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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20231013BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20231013BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231013BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G06F1/16 312G
G06F1/16 312E
H05K5/00 A
H05K5/02 Z
H04M1/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022123971
(22)【出願日】2022-08-03
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】堀内 茂浩
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-032587(JP,A)
【文献】特開2021-033776(JP,A)
【文献】特開2020-120319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
H05K 5/00
H05K 5/02
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
立壁を有する筐体部材と、
前記筐体部材に支持され、前記立壁で外周縁部が囲まれたディスプレイと、
前記ディスプレイと接続され、前記ディスプレイの表示を制御する制御基板と、
前記立壁と前記ディスプレイとの間に跨るように設けられ、前記立壁及び前記ディスプレイの表面に対して粘着固定されたベゼル部材と、
を備え、
前記ディスプレイと前記制御基板との間には、前記ディスプレイの外周縁部の一辺を回り込むように該ディスプレイの裏側へと折り返された折返し部が設けられ、
前記折返し部が設けられた前記一辺に沿う部分において、前記ベゼル部材は、
前記立壁に対して第1両面テープで粘着され、
前記ディスプレイの表面に対して第2両面テープで粘着され、
前記第1両面テープと前記第2両面テープとの間で前記折返し部と上下にオーバーラップする位置に非粘着領域が設けられており、
前記ディスプレイは、
アクティブ領域及び非アクティブ領域を含むディスプレイボディと、
前記ディスプレイボディの表面に積層され、アンチフィンガープリント機能層を含む表面シートと、
を有し、
前記第1両面テープは、構造用の両面テープであり、
前記第2両面テープは、低表面エネルギー材料用の両面テープである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項に記載の電子機器であって、
前記ディスプレイボディは、可撓性を有するシート状に形成されると共に、前記非アクティブ領域の一部を延長した延長部を有し、
前記折返し部は、前記延長部に形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項に記載の電子機器であって、
さらに、第1端部が前記ディスプレイボディに接続され、第2端部が前記制御基板に接続されたフレキシブル基板を備え、
前記折返し部は、前記フレキシブル基板に形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記折返し部が設けられた前記一辺に沿う部分以外の部分において、前記ベゼル部材は、前記立壁及び前記ディスプレイの表面に対して該立壁から該表面に亘る第3両面テープで粘着されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項に記載の電子機器であって、
前記第3両面テープは、低表面エネルギー材料用の両面テープである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項に記載の電子機器であって、
前記筐体部材は、第1筐体部材と、前記第1筐体部材と隣接する第2筐体部材と、を有し、
さらに、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置を備え、
前記ディスプレイは、前記第1筐体部材から前記第2筐体部材に亘って延在し、
前記折返し部は、前記ディスプレイの外周縁部のうち、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材の並び方向に沿う辺以外に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項に記載の電子機器であって、
さらに、一部にカメラレンズが形成されたレンズプレートを備え、
前記ベゼル部材は、前記第3両面テープが設けられた部分の一部が該第3両面テープと共に切り欠かれた切欠部を有し、
前記カメラレンズは、前記切欠部を通して前記ベゼル部材の表面に露出し、
前記レンズプレートは、前記カメラレンズが形成された部分以外の裏面に前記第3両面テープと同種類の両面テープが設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項に記載の電子機器であって、
前記第3両面テープは、一部が切り欠かれたテープ切欠部を有し、
さらに、前記テープ切欠部が形成された部分を埋めるように前記ベゼル部材に固定されたシート状部材を備え、
前記シート状部材は、前記ディスプレイの表面に対する接触面に粘着材が設けられていない
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器では、ディスプレイとその制御基板とをフレキシブル基板を用いて接続した構成がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6950044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、ディスプレイと筐体部材の外縁を形成する立壁との間を跨ぐベゼル部材を備える。このベゼル部材は、その裏面が両面テープを介してディスプレイの表面及び立壁に粘着固定されている。このため、ベゼル部材を固定する両面テープは、ディスプレイとフレキシブル基板との接続部(ACFボンディング)にも粘着されている。その結果、この構成では、メンテナンス等でディスプレイを取り外す際、ベゼル部材を剥離するとACFボンディングが破壊され、交換の必要がないディスプレイが破壊されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ベゼル部材を安定して固定することができると共にメンテナンス時にディスプレイが破壊されることを抑制できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、電子機器であって、立壁を有する筐体部材と、前記筐体部材に支持され、前記立壁で外周縁部が囲まれたディスプレイと、前記ディスプレイと接続され、前記ディスプレイの表示を制御する制御基板と、前記立壁と前記ディスプレイとの間に跨るように設けられ、前記立壁及び前記ディスプレイの表面に対して粘着固定されたベゼル部材と、を備え、前記ディスプレイと前記制御基板との間には、前記ディスプレイの外周縁部の一辺を回り込むように該ディスプレイの裏側へと折り返された折返し部が設けられ、前記折返し部が設けられた前記一辺に沿う部分において、前記ベゼル部材は、前記立壁に対して第1両面テープで粘着され、
前記ディスプレイの表面に対して第2両面テープで粘着され、前記第1両面テープと前記第2両面テープとの間で前記折返し部と上下にオーバーラップする位置に非粘着領域が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、ベゼル部材を安定して固定することができると共にメンテナンス時にディスプレイが破壊されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す電子機器の内部構造を模式的に示す平面図である。
図4図4は、ディスプレイ16の一辺及びその周辺部を拡大した平面図である。
図5図5は、ディスプレイの外周縁部を囲むベゼル部材の底面図である。
図6図6は、図5中のVI-VI線に沿う模式的な断面図である。
図7図7は、図5中のVII-VII線に沿う模式的な断面図である。
図8A図8Aは、ベゼル部材のレンズプレート及びその周辺部を拡大した分解斜視図である。
図8B図8Bは、図8Aに示すレンズプレートをベゼル部材に固定した状態での斜視図である。
図8C図8Cは、図8Bに示すレンズプレート及びその周辺部をベゼル部材の表面側から見た斜視図である。
図9A図9Aは、図5中のIX-IX線に沿う模式的な断面図である。
図9B図9Bは、図9Aに示す状態からディスプレイが下に押圧された状態を示す模式的な断面図である。
図10図10は、変形例に係るディスプレイを備えた電子機器の一辺に沿う部分及びその周辺部の模式的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0011】
図1図3に示すように、電子機器10は、第1筐体部材12A及び第2筐体部材12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の電子機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCを例示する。電子機器10は、スマートフォン又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0012】
各筐体部材12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。第1筐体部材12Aは、第1フレーム部材17Aと、第1背面プレート18Aとを備える。第1フレーム部材17Aは、第2筐体部材12Bと隣接する縁部17Aa以外の3辺に立壁19Aを形成した矩形の枠状部材である。第1背面プレート18Aは、第1フレーム部材17Aの裏面開口を閉じるプレート状部材である(図6も参照)。同様に、第2筐体部材12Bは、第1筐体部材12Aと隣接する縁部17Ba以外の3辺に立壁19Bを形成した第2フレーム部材17Bと、第2フレーム部材17Bの裏面開口を閉じる第2背面プレート18Bとを備える。フレーム部材17A,17Bの表面開口は、ディスプレイ16で閉じられる。
【0013】
各部材17A,17B,18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属部材、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。
【0014】
ヒンジ装置14は、筐体部材12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、図1に示す0度姿勢で形成される縁部17Aa,17Ba間の隙間を隠す背表紙としても機能する。ディスプレイ16は、筐体部材12A,12B間に亘って延在している。
【0015】
以下、電子機器10について、筐体部材12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する縁部17Aa,17Baに沿う方向をY方向、筐体部材12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。また、筐体部材12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(図1参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(図2参照)と呼んで説明する。0度と180度の間の姿勢は適宜角度を刻んで呼ぶことができ、例えば筐体部材12A,12Bの互いの面方向が直交した状態が90度姿勢となる。これらの角度は説明の便宜上のものであり、実際の製品では角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じ得る。
【0016】
図3に示すように、本実施形態のヒンジ装置14は、ヒンジ本体20と、サポートプレート22A,22Bと、複数のリンクアーム24A,24Bとを有する。
【0017】
ヒンジ本体20は、筐体部材12A,12Bの縁部17Aa,17Baを跨ぐ位置に設けられ、縁部17Aa,17Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。ヒンジ本体20は、アルミニウム等の金属材料で形成されたブロック状部品である。ヒンジ本体20には、180度姿勢でX方向に並ぶ2本のヒンジ軸が支持されている。一方のヒンジ軸にはY方向に並んだ複数のリンクアーム24Aが軸支され、他方のヒンジ軸にはY方向に並んだ複数のリンクアーム24Bが軸支されている。各リンクアーム24Aは、第1フレーム部材17Aに固定されたブラケットに軸支される。各リンクアーム24Bは、第2フレーム部材17Bに固定されたブラケットに軸支される。
【0018】
これによりヒンジ本体20は、筐体部材12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ本体20内には、筐体部材12A,12B間の回動動作を同期させるギヤ機構や、筐体部材12A,12B間の回動動作に所定の回動トルクを付与するトルク機構等も設けられている。ヒンジ本体20の外面には、化粧カバーとなる背表紙部品26が取り付けられている(図1参照)。
【0019】
サポートプレート22A,22Bは、アルミニウム等の金属材料で形成され、Y方向に延在するプレートであり、左右対称形状である。サポートプレート22A,22Bは、リンクアーム24A,24Bが軸支されたブラケットに対して軸支されて揺動可能である。サポートプレート22A,22Bは、180度姿勢時にヒンジ本体20の左右に並び、その表面がヒンジ本体20の表面と同一平面上に配置される。これによりヒンジ装置14は、180度姿勢時に後述するディスプレイ積層体18の折曲領域R3(図2参照)を支持することができる。
【0020】
次に、ディスプレイ16の構成を説明する。
【0021】
図4は、ディスプレイ16の一辺16a及びその周辺部を拡大した平面図である。図4は、制御基板32を第1プレート30Aに固定する前の状態を示している。図5は、ディスプレイ16の外周縁部を囲むベゼル部材54の底面図である。図6は、図5中のVI-VI線に沿う模式的な断面図である。図7は、図5中のVII-VII線に沿う模式的な断面図である。
【0022】
図3図4及び図6に示すように、ディスプレイ16は、ディスプレイ積層体28と、第1プレート30A及び第2プレート30Bと、制御基板32と、4本のフレキシブル基板34とを備える。本実施形態のディスプレイ16は、これら各構成要素を一体的に組み付けたディスプレアセンブリとして構成されている。
【0023】
ディスプレイ積層体28は、全体として可撓性を有するシート状に形成されている。図1に示す0度姿勢において、筐体部材12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれて互いに積層された状態となる。この際、ディスプレイ積層体28は、図2に示す第1筐体部材12A側の第1領域R1と第2筐体部材12B側の第2領域R2とが対向するように配置され、領域R1,R2間の境界領域である折曲領域R3が円弧状に折り曲げられた状態となる。図2及び図3に示す180度姿勢において、筐体部材12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ積層体28は、領域R1,R2及び折曲領域R3がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す。
【0024】
図6及び図7に示すように、ディスプレイ積層体28は、ディスプレイボディ36と、表面シート37と、裏面シート38とを積層したものである。
【0025】
ディスプレイボディ36は、例えばプラスチック有機発光ダイオード(POLED:Plastic Organic Electro-Luminescence Diode)である。ディスプレイボディ36は、アクティブ領域RAと、アクティブ領域RAの周囲に設けられた非アクティブ領域RIとを含む。アクティブ領域RAは、画像を表示する領域であり、マトリックス状に配列された画素が配置される。非アクティブ領域RIは、画像を表示しない領域であり、アクティブ領域RAの周囲を囲むように設けられる。非アクティブ領域RIは、例えばフレキシブル基板34に接続される配線、端子、及び駆動回路等が配置される。
【0026】
表面シート37は、ディスプレイボディ36の表面36aに積層されている。表面シート37は、例えば機能性フィルムの下に偏光フィルムを積層したシートである。表面シート37の表面37aは、ディスプレイ16の表面を構成する。本実施形態のディスプレイ積層体28は、タッチパネル式である。そこで、表面シート37を構成する機能性フィルムは、少なくともアンチフィンガープリント機能層を有することが好ましい。表面シート37は、さらにアンチグレア機能層及びアンチリフレクト機能層等を有してもよい。ディスプレイ積層体28は、タッチパネル式でなくてもよいが、この場合も指紋付着を抑えるために表面シート37はアンチフィンガープリント機能層を有することが好ましい。
【0027】
裏面シート38は、ディスプレイボディ36の裏面36bに積層されている。裏面シート38は、例えばステンレス等の金属シートに多数の孔部を形成したものである。裏面シート38は、ある程度張力を有し、ディスプレイボディ36が折り曲げされた際の曲率半径を設計仕様と同様に確保するためのものである。図6及び図7は、図面の見易さを確保するため、シート37,38の断面ハッチングを省略している。
【0028】
図4及び図6に示すように、ディスプレイボディ36は、非アクティブ領域RIの一部が延長され、各面36a,36bに積層されたシート37,38の端面よりも側方に突出した延長部40を有する。延長部40は、ディスプレイ16の四辺のうち、第1フレーム部材17AのY方向に沿って延在する立壁19Aに対する一辺16aに設けられている。
【0029】
延長部40の端部40aは、各フレキシブル基板34と接続されると共に、第1プレート30Aに固定される部分である。延長部40は、その端部40aと、一辺16aに沿うディスプレイ積層体28の端面との途中に折返し部40bを有する。折返し部40bは、一辺16aを回り込むようにディスプレイ16の裏側へとディスプレイボディ36を円弧状に折り返した部分である。折返し部40bの外周面には、当該折返し部40bを保護するための保護層41が設けられている。保護層41は、例えばアクリル系等のレジンである。
【0030】
折返し部40bは、第2筐体部材12B側に配置されてもよい。但し、折返し部40bは、筐体部材12A,12Bの回動動作に巻き込まれることを防止する要がある。このため、折返し部40bは、ディスプレイ16の外周縁部のうち、筐体部材12A,12Bの並び方向であるX方向に沿う辺以外、つまりY方向に沿う辺に設ける必要がある。
【0031】
図3図6及び図7に示すように、プレート30A,30Bは、相互間にヒンジ装置14を挟んで左右に隙間を設けて配置され、それぞれの第1面30Aa,30Baでディスプレイ積層体28の裏面28bを支持する。ディスプレイ積層体28の裏面28bは、第1領域R1が第1プレート30Aの第1面30Aaに固定され、第2領域R2が第2プレート30Bの第1面30Baに固定される。領域R1,R2は、例えば両面テープ等の粘着材42を用いてプレート30A,30Bに固定される。第1プレート30Aは、第1フレーム部材17Aに締結される。第2プレート30Bは、第2フレーム部材17Bに締結される。図3中の参照符号44は、プレート30A,30Bとフレーム部材17A,17Bとをねじ止めする締結部を示す。
【0032】
プレート30A,30Bは、ベースプレート46と、金属フレーム47とで構成されている。ベースプレート46は、例えば炭素繊維にエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂板である。金属フレーム47は、例えばマグネシウム合金等で形成され、ベースプレート46の裏面46aの外周縁部に固定されている。プレート30A,30Bは、炭素繊維強化樹脂板であるため、高い平面度の確保と、薄型化及び軽量化とが可能である。但し、炭素繊維強化樹脂板は、炭素繊維が外周端面(エッジ)から粉吹き状に脱落する懸念があり、また、形状加工やねじ加工等も難しい。そこで、プレート30A,30Bは、ベースプレート46の外周端面及び裏面46aの外縁部を囲むように金属フレーム47を接着剤等で固定している。ベースプレート46は、炭素繊維強化樹脂板ではなく、金属材料や樹脂材料で形成されてもよい。この場合、金属フレーム47は省略してもよい。
【0033】
第1プレート30Aは、傾斜面48を有する。傾斜面48は、ディスプレイ16の一辺16aに対応する端面30Abと、ディスプレイ積層体28を支持する第1面30Aaの裏面である第2面30Acとの角部に形成されている。つまり傾斜面48は、端面30Abと第2面30Acとのエッジを面取りした形状を有する。本実施形態の傾斜面48は、金属フレーム47がベースプレート46から外側に張り出した部分に形成している。
【0034】
制御基板32は、ディスプレイ16の表示制御、つまりディスプレイボディ36の表示制御を行うためのプリント基板であり、各種の半導体チップが実装されている。図6に示すように、制御基板32は、第1プレート30Aの第2面30Acに固定されている。制御基板32は、第1筐体部材12A又は第2筐体部材12Bの内部に搭載されたマザーボード49(図7参照)とフレキシブル基板等を用いて接続される。
【0035】
図4及び図6に示すように、4本のフレキシブル基板(FPC:Flexible printed circuits)34は、ディスプレイボディ36と制御基板32とを接続している。各フレキシブル基板34は、ディスプレイボディ36の延長部40の幅方向であるY方向に沿って相互間に隙間を設けて並んでいる。
【0036】
各フレキシブル基板34は、延長部40の端部40aに接続され、これによりディスプレイボディ36と接続される。各フレキシブル基板34とディスプレイボディ36との接続部50は、例えばACF(異方性導電膜)を用いた電気接続加工、いわゆるACFボンディングで構成される。各フレキシブル基板34は、折返し部40bの先にある端部40aに接続されることで、第1プレート30Aの第2面30Ac側に隠されるように配置される。
【0037】
接続部50は、粘着材51を用いて第1プレート30Aの傾斜面48に固定される。本実施形態では、延長部40の端部40aが粘着材51を用いて傾斜面48に固定され、これにより接続部50が傾斜面48に固定される。
【0038】
図2図6及び図7に示すように、電子機器10は、ディスプレイ16の表面37aの外周縁部を囲むベゼル部材54を備える。
【0039】
次に、ベゼル部材54の構成及び取付構造を説明する。
【0040】
図3図6及び図7に示すように、ベゼル部材54は、ディスプレイ16の側方で起立する立壁19A,19Bと、ディスプレイ16との間に跨るように設けられ、両者間の隙間を覆い隠す。ベゼル部材54は、立壁19A,19Bの上端面56と、ディスプレイ16の表面37aとにそれぞれ粘着固定される。
【0041】
図5に示すように、ベゼル部材54は、例えばポリカーボネート(PC)等の樹脂製の薄いシート状部材であり、全体としてディスプレイ16の外周縁部に沿う枠形状を有する。ベゼル部材54は、ヒンジ本体20の側方をX方向に通過する部分が一対の分断部57,57で分断されている。このため、本実施形態のベゼル部材54は、角が略直角に形成され、各分断部57を挟んで対向する2つのU字状の枠部54A,54Bで構成され、ディスプレイ16の外周縁部の大部分を囲んでいる。分断部57は、ヒンジ装置14の動作時にベゼル部材54が破損や折れ曲がりを生じないようにするための逃げ部である。ベゼル部材54は、柔軟なゴム製である場合等では、分断部57を形成せず、全体として矩形枠状に形成されてもよい。
【0042】
図5図7に示すように、ベゼル部材54は、ディスプレイ16に折返し部40bを設けた一辺16aに沿う第1部分54Aaと、ディスプレイ16の一辺16a以外の他の3辺に沿う第2部分54Ab,54Baとを有する。第1部分54Aaは、枠部54Aを構成するU字状の3辺のうち、一辺16aに沿ってY方向に沿って延在する辺である。第2部分54Abは、枠部54Aを構成するU字状の3辺のうち第1部分54Aa以外のX方向に沿って延在する2辺と、枠部54Bを構成するU字状の3辺である。
【0043】
ベゼル部材54は、第1部分54Aaと第2部分54Ab,54Baとで立壁19A,19B及びディスプレイ16に対する取付構造が異なる。
【0044】
先ず、第1部分54Aaにおいて、ベゼル部材54の裏面54aは、立壁19Aの上端面56に第1両面テープ60で粘着され、ディスプレイ16の表面37aに第2両面テープ61で粘着される。両面テープ60,61は、ベゼル部材54の幅方向(図6ではX方向)に沿って隙間を設けて並んでいる。ベゼル部材54は、この両面テープ60,61間の隙間に非粘着領域62を有する。
【0045】
第1両面テープ60は、特に金属又は樹脂等の構造材に対して強力な粘着力を発生するものであり、一般に構造用と呼ばれる両面テープである。本実施形態では、第1両面テープ60として、例えば3M社製の両面テープ「3M VHB Y-4914」を用いた。本実施形態の立壁19A,19Bは、例えばアルミニウム合金で形成されている。第1両面テープ60は、このようなアルミニウム合金製の立壁19Aに対して強力な粘着力を発生できる。
【0046】
特に、立壁19Aは、第1部分54Aaと対向する部分では、ディスプレイボディ36の折返し部40bを配置するためのスペースを確保する必要があり、上端面56の幅寸法が他の部分よりも狭い。このため、ベゼル部材54の第1部分54Aaは、上端面56に対する粘着面積を十分に確保することができない。そこで、第1両面テープ60は、構造用両面テープを用いることで、小さい粘着面積の上端面56に対しても強い粘着力を確保でき、ベゼル部材54の剥がれや浮き上がりを抑制できる。
【0047】
第2両面テープ61は、低表面エネルギー材料に対して強力な粘着力を発生するものであり、一般に低表面エネルギー材料用と呼ばれる両面テープである。低表面エネルギー材料は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、又はEVA(エチレン酢酸ビニル)等が知られている。本実施形態では、第2両面テープ61として、例えばTESA社製の両面テープ「TESA 61529」を用いた。本実施形態のディスプレイ16は、表面シート37がアンチフィンガープリント機能層を有する。つまりディスプレイ16の表面37aは、撥水性を有する低表面エネルギー材料で形成されている。そこで、第2両面テープ61は、低表面エネルギー材料用両面テープを用いることで、ディスプレイ16の表面37aに対しても強力な粘着力を発生でき、ベゼル部材54の剥がれや浮き上がりを抑制できる。この際、第2両面テープ61は、非アクティブ領域RIの表面37aに粘着固定される。
【0048】
非粘着領域62は、両面テープ60,61が設けられず、ベゼル部材54の裏面54aが露出した部分である。非粘着領域62は、両面テープ60,61間で、折返し部40bと上下にオーバーラップする位置にある。非粘着領域62は、粘着材が設けられていない。このため、非粘着領域62は、その直下にある折返し部40bに対して粘着されない。
【0049】
次に、第2部分54Ab,54Baにおいて、ベゼル部材54の裏面54aは、立壁19A,19Bの上端面56及びディスプレイ16の表面37aに第3両面テープ64で粘着される。第3両面テープ64は、ベゼル部材54の幅方向(図7ではX方向)の略全幅に延在しており、上端面56から表面37aまで亘る。
【0050】
第3両面テープ64は、第2両面テープ61と同種類の低表面エネルギー材料用両面テープを用いることが好ましい。
【0051】
すなわち、図7に示すように、立壁19A,19Bの第2部分54Ab,54Baと対向する部分は、立壁19Aの第1部分54Aaと対向する部分のような折返し部40bを配置するためのスペースを確保する必要がない。このため、立壁19A,19Bは、第2部分54Ab,54Baと対向する部分では、上端面56の幅寸法を図6のものよりも大きく確保できる。このため、ベゼル部材54の第2部分54Ab,54Baは、上端面56に対する粘着面積を十分に確保することができる。一方、ベゼル部材54は、外観品質向上の観点から可能な限り幅狭に構成する必要がある。このため、ディスプレイ16は、アクティブ領域RAを最大限に拡大し、非アクティブ領域RIを幅狭に構成している。このため、第3両面テープ64は、ディスプレイ16の表面37aに対しては粘着面積を十分に確保することが難しい。
【0052】
そこで、第3両面テープ64は、低表面エネルギー材料用両面テープを用いることで、粘着面積の小さいディスプレイ16に対して強力な粘着力を発生でき、ベゼル部材54の剥がれや浮き上がりを抑制できる。他方、立壁19A,19Bの上端面56は、例えばアルミニウム合金製であるため、低表面エネルギー材料用両面テープである第3両面テープ64による粘着は最適とは言えない。しかしながら、この場合の上端面56は、上記したように大きな粘着面積を確保できるため、第3両面テープ64による粘着力は必要十分確保でき、ベゼル部材54の剥がれや浮き上がりを抑制できる。
【0053】
図6に示す第1部分54Aaと同様に、図7に示す第2部分54Ab,54Baについても、ベゼル部材54は、上端面56に構造用両面テープで粘着し、表面37aに低表面エネルギー材料用両面テープで粘着する構成としてもよい。但し、上記したように、第2部分54Ab,54Baでは、低表面エネルギー材料用両面テープである第3両面テープ64のみで十分な粘着強度を確保できる。このため、電子機器10は、部品点数の削減によるコスト低減を図るためには、1枚の第3両面テープ64で第2部分54Ab,54Baを粘着固定することが好ましい。
【0054】
以上のように、本実施形態の電子機器10において、ベゼル部材54は、ディスプレイ16に折返し部40bが設けられた一辺16aに沿う第1部分54Aaにおいて、立壁19Aに対して第1両面テープ60で粘着され、ディスプレイ16の表面37aに対して第2両面テープ61で粘着され、両面テープ60,61間で折返し部40bと上下にオーバーラップする位置に非粘着領域62が設けられている。
【0055】
従って、ベゼル部材54は、ディスプレイ16からの配線引出部となる折返し部40bに対して非粘着領域62が粘着されず、一方、立壁19Aの上端面56及びディスプレイ16の表面37aに対しては両面テープ60,61でそれぞれ安定して粘着される。これにより当該電子機器10は、例えばメンテナンス時にディスプレイ16を取り外す際、両面テープ60,61を剥がしてベゼル部材54を剥離しても折返し部40b及びその近傍の接続部50が破壊されない。つまり電子機器10は、ベゼル部材54の剥離によってはディスプレイ16が破壊されない。その結果、電子機器10は、ベゼル部材54を剥がしたディスプレイ16をメンテナンス後に再利用することができ、メンテナンス性が向上し、部品交換コストが削減される。
【0056】
当該電子機器10において、ディスプレイ16は、ディスプレイボディ36の表面36aに積層され、アンチフィンガープリント機能層を含む表面シート37を有する。そして、第1両面テープ60は構造用の両面テープであり、第2両面テープ61は、低表面エネルギー材料用の両面テープである。このため、ベゼル部材54は、折返し部40bを避けるために十分な粘着面積を確保できない立壁19Aに対しては構造用の第1両面テープ60によって強い粘着力を確保できる。また、ベゼル部材54は、アンチフィンガープリント機能層を含む表面37aに対しては低表面エネルギー材料用の第2両面テープ61によって強い粘着力を確保できる。その結果、ベゼル部材54は、第1部分54Aaに非粘着領域62を設けた構成でありながらも高い粘着力で立壁19A及びディスプレイ16に固定されるため、剥がれや浮き上がりの発生を抑制できる。
【0057】
当該電子機器10は、ディスプレイボディ36の非アクティブ領域RIの一部を延長した延長部40に折返し部40bを設けて一辺16aの側部を裏側に回り込ませている。これによりディスプレイ16は、非アクティブ領域RIの大部分及び接続部50が折返し部40bから端部40a側に配置され、表面37a側に現れない。このため、電子機器10は、ディスプレイ16の表面37aに固定されるベゼル部材54の幅寸法を抑制でき、外観品質を向上させることができる。しかも、ベゼル部材54は、このように幅狭な表面37aに固定することになるが、第2両面テープ61に低表面エネルギー材料用両面テープを用いているため粘着強度も確保できる。
【0058】
図5に示すように、本実施形態のベゼル部材54は、枠部54Bの一部に切欠部54bを有し、この切欠部54bを塞ぐようにレンズプレート66が取り付けられた構成としてもよい。
【0059】
図8Aは、ベゼル部材54のレンズプレート66及びその周辺部を拡大した分解斜視図である。図8Bは、図8Aに示すレンズプレート66をベゼル部材54に固定した状態での斜視図である。図8Cは、図8Bに示すレンズプレート66及びその周辺部をベゼル部材54の表面54c側から見た斜視図である。
【0060】
図8A図8Cに示すように、切欠部54bは、ベゼル部材54の一部を第3両面テープ64と共に凹状に切り欠いた部分である。切欠部54bは、ベゼル部材54よりも第3両面テープ64を一回り大きく切り欠いた形状である。これにより切欠部54bの周縁部は、第3両面テープ64が設けられずにベゼル部材54の裏面54aが露出している。
【0061】
レンズプレート66は、例えば3つのカメラレンズ66aを並べて形成したガラスプレートである。カメラレンズ66aの設置数は変更してもよい。レンズプレート66は、切欠部54bの周縁部で露出した裏面54aに対して両面テープ等の粘着材を用いて固定される。これによりレンズプレート66は、切欠部54bを塞ぐと共に、切欠部54bを通してベゼル部材54の表面54cにカメラレンズ66aが露出する(図8C参照)。
【0062】
レンズプレート66の裏面は、カメラレンズ66aが形成された部分以外に両面テープ68が設けられる。両面テープ68は、第3両面テープ64と同種類のものである。これによりベゼル部材54は、切欠部54bで切除された第3両面テープ64がレンズプレート66の両面テープ68で補完される。このため、ベゼル部材54は、レンズプレート66を取り付けた部分での剥がれや浮き上がりを抑制できる。
【0063】
図5に示すように、本実施形態の第3両面テープ64は、枠部54Aに貼り付けられた部分の一部に一対のテープ切欠部69を有し、各テープ切欠部69がシート状部材70で塞がれた構成としてもよい。テープ切欠部69は、枠部54AのX方向に沿う一対の第2部分54Abに貼り付けられた第3両面テープ64の一部を切除したものである。
【0064】
図9Aは、図5中のIX-IX線に沿う模式的な断面図である。図9Bは、図9Aに示す状態からディスプレイ16が下に押圧された状態を示す模式的な断面図である。
【0065】
図5及び図9Aに示すように、テープ切欠部69は、第3両面テープ64の一部を凹状に切り欠いた部分である。ベゼル部材54は、テープ切欠部69が設けられた部分では裏面54aが露出している。
【0066】
シート状部材70は、第3両面テープ64と略同一の厚みを有する樹脂やスポンジ等のシートである。シート状部材70は、テープ切欠部69を埋めるように配置され、テープ切欠部69に露出したベゼル部材54の裏面54aに対して両面テープ等の粘着材で固定される。シート状部材70は、表面37a及び上端面56に対する第3両面テープ64の粘着面と略面一に配置され、ディスプレイ16の表面37aに当接する接触面70aを有する。接触面70aには粘着材が設けられていない。
【0067】
ここで、図3に示すように、ディスプレイ16を支持する第1プレート30Aは、シート状部材70が設けられた部分の周囲に締結部44がなく、第1筐体部材12Aから浮いた状態となっている。具体的には、図3中のY方向で一方側のシート状部材70は、最も近い左右の締結部44a,44bから大きく離間した位置にある。同様に、図3中のY方向で他方側のシート状部材70も、最も近い左右の締結部44c,44dから大きく離間した位置にある。締結部44a,44b間及び締結部44c,44d間では、第1プレート30Aは、その下面側に配置される電子部品等との関係で締結部44を増設することが難しく、また第1筐体部材12Aに対して締結部44以外で支持することも難しいからである。
【0068】
従って、シート状部材70を設けた部分は、ユーザが指先等で上から押圧すると、先ず、図9B中の矢印Aで示す押圧力を受けてディスプレイ16が下に沈み、これに追従してベゼル部材54も当初は少し下に沈む。ところが、ベゼル部材54は、下面54aの半分以上が上端面56に貼り付けられおり、且つある程度の剛性もある。このため、ベゼル部材54は、下に沈むとすぐに元の位置に戻ろうとする。その際、ベゼル部材54が元の位置に戻ろうとする力(図9中の力B)が、ベゼル部材54とディスプレイ16との粘着力に勝り、第3両面テープ64の粘着材がディスプレイ16から強制的に剥離され、水がはねたような不快な剥離音を生じる可能性がある。そこで、当該電子機器10は、ディスプレイ16の沈み込みが想定される部分に接触面70aに粘着材を持たないシート状部材70を設け、このような剥離音の発生を防止している。
【0069】
図10は、変形例に係るディスプレイ72を備えた電子機器10の一辺16aに沿う部分及びその周辺部の模式的な側面断面図である。図10において、図6に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略する。
【0070】
図10に示すディスプレイ72は、上記したディスプレイ16と比べて、ディスプレイボディ36に延長部40及び折返し部40bを設けず、折返し部40bの代わりとなる折返し部34aをフレキシブル基板34に設けた点が異なる。すなわち、各フレキシブル基板34は、第1端部がディスプレイボディ36に対して一辺16aで接続され、第2端部が円弧状に折り返された折返し部34aを経由して制御基板32に接続されている。
【0071】
図10に示す構成例においても、ベゼル部材54の非粘着領域62は、各フレキシブル基板34の折返し部34aと上下にオーバーラップする位置にある。このため、この構成の電子機器10においても、例えばメンテナンス時にディスプレイ16を取り外す際、両面テープ60,61を剥がしてベゼル部材54を剥離しても折返し部34a及びフレキシブル基板34とディスプレイボディ36との接続部が破壊されることを抑制できる。
【0072】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0073】
上記では左右の筐体部材12A,12Bをヒンジ装置14で相対的に回動可能に連結し、折曲領域R3を有するディスプレイ16を備えた構成の電子機器10を例示した。しかしながら、上記したベゼル部材54とディスプレイ16及び筐体部材12A等との取付構造は、例えばノート型PCのディスプレイ筐体、又は、デスクトップ型PCに接続される外付けのディスプレイ装置等にも利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 電子機器
12A 第1筐体部材
12B 第2筐体部材
14 ヒンジ装置
16,72 ディスプレイ
19A,19B 立壁
28 ディスプレイ積層体
32 制御基板
34 フレキシブル基板
34a,40b 折返し部
36 ディスプレイボディ
54 ベゼル部材
60 第1両面テープ
61 第2両面テープ
62 非粘着領域
64 第3両面テープ
66 レンズプレート
70 シート状部材
【要約】
【課題】ベゼル部材を安定して固定することができると共にメンテナンス時にディスプレイが破壊されることを抑制できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、立壁を有する筐体部材と、壁で外周縁部が囲まれたディスプレイと、ディスプレイの表示を制御する制御基板と、立壁とディスプレイとの間に跨るように設けられたベゼル部材と、を備える。ディスプレイと制御基板との間には、ディスプレイの外周縁部の一辺を回り込むように該ディスプレイの裏側へと折り返された折返し部が設けられている。折返し部が設けられた一辺に沿う部分において、ベゼル部材は、立壁に対して第1両面テープで粘着され、ディスプレイの表面に対して第2両面テープで粘着され、第1両面テープと第2両面テープとの間で折返し部と上下にオーバーラップする位置に非粘着領域が設けられる。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10