(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】車両ドアの自動起動検知のシステム及びその方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20231013BHJP
G01S 13/56 20060101ALI20231013BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20231013BHJP
E05B 81/78 20140101ALN20231013BHJP
【FI】
E05F15/73
G01S13/56
B60J5/04 C
E05B81/78
(21)【出願番号】P 2022102455
(22)【出願日】2022-06-27
【審査請求日】2022-06-27
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520465909
【氏名又は名称】鼎天國際股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 國偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 俊彦
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-214472(JP,A)
【文献】特開2019-196096(JP,A)
【文献】特開2015-021238(JP,A)
【文献】特開2016-188537(JP,A)
【文献】特開2012-029163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/73
E05B 49/00,77/00-85/28
G01S 7/00-7/42,13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載システムを接続することにより、車両ドアの起動を制御する車両ドアの自動起動検知システムであって、
三角形ベースの上部に設けられた基板
と、
前記三角形ベースの隣り合う両側辺にそれぞれ設けられて前記基板に双方が接続された距離検知アンテナセット
及び起動検知アンテナセット
と、前記基板に設置されて前記距離検知アンテナセット及び前記起動検知アンテナセット並びに前記車載システムに接続されたプロセッサー
と、を
ハウジングに覆われて含み、
前記距離検知アンテナセット
は第1信号及び第2信号を順次検出し、
前記起動検知アンテナセット
は第3信号を検出し、
前記プロセッサーは
、前記第1信号及び前記第2信号を受信するとともに、前記第1信号及び前記第2信号に
それぞれ基づいて第1距離情報及び第2距離情報を生成し、かつ前記第3信号を受信して起動情報を生成し、
前記第1距離情報が距離閾値未満であり、かつ前記起動情報
が前記三角形ベースにおける起動検知アンテナセット側の辺に対する障害物の相対速度の方向の変化
を示した場合、前記プロセッサーは予備起動信号を生成して車載システムに送信し、そして、前記プロセッサーは、前記第2距離情報が前記距離閾値より大きいと判断した場合、ドア起動信号を生成して前記車載システムに送信することにより、前記車載システムが前記予備起動信号及び前記ドア起動信号を受信した後に前記ドアが開くようにする、
車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項2】
前記距離検知アンテナセットと前記起動検知アンテナセットの信号送信方向の夾角は少なくとも90度である、請求項1に記載の車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項3】
前記距離検知アンテナセットの信号送信方向は水平方向であり、前記起動検知アンテナセットの信号送信方向は垂直方向である、請求項2に記載の車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項4】
前記距離検知アンテナセットは少なくとも2つの第1受信アンテナ及び少なくとも1つの第1送信アンテナを含む、請求項1に記載の車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項5】
前記少なくとも2つの第1受信アンテナ及び前記少なくとも1つの第1送信アンテナはフレキシブル
基板上に形成されたアンテナ回路
の構造
をなす、請求項4に記載の車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項6】
前記起動検知アンテナセットは少なくとも2つの第2受信アンテナ及び少なくとも1つの第2送信アンテナを含む、請求項1に記載の車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項7】
前記少なくとも2つの第2受信アンテナ及び前記少なくとも1つの第2送信アンテナはフレキシブル
基板上に形成されたアンテナ回路
の構造
をなす、請求項6に記載の車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項8】
前記基板は回路基板である、請求項1に記載の車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項9】
前記距離検知アンテナセット及び前記起動検知アンテナセットは周波数変調連続波(Frequency modulated continuous waveform,FMCW)レーダーアンテナセットである、請求項1に記載の車両ドアの自動起動検知システム。
【請求項10】
ハウジングに覆われた三角ベースの上部に設けられたプロセッサーが
前記三角形ベースの隣り合う両側辺の一方側の辺に設けられた距離検知アンテナセットにより検出された第1信号及び
他方側の辺に設けられた起動検知アンテナセットにより検出された第3信号を受信し、前記第1信号及び前記第3信号に
それぞれ基づき第1距離情報及び起動情報を生成するステップと、
前記プロセッサーが前記第1距離情報は距離閾値未満であるか否かと、前記起動情報
が前記三角ベースにおける起動検知アンテナセット側の辺に対する障害物の相対速度の方向の変化を示したか否かを判断するステップと、
前記第1距離情報が前記距離閾値未満ではなく、かつ前記起動情報
が前記三角形ベースにおける起動検知アンテナセット側の辺に対する前記障害物の相対速度の方向の変化
を示していない場合、前記第1距離情報及び前記起動情報を受信するステップに戻るステップと、
前記第1距離情報が前記距離閾値未満であり、かつ前記起動情報
が前記三角形ベースにおける起動検知アンテナセット側の辺に対する前記障害物の相対速度の方向の変化
を示した場合、前記プロセッサーが予備起動信号を生成して車載システムに送信するとともに、次のステップに進むステップと、
前記プロセッサーが
前記距離検知アンテナセットにより検出された第2信号を受信するとともに、前記第2信号に基づいて第2距離情報を生成するステップと、
前記プロセッサーが前記第2距離情報は前記距離閾値より大きいか否かを判断するステップと、
前記第2距離情報が前記距離閾値より大きくない場合、前記プロセッサーが前記第2距離情報を受信するステップに戻るステップと、
前記第2距離情報が前記距離閾値より大きい場合、ドア起動信号を生成して前記車載システムに送信するとともに、次のステップへ進むステップと、
前記車載システムが前記予備起動信号及び前記ドア起動信号を受信した後、ドアを起動するステップと、
を含む、車両ドアの自動起動検知方法。
【請求項11】
前記車載システムが前記予備起動信号及び前記ドア起動信号を受信した後に前記ドアを起動するステップは、前記車載システムが前記予備起動信号を受信した後、所定時間未満の時に前記ドア起動信号を受信すると、前記ドアを開くステップをさらに含む、請求項
10に記載の車両ドアの自動起動検知方法。
【請求項12】
前記第1信号は前記起動検知アンテナセットにより前記障害物を検知したことで生成される、請求項
10に記載の車両ドアの自動起動検知方法。
【請求項13】
前記起動情報
が前記三角形ベースにおける起動検知アンテナセット側の辺に対する前記障害物の相対速度の方向の変化
を示すということは、
前記第3信号について、前記障害物が前記起動検知アンテナセットと近づいているときに、ドップラー効果に基づいて
前記相対速度の方向が接近
して周波数が先ず高くなり、続いて前記障害物が前記起動検知アンテナセットから遠ざかっているときに、ドップラー効果に基づいて
前記相対速度の方向が離反
して周波数が低くなるということである、前記請求項
12に記載の車両ドアの自動起動検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ドアの制御技術に関し、特に、車両ドアの自動起動検知のシステム及びその方法に係る。
【背景技術】
【0002】
自動車ユーザーのニーズに応じるために、ますます多くの自動車メーカーが車両ドアの自動開放システムを選択し、車両ドアの自動開放によりユーザーの利便性を高めている。
【0003】
現在よく見られる車両ドアの自動開放技術は、ドア底部に自動検出器を取り付け、自動検出器がユーザーの足先の動きを検出すると、ドアの開放を制御できるというものである。
【0004】
一般的な自動検出器の多くには、足先の動きの検出を行う超音波レーダーが採用されているが、超音波による検出は不安定であり、たびたび誤動作を検出してしまい、ドアが自動的に開くことにより、ドア自動開放技術に安全性の問題が生じる。
【0005】
したがって、自動車メーカーは、不必要な誤作動を回避して安全性を確保するために、自動検出器が足先の揺れを検出するとドアが開く本来の機能以外に、多くの制限も加えているが、制限が多すぎると、ドアの開放機能が正確に作動せず、逆に使用上の問題が増えてしまう。
【0006】
本発明は、これらの点を考慮し、上述した公知技術の欠点に鑑みて成されたもので、上述の問題を効果的に解決するため、車両ドアの自動起動検知のシステム及びその方法を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、レーダーを1つ使用するだけで、ユーザーの位置とキックによる起動動作を同時に検出でき、システムはユーザーの位置とキックによる起動動作の2つのパラメーターに基づき車両ドアの自動起動を制御し、誤動作を検出する確率を低減することができる車両ドアの自動起動検知のシステム及びその方法を提供することにある。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、ミリ波レーダー(mmWave radar)を用いて検出を行い、ユーザーの位置及びキックによる起動動作の2つのパラメーターを正確に検出でき、過去の超音波を用いた検出の際に誤動作を検出しやすいという欠点を解決できる車両ドアの自動起動検知のシステム及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の車両ドアの自動起動検知システムは、車載システムへの接続を提供することにより、ドアの起動を制御し、車両ドアの自動起動検知システムは基板と、基板に接続される距離検知アンテナセット、起動検知アンテナセット及びプロセッサーを含む。距離検知アンテナセットは第1信号及び第2信号を順次検出する。起動検知アンテナセットは第3信号を検出する。プロセッサーは、基板に設置されるとともに距離検知アンテナセット、起動検知アンテナセット及び車載システムに接続され、プロセッサーは第1信号及び第2信号を受信するとともに、これらの信号に基づいて第1距離情報及び第2距離情報を生成し、かつ第3信号を受信して起動情報を生成する。プロセッサーが第1距離情報は距離閾値未満であり、かつ起動情報の波形に変化が生じたと判断した場合、プロセッサーは予備起動信号を生成して車載システムに送信する。プロセッサーは、第2距離情報が距離閾値より大きいと判断した場合、ドア起動信号を生成して車載システムに送信することにより、車載システムが予備起動信号及びドア起動信号を受信した後にドアが開くようにする。
【0010】
本実施形態において、距離検知アンテナセットと起動検知アンテナセットの信号送信方向の夾角は少なくとも90度である。
【0011】
本実施形態において、距離検知アンテナセットの信号送信方向は水平方向であり、起動検知アンテナセットの信号送信方向は垂直方向である。
【0012】
本実施形態において、距離検知アンテナセットは少なくとも2つの第1受信アンテナ及び少なくとも1つの第1送信アンテナを含む。
【0013】
本実施形態において、起動検知アンテナセットは少なくとも2つの第2受信アンテナ及び少なくとも1つの第2送信アンテナを含む。
【0014】
本実施形態において、車両ドアの自動起動検知システムは三角形ベース及びハウジングをさらに含み、三角形ベース上部には基板が設置され、距離検知アンテナセット及び起動検知アンテナセットはそれぞれ三角形ベースの隣り合う両側辺に設置される。また、ハウジングは三角形ベース、基板、プロセッサー、距離検知アンテナセット及び起動検知アンテナセットを覆う。
【0015】
本実施形態において、距離検知アンテナセット及び起動検知アンテナセットは周波数変調連続波(Frequency modulated continuous waveform,FMCW)レーダーアンテナセットである。
【0016】
また、本発明の車両ドアの自動起動検知方法は次のステップを含む。(1)プロセッサーが第1信号及び第3信号を受信し、第1信号に基づき第1距離情報を生成し、第3信号に基づき起動情報を生成するステップ。(2)プロセッサーが第1距離情報は距離閾値未満であるか否かと、起動情報の波形に変化が生じたか否かを判断するステップ。(3)第1距離情報が距離閾値未満ではなく、かつ起動情報の波形に変化が生じていない場合、第1距離情報及び起動情報を受信するステップに戻るステップ。(4)第1距離情報が距離閾値未満であり、かつ起動情報の波形に変化が生じた場合、プロセッサーが予備起動信号を生成して車載システムに送信するとともに、次のステップに進むステップ。(5)プロセッサーが第2信号を受信するとともに、第2信号に基づいて第2距離情報を生成するステップ。(6)続いて、プロセッサーが第2距離情報は前記距離閾値より大きいか否かを判断するステップ。(7)第2距離情報が距離閾値より大きくない場合、プロセッサーが第2距離情報を受信するステップに戻るステップ。(8)第2距離情報が距離閾値より大きい場合、ドア起動信号を生成して車載システムに送信するとともに、次のステップへ進むステップ。(9)車載システムが予備起動信号及びドア起動信号を受信した後、ドアを起動するステップ。
【0017】
本実施形態において、車載システムが予備起動信号及びドア起動信号を受信した後にドアを起動するステップは、車載システムが予備起動信号を受信した後、所定時間未満の時にドア起動信号を受信すると、ドアを開くステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、レーダーを1つ使用するだけで、ユーザーの位置とキック動作を同時に検出でき、システムはユーザーの位置とキック動作の2つのパラメーターに基づき車両ドアの自動起動を制御し、誤動作を検出する確率を低減することができる。また、本発明は、ミリ波レーダーを用いてユーザーの位置及びキック動作の2つのパラメーターを正確に検出でき、過去の超音波を用いた検出の際に誤動作を検出しやすいという欠点を解決できる
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明のレーダー装置の構成部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、技術内容、特徴および達成される効果を容易に理解できるようにするため、以下に具体的な実施形態を用いて詳細な説明を行う。
【0021】
本発明が提供する車両ドアの自動起動検知システムは、車両に取り付け、かつ車両上の車載システムに接続することができる。車両ドアの自動起動検知システムは情報を車載システムに送信し、この情報に基づき制御する車両ドアの起動を車載システムに通知する。
【0022】
次に、本発明のシステムアーキテクチャ及び方法により、上述の効果がいかに達成されるかを説明する。まず、車両ドアの自動起動検知システム1の構造を説明するので、
図1及び
図2を参照されたい。車両ドアの自動起動検知システム1は基板10、距離検知アンテナセット12、起動検知アンテナセット14及びプロセッサー20を含む。距離検知アンテナセット12、起動検知アンテナセット14及びプロセッサー20はいずれも基板10に接続し、プロセッサー20は基板上に設置される。基板10は回路基板である。距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナセット14は周波数変調連続波レーダーアンテナセットであり、周波数変調連続波を発信できる。距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナセット14は外部の物体を検知し、距離検知アンテナセット12は第1信号及び第2信号を、起動検知アンテナセット14は第3信号をそれぞれ生成する。ただし、第2信号は、第1信号生成後の1つ又は複数の時点において生成される。
【0023】
プロセッサー20はシステムオンチップ(SoC)であり、距離検知アンテナセット12、起動検知アンテナセット14及び車載システム2に接続し、プロセッサー20は距離検知アンテナセット12が送信した第1信号及び第2信号を受信し、第1信号及び第2信号に基づき第1距離情報及び第2距離情報を生成する。プロセッサー20は、起動検知アンテナセット14が送信した第3信号を受信し、かつ第3信号に基づき起動情報を生成する。プロセッサー20は、第1距離情報、第2距離情報及び起動情報に基づき車載システムにドアの起動を通知するか否かを判断する。ここでの第1信号、第2信号及び第3信号は周波数変調連続波であり、プロセッサー20は周波数変調連続波の技術に基づき物体の距離を判断できる。
【0024】
図2を合わせて参照すると、上述の構造以外に、車両ドアの自動起動検知システムは三角形ベース16及びハウジング18をさらに含む。三角形ベース16の上部には基板10が設置され、距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナセット14はそれぞれ三角形ベース16の隣り合う両側辺に設置される。本実施形態において、距離検知アンテナセット12と起動検知アンテナセット14が設置される隣り合う両側辺の夾角は90度より大きく、最も好ましい実施形態は100度であり、距離検知アンテナセット12と起動検知アンテナセット14の信号送信方向の夾角は少なくとも90度となり、距離検知アンテナセット12と起動検知アンテナセット14の信号はそれぞれ異なる方向に送信される。ハウジング18は基板10、プロセッサー20、三角形ベース16、距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナセット14を覆うのに用いられ、防水や防塵の機能を果たすことができる。
【0025】
距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナセット14の細部構造について説明するので、
図2を続けて参照されたい。本実施形態において、距離検知アンテナセット12の構造は
少なくとも2つの第1受信アンテナ122及び122′並びに少なくとも1つの第1送信アンテナ124を含む。距離検知アンテナセット12の第1受信アンテナ122及び122′並びに少なくとも1つの第1送信アンテナ124はフレキシブルアンテナ回路基板構造であってよく、距離検知アンテナセット12は基板10に接続し、三角形ベース16に固定された後湾曲し、三角形ベース16の上部から湾曲して三角形ベース16の側面に貼り付けられる。
【0026】
起動検知アンテナセット14の構造は少なくとも2つの第2受信アンテナ142及び142′並びに少なくとも1つの第2送信アンテナ144を含む。起動検知アンテナセット14の少なくとも2つの第2受信アンテナ142及び142′並びに少なくとも1つの第2送信アンテナ144はフレキシブルアンテナ回路基板構造であってよく、起動検知アンテナセット14は基板10に接続し、三角形ベース16に固定された後湾曲し、三角形ベース16の上部から湾曲して三角形ベース16の側面に貼り付けられる。
【0027】
距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナセット14の設計はアレイアンテナの形式を用いた構成であり、単一アンテナのアレイ型でもよく、また実際の応用上のニーズに応じて相互に組み合わせ、異なるアレイアンテナの形式により構成されてもよく、例えば、独立したパッチアンテナ(patch antenna only)、独立したスロットアンテナ(slot antenna only)、パッチアンテナとスロットアンテナにダイポールアンテナ(dipole antenna)を組み合わせたもの、又はパッチアンテナとスロットアンテナにモノポールアンテナ(monopole antenna)を組み合わせたものなどがある。
【0028】
本実施形態において、距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナセット14は79GHzのミリ波レーダーを採用した設計となっており、4GHzの帯域幅では4.3cmの分解能を可能にし、ユーザーの位置及びキックによる起動動作を正確に検出でき、過去に使用されていた超音波検出の欠点を解決することができる。優れた距離分解能に加え、ミリ波レーダーの速度分解能は0.5m/sに達することが可能であり、この技術は、ドップラー(Doppler)効果に基づいてミリ波レーダーの送信と受信の周波数の差を算出するものであり、誤作動を低減するのに用いられる。
【0029】
本発明の車両ドアの自動起動検知システム1の構造の説明の次は、本発明の使用状態及び方法の手順について説明するので、
図1から
図3を合わせて参照されたい。本実施形態では、車両ドアの自動起動検知システム1はバックドア3の下方に取り付けられ、これによりユーザーの動作を検知してバックドア3を起動する。詳しく説明すると、車両ドアの自動起動検知システム1における距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナセット14はそれぞれ三角形ベース16の隣り合う両側辺に設置されるので、距離検知アンテナセット12及び起動検知アンテナ14の信号送信方向には90度以上の差がある。本実施形態において、起動検知アンテナセット14は、信号送信方向が地面に対して垂直になるよう調整され、ユーザーが足先を揺らすことで生成される起動情報を検知するのに用いられる。距離検知アンテナセット12の信号送信方向は車両の後端に向かう水平方向であり、信号は地面と平行方向に送信される。距離検知アンテナセット12はユーザーの距離を検知するのに加え、ドップラー効果によりユーザーが近づいたり遠ざかったりするのを検出する。
【0030】
本発明の車両ドアの自動起動検知方法の手順を説明するので、
図1から
図4を合わせて参照されたい。ステップS10で示すように、プロセッサー20は距離検知アンテナセット12が送信した第1信号及び起動検知アンテナセット14が送信した第3信号を受信し、第1信号に基づいて第1距離情報を生成し、第3信号に基づいて起動情報を生成する。第1信号及び第3信号は周波数変調連続波であり、プロセッサー20は周波数変調連続波の技術により物体の距離を判断する。
【0031】
ユーザーがバックドア3に近づくと、距離検知アンテナセット12はまずドップラー効果に基づいてユーザーが距離検知アンテナセット12に近づいたことを検知し、第1信号を生成してプロセッサー20に送信し、これにより第1距離情報が生成される。また、ユーザーがバックドア3を起動させたい場合は、足先をバックドア3の下方に差し入れて揺らすと、起動検知アンテナセット14が物体の揺れを検知し、第3信号を生成してプロセッサー20に送信し、これにより起動情報が生成される。足先を揺らすことにより起動検知アンテナセット14が発した波形を変化させることができ、起動情報の波形に変化が生じる。
【0032】
次にステップS12へ進むと、プロセッサー20は第1距離情報が距離閾値未満であるか否かと、起動情報の波形に変化が生じたか否かを判断する。第1距離情報が距離閾値未満でなく、かつ起動情報の波形に変化が生じていない場合、ステップS10に戻る。もし、第1距離情報が距離閾値未満であり、かつ起動情報の波形に変化が生じた場合、ステップS14に進み、プロセッサー20は予備起動信号を生成して車載システム2に送信し、ステップS16に進む。詳しく説明すると、第1距離情報が距離閾値未満である場合、ユーザーがバックドア3に接近したことを表し、ユーザーが近づいたことが確認される。同時に、ユーザーが足先を揺らして起動情報の波形が変化した場合は、ユーザーが確かにドアを起動する動作をしたと判断できる。一つの実施例として、起動情報の波形が変化するのは、障害物(例えば、前記の足先)が起動検知アンテナセット14に近づき(ドップラー効果に基づいて相対速度の方向が接近する波形が生じる)、続いて障害物が起動検知アンテナセット14から遠ざかる(ドップラー効果に基づいて相対速度の方向が離反する波形が生じる)場合がある。この波形の変化は完全なキック動作と見なされる起動情報であり、これによりその他の動作による誤作動は回避される。この時、プロセッサー20は予備起動信号を生成して車載システム2に送信し、車載システム2にバックドア3を起動する準備をするよう通知する。本実施形態において、距離閾値は40cmであってよい。
【0033】
続いてステップS16に進むと、プロセッサー20は距離検知アンテナセット12が送信した第2信号を受信するとともに、第2信号に基づき第2距離情報を生成する。この第2信号は周波数変調連続波であり、プロセッサー20は周波数変調連続波の技術により物体の距離を判断する。
【0034】
ステップS18に進むと、プロセッサー20は第2距離情報が距離閾値より大きいか否かを判断する。第2距離情報が距離閾値より大きくない場合はステップS16に戻る。第2距離情報が距離閾値より大きい場合はステップS20に進み、ドア起動信号を生成して車載システム2に送信するとともに、ステップS22に進む。その操作の仕組みによると、始めにユーザーがバックドア3に取り付けられた起動検知アンテナセット14に近づき、プロセッサー20にユーザーの足先の揺れの信号に基づき予備起動信号を生成させる必要がある。この時、もしバックドア3がそのまま開いたら、バックドア3がユーザーに当たる可能性があるので、ユーザーは一定距離を後退して待つ必要がある。つまり、プロセッサー20は第2距離情報が距離閾値より大きいと判断して初めて、ドア起動信号を車載システム2に送信することができる。
【0035】
最後にステップS22に進むと、車載システム2が予備起動信号及びドア起動信号を受信した後、ドアを開く。本実施形態において、車載システム2が予備起動信号を受信した後、例えば3秒以内といった所定時間より少ない時間でドア起動信号を受信すると、バックドア3を開く。もし、予備起動信号を受信してから3秒を過ぎてもドア起動信号を受信していない場合、フールプルーフ(fool-proof)メカニズムにより、ドアは開かなくなり、ユーザーが一定距離を後退していない、又は障害物などがあるといった正常ではない状況でバックドア3が起動する事態が回避される。バックドア3を閉めるプロセス及び検出の方法はバックドア3の自動開放と同じなので、ここでは再述しない。
【0036】
本発明の車両ドアの自動起動検知システム1の利点は、ユーザーの位置を検出する距離検知アンテナセット12(バックセンサーとして解釈可能)と、キック動作を検出する起動検知アンテナセット14(キックセンサーとして解釈可能)に分かれていることで、距離検出の正確性に加え、近づく動きや遠ざかる動きの情報も踏まえることにより低い誤検出率を実現できることにある。仮に、バックドア3の下方に動物がいる場合、止まっていても動いていても距離検知アンテナセット12がその物体を検出することはなく、プロセッサー20がドア起動信号を生成して車載システム2に送信してバックドア3の開放を要求することもないので、バックドア3を開くという誤った判断を減らすのに有効であり、発生する恐れのある危険因子も減少する。
【0037】
上述の記載は本発明の好ましい実施例の説明に過ぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。したがって、本発明の特許請求の範囲に記載された特徴及び精神に基づく均等な変更や修飾はすべて、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 車両ドアの自動起動検知システム
10 基板
12 距離検知アンテナセット
122 第1受信アンテナ
122′第1受信アンテナ
124 第1送信アンテナ
14 起動検知アンテナセット
142 第2受信アンテナ
142′第2受信アンテナ
144 第2送信アンテナ
16 三角形ベース
18 ハウジング
20 プロセッサー
2 車載システム
3 バックドア