプレイ16に接触する(
図4B参照)。サポートプレート32A,32Bは、180度以外の角度姿勢でもディスプレイ16の折曲領域R3を支持し、その形状を矯正する構成としてもよい。このように、サポートプレート32A,32Bは、180度姿勢時にはディスプレイ16の折曲領域R3を平面で安定して支持する一方、折曲領域R3の折曲動作を阻害することはない。
【0041】
次に、フレキシブル基板26(27,28)の具体的な構成を説明する。
【0042】
図4A及び
図4Bは、フレキシブル基板26及びその周辺部の構成を代表的に図示しているが、他のフレキシブル基板27,28及びその周辺部の構成も
図4A及び
図4Bに示すものと同一又は同様でよい。そこで、以下では、他のフレキシブル基板27,28について、
図4A及び
図4Bに示すフレキシブル基板26の構成要素と同一又は同様の構成要素には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
図4A及び
図4B中の参照符号44A,44Bは、左右の筐体12A,12B間での熱移動を促進し、各筐体12A,12Bの熱を均等化するための熱伝導部材を備える。第1熱伝導部材44Aは、例えば第1筐体12Aの内面12Abに貼り付けたグラファイトシートを有し、隣接端部12Aaに近接した部分に設けた突出部が180度姿勢時に背表紙部品36に接触する。第2熱伝導部材44Bは、第1熱伝導部材44Aと略左右対称構造であるため、詳細な説明は省略する。これにより熱伝導部材40A,40Bは、背表紙部品36を介して筐体12A,12B間で熱を移動させる。熱伝導部材40A,40Bは、省略してもよい。
【0044】
図4~
図4Bに示すように、フレキシブル基板26は、第1折返し部40a及び第2折返し部40bと、第3折返し部41a及び第4折返し部41bと、3つの固定部42a~42cとを有する。
【0045】
図4Aに示すように、本実施形態では、フレキシブル基板26は、ヒンジ装置14の周辺では筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bbに敷設された熱伝導部材40A,40Bの表面に置かれ、間接的に内面12Ab,12Bb上に載置されている。但し、上記したように熱伝導部材40A,40Bは省略可能であり、この場合、フレキシブル基板26は、内面12Ab,12Bb上に直接的に載置さればよい。そこで、以下では、フレキシブル基板26は、直接的に内面12Ab,12Bb上に載置されているものとして説明する。
【0046】
図4A及び
図4Bに示すように、折返し部40a,40bは、フレキシブル基板26を第1筐体12A内で順に並んで互いに逆向きに湾曲させつつ折り返した部分である。折返し部40a,40bは、全体として側面視で略S字形状に形成されている。
【0047】
第1折返し部40aは、内面12Abに沿ってX1方向に延在したフレキシブル基板26をX2方向へと折り返すことで、側面視で略C字形状に形成されている。第2折返し部40bは、フレキシブル基板26の長手方向で第1折返し部40aの第1端部26a側に連続して設けられる。第2折返し部40bは、第1折返し部40aを通過してX2方向に延在した部分を再びX1方向へと折り返すことで、第1折返し部40aと略左右対称のC字形状に形成されている。
【0048】
折返し部40a,40bは、隣接端部12Aa,12Baよりも第1筐体12A側(X1側)にオフセットした位置に設けられている。具体的には、折返し部40a,40bの大部分は、第1サポートプレート32AよりもX1側に配置されている。これにより折返し部40a,40bは、第1プレート30Aのフラットな裏面30Abと、フラットな内面12Abとの間に形成された第1空間S1に配置されている。
【0049】
第1筐体12Aは、電子部品であるマザーボード20等が収容された内部空間SAと、内部空間SAと第1空間S1とを仕切る第1立壁46Aを備える(
図4A参照)。なお、バッテリ装置24も内部空間SAに配置されている。
【0050】
第1立壁46Aは、フレーム部材17Aに形成され、内面12Abから第1プレート30A側に向かうZ1方向に起立している。すなわち第1空間S1は、フレーム部材17Aと、第1プレート30Aや第1サポートプレート32Aとの間に形成される。一方、内部空間SAは、第1立壁46AよりもX1側のフレーム部材17Aの外面と、カバー部材18Aの内面との間に形成される。第1立壁46Aは、これら空間S1,SA間を略Z字状に仕切るフレーム部材17Aの一部である。従って、折返し部40a,40bは、ヒンジ本体31及び背表紙部品36と第1立壁46Aとの間で第1空間S1に配置され、第1折返し部40aが第1立壁46Aに面している。
【0051】
第2筐体12B側の折返し部41a,41b及びその周辺部の構成は、上記した第1筐体12A側の折返し部40a,40b及びその周辺部の構成と略左右対称でよい。すなわち折返し部41a,41bは、第2プレート30Bのフラットな裏面30Bbと、フラットな内面12Bbとの間に形成された第2空間S2に配置されている。また、第2筐体12Bも、内面12BbからZ1方向に起立し、電子部品であるバッテリ装置21等が収容された内部空間SBと第2空間S2とを仕切る第2立壁46Bを備える。このため、折返し部41a,41bも、ヒンジ本体31及び背表紙部品36と、第2立壁46Bとの間に配置され、第3折返し部41aが第2立壁46Bに面している。
【0052】
図4A及び
図4Bに示すように、固定部42a~42cは、両面テープ等の粘着剤48でフレキシブル基板26を筐体12A,12B又はヒンジ本体31に固定した部分である。
【0053】
第1固定部42aは、第2折返し部40bと第1端部26aとの間に設けられる。第1固定部42aは、第2折返し部40bからマザーボード20に向かう途中で第1立壁46Aを乗り越えた直後にフレーム部材17Aに固定された部分である。第2固定部42bは、第4折返し部41bと第2端部26bとの間に設けられる。第2固定部42bは、第4折返し部41bからバッテリ装置21に向かう途中で第2立壁46Bを乗り越えた直後にフレーム部材17Bに固定された部分である。
【0054】
第3固定部42cは、折返し部40a,41a間に設けられる。第3固定部42cは、背表紙部品36の内側でヒンジ本体31に固定される。第3固定部42cは、背表紙部品36に固定されてもよい。
【0055】
次に、フレキシブル基板26~28の筐体12A,12Bに対する取付方法の一例を説明する。
【0056】
先ず、フレキシブル基板26~28は、ヒンジ装置14とアセンブリする。具体的には、ヒンジ装置14は、フレキシブル基板26~28の第3固定部42cを粘着剤48でヒンジ本体31に固定した後、ヒンジ本体31に背表紙部品36をねじ止めする。これによりフレキシブル基板26~28は、ヒンジ装置14と一体化される。
【0057】
次に、左右に隣接して並べたフレーム部材17A,17に対し、フレキシブル基板26~28をアセンブリしたヒンジ装置14を取り付ける。ヒンジ装置14は、フレーム部材17A,17Bの空間S1,S2に向かって上から下に、つまりZ2方向に向かって載置する。各ブラケット34A,34Bは、ねじ50(
図3参照)でフレーム部材17A,17Bに締結する。
【0058】
次に、フレキシブル基板26~28に折返し部40a,40b,41a,41bを形成する。折返し部40a,40b,41a,41bは、例えば作業者が指先や所定の器具を用い、フレキシブル基板26~28を略S字形状に折り曲げることで容易に形成できる。
【0059】
続いて、フレキシブル基板26~28を筐体12A,12Bに固定する。
図3に示すように、フレキシブル基板26,27,28は、折返し部40a,40bと第1端部26a,27a,28aとの間、及び折返し部41a,41bと第2端部26b,27b,28bとの間に、それぞれ被位置決め部52を有する。被位置決め部52は、フレキシブル基板26~28を幅方向にくびれさせた凹部、或いはフレキシブル基板26~28の幅寸法を階段状に変化させた段部である。一方、フレーム部材17A,17Bは、各被位置決め部52と対応する位置に位置決め部53を有する。位置決め部53は、被位置決め部52と嵌合する凸部、或いは階段状の段部である。
図3中に示す丸で囲んだ拡大図は、凹部である被位置決め部52を凸部である位置決め部53に対して嵌合する動作を例示している。
【0060】
なお、被位置決め部52及び位置決め部53は、フレキシブル基板26~28の第1筐体12A側又は第2筐体12Bの一方のみに設けてもよいし、全く設けなくてもよい。例えば、
図3に示すフレキシブル基板26は、折返し部41a,41bと第2端部26bとの間に被位置決め部52及び位置決め部53を設けない構成を例示している。
【0061】
このようにフレキシブル基板26~28は、折返し部40a,40b,41a,41bを形成し、これを維持したまま、各被位置決め部52を位置決め部53に嵌合させる。同時に、各固定部42a,42bをフレーム部材17A,17Bに対して粘着剤48で固定する。
【0062】
以上によりフレキシブル基板26~28が筐体12A,12Bに取り付けられる。その後は、各端部26a,26b等をマザーボード20等に接続することで、フレキシブル基板26~28の接続も完了する。
【0063】
次に、筐体12A,12Bの回動動作と、その際のフレキシブル基板26(27,28)の動作とを説明する。
【0064】
先ず、
図4Bに示す0度姿勢時、筐体12A,12Bは互いの面方向が略平行して積層された意匠性の高い折り畳み状態となっている。この際、ディスプレイ16は、折曲領域R3が所望の曲率で湾曲したベル形状を成している。すなわちディスプレイ16は、所定の隙間を介して平行に積層されたプレート20A,20Bによって折曲領域R3が所望のベル形状に折り曲げられる。その結果、電子機器10は、筐体12A,12Bが可能な限り薄型化され、且つディスプレイ16の折曲時の破損も抑制される。
【0065】
次に、筐体12A,12B間が0度姿勢から180度姿勢に向かって回動される場合を説明する。この場合は、
図4A及び
図4Bに示すように、筐体12A,12B間の開き動作に伴い、サポートプレート32A,32Bが揺動しつつ、ヒンジ本体31に対して相対移動する。ディスプレイ16の折曲領域R3は、筐体12A,12Bと一体的に動作するプレート30A,30Bによって折曲状態が次第に解除される。
【0066】
そして、
図4Aに示す180度姿勢では、プレート30A,30B、ヒンジ本体31、及びサポートプレート32A,32Bは、それぞれ同一のXY平面上に並び、それぞれの表面が面一に配置されて全体として平板を形成する。ディスプレイ16は、この平板上で裏面16a全体が支持され、1枚の平板状の大画面を形成する(
図2も参照)。
【0067】
次に、筐体12A,12B間が180度姿勢から0度姿勢に向かって回動される場合を説明する。この場合は、筐体12A,12B間の閉じ動作に伴い、再びサポートプレート32A,32Bが揺動し、ヒンジ本体31に対して相対移動する。ディスプレイ16は、筐体12A,12Bと一体的に動作するプレート30A,30Bからの折曲力を受け、折曲領域R3が次第に折り曲げられる。その結果、折曲領域R3は、
図4Bに示す0度姿勢において、再び略ベル形状を成す。
【0068】
このような回動動作中、ディスプレイ16は、その長さが変化しない必要がある。ディスプレイ16が伸縮負荷を受けると、破損や不具合を生じる懸念があるためである。そこで、当該電子機器10は、筐体12A,12B間の回動中心をディスプレイ16の表面に一致させることで、ディスプレイ16の折曲時の伸縮負荷を抑制している。
【0069】
他方、ディスプレイ16の下方にあり、筐体12A,12B間の回動中心の外側にあるフレキシブル基板26(27,28)は伸縮動作を受ける。すなわち、180度姿勢から0度姿勢に変化する際、フレキシブル基板26(27,28)は引張力を受ける。0度姿勢から180度姿勢に変化する際、フレキシブル基板26(27,28)は圧縮力を受ける。そこで、フレキシブル基板26(27,28)は、このような伸縮負荷によって生じる余長を円滑に吸収できる必要がある。
【0070】
そこで、本実施形態のフレキシブル基板26(27,28)は、折返し部40a,40b,41a,41bを備え、円滑な余長吸収を可能としている。
【0071】
具体的には、
図4Aに示す180度姿勢時、折返し部40a,40bは、大きな余長を保持すると共に、フラットな裏面30Abと内面12Abとの間で移動自由である。このため、180度姿勢から0度姿勢への動作時、折返し部40a,40bは、
図4B中の矢印に示すように第3固定部42cに引かれ、保持していた余長を開放しつつヒンジ本体31側に移動する。この際、折返し部40a,40bは、円弧の半径は多少小さくなるが、湾曲形状を維持しつつ、ヒンジ本体31側へと次第に送り出される。
【0072】
0度姿勢から180度姿勢に回動する際は、上記とは逆の動作を生じる。つまり折返し部40a,40bは、0度姿勢時に減少した余長を回復しつつ、第1端部26a側へと次第に送り出される。その結果、折返し部40a,40bは、180度姿勢時には再び大きな余長を保持した元の形状に復元される。
【0073】
なお、第2筐体12B側の折返し部41a,41bの動作は、上記した第1筐体12A側の折返し部40a,40bの動作と略左右対称であるため、詳細な説明は省略する。
【0074】
以上により、フレキシブル基板26~28は、筐体12A,12B間が回動動作した際、折返し部40a,40b,41a,41bが保持する余長が増減しつつ、その略S字形状は保持される。その結果、フレキシブル基板26~28は、筐体12A,12B間が回動動作した際の余長を円滑に吸収でき、また過度な伸縮応力を受けて断線等を生じることも抑制できる。
【0075】
ここで、仮に折返し部40a,40b等を持たない構成を考えてみる。この構成ではフレキシブル基板の余長のコントロールができない。このため、この構成では180度姿勢時にフレキシブル基板が筐体内の隙間で、例えば波形状や屈曲形状等を適宜形成し、回動の都度異なる形状を成す懸念がある。その結果、この構成では、フレキシブル基板が伸縮動作時に大きな負荷を受ける懸念があり、また余長の吸収のために筐体の厚みを厚くしなければならない等の問題もある。さらに180度姿勢時に余ったフレキシブル基板が筐体内で暴れて他の部材や部品に引っかかって0度姿勢への回動動作を阻害し、或いはフレキシブル基板のコネクタ部等が外れる懸念もある。
【0076】
これに対して、本実施形態のフレキシブル基板26~28は、筐体12A,12B間の回動動作が繰り返し実行された場合であっても、常に一定の形状を維持することができ、他の部材に引っかかって不具合を生じることが抑制できる。
【0077】
特に、本実施形態のフレキシブル基板26~28は、折返し部40a,40bと第1端部26a等との間に第1固定部42aを有し、折返し部41a,41bと第2端部26b等との間に第2固定部42bを有し、折返し部40a,41a間に第3固定部42cを有する。このため、余長吸収時の折返し部40a,40b等の動作をより精度よくコントロールでき、折返し部40a,40b等の略S字形状を長期間維持することができる。
【0078】
当該電子機器10は、プレート30A,30Bのフラットな裏面30Ab,30Bbと、筐体12A,12Bのフラットな内面12Ab,12Bbとの間に形成された空間S1,S2に折返し部40a,40b,41a,41bを配置している。このため、フレキシブル基板26~28は、折返し部40a,40,41a,41bが浮き上がったり、ねじれたりすることを一層抑制できる。さらにフレキシブル基板26~28は、余長の増減動作が一層円滑なものとなり、また他の部材に引っかかることも一層抑制できる。
【0079】
当該電子機器10において、筐体12A,12Bは、その内面12Ab,12Bbからプレート30A、30B側に向かって起立した立壁46A,46Bを備える。ここで、立壁46A,46Bは、マザーボード20やバッテリ装置21等の電子部品が配置された内部空間SA,SBと、折返し部40a等が配置された空間S1,S2とを仕切っている。このため、電子機器10は、多くの電子部品を備えた内部空間SA,SBからから折返し部40a等を隔離でき、進退動作する折返し部40a等が他の部材に引っかかることを一層抑制できる。
【0080】
ここで、電子部品を収容した内部空間SA,SBは、ディスプレイ16側とは逆向き、つまり下向きに開口するため、カバー部材18A,18Bを取り外して容易にマザーボード20等のメンテナンスができる。一方、折返し部40a等を収容した空間S1,S2は、内部空間SA,SBと立壁46A,46Bで仕切られ、また、ディスプレイ16側を向いて上向きに開口するため、カバー部材18A,18Bを取り外した際に開放されることがない。その結果、マザーボード20等のメンテナンス時、折返し部40a等が意図しない干渉を受けて湾曲形状が解消され、或いは固定部42a等が外れることを防止できる。
【0081】
図5は、フレキシブル基板26~28の変形例に係る余長吸収構造を示す模式的な側面断面図である。
【0082】
図5に示すように、フレキシブル基板26(27,28)は、例えば第2筐体12B側の折返し部41a,41bを省略した構成としてもよい。この場合、フレキシブル基板26(27,28)は、第3固定部42cを省略し、ヒンジ本体31に対してX方向に相対移動可能に構成しておく。これによりフレキシブル基板26(27,28)は、筐体12A,12B間の回動動作時に生じる伸縮負荷を折返し部40a,40bの余長吸収作用によって吸収することができる。
【0083】
なお、
図5に示す構成例は、
図4A及び
図4Bに示す構成例に比べて、折返し部40a,40bでの余長吸収量が2倍必要となる。しかしながら、
図5に示す構成例は、例えば第1筐体12A側の第1空間S1を大きく確保できる一方、第2筐体12B側に折返し部41a,41bを設置するスペースが確保できない場合等には有効に利用できる。
図5に示す構成とは逆に第1筐体12A側の折返し部40a,40bを省略した構成としてもよいことは言うまでもない。
【0084】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0085】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な電子機器10を例示したが、本発明は、同形の筐体同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体の左右縁部にそれぞれ小形の筐体を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体の左右一方の縁部に小形の筐体を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成に適用可能であり、筐体の連結数は4以上としてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 電子機器
12A 第1筐体
12B 第2筐体
14 ヒンジ装置
16 ディスプレイ
20 マザーボード
21,24 バッテリ装置
26~28 フレキシブル基板
30A 第1プレート
30B 第2プレート
31 ヒンジ本体
36 背表紙部品
40a 第1折返し部
40b 第2折返し部
41a 第3折返し部
41b 第4折返し部
42a 第1固定部
42b 第2固定部
42c 第3固定部
46A 第1立壁
46B 第2立壁