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特許7366221解剖学的、機能的及び血行動態イメージングのためのトリプルモード超音波イメージング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】解剖学的、機能的及び血行動態イメージングのためのトリプルモード超音波イメージング
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022165948
(22)【出願日】2022-10-17
(62)【分割の表示】P 2019524305の分割
【原出願日】2017-11-14
(65)【公開番号】P2023001139
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】16306484.3
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニョン フランソワ ギー ジェラルド マリー
(72)【発明者】
【氏名】フアン シェン‐ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ソムフォーン ウドム
(72)【発明者】
【氏名】ディアニス スコット ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】メルキ リア
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-110527(JP,A)
【文献】特開2005-348758(JP,A)
【文献】特開2014-042823(JP,A)
【文献】特表2013-526390(JP,A)
【文献】特開2013-094312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0039317(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0066207(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも800Hzの高い取得フレームレートで複数の異なるモードの画像を生成する超音波イメージングシステムであって、
アレイトランスデューサを制御するように構成されるビームフォーマであって、前記ビームフォーマは、前記アレイトランスデューサに、前記高い取得フレームレートでエコー信号のフレームを取得させるように構成され、前記ビームフォーマは、前記アレイトランスデューサに、少なくとも1つの発散送信ビーム、平面波、又は非集束ビームで画像視野をスキャンさせるように構成される、ビームフォーマと、
前記高い取得フレームレートで取得されるエコー信号のフレームを記憶するように構成されるフレームメモリであって、前記フレームは、前記画像視野に対応するエコー信号を有する、フレームメモリと、
前記フレームメモリに結合され、前記画像視野に対応する前記エコー信号のフレームから3つの異なるモードの画像を生成するように構成される、3つの異なる画像プロセッサと
を有し、
前記3つの異なる画像プロセッサは、前記フレームメモリに記憶されたエコー信号の同じ共通のグループのエコー信号からのエコー信号を使用して、前記3つの異なるモードの画像を同時に生成し、
前記ビームフォーマは更に、一つの共通の送信パルスシーケンスを使用し、前記3つの異なる画像プロセッサ全てによって使用される前記共通の送信パルスシーケンスから生成されるエコー信号を受信するように構成され、前記取得されるフレームはコヒーレントに組み合わされる、
超音波イメージングシステム。
【請求項2】
前記アレイトランスデューサを有する超音波プローブを更に有する、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項3】
前記ビームフォーマが、発散送信ビームに応答して少なくとも32の受信マルチラインを生成するように構成されたマルチラインビームフォーマを有する、請求項に記載の超音波イメージングシステム。
【請求項4】
前記ビームフォーマに結合された入力部と前記フレームメモリに結合された出力部とを有する直交復調器を更に有する、請求項1に記載の超音波イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療超音波診断に関し、特に解剖学的構造、機械的機能及び血行動態のトリプルモード超音波イメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波イメージングは、身体の組織及び器官の構造的及び機能的特性の評価を可能にする。Bモードイメージングは解剖学的情報及びボリューム定量を提供する。組織の動き及び変形(組織速度、変位、ひずみ、ひずみ率)は、虚血及び伝導障害に関連するので、心筋機能に関する情報を提供する。血流イメージングモード(スペクトルドップラ、カラードップラー、パワードップラ、Bフロー及びベクトルフロー)は血行動態に関する情報を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今日、Bモード測定は、高い画像品質のために高いビーム密度で取得される画像において行われる。動きの推定を容易にする速い送信パルス反復レートを有するように、組織の動き及び変形のイメージング及び血流の推定は、Bモード取得とインタリーブされる特別なドップラーモードで行われる。これらの互いに異なるモードは、各モードに固有の特定の送信パルスシーケンスを使用する。これらのシーケンスのインタリーブは、行単位又はフレーム単位である。それぞれ異なるモードでの伝送をインタリーブする必要性は、Bモード、血流、及び組織動きの測定を同時に実行する能力を低下させる。医師が心臓の解剖学的構造、心臓のひずみ、及び血流動態を評価したい場合、医師は、3つの別々のモードを順次に、すなわち動作的にインタリーブされた態様で、使用する必要がある。これらのモードを実施するためのワークフローは複雑である。更に、個々の異なるモード取得中に、プローブ及び患者の動きが生じることがあり、それにより、結果的に得られる情報が、それぞれ異なる心臓フェーズに、更には異なる心臓サイクルに関連することになりうるので、結果的に得られる情報は、空間的及び時間的に位置合わせされることができないことがある。従って、3つの異なる超音波モードで同時に撮像することが望ましい。
【0004】
米国特許第6,589,177号公報は、同じ一組の送信ビームからBモードボリュームとBフローボリュームとを同時に形成する超音波イメージングシステム及び方法に関する。3Dボリュームを形成する際、画像データは、通常、元の画像データよりも低いサンプリング密度(今日の処理能力が与えられる場合、典型的には任意の次元で最大256個のサンプル)に低減される。従って、効率とのトレードオフによる画像品質又はフロー品質の制約が、ある程度許容され得る。
【0005】
国際公開第2000/075689号パンフレットは、単一の送信パルスからの超音波エコーを並列に処理して組織及び動きの両方を表示することによって形成されるマルチモード超音波画像を開示する。好適な実施形態において、組織動きイメージング用のエコーアンサンブルを生成するために、短い送信バーストが使用される。エコーアンサンブルの少なくとも1つのシーケンスが更に、組織構造の表示のためにBモード処理される。好適には、Bモードと動き処理の両方が並行に実施される。実質的に一定のパルス反復周波数は、同じ送信パルスから2つのモードでイメージングする際にアーチファクトの発生を低減する。
【0006】
国際公開第2007/056104号パンフレットは、超音波信号を取得するためのシステムが、複数の素子を有する超音波トランスデューサから受信超音波信号を取得するように構成される信号処理ユニットを有することを開示している。このシステムは、少なくとも毎秒20フレーム(fps)のフレームレートで少なくとも5.0ミリメートル(mm)の視野を有するトランスデューサを用いて、少なくとも20メガヘルツ(MHz)の周波数を有する超音波信号を受信するように適応される。信号処理は更に、取得した超音波信号から超音波画像を生成することができる。トランスデューサは、線形アレイトランスデューサ、フェーズドアレイトランスデューサ、2次元(2-D)アレイトランスデューサ、又は湾曲アレイトランスデューサとすることができる。
【0007】
国際公開第2014/021042号パンフレットは、一実施形態による超音波診断装置が超音波プローブ(1)及び制御ユニット(18)を具備することを開示している。超音波プローブ1は、超音波を送受信する。制御ユニット(18)は、第1のスキャンレンジにおいて動く身体の動きに関する情報を取得するために、超音波プローブ(1)に第1の超音波スキャンを実行させ、及び第2のスキャン領域において組織の形態に関する情報を取得するために、超音波プローブ(1)に第2の超音波スキャンを実施させ、第2のスキャン領域は、複数の分割された領域に分割され、第1の超音波スキャンと第1の超音波スキャンとの間の期間に、各分割されたサブ領域が、超音波スキャンを受ける。制御ユニット(18)によって実現される第1の超音波スキャンは、第1のスキャンレンジを構成する複数のスキャンライン毎に取得される受信信号が、フレーム方向においてハイパスフィルタ処理を施されて、動く身体の移動に関する情報が取得されるという方法に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の原理によれば、トリプルモード超音波イメージングが、通常800Hz又はそれより大きい非常に高いフレーム取得レートを使用して行われ、これは、トリプルモード超音波システムの3つの全ての画像モードのために使用されるフレームメモリに、取得されたフレームを記憶することによって達成されることができる。画像フィールドの超音波照射は、発散する(例えば、弱く集束される)送信ビームを用いて行われ、高次のマルチライン取得が用いられる。任意には、連続する送信ビームのコヒーレント合成が使用されることができる。高い取得フレームレートは、受信フレームがコヒーレントに組み合わされることを可能にし、それにより、分解能をほとんど低下させることなく信号対雑音比を向上させることができ、ゆえに、正確な速度測定を可能にする。フレームは、トランスデューサの寸法及び/又はビームプロファイルに応じた組織内への深さ及び幅を有する画像視野に対応し得る。フレームは2D又は3Dでありうる。フレームを使用することは、2D又は3Dカーネル上での動き推定計算を可能にすることができ、これは、例えば動き推定計算のためのノイズを低減することができる。好適には、解剖学的イメージング、機械的機能及び血流の測定が、共通の送信パルスシーケンスを使用して同時に行われる。高いフレーム取得レートは、速度イメージング及び測定のための任意の(例えば無限の)長いエコーアンサンブル長の使用を可能にし、多くの変位推定値を組み合わせて1つにすることを可能にする。例えば、アンサンブル長は、1つの動き推定値を生成するために使用されるフレーム数に対応する。異なるアンサンブル長が、個々の異なるイメージングモードについて望まれることがあり、例えば、組織動きイメージングと比較してより長いアンサンブル長が、カラードップラーイメージングのために必要とされ得る。更に、フレーム間のコヒーレンスは、周囲の血流が相関されない一方で改善された解剖学的イメージングのためのフレーム平均の使用を可能にする。3つの同時のイメージングモードは、筋肉機能と血行動態とを同時に評価するために使用されることができ、筋肉機能と血行動態の間の相互作用が、詳しく検討されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の原理に従って構成される超音波システムを示すブロック図。
図2a】4本の送信ビームによってスキャンされるセクタ画像フィールドを示す図。
図2b】1本の送信ビームによってスキャンされるセクタ画像フィールドを示す図。
図2c】本発明のコヒーレントな合成を使用する実施形態を示す図。
図3】Bモード処理及び表示サブシステムの形態の図1の解剖学的画像プロセッサの実現例を示すブロック図。
図4A】本発明の一実施形態による血液動きプロセッサ、組織動きプロセッサ及びBモード画像プロセッサの実装形態を示すブロック図。
図4B図1の解剖学的画像、機械的機能及び血行動態の各画像プロセッサのドップラ実現例を示すブロック図。
図5図4のシステムによって使用される組織及び血流のセグメント化を示すグラフ。
図6】Bフローサブシステムの形態の別の血行動態画像プロセッサの実現例を示すブロック図。
図6a図6のクラッタフィルタの実現例を示す図。
図7】ひずみ及びひずみ速度イメージングサブシステムの形態の機械的機能画像プロセッサの他の実現例を示すブロック図。
図8】本発明の一実現例によって生成されるトリプルモード画像表示を示す図。
図9】本発明の一実現例によって生成される他のトリプルモード画像表示を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の原理に従って構成されたトリプルモード超音波イメージングシステムをブロック図で示す。超音波プローブ10は、超音波を身体のある領域に送信し、そこからエコーを受信するアレイトランスデューサ12を有する。アレイトランスデューサは、身体内の2次元画像フィールド又は3次元画像フィールドをスキャンするための2次元トランスデューサ素子アレイ又は1次元トランスデューサ素子アレイでありうる。アレイトランスデューサの素子は、例えばマルチラインビームフォーマ16のようなビームフォーマによって駆動され、アレイが画像フィールドの一部又は全部にわたって広い発散ビームを送信するように、タイミング制御される送信パルスが、アレイトランスデューサの素子に印加される。代替として、平面波及び中程度に集束されたビームが使用されることもできる。典型的には、より短いパルスは、より良い空間分解能を生み出し、より長いパルスは、ドップラ感度に有利に働く。マルチライン受信ビーム取得のためのいわゆる「太い」送信ビームが、米国特許第4,644,795号公報(Augustine)に記載されている。マルチラインビームフォーマの同期制御は、高フレームレート送信/受信コントローラ14によって行われ、コントローラ14は、制御パネル20のユーザ制御器に応答して、ビーム幅、画像フィールド上に送信されるビーム本数、送信周波数、取得フレームレート等の特性を選択する。本発明の一態様によれば、送信/受信コントローラは、マルチラインビームフォーマに、ビームを送信させるとともに、好適には少なくとも800Hzの高いフレームレートでエコーデータのフレームを取得させる。後述する2つの例示的な取得シーケンスについて説明されるように、1.25kHzのレートでフレーム全体のエコーデータを取得するために、1フレームのエコーデータが4本のビームでスキャンされることができ、又は5kHzのフレーム取得レートでフレーム全体のエコーデータを取得するために、1フレームが1本のビームでスキャンされることができる。コントローラ14は更に、ビームフォーマ16によるマルチラインビームの処理を制御する。一実施形態では、マルチラインビームフォーマによって同時に生成される受信マルチラインビームは、32本のビームである。しかしながら、任意の数のマルチラインビームが使用されることができる。適切なマルチラインビームフォーマは、米国特許第8,137,272号公報(Cooley他)に記載されている。マルチラインビームフォーマは、トランスデューサ素子からエコーを受信し、それらを結合して、32の受信ライン位置に沿ってアラインされた画像フィールド内の点からコヒーレントエコー信号を同時に形成する。当業者には容易に理解されるように、ピクセルベースのビームフォーミングのような多くの種類のビームフォーミングが、本発明のために使用されることができ、かかるビームフォーミングは、当技術分野で一般的によく知られているソフトウェアビームフォーミング又はハードウェアビームフォーミングを含みうる。ある実施形態では、ビームフォーマは、適応ビームフォーマでありうる。適応ビームフォーマは、例えば平面波のようなフォーカスされない送信ビームから空間分解能を回復させるために使用されることができる。ビームフォーミングの各アプローチにおいて、1フレームは、トランスデューサの寸法及び/又はビームプロファイルに依存する組織内への深さ及び幅を有する画像視野に対応するように生成されることができる。フレームは2D又は3Dである。
【0011】
受信された信号は、信号プロセッサ18によって、デシメーション、フィルタリング、高調波分離、及び周波数合成などの信号処理を受ける。受信されたエコー信号は、直交復調器又は直交バンドパス(QBP)フィルタ22によって直交(I及びQ)サンプルに復調される。QBPフィルタは更に、受信された信号の帯域制限及びバンドパスフィルタリングを提供することができる。画像フィールドから取得された1つのフレームからの処理されたエコー信号は、フレームメモリ24に記憶され、この場合、エコーデータは、後述される本発明のドップラーサブシステムで使用するためのコーナーターニングメモリとして記憶されることができる。フレームメモリ30は、RAM、ハードドライブ、リムーバブルメディアメモリ、デジタルビデオディスク、コンパクトディスク、磁気メディアバッファ、それらの組み合わせ、又は超音波データを記憶するための他の今日知られている又は今後開発される装置である。
【0012】
本発明の原理によれば、フレームメモリ24に記憶されたエコー信号は、解剖学的画像プロセッサ30、機械的機能画像プロセッサ32及び血行動態画像プロセッサ34に与えられる。これらのプロセッサは、フレームメモリ24に記憶されたエコー信号の同じ共通のグループのエコー信号からのエコー信号にアクセスし、それらを処理して3つのイメージングモードで画像を生成し、同時に構造的解剖学的画像、機械的組織機能の画像及び血行動態の画像を生成する。従って、従来技術のシステムにおいて使用されている複数の特化した送信モードのインタリーブではなく、単一の送信モードが、3つ全ての画像プロセッサによって処理されるためのエコー信号を取得するために使用される。更に、フレームは、トランスデューサの寸法及び/又はビームプロファイルに依存する応組織内への深さ及び幅を有する画像視野に対応し得る。フレームは2D又は3Dである。フレームを使用することは、2D又は3Dカーネルに関する動き推定計算を可能にすることができ、これは、例えば動き推定計算のためのノイズを低減することができる。好適には、解剖学的イメージング、機械的機能、及び血流測定は、1つの共通の送信パルスシーケンスを使用して同時に行われる。高いフレーム取得レートは、速度イメージング及び測定のための任意の(例えば、無限の)長いエコーアンサンブル長の使用を可能にし、多くの変位推定値を1つに組み合わせることを可能にする。例えば、アンサンブル長は、1つの動き推定値を生成するのに使用されるフレーム数に対応する。異なるイメージングモードには異なるアンサンブル長が望ましい場合があり、例えば、組織動きイメージングと比較してカラードップラーイメージングのほうがより長いアンサンブル長が必要とされることがある。更に、フレーム間のコヒーレンスは、周囲の血流が相関しない一方で解剖学的イメージングの向上のためのフレーム平均化の使用を可能にする。3つのプロセッサ及び以下に記載されるディスプレイプロセッサは、それぞれ、汎用プロセッサ、制御プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル回路、アナログ回路、それらの組み合わせ、又は、超音波画像データを処理するための他の今日知られている又は今後開発される装置のうちの1つとして構築される。結果的に得られる3つの画像は、表示プロセッサ36に結合され、表示プロセッサ36は、ユーザによる命令に従って横に並んだ又はオーバレイの表示形式に画像を配置し、画像を30Hz以上の表示フレームレートで画像表示装置38に伝送する。例えば、100~150Hzの表示フレームレートは、生理学的に関連のある全ての心臓の動きを表すのに十分なはずである。画像は、それ自体が高い取得フレームレートで取得される同一の取得フレームから同時に形成されるので、3つの全ての画像に表現される構造、機能及び動態の優れた対応関係がある。単一の画像が、ディスプレイ38上にフリーズされることができ、こうして、3つの特徴全てが同時に身体内に現れているようにそれらの特徴を表示する。
【0013】
図2a及び図2bは、本発明による扇形の画像フィールドをスキャンする2つの例を示す。図2aでは、ワイドセクタ画像40、例えば90°セクタが4つの発散送信ビームでスキャンされ、各ビームが、サブセクタ42、サブセクタ44、サブセクタ46、サブセクタ48として示されるセクタの4分の1にそれぞれ超音波を照射する。送信ビーム周波数が5kHzの場合(200マイクロ秒ごとに1送信ビーム)、4ビーム画像の取得フレームレートは、1.25kHzである(800マイクロ秒毎に1フレーム)。図2bは、セクタ画像50全体が単一のビームによってスキャンされる第2の例を示す。この例では、送信ビーム周波数が5kHzである場合、取得フレームレートは1.25kHzである。代替例として、セクタ50は、奇数ライン、偶数ラインの形式でスキャンされることができる。画像フィールドを超音波照射する第1のビームの送信に続いて、マルチラインビームフォーマ16は、画像のライン1、3、5、その他を形成することができる。第2のビームの送信に続いて、マルチラインビームフォーマは、点在するライン2、4、6、その他を形成し、それによって空間分解能を改善する。取得フレームレートは、2つの送信ビームを使用するために当然ながら半分にされる。好適には、取得フレームレートは、約1から4kHzの範囲内であり、いくつかの実施形態では2.5kHzの取得フレームレートである。そのような高いフレームレートでは、信号対雑音比を改善するために多数の取得フレームがコヒーレントに組み合わせられることができ、エコーデータの長いアンサンブルを使用して、画像フレーム全体の中の又は上の任意の点における正確なドップラ又は動き推定を生成することが可能である。図2cは、コヒーレント合成を用いて扇形の画像フィールドをスキャンする例を示す。図2aと同様に、図2cにおいても4本の送信ビームが使用されているが、この例では、送信ビームのコヒーレント合成が、オーバーラップ領域52において行われる。
【0014】
図3は、図1の解剖学的画像プロセッサ30の構成要素のBモード処理チェーンの一例を示す。フレームメモリ24からの直交(I、Q)データは、振幅又は包絡線検出器60に印加される。包絡線検出器は、組織構造のBモード画像のデータ値を形成するために、式(I2+Q2)1/2を実行することによってI、Qエコーデータを処理する。これらの検出されたデータ点は、図2a及び図2bのセクタ画像フィールド内のそれらの取得されたフォーマットr‐θから、ラスタスキャンディスプレイ上での表示に適したデカルト(x‐y)座標に、スキャンコンバータ62によって変換される。スキャンコンバータは更に、例えば4点補間のような取得したデータ値の間の補間を行うことによって、周囲の表示データ点を埋めることができる。スキャンコンバートされた画像データは、Bフレームメモリ64に記憶される。発散送信ビームからの画像データの信号対雑音比を改善するために、Bフレームメモリに記憶された画像データのフレームは、フレーム平均化プロセッサ66によって、40フレームのような多数のフレームにわたって時間平均される。代替例として、平均化は、直交データにおける包絡線検出の前に行われうる。ここで、フレーム平均化プロセッサは、Bフレームメモリの最大40までの連続して取得された画像内の各対応する点の点毎の平均処理を実行する。結果的に得られた強調Bモード画像は、表示プロセッサ36に結合される。
【0015】
図4Aは、本発明によるトリプレックスイメージング超音波システムの一例を示す。本明細書で説明するように、1の共通の送信パルスシーケンスを使用して、3つの異なるイメージングモード用のデータを生成するために処理されることができる受信エコー信号を生成することができる。図示のように、共通の送信パルスシーケンスから生成された受信エコー信号は、ビームフォーマ16によって受信される。ビームフォーマは、いくつかの例において、例えば米国特許第8137272号公報に記載されるようなマルチラインビームフォーマでありえ、その文献の内容は、参照により本明細書に盛り込まれる。ビームフォーミングされたRFデータは、3つの異なるプロセッサ、すなわち血液動きプロセッサ26、組織動きプロセッサ27及びBモード画像プロセッサ28による処理のためにビームフォーミングされたデータを提供することができるフレームメモリ24に記憶することができる。本実施形態及び本明細書に示される他の例に関して、本発明は、複数の異なるプロセッサを有するが、処理は、3つの機能全てを実行するように構成される1つのプロセッサにおいて達成されることができることが一般に理解される。血液動きプロセッサ、組織動きプロセッサ、及びBモード画像プロセッサは、血液動きデータ、組織動きデータ、及びBモード画像データをそれぞれ生成する。血流データ、組織動きデータ、及びBモード画像データは、セグメント化プロセッサ80によって受信され、セグメント化プロセッサ80は、組織ドップラ信号TDをセグメント化してそれらをカラールックアップテーブル(LUT)76に供給し、より高い周波数の血流速度vBFをセグメント化してそれらを別のカラールックアップテーブル76に供給するように構成される。セグメント化の後、3つの異なるイメージングモードからの画像データは、トリプルモードディスプレイ29に表示されることができる。
【0016】
図4Bは、この例では、機械的機能画像及び組織動き画像の両方と、カラーフロー画像、パワードップラ画像、及びスペクトルドップラ画像を生成する3つの血行動態画像処理チェーンとを生成するトリプルイメージングシステムを示す。図示されるドップラーサブシステムが更に、画像内の特定の点におけるスペクトル情報、すなわちスペクトルドップラ表示を生成する。ドップラプロセッサ70は、フレームメモリ24に記憶された一連の順次に取得されたフレームから、ある時間に取得されたI、Qエコーデータのアンサンブルを受信する。コーナーターニングメモリとしてのフレームメモリ24の構成は、この動作を容易にする。ドップラプロセッサ70は、当技術分野でよく知られているように、高速フーリエ変換(FFT)処理又は相関処理などの複数の異なる処理技術を使用することができる。本発明の例示の実施形態において、自己相関処理が使用される。ドップラ画像ライン上の各点からのサンプルのアンサンブル、典型的にはアンサンブルあたり10から40のサンプル(フレームメモリ24の10乃至40フレーム)が、ドップラプロセッサ70に入力される。血流からのエコーと比較して組織エコーのほうが信号対雑音比が高いため、より少ないサンプルのアンサンブルが、移動組織の表示のために使用されることができる。サンプルデータは直交I、Qの形で処理される。自己相関器は、複素共役の形のサンプルのシーケンス内の隣接するサンプルを乗算し、その積を合計してI'+jQ'の形の結果を生成する。自己相関プロセスは、数学的に次のように表現することができる:
ここで、
であり、nはシーケンス内のサンプル数である。複素結果からのドップラ位相シフト
が、Q'とI'の商のアークタンジェントとして、すなわち、
と計算される。ドップラ周波数シフト
は、位相シフト
にPRF(フレーム取得レート周波数)を乗じて、2πで除算することによって決定される。
動きの速度は、f0を送信波形の中心周波数と仮定して、次式によってドップラ速度方程式から算出される。
【0017】
本発明の一実施形態では、例えば、米国特許第5,386,830号公報(Powers他)に記載されるような2次元自己相関として実現される2次元動き推定が使用される。このようにして決定された速度は、ドップラーカラーコード化ピクセルをBモード画像にオーバレイし又はブレンドすることによるカラーフロー表示において、又はスペクトル線のスペクトルドップラ表示において使用されることができる。流れの方向、分散、加速度及び電力のような他の動きデータ及びドップラデータも、このドップラデータから決定され、ディスプレイ38に表示されることができる。
【0018】
ドップラ周波数シフトに比例する速度推定値は、スキャンコンバータ62により直交座標空間に変換され、次いで、フィルタリング及び分割プロセッサ80に供給される。セグメント化はフィルタリングによって実行されることができ、かかるフィルタリングは、図5の低周波数帯域52内のより強い組織信号が周波数Thf以下の信号をフィルタ除去するハイパスフィルタリング特性によって相殺されるプロセスを含むことができる。組織動きの速度は一般に、流れる血液の速度より遅いので、組織信号は一般に血流より周波数が低く、バンド54の血流周波数(速度)が、表示のために処理される。動く組織の速度を血流速度からセグメント化(分離)するために使用される典型的な閾値は、10cm/秒である。図5の組織及び血液バンドは更に、組織動き信号が、閾値周波数Thfを超える周波数をフィルタ除去すること、振幅閾値ThAを下回る信号を除去すること、又はその両方を行うこと、によってセグメント化され得ることを示す。フィルタリング及びセグメント化プロセッサ80は、組織ドップラ信号TDをセグメント化し、それらをカラールックアップテーブル(LUT)76に適用すること、及びより高い周波数の血流速度vBFをセグメント化し、それらを別のカラールックアップテーブル76に適用することの両方を行う。これら2つのLUT(及びシステム内の他のLUT)は、組織信号と血流信号との間でそれらの使用を多重化することによって同じになりうる。組織ドップラ値TDに対応するカラー値は、組織ドップラフレームメモリ82に記憶され、血流速度値vBFに対応するカラー値は、フローフレームメモリ84に記憶される。従って、組織ドップラフレームメモリ82は、組織動きを表すカラー値のオーバレイを保持し、かかるオーバレイは、ユーザが構造(Bモード)画像内の組織を覆う組織動きを評価したい場合にディスプレイプロセッサ36に結合される。フローフレームメモリ84は同様に、血流速度を表すカラー値のオーバレイを保持し、かかるオーバレイは、ユーザが構造(Bモード)画像において血管内腔に重なる流速を評価したい場合にディスプレイプロセッサ36に結合される。
【0019】
ドップラプロセッサ70は、空間座標変換のためにI'、Q'値をスキャンコンバータ62に提供し、スキャンコンバータ62の出力は、パワードップラ推定器74に供給される。推定器74は、
の式によってパワードップラ値を推定し、パワードップラ値は次に、カラーLUT76によって対応するカラー値に変換される。画像フィールド内のロケーションにおけるドップラ信号の強度を表すこれらのカラー値は、パワードップラーフレームメモリ86に記憶される。メモリ86に記憶されたフレームは、ユーザが画像内の点の動きからドップラ信号の強度を評価したい場合に、構造(Bモード)画像の組織又は血流(又は両方)の上にオーバレイするために、ディスプレイプロセッサ36に結合される。ユーザが動いている組織のみ又は血流のみのパワードップラ強度を表示したい場合、パワードップラ信号は、ThAと同様の閾値を使用して振幅に関してセグメント化されることができる。
【0020】
画像内の特定の点x、yについて生成されるドップラ周波数シフト値は、その点における流速のスペクトログラムを生成するために、スペクトルドップラプロセッサ72によって使用される。ユーザは、ユーザ制御器を操作して、画像内の選択された点のx、y値をスペクトルドップラプロセッサに供給する。スペクトルドップラプロセッサは、スペクトログラムとして表示するためにディスプレイプロセッサに結合される、画像内の点におけるフローの流速分布の時間シーケンスを生成するように、当技術分野でよく知られているように動作する。スペクトルドップラプロセッサの構成及び動作の詳細については、を参照。例えば、米国特許第5,287,753号公報(Roushet他)、米国特許第6,464,637号公報(Criton他)及び米国特許第7,815,572(Loupas)号公報を参照されたい。
【0021】
別の血行動態表示プロセッサが、図6に示されており、Bフロー画像処理チェーンが示されている。Bフローは、クラッタフィルタリングされたBモードデータの強度を示す。クラッタフィルタ90は、Bモードエコーデータから、静止している及びゆっくり動くターゲットを除去する。クラッタフィルタは、2タップフィルタと同じくらい簡単でありうるが、高い取得フレームレートの場合、より長いフィルタが使用されることができる。FFTベースの(高速フーリエ変換)フィルタリングは、クラッタフィルタ90に関して効果的でありうる。図6aは、3つの連続するフレーム(F0、F1、及びF2)内の同じ点(Px,y)からの信号が重み付け回路96に与えられて、供給される信号がそれぞれ[-1]、[+2]、[-1]で重み付けされる3タップクラッタフィルタの実施例を示す。3フレーム期間にわたって重み付けされた信号は、クラッタ低減されたデータを生成するために加算器98によって組み合わせられる。使用されるタップの数は、組織又は血流の予想される動きのレンジ及び排除したいDCの周りの帯域幅に依存し、より速い動きは、より短いフィルタを必要とする。閾値処理は、上述したように組織動き及び血流をセグメント化するために使用されることもできる。Bフロー信号は、血球からのものであり振幅が低いので、信号を増幅するために可変利得増幅器92が使用され、増幅された信号は、スキャンコンバータ62によって所望の表示形式に変換される。Bフロー信号データのフレームは、Bフローフレームメモリ94に記憶され、Bフローフレームメモリ94から表示プロセッサ36に供給される。カラーフロードップラーが表示されるのと同じ方法で、Bフローが、構造(Bモード)画像の血管内にオーバレイとして表示されることができる。
【0022】
図7は、更に2つの機械的機能画像、この例ではひずみ及びひずみ速度、を生成する処理チェーンを示す。ひずみ速度は、動いている組織の速度の空間微分であり、ひずみは、ひずみ速度の時間積分である。例えば、米国特許第6,537,221号公報(Criton他)を参照されたい。空間微分推定器102は、ビームに沿った連続する速度値の微分(差)をとることによってひずみ速度値を計算し、その値は、ドップラプロセッサ70によって生成される。代替として、前述のCriton他の特許公報に記載されるような動き方向において速度値の微分が行われることができる。これらの値は、フィルタリング及びセグメント化プロセッサ80によって組織ドップラ(TD)値として生成される。スキャンコンバージョンが以前に実施されていない場合、ひずみ速度値は、スキャンコンバータ62によってスキャンコンバートされる。組織画像内の点からのひずみ速度値は、ひずみ値を生成するために積分器104によって時間積分される。ひずみ速度値及びひずみ値のフレームは、対応するカラー値への変換のためにカラーLUT76に供給され、これらの値は、それぞれひずみ速度フレームメモリ108及びひずみフレームメモリ106に記憶され、ユーザがひずみの機械的特性又は組織のひずみ速度を評価したい場合に個々のメモリから表示プロセッサに結合されることができる。
【0023】
図8及び図9は、解剖学的画像、機械的機能画像、及び血行動態画像が、そのようにして被験者の身体における3つ全ての特徴及びそれらの相互作用の評価のために同時に表示されることができるかを示す2つの例を提供する。図8の表示スクリーンの左上には、心臓の左心室の解剖学的Bモード画像202がある。この画像及びこの例におけるスクリーン上の他の画像は、一方はセクタの左側を、他方はセクタの右側を超音波照射する2つのビームによりセクタ形状の画像フィールドを繰り返しスキャンすることによって得られた画像データから生成されたものである。受信時には、32本のマルチラインが、セクタの両側から並行に受信され処理され、ゆえに、フレームメモリ24に記憶された64本のスキャンラインの画像フレームが生成される。取得フレームレートは2.5kHzである。この例では最大20フレームまでの複数のBモードフレームが、フレーム平均化プロセッサ66によって点毎に平均されて、ディスプレイ上に良好な信号対雑音比を有するBモード画像を生成する。左心室心腔の境界のトレースが、図に示されるように画像上に描かれており、トレースは、前述の米国特許第6,537,221号公報(Criton他)に記載されるように手動で又は自動境界トレースによって、描かれることができる。解剖学的画像の右側には、左心室の血行動態画像、すなわちBフロー画像204がある。同じ内腔境界が、Bフロー画像上でトレースされる。Bフロー画像の右側のより明るい画素は、心腔の右側においてより速く流れる血液を示す。画面の下部には、境界線トレースの周りの各点での組織の速度を示す、組織機能画像、すなわち組織ドップラ値の速度Mモード画像がある。Mモード画像は、水平方向の時間軸に沿って時間と共に変化する、画像上のラインに沿った力学的動態を表示する。Mモード画像の各垂直線は、特定の時点を表し、画像の各垂直M線に沿った上から下へのカラーは、境界追跡に沿った各点における組織の瞬間速度を示す。左から右へMモード画像の観察は、時間の経過に従う左心室境界における組織の速度変化を示す。図8の3つの画像は、フレームメモリ内の同じ画像データから生成されたものであるため、全て時間的に同期しており、臨床医が同じ表示画面上で左心室の構造的、機械的機能及び血行力学的特性を評価することを可能にする。ループとして又はリアルタイムに連続的に再生されると、左心室の構造は、各心拍と共にサイズが拡大及び縮小し、収縮及び弛緩のたびに室内の血流が増減し、心室境界組織の速度は、心周期にわたって心腔の周りの異なるロケーションにおいて異なる速度で増減する。
【0024】
図9のトリプルモード表示の第2の例は、画面の上部に左心室の解剖学的Bモード画像を表示したものであり、ここでも左心室境界が画像の上に描かれている。心腔の底部に向かって及び僧帽弁の上に、臨床医は、スペクトルドップラーフローが行われるべきロケーションである三角形のカーソルを位置決めしている。スペクトルドップラ画像304はスクリーンの中央に示されている。画面の下部には、心臓の中心にある中隔壁の組織に沿って取得されたひずみ速度のカラーMモード画像がある。点線308及び310は、心周期の2つの機能的なランドマークを画定し、308で僧帽弁が閉じ、310で中隔内のピーク心室ひずみがある。このトリプルモード表示により、臨床医は心臓の構造、隔膜内のひずみ速度の機械的及び流体力学、並びに心腔内の選択された点における血流速度の変化を評価することができる。
【0025】
図1図7の例示的な超音波システムによって上述され図示された様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせにより実現されることに留意されたい。超音波システムの様々な実施形態及び/又は構成要素、例えばモジュール、又はその中の構成要素及びコントローラは、1つ又は複数のコンピュータ又はマイクロプロセッサの一部として実現されることもできる。コンピュータ又はプロセッサは、例えばインターネットにアクセスするためのコンピューティング装置、入力装置、表示装置及びインターフェースを有することができる。コンピュータ又はプロセッサは、マイクロプロセッサを有することができる。マイクロプロセッサは、例えばPACSシステムにアクセスするために通信バスに接続されることができる。コンピュータ又はプロセッサは、メモリを有することができる。フレームメモリについて上述したメモリデバイスは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又はハードディスクドライブ又はフロッピー(登録商標)ディスクドライブ、光ディスクドライブ、ソリッドステートサムドライブなどのリムーバブルストレージドライブであり得るストレージデバイスを含む他のデータストレージデバイスを含み得る。記憶装置は、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータ又はプロセッサにロードするための他の同様の手段であり得る。
【0026】
上述したような超音波システムの命令の組は、一般に、本発明の様々な実施形態の方法及びプロセスのような特定の処理を実行するように、処理マシンとしてのコンピュータ又はプロセッサに命令する様々なコマンドを含む。一組の命令は、一般にはソフトウェアプログラムの形である。ソフトウェアは、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアなどの様々な形態でありえ、有形の非一時的コンピュータ可読媒体として具体化されることができる。更に、ソフトウェアは、別々のプログラム若しくはモジュールの集合、より大きなプログラム内のプログラムモジュール、又はプログラムモジュールの一部の形でありうる。ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形のモジュール形式プログラミングを含むこともできる。処理マシンによる入力データの処理は、制御パネル20を介して入力されたオペレータコマンドに応答して、前の処理の結果に応答して、又は他の処理マシンによってなされたリクエストに応答して、行われる。
【0027】
更に、添付の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記載されず、請求項の限定が明示的に「手段」の語及びその後に続く他の構造の機能を欠くことの記述を使用しない限り、35U.S.C.112第6段落に基づく解釈は意図されない。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4A
図4B
図5
図6
図6a
図7
図8
図9