(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/40 20060101AFI20231013BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231013BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231013BHJP
H10K 59/18 20230101ALI20231013BHJP
【FI】
G09F9/40 301
G09F9/30 308Z
H10K59/10
H10K59/18
(21)【出願番号】P 2022082764
(22)【出願日】2022-05-20
(62)【分割の表示】P 2019502295の分割
【原出願日】2018-02-22
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2017040221
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017074386
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 洋介
(72)【発明者】
【氏名】中村 太紀
(72)【発明者】
【氏名】古松 大典
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】向尾 恭一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 純矢
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-251981(JP,A)
【文献】特開2012-028638(JP,A)
【文献】特表2013-504092(JP,A)
【文献】特開2010-107551(JP,A)
【文献】特開2016-038579(JP,A)
【文献】特開2002-014366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示パネルと、第2の表示パネルと、第3の表示パネルとを有し、
前記第1の表示パネルは、可視光を透過する機能を有する第1の領域と、表示を行う機能を有する第2の領域とを有し、
前記第2の表示パネルは、可視光を透過する機能を有する第3の領域と、表示を行う機能を有する第4の領域とを有し、
前記第3の表示パネルは、可視光を透過する機能を有する第5の領域と、表示を行う機能を有する第6の領域とを有し、
前記第1の領域と、前記第4の領域とは、互いに重なる第1の部分を有し、
前記第5の領域と、前記第2の領域とは、互いに重なる第2の部分を有し、
前記第5の領域と、前記第4の領域とは、互いに重なる第3の部分を有し、
前記第2の領域、前記第4の領域、及び前記第6の領域で構成される表示領域は、T字形状を有し、
前記第2の領域及び前記第4の領域を前記第6の領域の上側に配置して表示し、
前記第3の表示パネルの端子が設けられている領域は、前記第2の部分及び前記第3の部分の両方に重畳するように配置されている、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
自動車などの車内の計器表示の一部を液晶表示装置に置き換える方向で開発が進められている。また、より多くの情報(車の周囲の状況情報や交通情報や地理情報など)を活用するため、車内の表示を利用し、自動車などの車両の運転者を支援する取り組みがなされている。
【0004】
また、今後は、車内外に対してカメラやセンサも多数設置される。
【0005】
また、曲面を有する表示パネルが特許文献1に開示されている。また、複数の表示パネルを重ねる構成が特許文献2に開示されている。また、非矩形状の表示領域を有する表示装置が特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-229548
【文献】特開2014-197179
【文献】特開2015-180924
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
各種カメラやセンサから得られる状況に応じて、運転者に危険を警告する表示を行うためには、それぞれのカメラの数やセンサの数に見合う表示領域の面積が必要となる。しかしながら、車内は窓などで囲まれた限られた空間であり、車内に表示部を設置できそうな箇所は、曲面を含め、凹凸に富んだ表面を有している。
【0008】
また、表示面積の大きな平面と厚さを有する表示パネルをダッシュボード上に設置すると、運転手の視界を妨げてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
限られた空間に曲面を有する表示パネルを複数配置する。複数の表示パネルは少なくとも2枚が重なる領域を有する。複数の表示パネルは、少なくとも1枚が曲面を有していればよく、他の表示パネルは平面であってもよい。
【0010】
2枚または3枚以上の表示パネルを組み合わせてT字型の外縁を有する1つの表示領域を構成させる。従って、T字形状の一つの表示領域に対して映像信号を組み合わせた表示パネル枚数分、即ち、2系統または3系統以上用いる。また、必要に応じて表示領域毎にオンオフができるため、運転者が全面表示不要と思えば、1つの表示領域を構成する複数の表示パネルのうち、1つの表示パネルに供給する電力をゼロとする期間を設けることで省電力化も図れる。
【0011】
本発明の一態様は、第1の表示パネルと、第2の表示パネルと、第3の表示パネルとを有し、第1の表示パネルは、第1の領域と、第2の領域とを有し、第2の表示パネルは、第3の領域と、第4の領域とを有し、第3の表示パネルは、第5の領域と、第6の領域とを有し、第1の領域、第3の領域、及び第5の領域は、可視光を透過する機能を有し、第2の領域、第4の領域、及び第6の領域は、表示を行う機能を有し、第1の表示パネルの第1の領域と、第2の表示パネルの第4の領域とは、互いに重なる第1の部分を有し、第3の表示パネルの第5の領域と、第1の表示パネルの第2の領域とは、互いに重なる第2の部分を有し、第3の表示パネルの第5の領域と、第2の表示パネルの第4の領域とは、互いに重なる第3の部分を有し、第2の領域、第4の領域、及び第6の領域で構成される一つの表示領域は、概略T字形状を有する表示装置である。
【0012】
自動車内のダッシュボードの曲面などに複数の表示パネルを固定し、複数の表示パネルの端部を重ねあわせ1つの表示領域となるよう構成することが好ましい。ある表示パネルの表示領域の周辺の透過領域と、隣り合う表示パネルの表示領域を重ねる構成とするため、各表示パネルは厚さが薄いことが望まれる。従って、表示パネルとしてはプラスチックフィルム上に形成されたアクティブマトリクス型の有機発光素子の表示パネルが適している。
【0013】
複数の表示パネルの端部を重ねあわせるため、上記構成において、第3の表示パネルの第5の領域と、第2の表示パネルの第3の領域と、第1の表示パネルの第1の領域とは、互いに重なる第4の部分を有し、第4の部分は、第2の部分と第3の部分の間に配置されることを特徴の一つとしている。
【0014】
複数の表示パネルの端部を重ねあわせ1つの映像を表示する場合、全面表示させると、表示のつなぎ目が発生する恐れがある。2枚または3枚以上の表示パネルを組み合わせ、隣り合う表示パネルの表示領域のつなぎ目における映像の不連続性を使用者にとって識別しにくいように調節することが好ましい。特に表示パネルが高精細なパネル、例えば、画素数が1920×1080個である2K表示パネル、3840×2160個又は4096×2160個である4K表示パネル、7680×4320個以上である8K表示パネルを複数枚組み合わせる場合、映像の不連続性を使用者にとって識別しにくいように調節するには人工知能(AI:Artificial Intelligence)を利用することが好ましい。
【0015】
つなぎ目における映像の不連続性の課題に対して、本発明の一態様に係る複数の表示パネルを組み合わせた表示装置を有する表示システムは、人工知能(AI)を利用して映像信号を補正する機能を有する補正回路を備えることが好ましい。具体的には、人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)の学習により、特に表示領域のつなぎ目における映像の不連続性が緩和されるように映像信号を補正することが可能な補正回路が構成される。そして、当該学習後の人工ニューラルネットワークを用いて推論(認知)を行うことにより、映像信号が補正され、映像の不連続性が補償される。これにより、つなぎ目が目立たない、所謂シームレスな映像の表示が可能となり、高解像度の映像の品質を向上させることができる。
【0016】
なお、人工知能とは、人間の知能を模した計算機である。また、人工ニューラルネットワークとは、ニューロンとシナプスで構成される神経網を模した回路であり、人工ニューラルネットワークは人工知能の一種である。本明細書等において「ニューラルネットワーク」と記載する場合、特に人工ニューラルネットワークを指す。
【0017】
人工知能を使用することにより、挙動を効率的に解析及び利用し、今後の動作を決定することができる。繰り返された動作や情報は、規則性認識の基準となる経験値として記憶される。そうして蓄積された大量のデータから一般規則を予測することができる。
【0018】
例えば、環境データをデータ統合に用いる。それぞれでの情報をさまざまなセンサなどで収集し、データを統合することによって単一データによるものよりも効果的な予測ができる。例えば、デジタル地図データ、カメラから得られるデータ、無線から得られる位置情報などがある。
【0019】
階層的順序集合により、自動車の運転者が駐車場に駐車する場合、カメラから得られるデータ、地図データなどを利用し、運転手の運転を効果的に補助することができる。或いは、運転手が自動運転モードに切り替えることで、自動車が人工知能とデータ(バックモニター、車線追跡カメラなど)を利用して駐車場の所定の位置に停車することができる。
【0020】
また、大面積のフレキシブル表示パネルは、ガラス基板剥離工程の際の歩留まりの問題があるため、同じサイズの複数のパネルを用いて形成するほうが製造コストを低減できる場合が多い。即ち、高精細な大面積パネル1枚にかかる費用及び歩留まりを考慮にいれると、一度に剥離する面積が大きければ大きいほど不良になる恐れがあり、例えば4分の1サイズのパネルを4枚組み合わせて作製する場合の費用のほうが安くなる場合がある。表示パネルを製造する工場によっては、あるサイズの表示パネルを利用する表示装置と同じサイズの表示パネルを複数枚組み合わせる場合、あるサイズの表示パネルと同じフォトマスクを用いて作製することができるため、フォトマスク製造費用を抑えることができる。
【0021】
また、同じ面積の表示領域であっても端子部の位置の異なる表示パネルを複数組み合わせてもよい。上記構成において、第1の表示パネルの短辺側に第1の端子部を有し、第2の表示パネルの長辺側に第2の端子部の位置を有し、第1の端子部と接続する第1の外部端子の接続位置と、第2の端子部と接続する第2の外部端子の接続位置と、が異なることを特徴の一つとしている。端子部の配置を変えることで表示パネルの配置のバリエーションを増やすことができる。
【0022】
また、近年、サイドミラー(ドアミラーとも呼ぶ)を電子化する動きがある。サイドミラーに加えてカメラやセンサを設け、撮影した映像を車内のパネルに映像化する試みがなされている。また、今後、車外に突出しているサイドミラーをなくすということも言われている。従来であればサイドミラーは運転手の目線の位置に合わせて位置調整するようになっており、適宜調節していたが、サイドミラーを設けず、電子化する場合、調節が困難となっている。なぜなら、映像を映し出す表示パネルは固定されていることが多く、画像が見えにくくなることが発生する恐れがあり、安全面に問題があった。
【0023】
そこで、複数の表示パネルを重ねることで1画面を形成し、運転者が適宜、表示パネルの一部を曲げることで見やすい状態とすることができる。即ち、表示パネルの一部を曲げて見やすくすることができる。車内のデザインに変化をつけることもできる。また、カメラが急速に近づいてくる注意すべき車両を検出した場合には、注意を促すために表示パネルの一部を自動で曲げ、その注意すべき車両を映した映像表示を運転者に認識させることを促してもよい。表示パネルの一部を曲げることで運転者からの距離を近づけることになるため、視力の悪い運転者にも見やすい情報表示が可能である。
【0024】
本発明の一態様は、上記構成において、第1の表示パネルまたは第2の表示パネルは、可撓性を有し、端部を曲げる位置調節機能を有することを特徴の一つとしている。表示パネルの端部を曲げる位置調節機能は、表示パネルの裏側に端部周辺が突出状態に変化する部材を設け、部材は機械式でも手動でもよい。本発明の一態様は、複数の表示パネルを用いることに限定されず、可撓性フィルム上に有機発光素子を有する表示パネルと、表示パネル上に光学フィルムと、光学フィルム及び可撓性フィルムと重なる下方に前記表示パネルの端部を曲げる位置調節治具とを有し、表示パネルの端部を曲げる位置調節治具の駆動機構によって光学フィルムと可撓性フィルムが両方曲げられる表示装置である。なお、光学フィルムと可撓性フィルムとは材料が異なるため、接着剤などで固定しないほうが、異なるフィルム端部の位置がずれて表示パネル端部の全体をスムーズに曲げられるため、好ましい。表示パネルの端部を曲げ、曲げた領域にサイドミラーに相当する映像を表示することで、運転者にも見やすい情報表示が可能である。例えば、運転手が方向指示器を操作した時に同期させて位置調節治具を駆動して表示パネルの端部曲げることで注意を引くとともに曲げた領域にサイドミラー映像を表示することで運転をアシストすることができる。
【0025】
なお、表示パネルを複数組み合わせた表示装置を大型車両、中型車両、小型車両(自動二輪を含む)をはじめ、さまざまな種類の車両の運転席周り(コックピット部とも呼ぶ)に応用することができる。また、航空機、船舶などの乗り物の運転席周りにも応用することができる。
【0026】
表示パネルを複数組み合わせた表示装置を運転席まわりのコックピット部に限らず、自動車の内装(座席、天井を含む)の曲面を含む表面に沿って組み込むことも可能である。
【0027】
また、運転者(パイロット或いは乗員などのオペレータ)が自動運転モードに切り替えることのできる自動運転車両にも応用することができる。
【0028】
自動運転車両となる場合、ハンドルへの手の接触の有無をセンサなどで検出して自動に切り替え、或いは運転手が入力操作して切り替えが行われることとなる。自動運転かどうかを運転者が正確にわかるように映像表示で明確な差を設けることが安全上好ましい。そのためにも広い面積で表示が行われ、運転者に限らず、乗車している人が皆どこの方向を見ていても、自動運転の切り替わりの表示が目に入り把握できることが好ましい。
【0029】
また、自動運転から手動運転に切り替える場合、自動運転での設定などを運転手が把握することによって運転切り替えとなるため、それらの情報を表示する表示領域は広ければ広いほど多くの情報を受け取りやすい。
【0030】
また、昼における強い外光の下の表示と、夜間での表示を比べると大きく異なっており、運転者への表示の見え方も変わりやすい。車外の環境が変化しても、複数の表示パネルを重ねることで1画面を形成し、運転者が適宜、表示パネルの一部を曲げることで見やすい状態とすることができる。即ち、表示パネルの一部を曲げて見やすくすることができる。
【0031】
また、本発明の一態様は、表示装置を乗り物内部に設置することに限定されない。運転者が遠隔操作することによって遠隔操作可能な自動車の車外から無線で操作を行う場合もある。また、自動運転と遠隔操作の切り替えもあり得る。その場合には、例えば自宅などの屋内に運転席を設け、運転席の周りに本発明の一態様である表示装置を配置し、遠隔操作可能な自動車に設けられたカメラで撮像した映像を表示し、必要な場所は、その映像を用いて運転者が遠隔操作を行い、それ以外は自動運転とする。このように、運転席から見たフロントガラス越しの景色を映像表示させる場合には、有機EL素子を用いた高精細な表示パネルであることが好ましい。特に高速運転時には、走行スピードに合わせて変化する外部の環境を映し出し、そのスピードに合わせた鮮明な動画が要求される。有機EL素子は応答速度が液晶表示素子よりも格段に早く、運転者に的確な情報を提供することができ、リアルタイムに近い情報を提供できる。表示パネルを複数組み合わせた表示装置は、独立して映像データを利用するため、それぞれをデータ圧縮して無線で送受信することに適している。
【発明の効果】
【0032】
運転者などの利用者に対して広い面積の表示領域を提供し、広い面積の表示領域に表示される情報を利用することで運転者の安全運転を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一態様を示す上面図及び断面図である。
【
図2】本発明の一態様を示す表示装置の車両への搭載例を示す図である。
【
図10】実施例1の表示パネル及び表示装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例、及び応用例について、図面を参照して説明する。
【0036】
[構成例1]
図1(A)は、本発明の一態様の表示装置に含まれる表示パネル100の上面概略図である。
【0037】
表示パネル100は表示領域101と、表示領域101に隣接して、可視光を透過する領域110と、を備える。また、
図1(A)では、表示パネル100に外部端子の一種であるFPC(Flexible Printed Circuit)112が設けられている例を示す。
【0038】
表示領域101は、マトリクス状に配置された複数の画素を含み、画像を表示することが可能である。各画素には一つ以上の表示素子が設けられている。表示素子としては、代表的には有機EL素子などの発光素子、または液晶素子等を用いることができる。
【0039】
領域110には、例えば表示パネル100を構成する一対の基板、及び当該一対の基板に挟持された表示素子を封止するための封止材などが設けられていてもよい。このとき、領域110に設けられる部材には、可視光に対して透光性を有する材料を用いる。領域110には、基板及び封止材以外に配線や素子などが配置されていないため、可視光を透過する領域となっている。
【0040】
ここで、
図1(A)に示す領域110の幅Wは、0.5mm以上150mm以下、好ましくは1mm以上100mm以下、より好ましくは2mm以上50mm以下とすることが好ましい。領域110は封止領域としての機能を有するため、領域110の幅Wが大きいほど表示パネル100の端面と表示領域101との距離を長くすることができ、外部からの水などの不純物が表示領域101にまで侵入することを効果的に抑制することが可能となる。特に本構成例では表示領域101に隣接して領域110が設けられるため、領域110の幅Wを適切な値に設定することが重要である。例えば、表示素子として有機EL素子を用いた場合には領域110の幅Wを1mm以上とすることで、EL素子の劣化を効果的に抑制することができる。なお、領域110ではない他の部分においても、表示領域101の端部と表示パネル100の端面との距離が上述の範囲になるように設定することが好ましい。
【0041】
領域120には、例えば表示領域101に含まれる画素に電気的に接続する配線が設けられている。また、このような配線に加え、画素を駆動するための駆動回路(走査線駆動回路、信号線駆動回路等)が設けられていてもよい。また、領域120にはFPC112と電気的に接続する端子(接続端子ともいう)や、当該端子と電気的に接続する配線や、ICチップ等が設けられている領域を含む。
【0042】
本発明の一態様の表示装置10は、上述した表示パネル100を複数備える。
図1(B)では、3つの表示パネル100a、100b、100cを備える表示装置10の上面概略図を示す。
【0043】
なお、以降では各々の表示パネル同士、各々の表示パネルに含まれる構成要素同士、または各々の表示パネルに関連する構成要素同士を区別するために、符号の後にアルファベットを付記して説明する。また特に説明のない場合には、最も下側(表示面側とは反対側)に配置される表示パネルまたは構成要素に対して「a」を付記し、その上側に順に配置される一以上の表示パネルおよびその構成要素に対しては、符号の後にアルファベットをアルファベット順に付記することとする。また特に説明のない限り、複数の表示パネルを備える構成を説明する場合であっても、各々の表示パネルまたは構成要素に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。
【0044】
図1(B)に示す表示装置10は、表示領域101a、表示領域101b、及び表示領域101cを備え、これらの表示領域全てと重なる1枚の光学フィルム(代表的には円偏光フィルム)を有する。光学フィルムを別々に貼り付けることも可能であるが、その場合、光学フィルムが隣り合うパネルと重なってしまうと段差が生じて境界が目立ちやすい。別々に貼り付けられている場合、最大で光学フィルムが3枚重なってしまうこととなる。1枚の光学フィルムを共通とし、1枚の光学フィルムに3枚の表示パネルを一部重ねて配置すると、パネルの重なり部分が緩和し、表面も平坦に見え好ましい。なお、
図1(B)において、表示パネルが3枚重なる箇所は部分163である。
【0045】
表示パネル100bは、その一部が表示パネル100aの上側(表示面側)に重ねて配置されている。具体的には、表示パネル100aの表示領域101aと表示パネル100bの可視光を透過する領域110bとが重畳するように配置されている。
【0046】
部分161では、下部に設けられる表示パネル100aの可視光を透過する領域110aと、上部に設けられる表示パネル100bの表示領域101bとが互いに重ねて設けられている。部分162では、下部に設けられる表示パネル100cの表示領域101cと、上部に設けられる表示パネル100bの可視光を透過する領域110bとが互いに重ねて設けられている。
【0047】
また、表示パネル100cは、その一部が表示パネル100bの下側(裏面側)に重ねて配置されている。具体的には、表示パネル100bの表示領域101bと表示パネル100cの可視光を透過する領域110cとが重畳し、且つ、表示パネル100bの表示領域101bと表示パネル100cのFPCが重畳するように配置されている。
【0048】
表示領域101a上には可視光を透過する領域110bが重畳するため、表示領域101aの全体を表示面側から視認することが可能となる。表示領域101c上には可視光を透過する領域110a及び110bが重畳するため、表示領域101cの全体を表示面側から視認することが可能となる。表示領域101a、表示領域101bおよび表示領域101cの継ぎ目が目立たないように配置された領域を表示装置10の一つの表示領域とすることが可能となる。表示装置10の一つの表示領域は、
図1(B)に示すように概略T字形状となる。
【0049】
図1(B)では、3つの表示パネルに全て同じ表示パネル100を用いた場合を示している。
【0050】
また、
図1(B)に示す鎖線ABで切断した表示装置10の模式図を
図1(C)に示す。なお、
図1(C)では、分かりやすくするため、基材となるフィルムを含めて表示領域101a、表示領域101c、領域110b、領域120b、領域120cとしている。
【0051】
表示装置10は、最表面に光学部材166を配置した構成である。
【0052】
光学部材166は、少なくとも表示領域101bに接して設けられる。
図1(C)では、表示パネルの一面全体に光学部材166が重なる例を示す。光学部材166と各表示パネルは少なくとも一部が接着剤等により固定されていてもよいし、全く固定されていなくてもよい。例えば、光学部材166と各表示パネルは、それぞれ独立に、表示装置10または電子機器が有する筐体に固定されていてもよい。
【0053】
光学部材166として、偏光部材、位相差部材、及び反射防止部材などのうち一つ以上を重ねて用いることができる。また、光学部材166の最表面は、ハードコート処理がなされていてもよい。
【0054】
偏光部材としては、偏光板、偏光フィルム、偏光膜等が挙げられる。
【0055】
位相差部材としては、位相差板、位相差フィルム、位相差膜等が挙げられる。
【0056】
反射防止部材としては、反射防止フィルム(AR(Anti‐Reflection)フィルムとも呼ばれる)、低反射フィルム(LR(Low‐Reflection)フィルムとも呼ばれる)、及びアンチグレアフィルム(AG(Anti‐Glare)フィルム、ノングレアフィルムとも呼ばれる)等が挙げられる。また、これらのフィルムのいずれかと同等の機能を有する反射防止板や反射防止膜も、反射防止部材の一例である。
【0057】
本実施の形態としては、光学部材166として、円偏光板を用いる例を示す。円偏光板は、直線偏光板と位相差板とを有する。直線偏光板は、例えば、一対の基板間に直線偏光層を有する。位相差板としては、1/4λ板等が挙げられる。直線偏光板と位相差板は、接着層によって貼り合わされる。円偏光板を用いることで、表示パネルの表面及び内部における光の反射に起因し、表示装置の使用者が、重なり部分を視認することを抑制できる。
【0058】
また、
図1(B)に示す部分165は変形箇所である。また、
図1(B)に示す鎖線CDで切断した表示装置10の模式図を
図1(D)に示す。
【0059】
表示領域101bの端部を位置調節手段167により押しだすことで表示領域101bの一部が曲がり、突出状態に変形した部分165となる。表示パネルの一部を曲げて見やすくすることができる。表示装置10のデザインに変化をつけることもできる。
【0060】
位置調節手段167を移動させる場合、光学部材166と表示パネルは接着剤などで固定しないことが好ましい。位置調節手段167を移動させて曲げる際には、光学部材166と表示パネルを接着しないほうがスムーズに曲げることができる。位置調節手段167は、モータ、治具、ヒンジなどが含まれる。
【0061】
(実施の形態2)
本実施の形態では、車両の内部に上記実施の形態で説明した表示装置を配置する応用例の一例を以下に示す。
【0062】
図2に表示装置5002の右ハンドルの車両への搭載例を示すが、特に限定されず、左ハンドルの車両の場合、左右の配置が替わる。
【0063】
図2では、運転席と助手席の周辺に配置されるダッシュボード5001、ハンドル5003、フロントガラス5004などを示している。
【0064】
表示装置5002は、ダッシュボード5001の所定位置、具体的には運転者の回りに配置され、概略T字形状としている。概略T字形状とすると車の内部において、運転席の前と、助手席の前と、助手席と運転席の間とに表示領域を設けることができるため、好ましい配置である。
図2では、ダッシュボード5001の曲面に対して複数の表示パネルを組み合わせて1つの表示装置5002を設けている例を示しているが、一つにすることに限定されず、複数箇所に分けて複数の表示装置を設けてもよい。また、
図2に示している1つの表示装置5002は、ハンドルの接続部分や計器の表示部や送風口5006などには表示領域が設けられず、複数の開口を有している複雑な形状を示している。このような複雑な形状にすることができるのもフレキシブル表示パネルを用いる上での長所である。
【0065】
また、後側方の状況を撮影するカメラ5005を車外に複数設ける。
図2においてはサイドミラーの代わりにカメラ5005を設置する例を示しているが、サイドミラーと後側方の状況を撮影するカメラの両方を設置してもよい。
【0066】
カメラ5005は、CCDカメラやCMOSカメラを用い、赤外線カメラを組み合わせて用いてもよい。赤外線カメラは、被写体の温度が高いほど、出力レベルが高くなるため、人や動物等の生体を検知または抽出することができる。
【0067】
カメラ5005で撮像された画像は、表示装置5002の画面(表示領域5002a、5002b、5002c、5002dのいずれか一、または複数)に出力することができる。なお、表示装置5002は、例えば、表示領域5002aが一つの表示パネルに対応しており、大きく分けて4つの表示パネルを組み合わせて構成されている。
【0068】
この表示装置5002を用いて主に車両の運転を支援する。カメラ5005によって後側方の状況を横方向に幅広い画角で撮影し、その画像を表示することで、運転者の死角領域を視認することによって事故の発生を防いでいる。
【0069】
また、表示領域5002a、5002b、5002c、5002dは、隣り合う表示領域間の映像のつなぎ目が目立たない映像の表示とするため、人工知能(AI)を利用して映像信号を補正する機能を有する補正回路を備えた表示システムを用いることが好ましい。具体的には、人工ニューラルネットワーク(ANN)の学習により、特に領域のつなぎ目における映像の不連続性が緩和されるように映像信号を補正することが可能な補正回路が構成される。そして、当該学習後の人工ニューラルネットワークを用いて推論(認知)を行うことにより、映像信号が補正され、映像の不連続性が補償される。これにより、つなぎ目が目立たない映像の表示が可能となり、高解像度の映像の品質を向上させることができる。
【0070】
また、表示装置5002のうち、表示領域5002dにおいてはフレキシブルであることを利用して位置調節手段によって左端部5002eを曲げることで運転手に見やすい角度に表示領域5002dの一部である画面の角度を変えることができる。表示領域5002dの端部は運転手からの距離及び視野角により、表示が識別しにくいが、表示領域5002dの左端部5002eを曲げて運転手に見やすい角度とすれば、車内にサイドミラーの画像を表示する表示領域に適した位置に設けることができ、有用である。
【0071】
また、車のルーフ上などに距離画像センサを設け、得られた画像を表示装置5002に表示してもよい。距離画像センサとしては、イメージセンサやライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)を用いる。表示面積の広い表示装置に距離画像センサで得られる画像と、CCDカメラで得られる画像とを両方を表示することで多くの情報を運転手に提供し、運転を支援することができる。
【0072】
表示装置5002は、さらに、地図情報、交通情報、テレビ映像、DVD映像なども表示するのであれば、組み合わせる表示パネルの枚数を増やし、より大面積の表示装置とすることが好ましい。例えば、地図情報を表示領域5002a、5002b、5002c、5002dを1つの表示画面として大きく表示することができる。
【0073】
表示領域5002a、5002b、5002c、5002dは映像表示する部分を固定しているわけではなく、運転手の好みによって自由に変えることができる。例えば、テレビ映像、DVD映像は左側の表示領域5002d、地図情報は中央部の表示領域5002b、計器類の表示は右側の表示領域5002c、オーディオの表示は変速ギア近傍の表示領域5002aは運転席と助手席の間に配置できる。また、複数の表示パネルを組み合わせることでフェールセーフの設計とすることができる。例えば、複数の表示パネルからなる表示領域のうち、ある表示パネルが何らかの原因で故障したとしても、表示領域を変更することで他の領域に配置する表示パネルに表示することができる。
【0074】
平面の表示パネルの場合は、設置場所が限られ、車内部の曲面との間にデットスペースが生じて車内空間が狭められてしまう。表示領域5002a、5002b、5002c、5002dに用いる表示パネルがフレキシブル表示パネルであれば、車内部の曲面に沿って設置することができ、車内空間もほとんど狭めることがないため、望ましい。ただし、車内空間がそれほど狭められないのであれば、平面の表示パネルとフレキシブル表示パネルを組み合わせて配置してもよい。例えば、表示領域5002aは平面の表示パネルであってもよい。また、表示領域5002aは運転手の手の届く領域であるため、タッチパネルとして入力操作を行えるようにしてもよい。
【0075】
本実施の形態では、自動車のダッシュボードに適用する一例を示したが特に限定されず、例えば、スクータなどの自動二輪での例を
図15に示す。
【0076】
図15に示すスクータ8600は、表示装置8605、蓄電装置8602、サイドミラー8601、方向指示灯8603を備える。トランク8604に収納される蓄電装置8602は、表示装置8605及び方向指示灯8603に電気を供給することができる。
【0077】
表示装置8605は、運転者前方のハンドル近傍、具体的には運転者の周りに配置され、概略T字形状としている。表示装置8605は、3つの表示パネルを組み合わせて構成されており、スピードメータ表示、ナビゲーション表示、バックモニタ表示などを適宜、切り替えて表示することが可能である。
【0078】
また、本実施の形態の表示装置を航空機のコックピットまわりの表示装置としても用いることもできる。また、本実施の形態の表示装置を電気自動車の一種である超小型モビリティに設けることもできる。
【0079】
また、2つの車輪の間に足を載せる平面を設け、搭乗者の重心移動などによって移動する搭乗型移動支援ロボットなどに本実施の形態の表示装置を用いてもよい。
【0080】
また、円柱状の柱などの構造物に取り付けたデジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)用の表示装置としても用いることもできる。また、本実施の形態の表示装置を家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁の曲面に沿って組み込むこともできる。
【0081】
本実施の形態は実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0082】
(実施の形態3)
実施の形態1に示した
図1(B)では、3つの表示パネルに全て同じ表示パネル100を用いた場合を示したが、本実施の形態では一部異なる表示パネルを用いる例を
図3に示す。なお、一部異なるのみであり、
図3において
図1と同じ箇所には同じ符号を用いて説明する。
【0083】
図3(A)は、本発明の一態様の表示装置に含まれる表示パネル100dの上面概略図である。
【0084】
表示パネル100dは表示領域101dと、表示領域101dに隣接して、可視光を透過する領域110dと、領域120dとを備える。また、
図3(A)では、領域120dに外部端子の一種であるFPC112dが設けられている。表示パネル100dの表示領域101dは、
図1(A)に示す表示パネル100の表示領域101とほぼ同じ面積であるが、領域120の位置が異なり、FPCを取り付けている場所が異なっている。
【0085】
本発明の一態様の表示装置11は、
図1(A)に示す表示パネル100の2枚と、
図3(A)に示す表示パネル100dの1枚の合計3枚を組み合わせる。
図3(B)では、3つの表示パネル100a、100c、100dを備える表示装置11の上面概略図を示す。
【0086】
図3(B)に示す表示装置11は、表示領域101a、表示領域101c、及び表示領域101dがほとんど間を開けることなく配置され、これらの表示領域全てと重なる1枚の光学フィルム(代表的には円偏光フィルム)を有する。なお、
図1(B)において、表示パネルが3枚重なる箇所は部分163である。
【0087】
表示パネル100dは、その一部が表示パネル100aの下側に重ねて配置されている。具体的には、表示パネル100aの表示領域101aが上側に配置され、表示パネル100dの領域120d及びFPC112dが領域110aと重畳するように配置されている。上部に設けられる表示パネル100aの可視光を透過する領域110aと、下部に設けられる表示パネル100dとが重畳している箇所を部分168で図示している。表示パネル100dの部分168は、領域110aを透過して表示される。
【0088】
表示領域101に比べてFPCと接続している部分を含む領域120は変形させることはできるが、繰り返し変形させることが困難な場合がある。
図3(B)では
図1(B)の表示パネル100bに代えて表示パネル100dを用いることで変形箇所となる部分165の面積を広くすることができる。部分165の面積を広くすることでより多くの画像情報を運転者などに見やすい位置に変形することができる。特にトラックのような大型の車両においては、ボンネットも幅広く、運転手から遠い箇所まで表示パネルを設けることができるため、遠い場所の表示パネルの一部を変形させて見やすくすることは有用である。
【0089】
また、
図3(B)の変形例として
図3(C)を示す。
図3(C)においては、さらに表示パネル100fを組み合わせた表示装置12を図示している。表示装置12において1つの表示領域は、表示領域101aと表示領域101dと表示領域101cと表示領域101fとの合計となる。このような1つの表示領域の形状も本明細書ではT字形状と呼ぶ。また、
図3(C)においては、表示装置12の両側に変形箇所となる部分165を設けることができる。
【0090】
また、
図3(B)の変形例として
図4を示す。
図4においては、3枚の表示パネル100dを横に並べ、2枚の表示パネル100e、100gを縦に並べた表示装置13を図示している。表示装置13において1つの表示領域は、3つの表示領域101dと表示領域101eと表示領域101gとの合計となる。このような1つの表示領域の形状も本明細書ではT字形状と呼ぶ。T字形状とは、縦のバー部と横のバー部とを組み合わせて長軸方向が交差するように互いに約90°で構成される形状の一つであり、横のバーの中央付近で接触させている形状、即ち、左右対称の形状に限定されない。
【0091】
また、
図4においては、表示パネルが3枚重ならないように配置しており、表示装置13は、表示パネルが3枚重なる部分を有していない。また、図示していないが表示パネル100eのFPCは表示パネル100dと重なる位置に配置されている。
【0092】
また、表示装置13の3つ並べた表示パネル100dは、
図4の左のパネルが最上部となり、右のパネルが最下部となり、中央のパネルのFPCは左の表示パネルの表示領域と重なるように配置されている。
【0093】
図4においては、表示パネル100eは曲面を有する形状とし、表示パネル100gは従来のガラス基板を用いた液晶表示装置としてもよい。この場合、表示パネルの平面に対して表示パネル100dの表示面が60°以上120°以下とすることもできる。
【0094】
このように様々な組み合わせで広い面積の表示領域を有する表示装置を提供することができる。表示装置を搭載する自動車や航空機や船舶などのコックピットに合わせて適宜組み合わせることができる。
【0095】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0096】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の
図1(A)に示す表示パネルの作製方法について
図5を用いて説明する。
【0097】
まず、
図5(A)に示すように、作製基板231上に剥離層233を形成する。そして、剥離層233の表面にプラズマ処理を行う(
図5(A)の点線で示す矢印参照)。なお、本明細書中では、剥離層上に形成される層を被剥離層と記す場合がある。
【0098】
作製基板231には、少なくとも作製工程中の処理温度に耐えうる耐熱性を有する基板を用いる。作製基板231としては、例えばガラス基板、石英基板、サファイア基板、半導体基板、セラミック基板、金属基板、プラスチック基板などを用いることができる。
【0099】
なお、量産性を向上させるため、作製基板231として大型のガラス基板を用いることが好ましい。例えば、第3世代(550mm×650mm)以上第10世代(2950mm×3400mm)以下のガラス基板、またはこれよりも大型のガラス基板を用いることが好ましい。
【0100】
作製基板231にガラス基板を用いる場合、作製基板231と剥離層233との間に、下地膜を形成すると、ガラス基板からの汚染を防止でき、好ましい。下地膜としては、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、及び窒化酸化シリコン膜等の絶縁膜が挙げられる。
【0101】
剥離層233には、無機材料を用いることができる。無機材料としては、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、シリコンから選択された元素を含む金属、該元素を含む合金、または該元素を含む化合物等が挙げられる。シリコンを含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれでもよい。剥離層233に、タングステン、チタン、モリブデンなどの高融点金属材料を用いると、被剥離層の形成工程の自由度が高まるため好ましい。
【0102】
剥離層233が単層構造の場合、タングステン層、モリブデン層、またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成することが好ましい。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0103】
剥離層233は、例えばスパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(プラズマCVD法、熱CVD法、MOCVD(Metal Organic CVD)法など)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、塗布法(スピンコーティング法、液滴吐出法、ディスペンス法等を含む)、印刷法、蒸着法等により形成できる。
【0104】
剥離層233の厚さは、1nm以上1000nm以下、好ましくは1nm以上200nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下とする。
【0105】
また、剥離層233として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上に酸化物絶縁膜を形成することで、タングステン層と絶縁膜との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。
【0106】
また、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、亜酸化窒素(N2O)プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。プラズマ処理または加熱処理は、酸素、窒素、亜酸化窒素単独、あるいは該ガスとその他のガスとの混合気体雰囲気下で行うことができる。
【0107】
プラズマ処理または加熱処理により、剥離層233の表面状態を変えることで、剥離層233と後に形成される絶縁膜との密着性を制御することが可能である。本実施の形態では、プラズマ処理を行う場合を例に挙げて説明する。
【0108】
プラズマ処理は、亜酸化窒素を含む雰囲気下で行うことが好ましく、亜酸化窒素及びシランを含む雰囲気下で行うことがより好ましい。これにより、剥離層233の表面に、剥離層233を構成する材料の酸化物層を形成することができる。特に、シランを含む雰囲気下で行うと、とても薄い厚さの酸化物層を形成することができる。酸化物層が極めて薄い場合には、断面観察像で確認が困難である。
【0109】
酸化物層は、剥離層に含まれる材料の酸化物を含む層である。剥離層233が金属を含む場合、酸化物層は、剥離層233に含まれる金属の酸化物を含む層である。酸化物層は、タングステン酸化物、チタン酸化物、またはモリブデン酸化物を含むことが好ましい。
【0110】
次に、
図5(B)に示すように、剥離層233上に第1の絶縁層205を形成し、第1の絶縁層205上に第2の絶縁層207を形成する。
【0111】
本実施の形態では、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を剥離層233として用いる例を示したが、特に限定されず、ポリイミドなどの有機樹脂を用いて、作製基板上に有機樹脂と第1の絶縁層205を積層し、有機樹脂の一部をレーザ光等を用いて局所的に加熱することにより剥離の起点を形成し、作製基板と第1の絶縁層205の界面で剥離を行ってもよい。
【0112】
第1の絶縁層205及び第2の絶縁層207は、それぞれ、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜等を用いて、単層または多層で形成することができる。
【0113】
なお、本明細書中において「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものをいう。また、本明細書中において、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものをいう。
【0114】
第1の絶縁層205は、酸素及びシリコンを含むことが好ましい。第1の絶縁層205を酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜の単層構造とすることが好ましい。
【0115】
第1の絶縁層205は、さらに水素を含むことが好ましい。第1の絶縁層205は、後の加熱工程において、水素を放出する機能を有する。加熱により、第1の絶縁層205から水素が放出されることで、酸化物層に水素が供給される。また、第1の絶縁層205は、後の加熱工程において、水素及び窒素を放出する機能を有していてもよい。加熱により、第1の絶縁層205から窒素が放出されることで、酸化物層に窒素が供給される。
【0116】
第1の絶縁層205は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により検出される水素濃度が1.0×1020atoms/cm3以上1.0×1022atoms/cm3以下、好ましくは5.0×1020atoms/cm3以上5.0×1021atoms/cm3以下である領域を含むことが好ましい。
【0117】
第1の絶縁層205は、SIMSにより検出される窒素濃度が5.0×1020atoms/cm3以上1.0×1023atoms/cm3以下、好ましくは1.0×1021atoms/cm3以上5.0×1022atoms/cm3以下である領域を含むことが好ましい。
【0118】
第1の絶縁層205として、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を、シランガス及び亜酸化窒素ガスを含む成膜ガスを用いたプラズマCVD法により成膜することで、多量の水素及び窒素を膜中に含有させることができるため好ましい。また、成膜ガス中のシランガスの割合を大きくするほど、後の加熱工程において水素の放出量が多くなるため好ましい。
【0119】
第2の絶縁層207は、窒素及びシリコンを含むことが好ましい。第2の絶縁層207を窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜の単層構造、または窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜を含む積層構造とすることが好ましい。第2の絶縁層207が積層構造の場合、第2の絶縁層207は、さらに酸化シリコン膜及び酸化窒化シリコン膜の少なくとも一方を有することが好ましい。
【0120】
第2の絶縁層207は、後の加熱工程において、第1の絶縁層205から放出された水素をブロックする機能を有する。第2の絶縁層207は、水素及び窒素をブロックすることができる層であってもよい。第2の絶縁層207により、第1の絶縁層205から素子層に水素(及び窒素)が供給されることを抑制することができるとともに、酸化物層に水素(及び窒素)を効率よく供給することができる。なお、第1の絶縁層205と第2の絶縁層207の間に他の層を有していてもよい。
【0121】
第2の絶縁層207に含まれる窒化シリコン膜を、シランガス、窒素ガス及びアンモニアガスを含む成膜ガスを用いたプラズマCVD法により成膜することが好ましい。
【0122】
第1の絶縁層205及び第2の絶縁層207は、それぞれ、スパッタリング法、プラズマCVD法、塗布法、印刷法等を用いて形成することが可能であり、例えば、プラズマCVD法によって成膜温度を250℃以上400℃以下として形成することで、緻密で非常に防湿性の高い膜とすることができる。なお、第1の絶縁層205及び第2の絶縁層207の厚さは、それぞれ10nm以上3000nm以下、さらには200nm以上1500nm以下が好ましい。
【0123】
次に、剥離層233、第1の絶縁層205、及び第2の絶縁層207を加熱する。なお、加熱処理は、後述する素子層209の少なくとも一部を形成した後に行ってもよい。例えば、トランジスタを形成した後、表示素子を形成する前に、加熱処理を行ってもよい。素子層209の作製工程に加熱工程がある場合、該加熱工程が、該加熱処理を兼ねていてもよい。
【0124】
加熱処理を行うことにより、第1の絶縁層205から水素(及び窒素)が放出され、酸化物層に供給される。このとき、第2の絶縁層207が放出された水素(及び窒素)をブロックするため、酸化物層に水素(及び窒素)を効率よく供給することができる。
【0125】
酸化物層内に供給された水素により、酸化物層内の酸化物が還元され、酸化物層中に酸素の組成の異なる複数の酸化物が混在した状態となる。例えば、剥離層にタングステンを含む場合には、プラズマ処理により形成されたWO3が還元され、WO3よりも酸素の組成の少ない酸化タングステンWOx(2<x<3)やWO2が生成され、これらが混在した状態となる。このような混合金属酸化物は酸素の組成に応じて異なる結晶構造を示すため、酸化物層内の機械的強度が脆弱化する。その結果、酸化物層の内部で崩壊しやすい状態が実現され、後の剥離工程における剥離性を向上させることができる。
【0126】
さらに、酸化物層に供給された窒素により、剥離層に含まれる材料と窒素を含む化合物も生成される。このような化合物の存在により、酸化物層の機械的強度をより脆弱化させることができ、剥離性を高めることができる。剥離層に金属を含む場合、酸化物層に金属と窒素を含む化合物(金属窒化物)が生成される。例えば、剥離層にタングステンを含む場合には、タングステン窒化物が酸化物層に生成される。
【0127】
酸化物層内に供給する水素が多いほど、WO3が還元されやすく、酸化物層中に酸素の組成の異なる複数の酸化物が混在した状態となりやすいため、剥離に要する力を少なくすることができる。酸化物層内に供給する窒素が多いほど、酸化物層の機械的強度を脆弱化させることができ、剥離に要する力を少なくすることができる。第1の絶縁層205が厚いほど、水素(及び窒素)の放出量を多くすることができるため好ましい。一方、第1の絶縁層205が薄いほど、生産性が高くなり好ましい。
【0128】
加熱処理は、第1の絶縁層205から水素(及び窒素)が脱離する温度以上、作製基板231の軟化点以下で行えばよい。また、酸化物層内の金属酸化物の水素による還元反応が生じる温度以上で加熱を行うことが好ましい。加熱処理の温度が高いほど、第1の絶縁層205からの水素(及び窒素)の脱離量が高まるため、その後の剥離性を向上させることができる。なお、加熱時間、加熱温度によっては、剥離性が高くなりすぎ、意図しないタイミングで剥離が生じる場合がある。したがって、剥離層233にタングステンを用いる場合には、300℃以上700℃未満、好ましくは400℃以上650℃未満、より好ましくは400℃以上500℃以下の温度で加熱する。
【0129】
加熱処理を行う雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気下で行ってもよいが、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0130】
次に、
図5(C)に示すように、可視光を透過する領域110における第2の絶縁層207を除去する。第2の絶縁層207の除去には、ドライエッチング法、ウェットエッチング法等を用いることができる。なお、後に行われる素子層209の作製工程等に含まれるエッチング工程のいずれかが、第2の絶縁層207の除去工程を兼ねていてもよい。
【0131】
本発明の一態様では、加熱処理を行うまでは、剥離層233の表面全体に第2の絶縁層207を設けておく。そして、加熱処理後に、可視光を透過する領域110における第2の絶縁層207を除去する。これにより、可視光を透過する領域110の剥離性が、他の部分よりも低くなることを抑制できる。したがって、表示パネル全体の剥離性を均一にすることができる。可視光を透過する領域110の構成が、表示パネルの作製工程の歩留まりに与える影響を抑制することができる。
【0132】
次に、
図5(D)に示すように、第2の絶縁層207上に、素子層209、及び接続端子223を形成する。素子層209には表示素子が含まれる。また、素子層209に含まれる絶縁層は、可視光を透過する領域110に含まれないことが好ましい。
【0133】
次に、後の工程で作製基板231と貼り合わせる基板235を用意する。基板235上に剥離層237を形成する。そして、剥離層237の表面にプラズマ処理を行う(
図5(E)の点線で示す矢印参照)。
【0134】
次に、
図5(F)に示すように、剥離層237上に第3の絶縁層215を形成し、第3の絶縁層215上に第4の絶縁層217を形成し、第4の絶縁層217上に機能層219を形成する。
【0135】
なお、加熱処理を、第4の絶縁層217を形成した後、かつ、第4の絶縁層217の一部を除去する前に行う。機能層219を形成する前に、剥離層237、第3の絶縁層215、及び第4の絶縁層217を加熱してもよい。または、加熱処理は、機能層219の少なくとも一部を形成した後に行ってもよい。機能層219の作製工程に加熱工程がある場合、該加熱工程が、該加熱処理を兼ねていてもよい。
【0136】
加熱処理を行うことにより、後の剥離工程における剥離性を向上させることができる。
【0137】
次に、
図5(G)に示すように、可視光を透過する領域110における第4の絶縁層217を除去する。第4の絶縁層217の除去には、ドライエッチング法、ウェットエッチング法等を用いることができる。なお、機能層219の作製工程に含まれるエッチング工程のいずれかが、第4の絶縁層217の除去工程を兼ねていてもよい。
【0138】
本発明の一態様では、加熱処理を行うまでは、剥離層237の表面全体に第4の絶縁層217を設けておく。そして、加熱処理後に、可視光を透過する領域110における第4の絶縁層217を除去する。これにより、表示パネル全体の剥離性を均一にすることができる。可視光を透過する領域110の構成が、表示パネルの作製工程の歩留まりに与える影響を抑制することができる。
【0139】
続いて、作製基板231と基板235とを接着層221により貼り合わせる。(
図6(A))
【0140】
接着層221としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。また、接着層221として、水溶性樹脂、有機溶媒に可溶な樹脂、紫外線などの照射により可塑化させることが可能である樹脂等、必要時に基板235と第1の絶縁層205とを分離することが可能な接着剤を用いてもよい。
【0141】
そして、剥離層233と第1の絶縁層205を分離する。
【0142】
剥離の方法としては、例えば作製基板231または基板235を吸着ステージに固定し、剥離層233と第1の絶縁層205の間に剥離の起点を形成する。例えば、これらの間に刃物などの鋭利な形状の器具を差し込むことで剥離の起点を形成してもよい。また、レーザ光を照射し剥離層233の一部を溶解させることで剥離の起点を形成してもよい。また、液体(例えばアルコールや水、二酸化炭素を含む水など)を例えば剥離層233や第1の絶縁層205の端部に滴下し、毛細管現象を利用して該液体を剥離層233と第1の絶縁層205の境界に浸透させることにより剥離の起点を形成してもよい。
【0143】
次いで、剥離の起点が形成された部分において、密着面に対して概略垂直方向に、緩やかに物理的な力を加えること(人間の手や治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理等)により、被剥離層を破損することなく剥離することができる。例えば、作製基板231または基板235にテープ等を貼り付け、当該テープを上記方向に引っ張ることで剥離を行ってもよいし、鉤状の部材を作製基板231または基板235の端部に引っかけて剥離を行ってもよい。また、粘着性の部材や真空吸着が可能な部材を作製基板231または基板235の裏面に吸着させて引っ張ることにより、剥離を行ってもよい。
【0144】
ここで、剥離時に、剥離界面に水や水溶液など、水を含む液体を添加し、該液体が剥離界面に浸透するように剥離を行うことで、剥離性を向上させることができる。また、剥離時に生じる静電気が、被剥離層に含まれる機能素子に悪影響を及ぼすこと(半導体素子が静電気により破壊されるなど)を抑制できる。
【0145】
以上の方法により、作製基板231から被剥離層を歩留まりよく剥離することができる。
【0146】
その後、第1の絶縁層205に接着層203を介して基板201を貼り付ける(
図6(B))。接着層203には、接着層221に用いることができる材料を適用できる。基板201には、後述する基板211に用いることができる材料を適用できる。
【0147】
次いで、剥離層237と基板235を分離する。
【0148】
その後、第1の絶縁層215に接着層213を介して基板211を貼り付ける(
図6(C))
【0149】
基板211としては、作製基板231に用いることができる各種基板を適用できる。また、可撓性を有する基板を用いてもよい。また、基板211として、トランジスタなどの半導体素子、有機EL素子などの発光素子、液晶素子、検知素子などの機能素子やカラーフィルタ等があらかじめ形成された基板を用いてもよい。接着層213には、接着層221に用いることができる材料を適用できる。
【0150】
基板201及び基板211にそれぞれ可撓性を有する基板を用いることで、フレキシブルな表示パネルを作製することができる。なお、基板211が仮支持基板として機能する場合、基板211と被剥離層とを分離し、被剥離層と別の基板(例えば可撓性を有する基板)を貼り合わせてもよい。
【0151】
以上のように、本発明の一態様の表示パネルの作製方法では、第1の絶縁層205及び第2の絶縁層207を剥離層233の表面全体に形成した状態で加熱処理を行うことで、表示パネル全体の剥離性を均一に高めることができる。そして、加熱処理後に、可視光を透過する領域110における第2の絶縁層207を除去することで、可視光を透過する領域110の反射率を低減することができる。
【0152】
また、本発明の一態様の表示パネルの作製方法では、作製基板上に機能素子を形成した後に機能素子を作製基板から剥離し、他の基板に転置する。そのため、機能素子の形成工程にかかる熱に対する制限がほとんど無い。高温プロセスにて作製した極めて信頼性の高い機能素子を、耐熱性の劣る可撓性を有する基板上に歩留まりよく作製することができる。これにより、信頼性が高く、フレキシブルな表示パネルを実現することができる。
【0153】
本実施の形態では、表示素子としてEL素子が適用された表示パネルを例に説明する。
【0154】
表示パネルには、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の副画素で1つの色を表現する構成、R、G、B、W(白)の4色の副画素で1つの色を表現する構成、またはR、G、B、Y(黄)の4色の副画素で1つの色を表現する構成等を適用できる。色要素に限定はなく、RGBWY以外の色(例えば、シアンまたはマゼンタ等)を用いてもよい。
図7(A)、(B)に、表示パネル370の上面図を示す。
【0155】
図7(A)、(B)に示す表示パネル370は、それぞれ、可視光を透過する領域110、表示部381、及び駆動回路部382を有する。
図7(A)では、可視光を透過する領域110が、表示部381に隣接し、表示部381の2辺に沿って配置されている例を示す。
図7(B)では、可視光を透過する領域110が、表示部381に隣接し、表示部381の3辺に沿って配置されている例を示す。
【0156】
図7(C)に、カラーフィルタ方式が適用されたトップエミッション構造の表示パネル370の断面図を示す。
図7(C)は、
図7(A)、(B)における一点鎖線A1-A2間及びA3-A4間の断面図に相当する。
【0157】
表示パネル370は、基板201、接着層203、第1の絶縁層205、第2の絶縁層207、複数のトランジスタ、容量素子305、導電層307、絶縁層312、絶縁層313、絶縁層314、絶縁層315、発光素子304、導電層355、スペーサ316、接着層317、着色層325、遮光層326、基板211、接着層213、第3の絶縁層215、及び第4の絶縁層217を有する。可視光を透過する領域110に含まれる各層は、可視光を透過する。
【0158】
駆動回路部382はトランジスタ301を有する。表示部381は、トランジスタ302及びトランジスタ303を有する。
【0159】
各トランジスタは、ゲート、ゲート絶縁層311、半導体層、ソース、及びドレインを有する。ゲートと半導体層は、ゲート絶縁層311を介して重なる。ゲート絶縁層311の一部は、容量素子305の誘電体としての機能を有する。トランジスタ302のソースまたはドレインとして機能する導電層は、容量素子305の一方の電極を兼ねる。
【0160】
図7(C)では、ボトムゲート構造のトランジスタを示す。駆動回路部382と表示部381とで、トランジスタの構造が異なっていてもよい。駆動回路部382及び表示部381は、それぞれ、複数の種類のトランジスタを有していてもよい。
【0161】
容量素子305は、一対の電極と、その間の誘電体とを有する。容量素子305は、トランジスタのゲートと同一の材料、及び同一の工程で形成した導電層と、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、及び同一の工程で形成した導電層と、を有する。
【0162】
絶縁層312、絶縁層313、及び絶縁層314は、それぞれ、トランジスタ等を覆って設けられる。トランジスタ等を覆う絶縁層の数は特に限定されない。絶縁層314は、平坦化層としての機能を有する。絶縁層312、絶縁層313、及び絶縁層314のうち、少なくとも一層には、水または水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。外部から不純物がトランジスタに拡散することを効果的に抑制することが可能となり、表示パネルの信頼性を高めることができる。
【0163】
表示パネル370は、可視光を透過する領域110における光の反射が抑制された構成である。可視光を透過する領域110は、基板201、接着層203、第1の絶縁層205、接着層317、第3の絶縁層215、接着層213、及び基板211をこの順で積層して有する。
【0164】
第2の絶縁層207、第4の絶縁層217、ゲート絶縁層311、絶縁層312、絶縁層313、絶縁層314、及び絶縁層315は、表示部381に設けられ、かつ、可視光を透過する領域110に設けられていない。これら絶縁層の端部は、それぞれ、表示部381の、可視光を透過する領域110との境界近傍に位置することが好ましい。また、各絶縁層の端部は、遮光層326と重なることが好ましい。これにより、可視光を透過する領域110の面内における、反射率及び透過率のばらつきを小さくできる。
【0165】
第1の絶縁層205と基板201は接着層203によって貼り合わされている。また、第3の絶縁層215と基板211は接着層213によって貼り合わされている。本発明の一態様の表示パネルの作製方法において、第1の絶縁層205及び第3の絶縁層215は、それぞれ作製基板との剥離界面に位置する層であり、かつ、表示パネル370の一面全体に設けられている。そのため、表示パネル370は高い歩留まりで作製が可能である。
【0166】
表示部381では、第2の絶縁層207と第4の絶縁層217との間に、発光素子304が位置する。表示パネル370の厚さ方向から、発光素子304に、不純物が侵入することが抑制されている。同様に、表示部381では、トランジスタを覆う絶縁層が複数設けられており、トランジスタに不純物が侵入することが抑制されている。
【0167】
一対の防湿性の高い絶縁膜の間に発光素子304及びトランジスタ等を配置することで、これらの素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が高くなるため好ましい。
【0168】
防湿性の高い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜、及び、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0169】
例えば、防湿性の高い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×10-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・day)]以下とする。
【0170】
絶縁層314として有機材料を用いる場合、表示パネルの端部に露出した絶縁層314を通って発光素子304等に表示パネルの外部から水分等の不純物が侵入する恐れがある。不純物の侵入により、発光素子304が劣化すると、表示パネルの劣化につながる。そのため、
図7(C)の接続部306近傍に示すように、絶縁層314に無機膜(ここでは絶縁層313)に達する開口を設け、表示パネルの外部から水分等の不純物が侵入しても、発光素子304に到達しにくい構造とすることが好ましい。
【0171】
発光素子304は、電極321、EL層322、及び電極323を有する。発光素子304は、光学調整層324を有していてもよい。発光素子304は、着色層325側に光を射出する。
【0172】
トランジスタ、容量素子、及び配線等を、発光素子304の発光領域と重ねて配置することで、表示部381の開口率を高めることができる。
【0173】
電極321及び電極323のうち、一方は、陽極として機能し、他方は、陰極として機能する。電極321及び電極323の間に、発光素子304の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層322に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層322において再結合し、EL層322に含まれる発光物質が発光する。
【0174】
電極321は、トランジスタ303のソースまたはドレインと電気的に接続される。これらは、直接接続されるか、他の導電層を介して接続される。電極321は、画素電極として機能し、発光素子304ごとに設けられている。隣り合う2つの電極321は、絶縁層315によって電気的に絶縁されている。
【0175】
EL層322は、発光材料を含む層である。発光素子304には、発光材料として有機化合物を用いた有機EL素子を好適に用いることができる。
【0176】
EL層322は少なくとも1層の発光層を有する。
【0177】
発光材料としては量子ドットも用いることができる。量子ドットは、数nmサイズの半導体ナノ結晶であり、1×103個から1×106個程度の原子から構成されている。量子ドットはサイズに依存してエネルギーシフトするため、同じ物質から構成される量子ドットであっても、サイズによって発光波長が異なり、用いる量子ドットのサイズを変更することによって容易に発光波長を調整することができる。
【0178】
量子ドットは、発光スペクトルのピーク幅が狭いため、色純度のよい発光を得ることができる。さらに、量子ドットの理論的な内部量子効率はほぼ100%であると言われており、量子ドットを発光材料として用いることによって発光効率の高い発光素子を得ることができる。その上、無機化合物である量子ドットはその本質的な安定性にも優れているため、寿命の観点からも好ましい発光素子を得ることができる。
【0179】
量子ドットを構成する材料としては、周期表第14族元素、周期表第15族元素、周期表第16族元素、複数の周期表第14族元素からなる化合物、周期表第4族から周期表第14族に属する元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、周期表第14族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン類、カルコゲナイドスピネル類、各種半導体クラスターなどを挙げることができる。
【0180】
量子ドットを構成する材料としては、例えば、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化亜鉛、リン化インジウム、セレン化鉛、硫化鉛、セレンと亜鉛とカドミウムの化合物、カドミウムとセレンと硫黄の化合物などが挙げられる。また、組成が任意の比率で表される、いわゆる合金型量子ドットを用いてもよい。例えば、カドミウムとセレンと硫黄の合金型量子ドットは、元素の含有比率を変化させることで発光波長を変えることができるため、青色発光を得るには有効な手段の一つである。
【0181】
量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-マルチシェル型などがあり、そのいずれを用いてもよい。発光の量子効率が大きく改善するため、コア-シェル型またはコア-マルチシェル型の量子ドットを用いることが好ましい。シェルの材料の例としては、硫化亜鉛や酸化亜鉛が挙げられる。
【0182】
量子ドットは、表面原子の割合が高いことから、反応性が高く、凝集が起こりやすい。そのため、量子ドットの表面には保護剤が付着しているまたは保護基が設けられていることが好ましい。これにより、量子ドットの凝集を防ぎ、溶媒への溶解性を高めることができる。また、反応性を低減させ、電気的安定性を向上させることもできる。
【0183】
量子ドットのサイズ(直径)は0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下の範囲のものが通常よく用いられる。なお、量子ドットはそのサイズ分布が狭いほど、発光スペクトルがより狭線化し、色純度の良好な発光を得ることができる。また、量子ドットの形状は特に限定されず、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。
【0184】
量子ドットはホスト材料を用いずに量子ドットのみで発光層を構成しても発光効率を保つことができるため、この点でも寿命という観点から好ましい発光素子を得ることができる。量子ドットのみで発光層を形成する場合には、量子ドットはコア-シェル構造(コア-マルチシェル構造を含む)であることが好ましい。
【0185】
電極323は、共通電極として機能し、複数の発光素子304にわたって設けられている。電極323には、定電位が供給される。
【0186】
発光素子304は、接着層317を介して着色層325と重なる。スペーサ316は、接着層317を介して遮光層326と重なる。
図7(C)では、発光素子304と遮光層326との間に隙間がある場合を示しているが、これらが接していてもよい。
図7(C)では、スペーサ316を基板201側に設ける構成を示したが、基板211側(例えば遮光層326よりも基板201側)に設けてもよい。
【0187】
カラーフィルタ(着色層325)とマイクロキャビティ構造(光学調整層324)との組み合わせにより、表示パネルからは、色純度の高い光を取り出すことができる。光学調整層324の膜厚は、各画素の色に応じて変化させる。
【0188】
着色層は特定の波長帯域の光を透過する有色層である。例えば、赤色、緑色、青色、または黄色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、または、顔料もしくは染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0189】
なお、本発明の一態様は、カラーフィルタ方式に限られず、塗り分け方式、色変換方式、または量子ドット方式等を適用してもよい。
【0190】
遮光層は、隣接する着色層の間に設けられている。遮光層は隣接する発光素子からの光を遮り、隣接する発光素子間における混色を抑制する。ここで、着色層の端部を、遮光層と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。遮光層としては、発光素子の光を遮る材料を用いることができ、例えば、金属材料、または、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。なお、遮光層は、駆動回路などの画素部以外の領域に設けると、導波光などによる意図しない光漏れを抑制できるため好ましい。
【0191】
接続部306は、導電層307及び導電層355を有する。導電層307と導電層355は、電気的に接続されている。導電層307は、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、及び同一の工程で形成することができる。導電層355は、駆動回路部382に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC373を設ける例を示している。接続体319を介してFPC373と導電層355は電気的に接続する。
【0192】
接続体319としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)及び異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0193】
図9(A)に示すトランジスタ301、302、303は、2つのゲート、ゲート絶縁層311、半導体層、ソース、及びドレインを有する。
図9(A)では、各トランジスタに、半導体層を2つのゲートで挟持する構成を適用した例を示している。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることができ、オン電流を増大させることができる。その結果、高速動作が可能な回路を作製することができる。さらには、回路の占有面積を縮小することができる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示パネルを大型化または高精細化し配線数が増大しても、各配線における信号遅延を低減することができ、表示の輝度のばらつきを低減することができる。
図9(A)では、絶縁層313と絶縁層314の間に、一方のゲートを作製する例を示す。
【0194】
図9(A)に示すように、表示パネルは、オーバーコート329を有することが好ましい。オーバーコート329は、着色層325に含有された不純物等の発光素子304への拡散を防止することができる。オーバーコート329は、発光素子304の光を透過する材料から構成される。例えば、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜等の無機絶縁膜、または、アクリル膜、ポリイミド膜等の有機絶縁膜を用いることができ、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造としてもよい。
図9(A)では、オーバーコート329が表示パネルの一面全体に位置する例を示す。オーバーコート329は、可視光を透過する領域110に設けられていなくてもよい。
【0195】
また、接着層317の材料を着色層325及び遮光層326上に塗布する場合、オーバーコート329の材料として接着層317の材料に対して濡れ性の高い材料を用いることが好ましい。例えば、オーバーコート329として、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)膜などの酸化物導電膜、または透光性を有する程度に薄いAg膜等の金属膜を用いることが好ましい。
【0196】
オーバーコート329に、接着層317の材料に対して濡れ性の高い材料を用いることで、接着層317の材料を均一に塗布することができる。これにより、一対の基板を貼り合わせた際に気泡が混入することを抑制でき、表示不良を抑制できる。
【0197】
基板201及び基板211としては、可撓性を有する基板を用いることが好ましい。例えば、可撓性を有する程度の厚さのガラス、石英、樹脂、金属、合金、半導体などの材料を用いることができる。発光素子からの光を取り出す側の基板は、該光を透過する材料を用いる。例えば、基板の厚さは、1μm以上200μm以下が好ましく、1μm以上100μm以下がより好ましく、10μm以上50μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下がさらに好ましい。可撓性を有する基板の厚さ及び硬さは、機械的強度及び可撓性を両立できる範囲とする。可撓性を有する基板は単層構造であっても積層構造であってもよい。
【0198】
ガラスに比べて樹脂は比重が小さいため、可撓性を有する基板として樹脂を用いると、ガラスを用いる場合に比べて表示パネルを軽量化でき、好ましい。
【0199】
基板には、靱性が高い材料を用いることが好ましい。これにより、耐衝撃性に優れ、破損しにくい表示パネルを実現できる。例えば、樹脂基板、または、厚さの薄い金属基板もしくは合金基板を用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて、軽量であり、破損しにくい表示パネルを実現できる。
【0200】
金属材料及び合金材料は熱伝導性が高く、基板全体に熱を容易に伝導できるため、表示パネルの局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。金属材料または合金材料を用いた基板の厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0201】
金属基板または合金基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、または、アルミニウム合金もしくはステンレス等の金属の合金などを好適に用いることができる。半導体基板を構成する材料としては、シリコン等が挙げられる。
【0202】
また、基板に、熱放射率が高い材料を用いると表示パネルの表面温度が高くなることを抑制でき、表示パネルの破壊、及び信頼性の低下を抑制できる。例えば、基板を金属基板と熱放射率の高い層(例えば、金属酸化物またはセラミック材料を用いることができる)の積層構造としてもよい。
【0203】
可撓性及び透光性を有する材料としては、例えば、PET、PEN等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、PC樹脂、PES樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、PTFE樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。特に、線膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、繊維体に樹脂を含浸した基板、及び、無機フィラーを樹脂に混ぜて線膨張係数を下げた基板等を使用することもできる。
【0204】
可撓性を有する基板としては、上記材料を用いた層が、装置の表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン層など)、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂層など)等の少なくとも一と積層されて構成されていてもよい。また、保護基板132として用いることができる基板を用いてもよい。
【0205】
可撓性を有する基板は、ガラス層を有する構成とすると、水及び酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示パネルとすることができる。
【0206】
接着層には、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。また、接着シート等を用いてもよい。
【0207】
また、接着層には乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウム、酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトまたはシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が機能素子に侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0208】
また、接着層に屈折率の高いフィラーまたは光散乱部材を含ませることで、発光素子からの光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
【0209】
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、発光ダイオード(LED)、有機EL素子、無機EL素子等を用いることができる。なお、本発明の一態様の表示パネルには、様々な表示素子を用いることができる。例えば、液晶素子、電気泳動素子、MEMSを用いた表示素子等を適用してもよい。
【0210】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型のいずれであってもよい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0211】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウムを添加したZnOなどを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、またはこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電膜として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
【0212】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、またはこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料または合金に、ランタン、ネオジム、またはゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)、銀とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜または金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とITOの積層膜、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いることができる。
【0213】
電極は、それぞれ、蒸着法またはスパッタリング法を用いて形成することができる。そのほか、インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、またはメッキ法を用いて形成することができる。
【0214】
EL層322は少なくとも発光層を有する。EL層322は、複数の発光層を有していてもよい。EL層322は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0215】
EL層322には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。EL層322を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0216】
発光素子304は、2種類以上の発光物質を含んでいてもよい。これにより、例えば、白色発光の発光素子を実現することができる。例えば2種類以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、またはO(橙)等の発光を示す発光物質、またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質を用いることができる。
【0217】
また、発光素子304は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、電荷発生層を介して積層されたEL層を複数有するタンデム素子であってもよい。
【0218】
<発光パネルの構成例>
図9(A)及び
図9(B)に、塗り分け方式が適用されたトップエミッション構造の表示パネル370A、370Bの断面図を示す。
図9(A)はカラーフィルタを有している。不要であれば、
図9(B)に示すようにカラーフィルタなしの構成としてもよい。これらの場合、各色の発光素子の発光層はそれぞれ分離していることが好ましい。本発明の一態様の表示装置は、複数の表示パネルを用いて形成されるため、1つの表示パネルの大きさは比較的小さくすることができる。そのため、メタルマスクの合わせ精度を高めることができ、塗り分けの歩留まりを高めることができる。このことから、塗り分け方式の発光素子を採用する点で有利であるといえる。
【0219】
表示パネルが有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0220】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0221】
トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、第14族の元素、化合物半導体または酸化物半導体を半導体層に用いることができる。代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体、またはインジウムを含む酸化物半導体などを適用できる。
【0222】
特に、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、酸化物半導体を適用することが好ましい。特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0223】
例えば、上記酸化物半導体として、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。より好ましくは、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、Ce、HfまたはNd等の金属)で表記される酸化物を含む。
【0224】
トランジスタに用いる半導体材料として、CAAC-OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC-OSは非晶質とは異なり、欠陥準位が少なく、トランジスタの信頼性を高めることができる。また、CAAC-OSは結晶粒界が確認されないという特徴を有するため、大面積に安定で均一な膜を形成することが可能で、また可撓性を有する表示パネルを湾曲させたときの応力によってCAAC-OS膜にクラックが生じにくい。
【0225】
CAAC-OSは、膜面に対して、結晶のc軸が概略垂直配向した結晶性酸化物半導体のことである。酸化物半導体の結晶構造としては他にナノスケールの微結晶集合体であるナノ結晶(nc:nanocrystal)など、単結晶とは異なる多彩な構造が存在することが確認されている。CAAC-OSは、単結晶よりも結晶性が低く、ncに比べて結晶性が高い。
【0226】
また、CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC-OSを、CAA crystal(c-axis-aligned a-b-plane-anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
【0227】
表示パネルが有する絶縁層には、有機絶縁材料または無機絶縁材料を用いることができる。樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。無機絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等が挙げられる。
【0228】
表示パネルが有する導電層には、それぞれ、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、もしくはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。または、酸化インジウム、ITO、タングステンを含むインジウム酸化物、タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、チタンを含むインジウム酸化物、チタンを含むITO、インジウム亜鉛酸化物、ZnO、ガリウムを添加したZnO、またはシリコンを含むインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を用いてもよい。また、不純物元素を含有させるなどして低抵抗化させた、多結晶シリコンもしくは酸化物半導体等の半導体、またはニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。また、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。また、不純物元素を含有させた酸化物半導体等の半導体を用いてもよい。または、銀、カーボン、もしくは銅等の導電性ペースト、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを用いて形成してもよい。導電性ペーストは、安価であり、好ましい。導電性ポリマーは、塗布しやすく、好ましい。
【0229】
図7(C)に示す表示パネル370を2枚重ねて有する表示装置の断面図の一例を、
図8に示す。
【0230】
図8では、下側の表示パネルの表示領域101a(
図7(C)に示す表示部381と対応)及び可視光を遮る領域120a(
図7(C)に示す駆動回路部382等に対応)、並びに、上側の表示パネルの表示領域101b(
図7(C)に示す表示部381と対応)及び可視光を透過する領域110b(
図7(C)に示す可視光を透過する領域110に対応)を示す。
【0231】
図8に示す表示装置において、表示面側(上側)に位置する表示パネルは、可視光を透過する領域110bを表示領域101bと隣接して有する。下側の表示パネルの表示領域101aは、上側の表示パネルの可視光を透過する領域110bと重なっている。したがって、重ねた2つの表示パネルの表示領域の間の非表示領域を縮小すること、さらには無くすことができる。これにより、使用者から表示パネルの継ぎ目が認識されにくい、大型の表示装置を実現することができる。
【0232】
また、
図8に示す表示装置は、表示領域101aと可視光を透過する領域110bの間に、空気よりも屈折率が高く、可視光を透過する透光層103を有する。これにより、表示領域101aと可視光を透過する領域110bの間に空気が入ることを抑制でき、屈折率の差による界面での反射を低減することができる。そして、表示装置における表示ムラまたは輝度ムラの抑制が可能となる。
【0233】
透光層103は、下側の表示パネルの基板211または上側の表示パネルの基板201の表面全体に重なっていてもよいし、表示領域101a及び可視光を透過する領域110bのみと重なっていてもよい。また、透光層103は、可視光を遮る領域120aと重なっていてもよい。
【0234】
例えば、透光層103としては、基材の両面に吸着層を有する吸着フィルムを適用することができる。
【0235】
可視光を透過する領域110bは、光の反射が抑制された構成である。そのため、表示装置の使用者から、2枚の表示パネルが重なっている部分(重なり部)が視認されにくい。また、表示領域101aの表示における、可視光を透過する領域110bを介して視認される部分と、該領域を介さずに視認される部分との輝度の差を小さくすることができる。
【0236】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【実施例1】
【0237】
本実施例では、本発明の一態様の表示装置を作製した結果について説明する。本実施例で作製した表示装置は、kawara-type multidisplayである。
【0238】
<表示パネル>
まず、本実施例の表示装置に用いた表示パネルの詳細を示す。
【0239】
図10(A)に本実施例の表示パネルの概略図を示す。
図10(A)に示す表示パネルは、発光部250のサイズが対角13.5インチ、有効画素数が1280×720、精細度が108ppi、開口率が41.3%である、アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイである。表示パネルには、デマルチプレクサ(DeMUX)253が内蔵されており、ソースドライバとして機能する。また、表示パネルには、スキャンドライバ255も内蔵されている。発光部250の2辺は、可視光を透過する領域251と接する。残りの2辺の周りには、引き回し配線257が設けられている。
【0240】
トランジスタには、CAAC-OSを用いたチャネルエッチ型のトランジスタを適用した。酸化物半導体には、In-Ga-Zn系酸化物を用いた。
【0241】
発光素子には、RGBの3種類の有機EL素子を用いた。発光素子の光は、カラーフィルタを通して表示パネルの外部に取り出す構造とする。発光素子は、トップエミッション構造である。
【0242】
図10(B)に、表示パネルをT字形状に3枚重ねた場合の表示装置の概略図を示す。また、
図10(B)に示す表示装置の一点鎖線X-Y断面の模式図を
図10(C)に示す。
【0243】
本実施例の表示装置は、複数の表示パネルを、互いの表示領域の間の非表示領域が小さくなるように重ねることで構成されている。具体的には、上側の表示パネルにおける可視光を透過する領域251と、下側の表示パネルにおける発光部250の間には、透光層103が設けられている。
【0244】
表示パネルの2辺においては、発光部250の端部から表示パネルの端部までに、引き回し配線やドライバ等の可視光を遮る構造は配置されておらず、可視光を透過する領域251となっている。表示パネルの可視光を透過する領域251の幅は約5mmとした。可視光を透過する領域251の厚さT(1枚の表示パネルの厚さともいえる)は約110μmと非常に薄い。そのため、本実施例の表示装置では、最大3つの表示パネルが重なる部分があるが、表示面側に生じる段差は非常に小さく、継ぎ目が目立ちにくい構成となっている。
【0245】
3つの表示パネルは可撓性を有する。例えば、
図10(C)に示すように、下側の表示パネルのFPC373aの近傍を湾曲させ、FPC373aに隣接する上側の表示パネルの発光部250の下側に、下側の表示パネルの一部及びFPC373aの一部を配置することができる。その結果、FPC373aを上側の表示パネルの裏面と物理的に干渉することなく配置することができる。これにより、表示パネルの四方に他の表示パネルを並べられ、大面積化が容易となる。
【0246】
本実施例では、基材の両面に吸着層を有する吸着フィルムを透光層103として用いた。該吸着フィルムを用いることで、表示装置を構成する2つの表示パネルを着脱自在に貼り合わせることができる。透光層103の一方の面の吸着層は、基板211aに吸着しており、透光層103の他方の面の吸着層は、基板201bに吸着している。
【0247】
図10(B)において、透光層103は、可視光を透過する領域251と重なる部分だけでなく、発光部250と重なる部分も有する。
図10(C)では、透光層103は、基板201bの端部から可視光を透過する領域251全体に重なり、さらには表示素子を含む領域155bの一部にまで重なる。なお、
図10(C)におけるFPC373aが接続されている部分の近傍の、表示パネルの曲がっている部分には、透光層103を設けていない。ただし、透光層103の厚さや可撓性基板の厚さによっては、透光層103を設けても構わない。
【0248】
各表示パネルは、基板と素子層を接着層で貼り合わせることで作製した。例えば、
図10(C)に示すように、基板201aと素子層153a、基板211aと素子層153a、基板201bと素子層153b、並びに、基板211bと素子層153bが、それぞれ接着層157で貼り合わされている。素子層153aは、表示素子を含む領域155aと、表示素子と電気的に接続する配線を含む領域156aとを有する。同様に、素子層153bは、表示素子を含む領域155bと、表示素子と電気的に接続する配線を含む領域156bとを有する。
【0249】
図11に、2つの表示パネルの重なり部を含む、表示装置の断面図を示す。
【0250】
図11を用いて、本実施例で用いた表示パネルの発光部250及び可視光を透過する領域251の構成を説明する。発光部250aと発光部250bの構成は同様であるため、発光部250としてまとめて説明する。発光部250及び可視光を透過する領域251は、第1の絶縁層205、第2の絶縁層207、ゲート絶縁層311、絶縁層312、第3の絶縁層215、及び第4の絶縁層217を有する。絶縁層313、絶縁層314、及び絶縁層315は、発光部250に設けられており、可視光を透過する領域251には設けられていない。本実施例の表示パネルは、可視光を透過する領域251の構成以外は、実施の形態4で説明した
図9(A)の表示パネル370Aの構成と同様である。
【0251】
また、実際に作製したパネルの写真を
図12(A)に示す。
図12(A)には右側の表示パネルの端部が位置調節機能により表示パネル裏側から押されて曲がり、円形領域に側後部の映像(サイドミラー映像)が映し出されている様子を示している。
図12(A)で表示している映像はイメージ画像であり、実際に自動車に搭載する場合には、円形領域にカメラで撮像した映像(サイドミラー映像)を表示することとなる。勿論、位置調節機能により曲がっている部分を元に戻すこともできている。元に戻したパネルの写真を
図12(B)に示す。なお、
図12(B)の表示装置に表示されている映像はカーナビゲーション映像を表示している。
【0252】
図13に右側の表示パネルの一部を押し出す位置調節治具21の一例を示す。
図13では、表示パネル100の周縁が点線で示した位置となるよう押し出した状態を示している。モータ22によって鎖線で示した回転軸23が回転することで位置調節治具21が移動し、表示パネルの一端が移動する。表示パネルの一端を中心として半径約14.5cmの領域が押し上げられ、押し上げられた表示パネルの一端は、表示パネル平面から最大で約5cm持ち上げられる。
【0253】
図14(A)に表示パネルの一部を押した状態の側面からの写真を示す。また、位置調節治具21が元に戻った状態の側面からの写真を
図14(B)に示す。
図14(B)に示すように、サイドミラー映像は、円形領域に表示される。なお、表示画像は全てイメージデータである。
【符号の説明】
【0254】
10 表示装置
11 表示装置
12 表示装置
13 表示装置
21 位置調節治具
22 モータ
23 回転軸
100 表示パネル
101 表示領域
103 透光層
110 領域
112 FPC
120 領域
132 保護基板
153a 素子層
153b 素子層
155a 領域
155b 領域
156a 領域
156b 領域
157 接着層
161 部分
162 部分
163 部分
165 部分
166 光学部材
167 位置調節手段
168 部分
201 基板
201a 基板
201b 基板
203 接着層
205 絶縁層
207 絶縁層
209 素子層
211 基板
211a 基板
211b 基板
213 接着層
215 絶縁層
217 絶縁層
221 接着層
223 接続端子
231 作製基板
233 剥離層
250 発光部
250a 発光部
250b 発光部
251 領域
255 スキャンドライバ
257 配線
301 トランジスタ
302 トランジスタ
303 トランジスタ
304 発光素子
305 容量素子
306 接続部
307 導電層
311 ゲート絶縁層
312 絶縁層
313 絶縁層
314 絶縁層
315 絶縁層
316 スペーサ
317 接着層
319 接続体
321 電極
322 EL層
323 電極
324 光学調整層
325 着色層
326 遮光層
329 オーバーコート
355 導電層
370 表示パネル
370A 表示パネル
370B 表示パネル
373 FPC
373a FPC
381 表示部
382 駆動回路部
5001 ダッシュボード
5002 表示装置
5002a 表示領域
5002b 表示領域
5002c 表示領域
5002d 表示領域
5002e 左端部
5003 ハンドル
5004 フロントガラス
5005 カメラ
5006 送風口